JPH11129217A - 木材に薬剤を含浸させる方法 - Google Patents

木材に薬剤を含浸させる方法

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JPH11129217A
JPH11129217A JP30062697A JP30062697A JPH11129217A JP H11129217 A JPH11129217 A JP H11129217A JP 30062697 A JP30062697 A JP 30062697A JP 30062697 A JP30062697 A JP 30062697A JP H11129217 A JPH11129217 A JP H11129217A
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久次 谷口
Shigetoshi Harima
重俊 播摩
Eisaku Nomura
英作 野村
Asao Hosoda
朝夫 細田
Norio Shimobayashi
則夫 下林
Takeshi Kajimoto
武志 梶本
Takuo Chikuno
卓夫 築野
Haruyasu Minami
晴康 南
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薬剤を木材に含浸させるための方法であっ
て、従来の方法によっては含浸させることが困難である
木材の芯部のような部分にも、特別の装置等を用いるこ
となく容易に、しかも短時間に含浸させることのできる
方法を提供すること。 【解決手段】 溶液の形態にある薬剤を木材に含浸させ
る方法において、前記溶液がキャリヤを添加されたもの
であることを特徴とする木材に薬剤を含浸させる方法。
上記キャリヤとしては、次の式(I) 又は(II)で表される
化合物を用いることができる。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木材に薬剤を含浸
させるための新規な方法に関する。より詳細には、本発
明は、溶液の形態にある薬剤を木材に含浸させる方法で
あって、前記溶液がキャリヤを添加されたものであるこ
とを特徴とするものである。更に、本発明は、上記キャ
リヤとして有用な新規なフェルラ酸誘導体及びその製造
方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】木材に防腐性、防虫性等を付与したり、
木材に着色を施すために、その目的に応じた薬剤、着色
剤等が木材に塗布、注入される。木材に薬剤を注入させ
る方法には、塗布法、浸漬法、温冷浴法、拡散法、木口
加圧注入法、加圧注入法等がある(上村 武著、「木材
の実際基礎」、第3版、東洋経済新報社)。
【0003】しかしながら、浸漬法により例えば銅イオ
ンのような薬剤の水溶液に木材の木口を浸漬しても、水
だけが木材に含浸され、薬剤はほとんど含浸されない。
また、特に、木材の芯部にまで浸漬させることは非常に
困難である。
【0004】温冷浴法、加圧注入法などを用いることに
より木材への薬剤の含浸の程度を増加させることはでき
る。しかしながら、これらの方法は、大規模な装置や加
圧装置等が必要であり、そのような装置を用いることな
く、容易に、しかも短時間に薬剤を木材に含浸させ得る
方法が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、薬
剤を木材に含浸させるための方法であって、従来の方法
によっては含浸させることが困難である木材の芯部に
も、特別の装置等を用いることなく容易に、しかも短時
間に含浸させることのできる方法を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究した結果、次の方法を見出
し本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、溶
液の形態にある薬剤を木材に含浸させる方法において、
前記溶液がキャリヤを添加されたものであることを特徴
とする木材に薬剤を含浸させる方法を提供する。上記の
キャリヤとしては、次の式(I) 又は式(II)
【0007】
【化6】 (式(I) 中、XはCH3 、H及びOHからなる群か
ら選択されるいずれか1を表す。)により表される化合
物の少なくとも1種を用いることができる。
【0008】上記キャリヤのうち、式(II)で表される化
合物は、新規な化合物である。本発明は、この新規な化
合物であるフェルラ酸誘導体も提供する。この新規なフ
ェルラ酸誘導体は、アルカリ性物質存在下の水中でフェ
ルラ酸にカルボキシメチル基を導入することにより、製
造することができる。本発明は、このようなフェルラ酸
誘導体の製造方法も提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の木材に薬剤を含浸
させる方法について詳細に説明する。本発明の木材に薬
剤を含浸させる方法は、含浸させるべき薬剤が溶液の状
態にあり、その溶液が前記薬剤のキャリヤとして作用す
