JP2003160402A - 木材保存薬剤及び木材処理方法 - Google Patents

木材保存薬剤及び木材処理方法

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JP2003160402A JP2001356378A JP2001356378A JP2003160402A JP 2003160402 A JP2003160402 A JP 2003160402A JP 2001356378 A JP2001356378 A JP 2001356378A JP 2001356378 A JP2001356378 A JP 2001356378A JP 2003160402 A JP2003160402 A JP 2003160402A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カラマツ、ベイマツ等の難注入性の木材
に対する注入性、さらには固着性が改善された木材保存
薬剤の提供。 【解決手段】 木材防腐機能及び/または防虫機能を有
する木材保存剤と次式(I): 【化1】 (式中の記号の意味は明細書に記載の通り)で示される
1種または2種以上のアルキレングリコール系第四級ア
ンモニウム化合物を含有する木材保存薬剤。木材保存剤
として、(1)アゾール系抗菌剤、3−フェニルピロール
系抗菌剤及びイソチアゾロン系抗菌剤からなる群より選
択される1種以上の抗菌剤、(2)硼素系化合物、(3)抗生
物性金属イオン(Cu2+、Zn2+等)を放出する金属化
合物、(4)防腐性を有する式(I)以外の第四級アンモ
ニウム化合物が用いられ、所望により木材保存剤成分の
木材への固着性を高めるフェノール系化合物が併用され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防腐及び/または
防虫の目的で使用される木材保存剤の木材への注入性を
改善した木材保存薬剤及び木材処理方法に関する。
【0002】さらに詳しく言えば、木材防腐機能及び/
または防虫機能を有する木材保存剤であるアゾール系抗
菌剤、3−フェニルピロール系抗菌剤、イソチアゾロン
系抗菌剤、硼素系化合物、抗生物性金属イオンを放出す
る金属化合物、及び/またはテトラアルキルアンモニウ
ム等の第四級アンモニウム化合物、さらに所望によりフ
ェノール系化合物を含有する木材注入用の薬剤におい
て、難注入性木材に対する注入性を高める成分として特
定の構造を有するアルキレングリコール系第四級アンモ
ニウム化合物を含有させた木材保存薬剤、及びその薬剤
を用いる木材処理方法に関する。
【0003】
【従来の技術】従来、木材に抗菌性、殺菌性等の防腐性
や、シロアリに対する防蟻性等の防虫性を付与する目的
で、塗布、浸漬、あるいは加圧注入等の方法による木材
の薬剤処理が実施されている。この場合、有効な防腐性
及び/または防虫性を付与するためには、木材表面のみ
ならずその表層、更には内部に、防腐剤及び/または防
虫剤を含有する薬剤が十分に浸透することが求められ
る。例えば、日本農林規格で定められた保存処理製材の
薬剤の浸潤度の適合基準で、性能区分K3は、辺材部分
の浸潤度が80%以上、かつ材面から深さ10mmまで
の心材部分の浸潤度が80%以上とされており、家屋の
主要構造部分にはこのような充分な防腐性と防虫性を有
する木材を使用することが求められている。
【0004】しかしながら、カラマツ、ベイマツ、スプ
ルース、レッドシーダー等の木材、特にそれらの木材の
心材は難注入性の木材として知られており、こうした木
材に十分に薬剤を浸透させることは困難であった。ま
た、一般には易注入性として知られているベイツガにお
いても、ベイツガとして流通している木材のかなりの部
分が実際には難注入性の木材であり、こうした木材に、
十分に薬剤を浸透させることは困難な課題として残され
ていた。従って、こうした難注入性の木材への浸透性の
高い木材保存薬剤の開発が望まれていた。
【0005】従来、第四級アンモニウム化合物系抗菌剤
については、難注入性の木材への薬剤浸透性を高めるた
めにポリアルキレングリコールと併用する方法が知られ
ている。例えば、特公平6-79803号には高級第四級アン
モニウム化合物とポリアルキレングリコールとを含む木
材防腐剤組成物が記載されている。また、特開平11-156
812号には、高級第四級アンモニウム化合物とポリアル
キレングリコールとを含むpH8以下の水性薬液を加圧
含浸させる木材の保存処理方法が記載されている。
【0006】しかしながら、これらの方法では、木材防
腐剤成分が第四級アンモニウム化合物に限定されている
ため、十分な防腐・防虫効果を得ることが難しい。ま
た、上記の従来技術で用いられている第四級アンモニウ
ム化合物は強いカチオン性の化合物であるため木材に対
して強い吸着性を有しており、木材処理を繰り返し行な
うと、処理液中の第四級アンモニウム化合物の濃度が低
下し、注入性改善効果が安定しないという問題がある。
また、より少数の成分で安定した注入性改善効果、防腐
性及び防虫性を実現することが求められていた。
【0007】また、従来、薬剤処理木材での薬剤成分の
固着性を高める目的で、あるいは、処理木材表面の封止
によって防腐性あるいは防虫性を高める目的で、フェノ
ール系化合物が使用されている。しかしながら、こうし
たフェノール系化合物の多くは木材に対する保存薬剤の
注入性を低下させるため、これまでは有効な利用が進め
られておらず、フェノール系化合物を含有する薬剤にお
ける注入性の改善方法が求められていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、難注入性の木材に対し、幅広い範囲の防腐剤あるい
