JP2007289886A - 高分子多孔質中空糸膜 - Google Patents

高分子多孔質中空糸膜 Download PDF

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Abstract

【課題】上水(浄水)膜、飲料処理膜、血液処理膜など種々の水性流体処理膜において、優れた分画特性、透過性を有しながら、モジュール成形時や実際の使用時に破断やリークを招くことない十分な強度を有し、これらの性能、特性の経時的な低下の抑制が実現され、洗浄による膜特性の回復性に優れた高分子多孔質中空糸膜を提供する。
【解決手段】本発明の高分子多孔質中空糸膜は、疎水性高分子と親水性高分子を含んでなり、
(a)内表面および外表面に緻密層を有し、
(b)内表面における孔径が外表面における孔径よりも小さく、
(c)内表面から外表面に向かって当初空孔率が増大し、少なくともひとつの極大部を通過後、再び外表面側で空孔率が減少し、
(d)微粒子の通過試験によって得られる排除限界粒子径をφmax[μm]、内表面の孔径をdIS[μm]、φmaxを超えるdISの存在割合をDR[%]としたとき、2[%]≦DR≦20[%]であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、水性流体の処理に使用される高分子多孔質中空糸膜に関する。詳しくは、疎水性高分子と親水性高分子を含んでなり、内表面および外表面に緻密層を有し、内表面から外表面に向かって当初空孔率が増大し、少なくともひとつの極大部を通過後、再び外表面側で空孔率が減少する特徴的な構造を有し、主として分離特性を規定する内表面の孔径と排除限界粒子径が特定の関係にあることによって、長期間の安定した膜性能、洗浄による膜性能の回復性に優れた高分子多孔質中空糸膜に関するものである。
水性流体の処理を目的とした中空糸膜は、精密濾過、限外濾過などの工業用途や、血液透析、血液濾過、血液透析濾過などの医療用途に広く利用されており、その素材としてはセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリルなどが用いられている。
このような中空糸膜に求められる基本的な特性としては、例えば、次の各点が挙げられる。
(1)被除去物質の除去性が高いこと
(2)透過物質の透過性が高いこと
((1)、(2)をあわせて分画特性)
(3)処理流体の透過性が高いこと(透過性)
((1)、(2)、(3)をあわせて膜特性)
(4)強度が十分に高く破断やリークしにくいこと(強度)
(5)分画特性が経時的に低下しないこと(分画特性の保持性)
(6)処理流体の透過性が経時的に低下しないこと(透過性の保持性)
((5)、(6)をあわせて膜特性の保持性)
また、基本的に単回使用で廃棄される医療用途以外の膜においては、
(7)洗浄による分画特性の回復に優れていること(分画特性の回復性)
(8)洗浄による透過性の回復に優れていること(透過性の回復性)
((7)、(8)をあわせて膜特性の回復性)
も加えられる。
従来、中空糸膜は上記(3)の濾過性能の向上に注目して開発されたものが多く、それ以外の特性が犠牲になることがあった。膜の透過性を向上させるには、孔径を大きくする方法が一般的であるが、これは同時に分画性能と強度の低下を招く傾向にある。
中空糸膜は膜の構造から、中空糸膜の膜厚方向で孔径が実質的に変化しない対称膜と、孔径が連続的あるいは不連続に変化し、膜の内表面、内部、外表面で孔径が異なっている非対称膜に大別される。このうち対称膜は、濾過にあたって膜厚部分全体が流体の流れに対し大きな抵抗を示し、大きな流量を得ることが困難である上、溶質(被除去物質)の目詰まりが生じやすいという欠点がある。
流体の濾過による被除去物質の除去には、膜表面の孔径による表層効果と、膜厚部分による深層効果の双方による寄与がある。このうち主として深層効果に依存する分離は、分画特性の鋭敏化が期待できるが、ある程度の厚みを利用しての分離であるため、大きな流量を得るのが困難であり、非除去物質の目詰まりによって経時的に流量が低下するという短所が存在する。前述の対称膜においては、この深層効果の寄与が比較的大きいために、上記の欠点が顕在化しやすいと考えられる。
このような背景から、分画特性と透過性を主として規定する薄い緻密層を設けた非対称膜の検討がなされている。特許文献1では、内面に存在する孔の形が滑らかな周を有する楕円形〜円形で最大長径が少なくとも0.1μmであり、外面にスキン層、断面にマクロボイドを有さない芳香族ポリスルホン中空糸膜が開示されている。この技術においては、孔の形を楕円形〜円形にすることでシャープな分画特性を実現し、血液濾過時に血球成分に対してかかる局部的な力を低減させることで溶血などの問題を解決しうるとされている。
確かに孔の形を制御することでこのような効果は期待できるであろうが、ここでは、断面部分での構造についての配慮が不十分であり、特に膜特性の保持性や膜特性の回復性についての配慮は欠落している。
特許文献2では、芳香族ポリスルホンとポリビニルピロリドンからなり、特定のポリビニルピロリドン含量、膜構造、破断強度が規定された中空糸状精密濾過膜が開示されている。この膜は、透過性を向上させるために、膜内表面の孔径を制御することが好ましく、具体的には、濾過により阻止しようとする物質の径よりも小さい孔径でなければならず、0.01〜1μm、好ましくは0.05〜0.5μmであるとされている。しかしながら、孔の形状やサイズによっては孔径を測定しても誤差が大きくなるため、内圧濾過時の阻止径が0.015〜1μmであることが必要であるとされている。また、膜の破断強度が50kgf/cm2未満では、リーク等が多発し実用的でないことから、少なくとも50kgf/cm2以上であるとの記載が見られる。また、濾過液が血液であった場合の配慮として、血漿タンパク質の吸着を抑制するために親水性であるポリビニルピロリドンの膜内表面における濃度が20〜45重量%であるとされている。この技術においては、高い強度、高い透水性能(高い透過性)、目詰まりが少ないこと(分画特性の保持性)について考慮されており、事実、これらの問題点についてある程度の解決はなされているものと考えられるが、上水膜、飲料処理膜として長期間にわたり使用した場合の膜性能の保持性、洗浄による膜特性の回復性についての記載は見られず、未だ配慮が不十分であると言わざるを得ない。
特許文献3では、ε−カプロラクタム可溶性のポリマーからなり、500〜5000000ダルトンの分離限界を有する分離層A、流体力学的抵抗は分離層Aおよび層Cに対して無視できるほど小さい支持層B、孔径は分離層Aよりは大きいが支持層Bよりは小さい層Cの多層多重構造からなる半透膜が開示されているが、この技術において解決すべき課題として記載されているのは、分離限界および流体力学的透過性が正確に調整でき、その際、分離限界とは独立して流体力学的透過性が正確に調整でき、これにより要求に応じて低域、中間域または高域の透過度を有する指定の分離限界を有する膜の製造が可能となる膜の提供とされており、強度、膜特性の保持性、膜性能の回復性については配慮されていない。
また、構造的にはこれに類似した膜として特許文献4では、膜内壁部表面近傍層における微細孔の孔径が500nm以下であり、膜厚方向断面に分布する微細孔の分布において少なくとも1つ以上の極大孔径を有し、その極大孔径が特定の値である膜が開示されている。この技術は、実質的には生体適合性に優れた医療用膜についてのものであり、血液と接触する内表面の緻密化で高分子量タンパク質の膜内部への侵入の抑制、高分子量タンパク質と膜の接触面積低減を図り、生体適合性の向上を狙っている。また、膜断面の孔径極大部を経て、外面近傍で再び緻密な構造とするのは、膜外面からのエンドトキシンフラグメントの侵入を抑制するためである。すなわち、膜の密−疎−密構造は、血液処理膜としての物質除去能力、生体適合性、エンドトキシン侵入抑制のために必要な構造であり、それ以外、例えば、膜特性の保持性、膜性能の回復性との関わりについての記載は見られない。
特公平07−022690号公報 特許第3594946号公報 特表平11−506387号公報 特開平09−047645号公報
本発明の課題は、上水(浄水)膜、飲料処理膜、血液処理膜など種々の水性流体処理膜において、優れた分画特性、透過性を有しながら、モジュール成形時や実際の使用時に破断やリークを招くことのない十分な強度を有し、これらの性能、特性の経時的な低下の抑制が実現され、洗浄による膜特性の回復性に優れた高分子多孔質中空糸膜を提供することにある。
