JP2007277896A - 防護柵とその施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロープ材の取付作業が容易な防護柵を提供する。
【解決手段】間隔を置いて支柱3を立設し、これら支柱3間に上下に間隔をおいてロープ材4を架設し、ロープ材4の途中を、支柱3に設けた係合部71に係合する。この係合部71は、上下の係合部材72,72と、これら上下の係合部材72,72により形成されロープ材4を長さ交差方向から挿入可能な挿入受け部73と、この挿入受け部73を開閉するボルト76とを備える。開いた状態の挿入受け部73に、ロープ材4を長さ方向と交差する方向から挿入することができ、ロープ材4の先端を孔などに挿通する必要がなく、ロープ材4の途中を中間の支柱3に簡便に係合することができる。したがって、ロープ材4の両端側の取付作業も容易に行うことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、山腹の斜面部等に構築し、積雪や落石等を受け止めて道路等への落下、流入を防止する防護柵に関する。
従来から山腹の斜面部等に構築して落石や積雪等を受け止めて道路等への落下、流入を防止する防護柵が知られており、例えば、所定の間隔で支柱を設け、各支柱の間に水平ロープ材を水平方向のスライドを許容した状態で係留し、水平ロープ材の両端は固定し、各支柱間を水平ロープ材に掛止させたワイヤ製のネットで遮蔽し、前記水平ロープ材の途上にロープ材を重合させて形成した余長部と、余長部を一定の力で挟持する挟持具とにより、水平ロープ材に設定張力以上の張力が作用したとき、水平ロープ材が一定の摩擦力を保持したまま余長部が伸長して張力を吸収する緩衝部を形成した衝撃吸収柵(例えば特許文献1)や、基礎上に間隔を置いて支柱を立設し、これら支柱間に防護用網体を張設した防護柵(例えば特許文献2)などが提案されている。
上記衝撃吸収柵では、支柱はH鋼等の剛性部材で構成され、その上下部に水平ロープ材を係止するための孔が開設されている。
また、上記防護柵では、ロープ材の端末は緩衝具により端末パイプ支柱に揺動可能に連結され、その緩衝具は、ロープ材を所定の摩擦力で把持する一対の把持体を備え、両把持体をボルトナットなどの締付手段により締め付け固定し、また、中間パイプ支柱の外周前側には、ロープ材が係合する係合部たる孔を設けている。
特公平7−18134号公報 特開2004−19369号公報(0031段及び0032段)
上記衝撃吸収柵では、支柱間において、水平ロープ材に緩衝部を形成するため、その緩衝部を形成した後では、水平ロープ材を支柱の孔に挿通することができず、現場での水平ロープ材の取付作業が煩雑となり、また、同様に、上記防護柵では、ロープ材の末端を緩衝具により把持し、その緩衝具を端末ロープ支柱に連結する構造であるため、緩衝具によりロープ材を把持した後では、ロープ材を中間パイプ支柱の係合部たる孔に挿通することができず、現場でロープ材を孔に挿通する作業が煩雑であった。また、ロープ材を孔に挿通した後、ボルトナットなどの締付手段を用いて緩衝具の把持体によりロープ材の端部を締め付けるため、ロープ材を中間パイプ支柱の孔に挿入した後では、把持体の取付作業も煩雑となり、さらに、ロープ材毎にその締付力にバラツキを生じると、落石等の衝撃吸収効果に低下を招く虞もある。
さらに、上記衝撃吸収柵及び防護柵は、何れも、ロープ材の途中を中間の支柱に孔などに挿通するものであるため、落石や雪崩等の衝撃がロープ材に加わると、孔に当る部分でロープ材に集中した力が加わり、この部分からロープ材が損傷し易いという問題があった。
