JP2019150832A - 亜鉛メッキ鋼板の溶接用電極および亜鉛メッキ鋼板のシーム溶接装置 - Google Patents

亜鉛メッキ鋼板の溶接用電極および亜鉛メッキ鋼板のシーム溶接装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電極外周部の熱伝導性と電極の冷却性が向上され、亜鉛メッキ鋼板用シーム溶接の品質を向上させることができる亜鉛メッキ鋼板の溶接用電極および亜鉛メッキ鋼板のシーム溶接装置を提供する。【解決手段】亜鉛メッキ鋼板の接合フランジ部をシーム溶接する亜鉛メッキ鋼板の溶接用電極において、シーム溶接の電極本体部を円盤形状からなるモリブデン又はタングステン材とし、この円盤形状の電極本体部の少なくとも外周端縁側の両側面に平板状外周面を備え、該平板状外周面にクロム又はニッケル系の被膜層を備えた。【選択図】図2

Description

本発明は、亜鉛メッキ鋼板の溶接用電極および亜鉛メッキ鋼板のシーム溶接装置に関する。
従来、メッキ鋼板のシーム溶接電極の材料を銅に替えてタングステンやモリブデンを使うことについては公知である(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、電極割れ防止のため電極芯材をタングステンやモリブデンの粉末を焼結させて製造した燒結合金で作り、それをローラに埋設して一体化し、その芯材を銅製の電極本体で取り囲んだ二重構造としていた。
また、従来、電極当接面から電極外周への熱伝導を補助するため、電極取付軸に冷却水通路を設け、ローラ電極の表面と裏面の両面を内部冷却水路から水を循環させて冷やすことも知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2007−260718号公報 特許第3909193号公報
特許文献1の様に、タングステンやモリブデンの燒結合金の芯材を銅製の電極本体で取り囲んだ二重構造とすることで、電極本体の銅がとけて亜鉛メッキ鋼板の母材である鉄の中に溶け込んで合金化する現象、所謂、「銅差し」の発生を防止しながら銅の熱伝導性を利用して冷却性が高められるが、燒結製芯材と銅電極の両方が使用時に擦り減った場合は全体を交換せざるを得ないため、ランニングコストが高くなる。
特許文献2の様に、ローラ電極の表面と裏面の両面を内部冷却水で冷やす場合は、ローラ電極の電極部であり、電極の当接面に近いため電極外周縁部は熱が高く冷却が不足し易い。また電極材として銅以外の電極材とする場合は冷却不足や酸化層による溶接電流の減少などの溶接品質維持のための課題を有していた。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、電極外周部の熱伝導性と電極の冷却性が向上され、亜鉛メッキ鋼板用シーム溶接の品質を向上させることができる亜鉛メッキ鋼板の溶接用電極およびシーム溶接装置を提供することを目的とする。
本発明は、亜鉛メッキ鋼板の接合フランジ部(101a、102a)をシーム溶接する亜鉛メッキ鋼板の溶接用電極において、シーム溶接の電極本体部(21、22)を円盤形状からなるモリブデン又はタングステン材とし、この電極本体部(21、22)の少なくとも外周端縁(21a、22a)側の両側面に平板状外周面(21b、22b)を備え、該平板状外周面(21b、22b)にクロム又はニッケル系の被膜層(23、24)を備えたことを特徴とする。
上記発明において、前記被膜層(23、24)は、クロムに窒素を飽和させたクロム膜であっても良い。
また、上記発明において、前記電極本体部(21、22)の径方向中央側に取付部(21d、22d)を有し、前記電極本体部(21、22)より熱伝導率の高い導電部材(31、41)を当接させた状態で、前記電極本体部(21、22)と前記導電部材(31、41)とを結合及び分離可能としても良い。
また、上記発明において、前記電極本体部(21、22)の径方向内周側に環状凹部(22e、122e)を形成しても良い。
本発明は、プレス成形してなる亜鉛メッキ鋼板の接合フランジ部(101a、102a)をシーム溶接する亜鉛メッキ鋼板のシーム溶接装置において、ローラ電極(21、22)の外周部(21b、22b)の両側面に被膜層(23、24)を設け、この被膜層(23、24)の上から冷却媒体で冷却して溶接可能としたことを特徴とする。
上記発明において、前記冷却媒体を冷却水とし、前記亜鉛メッキ鋼板の接合フランジ部(101a、102a)を挟んだ両側から冷却水を電極先端部に向け噴射させてローラ電極(21、22)及び鋼板を同時に冷却しても良い。
また、上記発明において、前記ローラ電極(21、22)の電極回転方向に沿って切削手段(52、72)を往復振動させ前記切削手段(52、72)が当接する前記ローラ電極(21、22)の当接面(21a、22a)をドレッシングしながら溶接を行っても良い。
また、上記発明において、前記ローラ電極(21、22)と冷却媒体噴射手段(10)と前記切削手段(52、72)を溶接ユニット(5)の基台(20)に一体化しても良い。
また、上記発明において、前記ローラ電極(21、22)のうち、一方のローラ電極(21)の板厚をt1として外径をd1とし、他方のローラ電極(22)の板厚をt2として外径をd2とする場合に、下記の関係式t1・d11/2=t2・d21/2を満たすように、t1、d1、t2、d2が設定されていても良い。
