JP2007237209A - 抵抗溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】二重構造電極を用いて抵抗溶接する際に、芯材先端部の拡大を抑えて、より一層の電極寿命改善を図る。
【解決手段】銅又は銅合金からなる電極本体3の被溶接材に当接する当接面に、W又はMo若しくはそれらを基材とする合金からなる芯材4を埋設した二重構造の電極を用い、抵抗溶接時に通電する溶接電流を散りが発生する電流未満にして抵抗溶接する。
【選択図】図5
【解決手段】銅又は銅合金からなる電極本体3の被溶接材に当接する当接面に、W又はMo若しくはそれらを基材とする合金からなる芯材4を埋設した二重構造の電極を用い、抵抗溶接時に通電する溶接電流を散りが発生する電流未満にして抵抗溶接する。
【選択図】図5
Description
本発明は、二重構造の電極を用いた抵抗溶接する方法に関する。
従来から、自動車や家電製品等の組立てラインにおいては、各種抵抗溶接法が用いられている。そして、大量生産ラインでは、連続的に抵抗溶接が実施されている。このため、抵抗溶接用の電極は、高熱,高負荷を繰り返し受ける状況下にあり変形しやすいので、その素材としては変形に耐え得るものでなければならない。しかも、抵抗溶接用電極の本来の必要条件である、高電気伝導度,高熱伝導性及び高強度,高耐摩耗性を備えていることが要求される。このような背景のもと、抵抗溶接用電極としてはCu−Cr、Cu−Cr−Zr等のCu合金や、Al2O3等の硬質物質を分散させたCu材が用いられている。熱伝導特性や強度、コスト等の総合的な観点から、Cu−Cr合金が用いられる場合が多い。
また一方で、耐久性向上のために自動車や家電製品等の素材として、Znめっき又はZn合金めっき等が施されためっき鋼板が多く使用されるようになっている。これらのめっき鋼板を抵抗溶接する際には、冷延鋼板を抵抗溶接する際と比較して、大電流を通電することになるため、電極先端部がさらに過酷な条件下におかれることになる。溶接中の電極先端では、めっき層の成分であるZnやAl、或いはめっき鋼板の母材成分であるFeと電極の主成分であるCuとが合金化反応を起こし、Cu−ZnやCu−Zn−Al−Fe等の金属間化合物を形成してしまう。これらの金属間化合物は非常に脆いため、溶接時の加圧で剥離してしまい、結果として電極先端径が拡大して電流密度が低下することになる。このように、めっき鋼板の溶接では、普通鋼やステンレス鋼等の冷延鋼板を溶接する場合と比較すると、電極寿命が短いという欠点がある。特にスポット溶接法は抵抗溶接法の中で最も多用されており、使用する電極数も多くなることから、電極の短寿命化はスポット溶接法において最も大きく影響してくる。
そこで、電極の高寿命化を狙って、本発明者等は、既に電極先端中央部に埋め込んだ材料とその周辺の材料と異なった二重構造の各種電極を提案している。
特許文献1に、Cu又はCu合金からなる電極本体の被溶接材に当接する当接面に、W又はMo若しくはそれらを基材とする合金からなる芯材を、芯材/当接面の面積比率が0.7〜3になるように埋設した電極を提案している。また、この電極では、芯材となるW又はMo若しくはそれらを基材とする合金に、2a族元素,4a族元素又は希土類元素の酸化物,窒化物,炭化物及び硼化物から選ばれる少なくとも一種以上の微粒子を、0.5〜10体積%の割合で分散させている。
特許文献1に、Cu又はCu合金からなる電極本体の被溶接材に当接する当接面に、W又はMo若しくはそれらを基材とする合金からなる芯材を、芯材/当接面の面積比率が0.7〜3になるように埋設した電極を提案している。また、この電極では、芯材となるW又はMo若しくはそれらを基材とする合金に、2a族元素,4a族元素又は希土類元素の酸化物,窒化物,炭化物及び硼化物から選ばれる少なくとも一種以上の微粒子を、0.5〜10体積%の割合で分散させている。