本発明者らは、水性流体の処理に使用される中空糸膜に要求される基本特性である膜特性(分画特性および透過性)、強度、膜特性の保持性、膜特性の回復性、全てに配慮し、これらを高いレベルで同時に実現した高分子多孔質中空糸膜を得るために鋭意検討した結果、特定の構成により上記課題を解決することができ、本発明に至った。
すなわち本発明の高分子多孔質中空糸膜は、
(1)疎水性高分子と親水性高分子を含んでなり、
(a)内表面および外表面に緻密層を有し、
(b)内表面における孔径が外表面における孔径よりも小さく、
(c)内表面から外表面に向かって当初空孔率が増大し、少なくともひとつの極大部を通過後、再び外表面側で空孔率が減少し、
(d)微粒子の通過試験によって得られる排除限界粒子径をφmax[μm]、内表面の孔径をdIS[μm]、φmaxを超えるdISの存在割合をDR[%]としたとき、2[%]≦DR≦20[%]である
ことを特徴とする。
(2)中空糸膜の内表面をIS、中空糸膜の外表面をOS、中空糸膜の断面での空孔率極大部をCSmaxとし、各部位の孔径をそれぞれdIS、dOS、dCSmax、各部位の空孔率をpIS、pOS、pCSmaxとしたとき、
(a)0.001[μm]≦dIS≦1[μm] かつ
(b)0.1[μm]≦dCSmax≦10[μm] かつ
(c)5[%]≦pIS≦30[%] かつ
(d)40[%]≦pCSmax≦80[%]
であることを特徴とする。
(3)中空糸膜の内表面をIS、中空糸膜の外表面をOS、中空糸膜の断面を内表面から外表面方向に8等分したときの各部分を内表面方向から順にCS1、CS2、CS3、CS4、CS5、CS6、CS7、CS8とし、各部位の孔径をそれぞれdIS、dOS、dCS1、dCS2、dCS3、dCS4、dCS5、dCS6、dCS7、dCS8、各部位の空孔率をpIS、pOS、pCS1、pCS2、pCS3、pCS4、pCS5、pCS6、pCS7、pCS8としたとき、
(a)dIS≦dCS1<dCS2≦dCS3≧dCS4>dCS5>dCS6>dCS7>dCS8≧dOS かつ
(b)pIS<pCS1≦pCS2<pCS3>pCS4≧pCS5≧pCS6≧pCS7≧pCS8>pOS
であることを特徴とする。
(4)バブルポイントによって得られる最大孔径をdBmax[μm]、25℃における純水の透過性をF[L/(h・m2・bar)]としたとき、
(a)(1/10000)・F≦dBmax≦(1/4000)・F かつ
(b)0.05[μm]≦dBmax≦1[μm]
であることを特徴とする。
(5)中空糸膜全体における親水性高分子の含量をCa[重量%]、内表面における親水性高分子の含量をCi[重量%]、外表面における親水性高分子の含量をCo[重量%]としたとき、
(a) 1[重量%]≦Ca≦10[重量%] かつ
(b) Ca≦CiかつCa≦Co かつ
(c) Co≦Ci
であることを特徴とする。
(6)疎水性高分子がポリスルホン系高分子であることを特徴とする。
(7)親水性高分子がポリビニルピロリドンであることを特徴とする。
本発明の高分子多孔質中空糸膜は、上水(浄水)膜、飲料処理膜、血液処理膜など種々の水性流体処理膜に利用が可能であり、特に膜特性の保持性、洗浄による膜特性の回復性に優れることから、上水(浄水)膜、飲料処理膜などの工業用膜として好ましく利用され得る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の高分子多孔質中空糸膜は、疎水性高分子と親水性高分子を含んでなることが好ましく、疎水性高分子としては、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスルホン(以下PSfと略記する)、ポリエーテルスルホン(以下PESと略記する)、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどが例示される。中でも、下記の化1、化2で示される繰返し単位を有するPSf、PESなどのポリスルホン系高分子は高い透水性の膜を得るのに有利であり、好ましい。ここで言うポリスルホン系高分子は、官能基やアルキル基などの置換基を含んでいてもよく、炭化水素骨格の水素原子はハロゲンなど他の原子や置換基で置換されていてもよい。また、これらは単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明における親水性高分子としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(以下PVPと略記する)、カルボキシメチルセルロース、デンプンなどの高分子炭水化物などが例示される。中でも、ポリスルホンとの相溶性、水性流体処理膜としての使用実績から、PVPが好ましい。これらは単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。PVPの分子量としては重量平均分子量10000〜1500000のものが好ましく用いられ得る。具体的には、BASF社より市販されている分子量9000のもの(K17)、以下同様に45000(K30)、450000(K60)、900000(K80)、1200000(K90)を用いるのが好ましい。
本発明の高分子多孔質中空糸膜は、内表面および外表面に緻密層を有し、内表面における孔径が外表面における孔径よりも小さく、内表面から外表面に向かって当初空孔率が増大し、少なくともひとつの極大部を通過後、再び外表面側で空孔率が減少する構造であることを特徴とする。本発明における孔径、空孔率は乾燥膜の電子顕微鏡写真をコンピュータに取り込み、画像解析ソフトにより解析して数値化することにより求められる。具体的には、画像解析ソフトに読み込んだ画像の総面積、空孔部分の面積の総和、空孔部分の個数から、次の式[1]で空孔率が、式[2]および[3]で孔径(平均孔径)が求められる。
空孔率[%]=100×(空孔部分の面積の総和/読み込んだ画像の総面積) [1]
空孔の面積(平均空孔面積)[μm2]=空孔部分の面積の総和/空孔部分の個数 [2]
孔径(平均孔径)[μm]=(平均空孔面積/π)1/2 [3]
本発明において、孔の形状は特に制限されないが、上記の式[3]でわかるように孔を円形と近似してその面積から孔径を算出しているので、スリット状、紡錘状、不定形状などの形状で円形から著しく異なっている場合には算出値と実態との乖離が大きくなってしまうので、楕円形または円形であることがより好ましい。
内表面および外表面に緻密層を有し、内表面における孔径が外表面における孔径よりも小さいということは、内表面および外表面が分画特性と透過性を規定し、その分画特性と透過性への寄与は内表面側の緻密層が主、外表面側の緻密層が従であるということを意味する。水性流体を内部灌流でクロスフロー濾過により処理する場合、内表面では流体によるせん断力が生じるため、表面への被除去物質の積層を避けやすい。この際、表面に緻密層があることでよりその効果は高くなる。また、この緻密層の背後の部分は、大孔径、大空孔率のスポンジ状支持層となっているほうが、流体の抵抗が低くなり、高透過性を得られやすい点で有利である。すなわち、膜構造は、内表面−膜内部で密−疎となった構造が好ましい。これとは逆の疎−密構造では、膜厚部分への被除去物質目詰まりが進行してしまい、好ましくない。ところが、孔径には必然的に分布が存在するため、被除去物質がトラップされず、ある程度すり抜けてしまうのは避け難い。このため、内表面の薄い緻密層のみで分画特性が規定される膜では、分画特性の鈍化を来たしたり、また、鋭敏な分画特性を得るには中空糸膜の生産性が犠牲となってしまう。
本発明の高分子多孔質中空糸膜は、内外両表面に緻密層を持つため、内表面の緻密層をすり抜けた被除去物質は外表面の緻密層でトラップされる可能性があるため、より鋭敏な分画特性を得ることができる。
ここで、膜壁部分において空孔率が極大となる部位は、膜壁の中央からやや内表面よりに存在することが好ましい。このような構造をとることで、内面近傍においては表面から内部方向への孔径分布の傾きが大きくなり、分画既定層が薄くなることで透過性の向上に寄与する。また、外面近傍では内部から表面方向への孔径分布の傾きが小さくなり、深層濾過の効果によって分画に寄与する。具体的には、中空糸膜の内表面をIS、中空糸膜の外表面をOS、中空糸膜の断面を内表面から外表面方向に8等分したときの各部分を内表面方向から順にCS1、CS2、CS3、CS4、CS5、CS6、CS7、CS8とし、各部位の孔径をそれぞれdIS、dOS、dCS1、dCS2、dCS3、dCS4、dCS5、dCS6、dCS7、dCS8、各部位の空孔率をpIS、pOS、pCS1、pCS2、pCS3、pCS4、pCS5、pCS6、pCS7、pCS8としたとき、
(a)dIS≦dCS1<dCS2≦dCS3≧dCS4>dCS5>dCS6>dCS7>dCS8≧dOS かつ