る化合物を添加されたものであることを特徴とするもの
である。
【0010】本発明の木材に薬剤を含浸させる方法は、
含浸させるべき薬剤の溶液がキャリヤを添加されたもの
であること以外は、従来の常温、常圧において薬剤の溶
液を木材に浸漬させる方法を用いて実施することができ
る。
【0011】すなわち、本発明の方法を適用することの
できる木材の種類、部位、含浸させるべき薬剤の種類、
量等に特に制限はなく、適宜選択することができる。よ
り具体的には、本発明の方法を適用することのできる木
材の一例を挙げると、米ツガ、スギ、ヒノキ、米モミ、
アカマツ、米マツ、カツラ、カエデ、セン、シイノキ等
がある。
【0012】また、木材の部位にも特に制限はなく、辺
材、芯材等いずれの状態のものにも適用することができ
る。本発明の方法を用いて木材に含浸させることのでき
る薬剤は、木材に付与しようとする性質に応じて無機性
及び有機性の薬剤から適宜選択することができる。
【0013】無機性の薬剤の一例を挙げると、銅、鉄、
マンガン、ニッケル、亜鉛等のような金属の塩がある。
塩の一例を挙げると、硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩、酢酸塩
等がある。これらの金属の塩は、通常、薬剤溶液中にお
いて金属イオンの形態にあり、木材に含浸させて、キノ
コ類(オオウズラタケ、カワラタケ)による木材の腐食
を防いだり、白ありから木材を保護する等のような作用
を有するものである。
【0014】有機性の薬剤の一例を挙げると、例えば塩
化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化トリオクチル
メチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウムの
ような有機化合物の四級アンモニウム塩がある。これら
の四級アンモニウム塩は、通常、カビや細菌の繁殖を防
止する等のような作用を木材に付与するために用いられ
るものである。また、有機系の抗菌剤としては、カテコ
ール、レゾルシノール、ピロガロール等のポリフェノー
ル系のものを薬剤として用いることができる。これらの
抗菌剤は、通常、ウイルスやカビに対して効果を奏す
る。
【0015】本発明の木材に薬剤を含浸させる方法にお
いて、所定の作用を有する薬剤を含有する溶液は、上記
式(I) 又は(II)により表される化合物(以下「木質キャ
リヤ」ともいう)を少なくとも1種添加されていること
を特徴とする。これらの木質キャリヤの詳細については
後述する。
【0016】これらの薬剤及び木質キャリヤを含有する
溶液の溶媒は、それらの薬剤及び木質キャリヤが溶解
し、木材に対して悪影響を与えないものであれば特に制
限はない。
【0017】一例を挙げると、特に、薬剤が金属の塩で
ある場合には、水を溶媒として用いることができる。水
を溶媒として用いる場合、併用する木質キャリヤが上記
式(I) 又は(II)で表される化合物の場合には、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノールのようなアルコール
を適量、通常は、溶液全量に対して10〜50体積%の
量添加することにより木質キャリヤの溶解度を高めるこ
とができるので好ましい。
【0018】また、水を溶媒として用いる場合、併用す
る木質キャリヤが上記式(II)で表される化合物の場合に
は、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム等のような
弱塩基を適量、通常は、木質キャリヤと当モル量添加す
ることによっても木質キャリヤの溶解度を高めることが
できるので好ましい。これらの弱塩基は、木質キャリヤ
と塩を形成することにより、木質キャリヤの溶解度を高
めるものである。
【0019】薬剤が有機化合物であり、その有機化合物
が水に溶解しにくい場合には、溶媒として、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、
N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、テトラヒドロフランなどのような極性非プロトン系
の溶媒を用いることが好ましい。
【0020】上記薬剤及び木質キャリヤを含有する溶液
中における薬剤の濃度は、木材の種類、薬剤の種類や使
用目的に応じて適宜選択することができる。一例を挙げ
ると、塩化ベンジルトリメチルアンモニウムを薬剤とし
て用いる場合、通常、3〜10重量%の濃度の水溶液に
することができる。
【0021】一方、木質キャリヤの濃度は、通常、1〜
10重量%、好ましくは使用する薬剤と当モル量に設定
することができる。木質キャリヤは、単独で用いること
も、2種以上を併用することもできる。
【0022】薬剤及び木質キャリヤを含有する溶液は、
木材の木口を浸漬させることにより溶液を含浸させるこ
とも、側面を浸漬させることにより溶液を含浸させるこ
ともできる。しかしながら、毛管現象を利用することが
できるので、木口を浸漬させることが好ましい。
【0023】浸漬時の温度は、常温(約15〜約35
