JP2007276231A - 片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルム、片面銅張り積層板 - Google Patents

片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルム、片面銅張り積層板 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、加熱時の発泡を抑制した片面に熱融着性を有する多層のポリイミドフィルムを提供することである。
【解決手段】 本発明の片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムは、耐熱性ポリイミド層(S1層)の両面に熱融着性ポリイミド層(S3層)を有し、熱融着性ポリイミド層の片面に熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)が積層されている片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムであり、
熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)は、テトラカルボン酸二無水物成分と、特定のジアミンを0.5〜30モル%含むジアミンとから得られるポリイミドであることを特徴とする片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品の素材として用いられる片面のみに熱融着性を有する多層ポリイミドフィルム、それらの片面金属箔積層板であり、さらに詳しくは耐熱性ポリイミド層の両面に熱融着性ポリイミド層を有しさらに片面に熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層が積層されてなる少なくとも4層構造を有する片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルム、該ポリイミドフィルムを用いた片面金属箔積層板に関するものである。
本発明によれば、電子部品の実装工程で装置に張り付くことが実質的になく成形加工性が良好なオールポリイミドの片面銅張板を与える熱融着性を有する多層ポリイミドフィルムおよび片面銅張り積層板を得ることができる。
カメラ、パソコン、液晶ディスプレイなどの電子機器類への用途として芳香族ポリイミドフィルムは広く使用されている。
芳香族ポリイミドフィルムをフレキシブルプリント板(FPC)やテープ・オートメイティッド・ボンディング(TAB)などの基板材料として使用するためには、エポキシ樹脂などの接着剤を用いて銅箔を張り合わせる方法が採用されている。
片面に熱融着性を有する多層のポリイミドフィルムとしては、特許文献1に、厚みが4〜45μmの耐熱性ポリイミド層(S1層)の両面に厚みが略等しい熱融着性ポリイミド層を有し、片面の熱融着性ポリイミド層の厚みと他面の熱融着性ポリイミド層の厚みとの合計が3〜10μmであり、該熱融着性ポリイミド層の片面に厚みが0.1〜2μmの熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)が積層されてなる片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムが開示されている。
特開2004−230670号公報
従来の片面に熱融着性を有する多層のポリイミドフィルムでは、熱融着性ポリイミド層の片面に厚みが0.1〜2μmの熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層として耐熱性に優れるが、透水性の低いポリイミド素材が用いられている。そのため耐熱性ポリイミド層や熱融着性ポリイミド層に溶媒や水分が存在すると、加熱時に熱融着性ポリイミド層と熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層との間で発泡する場合があり、電気基板の生産性を低下させる場合がある。
本発明は、上記の改善を試み、加熱時の発泡を抑制した片面に熱融着性を有する多層のポリイミドフィルムを提供することである。
本発明の片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムは、耐熱性ポリイミド層(S1層)の両面に熱融着性ポリイミド層(S3層)を有し、熱融着性ポリイミド層の片面に熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)が積層されている片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムであり、
熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)は、テトラカルボン酸二無水物成分と、下記一般式(1)で表されるジアミンを0.5〜30モル%含むジアミンとから得られるポリイミドであることを特徴とする片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルム。
Figure 2007276231
(式中、Aは直接結合あるいは架橋基であり、R〜Rは水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基を表し、RおよびRの少なくとも1つは水素原子ではなく、RおよびRの少なくとも1つは水素原子ではない。)。
本発明の片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムの好ましい態様を示し、これらは複数組み合わせることが出来る。
1)一般式(1)のジアミンは、一般式(2)に示すジアミンであること、さらに好ましくはp−フェニレンジアミンを含むこと。
Figure 2007276231
(式中、Aは直接結合あるいは架橋基であり、R〜Rは水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基を表し、RおよびRの少なくとも1つは水素原子ではなく、RおよびRの少なくとも1つは水素原子ではない。)
2)熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)は、相対透湿速度が4以上であること。
3)熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)のテトラカルボン酸二無水物成分は一般式(3)に示すテトラカルボン酸二無水物であること。
Figure 2007276231
(但し、一般式(3)中、Xは、一般式(4)からなる群から選択された2価の基を示す。)。
Figure 2007276231
本発明の片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムは、耐熱性ポリイミド層(S1層)の両面に熱融着性ポリイミド層(S3層)を有し、熱融着性ポリイミド層の片面に熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)が積層されている片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムであり、
熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)は、相対透湿速度が4以上の熱融着性を有しない耐熱性ポリイミドであることを特徴とする片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムである。
