JP2007257965A - 固体高分子型燃料電池及び燃料電池システム - Google Patents

固体高分子型燃料電池及び燃料電池システム Download PDF

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Abstract

【課題】 実用的であり、電池性能が高く、かつ、耐久性に優れた固体高分子型燃料電池及び燃料電池システムを提供すること。
【解決手段】 固体高分子電解質膜の両面に、触媒層及び拡散層からなる電極が接合された膜電極接合体を備え、前記拡散層は、添加剤を含み、該添加剤は、少なくとも、自ら過酸化物又は過酸化物ラジカルと反応することによって、過酸化物を安定化させ若しくは過酸化物ラジカルを消滅させる機能を有する犠牲剤を含む固体高分子型燃料電池及びこれを用いた燃料電池システム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、固体高分子型燃料電池及び燃料電池システムに関し、さらに詳しくは、車載用動力源、定置型小型発電器、コジェネレーションシステム等として好適な固体高分子型燃料電池及び燃料電池システムに関する。
固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜の両面に電極が接合された膜電極接合体(MEA)を基本単位とする。また、固体高分子型燃料電池において、電極は、一般に、拡散層と触媒層の二層構造をとる。拡散層は、触媒層に反応ガス及び電子を供給するためのものであり、カーボンペーパー、カーボンクロス等が用いられる。また、触媒層は、電極反応の反応場となる部分であり、一般に、白金等の電極触媒を担持したカーボンと固体高分子電解質(触媒層内電解質)との複合体からなる。
このようなMEAを構成する電解質膜あるいは触媒層内電解質には、耐酸化性に優れた全フッ素系電解質(高分子鎖内にC−H結合を含まない電解質。例えば、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成(株)製)、フレミオン(登録商標、旭硝子(株)製)等。)を用いるのが一般的である。
また、全フッ素系電解質は、耐酸化性に優れるが、一般に極めて高価である。そのため、固体高分子型燃料電池の低コスト化を図るために、炭化水素系電解質(高分子鎖内にC−H結合を含み、C−F結合を含まない電解質)、又は部分フッ素系電解質(高分子鎖内にC−H結合とC−F結合の双方を含む電解質)の使用も検討されている。
しかしながら、固体高分子型燃料電池を車載用動力源等として実用化するためには、解決すべき課題が残されている。例えば、炭化水素系電解質は、全フッ素系電解質に比べて安価であるが、過酸化物ラジカルにより劣化しやすいという問題がある。
また、液体燃料を用いる燃料電池において、燃料には、一般に、メタノールが使用される。メタノールは、有毒であるので、燃料電池の運転中に燃料漏れが発生すると、環境に対して悪影響を及ぼすおそれがある。
また、電極反応を効率よく進行させるためには、触媒層内に電極触媒、電解質及び反応ガスが共存する三相界面を確保する必要がある。そのため、触媒層内に撥水剤としてポリテトラフルオロエチレンを添加する場合がある。しかしながら、ポリテトラフルオロエチレンは凝集しやすいので、電極触媒を含む電極用スラリーにポリテトラフルオロエチレンを添加すると、スラリーが餅状になりやすいという問題がある。
さらに、高分子電解質の大きさは、一般に、電極触媒を担持させる触媒担体の一次粒子より大きいので、触媒担体の近傍に高分子電解質を均一に分散させにくいという問題がある。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、炭化水素系電解質に酸化マンガン、酸化ルテニウム、酸化イリジウム等の遷移金属酸化物微粒子を分散させた高耐久固体高分子電解質が開示されている。同文献には、炭化水素系電解質膜中に酸化ルテニウム等を分散させることによって、膜の耐酸化性が向上する点が記載されている。
また、特許文献2には、炭化水素系固体高分子電解質膜に、酸化マンガン、酸化ルテニウム等の遷移金属酸化物触媒、あるいは、鉄フタロシアニン、銅フタロシアニン等の大環状金属錯体触媒を添加した固体高分子電解質膜が開示されている。同文献には、炭化水素系電解質に遷移金属酸化物触媒あるいは大環状金属錯体触媒を添加すると、電極反応の副反応により生じた過酸化水素が遷移金属酸化物触媒あるいは大環状金属錯体触媒によって分解され、炭化水素系電解質の耐酸化性が向上する点が記載されている。
また、特許文献3には、触媒層の少なくとも一方がパーフルオロカーボンスルホン酸と、炭素−フッ素結合より小さい結合エネルギーを有する分子とを含む高分子電解質型燃料電池、及び、燃料ガス又は酸化剤ガスの少なくとも一方に、炭素−フッ素結合より小さい結合エネルギーを有する分子を混合する高分子電解質型燃料電池が開示されている。同文献には、触媒層にラウリルアルコールを添加すると、これを添加しない場合に比べてセル電圧の低下が抑制される点、及び、水素ガスに1%のメタノールを混合すると、水素のみの場合に比べてセル電圧の低下が抑制される点が記載されている。
また、特許文献4には、炭素数3以下のアルコール及び水を含む燃料と、識別剤及び界面活性剤を含む燃料電池用の燃料組成物が開示されている。同文献には、液体燃料を用いる燃料電池において、燃料中に識別剤を添加すると、燃料の使用状況や燃料漏れを目視で確認できる点、及び、燃料中に界面活性剤を添加すると、液体燃料と多孔板内部の毛細管との濡れ性が向上し、燃料の吸い上げが容易になる点が記載されている。
また、特許文献5には、触媒成分、ポリテトラフルオロエチレン成分及び所定量の水を含む電極用スラリーにポリカルボン酸系界面活性剤を添加し、これを基材に塗布する燃料電池用電極の製造方法が開示されている。同文献には、水の量を適切な範囲とすることに加えて、電極用スラリーにポリカルボン酸系界面活性剤を添加すると、電極用スラリーの粘度を容易に制御できる点、及び、添加されたポリカルボン酸系界面活性剤は電極成分として機能するものではなく、性能、耐久性の面から、界面活性剤がほとんど残存していないことが好ましい点が記載されている。
また、特許文献6には、触媒層の少なくとも一方が、炭素粉末と界面活性剤と高分子電解質を含む燃料電池が開示されている。同文献には、触媒層に界面活性剤を添加することによって、高分子電解質や炭素粉末、その他の結着剤が十分に分散され、十分な触媒の有効反応表面積を確保することができる点が記載されている。
また、特許文献7には、セパレータのガス流通路の内表面に親水性塗膜が形成された固体高分子型燃料電池が開示されている。同文献には、このような構成を採用することによって、ガス流通路が水で閉塞することに起因する燃料電池性能の低下を抑制できる点が記載されている。さらに、特許文献8には、膜電極接合体の少なくとも一方の電極に使用される撥水性高分子又は結着剤の分散に使用される界面活性剤に内分泌攪乱作用物質を含まない界面活性剤を使用した燃料電池が開示されている。同文献には、界面活性剤を使用することによって、撥水性高分子や結着剤が十分に分散され、これらの偏在を抑制できる点が記載されている。
特開2001−118591号公報 特開2000−106203号公報 特開2003−109623号公報 特開2004−006335号公報 特開2003−308847号公報 特開2002−343367号公報 特開2001−093539号公報 特開2002−280005号公報
Pt、Ru、Ir、Rh等の貴金属又はこれらの酸化物は、過酸化物を分解させる作用を有している。そのため、これらの粉末を炭化水素系電解質又は部分フッ素系電解質に添加すると、過酸化物ラジカルの発生が抑制され、耐酸化性を向上させることができる。しかしながら、貴金属は資源量が少なく、高価であるので、この方法は実用的ではない。
一方、大環状金属錯体や遷移金属酸化物は、過酸化水素を分解する作用があり、しかも、貴金属に比べて安価であるが、電子伝導性は低い。そのため、MEAの耐久性を向上させるためにこれらの化合物を電極に多量に添加すると、内部抵抗あるいは接触抵抗の上昇を招き、電池性能が低下するという問題がある。
また、全フッ素系電解質は、従来、過酸化物ラジカルに対する耐性が高く、過酸化物ラジカルが共存する環境下において長期間使用した場合であっても、劣化しないと考えられていた。しかしながら、本願発明者らは、全フッ素系電解質といえども、燃料電池の作動条件下で長時間使用すると、経時劣化することを見出した。そのため、要求される耐酸化性のレベルが高い用途に対しては、電解質の耐久性をさらに向上させることが望まれている。
さらに、過酸化物ラジカルが生成しやすい環境下であっても、生成した過酸化物ラジカルと電解質膜及び/又は触媒層内電解質とが反応する前に、過酸化物又は過酸化物ラジカルを消滅させることができれば電解質の劣化を抑制できると考えられる。
しかしながら、特許文献3には、触媒層にラウリルアルコールを添加した例が記載されているが、長期間の犠牲作用を維持するためには、触媒層にラウリルアルコールを多量に添加する必要がある。一方、多量の添加は、電子伝導性の低下や触媒表面を覆い電池性能の低下を招く。
また、特許文献3には、犠牲剤として燃料ガスにメタノールを添加する例、及び、界面活性剤も犠牲剤として使用可能である点も記載されているが、我々の検討によれば、その効果は不十分なものであった。
さらに、電解質として多用されているパーフルオロ系の電解質膜は、メタノール等を含むアルコール溶液と接触すると膨潤が甚だしく、強度が低下しやすい。従って、このような高濃度アルコールを継続的に供給すると、機械的ストレスを受ける箇所で電解質膜が短期間に穴明きに至る場合がある。例えば、キャスト法で作製されたパーフルオロ系膜は、アルコール系溶剤に非常に弱く、犠牲剤としてアルコールを高濃度で供給し続けると、膜強度が大幅に低下し、短期間に穴明きに至り、電池電圧低下も著しい。
また、電極には、三相界面を形成するためにエタノールやプロパノールのアルコール水溶液に電解質を溶解又は分散させたパーフルオロ系の電解液を固化したものが使用されている。しかしながら、アルコールを継続的に供給すると、電池作動中に、徐々に電解質がアルコールにより持ち出され、電池電圧の低下が起きる。
