JP4457542B2 - 熱圧着性を有する多層ポリイミドフィルム、熱対策銅張り板 - Google Patents

熱圧着性を有する多層ポリイミドフィルム、熱対策銅張り板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、熱対策銅張り板に関するものであり、特に低熱線膨張性の基体ポリイミド層の両面に特定のポリイミド層が塗布法あるいは多層押出し流延製膜成形法などの成形法により積層されてなる多層ポリイミドフィルムを用いて片面に銅箔が他の面に熱伝達性の良好な金属板またはセラミック板が積層されてなる熱対策銅張り板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、カメラ、パソコン、液晶ディスプレイなどの電子機器類への用途として芳香族ポリイミドフィルムは広く使用されている。
芳香族ポリイミドフィルムをフレキシブルプリント板(FPC)やテ−プ・オ−トメイティッド・ボンディング(TAB)などの基板材料として適用したものとしては、エポキシ樹脂などの接着剤を用いて銅箔を張り合わせた銅張り板が採用されている。
【0003】
この銅張り板は、芳香族ポリイミドフィルムが耐熱性、機械的強度、電気的特性などに優れているが、エポキシ樹脂などの接着剤の耐熱性等が劣るため、ポリイミド本来のの特性が損なわれることが指摘されている。
このような問題を解決するために、接着剤を使用しないでポリイミドフィルムに銅を電気メッキしたり、銅箔にポリアミック酸溶液を塗布し、乾燥、イミド化したり、熱可塑性のポリイミドを熱圧着させたオ−ルポリイミド基材の銅張り板が開発されている。
【0004】
また、ポリイミドフィルムと金属箔との間にフィルム状ポリイミド接着剤をサンドイッチ状に接合させたポリイミドラミネ−トおよびその製法が知られている(米国特許第4543295号)。
しかし、このポリイミドラミネ−トは、剥離強度(接着強度)が小さく使用が制限されるという問題がある。
【0005】
これらの問題点を解決するため、特公平7−102648号や特開平9−99518で多層押出しポリイミドフィルムと金属箔とを積層した金属箔積層ポリイミドフィルムおよびその製法が提案された。これらによって多くの問題点が解決されたが、前記公報に具体的示されたモノマ−組成では溶融温度の細かい調整が困難である。実施例に示されるようなアミン末端封止剤の導入により接着性は改善されるが、反面塩化メチレンなどの溶剤での溶解、白化が促進されることがわかった。本溶剤は、配線基板の製造時の洗浄工程に用いられるものと思われる。
【0006】
一方、オ−ルポリイミド基材の銅張り板はポリイミド層の熱伝導性が大きくないため、熱伝導性の金属板を使用したプリント基板が提案されている。例えば、特公平8−2612号公報には、特殊なメタ系熱可塑性ポリイミドの片面に銅箔を積層し反対面に金属ベ−ス基板を積層した金属ベ−スプリント配線基板が記載されている。
しかし、高精度・高密度の要求される電子分野では、使用されているポリイミドが剛性が小さく、寸法精度が不充分である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、比較的緩和な条件で金属箔と積層でき、塩化メチレンなどの塩素系有機溶剤に対する耐久性が優れ、かつガラス転移温度を幅広く制御できることにより接着条件を幅広く選択でき、高温の使用にも耐え得て、しかも熱伝導性の良好な銅張り板を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、低熱膨張性の基体ポリイミド(X)層の両面に下記式
【0009】
【化3】
Figure 0004457542
【0010】
[式中、Ar1は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物残基と2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物残基とが20:80〜90:10、好適には50:50〜90:10のモル比であり、ピロメリット酸二無水物残基が0〜30モル%である芳香族テトラカルボン酸二無水物残基であり、Ar2は1、3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンを必須成分としてp−フェニレンジアミンおよび/またはジアミノジフェニルエ−テルとが0:100〜100:0のモル比である芳香族ジアミン残基である。]
で示されるイミド単位を有する薄層ポリイミド(Y)が積層一体化されてなり、