は防虫剤と組み合わせて使用でき、良好な注入性が安定
して維持され、有効な防腐性や防虫性が得られる木材保
存薬剤を提供することにある。本発明の他の課題は、注
入性に対し悪影響を及ぼすため使用が躊躇されているフ
ェノール系化合物の木材への注入性を高めて、保存薬剤
の固着性能を改善する効果のあるフェノール系化合物を
利用可能とした木材保存薬剤を提供することにある。さ
らに、本発明の課題は、種々の薬剤の使用により幅広い
範囲の防腐機能及び/または防虫機能を実現することが
可能であり、さらにフェノール系化合物を有効に利用し
て薬剤の固着性能を改善した木材処理方法を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、カラマ
ツ、ベイマツ等の難注入性の木材での薬剤注入性を改善
するための化合物、更には注入性の改善された薬剤にお
ける有効な防腐成分及び防虫性分に関して鋭意検討を行
なった。その結果、抗菌性が弱いため、従来、木材用の
抗菌剤としては使用されていない、特定の構造を有する
アルキレングリコール系第四級アンモニウム化合物が、
優れた注入性改善効果を有すること、薬剤溶液を繰り返
して使用した場合にも安定した注入性改善効果を有する
こと、有効な防腐成分及び防虫性分を組み合わせること
で優れた木材保存薬剤が得られること、更には、こうし
た薬剤では注入性を低下させるフェノール系化合物が存
在していてもその注入性改善効果が維持されていること
を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】すなわち、本発明は、以下の木材保存薬剤
を提供することを目的とする。 1.木材防腐機能及び/または防虫機能を有する木材保
存剤と次式(I):
【化2】 [式中、R1〜R4は、(1)R1が炭素原子数20以下
の有機置換基を表わし、R2が炭素原子数4以下の有機
置換基、−[CH2CH2O]aHまたは−[CH2CH
(CH3)O]aHを表わし、R3が−[CH2CH2O]b
H、または−[CH 2CH(CH3)O]bHを表わし、
4が−[CH2CH2O]cHまたは−[CH2CH(C
3)O]cHを表わし、aは1〜5の整数、b及びcは
1〜10の整数であるか、(2)R1〜R3がそれらが結
合している窒素原子と共にヘテロ芳香族環を形成し、R
4が−[CH2CH2O]dHまたは−[CH2CH(C
3)O]dHを表わし、dは5〜20の整数であり、X
n-は無機系または有機系の価数nのアニオンであり、n
は1、2または3である。]で示される1種または2種
以上のアルキレングリコール系第四級アンモニウム化合
物を含有することを特徴とする木材保存薬剤。
【0011】2.木材保存剤が、アゾール系抗菌剤、3
−フェニルピロール系抗菌剤及びイソチアゾロン系抗菌
剤からなる群より選択される1種または2種以上の抗菌
剤である前項1に記載の木材保存薬剤。 3.木材保存剤が、硼素系化合物である前項1に記載の
木材保存薬剤。 4.木材保存剤が、抗生物性金属イオンを放出する金属
化合物である前項1に記載の木材保存薬剤。 5.木材保存剤が、前記式(I)以外の構造を有する第
四級アンモニウム化合物である前項1に記載の木材保存
薬剤。
【0012】6.前記式(I)のアルキレングリコール
系第四級アンモニウム化合物が、木材処理時に0.01〜4
0質量%の濃度で含有されるように調整されている前項
1乃至5のいずれかに記載の木材保存薬剤。 7.さらにフェノール系化合物を含有する前項1乃至6
のいずれかに記載の木材保存薬剤。 8.フェノール系化合物が、木材処理時に50質量pp
m〜20,000質量ppmの濃度で含有されるように調整さ
れている前項7に記載の木材保存薬剤。 9.フェノール系化合物が、リグニン、リグニンスルホ
ン酸及びリグニンスルホン酸塩からなる群より選択され
る1種または2種以上の化合物である前項7または8に
記載の木材処理薬剤。 10.前記1乃至9のいずれかに記載の木材保存薬剤を
用いて木材処理を行うことを特徴とする木材処理方法。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の木材保存薬剤に使用され
る特定の構造を有するアルキレングリコール系第四級ア
ンモニウム化合物は、以下の一般式(I)で示される化
合物である。
【化3】 式中、R1〜R4は、(1)R1が炭素原子数20以下の
有機置換基を表わし、R2が炭素原子数4以下の有機置
換基、−[CH2CH2O]aHまたは−[CH2CH(C
3)O]aHを表わし、R3が−[CH2CH2O]bH、
または−[CH 2CH(CH3)O]bHを表わし、R4
−[CH2CH2O]cHまたは−[CH2CH(CH3
O]cHを表わし、aは1〜5の整数、b及びcは1〜
10の整数であるか、(2)R1〜R3がそれらが結合し
ている窒素原子と共にヘテロ芳香族環を形成し、R4
−[CH2CH2O]dHまたは−[CH2CH(CH3
O]dHを表わし、dは5〜20の整数である。また、
n-は無機系または有機系の価数nのアニオンであり、
nは1、2または3である。
【0014】上記式(I)で示される第四級アンモニウ
ム化合物におけるR1の具体例としては、メチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、se
c-ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘ
キシル、イソヘキシル、2−エチルヘキシル、3,5,
