JP2007262930A - 小型車両用内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】クランクケースが上下割りに構成される内燃機関が小型車両に搭載されたとき、内燃機関より後方の車体のコンパクト化を図る。
【解決手段】車両進行方向に直交したクランク軸10を軸支するクランク室の後方に変速軸51を軸支するミッション室を形成するクランクケース11が、上側クランクケース11Uと下側クランクケース11Lに上下割りに構成され、上下クランクケースの各割り面に互いに上下対向して対をなす複数の締付ボス部29を有し、該複数の締付ボス部29をそれぞれ締結ボルト23が締付けることで上側クランクケース11Uと下側クランクケース11Lを一体化してクランクケースを形成する小型車両用内燃機関において、変速軸51の一端にクランク軸10の動力を同変速軸51に接続・遮断するクラッチ54が配設され、複数の締付ボス部29のうち最後部の締付ボス部29rが、車体前後方向でクラッチ54の後方部位と重なる位置にある小型車両用内燃機関。
【選択図】図3

Description

本発明は、自動二輪車等の小型車両用の内燃機関であって、特にクランクケースが上下割りに構成される内燃機関に関する。
自動二輪車に搭載される内燃機関であって、クランクケースが上下割りに構成される内燃機関としては、特許文献1に開示された例がある。
実公平2−13688号公報
同特許文献1に開示された内燃機関は、上下割りに構成された上側クランクケースと下側クランクケースを締結ボルトにより一体に締付ける複数の締付ボスのうち変速軸の一端に設けられた多板摩擦クラッチの背後の締付ボスが、車体前後方向で多板摩擦クラッチと重なることなく後方に離れている。
多板摩擦クラッチの背後の締付ボスは、多板摩擦クラッチのアウタと一体のアウタより径の大きいドリブンギヤとも重なることはなく後方に離れている。
このように、クランクケースにおけるクラッチの背後の締付ボスが、クラッチより後方に離れて位置することで、小型車両に搭載された内燃機関より後方の車体のコンパクト化が図り難い。
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、クランクケースが上下割りに構成される内燃機関が小型車両に搭載されたとき、内燃機関より後方の車体のコンパクト化を図ることができる小型車両用内燃機関を供する点にある。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、車両進行方向に対して直交する左右方向に指向したクランク軸を軸支するクランク室の後方に変速軸を軸支するミッション室を形成するクランクケースが、上側クランクケースと下側クランクケースに上下割りに構成され、前記上側クランクケースと前記下側クランクケースの各割り面に互いに上下対向して対をなす複数の締付ボス部を有し、該複数の締付ボス部をそれぞれ締結ボルトが締付けることで前記上側クランクケースと前記下側クランクケースを一体化してクランクケースを形成する小型車両用内燃機関において、前記変速軸の一端に前記クランク軸の動力を同変速軸に接続・遮断するクラッチが配設され、前記複数の締付ボス部のうち最後部の締付ボス部が、車体前後方向で前記クラッチの後方部位と重なる位置にある小型車両用内燃機関とした。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の小型車両用内燃機関において、前記クラッチは、クランク軸側のドライブギヤに噛合するドリブンギヤとクラッチ機構とで構成され、前記ドリブンギヤの外径が、前記クラッチ機構の外径より大きく構成され、前記最後部の締付ボス部であって前記クラッチの背後に位置する締付ボス部が、前記クランクケースの割り面に軸支されるクランク軸のクランクピンとクランク軸方向で同一位置に形成されることを特徴とする。
請求項1記載の小型車両用内燃機関によれば、複数対の締付ボスのうち最後部の締付ボス部が、車体前後方向でクラッチの後方部位と重なる位置にあるので、クランクケースの後端を可及的に前方に位置させ、内燃機関より後方の車体のコンパクト化を図ることができる。
請求項2記載の小型車両用内燃機関によれば、クラッチ機構とともにクラッチを構成するドリブンギヤの外径が、前記クラッチ機構の外径より大きく構成され、最後部の締付ボス部であってクラッチの背後に位置する締付ボス部が、クランクケースの割り面に軸支されるクランク軸のクランクピンとクランク軸方向で同一位置に形成されるので、クラッチを変速軸に組付ける際に、ドリブンギヤをクランクピンのあるクランクウエブ間に一度逃がしながら当該締付ボス部を乗り越えて変速軸に組付けることができ、組付け性を維持できる。
また、クランクケースの締結を隅部に近い位置に設定できるため、クランクケースの締結力を向上させることができる。
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図11に基づいて説明する。
本実施の形態に係る内燃機関Eを搭載する自動二輪車1の全体右側面図を図1に示す。
