JP2007260718A - シーム溶接用電極 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Cu又はCu合金からなる電極本体の被溶接材に当接する当接面2に、W又はMo若しくはそれらを基材とする合金からなる芯材4を埋設した二重構造のシーム溶接用電極1において、前記当接面の幅寸法をW0、芯材の幅寸法をW1とするとき、幅寸法比率W1/W0を0.7〜3.0の範囲とする。
【選択図】図1
Description
また、特許文献2、3では、導電率が70IACS%以上でビッカース硬さが90〜160の材料の本体に、導電率が20IACS%以上でビッカース硬さが130〜200である銅合金の芯材を被溶接材との当接面幅に対して0.4〜0.85の範囲で埋め込んだ構造のシーム溶接用電極が提案されている。
本発明は上記の従来電極における欠点を解消すべく、めっき金属との難反応性や高強度特性、高熱伝導特性などを考慮して、長期間の使用にわたって安定した品質の溶接部を形成できるシーム溶接用電極を提供することを目的とする。
芯材となるW又はMo若しくはそれらを基材とする合金には、2A族元素、4A族元素、5A族元素、6A族元素又は希土類元素の酸化物、窒化物、炭化物及び硼化物から選ばれる少なくとも一種以上の微粒子を分散させた複合材を使用することができる。また、微粒子は、その分散割合を0.5〜10体積%の範囲で選定し、平均粒子径を2μm以下としたものを分散させることが好適である。
先ず、Cu又はCu合金製電極本体が被溶接材に当接する面に、電気伝導性、熱伝導性に優れた高強度のWやMoからなる芯材を埋設した二重構造電極に着目し、電極構成材料および芯材と周囲材との大小関係を種々変更した溶接用電極を用いてZn系めっき鋼板をシーム溶接し、電極寿命を調査した。
その結果、電極本体にCu又はCu合金を、芯材にW、W合金、Mo又はMo合金を用いたシーム溶接用電極では、被溶接材に接触する当接面の幅寸法をW0、芯材の幅寸法をW1とするとき、W1/W0=0.7〜3.0の範囲に設定することが電極の長寿命化に有効であることを確認した。
そこで、Wを芯材に用い、芯材を取り囲む電極本体を純Cu製とした溶接用電極において、芯材の幅を種々変更し、純Cu製周囲材の被溶接材への当接状況の違い、すなわち、芯材/当接面の幅寸法比率と電極寿命の関係を調査した。
なお、連続溶接する場合の初期ナゲット幅、すなわち溶接開始時に形成されるナゲットの電極幅方向の寸法を何れの電極でも同一になるような溶接条件とした。
ところで、MoもWとほとんど同じ挙動を示す金属であるから、Wで得られた結果は、Mo、W合金、Mo合金でも援用できる。
W、W合金、Mo又はMo合金は、Cuと比較してめっき金属に対する合金化反応性が低い。このため、当接面2の幅W0より芯材4の幅W1が大きい場合、Cu製周囲材3がめっき金属と接触せず、Cuとめっき金属との合金化反応が生じない。W1/W0≧0.7の幅W1の芯材4であれば、周囲材3がめっき金属と多少接触するものの、接触面積が少ないため周囲材3とめっき金属との合金化による変形が幅を大きくするまでには到らず、電極全体として先端部形状を変形させることにはならない。
すなわち、溶接時には当接面が発熱し、その面を中心に熱膨張するが、温度変化が急激でW、W合金、Mo又はMo合金の熱伝導率が低いため熱膨張が当接面付近に留まり、熱が伝わりにくい外周近傍では熱膨張量が少ない。当接面とその外周で異なる熱膨張は熱応力の発生原因であり、結果として当接面付近で芯材に割れを誘発させる。かかる熱膨張差に起因する欠陥は、当接面やその周辺を高融点材料であるWやMoとし、電極本体を熱伝導性の良好なCu又はCu合金とすることにより防止できる。
芯材のW、W合金、Mo又はMo合金は、CuやCu合金と比べるとめっき金属との合金化反応性は低いが、皆無ではない。また、W、W合金、Mo又はMo合金は硬質であるため加圧時の衝撃で割れ発生しやすい欠点もある。そこで、めっき金属との合金化反応性を低く、かつ耐衝撃性に優れるように改良したW、W合金、Mo又はMo合金を芯材に使用すると電極寿命の延びが予測される。
微粒子分散は、芯材に生じがちな微細割れを抑制する上でも有効である。これらの微粒子は、AlやZnとの反応性に乏しいため、シーム溶接時に芯材であるW、W合金、Mo又はMo合金にめっき金属が濡れ難くし、W、W合金、Mo又はMo合金とめっき金属との合金化反応を抑制する。
めっき金属の溶着を確実に抑制するためには、芯材に分散させる微粒子、めっき金属成分の双方の物性に着目する必要がある。例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ti、Zr、Y、Ce等の酸化物は、MgOより標準生成自由エネルギーが低い又は同レベルであるため、Zn−Al−Mg合金めっき鋼板をシーム溶接する際にめっき金属中のMgが金属酸化物の還元反応で酸化することはない。その結果、MgOの生成・堆積が抑制される。
微粒子は改良効果を得る上で0.5体積%以上分散させることが好ましいが、10体積%を超えると電気伝導性が大きく低下し、電極先端へのめっき金属の堆積量が多くなり、これによって電極と被溶接材での電気抵抗が高くなって被溶接材間に十分な溶接電流が通電しにくくなるためナゲット形成が不十分になってしまう。