5−トリメチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニ
ル、デシル、ウンデシル、ラウリル、ミリスチル、セチ
ル、ステアリル、アラキジル、フェニル、ベンジル、シ
クロヘキシル等の炭素原子数20以下のアルキル基、ア
リール基、アラルキル基、シクロアルキル基等が挙げら
れる。
【0015】また、R2の具体例としては、メチル、エ
チル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、
sec-ブチル、tert−ブチル等の炭素原子数4以下のアル
キル基等が挙げられる。また、R2はエチレンオキシド
またはプロピレンオキシドを繰返単位として含む基でも
よいが、その場合におけるR2中のアルキレンオキシド
単位の繰返数「a」(アルキレンオキシド付加数)は、
平均1〜5の範囲である。
【0016】R3は、エチレンオキシドまたはプロピレ
ンオキシドを繰返単位として含む基であり、R3におけ
る繰返数「b」(アルキレンオキシド付加数)は、平均
1〜10、好ましくは平均1〜6の範囲である。
【0017】また、R1〜R3がこれらの結合している窒
素原子と共に形成するヘテロ芳香環でもよく、その例と
しては、ピリジニウム、ピコリニウム、イソキノリニウ
ム等が挙げられる。R4は、エチレンオキシドまたはプ
ロピレンオキシドを繰返単位として含む基であり、R4
における繰返数(アルキレンオキシド付加数)は、R1
〜R3がアルキルまたはポリアルキレンオキシドの場合
は、平均1〜10、好ましくは平均1〜6であり、R1
〜R3がヘテロ芳香環を構成する場合は、平均5〜2
0、好ましくは平均5〜10の範囲である。
【0018】また、上記式(I)の第四級アンモニウム
化合物におけるXn-の例としては、Cl-、Br-
-、CH3CH2COO-、CH3COO-、CO3 2-、S
4 2-、HSO4 -、PO4 3-、HPO4 2-、H2PO4 -、S
CN-、OH-等が挙げられる。
【0019】式(1)の化合物の好ましい具体例として
は、以下の化合物が挙げられる。
【化4】
【0020】木材保存薬剤の分野では、第四級アンモニ
ウム化合物はその抗菌性が注目されて用いられてきた
が、式(I)で示される非イオン性の親水性構造部分を
多く有する第四級アンモニウム化合物は、抗菌性が弱い
か、あるいは殆ど抗菌性を有さないため、従来、殆ど注
目されていなかった。本発明は、式(I)で示される特
定構造の第四級アンモニウム化合物が、注入性の改善と
いう点で優れた性質を有するという予想外の知見に基づ
くものである。
【0021】本発明において使用される式(I)の第四
級アンモニウム化合物の好適な濃度は、木材処理液(木
材と接触する溶液)中での濃度として0.01〜40質量
%、より好適には0.02〜10質量%である。特に、木材
保存薬剤溶液を繰り返し木材に接触させて使用する場合
に、安定した注入性改善効果を得るためには、0.02質量
%以上の濃度で使用することが望ましい。また、必要に
応じて式(I)の第四級アンモニウム化合物を複数組み
合わせて使用することも可能である。
【0022】本発明で用いる式(I)の第四級アンモニ
ウム化合物は、注入性の改善のために有用な化合物であ
るが、化合物自体としてはその抗菌性が弱いか、あるい
は殆ど抗菌性を有しない。このため、本発明では、式
(I)の第四級アンモニウム化合物と共に木材防腐機能
及び/または防虫機能を有する他の木材保存剤を使用す
る。ここで使用する木材保存剤は、前記の第四級アンモ
ニウム化合物の注入性改善効果に悪影響を与えず、かつ
良好に混和して使用可能な化合物でなければならない。
【0023】このような木材保存剤の例としては、アゾ
ール系抗菌剤、3−フェニルピロール系抗菌剤、イソチ
アゾロン系抗菌剤、硼素系化合物、抗生物性金属イオン
を放出する金属化合物、防腐性を有する式(I)以外の
第四級アンモニウム化合物、フェノール系化合物等が挙
げられる。
【0024】アゾール系抗菌剤は、式(I)の第四級ア
ンモニウム化合物と共に使用する防腐剤として有用な化
合物である。アゾール系抗菌剤は、典型的にはトリアゾ
ール基を含む抗真菌性化合物であり、更に具体的には、
シプロコナゾール、テブコナゾール、プロピコナゾー
ル、アザコナゾール、エポキシコナゾール、ジクロブト
ラゾール、ジニコナゾール、メタコナゾール、エタコナ
ゾール、テトラコナゾール、ヘキサコナゾール、メトコ
ナゾール、イプコナゾール、ジフェノコナゾール、ペン
コナゾール、フェンブコナゾール、イミベンコナゾー
ル、ブロモコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾ
ール、フルコナゾール・シス、フルシラゾール、フルオ
トリマゾール、リバビリン、トリアミホス、イサゾホ
ス、トリアゾホス、イジンホス、トリアジメホン、トリ
アジメノール、ビテルタノール、トリチコナゾール等で
ある。こうしたアゾール系抗菌剤の好適な濃度は、木材
処理液(木材と接触する溶液)中での濃度として1〜1
0,000ppm、より好適には10〜1,000ppmである。
また、必要に応じて複数のアゾール系抗菌剤を組み合わ
せて使用することも可能である。
【0025】3−フェニルピロール系抗菌剤は、式
(I)の第四級アンモニウム化合物と共に使用される防
腐剤として有用な化合物である。このような3−フェニ
ルピロール系抗菌剤は、以下の一般式(式II)で表わす
ことができる。
【化5】 [式中、Yは水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基または
シアノ基を表わし、R5とR6は同時にあるいは他と独立