そこで、本発明は、ロープ材の取付作業が容易な防護柵を提供することを目的とし、加えて、支柱との係合部分におけるロープ材への力の集中を防止できる防護柵を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、間隔を置いて支柱を立設し、これら支柱間に上下に間隔をおいてロープ材を架設し、前記ロープ材の途中を、前記支柱に設けた係合部に係合した防護柵において、前記係合部は、上下の係合部材と、これら上下の係合部材により形成され前記ロープ材を長さ交差方向から挿入可能な挿入受け部と、この挿入受け部を開閉する開閉手段とを備えるものである。
また、請求項2の発明は、前記ロープ材の両端側を緩衝具により摺動可能に把持すると共に、前記両端側の緩衝具を前記支柱に取り付けたものである。
また、請求項3の発明は、前記上下の係合部材の前記挿入受け部側は湾曲状に形成されているものである。
また、請求項4の発明は、前記係合部材は鋼材からなり、その先端は、挿入受け部に挿入した前記ロープ材より外側に位置するものである。
請求項5の発明は、間隔を置いて支柱を立設し、これら支柱間に上下に間隔をおいてロープ材を架設し、前記ロープ材の途中を、前記支柱に設けた係合部に係合し、前記ロープ材の両端側を、前記支柱に設ける緩衝具により摺動可能に把持する防護柵の施工方法において、前記ロープ材の両端部を前記緩衝具により把持した後、前記緩衝具を支柱に設けると共に、前記ロープ材の途中を前記係合部に係合する方法である。
また、請求項6の発明は、前記係合部に、前記ロープ材を長さ交差方向から挿入する方法である。
請求項1の構成によれば、開いた状態の挿入受け部に、ロープ材を長さ方向と交差する方向から挿入することができるため、ロープ材の先端を孔などに挿通する必要がなく、ロープ材の途中を中間の支柱に簡便に係合することができる。したがって、ロープ材の両端側の取付作業も容易に行うことができる。
また、請求項2の構成によれば、支柱に取り付ける前に、ロープ材の両端側に緩衝具を取り付けることができるため、工場や現場の平らな地面などの作業に適した場所で緩衝具を取り付けることができ、作業性が向上する。特に、締付力などの調整・設定が必要な緩衝具を用いた防護柵においては、ロープ材の取付作業性を向上できる。
また、請求項3の構成によれば、落石や雪崩等の衝撃がロープ材に加わっても、ロープ材は係合部材の湾曲状の部分に当接するため、係合部において、ロープ材に応力が集中することを抑制できる。
また、請求項4の構成によれば、支柱の係合部に落石などが衝突しても、落石がロープ材に直接衝突することがない。
請求項5の構成によれば、支柱に取り付ける前に、ロープ材の両端側に緩衝具を取り付けることができるため、工場や現場の平らな地面などの作業に適した場所で緩衝具を取り付けることができ、ロープ材の取付作業性が向上する。
また、請求項6の構成によれば、ロープ材の途中を中間の支柱に簡便に係合することができる。
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる防護柵を採用することにより、従来にない防護柵とその施工方法が得られ、その防護柵とその施工方法を夫々記述する。
以下、本発明の防護柵の実施例について図1〜図16を参照して説明する。防護柵1は、両側に配置する端末パイプ支柱(端末支柱)2の間に複数の中間パイプ支柱(中間支柱)3を間隔をおいて並設し、これらパイプ支柱2,3に、上下に間隔おいて、横方向のロープ材4を多段に架設すると共に、防護用網体として金属線材で編成した金網5を前側に張設し、例えば、それら支柱2,3は山腹の斜面Sに穿設した縦孔S1に建て込まれる。尚、金網5はロープ材4の前に張設される。また、前記ロープ材4にはワイヤーロープなどが用いられる。この例では、端末パイプ支柱2,2の間に2本の中間パイプ支柱3,3を配置している。尚、本実施形態では、1つのユニットとして支柱2,3,3,2を備えた防護柵1を用いて説明するが、支柱2の両側に支柱3,3…を設けて連続的に防護柵を形成することもできる。