(b)pIS<pCS1≦pCS2<pCS3>pCS4≧pCS5≧pCS6≧pCS7≧pCS8>pOS
となることが好ましい。
本発明の高分子多孔質中空糸膜は、内表面が緻密層であることにより、クロスフロー濾過による内表面でのせん断力の効果も効いて、膜特性が保持されやすい。さらに、密−疎−密構造の内表面が緻密層であるため、逆洗時に被除去物質が外れやすく、膜特性の回復性に優れる。外面緻密層でも被除去物質のトラップは行われていると考えられるが、逆洗時には孔径小→孔径大方向に洗浄液が流れるので、前記トラップされた被除去物質が外れやすい。また、詳細な機構は不明だが、恐らくは密−疎−密の構造のため、膜壁内部での洗浄液の流れが非直線的にランダム化することで、洗浄効果がより高まる。
本発明の高分子多孔質中空糸膜では、微粒子の通過試験によって得られる排除限界粒子径をφmax[μm]、内表面の孔径をdIS[μm]、φmaxを超えるdISの存在割合をDR[%]としたとき、2[%]≦DR≦20[%]であることが大きな特徴のひとつである。
膜濾過による被除去物質の除去には、膜表面の孔径による表層効果と、膜厚部分による深層効果の双方による寄与があることは既に記したが、本発明のような特性を有するのは、分画特性には表層効果の寄与が比較的大きいことを意味する。膜壁の厚みによって分離するのが深層効果であるから、この効果に依存する分離機構では、膜内部への被除去物質の目詰まりが生じやすい。これは膜特性の経時的な低下を意味し、好ましい挙動とは言えない。また、表層効果で分離されている場合、被除去物質は膜表面で留まるため、逆洗により外れやすい。すなわち、深層効果よりも、表層効果を支配的にした分離機構の膜であることが、優れた膜特性の保持性、優れた膜特性の回復性を有する膜の設計につながる。本発明においては、上記、微粒子の通過試験によって得られる排除限界粒子径をφmax[μm]、内表面の孔径をdIS[μm]、φmaxを超えるdISの存在割合をDR[%]としたとき、2[%]≦DR≦20[%]とすることにより、膜特性の保持性、膜特性の回復性に優れた高分子多孔質膜を得ることに至った。ここで、DRが20%を超えると、深層濾過の寄与が大きくなりすぎ、膜特性の保持性、膜特性の回復性が低下して好ましくない。また、表面の細孔にはある程度の分布が不可避であり、これを極端に狭めるのは生産性の著しい低下を招き好ましくない。このため、DRが2%以上であることが好ましい。このような観点から、より好ましいDRの範囲は、2[%]≦DR≦15[%]であり、さらに好ましくは3[%]≦DR≦10[%]である。
本発明の高分子多孔質中空糸膜の内表面における孔径は、0.001μm〜1μmであることが好ましく、0.01μm〜1μmがより好ましい。これよりも孔径が小さいと透過性が低いため好ましくなく、これよりも大きいと膜の強度が低下するため好ましくない。また、内表面における空孔率は5%〜30%であることが好ましく、7%〜25%であることがより好ましい。これよりも空孔率が小さいと透過性が低いため好ましくなく、これよりも大きいと膜の強度が低下するため好ましくない。本発明の高分子多孔質中空糸膜は膜壁部分に空孔率が極大となる部位が存在するのが特徴のひとつであるが、この極大部における孔径は、内表面、外表面での孔径よりも大きく、かつ、0.1μm〜10μmであることが好ましく、0.2μm〜8μmであることがより好ましい。これよりも孔径が小さいと膜構造の傾斜が緩やかとなりすぎてしまい、膜特性、膜特性の保持性、膜特性の回復性が低下してしまって好ましくない。これよりも大きいと膜の強度が低下するため好ましくない。また、極大部における空孔率は、内表面、外表面での空孔率よりも大きく、かつ、40%〜80%であることが好ましく、45%〜70%であることがより好ましい。これよりも空孔率が小さいと膜構造の傾斜が緩やかとなりすぎてしまい、膜特性、膜特性の保持性、膜特性の回復性が低下してしまって好ましくない。これよりも大きいと膜の強度が低下するため好ましくない。外表面における孔径は内表面における孔径よりも大きければ特に制限されないが、0.02〜2μmが好ましい。これよりも孔径が小さいと透過性が低いため好ましくなく、これよりも大きいと膜の強度が低下するため好ましくない。外表面における空孔率は特に制限されないが、5%〜30%であることが好ましく、7%〜25%であることがより好ましい。これよりも空孔率が小さいと透過性が低く、隣接する中空糸膜同士の固着がおこりやすいため好ましくなく、これよりも大きいと膜の強度が低下するため好ましくない。なお、ここでいう空孔率、孔径とはそれぞれ、前記式[1]で得られる空孔率、[2]および[3]で得られる平均孔径である。
本発明の高分子多孔質中空糸膜においては、バブルポイントによって得られる最大孔径をdBmax[μm]、25℃における純水の透過性をF[L/(h・m2・bar)]としたとき、
(a)(1/10000)・F≦dBmax≦(1/4000)・F かつ
(b)0.05[μm]≦dBmax≦1[μm]
の関係にあることが好ましい。ある透水性を実現するには、細孔の径と数が寄与していると考えられる。透水性を向上させるために細孔の数を大幅に増加させると、膜の強度が低下し、実際の使用時にリークや破断が生じてしまう可能性が高まる。また、細孔の径を大幅に増大させると、除去すべき物質が漏れ出てしまう可能性が高まる。dmaxが(1/10000)・Fよりも小さい場合には、Fを実現するために孔数が多くならなければならず、膜強度の低下を招き好ましくない。また、dmaxが(1/4000)・Fよりも大きい場合には、孔径が大きくなり、分離特性の悪化を招き好ましくない。(1/10000)・F≦dmax≦(1/4000)・Fの範囲にdmaxがあることによって、十分な膜強度と分離特性が実現される。
長期の安定した透過性、分離特性を得るためには、膜への被処理液由来物質の非特異的な吸着を抑制することが必要である。水性流体を膜処理する場合、膜素材の親水性を高めることによってこのような非特異吸着は低下させることができるが、親水性高分子溶離の可能性もあり、効果的に極力抑えた量の導入が好ましい。本発明においては、中空糸膜全体における親水性高分子の含量をCa[重量%]、内表面における親水性高分子の含量をCi[重量%]、外表面における親水性高分子の含量をCo[重量%]としたとき、
(a) 1[重量%]≦Ca≦10[重量%] かつ
(b) Ca≦CiかつCa≦Co かつ
(c) Co≦Ci
であることが好ましい。これを満足することにより、全体の量は親水性付与に必要かつ十分な量が、被処理液と主に接触する膜表面に濃縮、特に分離特性を規定する内表面に濃縮されて存在することになり、好ましい。
架橋などの処理によって構造の一部を改変した親水性高分子は、本来その親水性高分子が持つ特性と微妙に異なる挙動を示すことが考えられる。水性流体処理時の膜特性、およびその保持性を確保するために、本発明の高分子多孔質中空糸膜に含まれる親水性高分子は実質的に不溶化されていないことが好ましく、具体的には不溶成分の含有率が膜全体に対して2重量%未満であることが好ましい。ここで言う不溶成分の含有率は、成形、乾燥された中空糸膜を製膜原液に使用される溶媒に溶解した際に、溶解せずに残存する成分の比率を意味する。具体的には、以下の方法で算出される含有率を意味する。すなわち、中空糸膜10gを取り、100mlのジメチルホルムアミドに溶解した溶液を遠心分離機で1500rpm、10分間かけた後上澄みを除去する。残った不溶物に再度、100mlのジメチルホルムアミドを添加して、撹拌をおこなった後、同条件で遠心分離操作をおこない、上澄みを除去する。再び、100mlのジメチルホルムアミドを添加して撹拌し、同様の遠心分離操作をおこなった後、上澄みを除去する。残った固形物を蒸発乾固して、その量から不溶成分の含有率を求める。
本発明の高分子多孔質中空糸膜の径や膜厚は、使用される用途に応じて適宜選択すればよく、特に制限されないが、内径は100〜1500μmが好ましく、より好ましくは130〜1300μmである。また、膜厚は5〜600μmが好ましく、より好ましくは10〜500μmである。これよりも内径が小さいと、用途によっては被処理液中の成分により内腔の閉塞などが生じる可能性があり、好ましくない。これよりも内径が大きいと、中空糸膜のつぶれ、ゆがみなどを生じやすくなるため、好ましくない。膜厚がこれよりも小さいと、中空糸膜のつぶれ、ゆがみなどを生じやすくなるため、好ましくない。これよりも膜厚が大きいと、処理流体が膜壁を通過する際の抵抗が大きくなり、透過性が低下するため好ましくない。
