JP2012091409A - 木材の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】木材を調製する方法および組成物を提供すること。
【解決手段】記載されているものは、木材が、液体または水溶性有機カルボン酸アンモニウムと、無脊椎動物を忌避せしめる活性成分との混合物と接触する、木材を処理する方法であって、有機カルボン酸アンモニウムが、式(1):[NR [R(COO)−n (1)[式中、R、R、R、R、Rおよびnは、明細書に記載されている通りである]を有し、木材防腐活性成分が、無脊椎動物を忌避せしめるキレート剤を含有し、キレート剤が、アミノポリカルボン酸若しくはその塩、ヒドロキシ酸若しくはその塩、ホスホネート若しくはその塩またはこの基の2つ以上に属するキレート剤の混合物から選択されることを特徴とする方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、木材を液体または水溶性有機カルボン酸アンモニウムおよび無脊椎動物防除剤と接触させる、木材を処理する方法に関する。本発明は、また、有機カルボン酸アンモニウムおよび無脊椎動物防除剤を含有する木材防腐組成物に関する。加えて、本発明は、有機カルボン酸アンモニウムおよび無脊椎動物防除剤を含有する組成物に関する。
WO特許明細書第95/27600号の実施例2は、酢酸亜鉛および酢酸銅に加えて、酢酸アンモニウム、好ましくはジデシルジメチルアンモニウムクロリドなどの第四級アンモニウム化合物を含む木材防腐剤を開示する。
US特許明細書第4,929,454号(第2欄60行目〜第3欄6行目)は、亜鉛、銅、および脂肪酸の第三級C〜C20アルキルアンモニウム塩から構成され得る第四級アンモニウム化合物を木材に含浸させることによる、木材の調製方法を開示する。しかし、銅および亜鉛の使用は、環境および腐食の問題を引き起こす場合がある。
EP特許明細書第1,114,704A2号は、銅および亜鉛を有さず、水溶性有機カルボン酸アンモニウムを含有する木材防腐剤を開示する。この第四級カルボン酸アンモニウムのアンモニウムイオンは、C〜C20アルキル基またはアリール置換アルキル基および8〜20個の炭素原子を含有する少なくとも1つの、好ましくは2つのアルキル基を含む(前記明細書の段落[0051]を参照すること)。カルボキシレートは、例えば、アセテート(段落[0224]を参照すること)またはプロピオネート(段落[0219]を参照すること)であることができる。殺微生物性に加えて、前記参考文献の第四級カルボン酸アンモニウムを含有する防腐剤は、保持が増強されており、アルセン、クロム、銅および亜鉛の組合せなどの金属安定剤なしで使用することもできる(前記参考文献の段落[0032]を参照すること)。
しかし、これらの参考文献のカルボン酸アンモニウムは、適切な量で木材に吸収されないまたは木材における保持が不十分であるという問題を伴う。
シロアリなどの昆虫を防除するのに使用できる、幾つかの広く知られている作用物質がある。
八ホウ酸二ナトリウム四水和物(DOT)は、真菌、昆虫およびシロアリに対して使用される。DOTは可溶性、溶解速度および酸化ホウ素含有量を最大限にして、伝統的なホウ酸またはホウ砂よりもホウ酸塩活性成分をはるかに優れたものにする。専門的な用途において使用されるレベルでは、有害生物(pest)の代謝を細胞に基づいて阻害することにより、有害生物の侵入を防止する。テトラヒドロキシボレートアニオンは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)のリボース糖におけるシス−隣接ヒドロキシ基とキレート錯体を生成し、ニコチンアミド部分のカチオン性窒素と共に、キレートの静電安定性をもたらす。この配置では、ペントースリン酸経路またはトリカルボン酸経路である解糖デヒドロゲナーゼ酵素がNADおよびNADPを使用することができず、そのためアデノシン三リン酸産生を含む細胞エネルギー生成系が遮断される。
ペルメトリンは、多くの合成ピレスロイドのうちの1つである。ペルメトリンは神経毒であり、木の実、果実、野菜、綿、観賞植物、キノコ、ジャガイモおよび穀物に対する多様な有害生物に対して使用される。温室、家庭菜園およびシロアリ防除に使用される。動物の外部寄生虫、サシバエおよびゴキブリも防除する。ペルメトリンは、神経系を強く興奮させることにより昆虫を死滅させる。刺激に対して単一のインパルスを送る代わりに、ペルメトリンに暴露された神経は、有機塩素系殺虫剤DDTと同様に、一連のインパルスを送る。膜ATPアーゼがピレスロイド化合物の神経毒効果の標的であり、このことが、免疫装置(immune apparatus)に対する効果を説明することができる。ペルメトリンは、ミツバチ、ならびに他の益虫、魚、水性昆虫、ザリガニおよびエビに有毒である。多くの種にとって、10億分の1部未満の濃度が致死的である。ペルメトリンは、オタマジャクシに奇形および他の発育上の問題を引き起こし、トリの血中の酸素運搬細胞の数を低減する。
昆虫の防除のために広く使用されている上記作用物質は、益虫に対して相対的に有害であり、このことは例えば木材の処理におけるこれらの使用を厳しく制限し、これらの作用物質を木材に含浸する場合、濃度は著しく低く保たれるべきである。
木材に銅化合物、反応混合物またはカルボン酸アンモニウムと銅化合物の錯体を含浸する、木材調製の幾つかの従来技術の方法も存在する(例えば、US6,352,583およびEP238,051)。そのような木材防腐剤は、有毒な銅化合物を使用する、ならびに/または木材における保持が不十分および/若しくは木材への吸収が不十分であるという欠点を有する。
MHEA及びMHEA+PREA担体と混合したときの市販及び新たな活性成分の抗腐敗効果を示す図である。 Granula Oy社により調製された活性成分と担体の混合物の抗腐敗効果を示す図である。 木材材料の抗腐敗特性に対する当該抽出手順の効果を示す図である。 MHEA及びMHEA+PREA担体と混合したときの市販及び新たな活性成分の抗カビ効果を示す図である。 Granula Oy社により調製された活性成分と担体の混合物の抗カビ効果を示す図である。 木材材料の抗腐敗特性に対する当該抽出手順の効果を示す図である。
したがって、本発明の目的は、木材を調製する方法および組成物を提供することであるところ、該組成物は、十分に吸収され、また保持良好なものである。
本発明の別の目的は、アルセン、クロム、銅または亜鉛化合物を安定剤として使用する必要のない、木材の調製方法を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、無脊椎動物に対して、とくに昆虫に対して、さらにとりわけアリおよびシロアリから木材を保護する方法および組成物を提供することであるところ、該組成物は、木材材料に含浸される場合、十分に多量に使用することができるように、無害の無脊椎動物または昆虫に対して非毒性のものである。
上記目的は、無脊椎動物忌避キレート剤を含有する木材防腐活性成分と組み合わせた、上記の種類の液体または水溶性有機カルボン酸アンモニウムによる木材を調製する新たな方法によりここに達成される。活性成分は、好ましくは、有機活性成分塩と有機活性成分酸の混合物または反応生成物である。
有機カルボン酸アンモニウムは、式(1):
[NR [R(COO)−n (1)
[式中、R、RおよびRは、水素、1〜6個の炭素原子を含有する置換アルキルおよび1〜6個の炭素原子を含有する非置換アルキルを含む群から選択され、Rは、1〜6個の炭素原子を含有する置換アルキルまたは1〜6個の炭素原子を含有する非置換アルキルであり、Rは、水素、1〜6個の炭素原子を含有する置換ヒドロカルビルまたは1〜6個の炭素原子を含有する非置換ヒドロカルビルであり、nは、1〜6の整数である]を有する。そのようなカルボン酸アンモニウムは、非常に大量に木材に容易に吸収され、その後木材において保持される。木材防腐活性成分は、無脊椎動物を忌避せしめるキレート剤を含有し、このキレート剤は、アミノプロピルカルボン酸若しくはその塩、ヒドロキシ酸若しくはその塩、ホスホネート(すなわち、有機ホスホネート、すなわちオルガノホスフェート)またはこの基の2つ以上に属するキレート剤の混合物を含む群から選択される。
木材調製は、木材を別の物質に接触させることを伴う。有機カルボン酸アンモニウムは、アンモニウムカチオンとカルボン酸アニオンから生成される塩または錯体を意味する。したがって、塩または錯体の1つ以上のアンモニウムイオンは、第一級(RNH )、第二級(RNH )、第三級(RNH)または第四級(R)であることができる。塩または錯体のカルボキシレートイオンは、一価(RCOO)または多価(R(COOn>1)であることができ、その場合、非中和カルボキシル基(−COOH)を含むこともできる。後者の場合では、Rは、カルボキシルで置換されていると定義される。
カルボン酸アンモニウムおよび木材防腐剤を含む溶液は、ここでは主にシロアリおよびアリなどの昆虫を意味する無脊椎動物に対することが意図される。しかし、前記溶液は、ワーム類(worms)およびカタツムリに対しても有用であり得る。追加的に、本発明の組成物の幾つかの形態は、有害小型脊椎動物(vertebrate pest)に対して有用であり得る。
FI特許明細書第103704B号および同第110661B号は、式(1)の化合物と同様の構造を有するカルボン酸アンモニウムによる家畜飼料の保存方法を開示する。それにもかかわらず、家畜飼料の保存において生じる問題は、本発明の木材調製方法に関連するものと異なり、それは、家畜飼料が、キレート剤および銅などの有毒な金属で調製されておらず、防腐剤による家畜飼料の含浸が、木材防腐剤による木材の含浸と同じ問題を伴わないからである。家畜飼料の保存の目的は、有害な微生物、酵母およびカビの増殖の予防と共に、乳酸発酵である。