本発明の片面金属箔積層板は、上記の本発明の片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムと金属箔とが、熱融着性を有するポリイミド層を介して熱圧着によって積層されている片面金属箔積層板である。
本発明により、加熱時の発泡を抑制した片面に熱融着性を有する多層のポリイミドフィルムを提供することができる。
片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムでは、耐熱性ポリイミド層(S1層)、熱融着性ポリイミド層(S3層)或いは熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)に含まれる水や残留する溶媒などが加熱することによりガス状になる場合がある。発生するガスは、S2層に透湿速度の遅いポリイミドを用いるとS2層側より抜け出すことが容易にできず、S3層とS2層との間、或いはS3層とS1層との間で滞留する場合があるために発泡が起きると推測できる。そのため透湿速度の高い耐熱性ポリイミドを用いることにより、発生するガスが容易にS2層側より抜け出すことができ、S3層とS2層との間、或いはS3層とS1層との間でガスの滞留を抑制することができ、その結果発泡を抑制することができると考える。
本発明の片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムのカールを調整する方法としては、公知のどのような方法を用いてもよいが、一例として、
1)片面の熱融着性ポリイミド層と他面の熱融着性ポリイミド層の厚みをかえること、
2)片面に熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)の厚みをかえること、
さらに上記1)と2)とを組み合わせること、などをあげることができる。
耐熱性ポリイミド層(S1層)は、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品の素材として用いることができるベースフィルムを構成する耐熱性ポリイミドを用いることが好ましい。
耐熱性ポリイミド層(S1層)の耐熱性ポリイミドとしては、以下の特徴を少なくとも1つ有するポリイミドを用いることができる。(これらの特徴は任意の特徴を複数組み合わせることが出来る。)
1)単独のポリイミドフィルムの場合にガラス転移温度が200℃以上、さらに好ましくは300℃以上か確認不可能であるもの、
2)、特に線膨張係数(50〜200℃)(MD)が5×10−6〜20×10−6cm/cm/℃であるもの、
3)引張弾性率(MD、ASTM−D882)は300kg/mm以上であるもの、
4)非熱可塑性ポリイミド、などをあげることができる。
耐熱性ポリイミド層(S1層)の耐熱性ポリイミドとしては、
(1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物及び1,4−ヒドロキノンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物より選ばれる成分を少なくとも1種含む酸成分、好ましくはこれらの酸成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む酸成分と、
(2)ジアミン成分としてp−フェニレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルエーテル、m−トリジン及び4,4’−ジアミノベンズアニリドより選ばれる成分を少なくとも1種含むジアミン、好ましくはこれらのジアミン成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むジアミン成分とから得られるポリイミドなどを用いることができる。
耐熱性ポリイミド層(S1層)を構成する酸成分とジアミン成分との組合せの一例としては、
1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、p−フェニレンジアミン或いはp−フェニレンジアミン及び4,4−ジアミノジフェニルエ−テル、
2)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びピロメリット酸二無水物と、p−フェニレンジアミン或いはp−フェニレンジアミン及び4,4−ジアミノジフェニルエ−テル、
3)ピロメリット酸二無水物と、p−フェニレンジアミン及び4,4−ジアミノジフェニルエ−テル、
4)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとを主成分(合計100モル%中の50モル%以上)として得られるものが、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品の素材として用いられ、広い温度範囲にわたって優れた機械的特性を有し、長期耐熱性を有し、耐加水分解性に優れ、熱分解開始温度が高く、加熱収縮率と線膨張係数が小さい、難燃性に優れるために好ましい。
耐熱性ポリイミド層(S1層)の耐熱性ポリイミドを得ることができる酸成分として、上記に示す酸成分の他に本発明の特性を損なわない範囲で、
2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス[(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、などの酸ニ無水物成分を用いることができる。
耐熱性ポリイミド層(S1層)の耐熱性ポリイミドを得ることができるジアミン成分として、上記に示すジアミン成分の他に本発明の特性を損なわない範囲で、
m−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、などのジアミン成分を用いることができる。
熱融着性ポリイミド層(S3層)は、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品の素材として用いることができる公知の熱融着性(熱圧着性)を有するポリイミドを用いることができる。
熱融着性ポリイミド層(S3層)の熱融着性(熱圧着性)を有するポリイミドとしては、金属箔と熱融着(熱圧着)することができるポリイミドを用いることができ、好ましくは150℃〜400℃、さらに好ましくは200〜400℃、より好ましくは250〜400℃の温度で熱融着(熱圧着)できる熱可塑性ポリイミドなどのポリイミドを用いることができる。
熱融着性ポリイミド層(S3層)の熱融着性ポリイミドは、
(1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物及び1,4−ヒドロキノンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物などの酸ニ無水物より選ばれる成分を少なくとも1種含む酸成分、好ましくはこれらの酸成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む酸成分と、
(2)ジアミン成分としては、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンなどのジアミンより選ばれる成分を少なくとも1種含むジアミン、好ましくはこれらのジアミン成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むジアミン成分とから得られるポリイミドなどを用いることができる。