また、特許文献2に、Mg成分を含有するZn系合金めっき鋼板をスポット溶接するための二重構造電極として、その芯材に、Be,Mg,Ca,Sr,Ti,Zr,Y,Ceの酸化物から選ばれた少なくとも一種以上の微粒子を0.5〜10体積%の割合で分散させたW又はMo若しくはそれらを基材とする合金を用いたものを提案している。
さらに、特許文献3に、二重構造のスポット溶接用電極として、芯材に、2a族元素,4a族元素,5a族元素,6a族元素,希土類元素の酸化物,窒化物,炭化物,ホウ化物から選ばれる少なくとも一種以上の化合物からなり、融点が2400℃以上で、平均粒子径が2μm以下の微粒子が、合計で0.5〜10体積%分散されたWを基材とする合金を用いたものを提案している。
特願2004−192694号
特願2004−282463号
特願2004−292990号
さらに、特許文献3に、二重構造のスポット溶接用電極として、芯材に、2a族元素,4a族元素,5a族元素,6a族元素,希土類元素の酸化物,窒化物,炭化物,ホウ化物から選ばれる少なくとも一種以上の化合物からなり、融点が2400℃以上で、平均粒子径が2μm以下の微粒子が、合計で0.5〜10体積%分散されたWを基材とする合金を用いたものを提案している。
前記特許文献で紹介した電極はいずれも二重構造を有するものであり、埋設した芯材として、高温状態下でも比較的高強度(高硬度)を有し、めっき金属と合金化反応を起こし難いW又はMo若しくはそれらを基材とする合金を用いていることから、一定面積の通電路が確保されやすくなっている。このため、溶接電流密度の低下が抑制され、電極を長寿命化できるという利点を有している。
また、WやMoは、それ自身が硬質であるが故に、スポット溶接する際の電極加圧時の衝撃でクラックが発生しやすい等、破損しやすいという欠点も有している。しかしながら、衝撃を受けた際のクラックの発生・伝播等も、添加微粒子による転位のピン止め作用により抑制することができている。微粒子添加により、芯材が部分的に大きく欠落することがなくなり、通電路の拡大が抑制されてほぼ一定のナゲット径が得られようになる。このような効果により、結果として、従来のCu合金材質の電極と比べて大幅に電極寿命が改善されている。
さらに、前記特許文献はスポット溶接用電極として記されているが、めっき金属との反応性や通電路の拡大抑制といった電極寿命改善の特性は、何れの抵抗溶接法でも発揮されるものである。
また、WやMoは、それ自身が硬質であるが故に、スポット溶接する際の電極加圧時の衝撃でクラックが発生しやすい等、破損しやすいという欠点も有している。しかしながら、衝撃を受けた際のクラックの発生・伝播等も、添加微粒子による転位のピン止め作用により抑制することができている。微粒子添加により、芯材が部分的に大きく欠落することがなくなり、通電路の拡大が抑制されてほぼ一定のナゲット径が得られようになる。このような効果により、結果として、従来のCu合金材質の電極と比べて大幅に電極寿命が改善されている。
さらに、前記特許文献はスポット溶接用電極として記されているが、めっき金属との反応性や通電路の拡大抑制といった電極寿命改善の特性は、何れの抵抗溶接法でも発揮されるものである。
しかしながら、このような二重構造の電極も、通電電流を大きくして発熱量を多くした使用態様にあっては、温度が上昇し、芯材先端が変形したり、先端にクラックが発生し芯材の一部が脱落したりして、芯材が損耗しやすく、必ずしも十分な電極寿命を発揮していない。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、めっき鋼板を二重構造の電極を用いて抵抗溶接する際に、より一層のナゲット径の安定化を図るとともに、電極寿命の延長が可能な抵抗溶接方法を提供することを目的とする。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、めっき鋼板を二重構造の電極を用いて抵抗溶接する際に、より一層のナゲット径の安定化を図るとともに、電極寿命の延長が可能な抵抗溶接方法を提供することを目的とする。