さらに、過酸化物ラジカルは、触媒層及び拡散層に含まれる炭素材料を劣化させる場合がある。しかしながら、炭素材料の劣化を積極的に抑制するための手段が提案された例は、従来にはない。
また、燃料電池に供給された犠牲剤の一部は、過酸化物又は過酸化物ラジカルとの反応に消費されることなく、外部にそのまま放出される場合がある。犠牲作用を有する化合物の中には分解されにくい物質等もあるので、これがそのまま外部に放出されると、環境に対して負荷を与える場合がある。一方、分解されやすい犠牲剤は、燃料電池内で生成した過酸化物や過酸化物ラジカルを効率的に消滅させることができるが、燃料電池内にこのような犠牲剤が残留した状態で運転を停止させ、長期間放置すると、燃料電池内で犠牲剤の腐敗が進行する。犠牲剤の腐敗は、触媒層内の細孔を閉塞させ、電池性能を低下させたり、あるいは、臭気を発生させる原因となる。
本発明が解決しようとする課題は、実用的であり、電池性能が高く、かつ、耐久性に優れた固体高分子型燃料電池及び燃料電池システムを提供することにある。また、本発明が解決しようとする他の課題は、全フッ素系電解質を用いた固体高分子型燃料電池及び燃料電池システムにおいて、全フッ素系電解質の耐久性を向上させることにある。さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、過酸化物ラジカルによる炭素材料の劣化を抑制することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、過酸化物又は過酸化物ラジカルとの反応に消費されなかった犠牲剤が大気中に放出されることにより生ずる環境負荷を抑制することにある。さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、犠牲剤の腐敗に起因する電池性能の低下や臭気の発生を抑制することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜の両面に、触媒層及び拡散層からなる電極が接合された膜電極接合体を備え、前記拡散層は、添加剤を含み、該添加剤は、少なくとも、自ら過酸化物又は過酸化物ラジカルと反応することによって、過酸化物を安定化させ若しくは過酸化物ラジカルを消滅させる機能を有する犠牲剤を含むことを要旨とする。
また、本発明に係る燃料電池システムは、本発明に係る固体高分子型燃料電池と、該固体高分子型燃料電池に水及び/若しくは水蒸気を供給し、並びに/又は、前記固体高分子型燃料電池から排出される水及び/若しくは水蒸気を回収するための加湿経路とを備えていることを要旨とする。
拡散層に過酸化物を安定化させ又は過酸化物ラジカルを消滅させる機能を有する犠牲剤を添加すると、電極で副生した過酸化水素又はこれがラジカル分解することにより生ずる過酸化物ラジカルの少なくとも一部は、電解質膜及び/又は触媒層内電解質よりも先に犠牲剤を攻撃する。そのため、過酸化物ラジカルによる電解質膜及び/又は触媒層内電解質の劣化を抑制することができる。また、犠牲剤としてある種の有機物を用いると、触媒層に犠牲剤を添加した場合に比べて、初期性能が高くなり、耐久性が向上し、あるいは、炭素材料の劣化に起因する電池性能の低下を抑制することができる。
さらに、添加剤として、界面活性剤と界面活性剤以外の犠牲剤との混合物を用いると、溶出した犠牲剤及び界面活性剤がミセルを形成し、あるいは、界面活性剤が水の表面張力を下げる。そのため、電極の細孔部分や電解質膜内部まで犠牲剤が容易に浸透し、過酸化物又は過酸化物ラジカルを効率よく消滅させることができる。また、犠牲剤として、ある種の化合物を用いると、環境に対する負荷を軽減することができる。さらに、加湿経路のいずれかに抗菌手段を備えている場合には、添加剤の腐敗に起因する電池性能の低下や臭気の発生を抑制できる。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。図1に、燃料電池システムの一例を示す。図1において、燃料電池システム10は、固体高分子型燃料電池20と、燃料ガス供給装置30と、酸化剤ガス供給装置50と、加湿経路70とを備えている。
固体高分子型燃料電池20は、図示はしないが、固体高分子電解質膜の両面に電極(燃料極、空気極)が接合された膜電極接合体(MEA)と、MEAの両面を挟持するセパレータとを備えている。セパレータのMEA側表面には、燃料ガス又は酸化剤ガスを電極に供給するためのガス流路が設けられている。固体高分子型燃料電池20は、一般に、このようなMEAとセパレータからなるユニットセルが複数個積層されたものからなる。
燃料ガス供給装置30から供給される燃料ガス(例えば、水素ガス)は、吸気マニホールド(図示せず)を介して各MEAの燃料極側に分配され、各燃料極から排出されるガスは、排気マニホールド(図示せず)を介して排出されるようになっている。同様に、酸化剤ガス供給装置50から供給される酸化剤ガス(例えば、空気)は、吸気マニホールド(図示せず)を介して各MEAの空気極側に分配され、各空気極から排出されるガスは、排気マニホールド(図示せず)を介して排出されるようになっている。
さらに、固体高分子型燃料電池20には、その運転状態の監視・制御を行うための各種センサ(例えば、電圧測定装置22、温度測定装置24等)が設けられている。
MEAを構成する固体高分子電解質膜には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマや、各種炭化水素系電解質が用いられる。電極は、一般に、固体高分子電解質膜の表面に接合された触媒層と、その外側に接合された拡散層の二層構造をとる。拡散層は、一般に、カーボンペーパ、カーボンクロス等からなり、触媒層は、一般に、白金等の電極触媒を担持したカーボンと固体高分子電解質(触媒層内電解質)との複合体からなる。触媒層内電解質は、一般に、固体高分子電解質膜と同一の材料が用いられるが、異なる材料を用いても良い。さらに、セパレータには、一般にカーボンが用いられるが、Ti、ステンレス鋼、Sn合金等の金属材料の使用も検討されている。
燃料ガス供給装置30は、吸気系統と排気系統とを備えている。吸気系統は、燃料ガスである水素を貯蔵する水素ボンベ32と、水素ボンベ32と固体高分子型燃料電池20の燃料極側の吸気マニホールド(図示せず)とを繋ぐ水素吸気管34aとを備えている。水素吸気管34aには、水素ボンベ32から水素吸気管34aに流入する水素ガスの圧力を調整するための圧力調整バルブ34bと、燃料極側に供給される水素量を調節するための水素吸気バルブ34cが設けられている。
燃料ガス供給装置30の排気系統は、固体高分子型燃料電池20の燃料極側の排気マニホールド(図示せず)に繋がれた水素排気管36aと、水素排気管36aを介して排出される排ガスに含まれる水を分離するための水素気液分離器38と、水素オフガスを再循環して使うために、オフガスを昇圧するための水素ポンプ40とを備えている。
水素ポンプ40の下流側には、背圧を調整するためのバルブ36bが設けられている。水素ポンプ40及びバルブ36bを介して排出された排ガスは、空気極側の排ガスによって希釈され、大気中に排出されるようになっている。
また、水素気液分離器38には配水管40aが繋がれ、配水管40aにはこれを開閉するための開閉バルブ40bが設けられている。水素気液分離器30は、排ガスから分離された水を配水管40aから系外に排出する構造になっている。
さらに、水素吸気管34aの圧力調整バルブ34b−水素吸気バルブ34c間と、水素排気管36aの水素ポンプ40−バルブ36b間とは、逆止弁42bを備えた連結管42aで繋がれている。SUS製の逆止弁42bは、排気側からの大気の混入を防止するためのものである。
酸化剤ガス供給装置50は、吸気系統と排気系統とを備えている。吸気系統は、固体高分子型燃料電池20の空気極側の吸気マニホールド(図示せず)に繋がれた空気吸気管52と、空気吸気管52に流入した空気を加湿するための加湿器54と、加湿された空気を所定の圧力に加圧するための空気圧縮機56とを備えている。
酸化剤ガス供給装置50の排気系統は、固体高分子型燃料電池20の空気極側の排気マニホールド(図示せず)に繋がれた空気排気管58と、空気排気管58を介して排出される排ガスに含まれる水分を分離する空気気液分離器60とを備えている。水分が分離された空気極側の排ガスは、希釈水素の排気系に導かれるようになっている。
空気気液分離器60は、回収管62aを介して加湿器54に繋がれている。空気気液分離器60は、排ガスから分離された水を回収管62aに排出する構造になっている。また、回収管62aには、空気気液分離器60の水を加湿器54側又は排水側に切り替えるための三方弁62bと、回収管62aを開閉するための開閉バルブ62cが設けられている。
加湿経路70は、固体高分子型燃料電池20に水及び/若しくは水蒸気を供給し、並びに/又は、個体高分子型燃料電池20から排出される水及び/若しくは水蒸気を回収するためのものである。図1に例示する燃料電池システム10においては、加湿経路70は、空気吸気管52、加湿器54、空気圧縮機56、固体高分子型燃料電池20、空気排気管58、空気気液分離器60、回収管62a、三方弁62b、及び、開閉バルブ62cによって構成されている。
なお、図1に示す燃料電池システムにおいて、回収管62a及び開閉バルブ62cを省略しても良い。この場合、加湿経路70は、酸化剤ガス供給装置50の吸気系統及び固体高分子型燃料電池20のみにより構成される。
また、図1に示す燃料電池システム10において、水素吸気管34aのいずれかに、燃料ガスを加湿するための加湿器を設けてもよい。この場合、水素吸気管34a及び燃料極側の加湿器、並びに、水素吸気管34aに設けられた各種バルブは、加湿経路70の構成要素となる。
また、図1に示す燃料電池システム10において、燃料極側から排出される水を回収し、固体高分子型燃料電池20の加湿に用いるための循環経路を設けてもよい。この場合、燃料ガス供給装置30の吸気系統に加えて、排気系統の一部(例えば、水素排気管36a、水素気液分離器38、開閉バルブ40b、水素ポンプ40など)も、加湿経路70の構成要素となる。
さらに、図1に示す燃料電池システム10において、燃料源として水素ボンベ32を用いているが、これに代えて改質器システムを用いても良い。同様に、酸化剤ガスとして、空気を用いているが、これに代えて酸素や酸素+窒素の混合ガスを用いても良い。