自動二輪車1の車体フレームは、ヘッドパイプ2aからメインフレーム2bが後方へ若干斜め下向きに延出しており、その後端部で下方に屈曲してセンタフレーム2cが連結され、メインフレーム2bの後部から後方へ若干上向きにシートレール2dが延出している。
このメインフレーム2bおよびセンタフレーム2cの屈曲する内側に内燃機関Eが懸架されている。
ヘッドパイプ2aに斜めに軸支されたステアリング軸3の下方に延びたフロントフォーク4の下端に前輪FWが軸支され、ステアリング軸3の上端からは左右に展開してハンドル5が延出している。
センタフレーム2cのピボット軸Pに前端を軸支されてスイングアーム6が後方に延びており、同スイングアーム6の後端部に後輪RWが軸支されている。
スイングアーム6に連結されたリンク機構7と車体フレームとの間にリヤクッション8が介装されている。
シートレール2dには運転者が乗るシート9が配設されている。
このような自動二輪車1に搭載される本実施の形態に係る内燃機関Eは、4つのシリンダを直列に配置した直列4気筒の水冷式内燃機関であり、自動二輪車にクランク軸10を左右方向に指向させて横置きに搭載される。
なお、本明細書において、車両前進方向を前方、その反対方向を後方とし、前進方向である前方を見て左手方向を左方、右手方向を右方と決めておく。
該内燃機関Eの左側面図を図2に、一部断面とした右側面図を図3に、一部省略した平面図を図4に示し、図1におけるV−V線で切断した断面図を図5に示す。
また、図5におけるVI−VI線で切断した概略断面図を図6に示す。
クランク軸10を軸支するクランクケース11は、クランク室11Cの後方にミッション室11Mを形成するもので、上下割りに構成され、上側クランクケース11Uのクランク室11Cを形成する前半部の上には4つのシリンダ12cを直列に配列して一体に成形されたシリンダブロック12とシリンダヘッド13が順に重ねられて幾らか前方に傾いて立設され、シリンダヘッド13の上にはシリンダヘッドカバー14が被せられる。
一方、下側クランクケース11Lの下にはオイルパン15が取り付けられる。
図5および図6を参照して、上側クランクケース11Uと下側クランクケース11Lの各ジャーナル壁11Uw,11Lwが、クランク軸10のジャーナル部10jを主軸受20を介して上下から挟むようにして支持してクランク軸10を回転自在に軸支する。
直列4気筒の内燃機関Eであるので、クランク軸10は5つのジャーナル部10jを有し、上側クランクケース11Uと下側クランクケース11Lの上下それぞれ5つジャーナル壁11Uw,11Lwによりクランク軸10は回転自在に支持される。
この上側クランクケース11Uと下側クランクケース11Lは、互いの割り面を合せてボルトにより一体に締結される。
図7を参照して、上側クランクケース11Uと下側クランクケース11Lの各5つのジャーナル壁11Uw,11Lwのそれぞれにおいて、クランク軸10を挟持する半円弧部を挟む前後にスタッドボルト21f,21rが下方から真っ直ぐ上方へ下側クランクケース11Lを貫通して上側クランクケース11Uの長尺のねじ孔に螺入して緊締している。
前側のスタッドボルト21fは、上側クランクケース11Uのねじ孔に螺入した後、先端をクランク室の空洞22aに突出開放しており、後側のスタッドボルト21rも上側クランクケース11Uのねじ孔に螺入した後、先端を上側クランクケース11Uにクランク軸10と平行に穿設された円孔22bに突出開放している。
したがって、スタッドボルト21f,21rの螺合緊締によりねじ孔周辺に作用する応力が一部に集中するのを低減することができる。
上側クランクケース11Uと下側クランクケース11Lは、上記スタッドボルト21f,21rだけでなく、主に前端縁部と後端縁部の所要箇所を複数の締結ボルト23により締結される(図6,図7参照)。
下側クランクケース11Lについてみると、クランクケース11の下面図である図7に示すように、前端縁部と後端縁部の締付ボス部29に締結ボルト23が螺着されている。
図5には下側クランクケース11Lの後部の割り面が後端縁部の締付ボス部29とともに示されており、後端縁部の締付ボス部29のうち最後部となる締付ボス部29rが4箇所ある。
そのうち右端の締付ボス部29rlは、変速ギヤ群51g,55gが収容されるミッション室11Mの外側にあって後記する摩擦クラッチ54,プライマリドリブンギヤ53bの背後の右後隅部の近傍に位置する。
クランクケース11を右側面から視た図3には、この下側クランクケース11Lの割り面の右後隅部の締付ボス部29rlとともに、これと対向する上側クランクケース11Uの締付ボス部29ruが図示されており、上下対をなし割り面で合わされた締付ボス部29ruと締付ボス部29rlが下方から挿入され螺着された締結ボルト23により締結されている。
そして、上側クランクケース11Uの上に幾らか前傾してシリンダブロック12が互いの合せ面を合せて重ねられ、同シリンダブロック12の上にシリンダヘッド13が重ねられて、上側クランクケース11Uのジャーナル壁11Uwに連続するシリンダブロック12とシリンダヘッド13の部分を、前後のスタッドボルト25f,25rが上方から貫通し、上側クランクケース11Uに穿設されたねじ孔26f,26rに螺入され一体に締結される。