本発明に係る亜鉛メッキ鋼板の溶接用電極は、亜鉛メッキ鋼板の接合フランジ部をシーム溶接する亜鉛メッキ鋼板の溶接用電極において、シーム溶接の電極本体部を円盤形状からなるモリブデン又はタングステン材とし、この電極本体部の少なくとも外周端縁側の両側面に平板状外周面を備え、該平板状外周面にクロム又はニッケル系の被膜層を備えている。この構成によれば、電極外周部の熱伝導性と電極の錆付きによる溶接電流の減少をなくすことが出来、水冷化が可能となり、亜鉛メッキ鋼板のシーム溶接の品質を向上させることができる。
上記発明において、前記被膜層は、クロムに窒素を飽和させたクロム膜であっても良い。この構成によれば、クロム層に窒素が飽和していることで、高熱状態での剥離強度を向上でき電極の耐久性を向上させることができる。
また、上記発明において、前記電極本体部の径方向中央側に取付部を有し、前記電極本体部より熱伝導率の高い導電部材を当接させた状態で、前記電極本体部と前記導電部材とを結合及び分離可能としても良い。この構成によれば、電極の径方向中央側に前記電極より熱伝導率の高い導電部材を当接させて結合分離可能とするので、熱の冷却性を向上させることができる。
また、上記発明において、前記電極本体部の径方向内周側に環状凹部を形成しても良い。この構成によれば、環状凹部により電極本体部と導電部材との当接面の面積を増やすことができ電極の熱を熱伝導率の高い保持部材に伝え、電極の熱応力による割れを防止することができる。
本発明に係る亜鉛メッキ鋼板のシーム溶接装置は、プレス成形してなる亜鉛メッキ鋼板の接合フランジ部をシーム溶接する亜鉛メッキ鋼板のシーム溶接装置において、ローラ電極の外周部の両側面に被膜層を設け、この被膜層の上から冷却媒体で冷却して溶接可能とした。この構成によれば、亜鉛メッキ鋼板の接合フランジ部に当接した状態の電極に対して、電極の被膜層の外側から冷却媒体を噴射して電極と接合フランジ部を冷却するので、冷却媒体による電極の腐食を防止しながら冷却でき、冷却効率を向上できるとともに、プレス成形された鋼板の熱変形を防止できる。
上記発明において、前記冷却媒体を冷却水とし、前記亜鉛メッキ鋼板の接合フランジ部を挟んだ両側から冷却水を電極先端部に向け噴射させてローラ電極及び鋼板を同時に冷却しても良い。この構成によれば、接合フランジ部を挟んだ両側から冷却水を電極先端部に向け噴射して電極とフランジ部を冷却するのでプレス成形された鋼板の熱変形をさらに防止でき、かつ、電極の冷却性もさらに向上し溶接品質と電極の耐久性が向上する。
また、上記発明において、前記ローラ電極の電極回転方向に沿って切削手段を往復振動させ前記切削手段が当接する前記ローラ電極の当接面をドレッシングしながら溶接を行っても良い。この構成によれば、切削手段を振動させて電極外周面を削り取ることで、電極に塊として付着した付着物の除去と電極の表面平滑化を効率よく行うことができ、溶接品質をさらに向上できる。
また、上記発明において、前記ローラ電極と冷却媒体噴射手段と前記切削手段を溶接ユニットの基台に一体化しても良い。この構成によれば、亜鉛メッキ鋼板のシーム溶接装置のコンパクト化を図ることができる。
また、上記発明において、前記ローラ電極のうち、一方のローラ電極の板厚をt1として外径をd1とし、他方のローラ電極の板厚をt2として外径をd2とする場合に、下記の関係式t1・d11/2=t2・d21/2を満たすように、t1、d1、t2、d2が設定されていても良い。この構成によれば、電流密度のバランスが確保されるので、シーム溶接の電流値幅を広くすることができ溶接品質が向上する。
本発明に係る第1の実施の形態のシーム溶接装置の説明図である。 溶接ユニットの正面図である。 大ローラ電極を示す図2のIII−III線断面図である。 小ローラ電極を示す図2のIV−IV線断面図である。 大ローラ電極の板厚と小ローラ電極の板厚との関係の説明図である。 本発明に係る第2の実施の形態の小ローラ電極の断面図である。 本発明に係る実施形態に供される燃料タンクの分解斜視図である。
以下、図面を参照して本発明の各実施の形態について説明する。なお、説明中、左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ図面に対する方向と同一とする。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明に係る第1の実施の形態のシーム溶接装置1の説明図である。
ここで、本シーム溶接装置1に供されるワーク100として、自動二輪車(不図示)に備えられる、燃料タンク(ワーク)100を例示する。
燃料タンク100は、図7に示すように、一組で容器形状をなすお椀状の半体101、102により構成される。半体101、102は、亜鉛(Zn)メッキ処理がされた銅(Cu)板により構成されている。半体101、102は、銅板がプレス成形されることによりお椀状に形成される。各半体101、102の開放端には、フランジ状の接合フランジ部101a、102aが形成されている。
接合フランジ部101a、102aを対向させて重ね合わせることにより容器形状の燃料タンク100に仮組される。仮組された燃料タンク100の接合フランジ部101a、102aが、図1に示すように、シーム溶接されることにより、半体101、102が一体となって燃料タンク100が形成される。なお、シーム溶接される燃料タンクは、図7に示す形状の燃料タンク100に限定されない。
シーム溶接装置1は、図1に示すように、プレス成形してなる亜鉛メッキ鋼板の接合フランジ部をシーム溶接する装置である。
