JP2007254210A - 誘電体セラミックスおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃焼合成法により得られ、優れた焼結体特性を有するCaO−SrO−Li2O−Re23−TiO2−ZrO2系の誘電体セラミックスおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】CaO−SrO−Li2O−Re23−TiO2−ZrO2系(Re は希土類元素)の誘電体セラミックスであって、比表面積が 0.01〜2 m2/g であるTi粉末と、酸素供給源であるイオン結合性物質と、CaCO3と、SrCO3と、Li2CO3と、Re23と、ZrO2とを少なくとも含む反応原料においてそれぞれの粉末を所定割合で配合し、断熱火炎温度が 1500℃以上である燃焼合成法により得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸化物系の誘電体セラミックスを製造する燃焼合成方法およびこの方法で製造される誘電体セラミックスに関する。
近年、移動電話や衛星通信等の高周波通信技術の著しい発展に伴い、誘電体共振器、フィルター等の高周波デバイス用の誘電体セラミックスに対する需要はますます増えている。通信信号の周波数および通信機の大きさは、例えば、通信機内部に組み込まれたアンテナ基板の比誘電率が高くなると、より一層の高周波化および小型化が図れる。比誘電率は、誘電体内部の分極の程度を示すパラメータであり、アンテナ材料に用いられる誘電体セラミックスの比誘電率が高いほど、電子部品回路を伝播する信号の波長は短くなり、信号は高周波化する。従って、比誘電率の高い電子部品を使用できれば、高周波化ひいては回路の短縮化および通信機等の小型化が図れる。また、上記のようなデバイスに用いられる誘電体セラミックスに対しては、低い誘電損失および良好な温度安定性も同時に要求される。
上記用途等に使用されるものとして、組成式が、w・Li2O−x・CaO−y・A23 −z・TiO2 ただし、AはSm、Ndのいずれかから選択されるものであり、また、上記各w、x、y、zが、0.0モル%<w≦25.0モル%、0.0モル%≦x≦50.0モル%、0.0モル%<y≦30.0モル%、0.0モル%<z≦80.0モル%の範囲で表せるマイクロ波用誘電体磁器組成物が知られている(特許文献1参照)。この組成物は、w・Li2O−x・CaO−y・A23 −z・TiO2 100 重量部に対して、マンガン酸化物、ビスマス酸化物、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化錫のいずれかから選択される1つを 10 重量部以下含有せしめて得られている。
また、一般式xMO−yLa23−zTiO2(M=Sr、Ca;x:y:z= 1:2:4、2:2:5、1:2:5または1:4:9)の新規なセラミックス誘電体組成物および粉末状のペロブスカイトの製造、該粉末の適当な形状への成形、乾燥、焼成および最終処理からなる製造方法が知られている(特許文献2参照)。
従来の上記のような誘電体セラミックスの合成には、1000℃から 2000℃前後に加熱できる炉を用いて長時間、外部加熱を行なわなくてはならない。このため、セラミックスの合成には、膨大なエネルギーと大型の加熱機構を必要とし、これが製造コストを高くする原因となっている。例えば、CaO−SrO−Li2O−Re23−TiO2系の誘電体セラミックスを製造する場合では、CaCO3と、SrCO3と、Li2Oと、Re23と、TiO2の各粉末をボールミルで湿式混合し、乾燥粉を 1100℃×5 時間の仮焼処理し、粉砕して誘電体セラミックス粉末としている。