前記端末パイプ支柱2と中間パイプ支柱3は、斜面S1などに建て込まれ、建て込んだ端末パイプ支柱2と中間パイプ支柱3は、連結杆6によって相互に連結される。これら端末パイプ支柱2と中間パイプ支柱3及び連結杆6は、断面形状が円形の鋼管によって形成されている。このような中空構造の端末パイプ支柱2と中間パイプ支柱3は、内設する補強体8によって補強される。なお、図5及び図6に示すように、補強体8は端末パイプ支柱2と中間パイプ支柱3より短く形成され、縦孔S1に埋設される部分にほぼ対応して端末パイプ支柱2と中間パイプ支柱3の下部に嵌挿されている。この補強体8は多角形状に形成されている。本実施例においては、前記補強体8は、板材からなる3枚の補強リブ111,111,111をほぼ正三角形に配置し、補強リブ111,111,111の頂点111S,111S,111Sに帯状鋼板112,112,112を溶着してなる。また、前記帯状鋼板112の幅Wは、前記補強リブ111の厚さの2倍以上である。また、補強体8の帯状鋼板112,112,112は、前記鋼管110の内面と僅かな隙間を介して挿通可能に取付けられている。そして、製造時には、補強体8を組立てた後、鋼管110の一側開口から該補強体8を挿入配置し、溶接棒などが届く開口側で補強体8を鋼管110の内面に溶着固定した後、内部に無収縮モルタル11を充填する。また、前記鋼管110内には、補強体8の2つの頂点の間に位置して、3本の鉄筋10,10,10を鋼管110の内面に接して固定している。尚、前記鉄筋10は前記補強体8とほぼ同一長さに設けられている。そして、前記断面三角形の補強体8の2つの頂点111S及び前記鉄筋10を、前記パイプ支柱2,3の引張領域側に設けている。すなわち、防護柵1が前面に落石等を受けると、下部を中心に支柱2,3を倒す力が加わるから、支柱2,3の断面前側が引張領域となる。
本発明では、前記連結杆6は断面円形をなし、連結杆6は、好ましくは鋼管の内部にコンクリートや無収縮モルタル11を充填した充填鋼管が用いら、その連結杆6の端部を端末パイプ支柱2及び中間パイプ支柱3に、回動連結機構12,13により、前後方向及び上下方向回動可能に連結している。
まず、図8〜図9を参照して、中間パイプ支柱3に設ける前記回動連結機構13について説明すると、この回動連結機構13は、中間パイプ支柱3の上部に回動可能に外嵌する支柱キャップ14と、前記連結杆6の端部を挿入連結する連結外筒部15と、前記支柱キャップ14と連結外筒部15とを上下方向回動可能に連結する回動連結部16,16Aとを備える。
前記連結外筒部15は、支柱側を閉塞端部151により閉塞し、反支柱側の開口側の半円筒部152を着脱可能に設け、、連結外筒部15に連結杆6の端部6Aを挿入し、連結外筒部15に前記反円筒部152を締め付けることにより、連結外筒部15に対して連結杆6が締め付け固定される。
前記回動連結部16Aは、前記支柱キャップ14と連結外筒部15とを回動可能に連結するボルトなどからなる横方向の枢軸17を備える。
したがって、中間パイプ支柱3に対して、両側の連結外筒部15は、枢軸17を中心に上下方向に回動し、支柱キャップ14を中心に前後方向に回動可能になっている。
次に、前記回動連結機構12は、図8及び図9に示すように、端末パイプ支柱2に支柱キャップ14が平面回動可能に連結され、この端末パイプ支柱2に対して、連結外筒部15は、枢軸17を中心に上下方向に回動し、支柱キャップ14を中心に前後方向に回動可能になっている。
尚、連結外筒部18への連結杆6の端部の挿入量を調整することにより、支柱2,2,3間の間隔に連結杆6を合わせて調整することができる。
さらに、図8〜図10に示すように、端末パイプ支柱2の外周前側には、ロープ材4の端末を連結するための取付部21が上下多段に設けられ、この取付部21には横長形状の孔22が形成されている。そして、ロープ材4の端末は緩衝具23により端末パイプ支柱2に揺動可能に連結される。