実際には、上側クランクケース11Uの合せ面に穿設されたねじ孔26f,26rにスタッドボルト25f,25rの下端を螺合してスタッドボルト25f,25rを上方に突出した植設状態とし、このスタッドボルト25f,25rにシリンダブロック12の貫通孔を合せて貫通させて上側クランクケース11Uの合せ面の上にシリンダブロック12を重ね、次いでシリンダブロック12の貫通孔を貫通して突出したスタッドボルト25f,25rにシリンダヘッド13の貫通孔を合せて貫通させてシリンダブロック12の上側合せ面の上にシリンダヘッド13を重ねる。
そして、シリンダヘッド13の貫通孔を貫通して突出したスタッドボルト25f,25rの上端雄ねじ部に袋ナット27f,27rを螺着し緊締することで、袋ナット27f,27rとともにスタッドボルト25f,25rが、さらにねじ孔26f,26rに螺入してシリンダブロック12とシリンダヘッド13が上側クランクケース11Uに一体に締結される。
上側クランクケース11Uの中央3つのジャーナル壁11Uwには、ケース割り面に開口するように空洞28が形成されており、前側のねじ孔26fは、シリンダブロック12との合せ面から空洞28まで貫通している。
シリンダヘッド13とシリンダブロック12を貫通したスタッドボルト25fは、このねじ孔26fに螺入され、先端が一部空洞28に突出開放される。
したがって、スタッドボルト25fの螺合緊締により上側クランクケース11Uのねじ孔周辺に作用する応力が一部に集中するのを低減することができる。
このように上側クランクケース11Uに一体に締結されるシリンダブロック12の4つのシリンダのシリンダボア12cにピストン30が往復摺動可能に嵌合され、同ピストン30はコンロッド31を介してクランク軸10のクランクウエブ10w,10w間のクランクピン10pに連結される。
シリンダヘッド13には、シリンダボア12c毎に、ピストン30に対向して形成される燃焼室32と、燃焼室32に開口して1対の吸気弁35により開閉される吸気ポート33が後方へ延出し、1対の排気弁36により開閉される排気ポート34が前方に延出し、さらに燃焼室32に臨む点火プラグ37が装着される。
なお、吸気ポート33の上流側吸気通路管33bにはスロットルボディ33aが連結されて、その上流に図示しないが、吸気管が連結され、排気ポート34の下流側開口には排気管が連結される。
各吸気弁35および各排気弁36は、シリンダヘッド13に回転可能に軸支される吸気カム軸38および排気カム軸39によりクランク軸10の回転に同期して開閉駆動される。
そのために、各カム軸38,39は、右端部にカムスプロケット38s,39sが嵌着され、クランク軸10の右端部近傍に嵌着される駆動スプロケット10sとカムスプロケット38s,39sの間にタイミングチェーン40が掛け渡され(図3,図5参照)、クランク軸10の半分の回転速度で回転駆動される。
シリンダブロック12とシリンダヘッド13の右端部には、タイミングチェーン40を配設するためのカムチェーン室12cc,13ccが形成されており(図5参照)、カムチェーン室12cc,13ccにおいてカムチェーンガイド41,42がタイミングチェーン40に沿って前後に設けられ、後側のカムチェーンガイド42は、油圧式のカムチェーンテンショナ43によって付勢されてタイミングチェーン40を押さえつけ適当なテンションを与えている(図3参照)。
カムチェーンテンショナ43は、図3に示すようにシリンダヘッド13のカムチェーン室13ccの後壁から後方へ突出したテンショナホルダー13aに取り付けられる。
他方、図5を参照して、クランクケース11の左側壁をなす最も左側のジャーナル壁11Uw,11Lwから左方へ突出したクランク軸10の左端部には、交流発電機47のアウタロータ47rが嵌着され、交流発電機47に左方から被せられる発電機カバー48に交流発電機47の発電コイルを備えたインナステータ47sが支持されてアウタロータ47r内に配置される。
発電機カバー48内にあって、交流発電機47のアウタロータ47rの外周前方に近接してクランク軸10の回転数を検出する機関回転数検出装置であるパルサコイル49が、配置されている。
クランクケース11におけるクランク軸10を収容するクランク室11Cより後方のミッション室11M内に変速機50が配設されている。
変速機50は、常時噛合い式の歯車変速機であり、クランク軸10の後方で斜め上方位置にメイン軸51が上側クランクケース11Uに軸受52を介して回転自在に軸支され、クランク軸10の後方で上側クランクケース11Uと下側クランクケース11Lの割り面に挟まれてカウンタ軸55が軸受56を介して回転自在に軸支され、クランク軸10と平行なメイン軸51とカウンタ軸55にそれぞれ装着される変速ギヤ群51g,55gが互いに対となるギヤどうしを噛合しており、軸にスプライン嵌合しシフタとなるギヤの変速操作機構による移動によって変速がなされる。
図5に示すように、メイン軸51のミッション室11Mから右方に突出した右端部には多板式の摩擦クラッチ54が設けられている。
摩擦クラッチ54は、クラッチアウタ54oと一体にプライマリドリブンギヤ53bが備えられており、同プライマリドリブンギヤ53bはクランク軸10の右側から数えて2番目のクランクウエブ10wに形成されたプライマリドライブギヤ53aと噛合して1次減速機構を構成している。
