JP2008105915A - 燃焼合成方法および燃焼合成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】副生する分解ガスや副生塩の除去を容易に行なうことができ、高品位な酸化物系の誘電体セラミックスが得られる燃焼合成方法および燃焼合成装置を提供する。
【解決手段】比表面積が 0.01 m2/g〜2 m2/g の4族元素を含む金属粉末と、酸素供給源となる物質とを少なくとも含む反応原料においてそれぞれの粉末を所定割合で混合して原料粉末とする混合工程と、該混合工程で得られた原料粉末をチャンバー2内で断熱火炎温度が 1500℃以上の燃焼合成反応により焼結体とする燃焼合成工程とを備えてなり、該燃焼合成工程は、チャンバー2内において大気圧未満の圧力条件下で原料粉末に着火して燃焼合成反応を開始した後、該燃焼合成反応の進行に伴ない発生する副生成物によりチャンバー2の内圧が大気圧以上になったときに該チャンバーの弁4を開放させつつ反応を行なわせる工程である。
【選択図】図1

Description

本発明は、副生成物としてガスや昇華物が発生する酸化物系の誘電体セラミックスの燃焼合成方法および燃焼合成装置に関する。
アンテナ、コンデンサ、共振器、フィルター、圧力センサ、超音波モータ等の電子部品において利用される良好な誘電特性を有する誘電体セラミックスとして、BaTiO3、PZT(PbZrO3−PbTiO3)、BaRe2Ti514 、CaO−SrO−Li2O−Re23−TiO2系等の酸化物系の誘電体セラミックスが知られている。
従来の上記のような誘電体セラミックスの合成には、1000℃から 2000℃前後に加熱できる炉を用いて長時間、外部加熱を行なわなくてはならない。このため、セラミックスの合成には、膨大なエネルギーと大型の加熱機構を必要とし、これが製造コストを高くする原因となっている。
これに対して、外部加熱を行なわない製造方法として、燃焼合成法(自己伝播高温合成( self propagating high temperature synthesis:SHS ))によるセラミックス粉末の合成が提案されている。該方法は、金属間化合物やセラミックスの生成時の発熱を利用するものであり、化合物の構成元素となる粉体をよく混合して圧粉体をつくり、その一部に高熱を与えると着火して、生成熱を発しながら合成反応が進行することで焼結体を得る方法である。
燃焼合成法を利用するものとして、1種類の金属酸化物と2種類の異なる金属元素の計3種類の原料を出発原料とし、金属間化合物あるいは非酸化物セラミックスと酸化物セラミックスの2種類を合成する方法が提案されている(特許文献1参照)。また、この特許文献1の燃焼合成方法では上記のような酸化物系の誘電体セラミックスを得ることはできないので、本発明者等は、酸素供給源として過塩素酸ナトリウム等のイオン結合性物質を使用し、優れた焼結特性を有する酸化物系の誘電体セラミックスを燃焼合成法で製造する方法等について出願をしている(例えば、特願2005−99075参照)。
これらの燃焼合成反応時において酸素供給源として過塩素酸ナトリウム(NaClO4)等のイオン結合性物質を使用した場合、原料粉から多量に分解ガスである炭酸ガスや副生塩である塩化ナトリウム(NaCl)が発生し、冷却するとNaClが固化してチャンバー内や合成物表面を覆う現象が認められた。また、分解ガスの圧力でチャンバー内圧が上昇するため、原料粉からの分解ガスの生成が抑えられ合成反応が断続的になるという現象が認められ、また、チャンバー自体にも高い耐圧性が要求される。
これらの問題への対処として、真空ポンプを絶えず起動させて反応後もチャンバー内を減圧に保つ手法が考えられるが、絶えず減圧を維持するためにはコストが多くかかる。また、閉じた系とするとチャンバー内に副生塩が堆積し、反応後のチャンバー清掃に手間がかかる等の問題があった。
特開平5−9009号公報
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、副生する分解ガスや副生塩の除去を容易に行なうことができ、高品位な酸化物系の誘電体セラミックスが得られる燃焼合成方法および燃焼合成装置を提供することを目的とする。