該薄層ポリイミド(Y)のガラス転移温度(Tg)が210℃から310℃の範囲内で所望の値となるようにp−フェニレンジアミンおよび/またはジアミノジフェニルエ−テルの組成を変えて調整してなる多層ポリイミドフィルムの片面に銅箔が、他の面に熱伝達性の良好な金属板またはセラミック板が積層されてなる熱対策銅張り板に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の好ましい態様を列記する。
1)基体ポリイミドが、下記式
【化4】
Figure 0004457542
[式中、m/n(モル比)=100/0〜30/70である。]
で示されるイミド単位を有する上記の熱対策銅張り板。
【0012】
2)銅箔が、厚み5〜40μmの電解銅箔あるいは圧延銅箔である上記の熱対策銅張り板。
3)熱伝達性の良好な金属板が、厚み5μm〜2mmのステンレス、アルミニウム、鉄などの金属板である上記の熱対策銅張り板。
4)熱伝達性の良好なセラミック板が、グリ−ンシ−ト段階で加工を施した厚み50μm〜2mmの窒化アルミニウムのようなセラミック板あるいは酸化膜を形成したシリコン基板である上記の熱対策銅張り板。
【0013】
この発明における多層ポリイミドフィルの基体ポリイミド層を構成する基体ポリイミドとして、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンおよび4,4’−ジアミノジフェニルエ−テルとが100/0〜30/70である芳香族ジアミンとを重合、イミド化して得られるポリイミドのような回路用金属、特に銅に近い低線膨張係数を有しており有利である。また、電子技術分野において低線膨張係数を有するポリイミドフィルムを与えるポリイミドとして他の種類のポリイミドも同様に使用できることは勿論である。
【0014】
この発明においては、熱圧着性多層ポリイミドフィルの薄層ポリイミド層を構成する薄層用ポリイミドとして、下記式
【化5】
Figure 0004457542
【0015】
[式中、Ar1は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物残基と2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物残基とが20:80〜90:10、好適には50:50〜90:10のモル比であり、ピロメリット酸二無水物残基が0〜30モル%である芳香族テトラカルボン酸二無水物残基であり、Ar2は1、3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンを必須成分としてp−フェニレンジアミンおよび/またはジアミノジフェニルエ−テルとが0:100〜100:0、好適には10:90〜100:0のモル比であるである芳香族ジアミン残基である。]
で示されるイミド単位を有するポリイミドを使用することが必要である。
【0016】
前記のイミド単位を有する熱可塑性薄層用ポリイミドは、好適には3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDAと略記することもある。)と2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDAと略記することもある。)とが20:80〜90:10、好適には50:50〜90:10のモル比である芳香族テトラカルボン酸二無水物成分(成分とは、酸あるいは炭素数1〜4のアルキルアルコ−ルとのエステル化物をいう)と、1、3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンとp−フェニレンジアミンおよび/またはジアミノジフェニルエ−テル、好適には4,4’−ジアミノジフェニルエ−テルとが0:100〜100:0、好適には10:90〜100:0のモル比である芳香族ジアミンとを重合、イミド化して得られるポリイミドが挙げられる。薄層用ポリイミドの特性を損なわない範囲で、前記のビフェニルテトラカルボン酸二無水物成分および芳香族ジアミンの一部を他の種類のテトラカルボン酸二無水物成分および/または芳香族ジアミンで置き換えてもよい。
【0017】