熱融着性ポリイミド層(S3層)のポリイミドを得ることができる酸成分とジアミン成分との組合せの一例としては、
(1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の酸ニ無水物より選ばれる成分を少なくとも1種含む酸成分、好ましくはこれらの酸成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む酸成分と、
(2)ジアミン成分としては、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンなどのジアミンより選ばれる成分を少なくとも1種含むジアミン、好ましくはこれらのジアミン成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むジアミン成分とから得られるポリイミドなどを用いることができる。
熱融着性ポリイミド層(S3層)のポリイミドを得ることができるジアミン成分として、上記に示すジアミン成分の他に本発明の特性を損なわない範囲で、
m−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、などのジアミン成分を用いることができる。
熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)の熱融着性を有しない耐熱性ポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物成分、好ましくは、下記一般式(3)で示すテトラカルボン酸二無水物より選ばれる少なくとも1種以上の成分、さらに好ましくは3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物成分と、下記一般式(1)で表されるジアミン、好ましくは下記一般式(2)で表されるジアミンから選ばれるジアミンを少なくとも1種以上を、0.5〜30モル%、好ましくは1〜29モル%、さらに好ましくは2〜28モル%、特に好ましくは7〜25モル%含むジアミン、とから得られるポリイミド、好ましくは相対透湿速度が4以上、さらに5以上、特に5〜40のポリイミドが好ましい。ポリイミドの相対透湿速度は上限値はなくてもよいが、好ましくは50以下であり、さらに好ましくは40以下である。
Figure 2007276231
Figure 2007276231
(式1及び式2中、Aは直接結合あるいは架橋基であり、R〜Rは水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基を表し、RおよびRの少なくとも1つは水素原子ではなく、RおよびRの少なくとも1つは水素原子ではない。)
一般式(1)及び一般式(2)中の架橋基Aとしては、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、カルボニル基、スルホキシル基、スルホン基、1,1’−エチリデン基、1,2−エチリデン基、2,2’−イソプロピリデン基、2,2’−ヘキサフルオロイソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基、フェニレン基、1,3−フェニレンジメチレン基、1,4−フェニレンジメチレン基、1,3−フェニレンジエチリデン基、1,4−フェニレンジエチリデン基、1,3−フェニレンジプロピリデン基、1,4−フェニレンジプロピリデン基、1,3−フェニレンジオキシ基、1,4−フェニレンジオキシ基、ビフェニレンジオキシ基、メチレンジフェノキシ基、エチリデンジフェノキシ基、プロピリデンジフェノキシ基、ヘキサフルオロプロピリデンジフェノキシ基、オキシジフェノキシ基、チオジフェノキシ基、スルホンジフェノキシ基などを挙げる事が出来、架橋基を介することなく直接結合していても良い。
一般式(1)及び一般式(2)中のR〜Rは、
1)R〜Rの全てが、炭素数1〜6の炭化水素基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基を表す場合、
2)Rが水素で、R〜Rの全てが、炭素数1〜6の炭化水素基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基を表す場合、
3)RとRのどちから一方が水素で他方が炭素数1〜6の炭化水素基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基を表し、RとRのどちから一方が水素で他方が炭素数1〜6の炭化水素基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基を表す場合、
4)RとRのどちから一方が水素で他方が炭素数1〜6の炭化水素基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基を表し、RとRのどちから一方が水素で他方が炭素数1〜6の炭化水素基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基を表す場合、
5)R〜Rの全てが水素で、Rが炭素数1〜6の炭化水素基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基を表す場合、をあげることができる。
一般式(1)及び一般式(2)中のR〜Rの具体的な例としては、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基等の炭化水素基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、カルボキシル基、カルボメトキシ基、カルボエトキシ基、カルボプロポキシ基、カルボブトキシ基等のカルボアルコキシ基等をあげることができる。R〜Rは全て同じでもよく、それぞれ独立に異なっていてもよい。
一般式(1)及び一般式(2)で表される芳香族ジアミンの具体的な例としては、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−メチレン−ビス(2−メチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2−エチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2−イソプロピルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4−メチレン−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、o−トリジンスルホンなどを挙げることができ、これらは単独で又は2種以上用いることができる。
熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)のポリイミドを得ることができるジアミン成分として、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジメチルアニリン)を用いると、片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムの透明性に優れるために、好適に用いることができる。
熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)のテトラカルボン酸二無水物成分は、一般式(3)に示すテトラカルボン酸二無水物から選ばれる成分を少なくとも1種以上を含むテトラカルボン酸二無水物を用いることができ、テトラカルボン酸二無水物100モル%中、一般式(3)に示すテトラカルボン酸二無水物を好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含むことにより、本発明の特性を損なわないポリイミドを得ることができる。

Figure 2007276231
(但し、一般式(3)中、Xは、一般式(4)からなる群から選択された2価の基を示す。)。
Figure 2007276231
一般式(3)に示すテトラカルボン酸二無水物としては、具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、などを挙げる事ができる。
熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)の熱融着性を有しない耐熱性ポリイミドを得ることができるテトラカルボン酸二無水物成分としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びピロメリット酸二無水物より選ばれる成分を少なくとも1種含む酸成分、好ましくはこれらの酸成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む酸成分を用いることが本発明の特性に好ましく、他のテトラカルボン酸二無水物を本発明の特性を損なわない範囲で含むことができる。
熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)の熱融着性を有しない耐熱性ポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物成分として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むテトラカルボン酸二無水物成分と、下記一般式(1)で表されるジアミン、好ましくは下記一般式(2)で表されるジアミンを0.5〜30モル%含むジアミンと、p−フェニレンジアミンとを含むジアミン成分から得られるポリイミドが、耐熱性に優れ、発泡の抑制に優れているために好ましい。
特に熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)の熱融着性を有しない耐熱性ポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物成分として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むテトラカルボン酸二無水物成分と、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジメチルアニリン)0.5〜30モル%、好ましくは2〜28モル%、さらに好ましくは6〜25モル%と、p−フェニレンジアミンとを含むジアミン成分から得られるポリイミドが、さらに透明性に優れるために好ましい。
熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)の熱融着性を有しない耐熱性ポリイミドは、上記一般式(1)、好ましくは上記一般式(2)で示されるジアミン、上記一般式(3)で示される酸成分のほかに、耐熱性ポリイミド層(S2層)の特性を損なわない範囲で公知のジアミンや酸成分を用いることができ、特にジアミンとしてはベンゼン環が1つ又は2つの芳香族ジアミンが好ましく用いることができる。
本発明の片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムは、耐熱性ポリイミド層(S1層)の両面に熱融着性ポリイミド層(S3層)を有し、熱融着性ポリイミド層の片面に熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)が積層されている片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムであり、
熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)は、透湿速度が4以上、さらに5以上、特に5〜40の熱融着性を有しない耐熱性ポリイミドであることを特徴とする片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムである。ポリイミドの透湿速度は上限値はなくてもよいが、好ましくは50以下であり、さらに好ましくは40以下である。
片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムにおいて、耐熱性ポリイミド層(S1層)、熱融着性ポリイミド層(S3層)及び熱融着性ポリイミド層の片面に熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)の厚みは使用する目的に応じて適宜選択すればよいが、例えば厚みが4〜100μmの耐熱性ポリイミド層(S1層)の両面に厚みが略等しい熱融着性ポリイミド層を有し、片面の熱融着性ポリイミド層の厚みと他面の熱融着性ポリイミド層の厚みとの合計が3〜10μmであり、熱融着性ポリイミド層の片面に厚みが0.1〜2μmの熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)が積層されている片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムが好ましい。
耐熱性ポリイミド層(S1層)のポリイミド、熱融着性ポリイミド層(S3層)のポリイミド及び熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)のポリイミドは、公知の方法で合成することができ、ランダム重合、ブロック重合、或いはあらかじめ複数のポリイミド前駆体溶液或いはポリイミド溶液を合成しておき、その複数の溶液を混合後反応条件下で混合して均一溶液とする、いずれの方法によっても達成される。
耐熱性ポリイミド層(S1層)のポリイミド、熱融着性ポリイミド層(S3層)のポリイミド及び熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)のポリイミドは、酸成分とジアミン成分とを、有機溶媒中、約100℃以下、さらに80℃以下、さらに0〜60℃の温度で、特に20〜60℃の温度で、約0.2〜60時間反応させてポリイミド前駆体の溶液とし、このポリイミド前駆体溶液をドープ液として使用し、そのドープ液の薄膜を形成し、その薄膜から溶媒を蒸発させ除去すると共にポリイミド前駆体をイミド化することにより製造することができる。またポリイミド前駆体溶液に、イミド化反応触媒として各種塩基性化合物を添加することも好適に行われる。
また溶解性に優れるポリイミドでは、ポリイミド前駆体溶液を150〜250℃に加熱するか、またはイミド化剤を添加して150℃以下、特に15〜50℃の温度で反応させて、イミド環化した後溶媒を蒸発させる、もしくは貧溶媒中に析出させて粉末とした後、該粉末を有機溶液に溶解してポリイミドの有機溶媒溶液を得ることができる。
ポリイミド前駆体溶液の重合反応を実施するに際して、有機極性溶媒中の全モノマ−の濃度は、使用する目的や製造する目的に応じて適宜選択すればよく、例えば耐熱性ポリイミド層(S1層)および熱融着性ポリイミド層(S3層)のポリイミド前駆体溶液は、有機極性溶媒中の全モノマ−の濃度が、好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは6〜35質量%、特に好ましくは10〜30質量%であることが好ましく、