加湿経路70の各構成要素には、目的に応じて、ステンレス鋼、Ti合金、Pb合金、セラミック材料、ガラス、耐熱エンジニアリングプラスチックス(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂など)、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PFA、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)など)等の各種の材料が用いられている。
本発明は、上述した燃料電池システム10において、MEAの拡散層に、少なくとも犠牲剤を含む添加剤が添加されていることを特徴とする。この場合、すべての拡散層に犠牲剤が含まれていても良く、あるいは、一部に含まれていても良い。
例えば、過酸化物は、主として、空気極側で発生すると考えられているので、空気極側の拡散層に犠牲剤を添加すると、効率よく過酸化物又は過酸化物ラジカルを消滅させることができる。また、過酸化物は、酸素が燃料極側にクロスオーバーすることによって燃料極側においても発生すると考えられているので、空気極側の拡散層に代えて又はこれに加えて、燃料極側の拡散層に犠牲剤を添加しても良い。但し、燃料極側の拡散層に犠牲剤を固定する場合、触媒層上での燃料の酸化反応を阻害することがある。そのような場合には、その添加量は、空気極の場合に比べて少なくするのが好ましい。
さらに、固体高分子型燃料電池20は、一般に、複数個のMEAを備えているが、MEAが曝される環境は、場所によって異なる場合がある。そのため、最も過酷な環境に曝されるMEAの拡散層にのみ、添加剤を添加しても良い。
添加剤の固定場所は、特に限定されるものではなく、(1)拡散層の触媒層側表面に形成される撥水層内、(2)撥水層以外の拡散層内、(3)これらの組み合わせ、のいずれであっても良い。
また、添加剤の固定方法としては、例えば、
(1)撥水性粒子(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末)と、導電性微粒子(例えば、炭素粒子)と、添加剤と、溶媒とを加えてペースト状にし、拡散層表面にペーストを塗布(例えば、スプレー塗布、ドクターブレード等の塗工機による印刷など)し、溶媒を除去する方法、
(2)導電性微粒子と添加剤とを溶媒に分散させた処理液に拡散層を浸漬し、乾燥させる方法、
(3)添加剤を溶媒に分散させた溶液に、さらにポリアクリル酸やヒドロキシセルロース等の界面活性剤をバインダー(接着剤)として加えた処理液に拡散層を浸漬し、拡散層内に添加剤を固定した後、表裏面の添加剤のみを溶剤で除去する方法、
(4)これらの組み合わせ、
などがある。
添加剤は、一般に電子伝導性が小さいので、撥水層以外の部分に添加剤を固定する場合には、触媒層及びセパレータとの接触抵抗が増大しないように、その添加量や添加方法を最適化するのが好ましい。また、添加剤及びバインダーを含む処理液で処理する場合において、拡散層として炭素材料を用いるときには、バインダーとの濡れ性を向上させるために、拡散層をオゾン水や過酸化水素水と接触させて、C上にC=O基やC−OH基等の親水基を形成しても良い。拡散層として炭素材料以外の材料(例えば、耐食性に優れる金属材料(Ti系繊維、粉末焼結体))を用いた場合も、同様の方法を用いることができる。
ここで、本発明において、「添加剤」とは、拡散層に添加される犠牲剤、界面活性剤及び抗菌剤の総称をいう。
また、本発明において、「犠牲剤」とは、自ら過酸化物又は過酸化物ラジカルと反応することによって、過酸化物を安定化させ又は過酸化物ラジカルを消滅させる作用(犠牲作用)を有する有機化合物をいう。
また、本発明において、「界面活性剤」とは、分子内に疎水基と親水基を持つ有機化合物をいう。界面活性剤は、いわゆる「界面活性作用」のみを有するものでも良く、あるいは、界面活性作用に加えて、犠牲作用を有するものでも良い。
また、本発明において、「抗菌剤」とは、添加剤の腐敗を抑制する作用(抗菌作用)を有する有機化合物を言う。抗菌剤は、抗菌作用のみを有するものでも良く、あるいは、抗菌作用に加えて、犠牲作用を有するものでも良い。
さらに、本発明において、単に「犠牲剤」というときは、特に断らない限り、広義の犠牲剤(すなわち、犠牲作用のみを有する犠牲剤、犠牲作用を有する抗菌剤、及び、犠牲作用を有する界面活性剤を含む概念)をいう。
電解質膜及び触媒層内電解質の劣化を抑制し、固体高分子型燃料電池の耐久性を向上させるためには、犠牲剤は、過酸化物又は過酸化物ラジカルとの反応性が固体高分子電解質膜及び触媒層内電解質より高いものが好ましい。過酸化物又は過酸化物ラジカルとの反応性が高い犠牲剤を用いると、固体高分子電解質膜及び/又は触媒層内電解質が攻撃されるより前に犠牲剤が攻撃される確率が高くなるので、少量の添加で固体高分子型燃料電池20の耐久性を向上させることができる。特に、電解質がフッ素系電解質である場合には、犠牲剤を添加することによって、フッ素イオンの溶出を抑制することができる。
添加剤は、以下のいずれか1以上の条件をさらに満たすものが好ましい。
第1に、添加剤は、ハロゲン元素を含まない有機化合物が好ましい。ハロゲン元素を含む有機物であっても、犠牲剤、界面活性剤又は抗菌剤として機能するものがある。しかしながら、ハロゲン元素を含む有機化合物(例えば、Fを含有するF系界面活性剤や、Clを含むカチオン系界面活性剤など)は、生物分解性が低く、製造・廃棄・リサイクル過程での環境負荷が大きいものが多い。従って、特に過酸化物又は過酸化物ラジカルとの反応に消費されなかった添加剤をそのまま放出するタイプ(開放型)の燃料電池システムにおいては、添加剤として、ハロゲン元素を含まない有機物を用いるのが好ましい。
第2に、添加剤は、非芳香族有機化合物(分子内に芳香環を含まない有機化合物)が好ましい。例えば、芳香環を含む界面活性剤(例えば、アルキル系のポリアルキレンオクチルフェニルエーテルやポリアルキレンオクチルノニルフェニルエーテル等の芳香族系界面活性剤など)は、化学的安定性が良好であり、優れた界面活性作用を有するが、河川等の生態系に残存すると分解され難い。そのため、長期間残存して生物に濃縮されやすく、危険視されている。また、これらを分解除去するには、超臨界処理、プラズマ分解処理等の大がかりな設備を必要とし、製造・廃棄・リサイクル過程での環境負荷が大きいものが多い。この点は、犠牲剤、抗菌剤も同様である。
従って、特に過酸化物又は過酸化物ラジカルとの反応に消費されなかった添加剤をそのまま放出するタイプ(開放型)の燃料電池システムにおいては、添加剤として、非芳香族有機化合物を用いるのが好ましい。
第3に、添加剤は、構成分子がC、H、Oのみからなるものが好ましい。犠牲作用、界面活性作用及び/又は抗菌作用を有する有機化合物の中には、NやSのようなヘテロ原子を含むものもある。添加剤がNやSのようなヘテロ原子を含むものである場合、酸化分解生成物としてNOxやSOxが発生するので、これらの処理、除去を十分に行う必要がある。また、NやSのようなヘテロ原子を含む有機物は、一般に、燃料電池の酸化・還元反応を阻害する物質が多く、高濃度で使用するのが困難な場合がある。
これに対し、C、H、Oのみからなる添加剤の場合、酸化分解生成物は、最終的にはCOとHOであるため、燃料電池系外へ放出したとしても、環境負荷は小さい。また、燃料電池の酸化・還元反応も阻害されにくい。
第4に、添加剤は、天然物から採取される有機化合物の混合物、又は、その精製物が好ましい。天然物又はその精製物は、たとえ外界に放出されたとしても、微量であるならばその環境負荷も小さく、製造・廃棄・リサイクル過程での環境負荷もほとんど無視できるものが多い。
ここで、「天然物」とは、動物、植物又は鉱物をいう。また、「天然物から採取される有機化合物の混合物」とは、例えば、植物から採取される樹液のように、天然物から直接採取されたものであって、精製等の処理を行っていないものをいう。また、天然物には、酵母等の微生物を利用した発酵技術により製造されるものも含まれる。
天然物由来の犠牲剤は、犠牲作用だけでなく、過酸化物ラジカルを消去する作用、活性酸素を除去する作用、酸化防止作用、H分解作用、Feイオンをキレート化して不活性化する作用をさらに有するものが好ましい。
第5に、添加剤は、過酸化物又は過酸化物ラジカルとの反応によりCOを生成しやすいものが好ましい。燃料電池を長期間運転すると、MEAに含まれる炭素材料の表面が酸化されることによって親水化し、あるいは、炭素材料がガス化して消耗し、電池性能が低下する。これに対し、添加剤としてCOが生成しやすいものを用いると、電極近傍のCO分圧が高くなり、炭素材料の劣化・消耗を抑制することができる。
第6に、添加剤は、水に不溶性又は難溶性であることが好ましい。ここで、「水に不溶性又は難溶性」とは、室温における溶解度が10g/L以下のものをいう。添加剤の室温における溶解度は、さらに好ましくは、1g/L以下、さらに好ましくは、0.1g/L以下である。これは、以下の理由による。
すなわち、実際に燃料電池内部で生成する過酸化水素の濃度は、我々の検討によれば、運転状態やセル内部の位置にもよるが、一般的な電池の作動温度である60℃以上の排水中では、0.1ppm未満と非常に小さいものであった。また、過酸化水素及び過酸化水素由来の・OHラジカルによる拡散層や触媒層、電解質膜への攻撃は、60℃以上で顕著であり、60℃未満では非常に小さいことが判明した。これらの事より、過酸化水素及び過酸化水素由来の・OHラジカルを処理するのに必要な犠牲剤の必要量は極わずかで良く、それも60℃以上の高温で作動する場合のみに供給できれば、少量の犠牲剤で長期間の電池保護作用を発揮できる。また、犠牲剤が少量であるので、犠牲作用を向上させる界面活性剤及び犠牲剤の腐敗を抑制する抗菌剤の添加量も、相対的に少量でよい。
一方、犠牲剤等の水に対する溶解度が作動温度において大きすぎると、拡散層からの供給が短命に終わり好ましくない。それゆえ、望ましい犠牲剤、界面活性剤、及び、抗菌剤は、60℃未満の温度では水に極めて難溶であり、60℃以上の温度で若干の溶解度を持つことである。これは、室温における溶解度に換算すると、10g/L以下であり、好ましくは、1g/L以下、さらに好ましくは、0.1g/L以下に相当する。これらに該当するものとして、キノン類、テルペン類、タンパク質、ポリフェノール類、及び、HLB(疎水性の尺度:値が小さいほど難溶性であることを示す)の大きい界面活性剤が挙げられる。