式(1)の基Rは、好ましくは、水素、1〜6個の炭素原子を含有する置換アルキルまたは1〜6個の炭素原子を含有する非置換アルキル、より有利には、水素、1〜4個の炭素原子を含有する置換アルキルまたは1〜4個の炭素原子を含有する非置換アルキルである。用語「置換」および「非置換」は、基本的に、ヘテロ原子(例えば、−OH、−NH、−COOH)を含有する基を意味する。
基Rがカルボキシレート基と関連するので、式(1)のカルボン酸アンモニウムは、好ましくは、低級有機カルボン酸に基づいており、そのような酸またはその塩から調製することができる。低級有機酸には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、n−およびi−酪酸、ならびにn−およびi−ペンタン酸などの低級脂肪酸が含まれる。有用な酸には、安息香酸、ならびにグルコール酸および乳酸などのオキシカルボン酸も含まれる。シュウ酸、マロン酸、コハク酸およびグルタル酸などの低級ジカルボン酸も適用可能である。
式(1)の基Rは、最も有利には、水素、メチルまたはエチルである。式(1)において、nは、好ましくは1または2、最も有利には1である。したがって、本発明の方法に使用される最も有利な有機カルボン酸アンモニウムは、低級脂肪酸に基づいている。
上記に記述されているように、式(1)のアンモニウムイオンは、第一級(RNH )、第二級(RNH )、第三級(RNH)または第四級(R)であることができ、Rは、典型的には、1〜6個の炭素原子を含有する置換アルキルまたは無置換アルキルである。非置換アルキルを含有する典型的なアンモニウムイオンは、メチルアミン(g)、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミンなどの水溶性アミンから生成される。
置換アルキルを含有するアンモニウムイオンは、典型的には、アルキルが1つ以上のヒドロキシル基で置換されている水溶性アミンから生成される。式(1)において、Rは、好ましくは水素であり、RおよびRは、好ましくは、水素およびヒドロキシル基で置換されているC〜Cアルキルを含む群から、好ましくは、水素およびヒドロキシル基で置換されているC〜Cアルキルを含む群から選択される。Rは、好ましくは、ヒドロキシル基で置換されているC〜Cアルキル、最も有利には、ヒドロキシル基で置換されているC〜Cアルキルである。
したがって、低級アルカノールアミンから生成される有機カルボン酸アンモニウムがとくに有用である。低級アルカノールアミンのうち、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノ−sek−ブタノールアミン(mono−sek−butanolamine)、ジ−sek−ブタノールアミンおよびトリ−sek−ブタノールアミンを引用することができる。
有用なアルカノールアミンの1つの重要な基は、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ブチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミンおよびエチルジエタノールアミンなどの低級アルキルアルカノールアミンを含む。有用なアルカノールアミンについての追加的な情報は、書籍のKirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology 3rd Ed.,Vol.1,p.944(本明細書に組み込まれる)において見出すことができる。
が水素であり、RおよびRが、水素およびヒドロキシル基で置換されているエチルを含む群から、好ましくは水素および2−ヒドロキシエチルを含む群から選択され、Rが、ヒドロキシル基で置換されているエチル、好ましくは2−ヒドロキシエチルであることが、とくに推奨される。したがって、本発明のカルボン酸アンモニウムは、好ましくは、通常のモノ、ジまたはトリエタノールアミンに基づいている。
最も有利な態様において、式(1)の有機カルボン酸アンモニウムは、ギ酸とモノエタノールアミンの塩または錯体およびプロピオン酸とモノエタノールアミンの塩または錯体を含む群から選択される。これらの作用物質は、物質の木材への最大限の吸収および木材における保持を提供する。任意の一態様において、有機カルボン酸アンモニウムは、ギ酸とモノエタノールアミンの塩と、プロピオン酸とモノエタノールアミンの塩との、好ましくは80:20〜20:80の重量比の混合物である。
式(1)の記述されたカルボン酸アンモニウムと組み合わせて使用される木材防腐活性成分は、アミノプロピルカルボン酸若しくはその塩、ヒドロキシ酸若しくはその塩、ホスホネート(すなわち、有機ホスホネート、すなわちオルガノホスフェート)またはこれらの混合物を含む群から選択されるキレート剤を含有する。
キレート化は、多座(複数結合)リガンドと単一中心原子の間に2つ以上の別々の結合が形成されることまたは存在することである。通常、これらのリガンドは有機化合物であり、キラント、キレーター、キレート剤または金属イオン封鎖剤と呼ばれる。キレート剤は、沈殿物またはスケールを生じる他の要素またはイオンと通常反応することがないように、イオンを不活性化する特定の金属イオンと可溶性錯体分子を生成する化学薬品である。
好ましくは、本発明のキレート剤は、鉄およびマンガンイオンと結合することができ、HEDPなどの分子構造にリン(P)を含有することができるキレート剤である。
キレート酸が錯化剤である場合、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトロロ三酢酸(NTA)、n−ヒドロキシエチル−エチレンジアイニン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン−ジ−o−ヒドロキシフェニル酢酸(EDDHDA)、ジエタノールグリシン(DEG)、エタノールジグリシン(EDG)若しくはその塩、または1−ヒドロキシエチリデン,1,1−ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、ジエチレントリアイミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)若しくはその塩またはこれらの混合物を含む群から選択することができる。
好ましくは、キレート剤はリンを含む。最も好ましいリン含有キレート剤は、1−ヒドロキシエチリデン,1,1−ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、ジエチレントリアイミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)若しくはその塩またはこれらの混合物である。
式(1)のカルボン酸アンモニウムを、その場で出発物質から調製することにより木材に接触させる、換言すると、木材に実質的に接触させることもできる。ここで典型的な出発材料は、水酸化物または式(1)のアンモニウムイオンにより生成される塩、例えば塩化物および酸または式(1)の酸イオンにより生成される塩、例えばナトリウム塩を含み、主に下記の反応(2)をもたらす:
nNRX+R(COOM)→[NR [R(COO)−n+nMX (2)
安定
ここで、R、R、R、R、Rおよびnは、式(1)と同一であり、XおよびMは、それぞれ、安定した酸または塩を生成するアニオンおよびカチオンである。典型的なアニオンXは、ヒドロキシルおよびハロゲン化物を含み、典型的なカチオンMは、プロトン、ならびにアルカルおよびアルカリ土類金属を含む。
実施において、式(1)のカルボン酸アンモニウムは、例えば、アンモニウムカチオン供給源をカルボキシルアニオン供給源と望ましいモル比により、媒質を用いないかまたは媒質として水などの適切な溶媒を使用して混合することによって調製される。出発材料がアミンおよび酸である場合、これらを、必要であれば穏やかに加熱しながら単に混合する。出発材料が塩から構成される場合、これらを、典型的には別々に水に溶解し、次に溶液を合わせる。そのように生成された塩または錯体が疎水性である場合、油状若しくはペースト様沈着物またはロウ様沈殿物として水相から離れ、既知の方法により水相から分離することができる。出発材料と生成された生成物の両方が疎水性である場合、調製は水の代わりに有機溶媒で実施することができる。
予備段階の結果は、式(1)のカルボン酸アンモニウムが例えば流体対:エチレンアミン−ギ酸である場合、特定の状況下において反応させ、溶媒が存在しないときはアミドを生成することができる。温度の増加はアミド生成に好ましい。エステルはほとんど生成されない。
式(1)の有機カルボン酸アンモニウム、ならびにこれらのカルボン酸アンモニウムから得られる組成物および溶液の原材料は、AhlnasらのUS特許出願第12/639109号に記載されている凝固点降下組成物の再利用によって得られる。
本発明の木材処理方法において、式(1)の有機カルボン酸アンモニウムは、好ましくは水溶液の形態である。水溶液は、好ましくは、カルボン酸アンモニウム、有機活性成分、ならびに可能であれば水、添加剤および界面活性剤から構成される全組成物の、例えば5〜95重量%、典型的には15〜45重量%の濃度を有する。
現在、式(1)のカルボン酸アンモニウムの有機カルボン酸アンモニウムが、木材防腐活性成分を、シロアリに対する木材特性をもたらすキレート剤を含有する木材の中に移動するのにとくに適していることが見出されている。前記活性成分は、好ましくは、有機活性成分塩と有機活性成分酸の混合物または反応生成物である。