耐熱性ポリイミド層(S2層)のポリイミド前駆体溶液は、有機極性溶媒中の全モノマ−の濃度が1〜15質量%、特に2〜8質量%となる割合であることが好ましい。
ポリイミド前駆体溶液の重合反応を実施するに際して、溶液粘度は、使用する目的(塗布、流延など)や製造する目的に応じて適宜選択すればよく、ポリアミック(ポリイミド前駆体)酸溶液は、30℃で測定した回転粘度が、約0.1〜5000ポイズ、特に0.5〜2000ポイズ、さらに好ましくは1〜2000ポイズ程度のものであることが、このポリアミック酸溶液を取り扱う作業性の面から好ましい。したがって、前記の重合反応は、生成するポリアミック酸が上記のような粘度を示す程度にまで実施することが望ましい。
熱融着性ポリイミド層(S3層)及び/又は耐熱性ポリイミド層(S2層)は、上記の方法でポリイミド前駆体溶液を製造し、それに新たに有機溶媒を加え、希釈して用いることができる。
耐熱性ポリイミド層(S1層)のポリイミド、熱融着性ポリイミド層(S3層)のポリイミド及び熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)のポリイミドは、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物の略等モル量、ジアミン成分が少し過剰な量或いは酸成分が少し過剰な量を、有機溶媒中で反応させてポリイミド前駆体の溶液(均一な溶液状態が保たれていれば一部がイミド化されていてもよい)を得ることができる。
耐熱性ポリイミド層(S1層)のポリイミド、熱融着性ポリイミド層(S3層)のポリイミド及び熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)のポリイミドは、アミン末端を封止するためにジカルボン酸無水物、例えば、無水フタル酸およびその置換体、ヘキサヒドロ無水フタル酸およびその置換体、無水コハク酸およびその置換体など、特に、無水フタル酸を添加して合成することができる。
耐熱性ポリイミド層(S1層)のポリイミド、熱融着性ポリイミド層(S3層)のポリイミド及び熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)のポリイミドは、有機溶媒中、ジアミン(アミノ基のモル数として)の使用量が酸無水物の全モル数(テトラ酸二無水物とジカルボン酸無水物の酸無水物基としての総モルとして)に対する比として、0.95〜1.05、特に0.98〜1.02、そのなかでも特に0.99〜1.01であることが好ましい。ジカルボン酸無水物を使用する場合の使用量はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基モル量に対する比として、0.05以下であるような割合の各成分を反応させることができる。
ポリイミド前駆体のゲル化を制限する目的でリン系安定剤、例えば亜リン酸トリフェニル、リン酸トリフェニル等をポリアミック酸重合時に固形分(ポリマー)濃度に対して0.01〜1%の範囲で添加することができる。
また、イミド化促進の目的で、ドープ液中に塩基性有機化合物を添加することができる。例えば、イミダゾール、2−イミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、イソキノリン、置換ピリジンなどをポリアミック酸に対して0.05〜10重量%、特に0.1〜2重量%の割合で使用することができる。これらは比較的低温でポリイミドフィルムを形成するため、イミド化が不十分となることを避けるために使用することができる。
また、接着強度の安定化の目的で、熱融着性ポリイミド用ポリアミック酸溶液に有機アルミニウム化合物、無機アルミニウム化合物または有機錫化合物を添加してもよい。例えば水酸化アルミニウム、アルミニウムトリアセチルアセトナートなどをポリアミック酸に対してアルミニウム金属として1ppm以上、特に1〜1000ppmの割合で添加することができる。
ポリアミック酸製造に使用する有機溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチルカプロラクタム、クレゾール類などが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムの製造において、例えば上記の耐熱性ポリイミド(S1層)を与えるポリアミック酸溶液と熱融着性ポリイミド(S3層)を与えるポリアミック酸溶液を三層共押出法によって、耐熱性ポリイミド層(S1層)の厚みが4〜100μmで、両側の熱融着性ポリイミド層(S3層)の厚みの合計が3〜10μmとなるように三層押出し成形用ダイスに供給し、支持体上にキャストしてこれをステンレス鏡面、ベルト面等の支持体面上に流延塗布し、加熱および/または化学イミド化し、必要に応じてさらに100〜200℃で乾燥し、自己支持性フィルムとすることが好ましい。
本発明の片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムの製造において、別な自己支持性フィルムの製造法として、熱融着性ポリイミド(S3層)を与えるポリアミック酸溶液をステンレス鏡面、ベルト面等の支持体面上に流延塗布し、必要に応じて乾燥し、さらにS3層の上面に耐熱性ポリイミド(S1層)を与えるポリアミック酸溶液を流延塗布し、必要に応じて乾燥し、さらにさらにS1層の上面に熱融着性ポリイミド(S3層)を与えるポリアミック酸溶液を流延塗布し、必要に応じて乾燥、例えば100〜200℃の温度で乾燥し、自己支持性フィルムとすることができる。
200℃を越えた高い温度で流延フィルムを処理すると、熱融着性を有するポリイミドフィルムの製造において、接着性の低下などの欠陥を来す傾向にある。
ポリアミック酸溶液をステンレス鏡面、ベルト面等の支持体面上に流延塗布し、乾燥して得られるフィルムで、支持体に接する側を自己支持性フィルムのB面とし、支持体とは反対の空気側と接する側を自己支持性フィルムのA面とする。
次いで自己支持性フィルムを支持体より剥がし、自己支持性フィルムの片面(A面あるいはB面)に、熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)を与える組成のポリアミック酸溶液を該耐熱性ポリイミド層の厚みが0.1〜2μmとなるように、グラビアート法、スクリーン法、浸漬法などの塗布法で均一に塗布して均一に分布させ、その塗布フィルムを好ましくは50〜180℃、特に好ましくは60〜160℃、さらに好ましくは70〜150℃の乾燥温度で、好ましくは0.1〜20分間、特に好ましくは0.2〜15分間乾燥して固化フィルムを形成し、次いで、好ましくは(1)100gf/mm以下、特に好ましくは80gf/mm以下である実質的にフリーの状態ないしは低張力下、好ましくは(2)約80〜250℃、特に好ましくは100〜230℃の乾燥温度で、好ましくは約1〜200分間、特に好ましくは2〜100分間乾燥して、前記有機溶媒および生成水分が約5〜25重量%、特に10〜23重量%の割合で含有されている固化フィルムを形成することが望ましい。
熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)を与える組成のポリアミック酸溶液は、自己支持性フィルムのB面に塗布することが、非融着性保持のために好ましい。