シーム溶接装置1は、シーム溶接前の仮組されたワーク100を把持する把持ロボット2と、把持ロボット2で把持されたワーク100をシーム溶接する溶接ロボット3と、を備える。
把持ロボット2は、複数のアーム2aが軸で回動可能に構成された多関節ロボットである。また、溶接ロボット3は、複数のアーム3aが軸で回動可能に構成された多関節ロボットである。ロボット2、3のアーム2a、3aは、それぞれが有する制御ユニット2b、3bにより、その位置や姿勢が制御される。
把持ロボット2の制御ユニット2bと、溶接ロボット3の制御ユニット3bとは、通信回線6で接続されている。把持ロボット2は、アーム2aの先端に支持されたクランプユニット4を備え、クランプユニット4はワーク100を把持する。溶接ロボット3は、アーム3aの先端に支持された溶接ユニット5を備え、溶接ユニット5はワーク100に対するシーム溶接を行う。把持ロボット2は、ワーク100の姿勢を制御し、それと協働して、溶接ロボット3は、ワーク100に対して、シーム溶接を行う。
把持ロボット2のクランプユニット4は、一対のクランプアーム4a、4bと、位置決め部4cと、を備える。把持ロボット2は、一対のクランプアーム4a、4bで仮組された燃料タンク100の外面をクランプする。また、把持ロボット2は、半体101に設けられた給油口101cに位置決め部4cを挿入して、クランプアーム4a、4bに挟まれた燃料タンク100の位置を出す。
溶接ロボット3の溶接ユニット5には、一対のローラ電極21、22が支持されている。なお、図1では、ローラ電極21、22を見やすいようにドット柄を付している。ローラ電極21、22は円盤状に形成されている。ローラ電極21、22は電極軸30、40に支持される。電極軸30、40は回転可能に支持されている。電極軸30、40には、軸駆動手段25、26から駆動力が伝達されて回転駆動し、各ローラ電極21、22が設定された速度で回転する。
ローラ電極21、22は、対向する電極先端部分が接近離間可能に構成されており、ローラ電極21、22で燃料タンク100の接合フランジ部101a、102aを挟んで回転する。
把持ロボット2および溶接ロボット3は、ローラ電極21、22が接合フランジ部101a、102aを挟み、且つ、ローラ電極21、22が接合フランジ部101a、102aに沿って一定の方向に燃料タンク100(以下ワーク100と称する場合がある。)が移動するのに対応する様にアーム2a、3aの位置や向きを制御する。
溶接ロボット3には、冷却装置7が取り付けられている。
冷却装置7は、冷却水(冷却媒体)を貯留するメインタンク8を備える。メインタンク8には、アーム3aに沿って延びるホース9が接続されている。ホース9は、アーム3a先端に向かって延び、溶接ユニット5の冷却水噴射装置(冷却媒体噴射手段)10に接続されている。
冷却装置7は、不図示の高圧ポンプにより冷却水をメインタンク8から冷却水噴射装置10に供給し、冷却水噴射装置10に冷却水を噴射させる。冷却装置7により、ローラ電極21、22や、接合フランジ部101a、102aが冷却される。
シーム溶接装置1は、シーム溶接中に、ローラ電極21、22や、接合フランジ部101a、102aを冷却する。
図2は、溶接ユニット5の正面図である。
溶接ユニット5は、溶接ロボット3のアーム3aに支持される基台20を備える。
基台20には、大小のローラ電極21、22が回転可能に支持されている。径の大きい大ローラ電極21は電極軸30を介して駆動力が伝達され、矢印A1で示す方向に回転する。径の小さい小ローラ電極22は電極軸40を介して駆動力が伝達され、矢印A2で示す方向に回転する。
図7及び図1に二点鎖線で説明用として示すように、小ローラ電極22の径はワーク100の接合フランジ部101a、102aの曲率の大きい部分の内周部102bに収まる大きさとすることにより、二次元曲面状に延びる接合フランジ部101a、102aの形状に追随できる。また、電極の大きさは両方とも同じ径とすることもできるが、本実施の形態の様に、大ローラ電極21と小ローラ電極22とで接合フランジ部101a、102aを挟む様にすることも可能である。
電極軸30、40は溶接用の電源(不図示)に電気的に接続されており、ローラ電極21、22間には電極軸30、40を介して電流が流れる。大ローラ電極21と小ローラ電極22が圧接する溶接位置Pで、燃料タンク100の接合フランジ部101a、102aが加圧されながら電流がながれるときの抵抗熱で溶けて亜鉛メッキ鋼板の接合フランジ部101a、102a同士が溶けることでシーム溶接される。
本実施の形態では、ローラ電極(電極本体部)21,22は円盤形状からなるモリブデンまたはモリブデン合金のモリブデン(Mo)材で構成される。ただし、ローラ電極21,22は、モリブデン材に代えて、タングステンまたはタングステン合金のタングステン(W)材でも良い。ローラ電極21、22に、モリブデンまたはタングステンを使用することにより、亜鉛めっき鋼板を銅電極で溶接する場合に銅が亜鉛めっき鋼板に溶け出して進入する問題、いわゆる、銅差しを解消することができる。
円盤板状のローラ電極21,22の外表面には、被膜層23、24が形成されている。被膜層23、24は、ローラ電極21,22の外表面全体に形成される。ただし、外表面全体ではなく、外周面(外周端縁)21a、22a側の両側の側面部である外周部(平板状外周面)21b、22bに被膜層23、24が形成されれば良い。