一方、本発明は、式(1)の両方の極性軸(polar pole)、すなわちアンモニウムカチオンとカルボン酸アニオンが、処理された木材材料に容易に吸着し、吸収されるという事実に基づいている。両方の極性分子の小さい分子サイズ、低い表面張力、ならびに木材の疎水性および親水性の材料、構成成分および分子に両方の極性分子を結合する特殊な機能は、有機カルボン酸アンモニウムを木材処理における使用にとって極めて有効にする。木材材料は有機カルボキシレートで容易に処理することができ、有機カルボキシレートは、浸出することなく木材材料の内部にとどまる。
木材を、式(1)の有機カルボン酸アンモニウムと、活性成分を含有するキレート剤とを含む溶液で処理すると、木材材料は、無脊椎動物に対してより耐性になり、加えて火に対してより良好な特性を得ることができる(防火)。標的無脊椎動物に対する、とくにアリおよびシロアリなどの昆虫に対する耐性は、前記標的無脊椎動物に対するキレート剤の忌避効果に基づいている。
木材を、記述されたキレート剤を含有する十分に多量の溶液で処理することができ、これらのキレート剤は、これらの効果が昆虫に対する忌避効果に基づいているので無害の無脊椎動物、とくに無害の昆虫に対して有毒ではない。
昆虫を忌避せしめる記述されたキレート剤を木材防腐溶液に使用することによって、キレート剤の使用が木材材料の防火特性も改善するので、追加的な予想外の利点を得ることができる。
式(1)の有機カルボン酸アンモニウムが木材に十分に吸収されるので、別の態様において、木材を微生物から保護する活性成分などの他の活性成分の更なる担体として使用することができる。
式(1)の有機カルボン酸アンモニウムが木材に十分に吸収されるので、別の態様において、木材を微生物から保護する活性成分などの他の種類の活性成分の担体として使用することができる。ここで担体は、活性成分を溶解し、多量に木材の中に移動し、木材において保持する。したがって、考慮されるカルボン酸アンモニウムの質および量は、木材防腐剤を木材の中に移動するように選択することができる。
式(1)の有機カルボン酸アンモニウムは、殺微生物性木材防腐剤も含む木材の中に木材防腐剤を移動するのにとくに適している。殺微生物性木材防腐剤は、好ましくは、有機活性成分塩と有機活性成分酸の混合物または反応生成物である。
活性成分の殺微生物性有機活性成分塩構成成分は、好ましくは、芳香族酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウム塩、脂肪族および芳香族スルホン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウム塩、ならびにアミンの酸塩を含む群から選択される。とくに有利な有機活性成分塩は、安息香酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、塩化セチルピリジニウムおよびギ酸とエタノールアミンの塩を含む。後者は、十分に吸収可能な式(1)の有機カルボン酸アンモニウムとしても作用する。
木材を微生物から保護するのに使用される活性成分の有機活性成分酸構成成分は、好ましくは、芳香族カルボン酸およびスルホン酸、脂肪酸、有機ヒドロキシル酸、ならびにこれらのオリゴマーおよびキレート酸を含む群から選択される。好ましい物質は、安息香酸、C〜C20脂肪酸、好ましくはステアリン酸などのC12〜C18脂肪酸およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む。安息香酸とステアリン酸などのC12〜C18脂肪酸の混合物は、とくに有利な有機活性成分の構成成分である。
有機活性成分酸と有機成分塩/カルボン酸アンモニウムの有利な組合せは、ギ酸および/またはプロピオン酸と一緒にした、EDTA+エタノールアミンの塩である。
本発明の式(1)の有機カルボン酸アンモニウムは、また、酸性クロム酸銅(acidic copper chromate)、アンモニア性ヒ酸銅亜鉛(ammoniacal copper zinc arsenate)、クロム含有ヒ酸銅、アンモニア性銅第四級塩、銅ビス(ジメチルジチオカルバメート)、アンモニア性クエン酸銅、銅アゾールAおよびホウ酸塩化合物などの他の種類の木材防腐剤を木材の中に移動するように機能する。他の適用可能な市販の木材防腐剤(殺真菌剤、殺虫剤、殺シロアリ剤など)は、Preventol(登録商標)およびK−Othrine(登録商標)のブランドに使用される活性成分を含む。これらの例は、Preventol(登録商標)A8(Tebucanazole)、Preventol(登録商標)MP100(IPBC)、Preventol(登録商標)HS11−N(Pyrethroide)およびK−Othrine(登録商標)100(Deltametrin)である。
記述されたカルボン酸アンモニウム担体により木材の中に移動され得る非金属木材防腐剤の例は、ボツリンおよび塩化ベンザルコニウム(多様なアルキル鎖長のアルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド)および環境に安全な殺生剤として作用するのでとくに有利な殺生剤であるポリヘキサメチレングアニジン(PHMG)である。さらに、PHMGの乾燥特性は非常に良好であり、処理過程を速める。
式(1)のカルボン酸アンモニウムが、上記活性成分として使用される銅化合物を木材材料の中に移動するために使用される場合、これらの銅化合物が水不溶性であるので、カルボン酸アンモニウムと銅化合物が反応して2相の混合物が生じる。ここで、第1相は、不溶性銅化合物を含有し、第2相は、カルボン酸アンモニウム錯体またはイオン化カルボン酸アンモニウムを含有する。本発明は、単に、カルボン酸アンモニウムと銅化合物の反応生成物を木材の中に移動する方法に関するものではない。
しかし、木材防腐剤が銅化合物、ホウ酸塩、クロム酸塩または他の金属化合物を含有する場合、これらの金属の濃度は相対的に低く保たれる。適切な範囲は、組成物(式(1)のカルボン酸アンモニウムと木材防腐剤)の総重量の約1〜1.5重量%である。金属化合物の濃度は、式(1)のカルボン酸アンモニウムにおけるアンモニウムカチオンとカルボン酸アニオンの極性軸の機能を妨げないように十分に低く保たれる。目的が木材防腐剤を木材の中に移動し、そこに保つことにあるので、金属含有防腐剤は、遊離カルボン酸アンモニウムが常に存在するように木材の中に移動され、可能な金属化合物は、イオン化状態またはカルボン酸アンモニウム−金属化合物錯体として移動される。
本発明の一態様において、木材は、微生物からも保護されるという観点から処理される。この場合、式(1)の有機カルボン酸アンモニウムは、それ自体、木材防腐剤として作用することができ、その質および量は木材を微生物から保護するように選択される。水溶液では、式(1)の有機カルボン酸アンモニウムと水の重量比は、とくに1:20〜20:1の範囲、好ましくは1:6〜1:1の範囲である。この態様において、木材防腐剤は、典型的には5〜95重量%の式(1)の作用物質、好ましくは15〜45重量%の式(1)の作用物質を含有する。
顕著に良好な木材への吸収および木材での保持を考慮すると、本発明の一態様は、環境に有害な銅および/または亜鉛を水溶液に含める必要はない。
上記幾つかの殺微生物性有機活性成分を他の目的に使用することもできる。例えば、シロアリに対して使用することができる(エチレンジアミン四酢酸(EDTA))または界面活性剤として使用することができる(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウム)。
一態様において、式(1)のカルボン酸アンモニウムは、他の物質を木材の中に移動するためにも使用される。典型的なそのような物質は、Granula LtdのWO2009/101261またはWO2009/101262(WO公報は完全に本明細書に組み込まれる)に記載されている、酸化防止剤、フリーラジカル捕捉剤、UV保護剤およびタンニンなどの木材抽出物を含む。
木材は、上記有機活性成分と組み合わせた式(1)のカルボン酸アンモニウムの溶液により、前記溶液が、処理される木材にその厚さの全体にわたってまたは表面から特定の深さまで吸着および吸収されるように処理される。多様な代替案が存在するので、処理は木材加工の適切な時点、例えば木材の最終乾燥の際に実施することができる。本発明の木材処理溶液を加熱することができるおよび/または高温をこの方法において使用することができ、それによって吸着および吸収をさらに改善することができる。本発明は、費用効果の高い方法で木材材料を処理する好都合な手順を可能にし、前記手順は、加工ラインの1段階が木材製品または物品の処理の連続工程を含み、例えば第1工程が圧力含浸を使用し、第2工程が噴霧、塗布または木材に作用物質若しくは水溶液を真空下で含浸する他の表面処理方法を使用するように、他の一般的な方法に容易に組み込まれる。典型的な含浸時間は1〜120分であり、典型的な処理温度は80〜160℃である。含浸した後、木材は、通常すすがれる。
本発明は、また、無脊椎動物、とくにアリおよびシロアリなどの昆虫に対する保護を提供する、木材防腐組成物に関する。組成物は、有機カルボン酸アンモニウムと、無脊椎動物を忌避せしめるキレート剤を含有する有機活性成分とを含有する。有機カルボン酸アンモニウムは、下記式:
[NR [R(COO)−n (1)
[式中、R、RおよびRは、水素、1〜6個の炭素原子を含有する置換アルキルおよび1〜6個の炭素原子を含有する非置換アルキルを含む群から選択され、Rは、1〜6個の炭素原子を含有する置換アルキルまたは1〜6個の炭素原子を含有する非置換アルキルであり、Rは、水素、1〜6個の炭素原子を含有する置換ヒドロカルビルまたは1〜6個の炭素原子を含有する非置換ヒドロカルビルであり、nは、1〜6の整数である]を有する。活性成分は、アミノポリカルボン酸若しくはその塩、ヒドロキシ酸若しくはその塩、ホスホネート若しくはその塩またはこの基の2つ以上に属するキレート剤の混合物を含む群から選択される。