プライマリドライブギヤ53aの外径は、摩擦クラッチ54のクラッチアウタ54oの外径より大きい。
摩擦クラッチ54の出力側であるクラッチインナ54iがメイン軸51にスプライン嵌合しており、よってクランク軸10の回転が1次減速機構53a,53bおよび摩擦クラッチ54を介してメイン軸51に伝達される。
そして、メイン軸51の回転は、変速ギヤ群51g,55gの噛合いを介してカウンタ軸55に伝達される。
カウンタ軸55は、出力軸でもあり、クランクケース11を左方に貫通して外部に突出させた左端部に出力スプロケット57aが嵌着され、後輪RWの被動スプロケット57bとの間に伝動チェーン58が掛け渡され2次減速機構が構成され、この2次減速機構を介して動力が後輪RWに伝達される(図1参照)。
図5に示すように、クランク軸10における駆動スプロケット10sより右側には始動用被動ギヤ63が一方向クラッチ64を介して軸支されている。
内燃機関Eを始動するスタータモータ60は、クランクケース11のミッション室11Mを形成する後半部の上面における左右方向中央(図4参照)で前寄り(図2参照)の位置に取り付けられている。
上側クランクケース11Uにおけるシリンダブロック12が結合される前半部の後方のミッション室11Mを形成する後半部の上壁は、右側部分が摩擦クラッチ54やプライマリドリブンギヤ53b等を収容すべく上方に大きく膨出しており、この膨出部11Uaの左側面に沿ってスタータモータ60が取り付けられる。
なお、摩擦クラッチ54等の右側はクラッチカバー59により覆われる(図4参照)。
該スタータモータ60の右方に突出した駆動ギヤ軸61は、上側クランクケース11Uの膨出部11Uaの側壁を内部に貫通しており、同駆動ギヤ軸61と前記始動用被動ギヤ63との間に減速ギヤ機構62が介装されている。
したがって、スタータモータ60の駆動による駆動ギヤ軸61の回転が減速ギヤ機構62により減速されて始動用被動ギヤ63に伝達され、始動用被動ギヤ63の回転が一方向クラッチ64を介してクランク軸10に伝達されて内燃機関Eが始動される。
図5に示すように、メイン軸51のプライマリドリブンギヤ53bの左隣りに駆動スプロケット65aが回転自在に軸支されるとともに、同駆動スプロケット65aは、突起を延ばしてプライマリドリブンギヤ53bの孔に嵌合させてプライマリドリブンギヤ53bと一体に回転するようになっている。
クランクケース11を下方から見た下面図である図7を参照して、メイン軸51の下方には下側クランクケース11Lにオイルポンプ70と水ポンプ100が左右に並んで取り付けられている。
右側(図7では左側)のオイルポンプ70は、下側クランクケース11Lの内部に下方からボルト72により取り付けられ、左側(図7では右側)の水ポンプ100は、下側クランクケース11Lの左側壁に外側から嵌挿してボルト104により取り付けられており、オイルポンプ70の左側に突出した駆動軸71と水ポンプ100の右側に突出した駆動軸101が同軸に連結されている。
オイルポンプ70の駆動軸71は、右方にも突出しており、その右端部に被動スプロケット65bが嵌着されている。
この被動スプロケット65bの上方に前記メイン軸51に設けられた駆動スプロケット65aが位置して、駆動スプロケット65aと被動スプロケット65bとの間に無端チェーン66が架渡される(図3参照)。
したがって、クランク軸10の回転が1次減速機構のプライマリドリブンギヤ53bと一体の駆動スプロケット65aから無端チェーン66を介して被動スプロケット65bに伝達され、被動スプロケット65bとともにオイルポンプ70の駆動軸71および水ポンプ100の駆動軸101を回転駆動する。
また、下側クランクケース11Lを下方から見た図7を参照して、中央側気筒に対応する中央のジャーナル壁11Uwの前部とその左隣り(図7では右隣り)のジャーナル壁11Uwの前部との間にバランサ室94が形成されて、同バランサ室94内において左右のジャーナル壁11Uw,11Uwにバランサ軸95aの両端が支持されて2次バランサ95が架設されている。
2次バランサ95は、図2に示す側面視でクランク軸10より下方斜め前方に位置する。
クランクケース11の前面図である図8を参照して、2次バランサ95は、バランサ軸95aにバランスウエイト95bがニードル軸受95cを介して軸支され、バランスウエイト95bのボス部外周にバランサドリブンギヤ96bが嵌着されている。
2次バランサ95のバランサドリブンギヤ96bは、クランク軸10のクランクウエブに形成されたバランサドリブンギヤ96bの2倍の歯数を有するバランサドライブギヤ96a(図5参照)に噛合している。
したがって、2次バランサ95は、クランク軸10の2倍の回転速度でバランスウエイト95bが回転して直列4気筒の内燃機関1の2次振動を吸収する。
油圧供給源である前記オイルポンプ70は、トロコイド式のポンプであり、駆動軸71と一体のインナロータがその周囲に噛み合うアウタロータを回転させ、ロータ間の容積変化でオイルを吸入・吐出させる。
オイルポンプ70の吸入口70aが下方に開口しており(図7参照)、同吸入口70aに吸入導管73が連結され、吸入導管73はオイルパン15内を下方に延出して下端部をオイルパン15の底面に接近させてオイルストレーナ74を配設している(図3参照)。