一方、外部加熱を行なわない製造方法として、燃焼合成法(自己伝播高温合成( self propagating high temperature synthesis:SHS ))によるセラミックス粉末の合成が提案されている。該方法は、金属間化合物やセラミックスの生成時の発熱を利用するものであり、化合物の構成元素となる粉体をよく混合して圧粉体をつくり、その一部に高熱を与えると着火して、生成熱を発しながら合成反応が進行することで焼結体を得る方法である。
燃焼合成法を利用するものとして、1種類の金属酸化物と2種類の異なる金属元素の計3種類の原料を出発原料とし、金属間化合物あるいは非酸化物セラミックスと酸化物セラミックスの2種類を合成する方法が知られている(特許文献3参照)。例えば、酸化ニッケル粉末とアルミニウム粉末とアルミナ粉末とを混合し成形体とした後、高圧反応容器内に収納し、アルゴン雰囲気下で該成形体の上端面を着火することによりアルミニウム粉末の酸化燃焼反応を誘導し、還元されたニッケルが過剰に添加したアルミニウムと反応してNiAlを合成しながら、燃焼反応が連鎖的に進行する。その結果、外部加熱なしに金属間化合物の1つであるNiTiのインゴットを製造することができる。
しかしながら、上記特許文献3の燃焼合成法では、CaO−SrO−Li2O−Re23−TiO2系の誘電体セラミックスを得ることができない。燃焼合成法において燃焼波を完全に伝播させるためには、各構成元素源となる粉体の配合割合や、発熱源となる金属粉末等の物性(比表面積)等が重要となり、該方法により所望組成のセラミックスを高品位で製造することは容易ではない。また、CaO−SrO−Li2O−Re23−TiO2系の誘電体セラミックスをベースとして、さらに誘電特性が向上された誘電体等の開発も望まれている。
特開平8−109064号公報 特表2005−520773号公報 特開平5−9009号公報
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、燃焼合成法により得られ、優れた誘電特性を有するCaO−SrO−Li2O−Re23−TiO2−ZrO2系の誘電体セラミックスおよびその製造方法の提供を目的とする。
本発明の誘電体セラミックスは、CaO−SrO−Li2O−Re23−TiO2−ZrO2系(Re は希土類元素)の誘電体セラミックスであって、比表面積が 0.01〜2 m2/g であるTi粉末と、酸素供給源となるイオン結合性物質と、CaCO3と、SrCO3と、Li2CO3と、Re23と、ZrO2とを少なくとも含む反応原料においてそれぞれの粉末を所定割合で配合し、断熱火炎温度が 1500℃以上である燃焼合成法により得られることを特徴とする。
なお、各元素記号は、それぞれTi(チタン)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Li(リチウム)、Sm(サマリウム)、Nd(ネオジム)、C(炭素)、O(酸素)、Zr(ジルコニウム)である。
また、上記反応原料であるTi粉末の一部を、TiO2粉末に置き換えて配合することを特徴とする。
上記反応原料は、得られる誘電体セラミックスがモル組成比でCaO:(16−x)、SrO:x、Li2O:9、Re23:12、TiO2:(63−z)、ZrO2:z( 0 <x< 16、0.1 ≦z≦ 10)となる配合割合で、それぞれ配合することを特徴とする。
上記Re23として、Sm23とRe’23(Re’はSm以外の希土類元素)とを配合することを特徴とする。
本発明の誘電体セラミックスの製造方法は、CaO−SrO−Li2O−Re23−TiO2−ZrO2系(Re は希土類元素)の誘電体セラミックスの製造方法であって、反応原料粉末として少なくとも、比表面積が 0.01〜2 m2/g であるTi粉末と、酸素供給源であるイオン結合性物質と、CaCO3と、SrCO3と、Li2CO3と、Re23と、ZrO2とをそれぞれ所定割合で配合する工程と、上記所定割合で配合された配合物を断熱火炎温度が 1500℃以上である燃焼合成法により反応させる工程と、上記燃焼合成反応により得られた反応生成物を粉砕する工程と、上記粉砕された粉末を水で洗浄する工程とを備えることを特徴とする。