このように本発明の木材防腐組成物は、式(1)の同じ有機カルボン酸アンモニウムおよび無脊椎動物を忌避せしめる同じ活性成分を含有し、これらは上記木材調製方法に使用される。したがって、活性成分と組み合わせた有機カルボン酸アンモニウムおよびこれらの組成物に関する上記の技術的な特殊機能も、本発明の木材防腐組成物に当てはまる。このため、組成物の幾つかの重要な機能しか下記に繰り返さない。
木材防腐組成物の式(1)の有機カルボン酸アンモニウムにおいて、Rは、好ましくは水素、メチルまたはエチルである。Rは、好ましくは水素であり、RおよびRは、好ましくは水素および2−ヒドロキシエチルを含む群から選択され、Rは、好ましくは2−ヒドロキシエチルである。
無脊椎動物を忌避せしめる活性成分は、好ましくは昆虫忌避活性成分、より有利にはシロアリおよび/またはアリ忌避活性成分である。好ましくは、キレート剤は、鉄およびマンガンイオンと結合し、分子構造にリン(P)を含有する。この種類の典型的なキレート剤は、1−ヒドロキシエチリデン,1,1−ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)若しくはジエチレントリアイミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)またはこれらの混合物である。
したがって、組成物における式(1)の有機カルボン酸アンモニウムは、好ましくは、ギ酸とモノエタノールアミンの塩、プロピオン酸とモノエタノールアミンの塩またはこれらの塩の混合物を含む群から選択される。混合物の重量比は、好ましくは80:20〜20:80の範囲である。
式(1)の有機カルボン酸アンモニウムは、典型的には、式(1)のカルボン酸アンモニウムと、無脊椎動物、とくにシロアリおよびアリなどの昆虫から木材を保護するキレート剤を含有する木材防腐組成物とを含む組成物全体の、典型的には5〜95重量%の濃度を有する水溶液の形態である。
無脊椎動物に対するキレート剤含有木材防腐溶液は、好ましくは、0.01〜95重量%、より有利には0.01〜45重量%の活性成分濃度を有し、1〜50重量%のカルボン酸アンモニウム濃度を有する水溶液またはディスパージョンの形態である。この種類の水性木材防腐水溶液は、界面活性剤および他の種類の活性成分、粘度改質剤、殺生剤、着色剤、UV保護物質、組成物の撥水性を改質する作用物質、安定性向上剤などを含む添加剤も含有することができる。
界面活性剤は、液体の表面張力を低下させて容易な拡散を可能にするおよび2つの液体間の界面張力を低下させる湿潤剤である。界面活性剤は、その頭における形式荷電基の存在により分類することができる。非イオン性界面活性剤は頭に電荷基を有さない。イオン性界面活性剤の頭は実効荷電を有する。電荷が陰性である場合、界面活性剤はとりわけアニオン性と呼ばれ、電荷が陽性である場合、カチオン性と呼ばれる。界面活性剤が頭に2つの反対に荷電した基を含有する場合、双性イオン性と呼ばれる。
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの代わりに、調製される組成物に応じて他の界面活性剤を使用することもできる。表面活性剤(tensides)、すなわち界面活性剤の使用は、式(1)の有機カルボン酸アンモニウムおよび木材防腐活性成分の分布および浸透をさらに改善し、皮膜形成樹脂、ならびに脂肪酸および/または多糖類に基づいたエマルションの溶解を促進する、すなわち既製の木材防腐剤において相分離を防止する。
それぞれの種類の一般的に遭遇する界面活性剤の幾つかには、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウムなどの硫酸塩、スルホン酸塩またはカルボン酸塩アニオンおよびラウレス硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸塩または脂肪酸塩などの他のアルキル硫酸塩に基づいたアニオン性のもの;塩化セチルピリジニウムなどの第四級アンモニウムカチオンに基づいたカチオン性のもの;アルキルポリグルコシド、セチルアルコールおよびオレイルアルコールを含む脂肪アルコールなどの非イオン性のものが含まれる。
本発明の木材防腐組成物は、添加剤として1または数個の殺微生物剤を含むこともできる。
有機カルボン酸アンモニウムは、組成物において単独で作用することができるかまたは微生物に対して追加的に木材を保護する殺微生物剤として別の殺微生物性木材防腐化合物と一緒に作用することができる。
殺微生物性木材防腐化合物は、好ましくは、有機活性成分塩と有機活性成分酸の混合物または反応生成物である殺微生物性活性成分を含む。有機活性成分塩は、典型的には、安息香酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、塩化セチルピリジニウム、ギ酸とエタノールアミンの塩またはこれらの混合物である。有機活性成分酸は、典型的には、安息香酸、ステアリン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはこれらの混合物である。
殺生剤ではPHMGを記述することがとくに望ましく、カビに対する保護を増強するために、好ましくは0.001〜5重量%を本発明の木材防腐組成物に加えることができる。さらに、PHMGの乾燥特性は非常に良好であり、処理過程を速める。他のポリマーグアニジンまたはポリマー化合物も、木材防腐組成物に含まれ得る。
脂肪酸および/または多糖類などの塗料型樹脂を本発明の木材防腐組成物に加えて、木材材料の撥水性をさらに改善することができる。
0.005〜7重量%の表面活性剤を木材防腐組成物に加えて、安定性をさらに改善することまたは木材への木材防腐組成物の吸着および吸収をさらに促進することができる。
本発明は、また、木材にこの組成物を含浸することにより木材を調製するための、上記組成物の使用に関する。また、驚くべきことに、本発明のカルボン酸アンモニウムを、そのまままたは木材を腐食しない、腐食の少ない若しくは防食にする既知の防食剤と一緒に使用できることが見出されている。調製した後、木材は、木材と接触する釘、ねじなどのような金属体の腐食を予防または低減する。
本発明者らは、また、式(1):
[NR [R(COO)−n (1)
[式中、R、RおよびRは、水素、1〜6個の炭素原子を含有する置換アルキルおよび1〜6個の炭素原子を含有する非置換アルキルを含む群から選択され、Rは、1〜6個の炭素原子を含有する置換アルキルまたは1〜6個の炭素原子を含有する非置換アルキルであり、Rは、水素、1〜6個の炭素原子を含有する置換ヒドロカルビルまたは1〜6個の炭素原子を含有する非置換ヒドロカルビルであり、nは、1〜6の整数である]で示されるカルボン酸アンモニウムが、それ自体、無脊椎動物忌避特性を有することを見出している。無脊椎動物は、例えば、カタツムリ、ワーム類または昆虫であることができる。昆虫は、とくにシロアリである。
用途に応じて、カルボン酸アンモニウムは、固体形態または溶液であることができる。好ましくは、式(1)のカルボン酸アンモニウムは、木材材料を処理する溶液として使用される。カルボン酸アンモニウム処理木材材料は、無脊椎動物、とくにシロアリを忌避せしめる。式(1)のアンモニウムイオン[NR および酸イオン[R(COO)−nの好ましい構造および特性は、上記において広範囲にわたって考察されており、したがってこれに関して繰り返すことは意図するところではない。
木材は、式(1)のカルボン酸アンモニウムの溶液により、前記溶液が、処理される木材にその厚さの全体にわたってまたは表面から特定の深さまで吸着および吸収されるように処理される。カルボン酸アンモニウムの吸収および吸着特性およびカルボン酸アンモニウム溶液を調製する一般的方法も、上記において広範囲にわたって考察されている。本明細書以降の「実施例」の項目では、カルボン酸アンモニウム含有溶液をそのまま使用する場合にも適用可能である溶液で木材材料を含浸、噴霧および塗布する幾つかの確立された方法が示されている。
式(1)のカルボン酸アンモニウムが溶液として使用される場合、上記のように、すなわち、アンモニウムカチオン供給源をカルボキシルアニオン供給源と望ましいモル比により、媒質を用いないかまたは媒質として水などの適切な溶媒を使用して混合することによって調製される。
式(1)のカルボン酸アンモニウムが固体として使用される場合、好ましくは、式(1)に存在する酸構成成分の塩の適切なモル量と混合した式(1)に存在するアンモニウム構成成分の塩との適切なモル比を含む塩の混合物である。
式(1)のカルボン酸アンモニウムの無脊椎動物忌避特性は、液体または水溶性有機カルボン酸アンモニウムと、上記キレート剤を含む活性成分との混合物を使用して増強することができる。
幾つかの場合において、式(1)のカルボン酸アンモニウムを、マウスおよびラット、トリ、ならびに他の有害生物などの小型脊椎動物の忌避に使用することができる。
実施例
多数の実施例を、本発明を明確にする目的のためだけに下記に示す。
組成物
食物のシロアリ保護のための典型的な水溶液は、0.01〜10重量%の前記木材防腐溶液(例えば、ホスホン酸塩に基づいたHEDP)および式(1)のカルボン酸アンモニウムおよび1〜45重量%のキレート剤含有木材防腐剤成分を含有し、残りは、実質的に水、添加剤および界面活性剤である。
防火(およびシロアリ保護)のための典型的な水溶液は、5〜35重量%の前記木材防腐溶液(例えば、ホスホン酸塩に基づいたHEDP)および式(1)のカルボン酸アンモニウムおよび1〜30重量%のキレート剤含有木材防腐剤成分を含有し、残りは、実質的に水、添加剤および界面活性剤である。