図9〜図12に示すように、前記緩衝具23は、前記ロープ材4を収容する箱体31と箱体31に収容したロープ材4を押圧する複数個の突起部32を有する押圧具33及び箱体31と押圧具33とを締結する締結具39により構成され、この締結具39はボルト39A、ワッシャ39B、ナット39Cを備える。前記箱体31は、図11及び図12に示すように、緩衝具23をUボルト55等を用いて支柱2,3に取り付ける為の取付穴34、ロープ材4を圧装する把持溝35、この把持溝35にロープ材4を案内する案内溝36、押圧具33の複数個の突起部32を逃がすための凹部形状の逃げ部37、押圧具33を押し付けるためのボルト39Aを通す穴を有する。箱体31のボルト装入側には、ボルト39Aの回り止めの役目を持たせた回り止め突起38が設けられている。押圧具33は、板又はブロックの片面に複数個の突起部32を設け、ロープ材4を箱体1に押しつける。前記突起部32は、ロープ材4の長手方向に複数配置されている。押圧具33の突起部32は、ロープ材4を押し付ける際、作用力の方向がロープ材4の中心へ向かうよう押圧面32Aが半円形状に設定されており、箱体31の把持溝35の形状とあいまってロープ材4の素線が溝の外へはみ出さない様になっている。尚、前記箱体31と押圧具33とにより、ロープ材4を把持する把持体を構成している。
そして、箱体31の把持溝35に、ロープ材4の途上を収容し、押圧具33の突起部32の押圧面32Aをロープ材4の上に載せ、押し付け力を出すために箱体裏側よりボルト39Aを通し、押圧具33に連通し、ワッシャ39B、ナット39Cを介して締め付ける。この時、ボルト39Aの頭は回り止め突起38に当たり、共回りは避けられる。また、ロープ材4は案内溝36のラッパ状部に案内され、さらに、押圧具33の突起部32の半円形状の押圧面32Aによりロープ材4は溝の中心部へ押し込まれていく。ロープ材4の把持力は、押圧具33を押し付けるナット39Bの締め付け力により決められる。また、Uボルト40の途中を前記取付穴34,34に挿通し、両端部40T,40Tにナット41,41を螺合する。
このような緩衝具23を備えた防護柵において、落石や走行車両の衝突等の要因により、ロープ材4に衝撃力が作用すると、この衝撃力は、ロープ材4に張力として作用し、さらにこの張力は、緩衝具23に伝達される。ロープ材4は、押圧具33の突起部32の押圧面32Aと箱体31の把持溝35との間の摩擦抵抗により把持されている。従って、ロープ材4に作用する張力が、前記設定摩擦力以下の場合は、ロープ材4は摺動することはない。ロープ材4に作用する張力が設定摩擦力を越えると、ロープ材4が摺動を開始して、摺動摩擦抵抗により衝撃エネルギーが効果的に減衰される。
そして、上記緩衝具23では、図12に示したように、締結具39を締め付けて箱体31と押圧具33によりロープ材4を所定の摩擦抵抗で把持した状態で、前記箱体上面31Aと押圧具33の下面33Aとの間には隙間Kがあり、また、前記突起部32の押圧面32Aと把持溝35の上端35Aとの間には隙間があり、すなわち、前記把持状態でさらに締め付けることが可能な締付代を有する。したがって、この例では、締結具39の締付力を調整することにより、前記摩擦抵抗を設定できる緩衝具23を用いている。
尚、図9及び図10などに示すように、ロープ材4の端部には、前記緩衝具23に係止可能なストッパ42が設けられており、このストッパ42は、ロープ材4を締め付けた箱体31と押圧具33に係止する。
また、前記支柱2,3,3,2間には、ロープ材4に加わる衝撃エネルギーを分散する分散維持装置51が複数設けられ、この例では、図1及び図9などに示すように、支柱2,3,3,2間にそれぞれ分散維持装置51が設けられている。この分散位置装置51は,図13などに示すように、縦方向の連結部材52を有し、この連結部材52はフラットバーなどからなり、各ロープ材4に対応して、Uボルト挿通孔53,53,53,53が上下に並んで形成され、上下に並んだ挿通孔53,53,53,53に対応して連結部材52には受座54,54が設けられている。そして、この受座54と挿通孔53にUボルト55の端部を挿通し、該端部にナット56を螺合して受座54とUボルト55との間にロープ材4を挟着する。また、前記連結部材52の上部には、透孔52A,52Bが上下に間隔を置いて穿設されている。