したがって、オイルポンプ70が駆動されると、オイルパン15に溜まったオイルがオイルストレーナ74を介して吸入導管73に導かれて汲み上げられる。
オイルポンプ70の吐出口70bも下方に開口しており、図3および図7に示すように、同吐出口70bに第1のオイル供給路A1を形成するオイル供給管75の一端が連結され、オイル供給管75はオイルパン15内を下方に迂回して前方斜め右寄り(図7で左寄り)に延出し、下側クランクケース11Lの前面の右端近傍に突設されたオイルフィルタ76の流入口76a(図8参照)から後方へ穿設された第2のオイル供給路A2の端部の下方に開口した入口75aに、他端が連結されている。
図7および図8を参照して、下側クランクケース11Lの前面には、右端近傍に配置されたオイルフィルタ76の左側(図7,図8では右側)に並んでオイルクーラ77が突設されており、下側クランクケース11Lの前面のオイルクーラ77が取り付けられる部分にはオイルクーラ77の流入ポート78aと流出ポート78bを構成するオイルクーラハウジング78が形成されている。
オイルクーラハウジング78の左隣りに前記バランサ95が配置されている(図7参照)。
図7に示すように、オイルフィルタ76の後方に突出した流出筒76bは、左右方向に穿設された第3のオイル供給路A3に連通しており、第3のオイル供給路A3はオイルクーラハウジング78の流入ポート78aに連通している。
そして、オイルクーラハウジング78の中心部の流出ポート78bからは後方に向けて第4のオイル供給路A4が穿設されている(図7,図8参照)。
この第4のオイル供給路A4に直交するように第5のオイル供給路であるメインギャラリA5がクランク軸10の下方にクランク軸10と平行に穿設されている。
メインギャラリA5は、下側クランクケース11Lの5つのジャーナル壁11Lwを貫通しており、各ジャーナル壁11Lwにおいて各ジャーナル軸受部に向けてオイル分岐供給路A6が穿設されている。
なお、図3を参照して、オイル供給路A4の後端部からは、後方の変速機50側に斜め上向きにオイルを供給するオイル供給路B1が穿設され、同オイル供給路B1に連続して上側クランクケース11Uにメイン軸51の軸受部にオイルを供給するオイル供給路B2が穿設されている。
また、図3および図7を参照して、下側クランクケース11Lにおいて、オイル供給路B1の途中から右方に向けてカムチェーンテンショナ43にオイルを供給する第1のオイル供給路C1が分岐して穿設されており、第1のオイル供給路C1は最も右側のジャーナル壁11Lwまで至り、その右端部から上方へ屈曲して割り面に開口している。
この第1のオイル供給路C1の開口に対向して上側クランクケース11Uの最も右側のジャーナル壁11Uwの割り面に適当な容積の凹部があり、凹部の開口が下側クランクケース11Lのジャーナル壁11Lwの割り面により第1のオイル供給路C1の開口を除いて蓋をされることで、凹部はオイル溜り室Caを構成する。
上側クランクケース11Uにおいて、ジャーナル壁11Uwの割り面に沿ったオイル溜り室Caからは、第2のオイル供給路C2がシリンダブロック12との合せ面に向かい斜めに穿設されている。
第2のオイル供給路C2は、シリンダブロック12の右側壁の後部に穿設された第3のオイル供給路C3に連続する。
シリンダブロック12において第3のオイル供給路C3は、上側クランクケース11Uとの合せ面からシリンダ軸方向に穿設された後、後方に一度屈曲し再び屈曲してシリンダヘッド13との合せ面に向かい合せ面に形成されたラビリンス構造部Cbを経てシリンダヘッド13に穿設された第4のオイル供給路C4に連通する。
第4のオイル供給路C4はL字に屈曲してカムチェーンテンショナ43の流入口に接続されてオイルをカムチェーンテンショナ43に供給することになる。
途中のラビリンス構造部Cbは、シリンダブロック12とシリンダヘッド13の合せ面において両者間を行き来する迷路を形成したもので、フィルタとしての効果を備える。
一方、図3および図8を参照して、下側クランクケース11Lにおけるオイルクーラハウジング78の流出ポート78bから真上に向かってピストン冷却用のオイルを供給する第1のオイル供給路D1が上側の割り面まで穿設されている。
なお、オイルクーラハウジング78の流出ポート78bからは左隣りのバランサ95のバランサ軸95aに向けて連通孔98も形成されていてバランサ95の潤滑にオイルが供されるようになっている(図7,図8参照)。
上側クランクケース11Uの5つのジャーナル壁11Uwのうち中央のジャーナル壁11Uwに形成された前記空洞28は、ケース割り面に開口しており、上側クランクケース11Uの割り面においてこの中央の空洞28の開口と前記第1のオイル供給路D1が対向する部分まで第2のオイル供給路D2を構成する溝が形成されている(図8参照)。
すなわち、第2のオイル供給路D2は、上側クランクケース11Uに形成された溝の開口の一部を、下側クランクケース11Lの割り面が蓋をする形で構成される。
第1のオイル供給路D1の上端部で割り面の第2のオイル供給路D2との接続箇所に複数の小さな孔部からなるフィルタ80が介装されている。