して水素原子、ハロゲン原子またはニトロ基を表わす
か、R5とR6が一緒になってジハロメチレンジオキシ基
を表わす。]
【0026】このような3−フェニルピロール系抗菌剤
の具体的な例は、4−(2,2−ジフルオロ−1,3−
ベンゾジオキソール−4−イル)ピロール−3−カルボ
ニトリル、4−(2,3−ジクロロフェニル)ピロール
−3−カルボニトリル等である。こうした3−フェニル
ピロール系抗菌剤の好適な濃度は、木材処理液(木材と
接触する溶液)中での濃度として0.1〜5,000ppm、よ
り好適には1〜1,000ppmである。また、必要に応じ
て複数の3−フェニルピロール系抗菌剤を組み合わせて
使用することも可能である。
【0027】イソチアゾロン系抗菌剤は、式(I)の第
四級アンモニウム化合物と共に使用される防腐剤として
有用な化合物である。このようなイソチアゾロン系抗菌
剤の例は、N−メチルイソチアゾリン−3−オン、4,
5−ジクロロ−N−オクチルイソチアゾリン−3−オ
ン、N−オクチルイソチアゾリン−3−オン、5−クロ
ロ−N−メチルイソチアゾリン−3−オン、1,2−ベ
ンゾイソチアゾール−3−オン、4,5−トリメチレン
イソチアゾリノン等である。こうしたイソチアゾロン系
抗菌剤の好適な濃度は、木材処理液(木材と接触する溶
液)中での濃度として5〜50,000ppm、より好適には
30〜10,000ppmである。また、必要に応じて複数の
イソチアゾロン系抗菌剤を組み合わせて使用することも
可能である。
【0028】硼素系化合物は、式(I)の第四級アンモ
ニウム化合物と共に使用される防腐剤及び防虫剤として
有用な化合物である。このような硼素系化合物の例は、
硼酸、メタ硼酸、四硼酸、八硼酸等の硼素含有化合物、
及びこれらのアルカリ金属塩、硼フッ化銅、テトラフル
オロ硼酸銅等である。これらの硼素系化合物の好適な濃
度は、木材処理液(木材と接触する溶液)中での濃度と
して0.05〜20質量%、より好適には0.1〜5質量%で
ある。
【0029】抗生物性金属イオンを放出する金属化合物
は、式(I)の第四級アンモニウム化合物と共に使用さ
れる防腐剤及び防虫剤として有用な化合物である。この
ような抗生物性金属イオンを放出する金属化合物は、銅
イオン、亜鉛イオン、ニッケルイオン、アルミニウムイ
オン、銀イオンを放出する化合物であり、より具体的に
は、これらの金属原子を含む塩、酸化物、水酸化物、錯
体、あるいはこれらの複合物である。このような金属化
合物として、例えば抗生物性金属イオンが銅イオンの場
合は、硫酸銅、塩化銅、リン酸銅、水酸化銅、炭酸銅、
塩基性塩化銅、塩基性酢酸銅、塩基性リン酸銅、塩基性
炭酸銅、酸化銅、亜酸化銅、酢酸銅、ナフテン酸銅、オ
レイン酸銅、ステアリン酸銅、オクタン酸銅、安息香酸
銅、クエン酸銅、乳酸銅、酒石酸銅、2−エチルヘキサ
ン酸銅、更には、これらの銅化合物を水溶性の状態に安
定化した錯体等、及びこれらの化合物の水和物が挙げら
れる。
【0030】なお、このような錯体を得るために使用さ
れる化合物として、従来より知られている多くの化合物
が使用可能であり、具体的には、アンモニア、炭酸アン
モニウム、重炭酸アンモニウム、エタノールアミン、ジ
エタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノー
ルアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルエ
タノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,
N−ジメチルエタノールアミン、N−エチルエタノール
アミン、N−エチルジエタノールアミン、イソプロパノ
ールアミン、アミノエチルエタノールアミン、エチレン
ジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラ
ミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキ
サミン、ポリエチレンイミン、N,N−ジメチルエチレ
ンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロ
パンジアミン、ポリアリルアミン等が挙げられる。これ
らの錯体化のために使用される化合物は、必要に応じて
複数の化合物を組み合わせて使用することも可能であ
る。
【0031】また、これらの錯体化のために使用される
化合物の多くは、木材保存薬剤溶液のpHをアルカリ性
に変えるため、pH調整のための化合物を適宜使用する
ことが望ましい。このようなpH調整のための化合物の
例は、硼酸、ナフテン酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、
ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ステアリン酸、
パルミチン酸、オレイン酸、安息香酸、クエン酸、乳
酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、アジピン酸、フマル
酸、マロン酸、グルコン酸、セバシン酸、シクロヘキサ
ン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、重炭酸
ナトリウム、重炭酸アンモニウム、リン酸、リン酸二水
素ナトリウム、リン酸二水素カリウム等及びこれらの水
和物である。
【0032】本発明の木材保存薬剤において使用される
抗生物性金属イオンを放出する金属化合物の濃度は、抗
生物性金属イオンの殺生物活性の強度と保存処理された