好ましくは、本発明のキレート剤は、鉄およびマンガンイオンと結合することができ、HEDPなどの分子構造にリン(P)を含有することができるキレート剤である。
昆虫に対する、とくにシロアリおよびアリに対する木材保護組成物の例。
組成物1
組成物1が第一義的に指向するのは、昆虫、とくにシロアリに対する忌避剤である。
30重量%のモノエタノールアンモニウムホルミエート(43重量%のギ酸および57重量%のモノエタノールアミン)
8.33重量%のCublen KT600(60重量%のHEDP)
0.5重量%のPHMG20(20重量%のPHMG)
1重量%のイオン性表面活性剤
残部は水
例1の組成物は、木材に十分に吸着および吸収され、木材材料内で優れた固定化を有する。
火から木材を保護し、昆虫に対して、とくにシロアリおよびアリに対して有用でもある組成物の例
組成物2
組成物2は、第一義的に木材を火から保護することを意図するものである一方、シロアリなどの昆虫に対する忌避特性も有する。
10重量%のモノエタノールアンモニウムホルミエート(43重量%のギ酸および57重量%のモノエタノールアミン)
49.2重量%のCublen KT600(29.5重量%のHEDP)
20.6重量%のアンモニア水(24.5重量%)、すなわち、アンモニア(100%)
3.6重量%のイオン性表面活性剤
残部は水
例2の化合物をトウヒまたはカバ製の合板の表面に適用した。組成物は、1回適用したとき、約250g/mで木材に十分に吸収された。処理木材材料は、標準EN5660に従った試験において優れた防火特性を示した。
例2の組成物は、木材に十分に吸着および吸収され、木材材料内で優れた固定化を有する。
組成物1および2を、下記に記載されているように、木材に含浸、塗布または噴霧することに使用できる。
特定の適用および木材処理方法に応じて、本発明の組成物を、カルボン酸アンモニウムおよびキレート剤含有量に関して、例1または2で調製したものと比較して極めて大幅に改質することができる。例えば、例2の組成物を使用し、この組成物で木材を含浸する場合、キレート剤の量を例1または2に示されている濃度の約1/20に下げることが可能であり得る。
組成物1および2に使用されるキレート剤の1−ヒドロキシエチリデン,1,1−ジホスホン酸(HEDP)を、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)またはジエチレントリアイミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)などの他のリン含有キレート剤に代えることができる。
以下に、無脊椎動物を忌避せしめる上記キレート剤を含有する組成物および溶液に使用することもできる例示的な殺微生物活性成分を示す。これらの殺微生物活性成分に関して記述されたカルボン酸アンモニウム担体も、無脊椎動物を忌避せしめる上記キレート剤を調製するときに使用することができる。
殺微生物剤の研究
目的
カルボン酸アンモニウム担体と、木材を損傷する微生物(カビおよび青変病および腐朽菌)に対する本発明の活性成分とを組み合わせる系の殺微生物効果を決定するために研究を行う。
1.材料および方法
1.1 カルボン酸アンモニウム担体
2つのカルボン酸アンモニウム担体混合物を試験のために選択し、水溶性混合物を添付の表(表1)に示されているように選択した。ホワイトスピリット溶媒は、基準担体として追加的に使用した。
2.2 活性成分およびそれらの混合物
研究される活性成分は、以下の表(2および3)の中央列に提示されている市販および新たな溶液から構成される。表の右側列は、表1において使用されたカルボン酸アンモニウム溶液に対応する。

2.3 木材材料の抽出試験
オーブン乾燥マツ表面試料(15×15×5mm)を、5つの異なる抽出手順(手順1〜5)により抽出した。未加工(未抽出)木材試料を、抽出木材材料の基準材料として使用した。
抽出手順1、水抽出
木材試料を、抽出の前に水で含浸(真空含浸)した。水含浸試料を、オートクレーブにより121℃の温度で20分間抽出した。
抽出手順2、MHEA1
木材試料を、50%のMHEA担体で含浸(真空含浸)し、含浸試料をオートクレーブにより121℃の温度で20分間抽出した。次に試料を、すすぎ水が透明になるまで冷水ですすいだ(少なくとも3〜4回のすすぎ、1回は水でのすすぎ=圧力下で水中に一晩)。
抽出手順3、MHEA2
木材試料を、50%のMHEA担体で含浸(真空含浸)し、含浸試料をオートクレーブにより121℃の温度で20分間抽出した。次に試料を、圧力下で冷水により一晩かけてすすいだ(1回のすすぎ)。
抽出手順4、溶媒抽出
木材試料を、Soxhlet装置においてアセトンにより4時間抽出した。この後、試料を、Soxhlet装置において蒸留水により4時間さらに抽出した。試料を、抽出の間で乾燥しなかった。
抽出手順5、溶媒−MHEA抽出
木材試料を、Soxhlet装置においてアセトンにより4時間抽出した。次に、試料を、Soxhlet装置において蒸留水により4時間さらに抽出した。試料を、抽出の間で乾燥しなかった。水抽出の後、試料を自然乾燥し、50%のMHEA担体で含浸(真空含浸)した。含浸させた後、試料を圧力下で水により一晩かけてすすいだ。
2.4.活性成分とancatの混合物の生物学的効果および抽出木材
2.4.1 腐敗試験
小型のマツ表面試料(15mm×15mm×5mm)を、研究の活性成分担体混合物(表2)で真空含浸した。未処理試料および単にancat担体またはホワイトスピリット溶媒で処理した試料を、基準として使用した。褐色腐朽菌、Coniophoraputeana、BAM Ebwを試験真菌として選択した。真菌株は、VTT Technical Research Centre of Finland,Building,Built Environmentの株コレクション由来である。
試料に吸収された活性成分−担体の混合物の量(保持kg/m)を、計算手段および乾燥に基づいた計量(含浸およびすすぎの前後の試料の乾燥重量)により決定した。試料の一部を、腐敗試験を開始する前に水ですすいだ。すすぎは、試験片を水で含浸し、試料を水中で4日間すすぐことにより実施した。すすぎ水は、すすぎ操作の際に4回取り換えた。すすぎは、改変したEN84標準により実施した。試料に吸収された活性成分−担体の量を、すすぎの後でも決定した。
腐敗試験は、速めて改変したEN113標準により実施した。基準試料、ならびにすすいでいないおよびすすいだ試験試料を、5週間かけて腐敗させた。含浸処理の効果は、真菌により引き起こされる重量損失に基づいて決定した。
2.4.2 カビおよび青変病試験
カビおよび青変病試験において、マツ表面木材試料(25×50×5mm)を、活性成分と担体の混合物(表3)で真空含浸した。試料をすすがなかった。
活性成分と担体の混合物、ならびにこれらの基準の抗カビおよび抗青変病効果を、懸濁方法により実験室において検査した。試験試料および基準試料を、暴露チャンバーに無作為の順序で吊した。チャンバーの相対湿度は、試験温度の20℃(+/−2℃)で95〜100%の範囲の水により調節した。
青変病およびカビ真菌懸濁液を、試験を開始する前に試験ボックスに注入した。カビ懸濁液は、木材において生育する3つのカビ種:アスペルギルス・バーシカラー(Aspergillus versicolor)(E1)、グラドスポリウム・スファエロスペルマム(Gladosporium sphaerospermum)(R7)およびペニシリニウム種(Penicillium sp.)(1017)を含有した。青変病懸濁液は、以下の種:アウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)(T1)、スクレロホマ・エントキシリナ(Sclerophoma entoxylina)(Z17)およびセラトシスチスピリフェラ(Ceratocystispilifera)(Z11)から構成した。真菌株は、VTT Technical Research Centre of Finland,Building,Built Environmentの株コレクション由来である。試験試料のカビ発生(moulding)は、試験の開始から2、4、6、8および10週目に目視により0〜5のスケールでモニタリングした。
0=増殖なし
s1=増殖開始の痕跡あり(顕微鏡による観察)
2=1〜10%の領域が微生物増殖で覆われる(顕微鏡による観察)
3=10〜30%の領域が微生物増殖で覆われる(目視による観察)
4=30〜70%の領域が微生物増殖で覆われる(目視による観察)
5=100%の領域が微生物増殖で覆われる(目視による観察)
3.結果
3.1 活性成分と担体の混合物の抗腐敗効果および抽出手順
イドタケ(C.プテアナ(C.puteana))は、木材材料の重量損失を引き起こし、強度を低減する褐色腐朽菌である。褐色腐朽菌の代謝は、木材の炭化水素構造の構成成分(ヘミセルロースおよびセルロース)を利用し、またリグニン構造も変える。褐色腐敗病が長期間進行すると、脆いリグニンしか残らず、軽い圧力でさえも粉塵に分解する。
腐敗試験の結果を図1〜3に例示する。結果は、試験した活性成分と担体の混合物およびancat担体の全てが、すすがないと、促進腐敗試験においてC.プテアナにより引き起こされた腐敗のみを防止したことを示す。全ての場合において、試料の重量損失は、EN113標準で設定した防腐効果限界の重量損失よりも少なかった(≦3%)。