前記分散位置装置51は、図14に示すように、吊下げ部材57により前記連結杆6に吊下げ状態で連結され、その吊下げ部材57は、前記連結杆6に外装する外リング58を備える。この外リング58の開口から鍔縁部59,59を前方略水平に突設し、これら鍔縁部59,59にボルト挿通孔59A,59Aを穿設する。前記縁鍔部59,59間には、略L型の連結プレート60の水平辺部61が挿入され、この水平辺61には前記ボルト挿通孔60に対応して、前後方向に長い長孔62を穿設し、水平辺部61を挟んだ状態で、ボルト挿通孔59A及び長孔62にボルト63を挿通し、ナット63Aを締めることにより、連結杆6に外リング58を固定すると共に、外リング58に連結プレート60を固定する。この場合、長孔62により連結プレート60の前後位置を調整できる。さらに、その連結プレート60の垂直辺部61Sには上下方向に長い長孔65が穿設されており、前記垂直辺部61Sの後面側から、ボルト66を前記長孔65に挿通すると共に、前記前記連結部材52の透孔52Bに挿通し、前記ボルト66にナット66Aを螺合することにより、連結部材52を連結杆6に吊下げ固定する。また、前記金網5を固定するために金網固定板67を用い、この金網固定板67は、上下に透孔68,68Aを備える。そして、前記ナット66Aから前方の突出したボルト66部分を、金網5に挿通すると共に前記透孔68Aに挿通し、挿通したボルト66部分にナット66Bを螺合し、また、前記連結部材52上部の透孔52Aにボルト69を挿通し、このボルト69を金網5と金網固定板67の透孔68とに挿通し、ナット69Aを螺合することにより、連結部材52の上部と金網固定板67との間に金網5を挟着固定する。
次に、本願発明の特徴構成の一つである中間パイプ支柱3の係合部71について詳述する。図1及び図2に示すように、係合部71は、前記ロープ材4に対応して、中間パイプ支柱3の鋼管110の前側に多段に設けられ、上下対をなす係合部材72,72を前方の突出して設け、これら係合部材72,72は断面が円形の丸棒などからなり、この丸棒は鋼製などであって、中間パイプ支柱3の鋼管110の外周に溶着されており、それら上下の係合部材72,72の間に、前記ロープ材4を側方から挿入可能な挿入受け部73が形成されている。そして、挿入受け部73側は係合部材72,72の円筒形の外周面72G,72Gが位置している。また、上の係合部材72の先端上部に切欠き段部74を形成すると共に、下の係合部材72の先端下部に切欠き段部74を形成し、上下の切欠き段部74,74の対応する位置で係合部材72,72に透孔75,75を穿設し、開閉手段たるボルト76を前記透孔75,75に挿通し、そのボルト76にナット77,77Aを螺合することにより、前記挿入受け部73を閉めることができ、逆に、ナット77,77Aを外してボルト76を抜くことにより、挿入受け部73を開くことができる。
したがって、上述したように締結具39の締付力の必要な緩衝具23を使用する場合、工場や現場の平坦な場所で、ロープ材4を支柱2,3に取り付ける前に、緩衝具23の箱体31と押圧具33とによりロープ材4を把持することができ、その摩擦力の設定を容易に行うことができる。このようにロープ材4の両端を箱体31と押圧具33とにより把持した後、Uボルト40を孔22に挿通し、そのUボルト40に箱体31と押圧具33とを取り付けて、端末パイプ支柱2,2にロープ材4の端部側と取り付け、ロープ材4の途中は、中間パイプ支柱3の挿入受け部73に、該ロープ材4を側方から挿入し、この後、ボルト76とナット77,77Aにより挿入受け部73を閉めることにより、ロープ材4を多段に設けることができる。尚、図8に示したように、端末パイプ支柱2の取付部21の孔22には、緩衝具23のUボルト55を両側に連結することができ、図1中、左側の端末パイプ支柱2の右側に中間パイプ支柱3を設けることができる。