前記の各成分の割合に関して、s−BPDAのモル比が多いほどガラス転移温度が多いほど低下し、a−BPDA100モル%で約260℃に対し、50モル%で250℃、また、10モル%で220℃程度まで低下し、高温でのハンダ耐熱性が低下する傾向がある。このため、アミン成分の1、3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンをp−フェニレンジアミン(以下単にPPDと略記することもある。)やジアミノジフェニルエ−テル、特に4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル(以下、単にDADEと略記することもある。)に置換することにより、塩化メチレンに溶解、表面の白化せず、かつ接着性を有したままガラス転移温度を60℃以上増加でき、ガラス転移温度を210℃から310℃程度まで任意に変化できる。更に高いガラス転移温度であっても接着は可能であるが、プレス時の温度が上昇し、生産性が著しく低下する。
【0018】
また、塩素系の溶剤に対する溶解、白化の点から、酸過剰(従って、無水カルボン酸末端封止)を避けることが好ましい。
さらに、Tgなどを組成で制御するため、分子量制御のためにアミン末端封止目的の無水カルボン酸を添加する必要はない。
【0019】
前記の薄層用ポリイミドは、前記各成分を有機溶媒中、約100℃以下、特に20〜60℃の温度で反応させてポリアミック酸の溶液とし、このポリアミック酸の溶液あるいはポリアミック酸の溶液にさらに有機溶媒を加えてポリアミック酸濃度を調節したものをド−プとして使用し、基体ポリイミド層(基体ポリイミドのド−プ液膜あるいは基体ポリイミドの自己支持性フィルム)に前記のド−プ液の薄膜を形成し、50〜400℃で1〜30分間程度加熱乾燥して、その薄膜から溶媒を蒸発させ除去すると共にポリアミック酸をイミド環化することにより形成することができる。
前記の薄層用ポリイミドを与えるポリアミック酸のド−プは、ポリアミック酸の濃度が1〜20重量%程度であることが好ましい。
【0020】
この発明においては、前記の多層ポリイミドフィルムとしては、好適には熱圧着性とともに線膨張係数(50〜200℃)(MD)が30×10-6cm/cm/℃以下、特に15×10-6〜25×10-6cm/cm/℃で厚みが10〜150μmであるあるものが好ましく、また、引張弾性率(MD、ASTM−D882)が300Kgf/mm2以上、特に400〜1000Kgf/mm2であるものが好ましい。
【0021】
前記の多層ポリイミドフィルムは、好適には共押出し−流延製膜法(単に、多層押出法ともいう。)によって基体用ポリイミドのド−プ液と薄層用ポリイミドのド−プ液とを積層、乾燥、イミド化して多層ポリイミドフィルムを得る方法、あるいは前記の基体用ポリイミドのド−プ液を支持体上に流延塗布し、乾燥した自己支持性フィルム(ゲルフィルム)の片面あるいは両面に薄層用ポリイミドのド−プ液を塗布し、乾燥、イミド化して多層ポリイミドフィルムを得る方法によって得ることができる。
【0022】
前記のポリアミック酸のゲル化を制限する目的でリン系安定剤、例えば亜リン酸トリフェニル、リン酸トリフェニル等をポリアミック酸重合時に固形分(ポリマ−)濃度に対して0.01〜1%の範囲で添加することができる。
また、イミド化促進の目的で、ド−プ液中にイミド化剤を添加することができる。例えば、イミダゾ−ル、2−イミダゾ−ル、1,2−ジメチルイミダゾ−ル、2−フェニルイミダゾ−ル、ベンズイミダゾ−ル、イソキノリン、置換ピリジンなどをポリアミック酸に対して0.05〜10重量%、特に0.1〜2重量%の割合で使用することができる。これらは比較的低温でイミドを完了することができる。
【0023】
また、接着強度の安定化の目的で、熱圧着性ポリイミド原料ド−プに有機アルミニウム化合物、無機アルミニウム化合物または有機錫化合物を添加してもよい。例えば水酸化アルミニウム、アルミニウムトリアセチルアセトナ−トなどをポリアミック酸に対してアルミニウム金属として1ppm以上、特に1〜1000ppmの割合で添加することができる。
【0024】
前記の基体層としてのポリイミドは、好適には3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミン(以下単にPPDと略記することもある。)と場合によりさらに4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル(以下単にDADEと略記することもある。)とから製造される。この場合PPD/DADE(モル比)は100/0〜85/15であることが好ましい。