℃)、圧力は、常圧(約1気圧)に設定することができ
る。浸漬時間は、木材の種類、大きさ等に応じて適宜設
定することができるが、通常、4〜24時間に設定する
ことができる。
【0024】次に、本発明の木材に薬剤を含浸させる方
法において、木質キャリヤとして用いることのできる式
(I) 又は(II)により表される化合物について詳細に説明
する。 下記の式(I)
【0025】
【化7】 (式(I) 中、XはCH3 、H及びOHからなる群から選
択されるいずれか1を表す。)により表される化合物
は、トランス体のものであってもシス体のものであって
も、あるいはこれらの混合物であってもよい。
【0026】上記式(I) により表される化合物のうち、
XがOCH3 であるものはフェルラ酸とも呼ばれるもの
である。フェルラ酸それ自体は、既知の化合物であり、
築野食品工業株式会社(和歌山県)から入手することが
できる。
【0027】上記式(I) により表される化合物のうち、
XがHであるものは、p−クマル酸とも呼ばれるもので
ある。p−クマル酸自体は、既知の化合物であり、例え
ば、p−ヒドロキシベンズアルデヒドとマロン酸から合
成することができる。
【0028】上記式(I) により表される化合物のうち、
XがOHであるものは、コーヒー酸とも呼ばれるもので
ある。コーヒー酸それ自体は、既知の化合物であり、例
えば、コーヒー豆の中に存在するクロロゲン酸を加水分
解することにより製造することができる(Fiedler, Arz
neimittel-Forsch, 4, 41 (1954))。 上記式(II)
【0029】
【化8】 により表される化合物(IUPAC名:3−(4−カル
ボキシメトキシ−3−メトキシフェニル)プロペン酸
(以下「CMPA」ともいう)は、新規な化合物であ
る。
【0030】CMPAは、フェルラ酸を出発物質として
次の方法により製造することができる。出発物質のフェ
ルラ酸は、上述したように、築野食品工業株式会社より
入手することができる。フェルラ酸とアルカリ性物質
を、フェルラ酸に対して4〜5倍量(重量)の水に溶解
する。アルカリ性物質として、水酸化リチウム、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウムなどを用いることができる。
アルカリ性物質は、フェルラ酸に対して4〜5倍モル当
量を添加することができる。
【0031】この溶液を30〜40℃の温度に維持し、
フェルラ酸に対して2倍モル当量のモノクロロ酢酸又は
モノブロモ酢酸を除々に添加することにより、カルボキ
シメチル基を導入する。その後、3〜4時間加熱還流す
る。室温まで冷却した後、希硫酸などの酸により反応溶
液を酸性にすることにより、固体の物質が析出する。こ
れを濾過し、水で洗浄することにより、白色のCMPA
の結晶が得られる。
【0032】
【実施例】以下、本発明の木材に薬剤を含浸させる方
法、及び新規なフェルラ酸誘導体の製造方法を実施例に
より説明するが、本発明の方法はこれらに限定されるも
のではない。
【0033】なお、以下の実施例において、木片への薬
剤の含浸試験は、JIS K1570−1995 付属
書I、「木材防腐剤の浸透性試験方法」に記載される方
法に従って行った。
【0034】実施例1 <含浸されるべき薬剤として銅イオン、木質キャリヤと
してCMPA(上記一般式(II)により表される化合物)
を用いる場合>20×20×120mmのスギ辺材の木
口2面を残し、4面をエポキシ樹脂で覆い、これを試験
片とした。
【0035】200mLのトールビーカーの中で、CM
PA3g、トリエタノールアミン8.6g、塩化銅(II)
2gを水100mL−エタノール20mLの混液に溶解
し、薬剤溶液を調製した。上記の試験片全体を常温(2
5℃)、常圧(約1気圧)下に2、4、9又は24時間
薬剤溶液に浸漬したものをそれぞれ試料1〜4とした。
【0036】別途、空試験(Blank)として、試薬
溶液中にCMPAが添加されていないこと以外はそれぞ
れ上記試料1〜4で用いた試薬溶液と同じ溶液を用いて
試験片を同様に浸漬し、それぞれ試料5〜8とした。得
られた結果を次の表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】上記表1の結果から、CMPAを使用する
試料において、空試験に比べて極めて大きな重量増加が
認められる。このことは、本発明の方法を用いることに
より、銅イオンが大量に木材に含浸されていることを示
している。
【0039】しかも、本発明の方法を用いた試料におい
ては、常温、常圧下において、浸漬9時間で飽和状態に
達している。CMPAを使用しない比較試料において
は、24時間浸漬させても、CMPAを使用する本発明
の方法を用いた場合の4時間浸漬に劣っている。
【0040】実施例2 <含浸されるべき薬剤として銅イオン、木質キャリヤと
してCMPAを用いる場合>上記実施例1の試料1〜4
(本発明)及び試料5〜8(比較)とそれぞれ同じ方法
により試料を作製し、含浸試験を行った。但し、各々の
試料片の木口から5cmまでの領域のみ薬剤を含有する