第2のオイル供給路D2が連通する上側クランクケース11Uの中央のジャーナル壁11Uwに形成された空洞28は、下側クランクケース11Lの割り面により蓋をされて第3のオイル供給路でもあるが適当な容積を有して一時オイルを溜めておけるオイル溜り室Daとなる。
図9を参照して、このオイル溜り室Daの上部空間に、左右両側から直線状をした管状部材である左右のピストン冷却用のオイル噴射用配管81L,81Rが、その内端部を嵌入させて左右外側方に延びている(図9では左右が逆である)。
左右のオイル噴射用配管81L,81Rには、5つの隣り合うジャーナル壁11Uwの各中間位置に上方のシリンダボア12cに向けてオイル噴射孔であるオイルジェット81Lj,81Rjが左右2つずつ穿孔されている。
オイル溜り室Daを形成する左右の側壁には所定位置に同軸に円孔が形成されて、同円孔に左右のオイル噴射用配管81L,81Rの内端部がカラー82,82およびOリング83,83を介して嵌入されて内端部の開口であるオイル導入口をオイル溜り室Daに臨ませている。
そして、左右のオイル噴射用配管81L,81Rは、中央のジャーナル壁11Uwに隣り合う左右両側のジャーナル壁11Uw,11Uwの円孔84,84を貫通して、外端部が左右最外側のジャーナル壁11Uw,11Uwに形成された円孔85,85に挿入されている。
左右のオイル噴射用配管81L,81Rの外端部には筒状のキャップ部材86L,86Rが被せられている。
キャップ部材86L,86Rは、軸方向に大小の内径と大小の外径が形成されており、オイル噴射用配管81L,81Rの外径に等しい大内径部にオイル噴射用配管81L,81Rが圧入される形でキャップ部材86L,86Rが被せられる。
キャップ部材86L,86Rの大外径部が、左右最外側のジャーナル壁11Uw,11Uwに形成された円孔85,85に圧入されて、オイル噴射用配管81L,81Rの外端部がキャップ部材86L,86Rを介して左右最外側のジャーナル壁11Uw,11Uwに固着支持される。
キャップ部材86L,86Rの大外径部の一部と小外径部は外側に突出している。
そして、左側キャップ部材86Lの小内径部の外側開口に、オイル噴射孔であるオイルジェット87Ljが形成された円筒状をしたオイルジェット部材87Lが圧入され、右側キャップ部材86Rの小内径部の外側開口には、栓部材87Rが圧入されて開口を閉塞している。
キャップ部材86L,86Rの外側に突出した小外径部に、板状の取付けステー88L,88Rの先端部円孔が圧入嵌着される。
取付けステー88L,88Rの基端部円孔88La,88Raは、左右最外側のジャーナル壁11Uw,11Uwの各々所定位置に形成されたねじ孔89L,89Rに合せてワッシャ91L,91Rを介して締結ボルト90L,90Rにより外側から螺合して緊締される。
こうして上側クランクケース11Uの5つのジャーナル壁11Uwを貫通して取り付けられた左右のオイル噴射用配管81L,81Rは、各オイルジェット81Lj,81Rjが対応するシリンダボア12c内のピストン30に向いてオイルをピストン30に効果的に噴射してピストン30を効率良く冷却することができる。
また、左側のオイル噴射用配管81Lは、左端にオイルジェット部材87Lが圧入されて、オイルジェット部材87Lのオイルジェット87Ljから左方にオイルを噴射するようになっている。
オイルジェット87Ljは、交流発電機47に直接でなく、交流発電機47のアウタロータ47rの外周面と発電機カバー48の内周面との間の環状空間にオイルを噴射して交流発電機47を冷却する。
本水冷式内燃機関Eは、互いの駆動軸71と駆動軸101が連結されてオイルポンプ70と連動して回転駆動される水ポンプ100を、冷却水の供給源とする冷却系を構成している。
本内燃機関Eの冷却系において、図2を参照して、水ポンプ100は、前記したように下側クランクケース11Lの左側壁の後部に取り付けられており、内燃機関Eの前方にラジエータ105が配置され、そしてサーモスタットケース110がシリンダヘッド13の右端気筒の吸気ポート33の下側から後方に延出した冷却水出口である冷却水排出管108に連結されて取り付けられている。
サーモスタットケース110には、ワックスタイプのボトムバイパス式サーモスタットが内蔵されている。
水ポンプ100は、駆動軸101と一体に回転するインペラ102を収納するポンプ室が、駆動軸101を軸支するポンプボディ100aとポンプカバー100bとで構成されており(図7参照)、このポンプカバー100bの吸入口の前方に延出した接続管103aに一端を接続したラジエータ流出ホース107が、下側クランクケース11Lの左側面の下部に沿って配設されラジエータ105の流出口に他端を接続している。
また、ポンプカバー100bの同じ吸入口の上方に延出した接続管103bに一端を接続したバイパス用ホース112が、下側クランクケース11Lと上側クランクケース11Uのミッション室11Mを形成する後半部の左側面の後部に沿って上方に延び、上側クランクケース11Uの後半部の上面を前方斜め右側に屈曲してスタータモータ60の左側を通り、図4の上面視でスタータモータ60とシリンダブロック12およびシリンダヘッド13との間を右方斜め上側に延びてサーモスタットケース110の上部に他端を接続している。