本発明の高分子多孔質中空糸膜の製造方法はなんら限定されるものではないが、疎水性高分子、親水性高分子、溶媒、非溶媒を混合溶解し、脱泡したものを製膜溶液として芯液とともに二重管ノズルの環状部、中心部から同時に吐出し、空走部(エアギャップ部)を経て凝固浴中に導いて中空糸膜を形成し(乾湿式紡糸法)、水洗後巻き取り、乾燥する方法が例示される。
製膜溶液に使用される溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略記する)、N,N−ジメチルホルムアミド(以下DMFと略記する)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下DMAcと略記する)、ジメチルスルホキシド(以下DMSOと略記する)、ε−カプロラクタムなど、使用される疎水性高分子、親水性高分子の良溶媒であれば広く使用することが可能であるが、疎水性高分子としてPSf、PESなどのポリスルホン系高分子を使用する場合には、NMP、DMF、DMAcなどのアミド系アプロティック溶媒が好ましく、NMPが特に好ましい。なお、本発明においてアミド系溶媒とは、構造中にN−C(=O)のアミド結合を含有する溶媒を意味し、アプロティック溶媒とは、構造中において炭素原子以外のヘテロ原子に直接結合した水素原子を含有していない溶媒を意味する。
また、製膜溶液には高分子の非溶媒を添加することも可能である。使用される非溶媒としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール(以下DEGと略記する)、トリエチレングリコール(以下TEGと略記する)、ポリエチレングリコール(以下PEGと略記する)、グリセリン、水などが例示されるが、疎水性高分子としてPSf、PESなどのポリスルホン系高分子、親水性高分子としてPVPを使用する場合には、DEG、TEG、PEGなどのエーテルポリオールが好ましく、TEGが特に好ましい。なお、本発明においてエーテルポリオールとは、構造中に少なくともひとつのエーテル結合と、ふたつ以上の水酸基を有する物質を意味する。
詳細な機構は不明であるが、これらの溶媒、非溶媒を使用して調製した製膜原液を使用することで、紡糸工程における相分離(凝固)が制御され、本発明の好ましい膜構造を形成するのに有利になると考えられる。なお、相分離の制御には、後述の芯液組成や凝固浴中の液(外部凝固液)の組成も重要になる。
製膜原液における疎水性高分子の濃度は、該原液からの製膜が可能であれば特に制限されないが、10〜35重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましい。高い透過性を得るには疎水性高分子の濃度は低いほうが好ましいが、過度に低いと強度の低下や、分画特性の悪化を招く可能性があるので、10〜25重量%が好ましい。親水性高分子の添加量は、中空糸膜に親水性を付与し、水性流体処理時の非特異吸着を抑制するのに十分な量であれば特に制限されないが、疎水性高分子に対する親水性高分子の比率として10〜30重量%が好ましく、10〜20重量%がより好ましい。親水性高分子の添加量がこれよりも少ないと、膜への親水性付与が不十分となり、膜特性の保持性が低下する可能性がある。また、これよりも多いと、親水性付与効果が飽和してしまい効率がよくなく、また、製膜原液の相分離(凝固)が過度に進行しやすくなり、本発明の好ましい膜構造を形成するのに不利となる。
製膜原液中における溶媒/非溶媒の比は、紡糸工程における相分離(凝固)の制御に重要な要因となる。具体的には、溶媒/非溶媒の含有量が重量比で30/70〜70/30であることが好ましく、35/65〜60/40であることがより好ましく、35/65〜55/45であることがさらに好ましい。溶媒の含有量がこれよりも少ないと凝固が進行しやすくなり、膜構造が緻密化しすぎて透過性が低下してしまう。また、溶媒含有量がこれよりも多いと相分離の進行が過度に抑制され、大孔径の空孔が生じやすくなり、分画特性や強度の低下を招く可能性が大きくなり好ましくない。
製膜原液は、疎水性高分子、親水性高分子、溶媒、非溶媒を混合、攪拌して溶解することで得られる。この際、適宜温度をかけることで効率的に溶解を行うことができるが、過度の加熱は高分子の分解を招く危険があるので、好ましくは30〜100℃、より好ましくは40〜80℃である。また、親水性高分子としてPVPを使用する場合、PVPは空気中の酸素の影響により酸化分解を起こす傾向にあることから、紡糸溶液の溶解は不活性気体封入下で行うのが好ましい。不活性気体としては、窒素、アルゴンなどが上げられるが、窒素を用いるのが好ましい。このとき、溶解タンク内の残存酸素濃度は3%以下であることが好ましい。窒素封入圧力を高めてやれば溶解時間短縮が望めるが、高圧にするには設備費用が嵩む点と、作業安全性の面から大気圧以上2kgf/cm2以下が好ましい。
製膜を行うに際しては、中空糸膜への異物混入による膜構造の欠陥の生成を回避するために、異物を排除した製膜原液を使用することが好ましい。具体的には、異物の少ない原料を用いる、製膜原液を濾過し異物を低減する方法等が有効である。本発明では、中空糸膜束の膜厚よりも小さな孔径のフィルターを用いて製膜原液を濾過してからノズルより吐出するのが好ましく、具体的には均一溶解した紡糸溶液を溶解タンクからノズルまで導く間に設けられた孔径10〜50μmの焼結フィルターを通過させる。濾過処理は少なくとも1回行えば良いが、ろ過処理を何段階かにわけて行う場合は後段になるに従いフィルターの孔径を小さくしていくのが濾過効率およびフィルター寿命を延ばす意味で好ましい。フィルターの孔径は10〜45μmがより好ましく、10〜40μmがさらに好ましい。フィルター孔径が小さすぎると背圧が上昇し、生産性が落ちることがある。
また、製膜原液からは気泡を排除するのが欠陥のない中空糸膜を得るのに有効である。気泡混入を抑える方法としては、製膜原液の脱泡を行うのが有効である。製膜原液の粘度にもよるが、静置脱泡や減圧脱泡を用いることができる。この場合、溶解タンク内を常圧から−100〜−750mmHgに減圧した後、タンク内を密閉し30分〜180分間静置する。この操作を数回繰り返し脱泡処理を行う。減圧度が低すぎる場合には、脱泡の回数を増やす必要があるため処理に長時間を要することがある。また減圧度が高すぎると、系の密閉度を上げるためのコストが高くなることがある。トータルの処理時間は5分〜5時間とするのが好ましい。処理時間が長すぎると、減圧の影響により製膜原液の構成成分が分解、劣化することがある。処理時間が短すぎると脱泡の効果が不十分になることがある。
中空糸膜の製膜時に使用される芯液の組成は、製膜原液に含まれる溶媒および非溶媒と、水との混合液を使用することが好ましい。この際、芯液中に含まれる該溶媒と該非溶媒の比率は、製膜原液の溶媒/非溶媒比率と同一とすることが好ましい。製膜原液に使用されるのと同一の溶媒および非溶媒を、製膜原液中の比率と同一にして混合し、これに水を添加して希釈したものが好ましく用いられる。芯液中の水の含量は、10〜40重量%、好ましくは15〜30重量%である。水の含有量がこれよりも多いと凝固が進行しやすくなり、膜構造が緻密化しすぎて透過性が低下してしまう。また、水含有量がこれよりも少ないと相分離の進行が過度に抑制され、大孔径の空孔が生じやすくなり、分画特性や強度の低下を招く可能性が大きくなり好ましくない。
外部凝固液の組成は、製膜原液に含まれる溶媒および非溶媒と、水との混合液を使用することが好ましい。この際、芯液中に含まれる該溶媒と該非溶媒の比率は、製膜原液の溶媒/非溶媒比率と同一であることが好ましい。製膜原液に使用されるのと同一の溶媒および非溶媒を、製膜原液中の比率と同一にして混合し、これに水を添加して希釈したものが好ましく用いられる。外部凝固液中の水の含量は、30〜85重量%、好ましくは40〜80重量%である。水の含有量がこれよりも多いと凝固が進行しやすくなり、膜構造が緻密化しすぎて透過性が低下してしまう。また、水含有量がこれよりも少ないと相分離の進行が過度に抑制され、大孔径の空孔が生じやすくなり、分画特性や強度の低下を招く可能性が大きくなり好ましくない。また、外部凝固液の温度は、低いと凝固が進行しやすくなり、膜構造が緻密化しすぎて透過性が低下してしまう。また、高いと相分離の進行が過度に抑制され、大孔径の空孔が生じやすくなり、分画特性や強度の低下を招く可能性が大きくなってしまうので、30〜80℃、好ましくは40〜70℃である。
本発明において、膜構造を制御する因子のひとつには、ノズルの温度が挙げられる。ノズルの温度は、低いと凝固が進行しやすくなり、膜構造が緻密化しすぎて透過性が低下してしまう。また、高いと相分離の進行が過度に抑制され、大孔径の空孔が生じやすくなり、分画特性や強度の低下を招く可能性が大きくなってしまうので、30〜90℃、好ましくは40〜80℃である。