なお、犠牲剤あるいは抗菌剤がそのままでは水に溶けやすい場合は、溶解度を下げるために難溶性の界面活性剤とともに乳化して、マイクロカプセル状の微粒子とした後に拡散層に添加しても良い。また、シリカゲルやゼオライト、セピオライト、活性アルミナ等の多孔性のセラミックスに吸着させて拡散層に添加し、これらから徐々に溶かし出すようにすると、長期間これらの物質を電極に作用させる事ができる。
さらに、「犠牲剤」は、上述した各種の条件に加えて又はこれらに代えて、以下の条件をさらに満たすものが好ましい。
すなわち、犠牲剤は、犠牲作用に加えて、犠牲剤の腐敗を抑制する抗菌作用を有するものが好ましい。
上述したハロゲン及び/又は芳香環を含まない有機化合物は、生物分解性が大きいために、環境負荷が小さいという利点がある。しかしながら、生物分解性が大きいと言うことは、腐敗しやすいことを意味しており、燃料電池においては、これが欠点となる場合がある。すなわち、例えば、燃料電池が長期間未使用で室温まで冷却され、燃料電池セルの拡散層や触媒層、配管部、凝縮系(配水系)が添加剤と共に結露した場合には、混入した微生物や細菌の食物となり、異臭を発生させたり、あるいは、目詰まりを引き起こして電池性能が低下しやすい。これは、犠牲作用が強いものの、腐敗しやすい犠牲剤(例えば、天然物由来のアミノ酸やタンパク質など)を用いた場合に特に生じやすい。
そこでこのような場合には、犠牲剤として、さらに抗菌作用を有するものを用いるのが好ましい。また、犠牲剤と抗菌剤とを組み合わせて用いても良い。
また、「界面活性剤」は、上述した条件に加えて又はこれらに代えて、以下のいずれか1以上の条件をさらに満たすものが好ましい。
第1に、界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤又はアニオン系界面活性剤の酸体が好ましい。カチオン系の界面活性剤は、官能基の対イオンが一般にCl等のハロゲンであるため環境負荷が大きい。また、加湿水にカチオン系の界面活性剤が溶解すると、加湿水のイオン伝導度が高くなり、腐食性が大きくなる。
一方、アニオン系の界面活性剤は、官能基の対イオンが一般にNa等のアルカリ金属イオンであるため、これを加湿水に溶解させると、加湿水のイオン伝導度が高くなり、腐食性が大きくなる。また、電解質のプロトンが対イオンのアルカリ金属イオンにより除々に置換され、プロトン伝導性が低下し、十分な電池性能が得られ難い欠点がある。
これに対し、ノニオン系界面活性剤は、イオン解離を伴わないため、加湿水の腐食性を増大させたり、あるいは、電解質のプロトン伝導性を低下させることがない。また、アニオン系の界面活性剤であっても、官能基のスルホン酸基、ホスホン酸基、カルボキシル基等がアルカリ金属イオンではなく、プロトンで置換された、いわゆる「酸体」であり、水への溶解度が小さいものは、腐食性が小さく、電解質のプロトン伝導性を低下させないので、使用することができる。
第2に、界面活性剤は、少量の添加で水の表面張力を低下させ、高温までそれを維持できる化学的に安定な曇点の高いものが好ましい。
第3に、界面活性剤は、あわ立ち性(いわゆる、気泡性)の低いものが好ましい。あわ立ち性の低いものは、配管内部の圧力損失を大きくしないので好ましい。
本発明において使用可能な犠牲剤には、具体的には、以下のようなものがある。
[1. 非芳香族化合物であり、かつ、ハロゲン元素を含まない犠牲剤]
脂肪族炭化水素、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、脂肪族エステル、炭酸エステル、脂肪族ケトン、テルペン類、脂肪族カルボン酸、ポリカルボン酸、L−アスコルビン酸、ヒドロキシカルボン酸、アミノ酸、タンパク質、アミノポリカルボン酸(EDTA等のキレート剤)、アミノスルホン酸、尿素及びその誘導体、糖類、スルファイド類、ジスルファイド類、メラニン及びその誘導体、キノン類、ポリフェノール類など。
特に、犠牲作用が大きく好適なものは、キノン類、タンパク質(メラニン、ケラチン等のアミノ酸重合物を含む)、テルペン類、ポリフェノール類である。
(1) キノン類: ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、ユビキノン及びこれらの還元体(例えば、ベンゾキノンについてはハイドロキノン)など。また、コチニール色素やアカネ色素のようなキノン系の誘導体であっても良い。
(2) タンパク質: 牛乳由来のラクトフェリン、家畜血液由来のヘモグロビン或いはカタラーゼ、ペオキシターゼの様な酵素及びこららの加水分解生成物ペプトンあるいはメラニン、ケラチン、リゾチームなど。特に、イカ墨色素は、主成分をメラニンとする優れた犠牲剤である。
(3) テルペン類: ミント、ミルセン、R−リモネン、β−イオノン、テルピネン−4−オール、パラシメン、α−テルピネン、γ−テルピネン、α−テルピネオール、1−メントール、ヒノキチオールなど。
(4) ポリフェノール類: フェニルカルボン酸系の没食子酸、タンニン酸、リグナン系のセサミン、セサモリン、クルクミン系、クマリン系、フラボノイド系として大豆由来のイソフラボン、ルチン、アントシアニン、カテキン、フミン酸など。
これらは、水への溶解度を低減させるために分子量の大きい炭素数の大きいものが好ましく、ペプトンやタンパク質のように高分子状に重合し高分子量とするか、長鎖の炭化水素基を付加して撥水性を増した誘導体を利用することが効果的である。
また、上記犠牲剤の分解生成物から生成するアルコールやエステル、カルボニル化合物(ケトン、アルデヒド、カルボン酸)も電極反応で生成する過酸化水素由来の・OHラジカルのスカベンジャーとして作用し、過酸化水素による電解質の分解劣化や炭素材料の撥水性の低下(親水化)を防止する。この事は、少量の犠牲剤でも安定的に電極に供給することが可能ならば、長期間の電池保護作用が期待できることを意味する。
[2. 天然物由来の犠牲剤]
天然物由来の犠牲剤であって、犠牲作用に加えて、・OHラジカル消去作用、活性酸素除去作用、酸化防止作用、H分解作用、又は、Feイオンをキレート化して不活性作用を有するものには、以下のようなものがある。
(1) 食品添加物として用いられる蔗糖、果糖などの糖類。
(2) マンニトール、エリスリトール、ソルビトールなどの生物発酵技術で得られた多価アルコール類。
(3) 牛乳由来のラクトフェリンや家畜血液由来のヘモグロビン、リゾチーム、グルタチオンやカタラーゼ、ペルオキシターゼ等の酵素を含むタンパク質及びその加水分解生成物であるペプトンや、アミノ酸(L−リジン、L−アルギニン、L−アラニン、L−プロリン、L−オルニチン等)など。
(4) お茶、ぶどう、コーヒー豆、植物由来のリグニン、タンニン酸、加水分解性タンニン、縮合型タンニン、大豆由来のルチン等のポリフェノール、腐植成分の不純物であるフミン酸など。
(5) R−リモネン、β−イオノン等のテルペン類を含む果実や植物由来の天然香料。
(6) ローズマリーやシソ等由来のハーブ油、オリーブやツバキ油の様なβ−ピネン、ノルボーネン等のテルペン類を含む植物由来の精油、抽出物。
(7) 天然色素:
カロテノイド系のクチナシ黄色素、パーム油カロテン、トウガラシ色素、アナトー色素、カルコン系のベニバナ黄色素、ベニバナ赤色素、ウコン色素、ベニコウジ色素、モナスカス、クチナシ赤色素、コチニール色素、ラック色素、アカネ色素、アントシアニン系のシソ色素、赤キャベツ色素、アカダイコン色素、ムラサキイモ色素、ムラサキトウモロコシ色素、ブドウ果皮色素、ブルーベリー色素、エルダーベリー色素、ビートレット、クチナシ青色素、ベニバナ黄色素、ベニコウジ黄色素、クロロフィル、スピルリナ色素、フラボン系のカカオ色素、カキ色素、タマリンド色素、コウリャン色素、植物炭末色素、イカスミ色素、リボフラビン(ビタミンB2)等の天然色素など。これらの中でも、キノン系のアカネ色素、コチニール色素及びメラミン系のイカ墨色素、フラビン色素のリボフラビンは、特に・OHラジカルとの反応性が高いので、犠牲剤として好適である。
[3. 抗菌作用を有する犠牲剤(抗菌剤)]
ハロゲン元素を含まず、かつ、毒性が低い抗菌剤には、以下のようなものがある。
(1) 含窒素複素環系:
2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール(TBZ)、2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチル(BCM)、2−メチルカルボニルアミノベンツイミダゾール、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンツチアゾール(TCMTB)、2,2−ジチオビスピリジン−1−オキシド、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−S−トリアジンなど。
(2) ジスルファイド系: テトラメチルチウラムジスルフィドなど。
(3) エステル系: 脂肪酸モノグリセド、ショ糖脂肪酸エステルなど。
(4) 天然有機系: ヒノキチオール系、キトサン系、カラシ抽出物系、ユーカリ抽出物系、唐辛子由来のカプトサイシン系など。
(5) 食品添加物として許容されているL−ソルビン酸、D−マンニトール、白子蛋白抽出物、ε−ポリリジンなど。
(6) 抗菌タンパク質: ラクトフェリン、リゾチームなど。
(7) 植物原料由来の殺菌作用物(フィトンチッド)として知られるテルペン類:
テルペン類は、・OHラジカルとの反応性が高く、犠牲作用と殺菌作用とを合わせ持つ。また、その構成元素は、C、H、Oのみからなり、NやSを含まず、電極作用を妨害する作用が小さい。これらは、単独物質で加えても良いし、天然物から精製したこれらテルペン類を含む混合組成物である精油のまま用いても良い。また、これらの精油をそのまま拡散層に添加すると水で除去されやすい場合は、精油をカネマイト等の層状シリケート、シリカゲルやゼオライト、セピオライト、活性アルミナ等のセラミックス(担体)に吸着させて拡散層に添加し、ここから徐々に溶かし出すようにすると、長期間これらの物質が電極に作用するので好ましい。
精油としては、具体的には、テレピン油、ジダー油、クロロフィル油、チョウジ油、ウイキョウ油、ラベンダー油、オレンジ油、レモン油、オリガヌム油などがある。