また、含有させる微粒子の粒子径は、2μm以下にすることが好ましい。2μmを超える微粒子を含有させると熱膨張率の差によって芯材の破壊の起点になりやすい。
芯材の形状にするには、必要に応じて微粒子を加えたW、W合金、Mo又はMo合金の酸化物粉末あるいは金属粉末を還元雰囲気で熱処理し、得られた粉末を適宜形状に成形して仮焼結、通電焼結した後、焼結体をプレス加工して板状にする。その後、機械加工を施して必要形状・寸法の芯材を得る。
芯材を周囲材に埋め込む態様も、従来法をそのまま適用できる。穿った孔に芯材を圧入しても良いし、ロウ材を介して挿し込んでも良い。或いは焼き嵌めを行っても良いし、芯材を周囲材で鋳包んだ後冷間鍛造を施しても良い。芯材と周囲材が密に接合されていれば、電気伝導、熱伝導の点で問題になることはない。
二重構造の電極構造体を形成した後、先端に研削加工を施して所要の形状に整える。
Zn−6%Al−3%Mg合金めっきを片面当り60g/m2で施した板厚0.8mmの2枚のZn−Al−Mgめっき鋼鈑を、先端幅が6mm、全体幅が20mmのCF形で、全体径が260mmの二重構造の電極輪であって、芯材には純度99.95%のW粉末を通電焼結した後にプレス成形と切削加工を行って高さ6mm、外径260mm、内径250mmのリング形状とし、周囲材の純Cuに埋め込んだ。
表1に示す溶接条件にて溶接を行なって電極寿命を調査した。電極寿命は、溶接距離で10mごとに溶接部の横断面観察を行い、電極輪・幅方向のナゲット幅を測定し、その幅が4√t=3.58mm(t:材料板厚)を下回る距離とした。
幅寸法比率が0.7〜3.0の範囲では、一体型の1%Cr−Cu電極輪よりも大幅に電極寿命改善されて、800m以上となっていた。
これに対して、幅寸法比率が0.7に満たなくても、また3.0を上回っていても、電極寿命の延長は見られなかった。
粒子径0.5μmのCeO2粉末を種々の配合割合で分散させたWを芯材とし、電極寿命に及ぼすCeO2粉末の含有量と幅寸法比率の影響を調査した。
芯材にCeO2粉末を含有させた以外は、実施例1と同じである。
結果を表3に示す。
CeO2粉末の含有量が0.5〜10体積%で、幅寸法比率が0.7〜3.0の条件では、800m以上の電極寿命で改善効果が見られた。
これに対して、CeO2粉末含有量が0.5体積%未満でも幅寸法比率の効果で電極寿命は800m以上となったが、芯材先端には比較的多くのめっき金属が堆積していた。また、CeO2粉末含有量が10体積%を超えると寿命改善作用が消滅していた。これは、電極先端へのめっき金属の堆積量が多くなり、電極と被溶接材での電気抵抗が高くなってナゲット形成が不十分になってしまうためと予測される。
粒子径と材質を種々変更した微粒子を、1体積%分散させたWを芯材として電極寿命を調査した。
芯材に微粒子を含有させた場合と幅寸法比率を1.0にしたこと以外は、実施例1と同じである。
結果を表4に示す。
粒子径が2μm以下の微粒子をWに分散させた場合は、電極寿命が大幅に延びた。電極寿命の改善は、2A族元素、4A族元素、5A族元素、6A族元素又は希土類元素の化合物である限り、微粒子の種類に拘らず有効であった。
また、CeO2の微粒子の粒子径を0.5〜3μmで変更した場合は,粒子径が2μm以下で電極寿命の改善効果が見られた。
W1:芯材幅
Claims (5)
- Cu又はCu合金からなる電極本体の被溶接材に当接する当接面に、W又はMo若しくはそれらを基材とする合金からなる芯材を埋設した二重構造を持ち、前記当接面の幅寸法をW0、芯材の幅寸法をW1とするとき、幅寸法比率W1/W0が0.7〜3.0の範囲であることを特徴とするシーム溶接用電極。
- 芯材が、W又はMo若しくはそれらを基材とする合金に、2A族元素、4A族元素、5A族元素、6A族元素又は希土類元素の酸化物、窒化物、炭化物及び硼化物から選ばれる少なくとも一種以上の微粒子を分散させた複合材で作製されている請求項1記載のシーム溶接用電極。
- 芯材が、W又はMo若しくはそれらを基材とする合金に、Be、Mg、Ca、Sr、Ti、Zr、Y、Ceの酸化物から選ばれた一種又は二種以上の微粒子を分散させた複合材からなるものである請求項1に記載のシーム溶接用電極。
- 微粒子を0.5〜10体積%の割合で分散させたものである請求項2又は3に記載のシーム溶接用電極。
- 微粒子の平均粒子径が2μm以下である請求項2〜4のいずれかに記載のシーム溶接用電極。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN105364286A (zh) * | 2015-08-18 | 2016-03-02 | 上海空间推进研究所 | 一种用于钛合金板与不锈钢网片间滚焊的电极 |
JP2019150832A (ja) * | 2018-02-28 | 2019-09-12 | 本田技研工業株式会社 | 亜鉛メッキ鋼板の溶接用電極および亜鉛メッキ鋼板のシーム溶接装置 |
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