また、水ポンプ100のポンプカバー100bの吐出口から延出した接続管103cに一端を接続した冷却水供給管であるポンプ吐出ホース113が下側クランクケース11Lと上側クランクケース11Uの左側面の後部に沿って上方に延び、前方に屈曲してシリンダブロック12の左側面に突設された管継手部材115の斜め後方に延出した流入接続管115bに他端を接続している。
管継手部材115は、シリンダブロック12との合せ面に縦長に開口した内空間115aが形成されていて、その開口端縁のフランジ部が3箇所ボルト116によりシリンダブロック12に締結されて取り付けられている(図2,図5参照)。
図5に示すように、シリンダブロック12の左側壁には、管継手部材115の内空間115aの開口に対向して上下に仕切られた下側冷却水入口120と上側冷却水入口121とが形成されており、下側冷却水入口120はシリンダブロック12のシリンダボア12cの周囲に形成された第1ウォータジャケット12wに連通し、上側冷却水入口121は上方に屈曲した連通孔122がシリンダヘッド13の連通孔123に連続し、連通孔123がシリンダヘッド13の第2ウォータジャケット13wに連通する。
また、図2に示すように、管継手部材115は斜め前方に分岐接続管115cが延出しており、同分岐接続管115cに一端を接続したオイルクーラ用の流入ホース117が斜め前下方向に延出して下側クランクケース11Uの前面に突設されたオイルクーラ77の水流入口に他端を接続している。
オイルクーラ77の水流出口から延出した流出ホース118は前記ラジエータ流出ホース107に連結されてオイルクーラ77を経た冷却水を、ラジエータ流出ホース107の一部を利用して水ポンプ100に戻している。
本内燃機関Eの冷却系は、以上のように構成されており、水ポンプ100の駆動により吐出した冷却水は、ポンプ吐出ホース113を通ってシリンダブロック12の管継手部材115に至り、シリンダブロック12の左側壁の下側冷却水入口120と上側冷却水入口121に分岐し、下側冷却水入口120に流入した冷却水はシリンダブロック12の第1ウォータジャケット12wを右方に流れてシリンダブロック12を冷却し、上側冷却水入口121に流入した冷却水は連通孔122,123を経てシリンダヘッド13の第2ウォータジャケット13wを右方に流れてシリンダヘッド13を冷却する。
シリンダブロック12とシリンダヘッド13の合せ面に挟まれるガスケットがシリンダブロック12の第1ウォータジャケット12wとシリンダヘッド13の第2ウォータジャケット13wとを仕切っているが、右端の一部に連通孔が穿孔されていて、第1ウォータジャケット12wから第2ウォータジャケット13wにシリンダブロック12を冷却した冷却水が流入し、第1ウォータジャケット12wと第2ウォータジャケット13wを互いに独立して流れた冷却水が合流し、シリンダヘッド13の後面の右端部で後方に延出した冷却水排出管108から流出しサーモスタットケース110に至る。
サーモスタットケース110により内燃機関Eの暖機状態に応じてラジエータ105への冷却水の流通および遮断を制御する。
一方、水ポンプ100よりポンプ吐出ホース113に吐出した冷却水は、管継手部材115からシリンダブロック12の下側冷却水入口120と上側冷却水入口121に分流するとともに、管継手部材115の内空間115aで流入ホース117にも分流してオイルクーラ77に至り、オイルクーラ77から流出ホース118を通ってラジエータ流出ホース107の一部を介して水ポンプ100に戻る循環を行ってオイルを冷却する。
本内燃機関Eは、概ね以上のように構成されており、クランク室11Cとミッション室11Mを形成するクランクケース11は、上下割りに構成されて、前記したように上側クランクケース11Uと下側クランクケース11Lが割り面で合わされてスタッドボルト21f,21rおよび複数の締結ボルト23により締結される。
下側クランクケース11Lにおける後端縁部の最後部となる4つの締付ボス部29rのうち代表して右端の締付ボス部29rlおよびこれと対向する上側クランクケース11Uの締付ボス部29ruは、クランクケース11を右側面から視た図3を参照して、車体前後方向で前記摩擦クラッチ54の後方部位と重なる位置にある。
メイン軸51は、クランク軸10の後方で上側クランクケース11Uと下側クランクケース11Lの割り面に挟まれ軸支されるカウンタ軸55の上方で若干前寄りに位置しており、同メイン軸51の右端に設けられる大径の摩擦クラッチ54の後方部位が締付ボス部29ru,29rlの上方に位置する。
このようにクランクケース11の最後部の締付ボス部29rが、車体前後方向で摩擦クラッチ54の後方部位と重なるまで前方に位置しているので、内燃機関Eより後方の車体のコンパクト化を図ることができる。
クランクケース11の割り面に軸支されるカウンタ軸55は、出力軸でもあり、クランクケース11を左方に貫通して外部に突出させた左端部に出力スプロケット57aが嵌着され、後輪RWに動力を伝達する伝動チェーン58が出力スプロケット57aに巻き掛けられている。
そして、クランクケース11の割り面の後端部の締付ボス部29r(29rl)の後方には、図3に示すように、スイングアーム6の前端を軸支するピボット軸Pが位置している。