尚、図中81はロープ材4に金網5を取り付ける取付部材であり、この取付部材81にはコイルが用いられ、このコイルに横ロープ材4を挿通し、コイルを回転して金網5に係止している。
また、前記支柱2,3の上部前側には、取付部82が設けられ、この取付部82の孔に、控えロープ材83を把持した緩衝具23のUボルト40が連結され、前記控えロープ材83の先端は、前方の斜面Sにロックポルト84により連結されている。
このように本実施例では、請求項1に対応して、間隔を置いて支柱2,3,3,2を立設し、これら支柱間2,3,3,2に上下に間隔をおいてロープ材4,4を架設し、ロープ材4の途中を、支柱3,3に設けた係合部71に係合した防護柵において、係合部71は、上下の係合部材72,72と、これら上下の係合部材72,72により形成されロープ材4を長さ交差方向から挿入可能な挿入受け部73と、この挿入受け部73を開閉する開閉手段たるボルト76とを備えるから、開いた状態の挿入受け部73に、ロープ材4を長さ方向と交差する方向から挿入することができ、ロープ材4の先端を孔などに挿通する必要がなく、ロープ材4の途中を中間の支柱3,3に簡便に係合することができる。したがって、ロープ材4の両端側の取付作業も容易に行うことができる。
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、ロープ材4の両端側を緩衝具23により摺動可能に把持すると共に、両端側の緩衝具23,23を支柱2,2に取り付けたから、端末の支柱2,2に取り付ける前に、ロープ材4の両端側に緩衝具23,23を取り付けることができるため、工場や現場の平らな地面などの作業に適した場所で緩衝具23を取り付けることができ、作業性が向上する。特に、締付力などの調整・設定が必要な緩衝具23を用いた防護柵においては、ロープ材4の取付作業性を向上できる。
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、上下の係合部材72,72の挿入受け部73側である外周面72G,72Gは湾曲状に形成されているから、落石や雪崩等の衝撃がロープ材4に加わっても、ロープ材4は係合部材72,72の湾曲状の部分である外周面72G,72Gに当接するため、係合部71において、ロープ材4に応力が集中することを抑制できる。
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、係合部材72,72は鋼材からなり、その先端は、挿入受け部73に挿入したロープ材4より外側に位置するから、支柱3の係合部71に落石などが衝突しても、落石がロープ材4に直接衝突することがない。
また、このように本実施例では、請求項5に対応して、間隔を置いて支柱2,3,3,2を立設し、これら支柱2,3,3,2間に上下に間隔をおいてロープ材4,4を架設し、ロープ材4の途中を、支柱3に設けた係合部71に係合し、ロープ材4の両端側を、支柱2,2に設ける緩衝具23,23により摺動可能に把持する防護柵の施工方法において、ロープ材4の両端部を緩衝具23の把持体たる箱体31及び押圧具33により把持した後、緩衝具23を支柱2に設けると共に、ロープ材4の途中を係合部71に係合するから、端末の支柱2に取り付ける前に、ロープ材4の両端側に緩衝具23を取り付けることができるため、工場や現場の平らな地面などの作業に適した場所で緩衝具23を取り付けることができ、ロープ材4の取付作業性が向上する。