本発明の高分子多孔質中空糸膜を得る好ましい製造方法としては、芯液とともに二重管ノズルから吐出した製膜原液を、エアギャップ部分を経て外部凝固液を満たした凝固浴中に導いて中空糸膜を形成する乾湿式紡糸法が例示されるが、ノズルから吐出された製膜原液の、エアギャップ部分での滞留時間が膜構造を制御する因子のひとつとなり得る。滞留時間が短いと、エアギャップ部分での相分離による凝集粒子の成長が抑制された状態で外部凝固液によりクエンチされるので、外表面が緻密化して透過性が低下してしまう。また、外表面の緻密化により、得られた中空糸膜が固着しやすい傾向となって好ましくない。滞留時間が長いと、大孔径の空孔が生じやすくなり、分画特性や強度の低下を招く可能性が大きくなってしまう。エアギャップにおける滞留時間の好ましい範囲は0.05〜4秒であり、0.1〜3秒がより好ましい。
上記、比較的滞留時間の短いエアギャップ部分を経て、凝固浴に導かれた中空糸膜は、芯液からの凝固が進行しながら、外部からの凝固はある程度抑制された状態で、比較的凝固性のマイルドな外部凝固液と接触する。すなわち、凝固浴内に突入した直後の中空糸膜は未だ完全に構造が決定しない「生きた」状態にあるが、この「生きた」中空糸膜が凝固浴内で完全に凝固し、構造が決定されて引き上げられる。前述のとおり、外部凝固液の凝固性は比較的マイルドであるので、凝固浴内での滞留時間は完全に凝固が完了するまで十分にとる必要がある。具体的には、5〜20秒が好ましく、10〜20秒がより好ましい。凝固浴内での滞留時間がこれよりも短いと凝固が不十分となり、これよりも長いと製膜速度の低下や凝固浴の大型化が必要となりいずれも好ましくない。
本発明の高分子多孔質膜は、内表面および外表面に緻密層を有し、内表面における孔径が外表面における孔径よりも小さく、内表面から外表面に向かって当初空孔率が増大し、少なくともひとつの極大部を通過後、再び外表面側で空孔率が減少する構造を持つのが大きな特徴であるが、このような構造を実現するには、上記の製膜原液を使用し、上記の紡糸条件によって中空糸膜を得る方法を採るのが好適である。内表面から外表面に向かって密−疎−密の非対称構造を構成させるには、中空糸膜の内側からの凝固(主として芯液による相分離・凝固)と外側からの凝固(主としてエアギャップ、外部凝固液での相分離・凝固)のバランスをとり、両者を拮抗させることで内外両表面から膜壁内部に向かっての凝固を制御しなければならない。そのための有効な制御手段が、上記芯液の組成、外部凝固液の組成・温度、エアギャップ部分での滞留時間、凝固浴内での滞留時間である。これらを上記の範囲に設定することによって、本発明の特徴的な膜構造を得ることができる。
本発明の高分子多孔質中空糸膜を得るには、内外両表面からの凝固進行を微妙に制御する必要があるが、その際に注意しなければならない点として、中空糸膜の凝固浴中における屈曲がある。乾湿式紡糸においては、通常、下向きに配列したノズルから製膜原液を重力方向に吐出、エアギャップ部分を経て凝固浴に導き、凝固浴内で進行方向を上向きに変更して凝固浴から引き上げ、水洗浴での洗浄を経て巻き取るのが一般的である。本発明の高分子多孔質中空糸膜は、凝固浴内突入直後には完全に構造が決定しない「生きた」状態にあるので、凝固浴内での方向転換が急激に行われると、膜構造の欠陥や破壊を招くため好ましくない。具体的には、方向転換時の曲率半径が20〜300mm、より好ましくは30〜200mmとするのが好ましい。また、多点ガイドを使用し、複数のポイントで徐々に方向を転換する方法も好ましい。
本発明の高分子多孔質中空糸膜の製造において、完全に中空糸膜構造が固定される以前に実質的に延伸をかけないことが好ましい。実質的に延伸を掛けないとは、ノズルから吐出された紡糸溶液に弛みや過度の緊張が生じないように、紡糸工程中のローラー速度をコントロールすることを意味する。吐出線速度/凝固浴第一ローラー速度比(ドラフト比)は0.7〜1.8が好ましい範囲である。前記比が0.7未満では、走行する中空糸膜に弛みが生じ生産性の低下につながることがあるので、ドラフト比は0.8以上がより好ましく、0.9以上がさらに好ましく、0.95以上がよりさらに好ましい。1.8を超える場合には中空糸膜の緻密層が裂けるなど膜構造が破壊されることがある。そのため、ドラフト比は、より好ましくは1.7以下、さらに好ましくは1.6以下、よりさらに好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.4以下である。ドラフト比をこの範囲に調整することにより細孔の変形や破壊を防ぐことができ、膜性能の保持性やシャープな分画特性を発現することが可能となる。
製膜速度(紡速)については、欠陥のない中空糸膜が得られ、生産性が確保できれば特に制限されないが、好ましくは、5〜40m/min、より好ましくは7〜20m/minである。これよりも紡速が低いと、生産性が低下して好ましくない。これよりも紡速が高いと、上記の紡糸条件、特にエアギャップ部分での滞留時間や、凝固浴内での滞留時間を確保するのが困難となり、好ましくない。
製膜後、水洗浴での洗浄を経て巻き取ることで得られた中空糸膜は、使用中や洗浄操作による膜特性の変化を抑制し、膜特性の保持性・安定性、膜特性の回復性を確保するために、加熱処理を施すのが好ましい。この加熱処理を熱水への浸漬処理とすることで、同時に、中空糸膜に残存する溶媒や非溶媒などを洗浄・除去する効果も期待できる。熱水の温度は、60〜100℃、より好ましくは70〜90℃、処理時間は30〜120min、より好ましくは40〜90min、さらに好ましくは50〜80minである。温度がこれよりも低く、処理時間がこれよりも短いと、中空糸膜にかかる熱履歴が不十分となり膜特性の保持性・安定性が低下する可能性があり、また、洗浄効果が不十分となり溶出物が増加する可能性が高くなり好ましくない。温度がこれよりも高く、処理時間がこれよりも長いと、水が沸騰してしまったり、処理に長時間を要するため生産性が低下し、好ましくない。熱水に対する中空糸膜の浴比は、中空糸膜が十分に浸る量の熱水を使用すれば、特に制限されないが、あまり多量の熱水を使用するのは、生産性が低下し好ましくない。
製膜、加熱処理を完了した中空糸膜は、乾燥することによって、最終的に完成する。乾燥方法は、風乾、減圧乾燥、熱風乾燥など通常利用される乾燥方法が広く利用できる。最近、血液処理膜の乾燥などで利用されているマイクロ波乾燥なども利用可能であるが、簡便な装置で効率的に大量の中空糸膜を乾燥できる点で、熱風乾燥が好ましく利用され得る。乾燥に先立って、上記の加熱処理を施しておくことで、熱風乾燥による膜特性の変化も抑制することができる。熱風乾燥時の熱風温度は特に制限されないが、好ましくは40〜100℃、より好ましくは50〜80℃である。これよりも温度が低いと乾燥までに長時間を要し、これよりも温度が高いと熱風生成のためのエネルギーコストが高くなり、いずれも好ましくない。熱風の温度は、上記の熱水加熱処理の温度よりも低いことが好ましい。
以下、本発明の有効性を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例における評価方法は以下の通りである。
1.中空糸膜の電子顕微鏡による構造観察・解析
乾燥した中空糸膜を切断し、内表面、外表面、断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を、倍率10000倍または2000倍で撮影した。SEM写真を466dpiの解像度でコンピュータに取り込み、画像解析ソフトを使用して解析を行い、空孔率と平均細孔面積、細孔分布を求めた。具体的には、まず、取り込んだ画像を二値化処理し、空孔部が黒、構成ポリマー部分が白となった画像を得た。この画像を解析することにより、空孔部分の個数、各空孔部分の面積、空孔部分の面積の総和を得た。読み込んだ画像の総面積と、空孔項部分の面積の総和から、次式[1]により空孔率を算出した。
空孔率[%]=100×(空孔部分の面積の総和/読み込んだ画像の総面積) [1]
空孔部分の面積の総和と、空孔部分の個数から平均空孔面積を算出し、さらに空孔の形状を円と近似して、平均空孔面積から平均孔径を算出した。(次式[2]および[3])
空孔の面積(平均空孔面積)[μm2]=空孔部分の面積の総和/空孔部分の個数 [2]
孔径(平均孔径)[μm]=(平均空孔面積/π)1/2 [3]
さらに、各空孔部分の面積から上記同様、空孔の形状を円と近似した場合の孔径を算出し、その結果を表計算ソフトに取り込んでヒストグラムを作成して、細孔分布としてまとめた。
2.ミニモジュールの作製