本発明の抵抗溶接方法は、その目的を達成するため、Cu又はCu合金からなる電極本体の被溶接材に当接する当接面に、W又はMo若しくはそれらを基材とする合金からなる芯材を埋設した二重構造の電極を用い、抵抗溶接時に通電する溶接電流を散りが発生する電流値未満にして溶接することを特徴とする。
本発明方法においては、被溶接材に当接する当接面に埋設した芯材を、W又はMo若しくはそれらを基材とする合金とした二重構造の電極を用いて抵抗溶接する際に、通電する溶接電流として、散りが発生する電流未満の値としているために、芯材先端の変形や損耗に起因した先端径の拡大を抑制することができ、これによってより一層の電極寿命の延長を図ることができる。
本発明者等は、Wを埋設した二重構造の電極とスポット溶接法を用いて種々の検討を重ねた。
MoやW又はMoを基材とした合金はWの場合とほとんど同じ挙動を示すことから、Wでの検討結果がそれらの合金にも当てはまると予測できる。また、スポット溶接法での電極挙動は、他の抵抗溶接法での電極挙動と同じになることから、スポット溶接法の結果が他の抵抗溶接法の場合にも当てはめることができると考えられる。
二重構造電極のW芯材は、高温状態下で比較的高強度ではあるもののまったく変形しないわけではない。温度が上がるにつれて硬さや圧縮強度は低下する。図1に示すφ6mmのW・丸棒の圧縮試験結果に見られるように、温度が上がると丸棒の半径方向の変形量は増加する。このような特性から、二重構造電極でスポット溶接を行った際、溶接電流が電極を通して被溶接材に通電されるために、通電の際の抵抗発熱により芯材の温度も上昇する。芯材の温度が上昇するため、芯材先端が変形するとともに変形に伴うクラックの発生で芯材の一部が脱落するなど、芯材が損耗する傾向を示してくると考えられる。
MoやW又はMoを基材とした合金はWの場合とほとんど同じ挙動を示すことから、Wでの検討結果がそれらの合金にも当てはまると予測できる。また、スポット溶接法での電極挙動は、他の抵抗溶接法での電極挙動と同じになることから、スポット溶接法の結果が他の抵抗溶接法の場合にも当てはめることができると考えられる。
二重構造電極のW芯材は、高温状態下で比較的高強度ではあるもののまったく変形しないわけではない。温度が上がるにつれて硬さや圧縮強度は低下する。図1に示すφ6mmのW・丸棒の圧縮試験結果に見られるように、温度が上がると丸棒の半径方向の変形量は増加する。このような特性から、二重構造電極でスポット溶接を行った際、溶接電流が電極を通して被溶接材に通電されるために、通電の際の抵抗発熱により芯材の温度も上昇する。芯材の温度が上昇するため、芯材先端が変形するとともに変形に伴うクラックの発生で芯材の一部が脱落するなど、芯材が損耗する傾向を示してくると考えられる。
そこで、形状を自動車分野で多く使用されているDR形とし、先端の直径6mmの領域に曲率半径40mmの円弧が付与されており、全体直径が16mmで先端以外の部分に曲率半径8mmの円弧を付与した電極であって、芯材周囲の本体はCuとし、芯材には直径6mmのWを用いて先端直径6mm部分に埋設した二重構造電極を用い、板厚0.7mmのZn−Al−Mgめっき鋼板2枚をスポット溶接した。その際、通電する溶接電流を変化させて連続打点溶接実験を実施し、電極寿命及び芯材先端の径拡大量や損耗量を調査した。
なお、芯材先端の径拡大量は、使用前後の先端部を記録紙に転写した際の径の拡大量から、また芯材先端の損耗量は、使用前後の芯材断面長さの減少量から算出した。