剥離された自己支持性フィルムは、その加熱減量が20〜40質量%の範囲にあることが好ましく、イミド化率が8〜40%の範囲にあることが、自己支持性フィルムの力学的性質が十分でない場合、自己支持性フィルムの上面にポリイミド前駆体溶液をきれいに塗布しにくくなる場合、ポリイミド層(S1層)とポリイミド層(S3層)との接着強度が弱くなる場合、イミド化後に得られるポリイミドフィルムに、発泡、亀裂、クレーズ、クラック、ひびワレなどの発生が観察される場合などがあるために、好ましい。
なお、上記の自己支持性フィルムの加熱減量とは、測定対象のフィルムを420℃で20分間乾燥し、乾燥前の重量W1と乾燥後の重量W2とから次式によって求めた値である。
加熱減量(質量%)={(W1−W2)/W1}×100
また、上記の自己支持性フィルムのイミド化率は、特開平9−316199記載のカールフィッシャー水分計を用いる手法で求めることができる。
自己支持性フィルムには、必要であれば、内部または表面層に微細な無機あるいは有機の添加剤を配合することができる。無機の添加剤としては,粒子状あるいは偏平状の無機フィラーを挙げることができる。有機の添加剤としてはポリイミド粒子、熱硬化性樹脂の粒子などを挙げる事ができる。使用量および形状(大きさ,アスペクト比)については、使用目的に応じて選択することが好ましい。
前記溶媒および生成水分が好ましくは約25〜60重量%、特に好ましくは30〜50重量%残存している固化フィルムを乾燥温度に昇温する際には、比較的短時間内に昇温することが好ましく、例えば、10℃/分以上の昇温速度であることが好適である。乾燥する際に固化フィルム状体に対して加えられる張力を増大することによって、最終的に得られるポリイミドフィルムの線膨張係数を小さくすることができる。
そして、前述の乾燥工程に続いて、連続的または断続的に前記固化フィルムの少なくとも一対の両端縁を連続的または断続的に前記フィルムと共に移動可能な固定装置などで固定した状態で、前記の乾燥温度より高く、しかも好ましくは200〜550℃の範囲内、さらに好ましくは300〜500℃の範囲内、特に好ましくは320〜500℃の範囲内の高温度で、好ましくは1〜100分間、特に1〜10分間、前記固化フィルムを乾燥および熱処理して、好ましくは最終的に得られるポリイミドフィルム中の有機溶媒および生成水等からなる揮発物の含有量が1重量%以下になるように、固化フィルムから溶媒などを充分に除去するとともに前記フィルムを構成しているポリマーのイミド化を充分に行って、片面(B面あるいはA面)のみに熱融着性を有する多層ポリイミドフィルムを形成する。
本発明の片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムにおいて、多層の自己支持性フィルムを加熱、乾燥してイミド化を行い、さらに最高加熱温度320〜550℃で熱処理することにより、フィルム全体として充分な機械的性質および熱的性質に優れるフィルムを得ることができる。
前記の固化フィルムの固定装置としては、例えば、多数のピンまたは把持具などを等間隔で備えたベルト状またはチェーン状のものを、連続的または断続的に供給される前記固化フィルムの長手方向の両側縁に沿って一対設置し、そのフィルムの移動と共に連続的または断続的に移動させながら前記フィルムを固定できる装置が好適である。また、前記の固化フィルムの固定装置は、熱処理中のフィルムを幅方向または長手方向に適当な伸び率または収縮率(特に好ましくは0.5〜5%程度の伸縮倍率)で伸縮することができる装置であってもよい。
なお、前記の工程において製造された改質されたポリイミドフィルムを、再び好ましくは400gf/mm以下、特に好ましくは300gf/mm以下の低張力下あるいは無張力下に、100〜400℃の温度で、好ましくは0.1〜30分間熱処理すると、特に寸法安定性が優れた片面(例えばB面)のみに熱融着性を有する多層ポリイミドフィルムとすることができる。また、製造された長尺の片面のみに熱融着性を有する多層ポリイミドフィルムは、適当な公知の方法でロール状に巻き取ることができる。
加熱処理は、熱風炉、赤外線加熱炉などの公知の種々の装置を使用して行うことができる。
自己支持性フィルムの片面にポリイミド前駆体溶液を塗布する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、グラビアコート法、スピンコート法、シルクスクリーン法、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法などの公知の塗布方法を挙げる事が出来できる。
片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムと金属箔とを熱圧着(熱融着することにより、熱融着性を有するポリイミド層を介して熱圧着により、片面に金属箔を積層する片面金属箔積層板を得ることができる。
金属箔(回路用)としては、銅、アルミニウム、金、合金の箔など各種金属箔を用いることができ、好適には圧延銅箔、電解銅箔などの銅箔が好ましい。
金属箔としては、どのような表面粗さでも用いることができるが、表面粗さRzが0.5μm以上であるものが好ましい。また、金属箔の表面粗さRzが7μm以下、特に5μm以下であるものが好ましい。このような金属箔、例えば銅箔はVLP、LP(またはHTE)として知られている。
金属箔の厚さは特に制限はないが、2〜35μm、特に5〜18μmであるものが好ましい。金属箔の厚みが5μm以下のものは、キャリア付き金属箔、例えばアルミニウム箔キャリア付き銅箔が使用できる。
本発明の片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムは、金属箔と熱圧着することにより、片面金属箔積層板を製造することができる。
片面金属箔積層板の製造例として、片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムと金属箔を、少なくとも一対の加圧部材で連続的に、加圧部の温度が熱融着性ポリイミドのガラス転移温度より30℃以上で420℃以下の温度で加熱下に熱圧着して、長尺状の片面金属箔積層板を得ることができる。
前記の加圧部材としては、一対の圧着金属ロール(圧着部は金属製、セラミック溶射金属製のいずれでもよい)、ダブルベルトプレスおよびホットプレスが挙げられ、特に加圧下に熱圧着および冷却できるものであって、そのなかでも特に液圧式のダブルベルトプレスを好適に挙げることができる。
この発明においては、前記の加圧部材、例えば金属ロール、好適にはダブルベルトプレスを使用し、片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムと金属箔と補強材とを重ね合わせて、連続的に加熱下に圧着して、長尺状の片面金属箔積層板を製造することができる。
また、片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムおよび金属箔が、ロール巻きの状態で用いられ、加圧部材にそれぞれ連続的に供給され、片面金属箔積層板をロール巻きの状態で得られる場合に特に好適である。
本発明の片面金属箔積層板は、熱融着性を有する多層ポリイミドフィルムおよび金属箔が強固に、好ましくはは90°剥離強度が1.0kgf/cm以上で積層され、セラミック、耐熱性ポリイミドフィルム、金属などの他の基材と常温だけでなく300℃程度の加熱時においても接着することがなく、例えば他の耐熱性ポリイミドフィルムと300℃程度の温度で加圧下に積層しても90°剥離強度が20gf/cm以下である。
本発明の片面金属箔積層板は、成形加工性が良好で、そのまま穴あけ加工、折り曲げ加工や絞り加工、金属配線形成、配線上への電子回路の熱圧着などを行うことができる。