特に、担体の細孔サイズがこれらの添加剤(犠牲剤、界面活性剤、抗菌剤)の分子サイズとほぼ合致していると、水による溶出を抑える働きが大きくなる。特に、担体として好ましいものは、ケイ酸からなる極めて多数の構造ユニットの集合体として形成されたメソポーラスシリカ多孔体である。
メソポーラスシリカ多孔体の作製方法は限定されないが、好ましい例として、無機材料、例えばカネマイト等の層状シリケートを、テンプレート物質である界面活性剤(アルキルトリメチルアンモニウム等の陽イオン性界面活性剤、アルキルスルホン酸塩等の陰イオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール等の非イオン性界面活性剤を使用)と混合反応させ、界面活性剤のミセルの周囲に無機の骨格が形成された界面活性剤/無機複合体を形成させた後、例えば400〜600℃での焼成や有機溶媒抽出等により界面活性剤を除去し、界面活性剤のミセルと同じ形状のメソポア細孔を無機骨格中に形成する、という方法を挙げることができる。
カネマイト等の層状シリケートを用いて構造ユニットを形成する場合、その細孔表面は疎水性となり、アニオン性表面は、表面にアミノ基等のカチオンを有するアミノカルボン酸、タンパク質(酵素)の固定化のため好ましい。前記のように、構造ユニットは、酵素サイズとほぼ合致した大きさであることが好ましいが、メソポーラスシリカ多孔体におけるこのような構造ユニットのサイズ(即ち、細孔)の調整は、界面活性剤のアルキル鎖の長さを変えることによりミセルの径を調整することで可能となる。
[4. COを発生しやすい犠牲剤]
上述した各種有機物の中でも含酸素有機化合物、中でも、エステル類、有機炭酸エステル類、ラクトン類、ケトン類及び尿素類似化合物は、中性分子であり、分子内にCO結合を含み、電極上で速やかに分解されてCOを生成するため、炭素材料の消耗を防ぐ観点から、犠牲剤として好適である。
有機炭酸エステルは、その構造から鎖状エステル、環状エステルに大別され、アルコールと結合する酸の種類に応じて、炭酸エステル、硝酸エステル、硫酸エステル等に分類されるが、本用途に適するものとしては、溶解度が小さく、融点が高い高級炭酸エステル及びそれらの誘導体が好ましい。アルキル基の炭素数は、4以上が好ましく、さらに好ましくは、6以上である。芳香族化合物基(アリル基、フェノール基、ナフチル基、ナフトール基等)は、環境負荷が大きいこと及び強い毒性を有することから、上記誘導体の構成分子として含まないことが好ましい。
COを発生しやすい犠牲剤としては、具体的には、以下のようなものがある。
(1) 鎖状炭酸エステル:
DMC(ジメチルカーボネート)、DEC(ジエチルカーボネート)、DPC(ジプロピルカーボネート)、DBC(ジブチルカーボネート)、EMC(エチルメチルカーボネート)、VC(ビニレンカーボネート)、炭酸ビニルエチレンなど。
(2) 環状炭酸エステル:
MC(メチルカーボネート)、EC(エチルカーボネート)、PC(プロピレンカーボネート)など。
(3) ラクトン類:
γ−ブチルラクトン(BL)、γ−デカラクトン(DL)、δ−ヘプタラクトン(HL)など。
(4) 尿素類似化合物:
尿素、チオ尿素、メチル尿素、ヒドロキシ尿素など及びこれらの誘導体。
本発明において使用可能な界面活性剤には、具体的には、以下のようなものがある。
[1. ノニオン系界面活性剤]
(1) エーテル型:
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンイソセチルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテルなど。
(2) エステル型:
脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、モノ脂肪酸グリセリン、トリ脂肪酸グリセリン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステルなど。
(3) エーテル・エステル型:
モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコール、ジラウリン酸ポリエチレングリコールポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、イソステアリン酸ポリエチレングリコール、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシエチレンセチルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレンラウリルエーテル、イソステアリン酸ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ソルビタン脂肪酸エチル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット・ソルビタン脂肪酸エステルなど。
(4) ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル:
トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ジステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリオレイン酸ポリオキシエチレングリセリルなど。
(5) ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル:
イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラウリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油など。
(6) ポリオキシエチレントリメチロールプロパン脂肪酸エステル:
ポリオキシエチレントリステアリン酸トリメチロールプロパン、ポリオキシエチレントリミリスチン酸トリメチロールプロパン、ポリオキシエチレンジステアリン酸トリメチロールプロパン、ポリオキシエチレントリイソステアリン酸トリメチロールプロパンなど。
(7) アミノ酸誘導体:
N−アシルグルタミン酸エステル、N−アシル中性アミノ酸エステル、ピログルタミン酸エステルなど。
(8) ポリグリセリン脂肪酸エステル:
ステアリン酸ポリグリセリル、ジステアリン酸ポリグリセリル、トリステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、オレイン酸ポリグリセリルなど。
(9) 脂肪酸アルカノールアミド:
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレン(2)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドなど。
(10) その他:
水素添加大豆リン脂質、ラノリンなど。
[2. アニオン系界面活性剤の酸体]
カルボキシメチルセルロース、ポリカルボン酸系界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、アルキル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンなど。
[3. 天然物由来の界面活性剤]
以下の天然物由来の界面活性剤の内、ショ糖エステルやポリグリセリンエステルは、安全性が高く、食品添加物としても認可されている。
(1) ショ糖エステル:
ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ベヘニン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステルなど。
(2) ポリグリセリンエステル:
デカグリセリンラウリン酸エステル、デカグリセリンミリスチン酸エステル、デカグリセリンステアリン酸エステル、デカグリセリンオレイン酸エステル、デカグリセリンベヘニン酸エステル、デカグリセリンエルカ酸エステルなど。
(3) その他:
(a)ヒドロキシエチルセルロース及び皮膚に低刺激性であることが確認されているアミノ酸系エステル、
(b)天然ヤシ油やヒマシ油等の植物、あるいは、牛脂、鯨油を原料とした脂肪酸エステル、
(c)サトウキビ、キャッサバ、サツマイモ等のデンプンを発酵させて得た天然アルコールを原料とした高級アルコールエステル、など。
上述した各種の添加剤の内、犠牲剤、犠牲作用を有する界面活性剤及び犠牲作用を有する抗菌剤は、それぞれ、単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
また、界面活性剤と界面活性剤以外の犠牲剤(犠牲作用を有する抗菌剤を含む)とを組み合わせて用いると、拡散層から溶出した犠牲剤と界面活性剤がミセルを形成し、・OHラジカル発生部に一様に行き渡る。そのため、耐久性向上の観点から非常に効果的である。また、界面活性剤が水の表面張力を下げるので、触媒層の細孔部分や電解質膜内部まで犠牲剤が浸透しやすくなり、過酸化水素及び・OHラジカルを安定的に除去することができる。さらに、添加剤として、抗菌剤を使用すると、犠牲剤や界面活性剤の腐敗に起因する拡散層や触媒層の細孔の閉塞、腐敗臭の発生を抑制することができる。
添加剤の総量は、添加剤の種類、燃料電池システムの構造等に応じて最適な量を選択するのが好ましい。
一般に、添加量の総量が少ない場合、十分な犠牲作用が得られず、あるいは、犠牲作用を長期間に渡って維持するのが困難となる。一方、多量の添加剤を電極に供給することは、非経済的であるばかりでなく、後の分解・吸着除去工程を複雑大規模にしたり、TOC(全有機物炭素濃度)を大きくし、有機物排出量の増大による環境負荷が大きくなり好ましくない。燃料電池システムから排出されるTOC濃度は、好ましくは100ppm以下、さらに好ましくは飲料水基準値である10ppm以下とすべきである。
これらの事より、犠牲剤(及び抗菌剤)、並びに、界面活性剤の必要な有機物濃度は、排水濃度で10ppm以下とすべきである。また、これを超える供給とならないように、添加剤の種類の選定と拡散層への添加量の最適化を図るのが好ましい。添加剤の総量は、具体的には、拡散層面積に対して0.1〜10mg/cmが好ましい。