さらに、基体層としてのポリイミドは、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)およびピロメリット酸二無水物(PMDA)とパラフェニレンジアミン(PPD)および4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル(DADE)とから製造される。この場合、酸二無水物中BTDAが20〜90モル%、PMDAが10〜80モル%、ジアミン中PPDが30〜90モル%、DADEが10〜70モル%であることが好ましい。
【0025】
また、上記の基体層としての耐熱性ポリイミドとしては、単独のポリイミドフィルムの場合にガラス転移温度が350℃以上か確認不可能であるものが好ましく、特に線膨張係数(50〜200℃)(MD)が5×10-6〜30×10-6cm/cm/℃であるものが好ましい。また、引張弾性率(MD、ASTM−D882)は300kg/mm2以上であるものが好ましい。
この基体層ポリイミドの合成は、最終的に各成分の割合が前記範囲内であればランダム重合、ブロック重合、あるいはあらかじめ2種類のポリアミック酸を合成しておき両ポリアミック酸溶液を混合後反応条件下で混合して均一溶液とする、いずれの方法によっても達成される。
【0026】
前記各成分を使用し、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物の略等モル量を、有機溶媒中で反応させてポリアミック酸の溶液(均一な溶液状態が保たれていれば一部がイミド化されていてもよい)とする。
前記基体層ポリイミドの物性を損なわない種類と量の他の芳香族テトラカルボン酸二無水物や芳香族ジアミン、例えば4,4’−ジアミノジフェニルメタン等を使用してもよい。
【0027】
前記のポリアミック酸製造に使用する有機溶媒は、基体層用ポリイミドおよび薄層用ポリイミドのいずれに対しても、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチルカプロラクタム、クレゾ−ル類などが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
前記の多層ポリイミドフィルムの製造においては、例えば上記の基体層の耐熱性ポリイミドのポリアミック酸溶液と薄層用の熱圧着性ポリイミドまたはその前駆体の溶液を共押出して、これをステンレス鏡面、ベルト面等の支持体面上に流延塗布し、100〜200℃で半硬化状態またはそれ以前の乾燥状態とすることが好ましい。
200℃を越えた高い温度で流延フィルムを処理すると、多層ポリイミドフィルムの製造において、接着性の低下などの欠陥を来す傾向にある。
この半硬化状態またはそれ以前の状態とは、加熱および/または化学イミド化によって自己支持性の状態にあることを意味する。
【0029】
前記の基体層ポリイミドを与えるポリアミック酸の溶液と、薄層用ポリイミドを与えるポリアミック酸の溶液との共押出しは、例えば特開平3−180343号公報(特公平7−102661号公報)に記載の共押出法によって三層の押出し成形用ダイスに供給し、支持体上にキャストしておこなうことができる。
前記の基体層ポリイミドを与える押出し物層の片面あるいは両面に、薄層用ポリイミドを与えるポリアミック酸の溶液あるいはポリイミド溶液を積層して多層フィルム状物を形成して乾燥後、薄層用ポリイミドのガラス転移温度(Tg)以上で劣化が生じる温度以下の温度、好適には250〜420℃の温度(表面温度計で測定した表面温度)まで加熱して(好適にはこの温度で1〜60分間加熱して)乾燥およびイミド化して、基体層ポリイミドの片面あるいは両面に薄層用ポリイミドを有する多層押出しポリイミドフィルム、好適には熱圧着性多層押出しポリイミドフィルムを製造することができる。
【0030】
前記の薄層ポリイミドは、前記の酸成分とジアミン成分とを使用することによって、好適にはガラス転移温度が190〜280℃、特に200〜275℃であって、好適には前記の条件で乾燥・イミド化して薄層(好適には熱圧着性の)ポリイミドのゲル化を実質的に起こさせないことによって達成される、ガラス転移温度以上で300℃以下の範囲内の温度で溶融せず、かつ弾性率(通常、275℃での弾性率が50℃での弾性率の0.001〜0.5倍程度)を保持しているものが好ましい。
【0031】
前記の多層ポリイミドフィルムは、基体層ポリイミドのフィルム(層)の厚さが5〜125μmであることが好ましく、薄層ポリイミド(Y)層の厚さは1〜25μm、特に1〜15μm、その中でも特に2〜12μmが好ましい。
また、前記の他の金属箔と積層される場合の薄層である熱圧着性ポリイミド(Y)層の厚さは、使用する他の金属箔の表面粗さ(Rz)以上であることが好ましい。