木材の使用目的に応じて様々に変更可能であるが、例え
ば、銅イオンを放出する金属化合物の場合は、木材処理
液(木材と接触する溶液)での銅イオン濃度として40
0〜40,000ppm、より好適には800〜10,000pp
m、亜鉛イオンを放出する金属化合物の場合は、木材と
接触する溶液での亜鉛イオン濃度として、銅イオンの場
合の1〜5倍濃度に調製することが望ましい。
【0033】また、防腐性を有する他の第四級アンモニ
ウム化合物は、式(I)の第四級アンモニウム化合物と
共に使用可能な防腐剤として有用である。このような第
四級アンモニウム化合物の具体例としては、塩化ジデシ
ルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化
ジオクチルジメチルアンモニウム、塩化ジラウリルジメ
チルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウ
ム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化オクタデ
シルピコリニウム、塩化オクチルジデシルピリジニウム
アンモニウム、臭化ラウリルイソキノリニウム等が挙げ
られる。このような第四級アンモニウム化合物の好適な
濃度は、木材処理液(木材と接触する溶液)中での濃度
として0.05〜20質量%、より好適には0.1〜10質量
%である。また、必要に応じて複数の第四級アンモニウ
ム化合物を組み合わせて使用することも可能である。
【0034】また、本発明においては、薬剤処理木材で
の薬剤成分の固着性を高める目的で、あるいは、処理木
材表面の封止によって防腐性あるいは防虫性を高める目
的で、フェノール系化合物を木材保存薬剤の成分として
使用可能である。このようなフェノール系化合物の例
は、タンニン、タンニン酸、カテキン、没食子酸、ウル
シオール、ヒノキチオール、ケルセチン、ヘスペリジ
ン、4−ヒドロキシシンナミルアルコール、o−クマリ
ン酸、p−クマリン酸、コニフェリルアルコール、コニ
フェリルアルデヒド、フェルラ酸、エチル−3,4−ジ
ヒドロキシケイ皮酸、3−ヒドロキシ−4−メトキシケ
イ皮酸、3,4−ジヒドロキシケイ皮酸、3−ヒドロキ
シ−4−メトキシシンナムアルデヒド、バニリン、o−
バニリン、バニラ酸、バニリルアルコール、o−バニリ
ルアルコール、イソバニリルアルコール、バニリルアミ
ン、バニリンアジン、4−ヒドロキシ−3−メトキシベ
ンゾニトリル、シリンギン酸、シナピルアルコール、シ
ナピン酸、シナピンアルデヒド、ホモバニラ酸、ホモバ
ニリルアルコール、ホモバニロニトリル、ヘスペリジ
ン、クロロゲン酸、ピロカテコール、ハイドロキノン、
tert−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノ
ン、トリメチルハイドロキノン、ピロガロール、ラウリ
ルガレート、オクチルガレート、3,4−ジヒドロキシ
安息香酸、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−
ジヒドロキシナフタレン、6,7−ジヒドロキシ−2−
ナフタレンスルホン酸、アルカリ蒸解パルプ工業にて得
られるアルカリリグニン、亜硫酸蒸解パルプ工業にて得
られるリグニンスルホン酸またはリグニンスルホン酸塩
等の化合物と、これらを誘導体化した化合物である。こ
れらの化合物の内、好適にはタンニン、タンニン酸、カ
テキン、没食子酸、ウルシオール、ヒノキチオール、ケ
ルセチン、アルカリリグニン、リグニンスルホン酸、リ
グニンスルホン酸塩が使用可能であり、特に好適にはア
ルカリリグニン、リグニンスルホン酸、リグニンスルホ
ン酸塩が使用可能である。このようなフェノール系化合
物の好適な濃度は、木材処理液(木材と接触する溶液)
中での濃度として50〜20,000ppm、より好適には1
00〜2,000ppmである。
【0035】上記のフェノール系化合物の内、特にアル
カリリグニン、リグニンスルホン酸、及びリグニンスル
ホン酸塩は、パルプ工場において大量に副生されてい
る。しかしながら、商業的には、一部のリグニンスルホ
ン酸塩がコンクリート混和剤、農薬製剤成分、または土
壌改良剤として利用されているのみで、これらの大部分
は焼却されており、近年の環境問題への意識の高まりか
らも、こうしたバイオマス系の化合物の有効な利用が望
まれている。本発明によれば、これらの木材由来の天然
系物質による木材注入性への悪影響を回避し、こうした
天然系物質を木材に注入して有効に利用できる。フェノ
ール系化合物は、上述した木材保存剤成分とともに木材
保存薬剤の構成成分としてもよいが、木材保存薬剤を希
釈して木材処理液とする際に添加してもよい。
【0036】本発明においては、木材防腐機能及び/ま
たは防虫機能を有する木材保存剤(防腐剤及び/または
防虫剤)は、それぞれ単独で用いてもよいし、また組み
合わせて使用することもできる。このような組み合わせ
の具体例としては、アゾール系抗菌剤、3−フェニルピ
ロール系抗菌剤、及び銅イオンを放出する銅系化合物の
組み合わせが挙げられる。これらの薬剤の組み合わせに
より、防虫効果に加えて相乗的な防腐効果が得られ、し
かも、注入性が改善されて木材内部まで薬剤が浸透する
結果、良好な防腐性と防虫性を有する保存処理木材が製
造可能である。なお、防腐性、防虫性等の生物活性を有
し、本発明の木材保存薬剤に添加して使用可能な化合物
の範囲は、式(I)の第四級アンモニウム化合物に混和
して使用可能であればよく、上記の例に限定されるもの
ではない。
【0037】また、従来、難注入性木材への注入改善効
果を有することが知られているポリアルキレングリコー