因みに、ローラ電極21、22の圧接面である外周面(外周端縁)21a、22a上には被膜層23、24が形成されていても使用時には溶けて無くなる。また、電極使用前は、被膜層23、24が有ることで、防錆膜となり、保管時の防錆処理が不要となる。
被膜層23、24は、乾式被膜である。乾式被膜としては、窒素(N)を過飽和に固有したクロム(Cr)膜が好適である。このクロム膜は、処理温度200〜300℃のスパッタリング処理により形成される。このクロム膜は、組織は固容体(Cr+N)+Crであり、Hv硬さが1500〜2000、ルビーボールによる摩擦係数が0.20〜0.30である。被膜層23、24は、厚さが3〜4μmが好適である。
乾式被膜は、割れや剥離の出にくい密着性の高い被膜であるため、乾式被膜の被膜層23、24により、ローラ電極21、22の使用時の傷や割れを防止できる。また、ローラ電極21、22が外部から保護されるため、冷却水によるローラ電極21、22の酸化を防止し、酸化層による溶接電流の減少を防止できる。
また、被膜層23、24は、3〜4μmの乾式被膜であり薄いため、ローラ電極21、22の外部冷却を阻害することなく、ローラ電極21、22の広い面積を万遍なく冷却できる。さらに、被膜層23、24でローラ電極21、22が覆われるため、冷却水に含まれる塩分などに対する耐食性も向上する。
特に、被膜層23、24は、クロム層に窒素が飽和していることで、高熱状態での剥離強度を向上でき電極の耐久性を向上させることができる。
被膜層23、24は、クロム系の被膜層の場合について説明したが、ニッケル系の被膜層でも良い。乾式被膜を形成する乾式メッキ処理としては、スパッタリングや真空蒸着などのPVD(Physical Vapor Deposition)処理が可能である。乾式被膜層の成分は、クロム、ニッケルでも良い。
基台20には、冷却水噴射装置(冷却媒体噴射手段)10が支持されている。冷却水噴射装置10は、溶接位置Pよりも、接合フランジ部101a、102aの進行方向(矢印A3方向)の上流側に配置されている。接合フランジ部101a、102aの進行方向とは、溶接ユニット5に対する相対的な進行方向である。
冷却水噴射装置10は、メインタンク8(図1参照)から延びるホース9(図1参照)に接続されたサブタンク11と、サブタンク11に設けられた一対の噴射ノズル12、13とを備える。噴射ノズル12、13は、接合フランジ部101a、101bの移動する位置を挟んで両側に一対配置されている。一側の噴射ノズル12は、一側(図1の上側)から溶接位置Pに向けて冷却水W1を噴射する。他側の噴射ノズル13は、他側(図1の下側)から溶接位置Pに向けて冷却水W2を噴射する。
冷却装置7の冷却水噴射装置10はシーム溶接を開始した場合に、噴射ノズル12、13の弁(不図示)を開いて噴射ノズル12、13から冷却水W1、W2を噴射し、抵抗熱が生じた接合フランジ部101a、101bを冷却すると共に、ローラ電極21、22を冷却する。冷却装置7の冷却水噴射装置10はシーム溶接が終了した場合に、噴射ノズル12、13の弁(不図示)を閉じて冷却水の噴射を停止する。
ローラ電極21、22は、被膜層23、24の外側から冷却水W1、W2で冷却されるため、シーム溶接装置1では、ローラ電極21、22の腐食を防止しながら冷却でき、ローラ電極21、22の耐食性が向上している。また、プレス成形された鋼板は、熱により、プレス前の状態に戻る特性があるが、接合フランジ部101a、101bが冷却水W1、W2で冷却されるため、プレス成形された燃料タンク100の熱変形を防止でき、溶接品質と電極の耐久性が向上する。なお、ローラ電極21、22は、外周部に被膜層23、24があればよく、外周部は平板状でなくても良い。
基台20には、ドレッシングユニット50が支持されている。ドレッシングユニット50は、溶接位置Pに対して、大ローラ電極21の回転方向(矢印A1方向)の下流側に配置されている。ドレッシングユニット50は、振動アクチュエータ(高周波加振装置)51と、振動アクチュエータ51に支持された加振バイト(切削手段)52と、加振バイト52に対して大ローラ電極21の回転方向の下流側に配置されたガイドローラ53と、を備える。振動アクチュエータ51は、大ローラ電極21の回転時に高周波で振動する。振動アクチュエータ51は、大ローラ電極21の周方向に振動する。
加振バイト52は、刃先52aを備えた工具であり、刃先52aが大ローラ電極21の外周面21aに所定圧で接触している。加振バイト52は、振動アクチュエータ51の振動により大ローラ電極21の外周面21aの周方向に沿って振動し外周面21aを削り、大ローラ電極21のドレッシングをする。また、大ローラ電極21に付着した溶接スパッタ103などの付着物を除去する。
ガイドローラ53は、大ローラ電極21の外周面21aに接触して、加振バイト52の位置決めをする。ガイドローラ53は、加振バイト52よりも大ローラ電極21の回転方向の下流側に配置されている。ガイドローラ53は、ドレッシング後の大ローラ電極21に接触しているため、位置決め精度が向上している。ガイドローラ53は、加振バイト52で電極の外周面21aに付着したスパッタ103を除去した後の外周面21aを押圧して切削による凹凸を平たくならす整形機能を備えている。
基台20には、スライドテーブル60が支持されている。スライドテーブル60には、小ローラ電極22が電極軸40を介して支持されている。電極軸40は軸駆動手段26(図2参照)と共にスライドテーブル60に支持されている。スライドテーブル60は、スライドレール61を介して大ローラ電極21に対して接近、離間可能(矢印A4方向)に支持されている。