3%未満の重量損失は、防腐剤がTebuconazole−MHEA、Tebuconazole−MHEA+PREA、CEBE2−MHEA、CEOS−MHEAまたはBHTEB−MHEAを含有した場合にすすぎ試料において達成された。ほぼ3%の重量損失限界は、安息香酸−MHEA+PREA(4.2重量%の重量損失)または酸性形態のEDTA−MHEA+PREA(5.2%の重量損失)を含有したすすぎ試料によって達成された。すすぎは、安息香酸−MHEA(7.3%の重量%損失)および酸性形態のEDTA−MHEA(12.7%の重量損失)の抗腐敗効果を明らかに低減した。
すすがなかった場合、両方のancat担体は、試験試料において腐朽菌により引き起こされた重量損失を効率的に防止した。MHEA+PREAの効果は、すすいだ後に減少し、9%の重量損失が試験試料において記載された。ホワイトスピリットは、腐朽菌により引き起こされた重量損失を防止しなかった。対照的に、SBBW30とホワイトスピリットの混合物は、すすがなかった場合とすすいだ場合の両方において高い抗腐敗効果を有することが証明された。
抽出試験の目的は、例えば担体における可溶性糖または構造構成成分の除去が木材の腐敗耐性を増加するかを決定することであった。ancat担体は、炭化水素、とくにヘミセルロースのキシランを木材材料から抽出することを証明した(抽出試験の結果を参照すること)。腐敗試験の結果は、水抽出(抽出手順1)、MHEA1(抽出手順2)および溶媒抽出(抽出手順4)が、抽出木材材料の腐敗耐性を増加しなかった(重量損失>30%)ことを示した。対照的に、抽出手順3(MHEA2)および5(溶媒−MHEA抽出)で処理した試料では、腐朽菌により引き起こされた重量損失は、標準により規定された3%限界を下まわった。
図3。木材材料の抗腐敗特性に対する抽出手順の効果。
表4は、含浸の際に試料に吸収された活性成分−担体の含有量を表す。含有量は比較的高く、190〜240kg/mの範囲で変わった。すすぎは、吸収に対して顕著な効果はなかった。
3.2 活性成分/担体の混合物の抗カビおよび抗青変病効果、ならびに抽出手順
青変病菌は、木材材料の構造に浸透し、木材を病変させる(staining)ことにより、変色を起こし、材料の水分挙動を変える(材料はより高い水分吸収を有する)。青変病菌の代謝は、主に可溶性の栄養素を利用し、通常、木材の重量損失または強度減少を生じない。対照的に、カビ菌は木材材料の表面にのみ増殖する。カビは、材料構造の中に浸透せず、したがって重量損失または強度減少を引き起こさない。カビは、材料表面に存在する可溶性栄養素によって生存する。カビにより引き起こされる損傷は、変色および悪臭、ならびに健康被害の可能性に関する。
青変病試験は何も結果を生じなかった。青変病は、10週間の暴露期間中、処理または未処理試料において1つも観察されなかった。未処理基準の場合において、このゼロという結果は、また部分的には、活性成分と担体の混合物の吸湿性により引き起こされる試料の過剰水分、試験化合物への青変病菌の感受性、および/または担体の高い移動能力による未処理基準試料への活性成分の移動にも起因し得る。
カビ試験(mildew test)の結果を図4〜6に示す。対応する例を表3に示す。カビ増殖は、試料を以下の活性成分と担体の混合物:安息香酸−MHEA−(例18)、安息香酸−MHEA+PREA(例19)、酸性形態のEDTA−MHEA(例20)、酸性形態のEDTA−MHEA−PREA(例21)、SBB−MHEA(例22)、CEBE2−MHEA(例23)およびBEPRE100−MHEA(例26)、ならびにSBBW30−ホワイトスピリットにより処理した場合、10週間の暴露試験において完全に防止された。未処理対照試料およびホワイトスピリットで処理した試験試料において、カビ発生は、6週間の暴露の後、カビ指数5に達した(試料表面の100%がカビ増殖により覆われた)。中程度のカビ増殖が、ancat担体で処理した2つの試料において観察された。カビ指数は、暴露の際に値2に達した(カビ増殖は未だ見えなかった)。中程度のカビ増殖(カビ指数2)は、CEBE2−MHEA(例23)およびCEOS−MHEA(例24)の活性成分混合物で処理された試験試料においても観察された。
抽出試験の目的は、例えば担体における可溶性糖または構造構成成分の除去が木材のカビ耐性を増加するかを決定することであった。カビ試験の結果は、水抽出(抽出手順1)、MHEA2(抽出手順3)および溶媒抽出(抽出手順4)が、抽出木材材料のカビ耐性を増加しなかったことを示し、カビ指数はこれらの場合において3〜5(可視〜豊富な増殖)と異なっている。対照的に、カビ発生は、抽出手順2および5(MHEAIおよび溶媒−MHEA抽出)で処理した試料では中程度(カビ指数1未満)であった。
4.殺微生物研究の結論
活性成分と担体の混合物を、腐敗とカビ形成の両方に関して特定の予防能力を有するかについて観察した。腐敗試験は、MH/EAおよびMH/EA+PR/EA担体、ならびにこれらと混合した活性成分(安息香酸、酸性形態のEDTA、Tebuconazole、CEBE2、BHTEB、BEPRE、100−MHEA、CEOS)の抗腐敗効果を決定した。腐敗試験は、ホワイトスピリット溶媒に溶解したSBBの効果も決定した。5つの異なる抽出手順で抽出した木材試料も、この腐敗試験に含めた。
活性成分と担体の混合物は、促進腐敗試験においてC.プテアナにより引き起こされた腐敗を効率的に防止した。試験結果は、活性成分と担体の混合物が、すすぎの後でも、処理木材試料において腐朽菌により引き起こされる重量損失を効率的に防止することを示した。最高の抗腐敗能力を有する最も効率的な活性成分混合物は、Granula Oy社により製造された配合物において生じた。
次にカビおよび青変病試験は、MH/EAおよびMH/EA+PR/EA担体、ならびにこれらの担体と混合した活性成分(安息香酸、EDTA、IBPC、SBB、CEBE2、CEOS、BHTEB、酸性形態のBEPRE100−MHEA)およびホワイトスピリット溶媒に溶解したSBBの抗カビ効果および抗青変病効果を決定した。試験結果は、活性成分と担体の混合物が、10週間の暴露試験の間に処理木材試料の表面においてカビ増殖を積極的に防止することを示した。青変病は観察されなかった。この結果は、活性成分と担体の混合物の吸湿性により引き起こされる試料の過剰水分、試験化合物への青変病菌の感受性、および/または担体の高い移動能力による未処理基準試料への活性成分の移動にも起因し得る。
腐敗およびカビ形成に対する木材材料の可溶性および構造構成成分の抽出の効果は、木材材料を5つの異なる抽出手順で処理することによって決定した。水および溶媒抽出は、木材材料の腐敗およびカビ耐性に対して何らの効果もなかった。C.プテアナにより引き起こされる腐敗は、木材試料が抽出の後に担体を含有する場合に抑制された。
以下において、実施例は、本発明の組成物を木材の処理においてどのように使用することができるかおよび木材の処理を木材加工製材所の木材材料加工ラインにどのように組み込むことができるかについての方法を示す。
1)圧力含浸
多量の含浸物質を木材の中に入れる従来の方法、それによって、異なる工程(負圧および過圧、高温)により最も効果的な処理をもたらす。この方法により、組成物の最高の浸透性が得られ、木材を、通常、髄(core)まで含浸することができる。本発明の組成物は、非常に良好な透過性を有し、従来のCCA含浸に使用される負圧/過圧を低減することが可能であり、それによってこの方法の費用有効性を改善することが可能である。また、トウヒなどの木目がより緊密な種類の木材を、本発明の組成物で圧力含浸することができ、このことは従来使用されている物質により可能ではなかった。
2)浸漬含浸
本発明の組成物の浸透性は良好であり、幾つかの場合において、単なる浸漬含浸も可能である。この方法は、簡単であるが、別個の浸漬容器が必要であり、圧力含浸と同様にバッチ方法で実施される。
3)噴霧
本発明の組成物を、例えば用材(sawn timber)が計画されている場合は、木材の表面に噴霧することができる。この方法では、微生物に対する防腐は、後で表面処理(塗布など)する前に、保存および配送の際に達成することができる。
4)塗布または他の表面処理ライン
本発明の組成物を、塗布または他の表面処理ラインに関連して木材に加えることもできる。塗料投与タンクから、木板を、過圧または負圧下で溶液により別々の塗布ユニットを介して含浸することができる。ラインの圧力および速度に応じて、比較的良好な浸透性、したがって、妥当な耐候性および耐火性をこの方法により達成することができる。
5)木材の乾燥および最終含水量の防除
製材所の材木の加工では、木材の最終含水量が、割れおよび形状変化を防止するため、ならびに基質が生物体の生成に良好になりすぎることを予防するために適していることが、ますます重要になっている。乾燥に関しては、木材は、多くの場合に、望まれるよりも低い含水量に乾燥される。最終的に、含水量は、例えば水の噴霧に基づいた技術によって調整することができる。この工程において、本発明の組成物を木材に加えることが非常に容易であり、木材の乾燥に起因する割れおよび形状変化を排除することが可能である。さらに、この方法を使用して、耐火性を改善することおよび微生物に対して少なくとも短期間の防腐を提供することができる。
しかし、1から4までの処理方法に関して、木材を十分に乾燥すること(例えば、40から80℃までの温度で)が重要であり、方法の間に木材に吸収された余分な水分を除去することができ、含水量を望ましい最終レベルに安定させることができる。
凍結木材の加工(例えば、溶融、含浸、設計、塗布など)は問題があり、追加の費用を構成するので、本発明の溶液によって、冬季気象条件下での木材の処理を促進することが可能である。
通常、上記式(1)のカルボン酸アンモニウムは、真空下でこの作用物質またはその水溶液を木材に含浸することにより木材に吸収される。典型的な含浸時間は1〜120分であり、典型的な処理温度は80〜160℃である。含浸した後、木材は、通常すすがれる。

Claims (57)

