JP4957059B2 - ポリイミドフィルム積層体 - Google Patents
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Description
さらに詳しくは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を必須成分とするテトラカルボン酸二無水物が出発テトラカルボン酸二無水物成分であり、特定の構造を有する芳香族ジアミンを必須成分とするジアミンが出発ジアミン成分であるポリアミック酸溶液組成物を、金属薄膜上に膜状に流延し、溶媒を揮発させるとともにポリアミック酸をイミド化して形成された、芳香族ポリイミド層と金属層とからなるポリイミドフィルム積層体に関するものである。
特にテトラカルボン酸二無水物成分として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を必須成分として用い、ジアミン成分としてパラフェニレンジアミンを必須成分として用いて、これら酸成分とジアミン成分とから得られるポリアミック酸溶液を、金属箔上に膜状に塗布し、溶媒を揮発させるとともにポリアミック酸をイミド化して、ポリイミド層と金属層とが直接積層しているポリイミドフィルム積層体を製造する場合に、製造時の高温工程に発泡剥離が起きる場合があり、この発泡剥離を抑制したポリイミドフィルム積層体を提供することである。
1)一般式(1)のジアミンは、式中のAが直接結合あるいは架橋基であり、R1〜R4が炭素数1〜6の炭化水素基から選ばれる置換基を表していること。
2)ジアミン成分が、パラフェニレンジアミンを含むこと。
3)テトラカルボン酸二無水物成分は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むこと。
4)金属箔を除去した後のポリイミド膜の弾性率が4GPa以上9GPa未満であること。
5)ポリアミック酸溶液がシランカップリング剤を含有していること。
6)金属箔が、銅箔であること。
7)金属箔が、剥離可能なキャリア層を有する厚さ1〜10μmの銅箔であること、さらに好ましくはポリイミドフィルム積層体からキャリア層を剥離することにより得られる厚さ1〜10μmの銅層を有すること。
1)基材が、金属層であること。
特に本発明の第一によれば、テトラカルボン酸二無水物成分として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を主成分として用い、ジアミン成分としてパラフェニレンジアミンを主成分として用いて、これらの酸成分とジアミン成分とから得られるポリアミック酸溶液を、金属箔上に膜状に塗工し、溶媒を揮発させるとともにポリアミック酸をイミド化して、ポリイミド層と金属層とが直接積層しているポリイミドフィルム積層体を製造する場合に、製造時の高温工程における発泡剥離が起きる場合があり、特定の構造を有するジアミン成分を導入することにより、製造時に発泡剥離を抑制することができ、優れた破断強度と、優れた引張り弾性率と、優れたピール強度とを有するポリイミドフィルム積層体を提供することができる。
本発明の第一のポリイミドフィルム積層体は、ポリイミド層が、高い機械的特性を有し、低線膨張係数といった特徴を維持したまま、接着性、透湿速度が改良されており、高温処理工程による接着界面での発泡や剥離が起こりにくい。
本発明の第一のポリイミドフィルム積層体は、表面の接着性並びに透湿速度の向上した積層体を与えることができる。
また本発明の第二の積層体は、ポリイミド層と基材との接着強度が大きく、ポリイミド層の透湿速度が大きく、高温処理工程による接着界面での発泡や剥離が起こりにくい。
金属箔の厚さは実用上あるいは製造上用いられる厚みを有していればよく特に制限はないが、好ましくは0.1μm〜10mm、さらに好ましくは1〜100μm、特に好ましくは2〜18μmが好ましい。
また、これら金属箔に更なる接着力の向上を目的として、その表面にサイディング、ニッケルメッキ、銅−亜鉛合金メッキ、又はアルミニウムアルコラ−ト、アルミニウムキレ−ト、シランカップリング剤、トリアジンチオ−ル類、ベンゾトリアゾ−ル類、アセチレンアルコ−ル類、アセチルアセトン類、カテコ−ル類、o−ベンゾキノン類、タンニン類、キノリノ−ル類などによって化学的あるいは機械的な表面処理を施してもよい。
キャリア付銅箔のキャリア層としては、特に制限はないが、厚さ5μm〜150μmの圧延銅箔や電解銅箔が好ましい。キャリア層は極薄銅箔から容易に力学的に剥離できることが好ましく、剥離強度が0.01〜0.3Kg/cmであることが好ましい。