なお、芯材先端の径拡大量は、使用前後の先端部を記録紙に転写した際の径の拡大量から、また芯材先端の損耗量は、使用前後の芯材断面長さの減少量から算出した。
通電する連続打点溶接での溶接電流値を変化させて芯材先端の損耗量を調査した結果、図2に示すように、連続打点溶接電流の散り発生溶接電流に対する電流比率が高くなると、つまり、連続打点溶接電流が高くなると芯材先端の損耗量が多くなる傾向を示した。特に電流比率が1以上となると、その損耗量は急激に増加する傾向であった。
また、図3には電流比率と芯材先端径の拡大量の関係を示す。先端径拡大量も、前記の損耗量の場合と同様に電流比率が高くなると大きくなり、特に電流比率が1以上となると急激に増加する傾向であった。
また、図3には電流比率と芯材先端径の拡大量の関係を示す。先端径拡大量も、前記の損耗量の場合と同様に電流比率が高くなると大きくなり、特に電流比率が1以上となると急激に増加する傾向であった。
図2,3の結果と図1の結果と併せて考慮すると、芯材先端径の拡大は、芯材の変形と損耗が影響していることが明らかである。
さらに、図3の結果を考慮しつつ図4に示す結果をみると、電極寿命は、電流比率が高くなると低下する傾向があり、電流比率が1を起点としてその低下傾向が始まっていることがわかる。
このように二重構造電極の電極寿命は,芯材先端の損耗や変形を起因とした径拡大による電極密度低下に左右されることがわかった。
さらに、図3の結果を考慮しつつ図4に示す結果をみると、電極寿命は、電流比率が高くなると低下する傾向があり、電流比率が1を起点としてその低下傾向が始まっていることがわかる。
このように二重構造電極の電極寿命は,芯材先端の損耗や変形を起因とした径拡大による電極密度低下に左右されることがわかった。
次に、散り発生域の溶接電流の影響について検討すると、以下のように推測される。
すなわち、電極寿命低下や芯材先端の損耗・径拡大が増加する電流比率が1以上、つまり散り発生域の溶接電流が流れているとき、図5に示すように、散り発生は、溶接電流の通電中に被溶接材1の板間に形成される溶融池2と被溶接材1の板間隙間との距離δがなくなるまで溶融池2が成長することであるから、電極3の芯材4に溶融池2が最も近づく状態となり芯材4に溶融池2から伝達される熱量が最も多くなる。また、溶融池2の熱膨張力Pも最も作用しやすい状態となり、芯材4の圧縮状態が非常に高くなっている。このような状態は、芯材4の温度と作用する熱膨張力P(圧縮力)の両方が非常に高い状態で、連続打点溶接に常に繰り返されてくる。そのために,散り発生域の溶接電流で連続打点溶接を行うと芯材のダメージ及び電極寿命低下が大きくなっているものと考えられる。
すなわち、電極寿命低下や芯材先端の損耗・径拡大が増加する電流比率が1以上、つまり散り発生域の溶接電流が流れているとき、図5に示すように、散り発生は、溶接電流の通電中に被溶接材1の板間に形成される溶融池2と被溶接材1の板間隙間との距離δがなくなるまで溶融池2が成長することであるから、電極3の芯材4に溶融池2が最も近づく状態となり芯材4に溶融池2から伝達される熱量が最も多くなる。また、溶融池2の熱膨張力Pも最も作用しやすい状態となり、芯材4の圧縮状態が非常に高くなっている。このような状態は、芯材4の温度と作用する熱膨張力P(圧縮力)の両方が非常に高い状態で、連続打点溶接に常に繰り返されてくる。そのために,散り発生域の溶接電流で連続打点溶接を行うと芯材のダメージ及び電極寿命低下が大きくなっているものと考えられる。
以上の調査・検討結果から、二重構造の電極でスポット溶接する場合の最適溶接電流範囲は、規定した基準以上のナゲット径が得られ、かつ散り発生がない条件であり、これにより散り発生域の溶接電流で溶接する場合よりも芯材先端径の拡大速度が低く、電極寿命もより延長されることがわかる。