なお、犠牲剤及び界面活性剤の固定場所は、空気極側の拡散層が好ましい。燃料極側の拡散層に固定し、あるいは、両極の拡散層に固定しても良いが、燃料極側の拡散層に固定する場合には、電極上での燃料の酸化反応を阻害することがある。このような場合には、その添加量は、空気極側に比べて少なくすることが好ましい。
また、添加剤の種類と添加量を最適化すると同時に、さらに排水の吸光度、濁度、TOC、COD、BOD等を測って有機物濃度をモニタしつつ、運転温度や加湿量の制御を行うことが好ましい。排水中の有機物濃度が10ppmを超える運転条件は、臭気が発生する等の環境負荷が大きくなるばかりでなく、性能低下が著しくなる。そのため、このような場合には、(1)運転温度を低下させる、(2)加湿量を多くする、(3)高負荷運転を行い、過酸化水素濃度を下げる、(4)排水部に犠牲剤及び界面活性剤の分解・除去装置を設ける、等の手段を講ずるのが好ましい。
さらに、犠牲剤と同時に界面活性剤を添加する場合において、犠牲剤と界面活性剤の添加量の比率は、高い犠牲作用が得られ、かつ、犠牲作用が長期間にわたって維持されるように、犠牲剤及び界面活性剤の種類、燃料電池の運転条件等に応じて、最適な比率を選択するのが好ましい。
本発明に係る燃料電池システムは、上述した構成に加えて、さらに抗菌手段を備えていても良い。ここで、「抗菌手段」とは、添加剤の腐敗を抑制する手段をいう。上述したように、生物分解性の大きい添加剤は、環境負荷が小さいという利点があるが、腐敗しやすいという欠点がある。そのような場合には、加湿経路のいずれかに、抗菌手段を設けるのが好ましい。抗菌手段には、具体的には、以下のようなものがある。
抗菌手段の第1の具体例は、上述したように、添加剤として、抗菌作用を有するもの(抗菌剤)を用いることである。抗菌剤は、犠牲剤や界面活性剤と組み合わせて用いられるが、犠牲作用を有する抗菌剤は、単独で用いることもできる。なお、抗菌剤に関するその他の点については、上述した通りであるので、説明を省略する。
抗菌手段の第2の具体例は、加湿経路のいずれかに抗菌作用を有する無機物が固定された抗菌処理部を設けることである。
このような機能を有する抗菌処理部としては、具体的には、
(1) 殺菌・抗菌作用を有する金属(例えば、Cu、Agなど。)被膜でその内面がメッキされた犠牲剤タンク、配管類等、
(2) 加湿経路や空気吸入直下部に設けられたセラミックフィルター、セラミックボール、不織布等であって、その表面に、殺菌・抗菌作用を有する金属又はその化合物を担持させたもの、
(3) その内部に殺菌・抗菌作用を有する金属元素が固定された触媒層、拡散層、電解質膜等、などがある。
また、触媒層、拡散層、電解質膜等にCu等の殺菌・抗菌作用を有する金属元素を固定する方法としては、具体的には、
(1) Cu等の元素を含み、かつ、難溶性の酸化物、リン酸塩、タングステン酸塩等からなる微粒子を触媒層内部、拡散層内部、あるいは、電解質膜内部に分散させる方法、
(2) Cu等の硝酸塩、硫酸塩等と電解質膜又は触媒層内電解質とを反応させ、イオン交換基のプロトンの一部(0.1〜10%)を金属イオンでイオン交換する方法、
(3) Cu等の硝酸塩、硫酸塩等で添加剤に含まれる官能基のプロトンの一部(0.1〜10%)を金属イオンでイオン交換する方法、
(4) 電解質膜、触媒層又は拡散層の表面に、Cu等の金属又はその酸化物の薄膜をスパッタ、レーザーアブレーション等により形成する方法、
(5) アルコキシドやブトキシド、アセチルアセトン錯体等のCu等を含む有機金属錯体を触媒層や拡散層上で加水分解させ、Cu等を含む酸化物を形成する方法(ゾルゲルプロセス)、などがある。
抗菌手段の第3の具体例は、空気極側にオゾン発生装置を設け、微量のオゾンガスを流す方法である。オゾンは、極めて酸化力が強いので、これを空気極側に供給することによって、添加剤を腐敗させる細菌を殺菌又は抗菌することができる。
なお、これらの抗菌手段は、いずれか1つを用いても良く、あるいは、2以上を組み合わせて用いても良い。
さらに、本発明に係る燃料電池システムは、上述した構成に加えて、さらに分解・除去手段を備えていても良い。
「分解・除去手段」とは、拡散層から溶出した過剰の添加剤、及び/又は、これらの反応生成物を分解又は除去する手段をいう。添加剤の未反応物及びこれらと過酸化水素又は・OHラジカルとの反応生成物は、COとHOを除き、たとえ微量であっても外界に放出することは好ましくない。これらの有機物は、極微量であっても著しい臭気を有するものもあり、臭気を感ずる濃度以上に外界に出さないことが好ましい。そのため、燃料電池の加湿経路(特に、固体高分子型燃料電池から排ガス又は水を排出する排出経路)のいずれかに、これらを分解又は除去する分解・除去手段を設けるのが好ましい。
このような分解・除去手段としては、具体的には、以下のようなものがある。
分解・除去手段の第1の具体例は、排出経路のいずれかに設けられたフィルタである。フィルタには、活性炭フィルタや、活性アルミナ、マグネシア、ケイ酸、酸化セリウム等の酸化物フィルタを用いるのが好ましい。また、フィルタ表面には、CeOやCeO−ZrO等の酸化物担体表面に微量のPt等の貴金属を担持させた触媒を担持させるのが好ましい。フィルタ表面に触媒を担持させると、有機物の吸着除去に加えて、酸化雰囲気では比較的低温から低濃度の有機物をCOとHOまで迅速に分解できるので、臭気を効果的に除去することができる。
分解・除去手段の第2の具体例は、燃料電池の電極(特に、空気極)に、CeOやCeO−ZrO等の酸化物微粒子を添加することである。CeOやCeO−ZrO等の酸化物微粒子は、過酸化物分解触媒として機能するが、特に、空気極上では、Hの分解と同時に有機物を分解させる作用がある。そのため、電極にこれらの酸化物微粒子を添加すると、後の排出経路で有機物を分解するための負荷を軽減できる。
その他の分解・除去手段(分解・除去方法)としては、具体的には、
(1) 天然物由来の精油を備えた分解除去装置を排出経路のいずれかに配置し、排出され有機物を分解させる方法(この装置は、気化した精油成分が犠牲剤、界面活性剤、抗菌剤及びこれらの反応生成物と反応し分解を促し、さらにこれら有機物の凝集を促すことにより、セラミックフィルターでトラップして除去する装置であり、ディーゼルエンジンからの排気微粒子を除去する装置として検討されている)、
(2) オゾン放電管を備えた反応器を有する分解装置を排出経路のいずれかに配置し、反応器内で有機物を分解させる方法、
(3) TiO触媒を担持した触媒層及びこれに紫外線を照射するための紫外線ランプを備えた分解装置を排出経路のいずれかに配置し、触媒層に排ガス及び/又は排出水を通過させ、有機物を分解させる方法、などがある。
なお、上述した分解・除去手段は、それぞれ、単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
次に、本発明に係る固体高分子型燃料電池及び燃料電池システムの作用について説明する。
燃料電池において、過酸化水素は、燃料極側から空気極側に水素が透過(クロスオーバー)し、空気極側において、酸素が2電子還元されることにより生成すると考えられている。すなわち、燃料極側から空気極側へ水素が透過すると、透過水素は、(1)式に示すように、空気極の触媒上において酸化され、プロトンと電子を生成する。
→ 2H+2e ・・・(1)
また、空気極側の酸素は、次の(2)式に示すように、(1)式のプロトン及び電子を受け取り、過酸化水素となる。すなわち、酸素が2電子還元されることにより、過酸化水素が生成する。
+2H+2e → H ・・・(2)
さらに、生成した過酸化水素は、価数が変わる遷移金属イオン(Mn+/M(n+1)+)の存在下において、過酸化物ラジカルに分解する。この反応は、次の(3)式及び(4)式で表される。
HOOH+M(n+1)+ → HOO・+H+Mn+ ・・・(3)
HOOH+Mn+ → HO・+OH+M(n+1)+ ・・・(4)
(3)式及び(4)式より、次の(5)式が得られる。
2HOOH → HOO・+HO・+HO ・・・(5)
(5)式より、過酸化水素1モルから過酸化物ラジカル(HOO・、HO・)1モルが生成する事がわかる。
過酸化水素のラジカル攻撃作用とは、過酸化水素の分解により生成した過酸化物ラジカルが、電解質膜あるいは触媒層内電解質(有機物RX)を攻撃することを言う。
例えば、X=Fのフルオロポリマ(RX)と、・OHラジカルとが反応すると、次の(6)式のように分解してFイオン(HX)を放出する。分解により生成したアルコキシラジカル・ROは、互いに結合して安定な化合物(例えば、ROOR)になるか、あるいは、さらに安定な化合物(例えば、HO、COなど)へと変化する。
RX+・OH → ・RO+HX ・・・(6)
燃料電池の通常の運転条件下(開回路状態も含む)において、空気極における過酸化水素の生成は、上述した(1)式に示すアノード反応が律速すると考えられる。従って、燃料電池システムの耐久性を向上させるためには、如何にして燃料極から空気極への水素の膜透過速度を低下させるかが課題となる。
例えば、電解質膜の水素透過速度を低下させるために、電解質のすべて又は一部を水素透過速度の小さい炭化水素系電解質とし、比較的水素透過速度の大きなフルオロポリマと複合化することも考えられる。しかしながら、炭化水素系電解質は、過酸化水素に対し極めて脆弱であるため、単独の炭化水素系電解質はもちろんの事、過酸化水素を分解する作用を有する触媒を大量に加えて炭化水素系電解質とフルオロポリマとを複合化させても、十分な耐久性が得られないのが現状である。
これに対し、拡散層に犠牲剤を添加すると、燃料電池システムの耐久性が向上する。これは、以下のような理由によると考えられる。
すなわち、ある種の有機物(QH)は、過酸化物又は過酸化物ラジカルと反応し、これらを消滅させる作用がある。例えば、有機物(QH)と、過酸化物ラジカルの一種である・OHとの反応は、次の(7)式のように表せる。
QH+HO・ → Q・+HO ・・・(7)
反応により生成したQ・ラジカルは、それ自身が不安定であるため、互いに結合して安定な化合物(例えば、QQ)になるか、あるいは、さらに安定な化合物(例えば、アルコール、カルボン酸、CO、HOなど)に分解する。
過酸化物(例えば、H)や他の過酸化物ラジカル(・OOH)の場合も同様であり、ある種の有機物(QH)と反応させると、過酸化物や過酸化物ラジカルが消滅する。また、反応生物は、安定な化合物となる。