ル系化合物を、必要に応じて、本発明の木材保存薬剤に
添加して使用することも可能である。このようなポリア
ルキレングリコール系化合物の例としては、ポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレ
ングリコールが挙げられる。また、炭素原子数18以下
の炭化水素系化合物がエトキシル化及び/またはプロポ
キシル化された構造を有する化合物もポリアルキレング
リコール系化合物の例として挙げることができる。この
ようなポリアルキレングリコール系化合物を木材保存薬
剤に添加して使用する場合、複数の種類の化合物、ある
いは様々な分子量の化合物を組み合わせて使用すること
も可能である。このような化合物の内、特に、分子量1
50〜8,000のものが好適に使用可能である。
【0038】木材保存薬剤を木材処理に用いる際には、
木材保存薬剤を水等の溶媒を用いて希釈する。上述の通
り、式(I)の第四級アンモニウム化合物の木材処理液
(木材と接触する溶液)中での濃度が0.01〜40質量
%、より好適には0.02〜10質量%の範囲となるように
希釈することが好ましく、従って、通常、1〜100倍
未満程度の範囲で希釈して使用すればよい。
【0039】木材保存薬剤溶液を木材内部に充分に浸透
させるためには、通常実施されている、減圧操作及び/
または加圧操作による注入処理が極めて有効である。こ
のような減圧と加圧を用いる注入処理の代表的な方法
は、前排気工程として注入容器内の空気を排気して、8
0〜95kPaの減圧度を30分間〜3時間保持し、続
いて、木材保存薬剤溶液を注入容器に導入後、容器内の
圧力を0.5〜2MPaに加圧して30分間〜数時間その
圧力を保持するものである。充分量の薬剤溶液を難注入
性の木材に対して注入するために必要となる減圧及び加
圧の程度は、注入される木材の長さと断面(木口面)の
大きさに応じて調整する必要があるが、例えば、2m以
上の長さの木材を扱う場合は、加圧の段階で1.0MPa
以上の圧力で、少なくとも2時間の加圧を行うことが望
ましい。また、木材表層に深さ10mm程度の傷を多数
入れるインサイジング処理は、木材保存薬剤溶液を木材
内部に充分に浸透させるための有用な木材前処理方法で
ある。
【0040】
【実施例】以下に本発明について代表的な例を示し、さ
らに具体的に説明する。ただし、これらは単なる例示で
あり、本発明はこれらのみに限られるものではない。ま
た、以下の実施例において%とは特に記載しない限り質
量%を表わす。また、本発明のアルキレングリコール系
第四級アンモニウム化合物のことを「PG−AC」と略
記する。
【0041】実施例:1 カラマツ心材またはベイマツ心材の乾燥角材(2cm×
1cm×180cm、木口面が2cm×1cm)を各材
種10本ずつ用意し、これらを長さ2cmに切断し、両
木口面に透明タイプ(淡黄色)の2液硬化型エポキシ樹
脂を塗布して、木口面からの溶液の浸透が生じないよう
に封止したものを作成し、注入試験用の試験体とした。
【0042】次に、表1に示したAからYの木材保存薬
剤を調製した。表中の符号の意味及び保存薬剤の成分と
して用いた化合物の詳細は以下の通りである。 (a)式(I)の第四級アンモニウム化合物 (a-1)PG−AC1 式(I)の第四級アンモニウム化合物において、 R1:−(CH2)11CH32:−CH33:−(CH2CH2O)bH R4:−(CH2CH2O)cH であり、b及びcの値(エチレンオキシドの付加モル
数)が各々平均で5であり、nの値は1であり、XはC
lである化合物。
【0043】(a-2)PG−AC2 式(I)の第四級アンモニウム化合物において、 R1:−(CH2)11CH32:−CH33:−(CH2CH2O)bH R4:−(CH2CH2O)cH であり、b及びcの値(エチレンオキシドの付加モル
数)が各々平均で3であり、nの値は1であり、XはC
lである化合物。
【0044】(a-3)PG−AC3 式(I)の第四級アンモニウム化合物において、 R1:−(CH2)11CH32:−CH33:−(CH2CH2O)bH R4:−(CH2CH2O)cH であり、b及びcの値(エチレンオキシドの付加モル
数)が各々平均で2であり、nの値は1であり、XはC
lである化合物。
【0045】(a-4)PG−AC4 式(I)の第四級アンモニウム化合物において、 R1:−(CH2)11CH32:−CH33:−CH2CH2OH R4:−CH2CH2OH であり、nの値は1であり、XはClである化合物。
【0046】(a-5)PG−AC5 式(I)の第四級アンモニウム化合物において、 R1:−(CH2)11CH32:−CH2CH2OH R3:−(CH2CH2O)bH R4:−(CH2CH2O)cH であり、b及びcの値(エチレンオキシドの付加モル
数)が各々平均で3であり、nの値は1であり、XはC
lである化合物。
【0047】(a-6)PG−AC6 式(I)の第四級アンモニウム化合物において、 R1:−(CH2)7CH32:−CH33:−(CH2CH2O)bH R4:−(CH2CH2O)cH であり、b及びcの値(エチレンオキシドの付加モル
数)が各々平均で3であり、nの値は1であり、XはC
lである化合物。
【0048】(b)防腐剤または防虫剤 (b-1)アゾール系抗菌剤 シプロコナゾール (b-2)3−フェニルピロール系抗菌剤 FP1:4−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジ
オキソール−4−イル)ピロール−3−カルボニトリル (b-3)イソチアゾロン系抗菌剤 IT1:4,5−ジクロロ−N−オクチルイソチアゾリ