本発明の片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルム及び本発明の片面金属箔積層板は、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品や電子機器類の素材として用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明する。但し、本発明は実施例により制限されるものでない。
以下の各例において、部は質量部を意味する。
以下の各例において、物性評価および銅箔積層フィルムの剥離強度は以下の方法に従って測定した。
1)フィルムの線膨張係数:50〜200℃、5℃/分の昇温速度で測定(MD)した。
2)積層体の剥離強度:IPC−FC−2413Bに従って、90°剥離強度を測定した。
3)フィルムのHAZE:スガ試験機株式会社製Haze Computer HZ−2を使用して測定した。
4)フィルムの引張弾性率:ASTM・D882に従って測定した。
5)フィルムのガラス転移温度(℃):動的粘弾性測定(昇温速度10℃/分、周波数1Hz)tanδのピーク温度により評価した。
6)片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムの熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)の接着性評価:長さ20cm、幅10cmの片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムの熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)同士を重ね合わせた後、340℃・60MPaも条件で5分間熱圧着した。この熱圧着した試料を長さ20cm、幅1cmの短冊状に切断し、Tピール強度(温度23℃、湿度65%の条件下測定)と、熱圧着後の片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムの表面の失透及び発泡の有無を目視で確認した。なお、熱圧着後のフィルム同士がピール強度を計る前に力を加えなくても剥がれる場合を自然剥離として表した。
7)相対透湿速度:得られたポリイミドフィルムを乾燥窒素雰囲気下で恒量になるまで乾燥させて乾燥時のフィルム重量を測定し、その後、乾燥したポリイミドフィルムを温度27℃、湿度55%RHの雰囲気中下において1時間、重量変化を追跡し、初期の重量増加率(重量変化曲線の傾き)を透湿速度とし、下記条件Aにおける50μmフィルムの透湿速度を1とした相対値を相対透湿速度とした。
[条件A:50μmフィルムの製造法]
反応容器にN、N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を加え、撹拌及び窒素流通下、パラフェニレンジアミン(PPD)を添加し、50℃に保温し完全に溶解させた。この溶液にジアミン成分とジカルボン酸成分とが等モル量となる割合の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を発熱に注意しながら徐々に添加し、添加終了後50℃を保ったまま3時間反応を続けて、モノマ−濃度18質量%のポリイミド前駆体溶液(黄色粘調液体、25℃における溶液粘度は約1000ポイズ)を得た。
ポリイミド前駆体溶液を、ガラス基板上に最終膜厚25μm及び50μmとなるように塗布し、135℃で3分(最終膜厚25μm)又は5分(最終膜厚50μm)加熱して固化フィルムを形成し、ガラス基板から剥離した後、ピンテンタ−に貼り付けて130℃で5分、180℃で5分、210℃で5分、320℃で2分間加熱した後、450℃まで5分で昇温し、450℃に2分保持して熱処理することによりポリイミドフィルムを得た。
(参考例1)耐熱性ポリイミド製造用ドープ(D1)の合成例
攪拌機、窒素導入管を備えた反応容器に、N、N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を加え、さらに、p−フェニレンジアミン(PPD)と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)とを1000:998のモル比でモノマー濃度が18%(重量%、以下同じ)になるように加えた。添加終了後50℃を保ったまま3時間反応を続けた。得られたポリアミック酸溶液は褐色粘調液体であり、25℃における溶液粘度は約1500ポイズであった。この溶液を耐熱性ポリイミド用ドープ(D1)として使用した。
(参考例2)熱融着性ポリイミド製造用ドープ(E1)の合成例
攪拌機、窒素導入管を備えた反応容器に、N、N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を加え、さらに、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、s−BPDA、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンおよびDADEを20:80:50:50のモル比でモノマー濃度が22%になるように、またトリフェニルホスフェートをモノマー重量に対して0.1%加えた。添加終了後25℃を保ったまま1時間反応を続けた。このポリアミック酸溶液は、25℃における溶液粘度が約2000ポイズであった。この溶液を熱融着性ポリイミド用ドープ(E1)として使用した。
(参考例3)熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド塗工液(F1)の合成例
N、N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に、PPDおよびs−BPDAを100:96のモル比でモノマー濃度が18%(重量%、以下同じ)になるように加えてポリアミック酸溶液を得た後、酸/ジアミンが等モルとなるように3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸(s−BPTA)を添加して原液を調合し、N、N−ジメチルアセトアミド(DMAc)で希釈し、モノマー濃度が5%のポリアミック酸溶液を得た。この溶液を塗工用ドープとして使用した。
(参考例4)熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド塗工液(F2)の合成例
DMAcに、PPD、4,4‘−メチレン−ビス(2,6−ジメチルアニリン)およびs−BPDAを95:5:96のモル比でモノマー濃度が18%(重量%、以下同じ)になるように加えてポリアミック酸溶液を得た後、酸/ジアミンが等モルとなるように3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸(s−BPTA)を添加して原液を調合し、DMAcで希釈し、モノマー濃度が5%のポリアミック酸溶液を得た。この溶液を塗工用ドープとして使用した。
(参考例5)熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド塗工液(F3)の合成例
DMAcに、PPD、4,4‘−メチレン−ビス(2,6−ジメチルアニリン)およびs−BPDAを90:10:96のモル比でモノマー濃度が18%(重量%、以下同じ)になるように加えてポリアミック酸溶液を得た後、酸/ジアミンが等モルとなるように3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸(s−BPTA)を添加して原液を調合し、DMAcで希釈し、モノマー濃度が5%のポリアミック酸溶液を得た。この溶液を塗工用ドープとして使用した。
