JP4789286B2 - 誘電体セラミックスの製造方法 - Google Patents
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また、一般式xMO−yLa2O3−zTiO2(M=Sr、Ca;x:y:z= 1:2:4、2:2:5、1:2:5または1:4:9)の新規なセラミックス誘電体組成物および粉末状のペロブスカイトの製造、該粉末の適当な形状への成形、乾燥、焼成および最終処理からなる製造方法が知られている(特許文献2参照)。
燃焼合成法を利用するものとして、1種類の金属酸化物と2種類の異なる金属元素の計3種類の原料を出発原料とし、金属間化合物あるいは非酸化物セラミックスと酸化物セラミックスの2種類を合成する方法が知られている(特許文献3参照)。例えば、酸化ニッケル粉末とアルミニウム粉末とアルミナ粉末とを混合し成形体とした後、高圧反応容器内に収納し、アルゴン雰囲気下で該成形体の上端面を着火することによりアルミニウム粉末の酸化燃焼反応を誘導し、還元されたニッケルが過剰に添加したアルミニウムと反応してNiAlを合成しながら、燃焼反応が連鎖的に進行する。その結果、外部加熱なしに金属間化合物の1つであるNiTiのインゴットを製造することができる。
また、上記反応原料であるTi粉末の一部を、TiO2粉末に置き換えて配合することを特徴とする。
また、燃焼合成法を用いることにより、従来の外部加熱を行なう方法と比較して、低コスト、短時間で誘電体セラミックスを製造することができる。
本発明において、金属粉未の比表面積は、BET法により測定された値をいう。
本発明に使用できる平均粒子径としては 150μm 以下、好ましくは 0.1〜100μm である。150μm をこえると、他の原材料との混合が十分でなくなり、燃焼波が伝播しない場合が生じる。
表面に凹凸が形成された粒子またはいびつな形状の平均粒子径の測定方法は、画像解析法が好ましい。
また、一般に金属単体とするためには精製が必要であり、例えば、Ti粉末はコストが高いので、該Ti粉末とTiO2 粉末とを併用することにより、コスト削減を図れるという効果も有する。
ただし、該TiO2 粉末を多量に使用すると、反応生成物への不純物の混入のおそれがあり、また、後述の実施例等に示すように所定量をこえて使用すると燃焼波が伝播しなくなるので、コスト面、反応に必要な断熱火炎温度等を考慮して、併用することが好ましい。
これらの中で過塩素酸塩類、塩素酸塩類、亜塩素酸塩類が好ましく、繰り返し純水で洗浄することで副生成物であるNaCl、KClを除去できるNaClO4、KClO4を用いることがより好ましい。さらにコストの面で有利なNaClO4を用いることが特に好ましい。なお、過塩素酸塩類の場合、生成する炭酸ガスがガス化するため、合成粉末には残存しない。
2Ti+NaClO4→2TiO2+NaCl---(1)
これらの原料の配合量は、上記イオン結合性物質を除く原料全体に対してCaCO3 粉末と、SrCO3粉末との合計量が 16 モル%、Li2CO3 粉末が 9 モル%である。
CaCO3 粉末の配合量を(16−x)モル%(0<x<16)とすると、各種誘電特性に優れることから xは 0.5〜6 であることが好ましく、最も好ましくはx=1 である。
また、本発明の誘電体セラミックスにおけるReは、上記希土類元素が1種単独であっても、2種以上を混合したものであってもよい。
ここで、他のRe2O3 粉末としては、La2O3 粉末、Nd2O3 粉末等があり、誘電特性の改善効果の大きいNd2O3 粉末を用いることが好ましい。
イオン結合性物質を除く原料全体に対してSm2O3 粉末、Nd2O3 粉末の配合量をそれぞれ(12−y)モル%およびyモル%(0<y<12)とすると、yは 3〜9 であることが好ましく、最も好ましくはy=6 である。
副生成物であるイオン結合性塩であるNaClは得られた合成粉末を水で洗浄することで除去できる。また、もう一つの副生成物であるCO2は合成反応工程でガス化して合成粉末中には残らない。
混合粉末は、るつぼに投入して燃焼合成を行なうが、そのるつぼの材質としては好ましくは非酸化物である炭素(C)、炭化珪素(SiC)、窒化珪素Si3N4 等が使用できる。これらの中で炭素(C)材が反応容器材料としての熱伝導性と形状加工性とに優れているので好ましい。
混合粉末をるつぼへ投入する方法としては、混合粉末をパウダーベット状に敷き詰めたり、敷き詰めた後圧縮したり、ペレット状に押し固めたものをるつぼへ投入する方法等が使用できる。