また、このように本実施例では、請求項6に対応して、係合部71に、ロープ材4を長さ交差方向から挿入するから、ロープ材4の途中を中間の支柱に簡便に係合することができる。
また、実施例上の効果として、端末の支柱2には、緩衝具23,23を両側に連結可能な孔22を設けたから、片側のみに緩衝具23を連結する端末支柱2(図1の右側)と、両側に緩衝具23,23を連結する両端の端末支柱2(図1の左側)とのパイプ部分を同一構造として兼用することができる。
また、各支柱2,3,3,2の上部を連結杆6で連結することによって、各支柱2,3,3,2の連結強度を高めることができ、さらに、隣合う支柱2,3又は支柱3,3とこれらを連結する連結杆6からなる門形構造において、支柱2,3,3,2の間に連結杆6を設けることにより、門形構造の強度が向上するから、支柱2,3,3,2間隔を広く設定することができ、支柱2,3,3,2の植設作業が容易となる。また、門形構造による強度向上により、支柱2,3の直径寸法を抑えることができ、コンクリート基礎7も小型で済む。このように、新設・既設のいずれの場合においても、支柱2,3に関わる施工を簡略化することができる。
また、連結杆6の端部6Aを支柱2,3に前後方向回動可能で且つ上下方向回動可能に連結する回動連結機構12,13を備えるから、各支柱2,3に対して連結杆6が前後方向及び上下方向に回動可能に連結されているので、各支柱2,3と連結杆6の連結部分で防護柵1に加わる落石あるいは雪崩など加わる衝撃を吸収して支柱2,3の損壊を抑制することができる。
また、連結杆6が内部に充填材たる無収縮モルタル11を充填した充填鋼管であり、回動連結機構12,13は、6連結杆の端部6Aを挿入連結する連結外筒部15を有するから、連結杆6に充填鋼管を用いることにより、優れた変形性能が得られ、衝撃吸収能力が向上し、また、回動連結機構12,13は連結外筒部15を有するから、この連結外筒部15を支柱2,3に回動可能に連結し、この連結外筒部15に連結杆6の端部を挿入して連結したり、連結外筒部18に連結杆6の端部を挿入配置してから連結外筒部15を支柱2,3に連結すればよく、支柱2,3への連結杆6の連結作業を容易に行うことができる。
また、支柱2,3は、断面円形の鋼管110の内部にセメントを混合した充填材たる無収縮モルタル11を充填した充填鋼管であり、鋼管110の内部に、断面三角形の補強体8を内接して設けると共に、補強体8の2つの頂点を鋼管110の引張領域側に配置し、鋼管110の内部に、長さ方向の鉄筋10を複数設けると共に、これら複数の鉄筋10を鋼管110の引張領域側に設けたから、鋼管110内部の補強体8により、断面において内部のセメント混合物が拘束され、圧縮応力が向上し、引張領域側に補強体8の2つ頂点を連結するリブ111があるため、これが曲げにより生じる引張力に抗して引張領域側の引張応力が向上し、荷重に対する応力を効果的に向上することができる。また、鋼管110内部の引張領域側に設けた鉄筋10が、曲げにより生じる引張力に抗して引張領域側の引張応力が向上し、荷重に対する応力を向上することができ、複数の引張領域側の鉄筋10はセメント混合材に密着して設けるものであって、プレストレスを導入する鋼材に比べて安価なもので済み、対費用効果に優れたものとなる。
また、実施例上の効果として、各パイプ支柱2,3は、地中に建て込まれる部分が内設する補強体8及び鉄筋10によって補強され、かつ、各パイプ支柱2,3の内部にモルタル11を充填することによって、各パイプ支柱2,3の剛性及び強度も向上する。また、各パイプ支柱2,3に内設した三角形状の補強体8は、その一側面が各パイプ支柱2,3列の並び方向と平行に向くから、コンクリートなどの基礎7に建て込まれるので、防護壁1に落石あるいは雪崩などの衝撃が加わった際、各パイプ支柱2,3の曲げ応力及び剪断応力を高めることができる。この結果、各パイプ支柱2,3の剛性及び強度が一層、向上する。