そのため、このような有機物(QH)を犠牲剤としてMEAの拡散層に添加すれば、拡散層から徐々に犠牲剤が溶出し、溶出した犠牲剤によって過酸化物又は過酸化物ラジカルの少なくとも一部が捕捉され、電解質膜及び/又は触媒層内電解質の劣化を抑制することができる。特に、過酸化物又は過酸化物ラジカルとの反応性が電解質膜及び触媒層内電解質より高い有機物(QH)を犠牲剤として用いると、過酸化物又は過酸化物ラジカルは、電解質膜及び/又は触媒層内電解質を攻撃するより先に、犠牲剤を攻撃する確率が高くなる。そのため、燃料電池システムの耐久性が大幅に向上する。また、フッ素系電解質を用いた燃料電池システムにおいては、フッ素イオンの溶出が抑制される。
さらに、触媒層や電解質膜に犠牲剤を添加する場合、添加量が少量であると、長期間に渡って犠牲作用を維持することはできない。一方、多量に添加すると、電極反応を阻害し、高い電池性能は得られない。
これに対し、拡散層は、多孔質であるため、犠牲剤(並びに、界面活性剤及び抗菌剤)を十分量保持でき、そこから長期間に渡って電極に犠牲剤を供給することができる。例えば、触媒層の厚さは通常5〜20μm、電解質膜の厚さは20〜50μmであるのに対し、拡散層は100μm以上の厚さがある。一般に、触媒層又は電解質膜への犠牲剤の固定量は0.1mg/cm未満であるのに対し、拡散層へは1mg/cm以上もの添加が可能である。また、相対的に多量の犠牲剤を拡散層に添加しても、電極反応を阻害するおそれが少ない。そのため、触媒層や電解質膜に添加する場合に比べて、高い電池性能を長期間に渡って維持することができる。さらに、拡散層にこれらを添加すると、犠牲剤を加湿水に溶かして別途供給したり、タンクを用意して犠牲剤を含んだミストを反応ガスに噴霧する必要もない。
また、固体高分子型燃料電池において、撥水作用を増して高負荷発電時の電圧低下(フラッディング)が起きないように、PTFE微粒子と導電性炭素微粒子と溶剤とをペースト状に混合し、加熱焼成して拡散層の電極側の面に撥水層を形成することがある。このPTFE微粒子は、水に分散させたディスパージョンを用いることが一般的であり、水への分散性を向上させるために界面活性剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル:商品名トリトン100X等)が使用されている。また、ペースト粘度の調整に種々の界面活性剤を添加することが行われている。
これらの界面活性剤は、ペースト塗布後の溶剤除去を目的とした焼成時に分解されるか、発電中に除去される。本発明者らは、ここで用いられる界面活性剤が拡散層に残った場合、電池性能は低くなるものの、電池性能の劣化が比較的穏やかな場合があることに着目した。その原因解明を進めたところ、残存している界面活性剤が電極で複製する過酸化水素又は過酸化水素に由来する・OHラジカルと反応し、拡散層の炭素材料及び電解質や触媒担体を保護する作用を有することを見出した。ここでは、界面活性剤がいわゆる犠牲剤として働き、劣化が開始するまでの「誘導期間延長効果」が認められる。但し、通常の場合、拡散層に残存する界面活性剤は、拡散層面積に対して0.1mg/cm未満である。また、界面活性剤は水溶性であることが多く、60℃を超える電池作動下では、拡散層から早期に消滅してしまい、誘導期間(保護作用)は短期間に留まる。従って、残存する少量の界面活性剤だけでは、十分な耐久性を望めない。
これに対し、犠牲作用を有する難溶性の界面活性剤を、拡散層に対して相対的に多量に添加すると、誘導期間延長効果が認められ、耐久性が向上する。さらに、犠牲剤と同時に界面活性剤を添加すると、犠牲剤単独、あるいは、犠牲作用を有する界面活性剤単独の場合に比べて、電解質の劣化がさらに抑制される。このような相乗効果が得られる理由の詳細は、不明であるが、理由の1つとして、界面活性剤が持つ界面活性作用が考えられる。
すなわち、犠牲剤を用いて燃料電池の耐久性を効率よく向上させるためには、触媒層の細孔内部や電解質膜内部に犠牲剤を速やかに浸透させる必要がある。
ここで、水に易溶性の犠牲剤は、触媒層の細孔内部や電解質膜内部まで浸透させるのが容易である。しかしながら、水に易溶であるために、加湿水や生成水によって燃料電池外に排出されやすい。また、犠牲剤が水に易溶性であっても、水の表面張力が大きい場合には、細孔内部への浸透が困難になることがある。
一方、水に不溶性又は難溶性の添加剤は、拡散層から溶出しにくく、かつ、一旦、触媒層の細孔内部や電解質膜内部まで浸透すると、加湿水や生成水によって排出されにくくなるので、犠牲作用を長期間維持することができる。しかしながら、犠牲剤が水に難溶性あるいは不溶性である場合には、細孔内部や電解質膜内部への犠牲剤の浸透が困難になる。
これに対し、犠牲剤が水に難溶性又は不溶性である場合において、犠牲剤に加えて界面活性剤を添加すると、犠牲剤が界面活性剤によって乳化され、細孔内部や電解質膜内部への浸透が容易化する。また、犠牲剤が水に易溶性である場合において、さらに界面活性剤を添加すると、水の表面張力が低下する。そのため、細孔内部や電解質膜内部に効率よく犠牲剤を供給することができ、過酸化水素による電解質や炭素材料の劣化を抑制することができると考えられる。しかも、犠牲剤が水に難溶性又は不溶性であると、拡散層から溶出しにくく、かつ、一旦溶出すると犠牲剤が細孔内で滞留する時間が相対的に長くなるので、長期間に渡って過酸化物ラジカルを効率よく消滅させることができる。
また、界面活性剤として、ノニオン系界面活性剤又はアニオン系界面活性剤の酸体を用いると、プロトン交換に起因する電解質の性能劣化を抑制することができる。また、界面活性剤として、ノニオン系界面活性剤を用いると、水の伝導度増加による加湿経路の腐食を抑制することができる。
また、ハロゲンを含まない有機化合物、芳香環を持たない有機化合物、あるいは、天然物由来の有機化合物は、生物分解性が高い。そのため、これらを添加剤として用いると、万一、外界に放出されたとしても、環境負荷が小さい。また、製造、廃棄、リサイクル過程での環境負荷も小さく、排出処理も大掛かりとならず、高価な貴金属系の触媒を膜や電極に添加する必要もないので、経済的な耐久性向上法となる。
一方、生物分解性の高い有機物を用いると、有機物が細菌によって汚染され、繁殖物で拡散層や触媒層内の細孔が塞がれ、電池性能が低下したり、あるいは、臭気を発生させるおそれがある。しかしながら、加湿経路のいずれかに抗菌手段を設けると、有機物の腐敗や細菌の繁殖に起因する性能劣化を抑制することができる。
また、本願発明者らは、加湿系の酸素極側に空気を用いた場合と、COを含まない酸素20vol%+窒素80vol%の混合ガスを用いた場合の耐久性を比較したところ、前者が後者よりやや良好であることを確認している。この劣化は、
(1) 炭素材料は、本来、高温の高電位状態では安定ではなく、COやCOガスとなって消耗する、
(2) 副生成する過酸化水素が炭素材料をアタックして、表面にC=OやC−OH、COOH等の親水性の官能基を生成し、撥水性を低下させる、
ためと考えられる。
高電位状態での炭素材料の酸化反応は、次の(8)式で表される。
C+2HO → CO+4H+4e ・・・(8)
ここで、25℃における(8)式の熱力学的な平衡電位E25℃は、プールベダイアグラム(Pourbaix diagram)より、次の(9)式で表される。
25℃=0.207−0.0591pH+0.0148logP(CO)
・・・(9)
すなわち、COの分圧が10倍になることで、Cの酸化電位は約15mV上昇する(酸化されにくくなる)。
ここで、燃料極の電位は、通常0V近傍であるので、異常な反応が起きない限り、炭素材料の消耗は無視できる。一方、空気極側の電位は、高電流密度で発電している時を除き、0.9〜0.3V程度であり、炭素材料の消耗が起こりうる。実際には、過電圧の存在では、(8)式の反応は、0.8V以上で起きることが知られている。しかも、室温〜60℃程度の低温では、この反応速度は、非常に小さい。すなわち、実質的に炭素材料の消耗が進行するのは、開回路(発電休止)状態で、しかも、60℃以上の空気極である。
従って、拡散層に添加する犠牲剤として、ラジカルとの反応により速やかに分解されてCOを発生しやすいものを用いると、過酸化物ラジカルによる電解質及び炭素材料の劣化を抑制できることに加えて、電極でのCO分圧をさらに高くすることができるので、炭素材料の劣化(親水化、消耗等)を抑制することができる。
さらに、加湿経路のいずれかに、過剰の有機物又はその分解生成物を分解及び/又は除去する分解・除去手段をさらに設けると、環境負荷をさらに軽減することができる。
(実施例1〜40、比較例1)
拡散層には、厚さ360μmのカーボン製クロス(大きさ7.2×7.2cm)を用いた。これに、炭素粉末(平均粒径0.03μm、電気化学工業(株)製デンカブラック(登録商標))45%、PTFE粉末45wt%、各種犠牲剤、界面活性剤、抗菌剤を合計で10wt%(添加剤合計を100部とする)添加した撥水層を形成した。拡散層への撥水層の目付量は、15±5mg/cmであった。PTFE内筒の容器に1wt%のH水溶液200mlを入れ、パーフルオロ系電解質(厚さ45μm、大きさ7.2×7.2cm)1枚と、上記拡散層1枚を入れ、さらにFe2+イオンを10ppm(FeCl・6HOで加えた)添加した。容器を100℃×8hr放置後、オリオンリサーチ社製のフッ化物イオン選択性電極で膜から溶出したF濃度を計測し、F排出速度を計算した。
ここで、犠牲剤には、イカ墨色素、ラクトフェリン、緑茶由来ポリフェノール、ルチン等(いずれも和光純薬工業(株)又は東京化成(株)製)、ローズマリー抽出物(三菱化学フーズ(株)製:RM−21A)等を用いた。また、界面活性剤には、ノニオン系のポリグリコール酸エステル(三洋化成工業(株)製:ナロアクティー(登録商標)NH−400)、高級アルコールエステル(ライオン(株)製:レオコール(登録商標)TD−120)等を用いた。また、界面活性剤及び抗菌剤として、グリセリン脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製:O−150D)を用いた。表1に、その結果を示す。なお、表1には、添加剤無添加の拡散層を用いた結果(比較例1)も併せて示した。
Figure 2007257965
表1より、
(1)拡散層に犠牲剤(犠牲作用を有する界面活性剤及び抗菌剤を含む)を添加することによりF排出速度が抑制されること、及び、