勿論、散り発生域の溶接電流で溶接した際の電極寿命は、これまで提案した発明の内容通り、従来の銅合金電極より大幅に改善されている。つまり、本発明によれば、これまで本発明者らが提案した発明の場合よりもより一層の電極寿命改善が望めることになる。
勿論、散り発生域の溶接電流で溶接した際の電極寿命は、これまで提案した発明の内容通り、従来の銅合金電極より大幅に改善されている。つまり、本発明によれば、これまで本発明者らが提案した発明の場合よりもより一層の電極寿命改善が望めることになる。
また、通電させる溶接電流の下限値は、必要とするナゲット径が形成できる溶接電流値以上にしなければならず、例えば必要ナゲット径が4√t(tは被溶接材・一枚の最小板厚)以上であれば、本発明ではナゲット径が4√tが確保できる溶接電流から散り発生する溶接電流未満の範囲となる。
なお,本発明の溶接方法を適用するWの通電焼結体からなる電極1にあっては,10〜200ppm程度のK(カリウム)を、酸化物,窒化物,金属K,炭化物或いはホウ化物の形態でドープされたものが多用されている。本明細書中では、Wは上記ドープWをも包含していることを付言しておく。
なお,本発明の溶接方法を適用するWの通電焼結体からなる電極1にあっては,10〜200ppm程度のK(カリウム)を、酸化物,窒化物,金属K,炭化物或いはホウ化物の形態でドープされたものが多用されている。本明細書中では、Wは上記ドープWをも包含していることを付言しておく。
一般に、W又はそれらを基材とする合金は焼結法により製造される。本発明を適用する二重構造の電極1で芯材3として用いられるW又はそれらを基材とする合金も通常通り焼結法で製造される。その後、得られた焼結体にスエージング加工とセンターレス研磨を施して所望の径の棒体を得る。電極本体である周囲材2の銅または銅合金にも、通常のものが使用される。市販の純銅、あるいはCu−Cr合金、Cu−Cr−Zr合金等が使用される。
芯材3を銅材からなる周囲材2に埋め込む態様も,従来法をそのまま適用できる。穿った孔に芯材3を圧入しても良いし,ロウ材を介して挿し込んでも良い。或いは焼き嵌めを行っても良いし,芯材3を銅材で鋳包んだ後冷間鍛造を施しても良い。芯材3と周囲材2が密に接合されていれば、電気伝導,熱伝導の点で問題になることはない。
二重構造の電極構造体を形成した後,先端に研削加工を施して、DR形状等、所要の形状に整えれば十分である。
なお、上記ではスポット溶接方法に関して記したが、他の抵抗溶接法の場合であっても二重構造の電極を用いれば、スポット溶接の場合と同様に一層の電極寿命の延長を図ることができることを付言しておく。
芯材3を銅材からなる周囲材2に埋め込む態様も,従来法をそのまま適用できる。穿った孔に芯材3を圧入しても良いし,ロウ材を介して挿し込んでも良い。或いは焼き嵌めを行っても良いし,芯材3を銅材で鋳包んだ後冷間鍛造を施しても良い。芯材3と周囲材2が密に接合されていれば、電気伝導,熱伝導の点で問題になることはない。
二重構造の電極構造体を形成した後,先端に研削加工を施して、DR形状等、所要の形状に整えれば十分である。
なお、上記ではスポット溶接方法に関して記したが、他の抵抗溶接法の場合であっても二重構造の電極を用いれば、スポット溶接の場合と同様に一層の電極寿命の延長を図ることができることを付言しておく。
Zn−6%Al−3%Mg合金めっきを片面当り60g/m2で施した板厚0.7mmの2枚のZn−Al−Mgめっき鋼鈑を、先端直径が6mm,全体直径が16mmのDR形で、先端直径6mmの部分に曲率半径40mmの円弧と他の部分に曲率半径8mmの円弧を付与した二重構造の電極であって、芯材3には純度99.95%のW粉末を通電焼結した後にスエージング加工とセンターレス研磨を行なって直径6mmとし、周囲材2の純Cuに埋め込んだ。