スライドテーブル60を接近離間させることにより、大ローラ電極21と小ローラ電極22との間の隙間P1を調節可能であり、大ローラ電極21と小ローラ電極22が接合フランジ部101a、102aを加圧する力を変えることが可能である。スライドテーブル60には、不図示の圧力シリンダが接続されており、溶接の開始終了時および開閉時に圧力シリンダが制御され、スライドテーブル60が圧力シリンダの圧力で移動し、ローラ電極21、22間の開閉及び溶接時の加圧が行われる。
スライドテーブル60には、ドレッシングユニット70が支持されている。ドレッシングユニット70は、溶接位置Pに対して小ローラ電極22の回転方向(矢印A2方向)の下流側に配置されている。ドレッシングユニット70は、小ローラ電極22をドレッシングする点以外は、大ローラ電極21のドレッシングユニット50と同様に構成される。ドレッシングユニット70の振動アクチュエータ(高周波加振装置)71、加振バイト(切削手段本体)72、ガイドローラ73は、ドレッシングユニット50の振動アクチュエータ51、加振バイト52、ガイドローラ53と同様に機能し、小ローラ電極22に対して機能する。ドレッシングユニット70は小ローラ電極22と一体的にスライドする。
シーム溶接装置1では、ローラ電極21、22がシーム溶接をしながら回転する際に、電極回転方向に沿って高速で加振バイト52、72を往復振動させ、外周面21a、22aをドレッシングしながら、ローラ電極21、22で溶接を行う。
モリブデンの融点は、鉄に比べて高いため、溶接スパッタ103が、モリブデン製のローラ電極21、22に解け込まずに塊として外周面21a、22aに付着し易いが、加振バイト52、72を振動させて、ローラ電極21、22の外周面21a、22aを削り取ることで、付着物の除去と表面平滑化を図ることができる。
ローラ電極21、22は円盤形状であり外周部21b、22bの板厚が一定である。外周面21a、22aをドレッシングしても接合フランジ部101a、102aに当接する面積が変わり難く、維持が容易になっている。
上述の通り、溶接ユニット5は、基台20を備え、基台20には、ローラ電極21、22と、冷却水噴射装置10と、加振バイト52、72を備えるドレッシングユニット50、70とが支持され、一体にユニット化されている。ユニット化されているため、亜鉛メッキ鋼板のシーム溶接装置1のコンパクト化を図ることができる。
図3は、大ローラ電極21を示す図2のIII−III線断面図であり、図4は、小ローラ電極22を示す図2のIV−IV線断面図である。
ローラ電極21、22の径方向中央側には板厚方向に貫通した複数の取付孔(取付部)21d、22dが形成され、ローラ電極21、22の径方向中央には板厚方向に貫通した空洞部21c、22cが形成されている。空洞部21c、22cに保持部材(導電部材)31、41が進入した状態で、取付孔21d、22dに挿通された固定ボルト38、48により保持部材31、41が取り付けられる。
保持部材31、41は、ローラ電極21、22よりも熱伝導率の高い導電部材である。保持部材31、41の材質としては、銅または銅合金が好適である。ローラ電極21、22は、保持部材31、41を介して電極軸30、40に支持されるため、ローラ電極21、22に生じる熱の冷却性を向上させることができる。
図3に示すように、大ローラ電極21では、保持部材31は、電極軸30に支持される円環板状の基部32と、基部32に支持される円環板状の押さえ部33とを備える。基部32および押さえ部33は、大ローラ電極21を挟んで当接し、大ローラ電極21を軸方向両側から保持する。大ローラ電極21は軸方向両側から保持部材31で挟まれており、高熱伝導且つ高導電性を有する保持部材31が密着状態で取り付けられている。基部32と押さえ部33は、大ローラ電極21の外径d1よりも小さい同一の外径d31に設定されている。大ローラ電極21の外径d1の方が大きいため、基部32および押さえ部33に挟まれた大ローラ電極21では、外周面21a、外周部(露出冷却部)21bは外側に露出する。
基部32は、電極軸30に接触する円環板状の本体部32aと、大ローラ電極21の空洞部21cに挿入される円環板状の挿入部32bと、を備える。挿入部32bの外径d32bは、空洞部21cの内径r1に合わせられており、挿入部32bが空洞部21cに挿入され空洞部21cの内周部に接触する。
挿入部32bの厚さt32bは、大ローラ電極21の板厚t1と同一に設定されており、挿入部32bは大ローラ電極21の軸方向の側面と、面一状の面34を構成し、押さえ部33と面34が面全体で接触し易くなっている。
基部32には、挿入部32bの位置に対応して、板厚方向に貫通する複数の固定孔32cが形成されている。固定孔32cには、固定ボルト37が挿入される。固定ボルト37は、電極軸30の先端面に直止めされ、基部32が電極軸30に固定される。
押さえ部33および基部32には、大ローラ電極21の取付孔21dと互いに連通する取付孔33d、32dが形成されている。取付孔21d、33d、32dは同一の円周上に複数形成されており、取付孔21d、33d、32dに固定ボルト38が挿通されている(図2参照)。固定ボルト38は、先端部がナット39で締結される。保持部材31と大ローラ電極21が一体にされ、組立電極36が構成される。組立電極36は、固定ボルト37で電極軸30に着脱可能に構成されている。大ローラ電極21、基部32、押さえ部33、固定ボルト38およびナット39により、組立電極36が構成される。