(参考例6)熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド塗工液(F4)の合成例
DMAcに、PPD、4,4‘−メチレン−ビス(2,6−ジメチルアニリン)およびs−BPDAを80:20:96のモル比でモノマー濃度が18%(重量%、以下同じ)になるように加えてポリアミック酸溶液を得た後、酸/ジアミンが等モルとなるように3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸(s−BPTA)を添加して原液を調合し、DMAcで希釈し、モノマー濃度が5%のポリアミック酸溶液を得た。この溶液を塗工用ドープとして使用した。
(実施例1〜8、比較例2〜4)
耐熱性ポリイミド製造用ドープ(D1)と熱融着性ポリイミド製造用ドープ(E1)とを三層押出し成形用ダイス(マルチマニホールド型ダイス)を設けた製膜装置を使用し、三層押出ダイスから金属製支持体上に流延し、130℃の熱風で連続的に乾燥した後剥離して自己支持性フィルムを形成し、この自己支持性フィルムの片面(B面)に熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド塗工液(F1〜F4)を表1に示す条件でグラビアコーターにて塗工し、加熱炉で150℃から450℃まで徐々に昇温して溶媒の除去、イミド化を行い、表1に示す厚み構成の長尺状の片面に熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層が積層された片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムを巻き取りロールに巻き取った。
得られた片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムのポリイミド層(S2層)のHAZE、接着性、失透性、発泡性の評価を行い、結果を表1に示す。
得られた片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムは、線膨張係数(50−200℃)が、MD:18ppm/℃、TD:16ppm/℃、平均:17ppm/℃であり、引張弾性率が700kgf/mmであった。
耐熱性ポリイミド(S1層)のガラス転移温度は400℃以下の温度で確認されず、熱融着層ポリイミド(S3層)はガラス転移温度が242℃であり、ゲル化が実質的に生じていなかった。
(比較例1)
耐熱性ポリイミド製造用ドープ(D1)と熱融着性ポリイミド製造用ドープ(E1)とを三層押出し成形用ダイス(マルチマニホールド型ダイス)を設けた製膜装置を使用し、三層押出ダイスから金属製支持体上に流延し、130℃の熱風で連続的に乾燥した後剥離して自己支持性フィルムを形成し、この自己支持性フィルムの片面(B面)に熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド塗工液を塗工することなく、加熱炉で150℃から450℃まで徐々に昇温して溶媒の除去、イミド化を行い、表1に示す厚み構成を有する長尺状の両面に熱融着層を有するポリイミドフィルムを巻き取りロールに巻き取った。
得られた熱融着性を有するポリイミドフィルムのHAZEの評価を行い、結果を表1に示す。
Figure 2007276231


Claims (7)

  1. 耐熱性ポリイミド層(S1層)の両面に熱融着性ポリイミド層(S3層)を有し、熱融着性ポリイミド層の片面に熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)が積層されている片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムであり、
    熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)は、テトラカルボン酸二無水物成分と、下記一般式(1)で表されるジアミンを0.5〜30モル%含むジアミンとから得られるポリイミドであることを特徴とする片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルム。
    Figure 2007276231
    (式中、Aは直接結合あるいは架橋基であり、R〜Rは水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基を表し、RおよびRの少なくとも1つは水素原子ではなく、RおよびRの少なくとも1つは水素原子ではない。)
  2. 一般式(1)のジアミンは、一般式(2)に示すジアミンであることを特徴とする請求項1に記載の片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルム。
    Figure 2007276231
    (式中、Aは直接結合あるいは架橋基であり、R〜Rは水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基を表し、RおよびRの少なくとも1つは水素原子ではなく、RおよびRの少なくとも1つは水素原子ではない。)
  3. 熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)は、相対透湿速度が4以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルム。
  4. 熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)のジアミン成分は、さらにp−フェニレンジアミンを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルム。
  5. 熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)のテトラカルボン酸二無水物成分は一般式(3)に示すテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルム。
    Figure 2007276231
    (但し、一般式(3)中、Xは、一般式(4)からなる群から選択された2価の基を示す。)。
    Figure 2007276231
  6. 耐熱性ポリイミド層(S1層)の両面に熱融着性ポリイミド層(S3層)を有し、熱融着性ポリイミド層の片面に熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)が積層されている片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムであり、
    熱融着性を有しない耐熱性ポリイミド層(S2層)は、相対透湿速度が4以上の熱融着性を有しない耐熱性ポリイミドであることを特徴とする片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の片面のみに熱融着性を有するポリイミドフィルムと金属箔とが、熱融着性を有するポリイミド層を介して熱圧着によって積層されている片面金属箔積層板。

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