表1に示す条件で溶接電流を種々変更して連続打点の溶接を行った。そして、形成されたナゲット径を測定し、ナゲット径が4√t=3.35(tは板厚)を下回るものを溶接不良として電極寿命を求めた。また、電極寿命を調査する打点数と同時期の芯材先端径も調査した。
さらに、二重構造電極と1%CrCu電極との性能比較を行う場合の溶接電流条件は、打点初期のナゲット径がほぼ同一となる値を選択した。
具体的には,初期ナゲット径が5mmとなる電流であり,二重構造電極が8.0kA,1%CrCu電極が10.6kAである。なお、表1に示した条件にて事前に適正溶接電流範囲を調査したところ、二重構造電極ではナゲット径が4√tとなる溶接電流が6.6kAで、散り発生する溶接電流が7.6kAであった。また,1%CrCu電極の場合は、ナゲット径が4√tとなる溶接電流が6.8kAで、散り発生する溶接電流が7.6kAであった。
さらに、二重構造電極と1%CrCu電極との性能比較を行う場合の溶接電流条件は、打点初期のナゲット径がほぼ同一となる値を選択した。
具体的には,初期ナゲット径が5mmとなる電流であり,二重構造電極が8.0kA,1%CrCu電極が10.6kAである。なお、表1に示した条件にて事前に適正溶接電流範囲を調査したところ、二重構造電極ではナゲット径が4√tとなる溶接電流が6.6kAで、散り発生する溶接電流が7.6kAであった。また,1%CrCu電極の場合は、ナゲット径が4√tとなる溶接電流が6.8kAで、散り発生する溶接電流が7.6kAであった。
その結果を表2に示す。
表2に示す結果からも分かるように,二重構造電極では何れの溶接電流で連続打点溶接しても、電極寿命は10000打点以上となり1%CrCu電極と比較すると大幅に電極寿命が改善された。
また、二重構造電極のうち、試験番号1〜3と4〜6を比較しても分かるように溶接電流を適正溶接電流範囲に設定した方が長寿命となった。これらについて、電極先端径を観察したところ、試験番号4〜6よりも試験番号1〜3の方が、先端径の拡大量は少なかった。
表2に示す結果からも分かるように,二重構造電極では何れの溶接電流で連続打点溶接しても、電極寿命は10000打点以上となり1%CrCu電極と比較すると大幅に電極寿命が改善された。
また、二重構造電極のうち、試験番号1〜3と4〜6を比較しても分かるように溶接電流を適正溶接電流範囲に設定した方が長寿命となった。これらについて、電極先端径を観察したところ、試験番号4〜6よりも試験番号1〜3の方が、先端径の拡大量は少なかった。
Claims (1)
- Cu又はCu合金からなる電極本体の被溶接材に当接する当接面に、W又はMo若しくはそれらを基材とする合金からなる芯材を埋設した二重構造の電極を用い、抵抗溶接時に通電する溶接電流を散りが発生する電流値未満にして溶接することを特徴とする抵抗溶接方法。
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CN103350277A (zh) * | 2013-07-22 | 2013-10-16 | 哈尔滨凌云汽车零部件有限公司 | 焊接车门镀锌板的焊枪专用复合电极 |
JP2014124638A (ja) * | 2012-12-25 | 2014-07-07 | Nisshin Steel Co Ltd | Zn‐Al‐Mg系合金めっき鋼板のスポット溶接方法 |
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2006
- 2006-03-07 JP JP2006061187A patent/JP2007237209A/ja active Pending
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