燃焼合成はチャンバー内で行なうが、その雰囲気としては、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)等の希ガス雰囲気が好ましい。なお、反応生成物の誘電特性を劣化させなければ、窒素ガス、炭酸ガス雰囲気等を利用することも可能である。また、酸素分圧を制御可能であれば、酸素ガスを使用することも可能である。
燃焼合成を開始させるための混合粉末への着火方法は、金属粉が着火発熱可能となる方法であれば特に限定されない。カーボンフイルムを着火発熱させて熱源とし、混合粉末に接触させて着火発熱させる方法が取り扱いに優れているので好ましい。燃焼合成反応は、約 1〜60 秒で終了する。
塩類が燃焼合成反応後の合成粉末に存在すると焼結性が阻害される。焼結性を阻害しない程度まで塩類を減らす基準としては、洗浄液の電気伝導率が 150μS/cm 以下である。すなわち洗浄回数、洗浄量の如何にかかわらず、上記合成粉末を水で洗浄したとき洗浄後の洗浄水の電気伝導率が 150μS/cm 以下であればよい。
また、燃焼合成で得られた合成粉末の結晶構造をさらに安定させたり、微量な不純物を除去するため、900〜1100℃で仮焼することも可能である。
以下の方法で誘電体セラミックスを合成した。
各反応原料を表1に示すモル配合比(モル%)でボールミルを用いて 5 時間混合することにより混合粉末を得た。合成装置内のチャンバー内にカーボンるつぼを設置し、混合粉末(100g )をカーボンるつぼ内に敷き詰め、着火用のカーボンフイルムを混合粉の一部と接触させて、チャンバーを閉じた。真空ポンプを用いて、チャンバー内の残留酸素を減少させた後、アルゴン(Ar)ガスを封入し、チャンバーの内圧を 0.1 MPa とした。
なお、表1中において、Ti金属粉末は住友チタニウム社製TSP−350およびTILOP−150(分級して比表面積を 0.005 m2/g に調整)を、CaCO3、TiO2、SrCO3、Li2CO3、NaClO4は和光純薬工業社製各試薬を、Sm2O3、Nd2O3は信越化学工業社製品を、それぞれ用いた。
得られた未洗浄誘電体セラミックス粉末を十分水洗し、この粉末に付着したNaClを除去して誘電体セラミックスを得た。
得られた誘電体セラミックス粉末の結晶相の同定をX線回折装置(XRD)を用いて行なった。結果をセラミックス組成として表1に示す。
また、比誘電率および誘電正接を以下の方法で測定した。
得られた誘電体セラミックス粉末に成形用バインダ(ポリビニルブチラール樹脂)を1重量%添加して混合した。次に混合粉末を 10 mm×80 mm の金型に投入し、1.5トン/cm2の圧力を加えてグリーン体(10 mm×90 mm×3 mm )を得た。このグリーン体を600℃で 1 時間保持し、有機分を除去した後、1300℃で 3 時間焼成した。得られた焼結体を70 mm×1.5 mm×1.5 mm の試験片に加工し、空洞共振器法を用いて、1、5 GHz の周波数帯で比誘電率および誘電正接を測定した。ここで、比誘電率および誘電正接は 25℃での値である。
Claims (4)
- CaO−SrO−Li2O−Sm 2 O 3 −Nd 2 O 3 −TiO2系の誘電体セラミックスの製造方法であって、
反応原料粉末として少なくとも、比表面積が 0.01〜2 m2/g であるTi粉末と、TiO 2 粉末と、酸素供給源であるイオン結合性物質と、CaCO3 粉末と、SrCO3 粉末と、Li2CO3 粉末と、Sm 2 O 3 粉末と、Nd 2 O 3 粉末とをそれぞれ所定割合で配合する工程と、
前記所定割合で配合された配合物を断熱火炎温度が 1500℃以上である燃焼合成法により反応させる工程と、
前記燃焼合成反応により得られた反応生成物を粉砕する工程と、
前記粉砕された粉末を水で洗浄する工程とを備えることを特徴とする誘電体セラミックスの製造方法。 - 前記反応原料の配合量は、前記イオン結合性物質を除く原料全体に対して、前記Ti粉末と前記TiO 2 粉末との合計量が 63 モル%、前記CaCO 3 粉末と前記SrCO 3 粉末との合計量が 16 モル%、前記Li 2 CO 3 粉末が 9 モル%、前記Sm 2 O 3 粉末とNd 2 O 3 粉末との合計量が 12 モル%であることを特徴とする請求項1記載の誘電体セラミックスの製造方法。
- 前記イオン結合性物質を除く原料全体に対する前記Ti粉末の配合量は、15 モル%以上、50 モル%以下であることを特徴とする請求項2記載の誘電体セラミックスの製造方法。
- 前記粉砕された粉末を水で洗浄する工程は、洗浄後の洗浄水の電気伝導率が 150μS/cm 以下となるまで洗浄を行なう工程であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の誘電体セラミックスの製造方法。
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