一般式(1)中の架橋基Aとしては、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、カルボニル基、スルホキシル基、スルホン基、1,1’−エチリデン基、1,2−エチリデン基、2,2’−イソプロピリデン基、2,2’−ヘキサフルオロイソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基、フェニレン基、1,3−フェニレンジメチレン基、1,4−フェニレンジメチレン基、1,3−フェニレンジエチリデン基、1,4−フェニレンジエチリデン基、1,3−フェニレンジプロピリデン基、1,4−フェニレンジプロピリデン基、1,3−フェニレンジオキシ基、1,4−フェニレンジオキシ基、ビフェニレンジオキシ基、メチレンジフェノキシ基、エチリデンジフェノキシ基、プロピリデンジフェノキシ基、ヘキサフルオロプロピリデンジフェノキシ基、オキシジフェノキシ基、チオジフェノキシ基、スルホンジフェノキシ基などを挙げることができるが、架橋基を介することなく直接結合していても良い。
一般式(1)中のR1〜R4は、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基(好ましくは炭素数1、2,3,4、5又は6の炭化水素基)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基(好ましくは炭素数1、2,3,4、5又は6のアルコキシ基)、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基を表し、R1及びR2の少なくとも1つは水素原子ではなく、R3及びR4の少なくとも1つは水素原子ではない。
a)R1〜R4は、炭素数1〜6の炭化水素基(好ましくは炭素数1、2、3、4、5又は6の炭化水素基)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基(好ましくは炭素数1、2、3、4、5又は6のアルコキシ基)、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基の組合せ、
b)R1〜R3は、炭素数1〜6の炭化水素基(好ましくは炭素数1、2、3、4、5又は6の炭化水素基)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基(好ましくは炭素数1、2、3、4、5又は6のアルコキシ基)、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基であり、R4のみが水素原子の組合せ、
c)R1及びR3は、炭素数1〜6の炭化水素基(好ましくは炭素数1、2、3、4、5又は6の炭化水素基)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基(好ましくは炭素数1、2、3、4、5又は6のアルコキシ基)、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基であり、R2及びR4が水素原子の組合せ、
を挙げることができる。
3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、
3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、
3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、
3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、
4,4−メチレン−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)、
3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、などを挙げることができる。
3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、
3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、などを挙げることができる。
一般式(1)で表されるジアミン及び一般式(1)で表されるジアミンを除くジアミンは、単独で、或いは2種以上組み合わせて用いることができる。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を50モル%以上、好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含むテトラカルボン酸二無水物と、一般式(1)のa)で表される4置換−ジアミンを0.5〜30モル%、好ましくは1〜20モル%、さらに好ましくは8〜20モル%と、残りのジアミン成分がp−フェニレンジアミンとからなる組合せにより、高弾性率で透湿速度が高く、しかも接着性が向上し、発泡剥離が抑制されたポリイミドフィルム積層体を得ることができ好適である。
3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどの一般式(1)のa)で表される4置換−ジアミンを、
1)0.5〜30モル%、好ましくは1〜20モル%、さらに好ましくは8〜20モル%含有することにより、線膨張係数が小さく、飽和吸水率が小さく、相対透湿速度が大きく、破断応力、引張弾性率及び破断伸びの優れるポリイミドを得ることが出来、
