JP2007262930A - 小型車両用内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両進行方向に直交したクランク軸10を軸支するクランク室の後方に変速軸51を軸支するミッション室を形成するクランクケース11が、上側クランクケース11Uと下側クランクケース11Lに上下割りに構成され、上下クランクケースの各割り面に互いに上下対向して対をなす複数の締付ボス部29を有し、該複数の締付ボス部29をそれぞれ締結ボルト23が締付けることで上側クランクケース11Uと下側クランクケース11Lを一体化してクランクケースを形成する小型車両用内燃機関において、変速軸51の一端にクランク軸10の動力を同変速軸51に接続・遮断するクラッチ54が配設され、複数の締付ボス部29のうち最後部の締付ボス部29rが、車体前後方向でクラッチ54の後方部位と重なる位置にある小型車両用内燃機関。
【選択図】図3
Description
また、クランクケースの締結を隅部に近い位置に設定できるため、クランクケースの締結力を向上させることができる。
本実施の形態に係る内燃機関Eを搭載する自動二輪車1の全体右側面図を図1に示す。
自動二輪車1の車体フレームは、ヘッドパイプ2aからメインフレーム2bが後方へ若干斜め下向きに延出しており、その後端部で下方に屈曲してセンタフレーム2cが連結され、メインフレーム2bの後部から後方へ若干上向きにシートレール2dが延出している。
ヘッドパイプ2aに斜めに軸支されたステアリング軸3の下方に延びたフロントフォーク4の下端に前輪FWが軸支され、ステアリング軸3の上端からは左右に展開してハンドル5が延出している。
スイングアーム6に連結されたリンク機構7と車体フレームとの間にリヤクッション8が介装されている。
シートレール2dには運転者が乗るシート9が配設されている。
なお、本明細書において、車両前進方向を前方、その反対方向を後方とし、前進方向である前方を見て左手方向を左方、右手方向を右方と決めておく。
また、図5におけるVI−VI線で切断した概略断面図を図6に示す。
一方、下側クランクケース11Lの下にはオイルパン15が取り付けられる。
直列4気筒の内燃機関Eであるので、クランク軸10は5つのジャーナル部10jを有し、上側クランクケース11Uと下側クランクケース11Lの上下それぞれ5つジャーナル壁11Uw,11Lwによりクランク軸10は回転自在に支持される。
図7を参照して、上側クランクケース11Uと下側クランクケース11Lの各5つのジャーナル壁11Uw,11Lwのそれぞれにおいて、クランク軸10を挟持する半円弧部を挟む前後にスタッドボルト21f,21rが下方から真っ直ぐ上方へ下側クランクケース11Lを貫通して上側クランクケース11Uの長尺のねじ孔に螺入して緊締している。
したがって、スタッドボルト21f,21rの螺合緊締によりねじ孔周辺に作用する応力が一部に集中するのを低減することができる。
下側クランクケース11Lについてみると、クランクケース11の下面図である図7に示すように、前端縁部と後端縁部の締付ボス部29に締結ボルト23が螺着されている。
そのうち右端の締付ボス部29rlは、変速ギヤ群51g,55gが収容されるミッション室11Mの外側にあって後記する摩擦クラッチ54,プライマリドリブンギヤ53bの背後の右後隅部の近傍に位置する。
したがって、スタッドボルト25fの螺合緊締により上側クランクケース11Uのねじ孔周辺に作用する応力が一部に集中するのを低減することができる。
なお、吸気ポート33の上流側吸気通路管33bにはスロットルボディ33aが連結されて、その上流に図示しないが、吸気管が連結され、排気ポート34の下流側開口には排気管が連結される。
そのために、各カム軸38,39は、右端部にカムスプロケット38s,39sが嵌着され、クランク軸10の右端部近傍に嵌着される駆動スプロケット10sとカムスプロケット38s,39sの間にタイミングチェーン40が掛け渡され(図3,図5参照)、クランク軸10の半分の回転速度で回転駆動される。
カムチェーンテンショナ43は、図3に示すようにシリンダヘッド13のカムチェーン室13ccの後壁から後方へ突出したテンショナホルダー13aに取り付けられる。