ン−3−オン IT2:1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン (b-4)防腐性を有する他の第四級アンモニウム化合物 BKC:塩化ベンザルコニウム DDAC:塩化ジデシルジメチルアンモニウム (c)その他 PEG:ポリエチレングリコール(平均分子量1,000)
【0049】
【表1】
【0050】なお、シプロコナゾール、テブコナゾー
ル、プロピコナゾール、FP1、IT1、及びIT2
は、それぞれイソプロパノールを用いて濃度1%の溶液
を前もって調製し、この溶液を用いて木材保存薬剤を調
製した。また、表1中の質量%で示された薬剤組成の残
部には水道水を用いた。
【0051】これらの薬剤を、表1に示した「使用時の
希釈倍率」に従って水道水でさらに希釈した。なお、希
釈倍率1では薬液をそのまま使用した。希釈倍率nは、
薬液をその(n−1)倍量の容積の水道水を加えて希釈
したことを示す。
【0052】得られた木材保存処理用溶液を用いて注入
操作を行なった。更に、比較例(比較例1)として、各
薬剤組成からPG−ACを除いた組成の薬剤も調製し、
対応する実施例薬剤と同じ希釈倍率で(希釈倍率1では
希釈なし)注入操作を行なった。
【0053】注入操作は、減圧工程と加圧工程とを組み
合わせて行なった。はじめに、前記のカラマツ心材、及
びベイマツ心材の試験体を各々10個、合計20個の試
験体を注入用の小容器に入れ、前記の木材保存処理用溶
液を小容器に満たし、試験体が液面上に浮き上がらない
ように重りを載せてから、この小容器を鉄製の注入容器
内に設置し、注入容器の蓋を閉め、注入容器の上部から
真空ポンプで内部の空気を排気して90kPaの減圧度
を1時間保持する減圧操作を行なった。次に、注入容器
内に空気を導入して常圧に戻してから注入容器の蓋を開
け、取り出した小容器内の試験体と木材保存処理用溶液
を厚手のポリエチレン袋に素早く移した後、空気を追い
出しながら袋を閉じ、再びこの袋を注入容器内に設置
し、注入容器の蓋を閉め、液送ポンプによって注入容器
内に水を送り込む方法で、1.4MPaの圧力を2時間維
持して加圧操作を行なった。
【0054】操作終了後、試験体を取り出し、直ちに試
験体の木口面を観察し、木材保存処理用溶液が浸潤した
部分の面積が、木口面の全面積に占める割合を計算し、
浸潤度(%)を求めた。浸潤度が80%以上である試験
体を合格として判定を行い、以下の基準に従い、5段階
の評価を行なった。
【0055】合格と判定した試験体の個数が10本中0
本から2本の場合:評価[+] 10本中3本から4本の場合に評価:[++] 10本中5本から6本の場合に評価:[+++] 10本中7本から8本の場合に評価:[++++] 10本中9本から10本の場合に評価:[+++++]
【0056】各木材保存処理用溶液及び各材種において
行なった評価結果を表2に示す。なお、比較例の薬剤名
は、対応する実施例(PG−ACを含む場合の薬剤)の
薬剤名を2文字重ねることで区別した。
【0057】
【表2】
【0058】実施例:2 難注入性のベイツガの乾燥角材(2cm×2cm×18
0cm、木口面が2cm×2cm)を2本用意し、これ
らを実施例1での角材と同様に加工し、木口が封止され
た注入試験用の試験体を作成した。
【0059】次に、表1に示した木材保存薬剤のPG−
ACの替わりに、塩化ジデシルジメチルアンモニウムを
PG−ACと同濃度で含有する薬剤を比較例(比較例
2)として調製した。この比較例の薬剤名は、PG−A
Cを含む場合の薬剤名を3文字重ねることで区別した。
【0060】更に、表1に示した木材保存薬剤のPG−
ACの替わりに、ジデシルメチルポリオキシエチルアン
モニウムプロピオネートをPG−ACと同濃度で含有す
る薬剤を比較例(比較例3)として調製した。この比較
例の薬剤名は、PG−ACを含む場合の薬剤名を4文字
重ねることで区別した。
【0061】これらの薬剤を、表1に示した「使用時の
希釈倍率」に沿って水道水で希釈して得られた木材保存
処理用溶液を用いて、薬剤の注入操作を行なった。注入
操作は、実施例1に記載の装置と方法で、まず、前記の
ベイツガ試験体2個に対して木材保存処理用溶液0.4kg
を接触させて行なった。そして、注入操作後の木材保存
処理用溶液を繰り返し用いて、毎回、新しいベイツガの
試験体2個に対して同様に注入操作を行うことで、薬剤
注入性の変化を調べた。1回目と6回目の注入操作後、
直ちに試験体の木口面を観察し、木材保存処理用溶液が
浸潤した部分の面積が、木口面の全面積に占める割合を
計算し、浸潤度(%)を求めた。浸潤度(%)の結果を
2個の試験体の平均値として表3に示した。
【0062】
【表3】
【0063】なお、木材保存処理用溶液を得るために各
薬剤を水で希釈したところ、フェノール系化合物である
リグニンスルホン酸ナトリウムを含有する比較例薬剤T
TTとTTTTにおいては不溶性の沈降物の生成と注入
性の低下が認められた。
【0064】実施例:3 難注入性のベイツガの乾燥角材(2cm×2cm×18
0cm、木口面が2cm×2cm)を長さ20cmに切
断し、更に、実施例1記載の方法で木口を封止し、劣化
試験用の試験体を作成した。次に、表4に示した薬剤
を、表1に示した「使用時の希釈倍率」に沿って水道水
で希釈し、得られた木材保存処理用溶液を用いて、実施
例1に記載の方法で薬剤の注入操作を行なった。注入後
の試験体は室温で1ケ月の乾燥を行なった。
【0065】次に、イエシロアリの存在が確認された鹿
児島県内の山林土壌に、試験体の長さの半分を地表面下
に垂直に埋め込む方法で、これらの処理試験体を設置し
た。なお設置の際には、処理試験体と同じ大きさで、薬