本発明の誘電体セラミックス(CaO−SrO−Li2O−Re23−TiO2−ZrO2系(Re は希土類元素))は、比表面積が 0.01〜2 m2/g であるTi粉末と、酸素供給源となるイオン結合性物質と、CaCO3と、SrCO3と、Li2CO3と、Re23と、ZrO2とを少なくとも含む反応原料を用いて、断熱火炎温度が 1500℃以上の燃焼合成により得られ、焼結体特性および誘電特性に優れる。
Ti粉末の一部をTiO2 粉末に置き換えて配合するので、爆発や発火の危険性がない安定な混合原料が得られるとともに、置き換えられたTiO2 粉末が燃焼合成反応において、反応希釈剤として作用するため断熱火炎温度の制御が容易になる。
また、目的物である誘電体セラミックスのモル組成比でCaO:(16−x)、SrO:x、Li2O:9、Re23:12、TiO2:(63−z)、ZrO2:z( 0 <x< 16、 0.1 ≦z≦ 10)となる配合割合で、それぞれの反応原料粉末を配合するので、不純物が少なく結晶構造に優れ、高誘電率かつ低誘電正接であり、誘電特性に優れる。結晶構造において、Ti4+の一部がZr4+で置換され結晶格子が歪むことで、Zrを含まない場合よりも誘電特性が改良される。
本発明の誘電体セラミックスの製造方法は、上記原料を用い、金属粉末の比表面積を所定範囲とすること等により燃焼合成法で、CaO−SrO−Li2O−Re23−TiO2−ZrO2系の誘電体セラミックスを製造することができる。また、合成粉末を微粉化した後、水で洗浄することで十分な副生成物の除去が可能となるので、理論密度に近い焼結体が得られる。
また、燃焼合成法を用いることにより、従来の外部加熱を行なう方法と比較して、低コスト、短時間で誘電体セラミックスを製造することができる。
本発明の誘電体セラミックス(CaO−SrO−Li2O−Re23−TiO2−ZrO2系(Re は希土類元素))は、比表面積が 0.01〜2 m2/g であるTi粉末と、酸素供給源となるイオン結合性物質と、CaCO3と、SrCO3と、Li2CO3と、Re23と、ZrO2とを少なくとも含む反応原料においてそれぞれの粉末を所定割合で配合し、断熱火炎温度が 1500℃以上である燃焼合成法により得られる。
この誘電体セラミックスのモル組成比としては、CaO:(16−x)、SrO:x、Li2O:9、Re23:12、TiO2:(63−z)、ZrO2:z( 0 <x< 16、 0.1 ≦z≦ 10)であることが好ましい。
本発明に用いるTi粉末は、微粉末であることが好ましく、比表面積が 0.01〜2 m2/g である。燃焼波が伝播し、かつ取り扱いやすい好ましい比表面積の範囲は 0.1〜0.6 m2/g である。比表面積が 0.01 m2/g 未満の場合、発熱源となる金属粉未と酸素供給源となる過酸化物との接触面積が少ないため、燃焼波が伝播せず、誘電体セラミックスが合成できない場合がある。また、比表面積が 2 m2/g をこえる金属粉未は極めて活性であり、取り扱いが困難となるため好ましくない。また、Ti粉末に代えて水素化Ti粉末を使用することもできる。
本発明において、金属粉未の比表面積は、BET法により測定された値をいう。
本発明に用いるTi粉末は平均粒子径が同一であっても、比表面積が異なると反応性に差が認められた。すなわち、球状よりも比表面積が大きくなる形状の金属粉末を用いると燃焼合成反応がより速やかに進行した。比表面積が大きくなる形状としては、球状粒子表面に複数の凹凸が形成された粒子、粒子全体としていびつな形状の粒子、またはこれらの組み合わせがある。