2)好ましくは6〜30モル%、より好ましくは6〜20モル%、さらに好ましくは8〜17モル%、さらに好ましくは9〜17モル%、特に好ましくは9〜13モル%含有することにより、相対透湿速度が極めて大きく、線膨張係数が小さく、飽和吸水率が小さく、破断応力、引張弾性率及び破断伸びの優れるポリイミドを得ることが出来る。
(a)テトラカルボン酸二無水物と、前記一般式(1)で表される芳香族ジアミンを除くジアミンとを有機溶媒中で重合させたポリアミック酸溶液と、
(b)テトラカルボン酸二無水物と前記一般式(1)で表される芳香族ジアミンを含むジアミンとを有機溶媒中で重合させたポリアミック酸溶液とを混合して、ポリアミック酸中に含まれるジアミン100モル%中、一般式(1)で表される芳香族ジアミンが0.5モル%以上30モル%以下、好ましくは1モル%以上25モル%以下、さらに好ましくは8モル%以上20モル%以下のポリアミック酸溶液を得ることができる。
(c)テトラカルボン酸二無水物と、前記一般式(1)で表される芳香族ジアミンと前記一般式(1)で表される芳香族ジアミンを除くパラフェニレンジアミンなどのジアミンとを有機溶媒中で共重合させたポリアミック酸溶液(ポリアミック酸中に含まれるジアミン100モル%中、一般式(1)で表される芳香族ジアミンが0.5モル%以上30モル%以下、好ましくは1モル%以上25モル%以下、さらに好ましくは8モル%以上20モル%以下)を得ることができる。
(a)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含む酸二無水物と、前記一般式(1)で表される芳香族ジアミンを除くパラフェニレンジアミンなどのジアミン成分とを有機溶媒中で重合させたポリアミック酸溶液と、
(b)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含む酸二無水物と前記一般式(1)で表される芳香族ジアミンを含むジアミン成分とを有機溶媒中で重合させたポリアミック酸溶液とを混合して、ポリアミック酸中に含まれるジアミン100モル%中、一般式(1)で表される芳香族ジアミンが0.5モル%以上30モル%以下、好ましくは1モル%以上25モル%以下、さらに好ましくは8モル%以上20モル%以下のポリアミック酸溶液を得ることができる。
(c)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含む酸二無水物と、前記一般式(1)で表される芳香族ジアミンと前記一般式で表される芳香族ジアミンを除くパラフェニレンジアミンなどのジアミンとを有機溶媒中で共重合させたポリアミック酸溶液(ポリアミック酸中に含まれるジアミン100モル%中、一般式で表される芳香族ジアミンが0.5モル%以上30モル%以下、好ましくは1モル%以上25モル%以下、さらに好ましくは8モル%以上20モル%以下)を得ることができる。
いずれの場合にも、加熱によってポリアミック酸がイミド化される過程でポリマ−鎖の切断−再結合が生じてブロック結合を有する又はランダムなシ−ケンスとなった共重合ポリイミドが得られる。ポリアミック酸溶液の流延物を加熱乾燥する工程において、加熱によって粘度が一旦大きくなった後さらに加熱すると粘度が大幅に低下し低粘度になり、更に加熱を続けると高粘度物となり、最終的に高分子量のポリイミドからなるポリイミドフィルムが得られる。
また、イミド化促進の目的で、ド−プ液(ポリアミック酸溶液)中にイミド化剤を添加することができ、例えば、イミダゾ−ル、1−メチルイミダゾ−ル、2−メチルイミダゾ−ル、1,2−ジメチルイミダゾ−ル、2−フェニルイミダゾ−ル、ベンズイミダゾ−ル、イソキノリン、置換ピリジンなどをポリアミック酸に対して0.05〜10質量%、特に好ましくは0.1〜2質量%の割合で使用することができる。これらにより比較的低温でイミド化を完了することができる。
イミド化反応としては、任意の方法が活用可能であるが、予備乾燥した未硬化のポリアミック酸溶液を含む層を所定の温度に設定可能な熱風乾燥炉の中で、一定時間静置させるか、あるいは乾燥炉エリア範囲内を連続移動させ所定の乾燥硬化時間を確保させることで高温での熱処理(200℃以上、好ましくは300℃以上)を行う方法が一般的である。また、作業の効率化、歩留まりなどを考慮して、ポリアミック酸溶液を塗工したのち、予備乾燥した未硬化体を、ロ−ル状に巻き取り、更に高温での熱効果を行うバッチ処理方式も可能である。このバッチ処理方式の際、導体の酸化を防ぐことを目的として、高温(200℃以上)での熱処理を、減圧下、還元性気体雰囲気減圧下にて行うことが好ましい。なお、乾燥硬化工程において、ポリアミック酸溶液は金属箔上に均一に塗布され、次いで熱処理によって溶媒が除去され、更にイミド閉環される。この際、急激に高温で熱処理すると樹脂表面にスキン層が生成して溶媒が蒸発しづらくなったり、発泡したりするおそれがあるので、低温から除々に高温まで上昇させながら熱処理していくのが好ましい。この加熱乾燥の最高加熱処理温度は、350−600℃の範囲であることが好ましい。