溶液に浸漬した状態で2、4、9又は24時間維持し
た。所定の浸漬時間が経過した辺材は、開放木口面から
15〜25mmの範囲の直方体(20×20×10m
m)を切り取ったものを試料9〜12とし、含浸された
銅イオンを測定した。開放木口面から75〜85mmの
範囲の直方体(20×20×10mm)を切り取ったも
のを試料13〜16とし、含浸された銅イオンの量を測
定した。
【0041】銅イオンの測定は、次のようにして行っ
た。試料片を細かく砕き、それを首長フラスコの中に入
れ、硝酸と硫酸で加熱しながら完全に溶解する。溶液に
は、試料の辺材に含浸された銅イオン(II)が溶解してい
るので、これを原子吸光分析により定量した。
【0042】得られた結果を次の表2並びに図1及び2
に示す。図1は、表2の試料9〜12の結果をグラフに
表したものであり、図2は、試料13〜16の結果をグ
ラフに表したものである。図1及び2において、それぞ
れ、縦軸は銅イオン吸収率(%)を表し、矛軸は浸堰き
時間(時間)を表す。又、−○−は、CMPA処理を、
−□−は、Blankを表す。
【0043】
【表2】
【0044】表2並びに図1及び2に示す結果から、次
のことが分かる。試料片の木口から15〜25mmの直
方体部分(測定位置20mm)の銅イオンを測定した試
料9〜12において、木質キャリヤとしてCMPAを添
加した溶液を用いる本発明の木材に薬剤を含浸させる方
法を用いることにより(CMPA処理)、木質キャリヤ
を添加されていない薬剤のみの溶液を用いた場合(Bl
ank)に比べて、いずれの浸漬時間においても銅イオ
ンの吸収率が高いことが分かる。
【0045】試料9〜12よりも木口から離れた位置に
ある直方体部分(測定位置80mm)の銅イオンを測定
した試料13〜16においても試料9〜12と同様に、
銅イオン吸収率は、比較の試料(Blank)の試料の
銅イオン吸収率に比べていずれの浸漬時間においても高
い。このことから、木質キャリヤとしてCMPAを添加
した溶液に浸漬する本発明の木材に薬剤を含浸させる方
法を用いることにより、従来の方法よりもより多くの銅
イオンをより早く、しかもより広範囲に木材に含浸させ
得ることが分かる。
【0046】実施例3 <含浸されるべき薬剤として銅イオン、木質キャリヤと
してフェルラ酸を用いる場合>1Lのビーカーの中で、
フェルラ酸0.1モル(19.4g)と塩化銅2水和物
0.1モル(17g)を600mLのエタノール−水の
混合液(1:1;体積比)に溶解した。この溶液に米ツ
ガ辺材(2cm×2cm×30cm)を室温(25℃)
で18時間浸漬した。この場合、米ツガ辺材は、木口か
ら5cmの高さまで溶液に浸漬させ、垂直に維持した。
その後、40℃で48時間乾燥し、この辺材を縦(長軸
方向)に2分して、銅イオン(青色)が辺材の下方木口
から25cmの高さにまで均一に含浸されていることを
目視により確認した。
【0047】比較例1 木質キャリヤであるフェルラ酸を薬剤溶液を用いた以外
は実施例3と同じ操作を行った。
【0048】この結果、銅イオンの含浸は、木口からわ
ずか3cmの高さまでしか確認されなかった。 実施例4 <含浸されるべき薬剤として4級アンモニウムイオン、
木質キャリヤとしてフェルラ酸を用いる場合>1Lのビ
ーカーの中で、フェルラ酸0.1モル(19.4g)と
塩化ベンジルトリメチルアンモニウム0.1モル(1
8.5g)を600mLのエタノール−水の混液(1:
1(体積比))に溶解した。この溶液に米ツガ辺材(2
cm×2cm×30cm)を室温(25℃)で18時間
浸漬した。この場合、米ツガ辺材は、木口から5cmの
高さまで溶液に浸漬し、垂直に維持した。その後、40
℃で48時間乾燥し、この辺材を縦(長軸方向)に2分
し、塩化ベンジルトリメチルアンモニウムが辺材の木口
から28cmの高さにまで含浸されていることを確認し
た。
【0049】塩化ベンジルトリメチルアンモニウムの測
定は、次のようにした。木口から所定の位置にある辺材
部分を細かく砕き、丸底フラスコに入れた。ここに、エ
タノールを加え、24時間還流した。その後、砕いた辺
材をろ別し、そのろ液からエタノールを留去することに
より得られる無色の固体が塩化ベンジルトリメチルアン
モニウムである。この物質は、赤外スペクトルを取り、
同定した。
【0050】比較例2 木質キャリヤであるフェルラ酸を溶解しない薬剤溶液を
用いた以外は実施例3と同じ操作を行った。
【0051】この結果、塩化ベンジルトリメチルアンモ
ニウムの含浸は、木口からわずか7cmの高さまでしか
確認されなかった。 実施例5 <CMPAの製造>フェルラ酸97g(0.5モル)と
水酸化ナトリウム90gを380mLの水に溶解し、こ
の溶液に30〜40℃でモノクロロ酢酸94.5g
(1.0モル)を徐々に加えた。その後、4時間加熱還
流した。室温まで冷却してから希硫酸で酸性にすると、
大量の固体が析出した。これを濾過し、水で洗浄した。
乾燥すると、98g(収率78%)のCMPAが得られ
た。純度は、99%以上あり、精製の必要はなかった。
融点236℃。
【0052】1H−NMR(D2 O−NaOH): 3.