本発明の燃焼合成方法は、比表面積が 0.01 m2/g〜2 m2/g の4族元素を含む金属粉末と、酸素供給源となる物質とを少なくとも含む反応原料においてそれぞれの粉末を所定割合で混合して原料粉末とする混合工程と、該混合工程で得られた原料粉末をチャンバー内で断熱火炎温度が 1500℃以上の燃焼合成反応により焼結体とする燃焼合成工程とを備えてなる誘電体セラミックスの燃焼合成方法であって、該燃焼合成工程は、上記チャンバー内において大気圧未満の圧力条件下で上記原料粉末に着火して燃焼合成反応を開始した後、該燃焼合成反応の進行に伴ない発生する副生成物により上記チャンバーの内圧が大気圧以上になったときに該チャンバーの弁を開放させつつ反応を行なわせる工程であることを特徴とする。なお、大気圧とは 101.325 kPaである。
また、上記酸素供給源となる物質は、過塩素酸ナトリウムであることを特徴とする。
本発明の燃焼合成装置は、内圧制御弁を有するチャンバーと、該チャンバーに接続され燃焼合成反応開始時における上記チャンバーの内圧を大気圧未満に減圧する真空ポンプとを備えてなり、上記チャンバー内において燃焼合成反応により酸化物系の誘電体セラミックスを製造するための燃焼合成装置であって、上記内圧制御弁は、燃焼合成反応に伴ない発生する副生成物により上記チャンバーの内圧が大気圧以上になったときに開放されることを特徴とする。
本発明の燃焼合成方法は、酸化物系の誘電体セラミックスをチャンバー内において外部加熱を一切行なわず最初の着火のみで合成できるとともに、大気圧未満の減圧下で燃焼合成反応を行なうので、副生する分解ガスや副生塩が反応生成物外に排出されやすくなり、反応生成物中に残存する分解ガスや副生塩を低減することができる。特に、燃焼合成反応に伴いチャンバー内圧が大気圧以上となったときにチャンバーの弁を開放するので、チャンバー内圧が大気圧以上となることを防止できるとともに、該弁から分解ガスや副生塩である昇華物をチャンバー外に排出することができる。
この結果、反応生成物から副生塩を除去するための洗浄工程や、チャンバー内の清掃を簡素化することができ、反応生成物である誘電体セラミックスの品質を向上させることができる。
本発明の燃焼合成装置は、燃焼合成反応を行なうチャンバーにおいて、燃焼合成反応に伴ない発生する副生成物によりチャンバー内圧が大気圧以上になったときに開放される内圧制御弁を有するので、チャンバー内圧が大気圧以上となることを防止できるとともに、該弁から分解ガスや副生塩である昇華物をチャンバー外に排出することができる。このため、耐圧チャンバーが不要もしくは耐圧力を低く設定できる。また、反応開始時のみ減圧すればよく、絶えず真空ポンプを稼動する必要がないので装置の低コスト化が可能となる。
本発明の燃焼合成方法は、比表面積が 0.01 m2/g〜2 m2/g の4族元素を含む金属粉末と、酸素供給源となる物質とを少なくとも含む反応原料においてそれぞれの粉末を所定割合で混合して原料粉末とする混合工程と、該混合工程で得られた原料粉末をチャンバー内で断熱火炎温度が 1500℃以上の燃焼合成反応により焼結体とする燃焼合成工程とを備えてなり、副生成物として分解ガス(炭酸ガス等)や副生塩(イオン結合性塩)が発生する酸化物系誘電体セラミックスを製造するための方法である。
特に燃焼合成工程が、チャンバー内において大気圧未満の圧力条件下で原料粉末に着火して燃焼合成反応を開始した後、該燃焼合成反応の進行に伴ない発生する副生成物によりチャンバーの内圧が大気圧以上になったときに該チャンバーの弁を開放させつつ反応を行なわせる工程であることに特徴を有する。
本発明の燃焼合成方法における反応系であり、副生成物として分解ガスや副生塩を発生するものとしては、例えば、上記の4族元素を含む金属粉末と、酸素供給源となる物質と、2族元素を含む元素の炭酸塩とを含む反応原料を用いる反応系が挙げられる。なお、本発明は下記の反応系に限定されるものでない。
反応原料はそれぞれ所定割合で配合するが、燃焼合成反応において、例えばチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)の場合、以下の化学反応式にしたがって生成する。下記式(1)において各反応原料は、4族金属粉末と2族炭酸塩とは反応に必要なそれぞれのモル質量に相当する量を配合するが、酸素供給源となるイオン結合性物質は反応に必要なモル質量以上を配合できる。