クランクケース11の最後部の締付ボス部29rが、車体前後方向で摩擦クラッチ54の後方部位と重なるまで前方に位置しているので、図1および図3を参照して、ピボット軸Pを出力スプロケット57aにより近づけて近接配置することができる。
したがって、スイングアーム6の揺動中心を伝動チェーン58に近づけることができるため、伝動チェーン58のテンションが安定しフリクションが低減される。
また、スイングアーム6の前端の揺動中心(ピボット軸P)を内燃機関Eに可及的に近づけ車体のより前方に位置させることで、ホイールベースを長大化することなく揺動中心から後輪車軸までのスイングアーム長を確保することが可能となり、車両の運動性能の向上を図ることができる。
このように、クランクケース11の割り面の後端部の締付ボス部29rのうち右端の締付ボス部29rlは、上側クランクケース11Uの締付ボス部29ruとともに、摩擦クラッチ54の後方部位の下方に位置し(図3,図5参照)、同締付ボス部29rl,29ruの位置は図5に示すようにクランクケース11の割り面に軸支されるクランク軸10の右端のクランクピン10pとクランク軸方向で同一位置にある。
締付ボス部29rl,29ruを、前方の摩擦クラッチ54のクラッチアウタ54oに可及的に近づけているので、クラッチアウタ54oの左側面に当接固定された大径のプライマリドリブンギヤ53bは、図3に示すように、その外周の歯部(図3に2点鎖線で示すプライマリドリブンギヤ53bの最大径円)が締付ボス部29ruと側面視で重なり、締付ボス部29ruより左側(図3の右側面視で奥側)に位置する。
プライマリドリブンギヤ53bを備えた摩擦クラッチ54は、メイン軸51の右端部に右方から組付けられるので、メイン軸51と中心軸を同軸にプライマリドリブンギヤ53bを組み込もうとすると、締付ボス部29ruが干渉して締付ボス部29ruの左側(奥側)に組み込むことができない。
しかし、締付ボス部29ruはクランク軸10の右端のクランクピン10pとクランク軸方向で同一位置にあるので、クランク軸10のクランクピン10pのある一対のクランクウエブ10w,10w間に一度プライマリドリブンギヤ53bを逃がしながら当該締付ボス部29ruを乗り越えて締付ボス部29ruの左側(奥側)に組み込むことで摩擦クラッチ54をメイン軸51に組付けることができ、組付け性を維持できる。
また、締付ボス部29rl,29ruは、クランクケース11の割り面の右後隅部の近傍に位置するので、上側クランクケース11Uと下側クランクケース11Lの締結を隅部に近い位置で行うことができ、上側クランクケース11Uと下側クランクケース11Lの締結力を向上させることができる。
本発明の一実施の形態に係る内燃機関を搭載した自動二輪車の全体右側面図である。 本内燃機関の左側面図である。 同一部省略した右側面図である。 同一部省略した平面図である。 図2におけるV−V線で切断した断面図である。 図5におけるVI−VI線で切断した概略断面図である。 クランクケースの下面図である。 クランクケースの前面図である。 上側クランクケースの断面図である。
符号の説明
E…内燃機関、FW…前輪、RW…後輪、P…ピボット軸、
1…自動二輪車、6…スイングアーム、10…クランク軸、10p…クランクピン、11…クランクケース、11L…下側クランクケース、11U…上側クランクケース、12…シリンダブロック、13…シリンダヘッド、14…シリンダヘッドカバー、21f…スタッドボルト、23…締結ボルト、29,29r,29ru, 29rl…締付ボス部、50…変速機、51…メイン軸、53a…プライマリドライブギヤ、53b…プライマリドリブンギヤ、54…摩擦クラッチ、55…カウンタ軸、57a…出力スプロケット、57b…被動スプロケット、58…伝動チェーン。

Claims (2)

  1. 車両進行方向に対して直交する左右方向に指向したクランク軸を軸支するクランク室の後方に変速軸を軸支するミッション室を形成するクランクケースが、上側クランクケースと下側クランクケースに上下割りに構成され、
    前記上側クランクケースと前記下側クランクケースの各割り面に互いに上下対向して対をなす複数の締付ボス部を有し、該複数の締付ボス部をそれぞれ締結ボルトが締付けることで前記上側クランクケースと前記下側クランクケースを一体化してクランクケースを形成する小型車両用内燃機関において、
    前記変速軸の一端に前記クランク軸の動力を同変速軸に接続・遮断するクラッチが配設され、
    前記複数の締付ボス部のうち最後部の締付ボス部が、車体前後方向で前記クラッチの後方部位と重なる位置にあることを特徴とする小型車両用内燃機関。
  2. 前記クラッチは、クランク軸側のドライブギヤに噛合するドリブンギヤとクラッチ機構とで構成され、
    前記ドリブンギヤの外径が、前記クラッチ機構の外径より大きく構成され、
    前記最後部の締付ボス部であって前記クラッチの背後に位置する締付ボス部が、前記クランクケースの割り面に軸支されるクランク軸のクランクピンとクランク軸方向で同一位置に形成されることを特徴とする請求項1記載の小型車両用内燃機関。


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