これと共に、各パイプ支柱2,3の上端部を連結杆6によって相互に連結することによって、各パイプ支柱2,3の連結強度も向上する。しかも、各パイプ支柱2,3を相互に連結するための連結杆6の内部にもモルタル11が充填され、防護壁1に衝撃が加わっても、容易に折れ曲がることもない。また、各パイプ支柱2,3と、これを連結する連結杆6とは回動連結機構12,13によって結合することによって、各パイプ支柱2,3と連結杆6とは溶接などのよって剛的に固定されていないので、各パイプ支柱2,3と連結杆6の回動連結機構12,13で防護壁1が受ける衝撃を、吸収することができる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、開閉手段は、実施例で示したボルト以外でも、蓋状のものなど各種のものを用いることができる。また、緩衝具は、摺動可能に把持するものであれば、各種のものを用いることができる。さらに、充填材はモルタル以外にも各種のものを用いることができるが、そのモルタルやコンクリートなどセメントを混合してセメント系の充填材を用いることが好ましい。
本発明の実施例を示す係合部の図面であり、図1(A)は側面図、図1(B)は平面図である。 同上、係合部の正面図である。 同上、防護柵の正面図である。 同上、平面図である。 同上、側面図である。 同上、端末支柱の要部の側面図である。 同上、中間支柱の要部の側面図である。 同上、端末支柱の断面図である。 同上、防護柵の要部の正面図である。 同上、防護柵の要部の平面図である。 同上、緩衝具の要部の図面であり、図11(A)は正面図、図11(B)は側面図である。 同上、緩衝具の要部の断面図である。 同上、分散維持装置の図面であり、図13(A)は側面図、図13(B)は正面図である。 同上、分散維持装置の要部の断面図である。 同上、分散維持装置の外リングを示し、図15(A)は側面図、図15(B)は平面図である。 同上、分散維持装置の連結プレートを示し、図16(A)は側面図、図15(B)は平面図である。
符号の説明
1 防護柵
2 端末パイプ支柱(端末支柱)
3 中間パイプ支柱(中間支柱)
4 ロープ材
5 金網
23 緩衝具
71 係合部
72 係合部材
72G 外周面
73 挿入受け部
76 ボルト(開閉部材)

Claims (6)

  1. 間隔を置いて支柱を立設し、これら支柱間に上下に間隔をおいてロープ材を架設し、前記ロープ材の途中を、前記支柱に設けた係合部に係合した防護柵において、前記係合部は、上下の係合部材と、これら上下の係合部材により形成され前記ロープ材を長さ交差方向から挿入可能な挿入受け部と、この挿入受け部を開閉する開閉手段とを備えることを特徴とする防護柵。
  2. 前記ロープ材の両端側を緩衝具により摺動可能に把持すると共に、前記両端側の緩衝具を前記支柱に取り付けたことを特徴とする請求項1記載の防護柵。
  3. 前記上下の係合部材の前記挿入受け部側は湾曲状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の防護柵。
  4. 前記係合部材は鋼材からなり、その先端は、挿入受け部に挿入した前記ロープ材より外側に位置することを特徴とする請求項3記載の防護柵。
  5. 間隔を置いて支柱を立設し、これら支柱間に上下に間隔をおいてロープ材を架設し、前記ロープ材の途中を、前記支柱に設けた係合部に係合し、前記ロープ材の両端側を、前記支柱に設ける緩衝具により摺動可能に把持する防護柵の施工方法において、前記ロープ材の両端部を前記緩衝具により把持した後、前記緩衝具を支柱に設けると共に、前記ロープ材の途中を前記係合部に係合することを特徴とする防護柵の施工方法。
  6. 前記係合部に、前記ロープ材を長さ交差方向から挿入することを特徴とする請求項5記載の防護柵の施工方法。

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