本発明に使用できる平均粒子径としては 150μm 以下、好ましくは 0.1〜100μm である。150μm をこえると、他の原材料との混合が十分でなくなり、燃焼波が伝播しない場合が生じる。
表面に凹凸が形成された粒子またはいびつな形状の平均粒子径の測定方法は、画像解析法が好ましい。
また、Ti粉末の一部を置き換えて配合することができるTiO2 粉末は、燃焼合成反応において反応希釈剤として働き、TiO2 粉末の配合量を調整することで断熱火炎温度を制御できる。具体的には、TiO2 の配合割合を上げると、反応の進行速度が低下し、断熱火炎温度が下がる。
また、一般に金属単体とするためには精製が必要であり、例えば、Ti粉末はコストが高いので、該Ti粉末とTiO2 粉末とを併用することにより、コスト削減を図れるという効果も有する。
ただし、該TiO2 粉末を多量に使用すると、反応生成物への不純物の混入のおそれがあり、また、所定量をこえて使用すると燃焼波が伝播しなくなるので、コスト面、反応に必要な断熱火炎温度等を考慮して、併用することが好ましい。
誘電体セラミックスの誘電特性向上のため、反応原料としてZrO2粉末を配合する。ZrO2粉末を配合すると、誘電体セラミックスの結晶構造において、Ti4+の一部が、よりイオン半径の大きいZr4+に置換され、格子間隔が広がって結晶格子が歪むことで、Zrを含まない場合よりも誘電特性が改良される。
イオン結合性物質を除く原料全体 100 モルに対して、ZrO2粉末は、0.1〜10 モル配合することが好ましく、より好ましくは 5 モル配合する。0.1モル未満であると、十分な誘電特性の向上が望めず、10モルをこえるとZrO2が反応希釈剤として強く働き、燃焼波が伝播しなくなるおそれがある。ZrO2はTiO2よりも分解に必要な熱量が大きいため、反応希釈剤の効果が高い。
本発明の誘電体セラミックスでは、4族元素であるTi、Zrについてのモル組成比としてTiO2:(63−z)、ZrO2:z( 0.1 ≦z≦ 10)であることが好ましい。ここで、誘電体セラミックスを構成するTiO2は、反応原料におけるTi粉末およびTiO2粉末に由来するものである。よって、イオン結合性物質を除く原料全体 100 モルに対して、Ti粉末およびTiO2 粉末は、合計で(63−z)モル配合することが好ましい。
同時にTi粉末は、イオン結合性物質を除く原料全体 100 モルに対して、15モル以上、50モル以下の配合割合で配合することが好ましい。15モル 未満であると、発熱源であるTi粉末が不足し、燃焼波が完全には伝播しないこと等により焼結体特性に劣る可能性がある。また、50モルを越えると発熱源量が多く反応の進行が急激になり飛散等の問題が生じる可能性がある。
本発明に用いる酸素供給源となる物質としては、加熱により酸素を発生させるイオン結合性物質が配合される。該イオン結合性物質としては、KClO3、NaClO3、NH4ClO3等の塩素酸塩類、KClO4、NaClO4、NH4ClO4等の過塩素酸塩類、NaClO2などの亜塩素酸塩類、KBrO3などの臭素酸塩類、KNO3、NaNO3、NH4NO3等の硝酸塩類、NaIO3、KIO3等のよう素酸塩類、KMnO4、NaMnO4・3H2Oの過マンガン酸塩類、K2Cr27、(NH42Cr27等の重クロム酸塩類、NaIO4などの過よう素酸塩類、HIO4・2H2Oなどの過よう素酸類、CrO3などのクロム酸類、NaNO2などの亜硝酸塩類、Ca(ClO)2・3H2Oなどの次亜塩素酸カルシウム三水塩類等が挙げられる。
これらの中で過塩素酸塩類、塩素酸塩類、亜塩素酸塩類が好ましく、繰り返し純水で洗浄することで副生成物であるNaCl、KClを除去できるNaClO4、KClO4を用いることがより好ましい。さらにコストの面で有利なNaClO4を用いることが特に好ましい。なお、過塩素酸塩類の場合、生成する炭酸ガスがガス化するため、合成粉末には残存しない。