  1. 液体または水溶性有機カルボン酸アンモニウムと、無脊椎動物を忌避せしめる活性成分との混合物と木材を接触させる、木材を処理する方法であって、該有機カルボン酸アンモニウムが、下記式(1)を有し、木材防腐活性成分が、無脊椎動物を忌避せしめるキレート剤を含有し、キレート剤が、アミノポリカルボン酸若しくはその塩、ヒドロキシ酸若しくはその塩、ホスホネート若しくはその塩またはこの基の2つ以上に属するキレート剤の混合物を含む群から選択されることを特徴とする上記方法:
    [NR [R(COO)−n (1)
    式中、R、RおよびRは、水素、1〜6個の炭素原子を含有する置換アルキルおよび無置換アルキルを含む群から選択され、Rは、1〜6個の炭素原子を含有する置換アルキルまたは無置換アルキルであり、Rは、水素、1〜6個の炭素原子を含有する置換または非置換炭化水素であり、nは、1〜6の整数である。
  2. キレート剤を含有する活性成分が、有機活性成分塩と有機活性成分酸の混合物または反応生成物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトロロ三酢酸(NTA)、n−ヒドロキシエチル−エチレンジアイニン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン−ジ−o−ヒドロキシフェニル酢酸(EDDHDA)、ジエタノールグリシン(DEG)、エタノールジグリシン(EDG)若しくはその塩、1−ヒドロキシエチリデン,1,1−ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、ジエチレントリアイミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)若しくはその塩またはこれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. キレート剤が、1−ヒドロキシエチリデン,1,1−ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、ジエチレントリアイミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)若しくはその塩またはこれらの混合物などのリン含有キレート剤であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. が、水素、1〜6個の炭素原子を含有する置換アルキルまたは無置換アルキルであり、nが1または2であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  6. が、1〜4個の炭素原子を含有する置換アルキルまたは無置換アルキルであり、nが1であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. が、水素、メチルまたはエチルであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  8. が水素であり、RおよびRが、水素およびヒドロキシル基で置換されているC〜Cアルキルを含む群から選択され、Rが、ヒドロキシル基で置換されているC〜Cアルキルであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  9. が水素であり、RおよびRが、水素およびヒドロキシル基で置換されているエチルを含む群から、好ましくは水素および2−ヒドロキシエチルを含む群から選択され、Rが、ヒドロキシル基で置換されているエチル、好ましくは2−ヒドロキシエチルであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. 式(1)の有機カルボン酸アンモニウムが、ギ酸とモノエタノールアミンの塩またはプロピオン酸とモノエタノールアミンの塩であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  11. 式(1)の有機カルボン酸アンモニウムが、ギ酸とモノエタノールアミンの塩と、プロピオン酸とモノエタノールアミンの塩との混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  12. 式(1)の有機カルボン酸アンモニウムが、微生物から木材を保護するような質および量で選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  13. 式(1)の有機カルボン酸アンモニウムが、木材の中に殺微生物活性成分を移動するような質および量で選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  14. 木材が、液体または水溶性有機カルボン酸アンモニウムおよび任意の活性成分で含浸、噴霧または塗布することにより処理されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  15. 木材が、請求項14に記載の方法で処理される前に乾燥されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
  16. 有機カルボン酸アンモニウムと、無脊椎動物を忌避せしめる有機活性成分とを含有する木材防腐組成物であって、前記有機カルボン酸アンモニウムが、下記式(1)を有し、組成物が、無脊椎動物を忌避せしめるキレート剤を含有する活性成分を追加的に含有し、活性成分が、アミノポリカルボン酸若しくはその塩、ヒドロキシ酸若しくはその塩、ホスホネート若しくはその塩またはこの基の2つ以上に属するキレート剤の混合物を含む群から選択されることを特徴とする上記木材防腐組成物:
    [NR [R(COO)−n (1)
    式中、R、RおよびRは、水素、1〜6個の炭素原子を含有する置換アルキルおよび無置換アルキルを含む群から選択され、Rは、1〜6個の炭素原子を含有する置換アルキルまたは無置換アルキルであり、Rは、水素、1〜6個の炭素原子を含有する置換または非置換炭化水素であり、nは、1〜6の整数である。
  17. キレート剤を含有する活性成分が、有機活性成分塩と有機活性成分酸の混合物または反応生成物であることを特徴とする、請求項16に記載の組成物。
  18. キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトロロ三酢酸(NTA)、n−ヒドロキシエチル−エチレンジアイニン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン−ジ−o−ヒドロキシフェニル酢酸(EDDHDA)、ジエタノールグリシン(DEG)、エタノールジグリシン(EDG)若しくはその塩、1−ヒドロキシエチリデン,1,1−ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、ジエチレントリアイミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)若しくはその塩またはこれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項17に記載の組成物。
  19. キレート剤が、1−ヒドロキシエチリデン,1,1−ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、ジエチレントリアイミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)若しくはその塩またはこれらの混合物などのリン含有キレート剤であることを特徴とする、請求項16に記載の組成物。
  20. キレート剤が、シロアリまたはアリなどの昆虫を忌避せしめることを特徴とする、請求項16に記載の組成物。
  21. が、水素、1〜6個の炭素原子を含有する置換アルキルまたは無置換アルキルであり、好ましくはRが、水素、1〜4個の炭素原子を含有する置換アルキルまたは無置換アルキルであり、nが、1または2、好ましくは1であることを特徴とする、請求項16に記載の組成物。
  22. が、水素、メチルまたはエチルであることを特徴とする、請求項21に記載の組成物。
  23. が水素であり、RおよびRが、水素およびヒドロキシル基で置換されているC〜Cアルキルを含む群から、好ましくは、水素およびヒドロキシル基で置換されているC〜Cアルキルを含む群から選択され、Rが、ヒドロキシル基で置換されているC〜Cアルキル、好ましくは、ヒドロキシル基で置換されているC〜Cアルキルであることを特徴とする、請求項16に記載の組成物。
  24. が水素であり、RおよびRが、水素およびヒドロキシル基で置換されているエチルを含む群から、好ましくは水素および2−ヒドロキシエチルを含む群から選択され、Rが、ヒドロキシル基で置換されているエチル、好ましくは2−ヒドロキシエチルであることを特徴とする、請求項23に記載の組成物。
  25. 式(1)の有機カルボン酸アンモニウムが、ギ酸とモノエタノールアミンの塩若しくはプロピオン酸とモノエタノールアミンの塩またはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項16に記載の組成物。
  26. シロアリに対することが意図されるキレート剤が、0.01〜95重量%、より有利には0.01〜45重量%の活性成分濃度および1〜50重量%のカルボン酸アンモニウム濃度を有する水溶液またはディスパージョンの形態であることを特徴とする、請求項16に記載の組成物。