押さえ部33の内径r33は、挿入部32bの外径d32bよりも小さく、固定孔32cの配置された円周上の径d32cよりも大きい。
押さえ部33の内径r33は挿入部32bの外径d32bよりも小さいため、押さえ部33が挿入部32bに接触して、高熱伝導且つ高導電性を確保し易い。
また、押さえ部33の内径r33は、固定孔32cが形成された円周の径d32cよりも大きいため、押さえ部33を大ローラ電極21から取り外すことなく、固定ボルト37に対する作業が可能であり、電極軸30に対して着脱可能である。
ローラ電極21、22では、電極内部に熱膨張の差に起因する熱応力が発生する。孔状の空洞部21c、22cがあることにより、ローラ電極21、22の本体部分と空洞部21c、22cとの長さの割合、すなわち、外径d1、d2と、内径r1、r2の割合を調節して、電極の割れを抑制し、電極の耐久性を向上できる。
また、ローラ電極21,22に割れなどが生じたとしても、固定ボルト37、38等で組みつけられているため、簡易に交換可能である。
小ローラ電極22では、図4に示すように、保持部材41は、電極軸40に支持される円板状の基部42と、基部42に支持される円板状の押さえ部43とを備える。基部42および押さえ部43は、小ローラ電極22を挟んで当接し、小ローラ電極22を軸方向両側から保持する。小ローラ電極22は軸方向両側から保持部材41で挟まれており、高熱伝導且つ高導電性を有する保持部材41を密着状態で取り付けられている。基部42と押さえ部43は、小ローラ電極22の外径d2よりも小さい同一の外径d41に設定されている。小ローラ電極22の外径d2の方が大きいため、基部42および押さえ部43に挟まれた小ローラ電極22では、外周面22a、外周部(露出冷却部)22bは外側に露出する。
小ローラ電極22の基部42は、電極軸40に接触する円板状の本体部42aを備える。本体部42aの電極軸40側には、円環状の突出リブ42eが形成されている。突出リブ42eは電極軸40に向かって突出しており、電極軸40の先端面に設けられた円環状の凹溝40aに嵌っている。突出リブ42eが凹溝40aに嵌ることにより、位置決めされると共に、接触面積が増大する。
本体部42aの押さえ部43側には、円環板状の凸部42fが形成されている。凸部42fは、小ローラ電極22の内周側に設けられた円環状の凹部(環状凹部)22eに対応して形成されており、凹部22eに嵌る。凹部22eは小ローラ電極22の板厚t2を薄くする方向に凹んでいる。凸部42fが凹部22eに嵌まって接触することにより、小ローラ電極22と保持部材41の基部42との当接面の面積を増やすことができ、小ローラ電極22に生じた熱を、熱伝導率の高い保持部材41に伝え易く、電極の熱応力による割れを防止することができる。
凸部42fの押さえ部43側には、小ローラ電極22の空洞部22cに挿入される円板状の挿入部42bが形成されている。挿入部42bの外径d42bは、空洞部22cの内径r2に合わせられており、挿入部42bが空洞部22cに挿入されると空洞部22cの内周部に接触する。
挿入部42bの厚さt42bは、小ローラ電極22の空洞部22cの軸方向の長さt22cと同一に設定されており、挿入部32bは大ローラ電極21の軸方向の側面と、面一状の面44を構成し、面44が押さえ部43と面全体で接触し易くなっている。
押さえ部43および基部42には、小ローラ電極22の取付孔22dに互いに連通する取付孔43d、42dが形成されている。取付孔22d、43d、42dは同一の円周上に複数形成されており、取付孔22d、43d、42dに固定ボルト48が挿通されている(図2参照)。固定ボルト48は、電極軸40の先端面に直止めされ、小ローラ電極22および保持部材41が電極軸40に固定される。
小ローラ電極22および保持部材41により構成される電極体46でも、大ローラ電極21および保持部材31と同様の作用効果が得られる。
図5は、大ローラ電極21の板厚t1と、小ローラ電極22の板厚t2との関係の説明図である。
外径d2の小ローラ電極22の板厚t2は、外径d1の大ローラ電極21の板厚t1よりも厚く形成される。
各ローラ電極21、22の板厚t1、t2は、大ローラ電極21が接合フランジ部101aに接触する接触面積S1と、小ローラ電極22が接合フランジ部101bに接触する接触面積S2とが同じになるように設定される。
符号は数値も示すものとする。ローラ電極21、22の板厚t1、t2は、t1・d11/2=t2・d21/2の関係式に基づいて設定される。板厚t1、t2、外径d1、d2は、0.1mmオーダーよりも高い精度で設定することが好適である。
上記関係式について説明する。
溶接位置Pでは、大ローラ電極21と小ローラ電極22とが、接合フランジ部101a、102aをそれぞれ加圧して接触している。接合フランジ部101a、102aは、微小な厚さδだけ圧縮されていると考えてよい。
ここで、大ローラ電極21の中心をCとし、大ローラ電極21が接合フランジ部101aに接触する周方向の両端をA、Bとする。そして、中心Cから線ABに垂線をひき、円周との交点をD、線ABとの交点をEとする。
同様に、小ローラ電極22の中心をHとし、小ローラ電極22が接合フランジ部102aに接触する周方向の両端をF、Gとする。そして、中心Hから線FGに垂線をひき、円周との交点をI、線FGとの交点をJとする。
以下、位置Aと位置Bとを結ぶ長さをABのように表すものとする。