本発明において配合する上記イオン結合性物質は、分子内部から放出できる酸素原子によりTi金属を酸化してTiO2 にすることができる量を配合する。例えば原料としてTi金属粉末を、イオン結合性物質としてNaClO4粉末を用いる場合には以下に示す反応式(1)にしたがって、Ti金属粉末 2 モルに対して、NaClO4 粉末 1 モルの割合で配合する。

2Ti+NaClO4→2TiO2+NaCl---(1)
本発明の誘電体セラミックスの一部を構成するCaO−SrO−Li2Oにおける各元素供給源としては、CaCO3 粉末、SrCO3粉末、Li2CO3 粉末を用いる。これらの金属炭酸塩を用いることにより取り扱い性に優れる。
これらの原料の配合量は、イオン結合性物質を除く原料全体 100 モルに対してCaCO3 粉末と、SrCO3粉末との合計量が 16 モル、Li2CO3 粉末が 9 モルであることが好ましい。CaCO3 粉末の配合量を(16−x)モル(0<x<16)とすると、各種誘電特性に優れることから xは 0.5〜6 であることが好ましく、最も好ましくはx=1 である。
また、本発明の誘電体セラミックスの一部を構成するCaOにおけるCa供給源として、上記CaCO3 粉末に代えて、さらし粉を用いることができる。さらし粉は、通常のさらし粉(主成分:Ca(ClO)2・CaCl2・2H2O)、および、高度さらし粉(主成分:Ca(ClO)2・3H2O)等があり、いずれも使用することができる。高度さらし粉は、通常のさらし粉に比べて、吸湿性が少なく熱に安定で長期保存に耐える。長期保存性があることから、高度さらし粉が好ましい。さらし粉は、Ca供給源かつ酸素供給源とすることができるので、他の酸素供給源である上記イオン結合性物質の配合量を減らすことができる。
希土類元素Reの供給源としては、希土類元素の酸化物(Re23 )粉末を使用する。Reとしては、Nd(ネオジム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)が挙げられる。これらの中で工業的に特に重要となるのは、La、Pr、Nd、Sm等である。
また、本発明の誘電体セラミックスにおけるReは、上記希土類元素が1種単独であっても、2種以上を混合したものであってもよい。
本発明に用いるRe23 粉末の配合量はイオン結合性物質を除く原料全体 100 モルに対して 12 モルである。Re23 粉末は、Sm23 粉末と、他のRe’23(Re’はSm以外の希土類元素)) 粉末とを併用することが好ましい。
ここで、他のRe23 粉末としては、La23 粉末、Nd23 粉末等があり、誘電特性の改善効果の大きいNd23 粉末を用いることが好ましい。
イオン結合性物質を除く原料全体100モルに対してSm23 粉末、Nd23 粉末の配合量をそれぞれ(12−y)モルおよびyモル(0<y<12)とすると、yは 3〜9 であることが好ましく、最も好ましくはy=6 である。
本発明において最適組成の誘電体セラミックスを得るための燃焼合成反応の一例を下記反応式(2)に示す。
Figure 2007254210
上記反応式に示す配合割合等で各反応原料を配合して燃焼合成することにより、目的のCaO−SrO−Li2O−Sm23−Nd23−TiO2−ZrO2系の誘電体セラミックスを容易に短時間で得ることができる。
副生成物であるイオン結合性塩であるNaClは得られた合成粉末を水で洗浄することで除去できる。また、もう一つの副生成物であるCO2は合成反応工程でガス化して合成粉末中には残らない。
上記反応原料をそれぞれ所定割合で配合する工程において、反応原料の混合は、ボールミル、乳鉢と乳棒等を用いた混合等特に制限されることなく使用できる。特に量産性に優れているボールミルを用いる混合が好ましい。