中空糸膜を約30cmの長さに切断し、両末端をパラフィンフィルムで束ねて中空糸膜束を作製した。この中空糸膜束の両端をパイプ(スリーブ)に挿入し、ウレタンポッティング剤で固めた。端部を切断して、両末端がスリーブで固定された両端開口ミニモジュールを得た。中空糸膜の本数は、内面の表面積が50〜100cm2になるよう適宜設定した。
3.モジュールの作製
中空糸膜を約30cmの長さに切断し、ポリエチレンフィルムで巻いて中空糸膜束とした。この中空糸膜束を円筒型のポリカーボネート製モジュールケースに挿入し、両末端をウレタンポッティング剤で固めた。端部を切断して、両末端が開口したモジュールを得た。中空糸膜の本数は、内面の表面積が約200cm2となるよう適宜設定した。なお、円筒状のモジュールケースは円筒面2箇所にポートを設け、中空糸膜の外面を流体が灌流できるようにし、両末端にはエンドキャップを装着して、中空糸膜の内面を流体が灌流できるようにした。
4.ループ型ミニモジュールの作製
中空糸膜を約40cmの長さに切断し、ループ型に束ね、端部をパラフィンフィルムで固定した。このループ型中空糸膜束の端部をパイプ(スリーブ)に挿入し、ウレタンポッティング剤で固めた。端部を切断して、端部がスリーブで固定されたループ型ミニモジュールを得た。中空糸膜の本数は、内面の表面積が20〜50cm2になるよう適宜設定した。
5.膜面積の計算
モジュールの膜面積は中空糸膜の内面側の径を基準として求めた。次式[4]によってモジュールの膜面積が計算できる。
A=n×π×d×L [4]
ここで、nは中空糸膜の本数、πは円周率、dは中空糸膜の内径[m]、Lはモジュールにおける中空糸膜の有効長[m]である。
6.微粒子による排除限界粒子径の測定
単分散ポリスチレンラテックス懸濁液(原液濃度は10w/v%)を、0.1容量%のTween20水溶液で希釈し、0.01w/v%となるよう調整した(PSt−Tween液と呼称する)。ミニモジュールの片方の端部(導入側)から中空糸膜の内腔に、このPSt−Tween液を導入し、もう一方の端部(流出側)からPSt−Tween液が漏れ出たところで流出側の端部を封止し、引き続き導入側からPSt−Tween液の導入を継続して、中空糸膜によるデッドエンド濾過を行った。同様に、ポリスチレンラテックス懸濁液を含まない0.1容量%のTween20水溶液の濾過を行った。250nmにおける液の吸光度を測定し、次式[5]によってポリスチレンラテックスの除去率Rjを算出した。
Rj[%]=100×(ApPSt−ApT)/(AfPSt−AfT) [5]
ただし、ApPStはPSt−Tween液の濾液の250nmにおける吸光度、ApTは0.1容量%Tween20水溶液の濾液の250nmにおける吸光度、AfPStはミニモジュールに導入されたPSt−Tween液の250nmにおける吸光度、AfTは0.1容量%Tween20水溶液の250nmにおける吸光度を示す。単分散ポリスチレンラテックスの粒径を変えて上記Rjを求め、Rj≧95%となる最小の粒径を排除限界粒子径とした。
7.バブルポイントの測定・最大孔径の算出
ループ型ミニモジュール全体を十分な量の2−プロパノール(以下iPAと略記する)に1時間以上浸漬して、内腔、膜壁部分にiPAを行き渡らせた。ループ型モジュールの中空糸膜部分全体がiPAに浸った状態で、スリーブを圧力計を装着して加圧圧力がモニターできるようにした窒素ラインに接続し、1分間に1barの割合で加圧した。中空糸膜の膜壁部分からコンスタントに気泡が出始めたポイントをバブルポイントP[bar]として記録した。1種のサンプルにつき、3回の測定を実施し、バブルポイントの測定値の平均値をそのサンプルとのバブルポイントとした。さらに、次式[6]により、iPAで測定したバブルポイント(P[bar])から算出される最大孔径dBmaxを得た。
dBmax[μm]=0.0286×22.9/P [6]
8.透水率(純水Fluxと略記する)の測定
モジュールのエンドキャップ2箇所(それぞれ内面流入口、内面流出口と呼称する)に回路を接続し、モジュールへの純水の流入圧とモジュールからの純水の流出圧を測定できるようにした。中空糸膜の内外両面に純水を満たした。内面流入口から純水をモジュールに導入し、内面流出口に接続した回路(圧力測定点よりも下流)を鉗子で封じて流れを止め、モジュールの内面流入口から入った純水を全濾過するようにした。25℃に保温した純水を加圧タンクに入れ、レギュレーターにより圧力を制御しながら、25℃恒温槽で保温したモジュールへ純水を送り、透析液流出口から流出した濾液量をメスシリンダーで測定した。膜間圧力差(TMP)は
TMP=(Pi+Po)/2 [7]
とした。ここで、Piはモジュールの内面流入口側圧力、Poはモジュールの内面流出口側圧力である。TMPを4点変化させ濾過流量を測定し、それらの関係の傾きから純水Flux[L/h/bar]を算出した。このときTMPと濾過流量の相関係数は0.999以上でなくてはならないとした。中空糸膜の純水Fluxは膜面積とモジュールの透水率から算出した。
純水Flux=純水Flux(M)/A [8]
ここで純水Fluxは中空糸膜の透水率[L/m2/h/bar]、純水Flux(M)はモジュールの透水率[L/h/bar]、Aはモジュールの膜面積[m2]である。
9.中空糸膜表面におけるPVP含量の測定
中空糸膜1本を両面テープ上に貼り付け、ナイフで開腹した後展開して内表面を露出させた。これを試料台に貼り付けてElectron Spectroscopy for Chemical Analysis(ESCA)での測定を行った。なお、上記の操作は中空糸膜内表面の測定を実施する際のものであるが、外表面の測定時には、開腹・内表面露出は不要であり、単に両面テープで中空糸膜を試料台に貼り付けて測定した。測定条件は次に示すとおりであった。
測定装置:アルバック・ファイ ESCA5800
励起X線:MgKα線
X線出力:14kV、25mA
光電子脱出角度:45°
分析径:400μmφ
パスエネルギー:29.35eV
分解能:0.125eV/step
真空度:約10-7Pa以下
窒素の測定値(N)と硫黄の測定値(S)から、次式[9]または[10]により膜表面でのPVP含量を算出した。
<PVP添加PES膜の場合>
PVP含量[重量%]
=100×(N×111)/(N×111+S×232) [9]
<PVP添加PSf膜の場合>
PVP含量[重量%]
=100×(N×111)/(N×111+S×442) [10]
10.中空糸膜全体におけるPVP含量の測定
中空糸膜をDMSO−d6に溶解させ、60℃で1H−NMRを測定した。測定には、Brucker社製Avance−500を使用した。1H−NMRスペクトルにおける7.2ppm付近のポリスルホン系高分子の芳香環由来のピーク(a)と、2.0ppm付近のPVPのピロリドン環由来のピーク(b)の積分強度比より、次式[11]でPVPの含量を算出した。
PVP含有率[重量%]
={(b/nb)×111×100}/{(a/na)×Ma+(b/nb)×111}
[11]
ただし、Maはポリスルホン系高分子の繰り返し単位の分子量、111はPVPの繰り返し単位の分子量、naは繰り返し単位中に含まれる上記aのプロトンの個数、nbは繰り返し単位中に含まれる上記bのプロトンの個数を示す。
11.ワイン透過率(ワインFluxと略記する)の測定
丹波ワイン社から市販されている酵母を含有した濁りワイン「丹波新酒にごり2005」を、メルシャン社から市販されている「ワインライフ[白]」で希釈し、濁度が10NTUになるよう調整した(以下評価用ワインと呼称する)。 モジュールはRO水に1時間以上浸漬した後、評価用ワインで置換し、内外両面に評価用ワインを満たした。容器内に評価用ワインを満たし、22℃になるよう温度を制御した。この容器からポンプを介して評価用ワインがモジュールの内面を灌流して容器に戻ると同時に、中空糸膜によって濾過された評価用ワインも容器に戻るよう回路を組んだ。その際、モジュールへの評価用ワインの流入圧とモジュールからの評価用ワインの流出圧を測定できるようにした。中空糸膜の内腔を、評価用ワインが1.5m/secの流速で流れるように、内面流入口から評価用ワインを導入した。この際、TMPは約1.5barになるよう調整した。この状態で、中空糸膜内腔に評価用ワインを灌流、一部を濾過するクロスフロー濾過を継続して実施した。所定の時間が経過した時点で、一定時間に濾過されるワインの量を測定した(例えば灌流開始後10〜11minの時点における濾過量、20〜21minの時点における濾過量)。ワインFluxを次式[12]により算出した。
ワインFlux[L/m2/h/bar]
=(1分あたりのワイン濾過量[L/min]×60/A)/TMP[bar] [12]
ただし、Aはモジュールの膜面積[m2]である。
(実施例1)