特に、多層ポリイミドフィルムとして、両面に熱圧着性および/または柔軟性のポリイミド層を有し、全体の厚みが7〜50μm、特に7〜25μmであるもので、引張弾性率(25℃)が400〜1000kgf/mm2程度であるものが高密度化の点から好ましい。
【0032】
この発明において多層ポリイミドフィルムに積層する銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔があげられる。銅箔として、表面粗度の余り大きくなくかつ余り小さくない、好適には薄層ポリイミドとの接触面のRzが3μm以下、特に0.5〜3μm、その中でも特に1.5〜3μmであるものが好ましい。このような銅箔、例えば銅箔はVLP、LP(またはHTE)として知られている。
銅箔の厚さは特に制限はないが、35μm以下、好ましくは3〜18μm、特に3μm〜12μmであることが好ましい。
また、Rzが小さい場合には、銅箔表面を表面処理したものを使用してもよい。
【0033】
この発明において多層ポリイミドフィルムに積層する熱伝導性基材としては、厚み5μm〜2mmのステンレス、アルミニウム、鉄などの金属板、あるいは、グリ−ンシ−ト段階で加工を施した厚み50μm〜2mmの窒化アルミニウムのようなセラミック板あるいは酸化膜を形成したシリコン基板を挙げることができる。
【0034】
この発明においては、好適には前記の熱圧着性多層ポリイミドフィルムと銅箔および前記の熱伝導性基材とを、ロ−ルラミネ−トあるいはダブルベルトプレスなどの連続ラミネ−ト装置によって、熱圧着性多層ポリイミドフィルムのみあるいは熱圧着性多層ポリイミドフィルム、銅箔および前記の熱伝導性基材を導入する直前のインラインで150〜250℃程度、特に150℃より高く250℃以下の温度で2〜120秒間程度予熱できるように熱風供給装置や赤外線加熱機などの予熱器を用いて予熱した後、加熱圧着し、引き続いて薄層ポリイミドのガラス転移温度(Tg)より低い温度で加圧して張り合わせることによって、銅箔積層体である熱対策銅張り板を得ることができる。
また、プレス機によって、同様に熱圧着性多層ポリイミドフィルム、銅箔および前記の熱伝導性基材を加熱圧着して張り合わせることによって、銅箔積層体である銅張り板を得ることができる。
【0035】
前記のダブルベルトプレスは、加圧下に高温加熱−冷却を行うことができるものであって、熱媒を用いた液圧式のものが好ましい。
前記のインラインとは原材料の繰り出し装置と連続ラミネ−ト装置の圧着部との間に予熱装置を設置し、直後に圧着できる装置配置になったものをいう。
【0036】
特に、前記の積層体は、好適にはロ−ルラミネ−トまたはダブルベルトプレスの加熱圧着ゾ−ンの温度が熱圧着性ポリイミドのガラス転移温度より20℃以上高く400℃以下の温度、特にガラス転移温度より30℃以上高く400℃以下の温度で加圧下に熱圧着し、特にダブルベルトプレスの場合には引き続いて冷却ゾ−ンで加圧下に冷却して、好適には熱圧着性ポリイミドのガラス転移温度より20℃以上低い温度、特に30℃以上低い温度まで冷却して、積層することによって製造することができ、接着強度が大きい(90°剥離強度が0.7kg/cm以上、特に1kg/cm以上である。)。
【0037】
この発明によって得られる銅張り板は、通常、銅箔をエッチング処理した後、ポリイミド層をパンチング加工などの機械的処理あるいはレ−ザ−加工して、フィルムに貫通穴(スル−ホ−ル)を形成する。レ−ザ−加工の装置は、例えば特開平10−323786号公報に記載されているレ−ザ−加工装置を挙げることができる。また、レ−ザ−による穴あけ加工方法としては、例えば特開平6−142961号公報に記載されているレ−ザ−加工方法を挙げることができる。
【0038】
例えば、レ−ザ−として、CO2、YAGレ−ザ−のように赤外領域の発振波長をもつレ−ザ−をそのまま、あるいは非線形型光学結晶に照射して取り出して発振波長が260〜400nm程度の範囲にある紫外領域にあるレ−ザ−を使用することができる。
また、レ−ザ−加工は、片面の銅箔を化学エッチングして所定形状のパタ−ン形成した後、残部の金属板をマスクとしてポリイミド層にレ−ザ−を照射して約30〜300μmφ、好適には約50〜100μmφの貫通穴を形成して、レ−ザ−加工部を前記と同様にデスミア処理した後、他の金属板にはパタ−ン形成して、基板とすることができる。
【0039】
あるいは、前記と同様にして銅箔をエッチングして所定形状のパタ−ン形成した後、残部のセラミック板の所定個所からポリイミド層にレ−ザ−を照射して貫通穴を形成するなどして、基板とすることができる。
【0040】