861(3H,s,OCH3 ),4.455(2H,
s,CH2 ),6.3〜7.3(5H,m,芳香族及び
二重結合)ppm. IR:3510(OH),2940(CH2 ),172
0(C=O),1680(C= O)cm-1
【0053】
【発明の効果】本発明の木材に薬剤を浸透させる方法を
用いることにより、加圧装置のような特別の装置や大規
模な装置を用いることなく、常温、常圧で、しかも短時
間に薬剤を木材に含浸させることができる。また、薬剤
は、辺材のみならず、従来は含浸させることが困難だっ
た芯材にも含浸させることができる。
【0054】本発明者らは、式(I) 又は(II)で表される
木質キャリヤの構造は、木材の約25%の構成成分であ
るリグニンの構造と類似しているので、薬剤を含有する
溶液にこれらの木材キャリヤを添加することにより溶液
と木材との親和性が高まり、その結果、溶液が木材に浸
透しやすくなり、上記の効果を奏すると考えている。
【0055】更に、本発明の木材に薬剤を含浸させる方
法により製造される薬剤を含浸した木材は、その寸法安
定性が高まることが明らかになった。本発明の木材に薬
剤を含浸させる方法を用いることにより、木質キャリヤ
も木材中に含浸することになる。上述したように、木質
キャリヤの構造は木材の構成成分と似ているので、木材
中で木材キャリヤと木材構成成分との何らかの相互作用
により寸法安定性が高まるものと考えられる。
【0056】本発明の木材に薬剤を含浸させる方法にお
いて木質キャリヤとして用いる式(I) 又は(II)で表され
る化合物は、いずれも米糠から安価に製造することがで
きるフェルラ酸またはその誘導体であるので、安価に入
手することができる。特に、式(II)で表される化合物
は、フェルラ酸を水中で反応させることにより製造する
ことができるので極めて安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】測定位置20mmにおける銅イオンの辺材への
注入量を表すグラフ。
【図2】測定位置80mmにおける銅イオンの辺材への
注入量を表すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 英作 和歌山県和歌山市島51番地の11 (72)発明者 細田 朝夫 和歌山県御坊市湯川町財部92番地の3 (72)発明者 下林 則夫 和歌山県和歌山市有家262番地の3 (72)発明者 梶本 武志 和歌山県和歌山市園部1257番地の45 県職 員住宅A棟104号 (72)発明者 築野 卓夫 和歌山県伊都郡かつらぎ町大字新田94番地 の1 (72)発明者 南 晴康 和歌山県那賀郡那賀町後田189番地の2

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶液の形態にある薬剤を木材に含浸させ
    る方法において、前記溶液がキャリヤを添加されたもの
    であることを特徴とする木材に薬剤を含浸させる方法。
  2. 【請求項2】 前記キャリヤが次の式(I) 又は式(II) 【化1】 (式(I) 中、XはCH3 、H及びOHからなる群から選
    択されるいずれか1を表す。)により表される化合物の
    少なくとも1種である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 次の式(I) 又は式(II) 【化2】 (式(I) 中、XはCH3 、H及びOHからなる群から選
    択されるいずれか1を表す。)により表される化合物を
    含有する木材。
  4. 【請求項4】 次の式(II) 【化3】 により表される新規なフェルラ酸誘導体。
  5. 【請求項5】 次の式(III) 【化4】 により表されるフェルラ酸にアルカリ性物質存在下の水
    中でカルボキシメチル基を導入することにより次の式
    (II) 【化5】 により表されるフェルラ酸誘導体を製造する方法。
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WO2003035343A1 (fr) * 2001-10-22 2003-05-01 Immunovacs Japan Limited Dispositif d'assistance pour la penetration d'une piece de bois
JP2007257965A (ja) * 2006-03-22 2007-10-04 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 固体高分子型燃料電池及び燃料電池システム

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