混合粉末は、るつぼに投入して燃焼合成を行なうが、そのるつぼの材質としては好ましくは非酸化物である炭素(C)、炭化珪素(SiC)、窒化珪素Si34 等が使用できる。これらの中で炭素(C)材が反応容器材料としての熱伝導性と形状加工性とに優れているので好ましい。
混合粉末をるつぼへ投入する方法としては、混合粉末をパウダーベット状に敷き詰めたり、敷き詰めた後圧縮したり、ペレット状に押し固めたものをるつぼへ投入する方法等が使用できる。
上記所定割合で配合された配合物を燃焼合成法により反応させる。燃焼合成法の条件について、反応系の断熱火炎温度は 1500℃以上である。1500℃以上であれば、燃焼波が伝播するからである。
燃焼合成はチャンバー内で行なうが、その雰囲気としては、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)等の希ガス雰囲気が好ましい。なお、反応生成物の誘電特性を劣化させなければ、窒素ガス、炭酸ガス雰囲気等を利用することも可能である。また、酸素分圧を制御可能であれば、酸素ガスを使用することも可能である。
燃焼合成を開始させるための混合粉末への着火方法は、金属粉が着火発熱可能となる方法であれば特に限定されない。カーボンフイルムを着火発熱させて熱源とし、混合粉末に接触させて着火発熱させる方法が取り扱いに優れているので好ましい。燃焼合成反応は、約 1〜60 秒で終了する。
反応生成物は、るつぼ中において塊状である。該反応生成物の粉砕は、平均粒径が 100μm 以下となる粉砕方法であれば特に限定されず、ジェットミル、ボールミル、乳鉢と乳棒等で行なうことができる。平均粒径が 100μm をこえると、後工程の洗浄工程での洗浄が十分でなくなり、副生成物であるイオン結合性塩が残留しやすくなる。
粉砕工程後の微粉末には、副生成物であるイオン結合性塩が含まれる。例えばNaClO4を原料に用いた場合はNaClが、KClO4を原料に用いた場合はKClがそれぞれ生成する。これらの塩は上述のように水で洗浄することで除去できる。
塩類が燃焼合成反応後の合成粉末に存在すると焼結性が阻害される。焼結性を阻害しない程度まで塩類を減らす基準としては、洗浄液の電気伝導率が 150μS/cm 以下である。すなわち洗浄回数、洗浄量の如何にかかわらず、上記合成粉末を水で洗浄したとき洗浄後の洗浄水の電気伝導率が 150μS/cm 以下であればよい。
以上の工程により誘電体セラミックス(合成粉末)が得られる。また、用途に応じて、洗浄乾燥後、該粉末を焼結してもよい。焼結するとき、ポリビニルブチラールなどの成形用粘結剤を配合できる。焼結条件としては、10〜100 MPa の圧力で成形後、大気雰囲気下、1200〜1500℃の温度で焼成する条件が挙げられる。
また、燃焼合成で得られた合成粉末の結晶構造をさらに安定させたり、微量な不純物を除去するため、900〜1100℃で仮焼することも可能である。
得られる誘電体セラミックス(CaO−SrO−Li2O−Re23−TiO2−ZrO2系)は、理論密度に近く緻密化され、優れた誘電特性を有するので、誘電体アンテナ、コンデンサ、誘電体共振器、フィルター、圧力センサ、超音波モータ等に使用できる。
実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例3
以下の方法で誘電体セラミックスを合成した。
各反応原料を表1に示すモル配合比(モル比)でボールミルを用いて 5 時間混合することにより混合粉末を得た。合成装置内のチャンバー内にカーボンるつぼを設置し、混合粉末(100g )をカーボンるつぼ内に敷き詰め、着火用のカーボンフイルムを混合粉の一部と接触させて、チャンバーを閉じた。真空ポンプを用いて、チャンバー内の残留酸素を減少させた後、アルゴン(Ar)ガスを封入し、チャンバーの内圧を 0.1 MPa とした。