1)ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを、有機溶媒中で重合させてポリアミック酸の溶液(均一な溶液状態が保たれていれば一部がイミド化されていてもよい)を作成し、必要に応じて2種以上のポリイミック酸を混合し、必要に応じてリン系安定剤やイミド化剤を配合し、
2)ポリアミック酸溶液を金属薄膜上に膜状に塗布し、乾燥・イミド化・加熱乾燥(キュア)することによって、製造することができる。
1)引張弾性率が好ましくは4GPa以上、さらに好ましくは5〜10GPa、より好ましくは6〜9GPa、特に好ましくは6〜8.5GPaである。
2)破断強度が200MPa以上、特に200〜500MPaである。
3)線膨張係数(100〜250℃)が1×10−5〜3×10−5cm/cm/℃、特に1×10−5〜2.5×10−5cm/cm/℃である。
1)飽和吸水率が3%以下であり、さらに1.3〜3%であること。
2)相対透湿速度が、25μm厚みで3以上、さらに4以上であること。
3)引張弾性率が、400kg/mm2以上、さらに400kg/mm2以上900kg/mm2未満、特に470kg/mm2以上900kg/mm2未満であること。
4)線膨張係数(25μm厚み)は、10〜40×10−6cm/cm/℃、さらに12〜30×10−6cm/cm/℃、特に12〜25×10−6cm/cm/℃であること。
この発明において、ポリイミドフィルムの接着強度および機械強度の向上の目的でシランカップリング剤、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネ−トプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等をポリアミック酸重合時に固形分(ポリマ−)濃度に対して0.01〜10%、特に好ましくは0.1〜5質量%の割合で添加することができる。
この金属層などの基材は、ラミネ−ト法によって金属箔を積層するかあるいは薄膜成膜法および電気めっき法を用いて形成することができる。また、この薄膜成膜法および電気めっき法を用いた金属薄膜および銅めっき層を形成する銅層の積層法としては、それ自体公知のすべての方法が採用できる。
前記の耐熱性接着剤としては、電子分野で使用されている耐熱性接着剤であれば特に制限はなく、例えばポリイミド系接着剤、エポキシ変性ポリイミド系接着剤、フェノ−ル樹脂変性エポキシ樹脂接着剤、エポキシ変性アクリル樹脂系接着剤、エポキシ変性ポリアミド系接着剤などが挙げられる。この耐熱性接着剤層はそれ自体電子分野で実施されている任意の方法で設けることができ、例えば前記のポリイミド層、積層体に接着剤溶液を塗布・乾燥してもよく、別途に形成したフィルム状接着剤と張り合わせてもよい。
積層体には、基材として、例えばセラミックス、ガラス基板、シリコンウエハ−や同種あるいは異種の金属あるいはポリイミドフィルムなどの成形体をさらに耐熱性接着剤によって接着してもよい。
反応容器にN、N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を加え、撹拌および窒素流通下、パラフェニレンジアミン(PPD)を添加し、50℃に保温し完全に溶解させた。この溶液にジアミン成分とジカルボン酸成分とが等モル量となる割合の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を発熱に注意しながら徐々に添加し、添加終了後50℃を保ったまま3時間反応を続けて、モノマ−濃度18質量%のポリアミック酸溶液(黄色粘調液体、25℃における溶液粘度は約1000ポイズ)を得た。この溶液を第1液と称する。
PPDの代わりに3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MBAA)を添加した以外は合成例1と同様の反応を行って、モノマ−濃度18質量%のポリアミック酸溶液(淡褐色粘調液体、25℃における溶液粘度は約500ポイズ)を得た。この溶液を第2液と称する。
PPDの代わりに4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジメチルアニリン)(MDX)を添加した以外は合成例1と同様の反応を行って、モノマ−濃度18質量%のポリアミック酸溶液(淡褐色粘調液体、25℃における溶液粘度は約1000ポイズ)を得た。この溶液を第3液と称する。
PPDの代わりに4,4’−メチレン−ビス(2−メチルアニリン)(MDT)を添加した以外は合成例1と同様の反応を行って、モノマ−濃度18質量%のポリアミック酸溶液(濃赤色粘調液体、25℃における溶液粘度は約1000ポイズ)を得た。この溶液を第4液と称する。