大ローラ電極21の接触面積S1は、ABと板厚t1の積(S1=AB・t1)である。
ABは、AB=AE+EB=2・AEであり、三平方の定理より、AB=2・{AC−CE1/2=2・{AC−(CD−δ)1/2である。AC=CD=d1/2であるため、AB=2・[(d1/2)−{(d1/2)−δ}1/2=2・{2・(d1/2)・δ−δ1/2である。
よって、S1=AB・t1=2・{2・(d1/2)・δ−δ1/2・t1である。
同様に、小ローラ電極22の接触面積S2については、S2=FG・t2=2・{2・(d2/2)・δ−δ1/2・t2である。
接触面積S1と接触面積S2とが等しくなる場合、S1=S2が条件であり、2・{2・(d1/2)・δ−δ1/2・t1=2・{2・(d2/2)・δ−δ1/2・t2である。δが0に近いため高次の微小量を無視すると、d11/2・t1=d21/2・t2となる。
よって、t1・d11/2=t2・d21/2の関係式が得られる。
モリブデンのローラ電極21、22は銅よりも熱伝導性が低く、ローラ電極21,22の熱が引き難い。小ローラ電極22の板厚t2を増すことで、大ローラ電極21と小ローラ電極22の電流密度のバランスが確保され、母材が局部的に過熱されて溶融飛散する散りがローラ電極21、22に発生することを抑制し、溶接に用いる電流値幅を広くすることが可能である。よって、シーム溶接の品質精度が向上する。
以上説明したように、本発明を適用した第1の実施の形態では、亜鉛メッキ鋼板の接合フランジ部101a、102aをシーム溶接する亜鉛メッキ鋼板の溶接用電極において、シーム溶接のローラ電極21,22を円盤形状からなるモリブデン又はタングステン材とし、このローラ電極21,22の少なくとも外周面21a、22a側の両側面に平板状の外周部21b、22bとし、外周部21b、22bにクロム又はニッケル系の被膜層23、24を備えている。この構成によれば、ローラ電極21,22の外周部21b、22bの熱伝導性と電極の錆付きによる溶接電流の減少をなくすことが出来、水冷化が可能となり、亜鉛メッキ鋼板のシーム溶接の品質を向上させることができる。
第1の実施の形態では、被膜層23、24は、クロムに窒素を飽和させたクロム膜であっても良い。この構成によれば、クロム層に窒素が飽和していることで、高熱状態での剥離強度を向上でき電極の耐久性を向上させることができる。
また、第1の実施の形態では、ローラ電極21,22の径方向中央側に取付孔21d、22dを有し、ローラ電極21,22より熱伝導率の高い保持部材31、41を当接させた状態で、ローラ電極21,22と保持部材31、41とを結合及び分離可能とした。したがって、ローラ電極21,22の径方向中央側にローラ電極21,22より熱伝導率の高い保持部材31、41を当接させて結合分離可能とするので、熱の冷却性を向上させることができる。
また、第1の実施の形態では、ローラ電極21,22の径方向内周側に環状凹部22eを形成した。環状凹部22eによりローラ電極21,22と保持部材31、41との当接面の面積を増やすことができローラ電極21,22の熱を熱伝導率の高い保持部材31、41に伝え、ローラ電極21,22の熱応力による割れを防止することができる。
第1の実施の形態では、プレス成形してなる亜鉛メッキ鋼板の燃料タンク100の接合フランジ部101a、102aをシーム溶接する亜鉛メッキ鋼板のシーム溶接装置1において、ローラ電極21,22の外周面21a,22a側の両側面を構成する外周部21b、22bに被膜層23、24を設け、この被膜層23、24の上から冷却水で冷却して溶接可能とした。したがって、亜鉛メッキ鋼板の接合フランジ部101a、102aに当接した状態のローラ電極21、22に対して、ローラ電極21、22の被膜層23、24の外側から冷却水を噴射してローラ電極21、22と接合フランジ部101a、102aを冷却するので、冷却水によるローラ電極21、22の腐食を防止しながら冷却でき、冷却効率を向上できるとともに、プレス成形された鋼板の熱変形を防止できる。
また、第1の実施の形態では、冷却媒体を冷却水とし、亜鉛メッキ鋼板の接合フランジ部101a、102aを挟んだ両側から冷却水を電極先端部がある溶接位置Pに向け噴射させて、ローラ電極21、22及び鋼板である燃料タンク100を同時に冷却した。したがって、プレス成形された鋼板である燃料タンク100の熱変形をさらに防止でき、かつ、ローラ電極21、22の冷却性もさらに向上し溶接品質とローラ電極21、22の耐久性が向上する。
また、第1の実施の形態では、ローラ電極21、22の電極回転方向に沿って加振バイト52、72を往復振動させ加振バイト52、72が当接するローラ電極21、22の当接面をドレッシングしながら溶接を行った。したがって、加振バイト52、72を振動させてローラ電極21、22の外周面21a、22aを削り取ることで、ローラ電極21、22に塊として付着した付着物の除去とローラ電極21、22の表面平滑化を効率よく行うことができ、溶接品質をさらに向上できる。
また、第1の実施の形態では、ローラ電極21、22と冷却水噴射装置10と加振バイト52、72を溶接ユニット5の基台20に一体化した。したがって、亜鉛メッキ鋼板のシーム溶接装置1のコンパクト化を図ることができる。
また、第1の実施の形態では、ローラ電極21、22のうち、一方のローラ電極21の板厚をt1として外径をd1とし、他方のローラ電極22の板厚をt2として外径をd2とする場合に、関係式t1・d11/2=t2・d21/2を満たすように、t1、d1、t2、d2が設定される。したがって、電流密度のバランスが確保されるので、シーム溶接の電流値幅を広くすることができ溶接品質が向上する。