(2)犠牲剤と界面活性剤を併用すると、F排出速度がさらに抑制されること、
がわかる。
また、試験後の溶液中の過酸化水素残存率を定電位酸化法(1.2V vs NHEにおけるPt板上の10分後の酸化電流値で比較)によって求めると、比較例1が8.9%であるのに対し、実施例1〜40では、いずれも5.0%以下であった。特に、実施例1〜4、11〜14、27では、0.5%以下となった。これらの事より、実施例1〜40の添加剤は、犠牲作用(過酸化水素を分解除去する作用)が大きいことが示された。
(実施例41〜45、比較例2〜4)
60wt%Pt/C触媒0.5gを触媒重量比0.5wt%相当、蒸留水2.0g、エタノール2.5g、プロピレングリコール1.0g、22wt%ナフィオン(登録商標)溶液(デュポン社製)0.9gをこの順で加え、超音波ホモジナイザーで分散させて触媒インクを作製した。これをポリテトラフルオロエチレンシート上に塗布、乾燥してカソード転写電極(触媒層)を得た。Pt使用量は、0.5〜0.6mg/cmの範囲で一定とした。アノードには、30wt%Pt/Cを用い、Pt使用量は0.2mg/cmとした。これらの触媒層を36mm角に切り出し、厚さ45μmのパーフルオロ系電解質膜の両面に熱圧着(120℃、50kgf/cm(4.9MPa))し、さらにこの両面に拡散層を機械的に圧着させて、MEAを得た。さらに、MEAの両面を焼成カーボンからなるセパレータで挟持して、燃料電池セルとした。
なお、拡散層には、厚さ360μmのカーボン製クロス(大きさ7.2×7.2cm)の表面に撥水層を形成したものを用いた。撥水層には、イカ墨色素を添加したものと、添加していないものとを用い、撥水層の目付量は、いずれも、10mg/cmとした。
また、実施例41〜43の場合、カソード側拡散層及び/又はアノード側拡散層の撥水層には、炭素粉末(平均粒径0.03μm、電気化学工業(株)製デンカブラック(登録商標))45%、PTFE粉末45wt%、イカ墨色素10wt%からなるものを用い、イカ墨色素の被覆量は、それぞれ、1.0mg/cmとした。
また、実施例44、45の場合、カソード側拡散層の撥水層にのみイカ墨色素を添加し、その被覆量は、それぞれ、0.1mg/cm、0.06mg/cmとした。
一方、比較例2の場合、撥水層には、アノード側及びカソード側ともに、炭素粉末50wt%、PTFE粉末50wt%からなるものを用いた。さらに、比較例3、4の場合、拡散層に代えて触媒層にイカ墨色素を添加し、その添加量は、それぞれ、1.0mg/cm、0.06mg/cmとした。
得られた燃料電池セルを用いて、以下に示す耐久試験を行った。
(1) アノードガス:H(100ml/min)、カソードガス:空気(100ml/min)、セル温度:90℃、加湿器温度:90℃(アノード側、カソード側ともに)で24時間の開回路耐久試験とした。回収された水に溶出したF−イオン濃度を(株)島津製作所製イオンクロマト装置PIA−1000で求め、単位時間単位面積当たりのF排出速度(μg/cm/hr)を算出した。
(2) (1)の試験後、開回路3分及び0.1A/cmの発電3分を1サイクルとする80℃での耐久試験を100hr行い、試験前後での0.8A/cmの発電における電圧低下割合(%)を求めた。試験条件は、アノードガス:H(100ml/min)、カソードガス:空気(100ml/min)、加湿器温度:80℃(アノード側、カソード側ともに)とした。
表2に、その結果を示す。
Figure 2007257965
触媒層に1.0mg/cmのイカ墨色素を添加した比較例3の場合、内部抵抗が高く、耐久試験初期から0.8A/cmの発電を安定的に行うことができなかった。一方、触媒層に0.06mg/cmのイカ墨色素を添加した比較例4の場合、F排出速度及び電圧低下率は、無添加の場合(比較例2)とほぼ同等であった。
これに対し、カソード側拡散層の撥水層にのみ0.06mg/cmのイカ墨色素を添加した実施例45の場合、F排出速度及び電圧低下率は、無添加の場合(比較例2)とほぼ同等であった。しかしながら、イカ墨色素の添加量を0.1mg/cm(実施例44)とすると、比較例2に比べて、F排出速度及び電圧低下率が低下した。さらに、イカ墨色素の添加量を1.0mg/cm(実施例41〜43)とすると、F排出速度及び電圧低下率はさらに低下した。特に、カソード側拡散層及びアノード側拡散層の双方の撥水層にイカ墨色素を添加すると、F排出速度及び電圧低下率が著しく低下した。
表2より、拡散層に犠牲剤を添加すると、電池性能を損なうことなく、長期間に渡ってFイオンの排出及び電圧低下を抑制できることがわかる。
(実施例46)
犠牲剤の溶解度とF排出速度の関係を調べるために、以下の試験を行った。
[1. 拡散層の作製]
以下の2種類の拡散層を作製した。
(1) 拡散層A:
拡散層(厚さ360μm、大きさ7.2×7.2cmのカーボン製クロス)の表面に、炭素粉末(平均粒径:0.03μm、電気化学工業(株)製デンカブラック(登録商標))45wt%、PTFE粉末45wt%、及び、溶解度の異なる各種アルコールからなる犠牲剤10wt%を含むペーストを塗布し、撥水層を形成した。拡散層への撥水層の目付量は、15±5mg/cmとした。
(2) 拡散層B:
撥水層が形成された拡散層Aを1000mlの純水に入れ、60℃×1hrの温水洗浄を行った。洗浄後、拡散層を取り出し、さらに純水で洗浄し、乾燥させた。
[2. 評価]
PTFE内筒の容器に1wt%のH水溶液200mlを入れ、パーフルオロ系電解質膜(厚さ45μm、大きさ7.2×7.2cm)1枚と、上記拡散層A又は拡散層B1枚を入れ、さらにFe2+イオンを10ppm(FeCl・6HOで加えて)添加した。容器を100℃×8hr放置後、オリオンリサーチ社製のフッ化物イオン選択性電極で膜から溶出したF濃度を計測し、F排出速度を計算した。図1に、室温における各種アルコールの溶解度とF排出速度との関係を示す。
図1より、犠牲剤の室温における溶解度が大きくなるほど、温水洗浄前と温水洗浄後のF排出速度の差が拡大することがわかる。これは、犠牲剤として室温における溶解度が大きいものを用いると、拡散層から犠牲剤が容易に溶出し、犠牲作用の持続時間が短くなる事を示している。また、図1より、犠牲剤の室温における溶解度が小さくなるほど、温水洗浄前のF排出速度が大きくなることがわかる。これは、溶解度が小さくなるほど、電解質膜近傍に到達する犠牲剤の量が少なくなり、犠牲作用が小さくなることを示している。
以上の結果から、相対的に高い犠牲作用を長期間にわたって維持するためには、適度な溶解度を有する犠牲剤を拡散層に添加するか、あるいは、相対的に溶解度の小さな犠牲剤と界面活性剤とを組み合わせて用いることが有効であることがわかる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る固体高分子型燃料電池及び燃料電池システムは、車載用動力源、定置型小型発電器、コジェネレーションシステム等に使用することができる。
加湿経路を備えた燃料電池システムの概略構成図である。 各種犠牲剤の室温における溶解度とF排出速度との関係を示す図である。
符号の説明
10 燃料電池システム
20 固体高分子型燃料電池
70 加湿経路

Claims (16)

  1. 固体高分子電解質膜の両面に、触媒層及び拡散層からなる電極が接合された膜電極接合体を備え、
    前記拡散層は、添加剤を含み、
    該添加剤は、少なくとも、自ら過酸化物又は過酸化物ラジカルと反応することによって、過酸化物を安定化させ若しくは過酸化物ラジカルを消滅させる機能を有する犠牲剤を含む固体高分子型燃料電池。
  2. 前記添加剤は、前記拡散層の前記触媒層側表面に形成される撥水層に含まれる請求項1に記載の固体高分子型燃料電池。
  3. 前記添加剤は、少なくとも1種類の界面活性剤と、少なくとも1種類の前記界面活性剤以外の犠牲剤との混合物を含む請求項1又は2に記載の固体高分子型燃料電池。
  4. 前記界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤、又は、アニオン系界面活性剤の酸体である請求項3に記載の固体高分子型燃料電池。
  5. 前記添加剤の腐敗を抑制する抗菌手段をさらに備えている請求項1から4までのいずれかに記載の固体高分子型燃料電池。
  6. 前記抗菌手段は、前記拡散層に固定された、抗菌作用を有する無機物である請求項5に記載の固体高分子型燃料電池。
  7. 前記抗菌手段は、前記添加剤として、該添加剤の腐敗を抑制する作用を有する有機化合物を用いることである請求項5又は6に記載の固体高分子型燃料電池。
  8. 前記添加剤は、ハロゲン元素を含まない有機化合物である請求項1から7までのいずれかに記載の固体高分子型燃料電池。
  9. 前記添加剤は、非芳香族有機化合物である請求項1から8までのいずれかに記載の固体高分子型燃料電池。
  10. 前記添加剤は、天然物から採取される有機化合物の混合物、又は、その精製物である請求項1から9までのいずれかに記載の固体高分子型燃料電池。
  11. 前記添加剤は、室温における水への溶解度が10g/L以下である請求項1から10までのいずれかに記載の固体高分子型燃料電池。
  12. 前記添加剤の添加量は、前記拡散層の面積に対して0.1〜10mg/cmである請求項1から11までのいずれかに記載の固体高分子型燃料電池。
  13. 前記犠牲剤は、キノン類、テルペン類、タンパク質及びポリフェノール類から選ばれるいずれか1以上を含む請求項1から12までのいずれかに記載の固体高分子型燃料電池。
  14. 請求項1から13までのいずれかに記載の固体高分子型燃料電池と、
    該固体高分子型燃料電池に水及び/若しくは水蒸気を供給し、並びに/又は、前記固体高分子型燃料電池から排出される水及び/若しくは水蒸気を回収するための加湿経路と、
    を備えた燃料電池システム。
  15. 前記固体高分子型燃料電池から排出される排水及び/又は排ガス中に含まれる前記添加剤、又は、これらの反応生成物を分解又は除去する分解・除去手段をさらに備えた請求項14に記載の燃料電池システム。
  16. 前記加湿経路のいずれかに、前記添加剤の腐敗を抑制する抗菌手段をさらに備えている請求項14又は15に記載の燃料電池システム。
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