前記の方法によってレ−ザ−加工して得られる積層体およびメッキした基板は電子部品用基板として好適に使用できる。
例えば、プリント回路基板、電力用回路基板、フレキシブルヒ−タ−、抵抗器用基板として好適に使用することができる。
【0041】
【実施例】
以下、この発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明する。
以下の各例において、物性評価および金属箔積層体の剥離強度は以下の方法に従って測定した。
ガラス転移温度:DSCにて測定した。
結晶化度:XRD(X線回折)によって測定した。ピ−クが認められない場合、非結晶性と評価した。
線膨張係数:20〜200℃、5℃/分の昇温速度で測定(MD)した。
積層体の剥離強度:90°剥離強度を測定した。
耐熱性:金属箔積層体を260℃の半田浴に1分間浸漬して、膨れ、はがれ、変色の有無を観察した。膨れ、はがれ、変色の無い場合を耐熱性良好と判断した。
【0042】
積層体の剥離強度:340℃に保った熱プレスを用い、電解銅箔(厚み35μm)をポリイミドフィルムと重ね、5分間予熱後、60Kgf/cm2 の圧力で1分間プレスを行い、銅箔積層体を得た。この積層体について,50mm/分で90°剥離強度を測定した。
耐溶剤性:塩化メチレンに室温(25℃)で5分間浸漬後、減圧下室温で2時間乾燥後の重量(浸析後重量)と浸漬前の重量:重量変化率(%)=(浸析後重量−浸析前重量)/浸析前重量×100、および目視による表面変化観察で評価(重量減の検出限界は±0.5%)
ガラス転移点:動的粘弾性測定装置を用いてTanδのピ−クの温度を求めた。
【0043】
実施例1
基体ポリイミド(X)製造用ド−プの合成
攪拌機、窒素導入管を備えた反応容器に、ジメチルアセトアミド(DMAc)を加え、さらに、パラフェニレンジアミン(PPD)と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)とを1000:998のモル比でモノマ−濃度が18%(重量%、以下同じ)になるように加えた。添加終了後50℃を保ったまま3時間反応を続けた。得られたポリアミック酸溶液は褐色粘調液体であり、25℃における溶液粘度は約1500ポイズであった。
なお、このポリアミック酸溶液から別途に製造した厚み50μmのポリイミドフィルムは、線膨張係数(50〜200℃)(MD)が15×10-6cm/cm/℃で、引張弾性率(MD、ASTM−D882)が756kg/mm2であった。
【0044】
薄層用ポリイミド製造用ド−プの合成
攪拌機、窒素導入管を備えた反応容器に、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)を加え、さらに、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)を加えた。続いて2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)とを、s−BPDA/a−BPDA/TPE−Rの割合がモル比で30/20/50として、TPE−R:(a−BPDA+s−BPDA)を1000:990のモル比でモノマ−濃度が18%になるように、またトリフェニルホスフェ−トをモノマ−重量に対して0.1%加えた。添加終了後25℃にて4時間反応を続け、淡褐色透明粘調なポリアミック酸溶液を得た。25℃における溶液粘度は約1000ポイズであった。
【0045】
三層構造の多層ポリイミドフィルムの製造
三層押し出しダイスから、平滑な金属製支持体の上面に押し出して流延し、140℃の熱風で連続的に乾燥し、固化フィルム(自己支持性フィルム)を形成し、その固化フィルムを支持体から剥離した後、加熱炉で、200℃から350℃まで徐々に昇温して、溶媒を除去すると共にポリマ−のイミド化を行い、厚み構成が2μm/12μm/2μmの三層構造の多層ポリイミドフィルムを製造した。
【0046】
積層体の製造
この熱圧着性の薄層(Y)ポリイミドフィルムと、銅箔(ジャパンエナジ−社、BAC−13B−NK−120 18μm)とSUS(新日鉄社、SUS304H−TA 20μm)とを重ね合わせ、340℃の温度で60Kgf/cm2の圧力で、5分間、プレスして熱圧着を行って、銅張り板を製造した。このようにして得られたフィルムのガラス転移温度Tg(℃)、塩化メチレンに5分浸析後のフィルムの重量減少率と目視観察の結果および銅張り板の90°剥離強度を表1に示した。
【0047】
実施例2