<第2の実施の形態>
図6は本発明に係る第2の実施の形態の小ローラ電極122の断面図である。
第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
第2の実施の形態では、第1の実施の形態における小ローラ電極22と、保持部材41の押さえ部43と、に代えて、小ローラ電極122と、押さえ部143と、を備える。
第1の実施の形態では軸方向の片側のみ凹部22eと凸部42fとが設けられているが、第2の実施の形態における小ローラ電極122の内周側には、押さえ部143側にも円環状の凹部(環状凹部)122eが形成されている。凹部122eは小ローラ電極122の板厚t2を薄くする方向に凹んでいる。
凹部122eには、押さえ部144に形成された円板状の凸部143fが嵌る。凸部143fが凹部122eに嵌まって接触する。
第2の実施の形態では、軸方向の両側に凹部22e、122eと凸部42f、143fとが、それぞれ、設けられており、さらに小ローラ電極122と保持部材41の当接面の面積を増やして、電極の熱応力による割れを防止し易くなっている。
上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
小ローラ電極22、122の環状凹部22e、122eや環状凸部は無くても良い。
小ローラ電極22、122に環状凸部が形成され、保持部材41、141に環状凹部が設けられた構成でも良い。
5 溶接ユニット
10 冷却媒体噴射手段
20 基台
21、22 電極本体部、ローラ電極
21a、22a 外周端縁、当接面
21b、22b 平板状外周面、外周部
21d、22d 取付部
22e、122e 環状凹部
23、24 被膜層
31、41 導電部材
52、72 切削手段
101a、102a 接合フランジ部

Claims (9)

  1. 亜鉛メッキ鋼板の接合フランジ部(101a、102a)をシーム溶接する亜鉛メッキ鋼板の溶接用電極において、
    シーム溶接の電極本体部(21、22)を円盤形状からなるモリブデン又はタングステン材とし、この電極本体部(21、22)の少なくとも外周端縁(21a、22a)側の両側面に平板状外周面(21b、22b)を備え、該平板状外周面(21b、22b)にクロム又はニッケル系の被膜層(23、24)を備えたことを特徴とする亜鉛メッキ鋼板の溶接用電極。
  2. 前記被膜層(23、24)は、クロムに窒素を飽和させたクロム膜であることを特徴とする請求項1に記載の亜鉛メッキ鋼板の溶接用電極。
  3. 前記電極本体部(21、22)の径方向中央側に取付部(21d、22d)を有し、前記電極本体部(21、22)より熱伝導率の高い導電部材(31、41)を当接させた状態で、前記電極本体部(21、22)と前記導電部材(31、41)とを結合及び分離可能としたことを特徴とする請求項1または2に記載の亜鉛メッキ鋼板の溶接用電極。
  4. 前記電極本体部(21、22)の径方向内周側に環状凹部(22e、122e)を形成したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の亜鉛メッキ鋼板の溶接用電極。
  5. プレス成形してなる亜鉛メッキ鋼板の接合フランジ部(101a、102a)をシーム溶接する亜鉛メッキ鋼板のシーム溶接装置において、
    ローラ電極(21、22)の外周部(21b、22b)の両側面に被膜層(23、24)を設け、この被膜層(23、24)の上から冷却媒体で冷却して溶接可能としたことを特徴とする亜鉛メッキ鋼板のシーム溶接装置。
  6. 前記冷却媒体を冷却水とし、前記亜鉛メッキ鋼板の接合フランジ部(101a、102a)を挟んだ両側から冷却水を電極先端部に向け噴射させてローラ電極(21、22)及び鋼板を同時に冷却することを特徴とする請求項5に記載の亜鉛メッキ鋼板のシーム溶接装置。
  7. 前記ローラ電極(21、22)の電極回転方向に沿って切削手段(52、72)を往復振動させ前記切削手段(52、72)が当接する前記ローラ電極(21、22)の当接面(21a、22a)をドレッシングしながら溶接を行うことを特徴とする請求項5または6に記載の亜鉛メッキ鋼板のシーム溶接装置。
  8. 前記ローラ電極(21、22)と冷却媒体噴射手段(10)と前記切削手段(52、72)を溶接ユニット(5)の基台(20)に一体化したことを特徴とする請求項5ないし7のいずれか一項に記載の亜鉛メッキ鋼板のシーム溶接装置。
  9. 前記ローラ電極(21、22)のうち、一方のローラ電極(21)の板厚をt1として外径をd1とし、他方のローラ電極(22)の板厚をt2として外径をd2とする場合に、下記の関係式
    t1・d11/2=t2・d21/2
    を満たすように、t1、d1、t2、d2が設定されていることを特徴とする請求項5ないし8のいずれか一項に記載の亜鉛メッキ鋼板のシーム溶接装置。
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CN112025063A (zh) * 2020-09-04 2020-12-04 江苏维骏工业设备有限公司 一种用于电杆钢筋骨架自动滚焊机
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