PES(住友ケムテック社製スミカエクセル(登録商標)4800P)19.0重量部、BASF社製PVP(コリドン(登録商標)K30)3.0重量部、三菱化学社製NMP35.1重量部、三井化学社製TEG42.9重量部を70℃で3時間にわたって混合、溶解し均一な溶液を得た。さらに、70℃で常圧−700mmHgまで減圧した後、溶媒等が揮発して溶液組成が変化しないようにすぐに系内を密封して2時間放置脱泡を行い、この溶液を製膜原液とした。一方、NMP35.1重量部、TEG42.9重量部、RO水22.0重量部の混合液を調製し、この溶液を芯液とした。二重管ノズルの環状部から上記製膜原液を、中心部から上記芯液を吐出し、20mmのエアギャップを経て、NMP13.5重量部、TEG16.5重量部、RO水70.0重量部の混合液からなる外部凝固液を満たした凝固浴に導いた。この際、ノズル温度は65℃、外部凝固液温度は55℃に設定した。凝固浴内から中空糸膜を引き出し、10m/minの紡速で巻き取った。凝固浴内では径50mmの円筒状ガイドを3個使用して中空糸膜の進行方向を徐々に変え、凝固浴から引き出した。凝固浴内における中空糸膜の浸漬深さは最大で800mm、凝固浴内での中空糸膜の走行距離は2000mmであった。中空糸膜は、内径が約1200μm、膜厚が約340μmになるよう、製膜原液、芯液の吐出量を制御した。
中空糸膜束は、80℃のRO水に60min浸漬して加熱処理を行った。その後、60℃で10hにわたり熱風乾燥を実施し、内径1180μm、膜厚330μmの中空糸膜(A)を得た。上記の方法で内表面、外表面、断面(膜厚方向に8分割した視野についてそれぞれ)のSEM観察を行い、画像解析を実施して各部位における空孔率と孔径を求めた。内表面、外表面、断面全体のSEM写真はそれぞれ図1、図2、図3に、空孔率、孔径の測定結果は表1に示した。表中、ISとは中空糸膜の内表面、OSとは中空糸膜の外表面、CS1、CS2、CS3、CS4、CS5、CS6、CS7、CS8とは中空糸膜の断面を内表面から外表面方向に8等分したときの各部分(内表面方向から順に1〜8)を意味する。内表面および外表面に緻密層が存在し、内表面における孔径(0.05μm)が外表面における孔径(0.12μm)よりも小さく、開孔率、孔径がCS3において極大(58%、1.34μm)となっていることがわかる。
中空糸膜(A)の内表面における孔径の分布と、径0.02μm、0.05μm、0.08μm、0.11μm、0.23μmのポリスチレンラテックスの除去率を同時にプロットしたものを図4に示した。各粒径におけるポリスチレンラテックスの除去率から、中空糸膜(A)の排除限界粒子径(φmax)は0.08μmと判断できる。中空糸膜(A)の内表面において、φmaxを超える孔径の存在割合DR[%]は、7.6%であった。φmaxの値と、DRの値は表2にも示した。
さらに、上記の方法で測定、算出した中空糸膜(A)のdBmax(バブルポイントによって得られる最大孔径)、純水Flux、中空糸膜全体におけるPVPの含量、内表面におけるPVPの含量、外表面におけるPVPの含量を表2に示した。表中、dBmaxとはiPAで測定したバブルポイントから算出される最大孔径、Caとは中空糸膜全体におけるPVPの含量、Ciとは中空糸膜内表面におけるPVP含量、Coとは中空糸膜外表面におけるPVP含量を意味する。dBmax(0.20μm)は(1/10000)×純水Flux(0.115)と(1/4000)×純水Flux(0.2875)の間に収まっていることがわかる。また、Ca(1.8wt%)、Ci(29wt%)、Co(24wt%)は、1≦Ca≦10かつ、Ca≦Ciかつ、Ca≦Coかつ、Co≦Ciの関係にあることがわかる。
中空糸膜(A)で作製したモジュールにより、上記の方法でワインFluxを測定した。結果は表3に示した。表中、WineFlux1―30とは新たなモジュールで30minのワイン濾過(クロスフロー濾過)を実施した時点で測定したワインFlux、WineFlux1―120とはさらにワイン濾過を継続し、120min経過時点で測定したワインFlux、WineFlux2−30とは120minのワイン濾過後、中空糸膜の外側から内腔方向に60℃の温水を2barの圧力で10minにわたって逆濾過して洗浄を実施したモジュールを使用し、ワイン濾過を30min実施した時点でのワインFlux、保持率とはWineFlux1−30に対するWineFlux1−120の値を百分率で示した値、回復率とはWineFlux1−30に対するWineFlux2−30の値を百分率で示した値をそれぞれ意味する。また、WineFlux1−120測定時、濾液として得られたワインの濁度を測定した。結果は表3に濾液濁度として示した。
(実施例2)
PSf(アモコ社製P−3500)18.5重量部、BASF社製PVP(コリドン(登録商標)K30)3.5重量部、三菱化学社製NMP35.1重量部、三井化学社製TEG42.9重量部を70℃で3時間にわたって混合、溶解し均一な溶液を得た。さらに、70℃で常圧−700mmHgまで減圧した後、溶媒等が揮発して溶液組成が変化しないようにすぐに系内を密封して2時間放置脱泡を行い、この溶液を製膜原液とした。一方、NMP35.1重量部、TEG42.9重量部、RO水22.0重量部の混合液を調製し、この溶液を芯液とした。二重管ノズルの環状部から上記製膜原液を、中心部から上記芯液を吐出し、20mmのエアギャップを経て、NMP13.5重量部、TEG16.5重量部、RO水70.0重量部の混合液からなる外部凝固液を満たした凝固浴に導いた。この際、ノズル温度は63℃、外部凝固液温度は55℃に設定した。凝固浴内から中空糸膜を引き出し、10m/minの紡速で巻き取った。凝固浴内では径50mmの円筒状ガイドを3個使用して中空糸膜の進行方向を徐々に変え、凝固浴から引き出した。凝固浴内における中空糸膜の浸漬深さは最大で800mm、凝固浴内での中空糸膜の走行距離は2000mmであった。中空糸膜は、内径が約1200μm、膜厚が約340μmになるよう、製膜原液、芯液の吐出量を制御した。
中空糸膜束は、80℃のRO水に60min浸漬して加熱処理を行った。その後、60℃で10hにわたり熱風乾燥を実施し、内径1160μm、膜厚320μmの中空糸膜(B)を得た。上記の方法で内表面、外表面、断面(膜厚方向に8分割した視野についてそれぞれ)のSEM観察を行い、画像解析を実施して各部位における空孔率と孔径を求めた。ISを中空糸膜の内表面、OSを中空糸膜の外表面、CS1、CS2、CS3、CS4、CS5、CS6、CS7、CS8を中空糸膜の断面を内表面から外表面方向に8等分したときの各部分としたとき、中空糸膜(B)は内外両表面に緻密層が存在し、その構造を示す数値は次のとおりであった。また、実施例1と同様に中空糸膜(B)の内表面における孔径の分布と、φmax、DRを求めた。結果は表2に示した。
ISでの孔径 :0.04μm
ISでの空孔率 :8%
OSでの孔径 :0.05μm
OSでの空孔率 :11%
断面において空孔率が極大となる部位:CS3
CS3での孔径 :2.31μm
CS3での空孔率 :59%
さらに、実施例1と同様に測定した中空糸膜(B)のdBmax、純水Flux、Ca、Ci、Coを表2に示した。dBmaxは(1/10000)×純水Flux(0.124)と(1/4000)×純水Flux(0.310)の間に収まっていることがわかる。また、Ca、Ci、Coは、1≦Ca≦10かつ、Ca≦Ciかつ、Ca≦Coかつ、Co≦Ciの関係にあることがわかる。
中空糸膜(B)で作製したモジュールにより、実施例1と同様にワインFluxを測定した。結果は表3に示した。
(比較例1)
市販のポリエチレン製精密濾過膜(以下PE-MF膜と呼称する)を使用し、実施例1と同様にSEMで構造を観察した。IS、OS、断面全体のSEM写真をそれぞれ図5、図6、図7に示した。図7の断面像から均質の対称膜であり、膜壁部分での空孔率の極大部位は見られないことがわかる。PE−MF膜の構造を示す数値は次のとおりであった。また、実施例1と同様にPE−MF膜のdBmax、純水Flux、内表面における孔径の分布、φmax、DRを求めた。結果は表2に示した。さらに、PE-MF膜で作製したモジュールにより、実施例1と同様にワインFluxを測定した。結果は表3に示した。
ISでの孔径 :0.22μm
ISでの空孔率 :31%
OSでの孔径 :0.22μm
OSでの空孔率 :29%
断面において空孔率が極大となる部位:なし
(比較例2)
市販のポリフッ化ビニリデン製精密濾過膜(以下PVDF-MF膜と呼称する)を使用し、実施例1と同様にSEMで構造を観察した。IS、OS、断面全体のSEM写真をそれぞれ図8、図9、図10に示した。図10の断面像から均質の対称膜であり、膜壁部分での空孔率の極大部位は見られないことがわかる。PVDF−MF膜の構造を示す数値は次のとおりであった。また、実施例1と同様にPE−MF膜のdBmax、純水Flux、内表面における孔径の分布、φmax、DRを求めた。結果は表2に示した。さらに、PVDF-MF膜で作製したモジュールにより、実施例1と同様にワインFluxを測定した。結果は表3に示した。