多層ポリイミドフィルムの厚み構成を4μm/17μm/4μmの三層構造の多層ポリイミドフィルムとした他は実施例1と同様にして、銅張り板を製造した。このようにして得られたフィルムのガラス転移温度Tg(℃)、塩化メチレンに5分浸析後のフィルムの重量減少率と目視観察の結果および銅張り板の90°剥離強度を表1に示した。
【0048】
実施例3
モノマ−の各成分比を、s−BPDA/a−BPDA/PMDA/TPE−Rの割合がモル比で30/10/10/50とした他は実施例1と同様にして、多層ポリイミドフィルムの厚み構成が2μm/12μm/2μmの三層構造の多層ポリイミドフィルムとし、銅張り板を製造した。このようにして得られたフィルムのガラス転移温度Tg(℃)、塩化メチレンに5分浸析後のフィルムの重量減少率と目視観察の結果および銅張り板の90°剥離強度を表1に示した。
【0049】
実施例4
モノマ−の各成分比を、s−BPDA/a−BPDA/PMDA/TPE−Rの割合がモル比で30/10/10/50とした他は実施例1と同様にして、多層ポリイミドフィルムの厚み構成が4μm/17μm/4μmの三層構造の多層ポリイミドフィルムとし、銅張り板を製造した。このようにして得られたフィルムのガラス転移温度Tg(℃)、塩化メチレンに5分浸析後のフィルムの重量減少率と目視観察の結果および銅張り板の90°剥離強度を表1に示した。
【0050】
比較例1
モノマ−の各成分比を、a−BPDA/TPE−Rの割合がモル比で50/50とした他は実施例1と同様にして、多層ポリイミドフィルムの厚み構成が2μm/12μm/2μmの三層構造の多層ポリイミドフィルムとし、銅張り板を製造した。このようにして得られたフィルムのガラス転移温度Tg(℃)、塩化メチレンに5分浸析後のフィルムの重量減少率と目視観察の結果および銅張り板の90°剥離強度を表1に示した。
【0051】
【表1】
Figure 0004457542
【0052】
【発明の効果】
この発明によれば、以上のような構成を有しているため、比較的緩和な条件で金属箔と積層でき、塩素系の溶剤に対する耐久性が優れ、かつガラス転移温度を幅広く制御できることにより接着条件を幅広く選択でき、かつ高温の使用にも耐えうる熱伝導性の良好な銅箔張り板を得ることができる。

Claims (5)

  1. 低熱膨張性の基体ポリイミド(X)層の両面に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とが(50〜90)と(50〜10)のモル比(3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とのモル比の合計は100である)であり、ピロメリット酸二無水物が0〜30モル%である芳香族テトラカルボン酸二無水物と、1、3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンとから得られる薄層ポリイミド(Y)が積層一体化されてなる熱圧着性を有する多層ポリイミドフィルム。
  2. 多層ポリイミドフィルムは、厚み5〜40μmの電解銅箔あるいは圧延銅箔、厚み5μm〜2mmのステンレス、アルミニウム、鉄、厚み50μm〜2mmの窒化アルミニウム、酸化膜を形成したシリコン基板との熱圧着に用いることを特徴とする請求項1に記載の多層ポリイミドフィルム。
  3. 低熱膨張性の基体ポリイミド層は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、p−フェニレンジアミンおよび4,4’−ジアミノジフェニルエ−テルとが100/0〜30/70(モル比)である芳香族ジアミンとから得られるポリイミドであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多層ポリイミドフィルム。
  4. 多層ポリイミドフィルムは、基体ポリイミド(X)層の厚さが5〜125μmで、薄層ポリイミド(Y)の厚さが1〜15μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多層ポリイミドフィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の多層ポリイミドフィルムの片面に、厚み5〜40μmの電解銅箔あるいは圧延銅箔が、他の面に厚み5μm〜2mmのステンレス、アルミニウム又は鉄、厚み50μm〜2mmの窒化アルミニウム又は酸化膜を形成したシリコン基板とが、熱圧着により積層されている熱対策銅張り板。
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