変速機50は、常時噛合い式の歯車変速機であり、クランク軸10の後方で斜め上方位置にメイン軸51が上側クランクケース11Uに軸受52を介して回転自在に軸支され、クランク軸10の後方で上側クランクケース11Uと下側クランクケース11Lの割り面に挟まれてカウンタ軸55が軸受56を介して回転自在に軸支され、クランク軸10と平行なメイン軸51とカウンタ軸55にそれぞれ装着される変速ギヤ群51g,55gが互いに対となるギヤどうしを噛合しており、軸にスプライン嵌合しシフタとなるギヤの変速操作機構による移動によって変速がなされる。
摩擦クラッチ54は、クラッチアウタ54oと一体にプライマリドリブンギヤ53bが備えられており、同プライマリドリブンギヤ53bはクランク軸10の右側から数えて2番目のクランクウエブ10wに形成されたプライマリドライブギヤ53aと噛合して1次減速機構を構成している。
プライマリドライブギヤ53aの外径は、摩擦クラッチ54のクラッチアウタ54oの外径より大きい。
カウンタ軸55は、出力軸でもあり、クランクケース11を左方に貫通して外部に突出させた左端部に出力スプロケット57aが嵌着され、後輪RWの被動スプロケット57bとの間に伝動チェーン58が掛け渡され2次減速機構が構成され、この2次減速機構を介して動力が後輪RWに伝達される(図1参照)。
内燃機関Eを始動するスタータモータ60は、クランクケース11のミッション室11Mを形成する後半部の上面における左右方向中央(図4参照)で前寄り(図2参照)の位置に取り付けられている。
なお、摩擦クラッチ54等の右側はクラッチカバー59により覆われる(図4参照)。
したがって、スタータモータ60の駆動による駆動ギヤ軸61の回転が減速ギヤ機構62により減速されて始動用被動ギヤ63に伝達され、始動用被動ギヤ63の回転が一方向クラッチ64を介してクランク軸10に伝達されて内燃機関Eが始動される。
この被動スプロケット65bの上方に前記メイン軸51に設けられた駆動スプロケット65aが位置して、駆動スプロケット65aと被動スプロケット65bとの間に無端チェーン66が架渡される(図3参照)。
2次バランサ95は、図2に示す側面視でクランク軸10より下方斜め前方に位置する。
クランクケース11の前面図である図8を参照して、2次バランサ95は、バランサ軸95aにバランスウエイト95bがニードル軸受95cを介して軸支され、バランスウエイト95bのボス部外周にバランサドリブンギヤ96bが嵌着されている。
したがって、2次バランサ95は、クランク軸10の2倍の回転速度でバランスウエイト95bが回転して直列4気筒の内燃機関1の2次振動を吸収する。
したがって、オイルポンプ70が駆動されると、オイルパン15に溜まったオイルがオイルストレーナ74を介して吸入導管73に導かれて汲み上げられる。
オイルクーラハウジング78の左隣りに前記バランサ95が配置されている(図7参照)。
そして、オイルクーラハウジング78の中心部の流出ポート78bからは後方に向けて第4のオイル供給路A4が穿設されている(図7,図8参照)。
メインギャラリA5は、下側クランクケース11Lの5つのジャーナル壁11Lwを貫通しており、各ジャーナル壁11Lwにおいて各ジャーナル軸受部に向けてオイル分岐供給路A6が穿設されている。
第2のオイル供給路C2は、シリンダブロック12の右側壁の後部に穿設された第3のオイル供給路C3に連続する。
途中のラビリンス構造部Cbは、シリンダブロック12とシリンダヘッド13の合せ面において両者間を行き来する迷路を形成したもので、フィルタとしての効果を備える。
なお、オイルクーラハウジング78の流出ポート78bからは左隣りのバランサ95のバランサ軸95aに向けて連通孔98も形成されていてバランサ95の潤滑にオイルが供されるようになっている(図7,図8参照)。
第1のオイル供給路D1の上端部で割り面の第2のオイル供給路D2との接続箇所に複数の小さな孔部からなるフィルタ80が介装されている。
左右のオイル噴射用配管81L,81Rには、5つの隣り合うジャーナル壁11Uwの各中間位置に上方のシリンダボア12cに向けてオイル噴射孔であるオイルジェット81Lj,81Rjが左右2つずつ穿孔されている。