PPDの代わりに3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル(DANS)を添加した以外は合成例1と同様の反応を行って、モノマ−濃度18質量%のポリアミック酸溶液(淡黒褐色粘調液体、25℃における溶液粘度は約1500ポイズ)を得た。この溶液を第5液と称する。
PPDの代わりに3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(TB)を添加した以外は合成例1と同様の反応を行って、モノマ−濃度18質量%のポリアミック酸溶液(淡褐色粘調液体、25℃における溶液粘度は約800ポイズ)を得た。この溶液を第6液と称する。
BPDAの代わりにピロメリット酸二無水物(PMDA)、PPDの代わりに4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル(ODA)を添加した以外は合成例1と同様の反応を行って、モノマ−濃度18質量%のポリアミック酸溶液(淡黄色粘調液体、25℃における溶液粘度は約600ポイズ)を得た。この溶液を第7液と称する。
1.エッチングした後に得られるポリイミドフィルムの弾性率、破断強度の測定:
幅4mmのダンベル状に打ち抜いた試験片について、ASTM・D882に従い、オリエンテック社製TENSILONUTM−II−20を用いて測定した。測定条件は、チャック間30mm、引張り速度2mm/分、温度23℃、湿度55%の環境下で行なった。測定は5試料行い、測定結果は5試料の平均値とする。
2.180°ピール強度の測定:
JIS・C6471に準じて、オリエンテック社製TENSILONUTM−II−20を用い、引張り速度40mm/分の条件で180°方向の剥離強度を測定。
3.線膨張係数の測定:
株式会社島津製作所製、TMA−50を用いて、初期荷重5g、加熱速度5℃/分で、100〜250℃の線膨張係数を測定。
4.溶液粘度の測定:
E型回転粘度計(VISCOMETERTOKIMEC社製)を用いて25℃で測定しました。
5.積層体の「発泡、剥離」の観察:
得られた積層体の外観を目視で観察して、発泡や剥離が認められるか、を判断した。
第1液と第2〜第6液とを、第1液に含まれるジアミンのモル量と第2〜第6液に含まれるジアミンのモル量との比(モル比)が90モル%:10モル%となるような割合で混合し、さらに1,2−ジメチルイミダゾ−ルをポリアミック酸に対して2重量%添加した溶液を、銅箔(日本電解株式会社製:SLP銅箔、厚さ18μm)上に最終膜厚25μm程度となるように塗布し、135℃で3分加熱して固化フィルムを形成した後、ステンレス枠に固定し、130℃で3分間、180℃で1分間加熱した後、450℃まで5分で昇温し、450℃に2分保持して熱処理することによりポリイミド銅箔積層体を得た。得られた積層体に発泡、剥離等は認められなかった。この積層体の界面の180°ピ−ル強度を測定し、接着強度を評価した。さらに、積層体の銅箔を40%塩化第二鉄水溶液でエッチングした後に得られるポリイミドフィルムの弾性率、破断強度を測定した。結果を表1に示した。
第1液のみを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリイミド銅箔積層体を得た。広範囲で発泡、剥離が認められ、均質な積層体が得られなかった。積層体の接着が認められる一部界面の180°ピ−ル強度を測定し、接着強度を評価した。さらに、積層体の銅箔を40%塩化第二鉄水溶液でエッチングした後に得られるポリイミドフィルムの弾性率、破断強度を測定した。結果を表1に示した。
第1液と第7液とを、第1液に含まれるジアミンのモル量と第7液に含まれるジアミンのモル量との比(モル比)が50モル%:50モル%となるような割合で混合して用いた以外は実施例1と同様にして、ポリイミド銅箔積層体を得た。一部で発泡、剥離が認められ、均質な積層体が得られなかった。積層体の接着が認められる一部界面の180°ピ−ル強度を測定し、接着強度を評価した。さらに、積層体の銅箔を40%塩化第二鉄水溶液でエッチングした後に得られるポリイミドフィルムの弾性率、破断強度を測定した。結果を表1に示した。
第1液と第3液とを、第1液に含まれるジアミンのモル量と第3液に含まれるジアミンのモル量との比(モル比)が表2の比率となるように混合し、さらに1,2−ジメチルイミダゾ−ルをポリアミック酸に対して2重量%添加した溶液を銅箔(日本電解株式会社製 SLP 厚さ18μm)上に最終膜厚25μmとなるように塗布し、実施例1と同様にしてポリイミド銅箔積層体を得た。得られた積層体に発泡、剥離等は認められなかった。この積層体の界面の180°ピ−ル強度を測定し、接着強度を評価した。さらに、積層体の銅箔を40%塩化第二鉄水溶液でエッチングした後に得られるポリイミドフィルムの弾性率、破断強度を測定した。結果を表2に示した。
最終膜厚15μmとなるように塗布した以外は実施例2と同様にしてポリイミド銅箔積層体を得た。得られた積層体に発泡、剥離等は認められなかった。結果を表2に示した。