剤処理を行っていないベイツガの試験体を準備し、各薬
剤処理試験体1本に対して、これと並行に接する形で無
処理の試験体1本を添えて同時に設置した。そして、野
外曝露を1年間行なった後、試験体の腐朽状況とシロア
リによる食害状況を目視により4段階で評価した。結果
を表4に示した。
【0066】
【表4】
【0067】実施例1から3の結果から明らかなとお
り、本発明の木材保存薬剤は難注入性木材での注入性の
改善効果を有している。また、同じ木材保存処理用溶液
を用いて、木材への注入操作を繰り返して実施しても、
良好な注入性が維持されているため、少量の木材保存剤
溶液を用いる小規模の注入設備においても、経済的に、
且つ安定に保存処理木材が製造できる。また、防腐剤、
及び/または防虫剤を含有する木材保存処理用溶液での
良好な注入性は、保存処理木材としての有用な防腐性や
防虫性を与えるものであることが示されている。また、
フェノール系化合物であるリグニンスルホン酸が存在し
ていても凝集、沈降や注入性の低下を招かないため、本
発明の木材保存薬剤が、フェノール系化合物の有効な利
用法を与えるものであることも示されている。
【0068】
【発明の効果】本発明により、難注入性の木材に対する
注入性が改善された木材保存薬剤と、こうした注入性の
改善された木材保存薬剤において使用可能な有効な防腐
剤あるいは防虫剤の組み合わせが得られる。また、本発
明の木材保存薬剤は、フェノール系化合物を含有する組
成でもその注入性を改善する効果が得られるため、注入
性に対する悪影響のため利用が進められていないフェノ
ール系化合物を有効に利用するための木材保存薬剤が得
られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A01N 43/653 A01N 43/653 C G 43/80 102 43/80 102 59/14 59/14 59/16 59/16 Z 59/20 59/20 A Z B27K 3/16 B27K 3/16 3/34 3/34 A (72)発明者 田中 計実 茨城県つくば市緑ヶ原2丁目1番 株式会 社エス・ディー・エスバイオテックつくば 研究所内 Fターム(参考) 2B230 AA01 BA01 CA01 CA14 CB17 CB18 4H011 AA01 AC03 BA06 BB04 BB09 BB10 BB18 BB19 CB15 CD02 DA13 DD05 DH15

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木材防腐機能及び/または防虫機能を有
    する木材保存剤と次式(I): 【化1】 [式中、R1〜R4は、(1)R1が炭素原子数20以下
    の有機置換基を表わし、R2が炭素原子数4以下の有機
    置換基、−[CH2CH2O]aHまたは−[CH2CH
    (CH3)O]aHを表わし、R3が−[CH2CH2O]b
    H、または−[CH 2CH(CH3)O]bHを表わし、
    4が−[CH2CH2O]cHまたは−[CH2CH(C
    3)O]cHを表わし、aは1〜5の整数、b及びcは
    1〜10の整数であるか、(2)R1〜R3がそれらが結
    合している窒素原子と共にヘテロ芳香族環を形成し、R
    4が−[CH2CH2O]dHまたは−[CH2CH(C
    3)O]dHを表わし、dは5〜20の整数であり、X
    n-は無機系または有機系の価数nのアニオンであり、n
    は1、2または3である。]で示される1種または2種
    以上のアルキレングリコール系第四級アンモニウム化合
    物を含有することを特徴とする木材保存薬剤。
  2. 【請求項2】 木材保存剤が、アゾール系抗菌剤、3−
    フェニルピロール系抗菌剤及びイソチアゾロン系抗菌剤
    からなる群より選択される1種または2種以上の抗菌剤
    である請求項1に記載の木材保存薬剤。
  3. 【請求項3】 木材保存剤が、硼素系化合物である請求
    項1に記載の木材保存薬剤。
  4. 【請求項4】 木材保存剤が、抗生物性金属イオンを放
    出する金属化合物である請求項1に記載の木材保存薬
    剤。
  5. 【請求項5】 木材保存剤が、前記式(I)以外の構造
    を有する第四級アンモニウム化合物である請求項1に記
    載の木材保存薬剤。
  6. 【請求項6】 前記式(I)のアルキレングリコール系
    第四級アンモニウム化合物が、木材処理時に0.01〜40
    質量%の濃度で含有されるように調整されている請求項
    1乃至5のいずれかに記載の木材保存薬剤。
  7. 【請求項7】 さらにフェノール系化合物を含有する請
    求項1乃至6のいずれかに記載の木材保存薬剤。
  8. 【請求項8】 フェノール系化合物が、木材処理時に5
    0質量ppm〜20,000質量ppmの濃度で含有されるよ
    うに調整されている請求項7に記載の木材保存薬剤。
  9. 【請求項9】 フェノール系化合物が、リグニン、リグ
    ニンスルホン酸及びリグニンスルホン酸塩からなる群よ
    り選択される1種または2種以上の化合物である請求項
    7または8に記載の木材処理薬剤。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至9のいずれかに記載の木
    材保存薬剤を用いて木材処理を行うことを特徴とする木
    材処理方法。
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