なお、表1中において、Ti金属粉末は住友チタニウム社製TSP−350(比表面積 0.03 m2/g )を、CaCO3、TiO2、SrCO3、Li2CO3、NaClO4、ZrO2は和光純薬工業社製各試薬を、Sm23、Nd23は信越化学工業社製品を、それぞれ用いた。
実施例1〜実施例6の組成物について燃焼波が伝播し、燃焼合成法により合成粉末と副生成物(NaCl)が得られた。アルミナ製乳鉢を用いて合成粉末を粉砕し、平均粒子径が 2 μm の未洗浄誘電体セラミックス粉末を得た。
得られた未洗浄誘電体セラミックス粉末を十分水洗し、この粉末に付着したNaClを除去して誘電体セラミックスを得た。
得られた誘電体セラミックス粉末の結晶相の同定をX線回折装置(XRD)を用いて行なった。結果をセラミックス組成として表1に示す。
また、比誘電率および誘電正接を以下の方法で測定した。
得られた誘電体セラミックス粉末に成形用バインダ(ポリビニルブチラール樹脂)を1重量%添加して混合した。次に混合粉末を 10 mm×80 mm の金型に投入し、1.5トン/cm2の圧力を加えてグリーン体(10 mm×90 mm×3 mm )を得た。このグリーン体を600℃で 1 時間保持し、有機分を除去した後、1300℃で 3 時間焼成した。得られた焼結体を70 mm×1.5 mm×1.5 mm の試験片に加工し、空洞共振器法を用いて、1、5 GHz の周波数帯で比誘電率および誘電正接を測定した。ここで、比誘電率および誘電正接は 25℃での値である。
Figure 2007254210
本発明の誘電体セラミックスは、理論密度に近く緻密化され、優れた誘電特性を有するので、誘電体アンテナ、コンデンサ、誘電体共振器、フィルター、圧力センサ、超音波モータ等に使用できる。

Claims (5)

  1. CaO−SrO−Li2O−Re23−TiO2−ZrO2系(Re は希土類元素)の誘電体セラミックスであって、
    比表面積が 0.01〜2 m2/g であるTi粉末と、酸素供給源となるイオン結合性物質と、CaCO3と、SrCO3と、Li2CO3と、Re23と、ZrO2とを少なくとも含む反応原料においてそれぞれの粉末を所定割合で配合し、断熱火炎温度が 1500℃以上である燃焼合成法により得られることを特徴とする誘電体セラミックス。
  2. 前記反応原料であるTi粉末の一部を、TiO2粉末に置き換えて配合することを特徴とする請求項1記載の誘電体セラミックス。
  3. 前記反応原料は、得られる誘電体セラミックスがモル組成比でCaO:(16−x)、SrO:x、Li2O:9、Re23:12、TiO2:(63−z)、ZrO2:z( 0 <x< 16、0.1 ≦z≦ 10)となる配合割合で、それぞれ配合することを特徴とする請求項1または請求項2記載の誘電体セラミックス。
  4. 前記Re23として、Sm23とRe’23(Re’はSm以外の希土類元素)とを配合することを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の誘電体セラミックス。
  5. CaO−SrO−Li2O−Re23−TiO2−ZrO2系(Re は希土類元素)の誘電体セラミックスの製造方法であって、
    反応原料粉末として少なくとも、比表面積が 0.01〜2 m2/g であるTi粉末と、酸素供給源であるイオン結合性物質と、CaCO3と、SrCO3と、Li2CO3と、Re23と、ZrO2とをそれぞれ所定割合で配合する工程と、
    前記所定割合で配合された配合物を断熱火炎温度が 1500℃以上である燃焼合成法により反応させる工程と、
    前記燃焼合成反応により得られた反応生成物を粉砕する工程と、
    前記粉砕された粉末を水で洗浄する工程とを備えることを特徴とする誘電体セラミックスの製造方法。
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