銅箔としてUSLPR2(日本電解株式会社製 厚さ9μm)を用いた以外は実施例2と同様にしてポリイミド銅箔積層体を得た。得られた積層体に発泡、剥離等は認められなかった。結果を表3に示した。
銅箔として3EC−VLP(三井金属鉱業株式会社製 厚さ9μm)を用いた以外は実施例2と同様にしてポリイミド銅箔積層体を得た。得られた積層体に発泡、剥離等は認められなかった。結果を表3に示した。
銅箔としてUSLPR2(日本電解株式会社製 厚さ12μm)を用いた以外は実施例2と同様にしてポリイミド銅箔積層体を得た。得られた積層体に発泡、剥離等は認められなかった。結果を表3に示した。
銅箔としてHLA2(日本電解株式会社製 厚さ12μm)を用いた以外は実施例2と同様にしてポリイミド銅箔積層体を得た。得られた積層体に発泡、剥離等は認められなかった。結果を表3に示した。
銅箔としてF2WS(古川サ−キットフォイル株式会社製 厚さ12μm)を用いた以外は実施例2と同様にしてポリイミド銅箔積層体を得た。得られた積層体に発泡、剥離等は認められなかった。結果を表3に示した。
銅箔としてYSNAP−1B(日本電解株式会社製 キャリア層厚さ18μm、銅箔厚さ1μm)を用いた以外は実施例2と同様にしてポリイミド銅箔積層体を得た。キャリア層を剥離することにより、金属層1μm、ポリイミド層25μmの積層体が得られた。積層体に発泡、剥離等は認められなかった。
銅箔としてYSNAP−3B(日本電解株式会社製 キャリア層厚さ18μm、銅箔厚さ3μm)を用いた以外は実施例2と同様にしてポリイミド銅箔積層体を得た。キャリア層を剥離することにより、金属層3μm、ポリイミド層25μmの積層体が得られた。積層体に発泡、剥離等は認められなかった。
銅箔としてXTF−1(日本オ−リンブラス株式会社製 キャリア層厚さ35μm、銅箔厚さ1μm)を用いた以外は実施例2と同様にしてポリイミド銅箔積層体を得た。キャリア層を剥離することにより、金属層1μm、ポリイミド層25μmの積層体が得られた。積層体に発泡、剥離等は認められなかった。
銅箔としてXTF−3(日本オ−リンブラス株式会社製 キャリア層厚さ35μm、銅箔厚さ3μm)を用いた以外は実施例2と同様にしてポリイミド銅箔積層体を得た。キャリア層を剥離することにより、金属層3μm、ポリイミド層25μmの積層体が得られた。積層体に発泡、剥離等は認められなかった。
第1液と第3液とを、第1液に含まれるジアミンのモル量と第3液に含まれるジアミンのモル量との比(モル比)が590モル%:10モル%となるような割合で混合し、さらに、1,2−ジメチルイミダゾ−ルをポリアミック酸に対して2重量%、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランをポリアミック酸に対して1重量%となるように添加した。この溶液を銅箔(日本電解株式会社製 SLP 厚さ18μm)上に最終膜厚25μmとなるように塗布し、実施例1と同様にしてポリイミド銅箔積層体を得た。得られた積層体に発泡、剥離等は認められなかった。
この積層体の界面の180°ピ−ル強度を測定し、接着強度を評価した。さらに、積層体の銅箔を40%塩化第二鉄水溶液でエッチングした後に得られるポリイミドフィルムの弾性率、破断強度を測定した。結果を表4に示した。
N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランを、ポリアミック酸に対して3重量%となるように添加した以外は、実施例20と同様にしてポリイミド銅箔積層体を得た。得られた積層体に発泡、剥離等は認められなかった。結果を表4に示した。
N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランを、ポリアミック酸に対して5重量%となるように添加した以外は、実施例20と同様にしてポリイミド銅箔積層体を得た。得られた積層体に発泡、剥離等は認められなかった。結果を表4に示した。
第1液と第3液とを、第1液に含まれるジアミンのモル量と第3液に含まれるジアミンのモル量との比(モル比)が90モル%:10モル%となるような割合で混合し、さらに、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを、ポリアミック酸に対して1重量%、1,2−ジメチルイミダゾ−ルをポリアミック酸に対して2重量%となるように添加した。この溶液を銅箔(日本電解株式会社製 SLP 厚さ18μm)上に最終膜厚25μmとなるように塗布し、実施例1と同様にしてポリイミド銅箔積層体を得た。得られた積層体に発泡、剥離等は認められなかった。この積層体の界面の180°ピ−ル強度を測定し、接着強度を評価した。さらに、積層体の銅箔を40%塩化第二鉄水溶液でエッチングした後に得られるポリイミドフィルムの弾性率、破断強度、破断伸びを測定した。結果を表4に示した。
3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを、ポリアミック酸に対して3重量%となるように添加した以外は、実施例23と同様にしてポリイミド銅箔積層体を得た。得られた積層体に発泡、剥離等は認められなかった。結果を表4に示した。