ISでの孔径 :0.31μm
ISでの空孔率 :35%
OSでの孔径 :0.18μm
OSでの空孔率 :25%
断面において空孔率が極大となる部位:なし
(比較例3)
PES(住友ケムテック社製スミカエクセル(登録商標)4800P)17.5重量部、BASF社製PVP(コリドン(登録商標)K90)4.5重量部、DMAc75.0重量部、RO水3.0重量部を50℃で2時間にわたって混合、溶解し均一な溶液を得た。さらに、50℃で常圧−700mmHgまで減圧した後、溶媒等が揮発して溶液組成が変化しないようにすぐに系内を密封して2時間放置脱泡を行い、この溶液を製膜原液とした。一方、DMAc40.0重量部、RO水60.0重量部の混合液を調製し、この溶液を芯液とした。二重管ノズルの環状部から上記製膜原液を、中心部から上記芯液を吐出し、450mmのエアギャップを経て、DMAc20.0重量部、RO水80.0重量部の混合液からなる外部凝固液を満たした凝固浴に導いた。この際、ノズル温度は65℃、外部凝固液温度は60℃に設定した。凝固浴内から中空糸膜を引き出し、75m/minの紡速で巻き取った。凝固浴内では径12mmの棒状ガイドを1個使用して中空糸膜の進行方向を変え、凝固浴から引き出した。凝固浴内における中空糸膜の浸漬深さは最大で200mm、凝固浴内での中空糸膜の走行距離は600mmであった。中空糸膜は、内径が約200μm、膜厚が約30μmになるよう、製膜原液、芯液の吐出量を制御した。
得られた中空糸膜は、エンボス加工されたポリエチレン製のフィルムを巻きつけた後27cmの長さに切断して中空糸膜束とした。この中空糸膜束を80℃のRO水に30min浸漬する操作を4回繰り返し、加熱・洗浄処理を行った。得られた湿潤中空糸膜束を600rpm×5minの遠心脱液処理し、オーブン内に反射板を設置し均一加熱ができるような構造を持つマイクロ波発生装置によりマイクロ波を照射すると同時に前記乾燥装置内を7kPaに減圧し60minの乾燥処理を行った。マイクロ波の出力は初期1.5kWから20minごとに0.5kWずつ低下させた。この乾燥処理により、内径195μm、膜厚29μmの中空糸膜(C)を得た。
中空糸膜(C)を使用し、実施例1と同様にSEMで構造を観察した。構造としては、ISにのみ緻密層を有し、内表面から外表面の方向に向かって空孔率が増大する非対称膜であった。中空糸膜(C)の構造を示す数値は次のとおりであった。また、実施例1と同様に中空糸膜の内表面におけるφmaxの測定を試みたが、ポリスチレンラテックスでの測定では0.02μm未満であり、正確な測定は不可能であった。このため、DRの算出も不可能であった。dBmaxの測定においては、バブルポイントに達する前に糸が破壊されてしまい、測定できなかった。純水Flux、純水Flux、Ca、Ci、Coについては実施例1と同様に測定し、結果は表2に示した。さらに、中空糸膜(C)で作製したモジュールにより、実施例1と同様にワインFluxを測定した。結果は表3に示した。
ISでの孔径 :0.01μm
ISでの空孔率 :8%
OSでの孔径 :0.53μm
OSでの空孔率 :15%
断面において空孔率が極大となる部位:なし
ワイン透過率の測定結果から明らかになったように本発明の高分子多孔質中空糸膜は、ワインFluxの保持率、回復率が高く、膜特性の保持性、回復性に優れていることがわかる。また、濾液として得られたワインの濁度も低く、濾過成分の優れた透過性と、保持成分(非濾過成分)の除去、すなわち優れた分画特性が同時に実現されている。本発明の特徴である特定の構成、膜構造がこれらの優れた特性の発揮に寄与していると考えられる。
本発明の高分子多孔質中空糸膜は、上水膜、飲料処理膜、血液処理膜など種々の水性流体処理膜として適用可能であり、分画特性、透過性に優れ、またこれらの特性の経時的な低下の抑制、洗浄による膜特性の回復性が実現されているという利点を有し、産業界に寄与することが大である。
実施例1で得られた中空糸膜(A)の内表面の電子顕微鏡写真(10000倍)である。 実施例1で得られた中空糸膜(A)の外表面の電子顕微鏡写真(10000倍)である。 実施例1で得られた中空糸膜(A)の断面の電子顕微鏡写真(200倍)である。 実施例1で得られた中空糸膜(A)の内表面における細孔分布と、中空糸膜(A) のポリスチレンラテックス除去率を示した図である。 比較例1のPE−MF膜の内表面の電子顕微鏡写真(1000倍)である。 比較例1のPE−MF膜の外表面の電子顕微鏡写真(1000倍)である。 比較例1のPE−MF膜の断面の電子顕微鏡写真(150倍)である。 比較例2のPVDF−MF膜の内表面の電子顕微鏡写真(1000倍)である。 比較例2のPVDF−MF膜の外表面の電子顕微鏡写真(1000倍)である。 比較例2のPVDF−MF膜の断面の電子顕微鏡写真(150倍)である。

Claims (7)

  1. 疎水性高分子と親水性高分子を含んでなる高分子多孔質中空糸膜であって、
    (a)内表面および外表面に緻密層を有し、
    (b)内表面における孔径が外表面における孔径よりも小さく、
    (c)内表面から外表面に向かって当初空孔率が増大し、少なくともひとつの極大部を通過後、再び外表面側で空孔率が減少し、
    (d)微粒子の通過試験によって得られる排除限界粒子径をφmax[μm]、内表面の孔径をdIS[μm]、φmaxを超えるdISの存在割合をDR[%]としたとき、2[%]≦DR≦20[%]である
    ことを特徴とする高分子多孔質中空糸膜。
  2. 中空糸膜の内表面をIS、中空糸膜の断面での空孔率極大部をCSmaxとし、各部位の孔径をそれぞれdIS、dCSmax、各部位の空孔率をpIS、pCSmaxとしたとき、
    (a)0.001[μm]≦dIS≦1[μm] かつ
    (b)0.1[μm]≦dCSmax≦10[μm] かつ
    (c)5[%]≦pIS≦30[%] かつ
    (d)40[%]≦pCSmax≦80[%]
    である請求項1記載の高分子多孔質中空糸膜。
  3. 中空糸膜の内表面をIS、中空糸膜の外表面をOS、中空糸膜の断面を内表面から外表面方向に8等分したときの各部分を内表面方向から順にCS1、CS2、CS3、CS4、CS5、CS6、CS7、CS8とし、各部位の孔径をそれぞれdIS、dOS、dCS1、dCS2、dCS3、dCS4、dCS5、dCS6、dCS7、dCS8、各部位の空孔率をpIS、pOS、pCS1、pCS2、pCS3、pCS4、pCS5、pCS6、pCS7、pCS8としたとき、
    (a)dIS≦dCS1<dCS2≦dCS3≧dCS4>dCS5>dCS6>dCS7>dCS8≧dOS かつ
    (b)pIS<pCS1≦pCS2<pCS3>pCS4≧pCS5≧pCS6≧pCS7≧pCS8>pOS
    である請求項1または2記載の高分子多孔質中空糸膜。
  4. バブルポイントによって得られる最大孔径をdBmax[μm]、25℃における純水の透過性をF[L/(h・m2・bar)]としたとき、
    (a)(1/10000)・F≦dBmax≦(1/4000)・F かつ
    (b)0.05[μm]≦dBmax≦1[μm]
    であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の高分子多孔質中空糸膜。
  5. 中空糸膜全体における親水性高分子の含量をCa[重量%]、内表面における親水性高分子の含量をCi[重量%]、外表面における親水性高分子の含量をCo[重量%]としたとき、
    (a) 1[重量%]≦Ca≦10[重量%] かつ
    (b) Ca≦CiかつCa≦Co かつ
    (c) Co≦Ci
    であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の高分子多孔質中空糸膜。
  6. 疎水性高分子がポリスルホン系高分子であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の高分子多孔質中空糸膜。
  7. 親水性高分子がポリビニルピロリドンであることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の高分子多孔質中空糸膜。
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