そして、左右のオイル噴射用配管81L,81Rは、中央のジャーナル壁11Uwに隣り合う左右両側のジャーナル壁11Uw,11Uwの円孔84,84を貫通して、外端部が左右最外側のジャーナル壁11Uw,11Uwに形成された円孔85,85に挿入されている。
キャップ部材86L,86Rは、軸方向に大小の内径と大小の外径が形成されており、オイル噴射用配管81L,81Rの外径に等しい大内径部にオイル噴射用配管81L,81Rが圧入される形でキャップ部材86L,86Rが被せられる。
キャップ部材86L,86Rの大外径部の一部と小外径部は外側に突出している。
取付けステー88L,88Rの基端部円孔88La,88Raは、左右最外側のジャーナル壁11Uw,11Uwの各々所定位置に形成されたねじ孔89L,89Rに合せてワッシャ91L,91Rを介して締結ボルト90L,90Rにより外側から螺合して緊締される。
オイルジェット87Ljは、交流発電機47に直接でなく、交流発電機47のアウタロータ47rの外周面と発電機カバー48の内周面との間の環状空間にオイルを噴射して交流発電機47を冷却する。
本内燃機関Eの冷却系において、図2を参照して、水ポンプ100は、前記したように下側クランクケース11Lの左側壁の後部に取り付けられており、内燃機関Eの前方にラジエータ105が配置され、そしてサーモスタットケース110がシリンダヘッド13の右端気筒の吸気ポート33の下側から後方に延出した冷却水出口である冷却水排出管108に連結されて取り付けられている。
サーモスタットケース110には、ワックスタイプのボトムバイパス式サーモスタットが内蔵されている。
オイルクーラ77の水流出口から延出した流出ホース118は前記ラジエータ流出ホース107に連結されてオイルクーラ77を経た冷却水を、ラジエータ流出ホース107の一部を利用して水ポンプ100に戻している。
サーモスタットケース110により内燃機関Eの暖機状態に応じてラジエータ105への冷却水の流通および遮断を制御する。
そして、クランクケース11の割り面の後端部の締付ボス部29r(29rl)の後方には、図3に示すように、スイングアーム6の前端を軸支するピボット軸Pが位置している。
したがって、スイングアーム6の揺動中心を伝動チェーン58に近づけることができるため、伝動チェーン58のテンションが安定しフリクションが低減される。
1…自動二輪車、6…スイングアーム、10…クランク軸、10p…クランクピン、11…クランクケース、11L…下側クランクケース、11U…上側クランクケース、12…シリンダブロック、13…シリンダヘッド、14…シリンダヘッドカバー、21f…スタッドボルト、23…締結ボルト、29,29r,29ru, 29rl…締付ボス部、50…変速機、51…メイン軸、53a…プライマリドライブギヤ、53b…プライマリドリブンギヤ、54…摩擦クラッチ、55…カウンタ軸、57a…出力スプロケット、57b…被動スプロケット、58…伝動チェーン。
Claims (2)
- 車両進行方向に対して直交する左右方向に指向したクランク軸を軸支するクランク室の後方に変速軸を軸支するミッション室を形成するクランクケースが、上側クランクケースと下側クランクケースに上下割りに構成され、
前記上側クランクケースと前記下側クランクケースの各割り面に互いに上下対向して対をなす複数の締付ボス部を有し、該複数の締付ボス部をそれぞれ締結ボルトが締付けることで前記上側クランクケースと前記下側クランクケースを一体化してクランクケースを形成する小型車両用内燃機関において、
前記変速軸の一端に前記クランク軸の動力を同変速軸に接続・遮断するクラッチが配設され、
前記複数の締付ボス部のうち最後部の締付ボス部が、車体前後方向で前記クラッチの後方部位と重なる位置にあることを特徴とする小型車両用内燃機関。 - 前記クラッチは、クランク軸側のドライブギヤに噛合するドリブンギヤとクラッチ機構とで構成され、
前記ドリブンギヤの外径が、前記クラッチ機構の外径より大きく構成され、
前記最後部の締付ボス部であって前記クラッチの背後に位置する締付ボス部が、前記クランクケースの割り面に軸支されるクランク軸のクランクピンとクランク軸方向で同一位置に形成されることを特徴とする請求項1記載の小型車両用内燃機関。
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