  27. リンに基づいたキレート剤を0.01〜10重量%、式(1)のカルボン酸アンモニウムを1〜45重量%含有し、残部が実質的に水、添加剤および界面活性剤であることを特徴とする、シロアリから木材を保護するための請求項26に記載の水溶液。
  28. リンに基づいたキレート剤を5〜35重量%、式(1)のカルボン酸アンモニウムを1〜30重量%含有し、残部が実質的に水、添加剤および界面活性剤であることを特徴とする、火から木材を保護するための請求項27に記載の水溶液。
  29. 式(1)の有機カルボン酸アンモニウムが、それ自体、微生物から木材を保護するような質および量で選択されることを特徴とする、請求項26に記載の組成物。
  30. 木材防腐溶液が、界面活性剤および/または無脊椎動物忌避活性成分以外の他の種類の活性成分を含む添加剤も含有することを特徴とする、請求項26に記載の組成物。
  31. 木材防腐溶液が添加剤として殺微生物活性成分を含有することを特徴とする、請求項30に記載の組成物。
  32. 殺微生物活性成分が、有機活性成分塩と有機活性成分酸の混合物または反応生成物であることを特徴とする、請求項31に記載の組成物。
  33. 有機活性成分塩が、芳香族酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウム塩、脂肪族および芳香族スルホン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウム塩、ならびにアミンの酸塩を含む群から選択されることを特徴とする、請求項32に記載の組成物。
  34. 有機活性成分塩が、安息香酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、塩化セチルピリジニウムおよびギ酸とエタノールアミンの塩を含む群から選択されることを特徴とする、請求項33に記載の組成物。
  35. 殺微生物活性成分が、酸性クロム酸銅、アンモニア性ヒ酸銅亜鉛、クロム含有ヒ酸銅、アンモニア性銅第四級塩、銅ビス(ジメチルジチオカルバメート)、アンモニア性クエン酸銅、銅アゾールAまたはホウ酸塩化合物であることを特徴とする、請求項31に記載の組成物。
  36. 約0.01〜1.5重量%の殺微生物剤を含有することを特徴とする、請求項35に記載の組成物。
  37. 殺微生物活性成分が、ボツリン、塩化ベンザルコニウム(多様なアルキル鎖長のアルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド)またはポリヘキサメチレングアニジン(PHMG)であることを特徴とする、請求項31に記載の組成物。
  38. アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウムなどの硫酸塩、スルホン酸塩またはカルボン酸塩含有界面活性剤、ラウレス硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸塩または脂肪酸塩などのアルキル硫酸塩などのアニオン性界面活性剤;塩化セチルピリジニウムなどの第四級アンモニウムカチオンに基づいたカチオン性界面活性剤;アルキルポリグルコシド、セチルアルコールおよびオレイルアルコールを含む脂肪アルコールなどの非イオン性界面活性剤からなる群から選択される界面活性剤も含有することを特徴とする、請求項37に記載の組成物。
  39. WO2009/101261またはWO2009/101262に記載されている、粘度改質剤、酸化防止剤、フリーラジカル捕捉剤、UV保護剤または木材抽出物を含む群から選択される他の添加剤も含有することを特徴とする、請求項37に記載の組成物。
  40. 有機カルボン酸アンモニウムと、無脊椎動物忌避有機活性成分とを含有する無脊椎動物に対する組成物であって、前記有機カルボン酸アンモニウムが、下記式(1)を有し、組成物が、無脊椎動物を忌避せしめるキレート剤を含有する活性成分を追加的に含有し、活性成分が、アミノポリカルボン酸若しくはその塩、ヒドロキシ酸若しくはその塩、ホスホネート若しくはその塩またはこの基の2つ以上に属するキレート剤の混合物を含む群から選択されることを特徴とする上記組成物:
    [NR [R(COO)−n (1)
    式中、R、RおよびRは、水素、1〜6個の炭素原子を含有する置換アルキルおよび無置換アルキルを含む群から選択され、Rは、1〜6個の炭素原子を含有する置換アルキルまたは無置換アルキルであり、Rは、水素、1〜6個の炭素原子を含有する置換または非置換炭化水素であり、nは、1〜6の整数である。
  41. キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトロロ三酢酸(NTA)、n−ヒドロキシエチル−エチレンジアイニン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン−ジ−o−ヒドロキシフェニル酢酸(EDDHDA)、ジエタノールグリシン(DEG)、エタノールジグリシン(EDG)若しくはその塩、1−ヒドロキシエチリデン,1,1−ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、ジエチレントリアイミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)若しくはその塩またはこれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項40に記載の組成物。
  42. キレート剤が、1−ヒドロキシエチリデン,1,1−ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、ジエチレントリアイミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)若しくはその塩またはこれらの混合物などのリン含有キレート剤であることを特徴とする、請求項41に記載の組成物。
  43. が、水素、1〜6個の炭素原子を含有する置換アルキルまたは無置換アルキルであり、好ましくはRが、水素、1〜4個の炭素原子を含有する置換アルキルまたは無置換アルキルであり、nが、1または2、好ましくは1であることを特徴とする、請求項40に記載の組成物。
  44. が、水素、メチルまたはエチルであることを特徴とする、請求項43に記載の組成物。
  45. が水素であり、RおよびRが、水素およびヒドロキシル基で置換されているC〜Cアルキルを含む群から、好ましくは、水素およびヒドロキシル基で置換されているC〜Cアルキルを含む群から選択され、Rが、ヒドロキシル基で置換されているC〜Cアルキル、好ましくは、ヒドロキシル基で置換されているC〜Cアルキルであることを特徴とする、請求項44に記載の組成物。
  46. が水素であり、RおよびRが、水素およびヒドロキシル基で置換されているエチルを含む群から、好ましくは水素および2−ヒドロキシエチルを含む群から選択され、Rが、ヒドロキシル基で置換されているエチル、好ましくは2−ヒドロキシエチルであることを特徴とする、請求項45に記載の組成物。
  47. WO2009/101261またはWO2009/101262に記載されている、界面活性剤、ならびに殺微生物剤、酸化防止剤、フリーラジカル捕捉剤、UV保護剤または木材抽出物を含む群から選択される添加剤も含有することを特徴とする、請求項40に記載の組成物。
  48. 無脊椎動物を、下記式(1)の有機カルボン酸アンモニウムに付すことによる、無脊椎動物を忌避せしめる方法:
    [NR [R(COO)−n (1)
    式中、R、RおよびRは、水素、1〜6個の炭素原子を含有する置換アルキルおよび無置換アルキルを含む群から選択され、Rは、1〜6個の炭素原子を含有する置換アルキルまたは無置換アルキルであり、Rは、水素、1〜6個の炭素原子を含有する置換または非置換炭化水素であり、nは、1〜6の整数である。
  49. が、水素、1〜6個の炭素原子を含有する置換アルキルまたは無置換アルキルであり、nが1または2であることを特徴とする、請求項48に記載の方法。
  50. が、1〜4個の炭素原子を含有する置換アルキルまたは無置換アルキルであり、nが1であることを特徴とする、請求項49に記載の方法。
  51. が、水素、メチルまたはエチルであることを特徴とする、請求項48に記載の方法。
  52. が水素であり、RおよびRが、水素およびヒドロキシル基で置換されているC〜Cアルキルを含む群から選択され、Rが、ヒドロキシル基で置換されているC〜Cアルキルであることを特徴とする、請求項48に記載の方法。
  53. が水素であり、RおよびRが、水素およびヒドロキシル基で置換されているエチルを含む群から、好ましくは水素および2−ヒドロキシエチルを含む群から選択され、Rが、ヒドロキシル基で置換されているエチル、好ましくは2−ヒドロキシエチルであることを特徴とする、請求項52に記載の方法。
  54. 式(1)の有機カルボン酸アンモニウムが、ギ酸とモノエタノールアミンの塩またはプロピオン酸とモノエタノールアミンの塩であることを特徴とする、請求項48に記載の方法。
  55. 式(1)の有機カルボン酸アンモニウムが、ギ酸とモノエタノールアミンの塩と、プロピオン酸とモノエタノールアミンの塩との混合物であることを特徴とする、請求項48に記載の方法。
  56. 昆虫が、木材を式(1)の液体または水溶性有機カルボン酸アンモニウムの混合物と接触させることにより木材に含浸される式(1)の有機カルボン酸アンモニウムに付されることを特徴とする、請求項48に記載の方法。
  57. 無脊椎動物がシロアリなどの昆虫であることを特徴とする、請求項56に記載の方法。
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