3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを、ポリアミック酸に対して5重量%となるように添加した以外は、実施例23と同様にしてポリイミド銅箔積層体を得た。得られた積層体に発泡、剥離等は認められなかった。結果を表4に示した。
評価法:得られた積層体を、23℃で24時間純水に浸漬し、付着した水を拭き取った後、280℃のハンダ浴に10秒間浸漬した。結果は以下の通りであった。
・発泡、剥離が認められたもの:比較例1、比較例2。
・発泡が認められなかったもの:実施例1〜10、実施例12〜25。
第1液と第3液とを表5の比率で混合し、ガラス基板上に最終膜厚25μm及び50μmとなるように塗布し、135℃で3分(最終膜厚25μm)又は5分(最終膜厚50μm)加熱して固化フィルムを形成し、ガラス基板から剥離した後、ピンテンタ−に貼り付けて130℃で5分、180℃で5分、210℃で5分、320℃で2分間加熱した後、450℃まで5分で昇温し、450℃に2分保持して熱処理することによりポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムの飽和吸水率、相対透湿速度、線膨張係数及び機械的特性(破断応力、引張弾性率、破断伸び)を測定し、結果を表 5に示す。
1)飽和吸水率(%):ポリイミドフィルムを乾燥窒素雰囲気下で恒量になるまで乾燥させて乾燥時のフィルム重量を測定し、その後、23℃で24時間純水に浸漬し、付着した水を拭き取った後、吸水時のフィルム重量を測定し、飽和吸水率は、数式(1)に従い、算出した。
Claims (11)
- テトラカルボン酸二無水物成分と、ジアミン100モル%中4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジメチルアニリン)を0.5〜30モル%含むジアミン成分とから得られるポリアミック酸溶液を、金属箔上に膜状に塗布し、溶媒を揮発させるとともにポリアミック酸をイミド化して、ポリイミド層と金属層とが直接積層されていることを特徴とするポリイミドフィルム積層体。
- ジアミン成分が、パラフェニレンジアミンを含むことを特徴とする請求項1記載のポリイミドフィルム積層体。
- テトラカルボン酸二無水物成分は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むことを特徴とする請求項1又は2記載のポリイミドフィルム積層体。
- 金属箔を除去した後のポリイミド膜の弾性率が4GPa以上9GPa未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム積層体。
- ポリアミック酸溶液がさらにアルコキシシラン化合物からなるシランカップリング剤を含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム積層体。
- 金属箔が、銅箔であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム積層体。
- 金属箔が、剥離可能なキャリア層を有する厚さ1〜10μmの銅箔であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム積層体。
- 請求項7に記載のポリイミドフィルム積層体からキャリア層を剥離することにより得られる厚さ1〜10μmの銅層を有するポリイミドフィルム積層体。
- 前記ポリアミック酸溶液は、
(a)テトラカルボン酸二無水物成分と一般式(1)で表される芳香族ジアミン
(但し、式(1)中において、Aは直接結合あるいは架橋基であり、R 1 〜R 4 は水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、カルボアルコキシ基から選ばれる置換基を表し、R 1 およびR 2 の少なくとも1つは水素原子ではなく、R 3 およびR 4 の少なくとも1つは水素原子ではない。)
を除くジアミン成分とを有機溶媒中で重合させたポリアミック酸溶液と、
(b)テトラカルボン酸二無水物成分と4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジメチルアニリン)を含むジアミン成分とを有機溶媒中で重合させたポリアミック酸溶液と、
を混合して得られることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム積層体。 - 請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム積層体のポリイミド層に直接あるいは耐熱性接着剤を介して基材が積層されているポリイミドフィルム積層体。
- 基材が、金属層である請求項10に記載のポリイミドフィルム積層体。
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