Ti+SrCO3+0.5NaClO4→SrTiO3+CO2↑+0.5NaCl--(1)
本発明に使用できる発熱源となる4族元素を含む金属粉末としては、4族A元素の金属粉末が好ましい。具体的には、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)が挙げられ、その中でも特にTiが誘電特性に優れるセラミックスが得られるので好ましい。なお、Tiとしては、Ti金属粉末の他、水素化Ti金属粉末を使用することもできる。
4族A元素は単独でもあるいは混合しても使用できる。また、これら4族A元素と同時に配合できる元素としては、ラザホージウム(Rf)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ビスマス(Bi)、ポロニウム(Po)、アスタチン(At)等が挙げられる。
本発明に使用できる4族元素を含む金属の形状は、微粉末であることが好ましく、比表面積が 0.01〜2 m2/g である。燃焼波が伝播し、かつ取り扱いやすいので好ましい比表面積の範囲は 0.1〜0.6 m2/g である。比表面積が 0.01 m2/g 未満の場合、発熱源となる金属粉未と酸素供給源となる物質との接触面積が少ないため、燃焼波が伝播せず、誘電体セラミックスが合成できない場合がある。また、比表面積が 2 m2/g をこえる金属粉未は極めて活性であり、取り扱いが困難となるため好ましくない。本発明において、金属粉未の比表面積は、BET法により測定された値をいう。
燃焼合成に使用できる金属粉末は、平均粒子径が同一であっても、比表面積が異なると反応性に差が認められた。すなわち、球状よりも比表面積が大きくなる形状の金属粉末を用いると燃焼合成反応がより速やかに進行した。比表面積が大きくなる形状としては、球状粒子表面に複数の凹凸が形成された粒子、粒子全体としていびつな形状の粒子、またはこれらの組み合わせがある。
本発明に使用できる平均粒子径としては 150 μm 以下、好ましくは 0.1〜100 μm である。150 μm をこえると、他の原材料との混合が十分でなくなり、燃焼波が伝播しない場合が生じる。表面に凹凸が形成された粒子またはいびつな形状の平均粒子径の測定方法は、画像解析法が好ましい。
また、金属粉末の一部を、同種の4族元素の金属酸化物に置き換えて、これらを併用することができる。TiO2 等の金属酸化物は、燃焼合成反応において反応希釈剤として働き、該金属酸化物の配合量を調整することで断熱火炎温度を制御できる。具体的には、金属酸化物の配合割合を上げると、反応の進行速度が低下し、断熱火炎温度が下がる。
本発明に用いる酸素供給源となる物質としては、加熱により酸素を発生させるイオン結合性物質等が配合される。該イオン結合性物質としては、KClO3、NaClO3、NH4ClO3等の塩素酸塩類、KClO4、NaClO4、NH4ClO4等の過塩素酸塩類、NaClO2などの亜塩素酸塩類、KBrO3などの臭素酸塩類、KNO3、NaNO3、NH4NO3等の硝酸塩類、NaIO3、KIO3等のよう素酸塩類、KMnO4、NaMnO4・3H2Oの過マンガン酸塩類、K2Cr27、(NH42Cr27等の重クロム酸塩類、NaIO4などの過よう素酸塩類、HIO4・2H2Oなどの過よう素酸類、CrO3などのクロム酸類、NaNO2などの亜硝酸塩類、Ca(ClO)2・3H2Oなどの次亜塩素酸カルシウム三水塩類等が挙げられる。
これらの中で過塩素酸塩類、塩素酸塩類、亜塩素酸塩類が好ましく、繰り返し純水で洗浄することで副生成物であるNaCl、KClを除去できるNaClO4、KClO4を用いることがより好ましい。さらにコストの面で有利なNaClO4を用いることが特に好ましい。
本発明における混合工程において、上記の各反応原料粉末の混合方法は、撹拌機による混合、または、乳鉢と乳棒を用いた混合等、特に制限されることなく採用できる。撹拌機としては、タンブラー、ヘンシェルミキサ、ボールミル等が挙げられる。量産性に優れるとともに、金属粉末や過酸化物粉末に対してせん断力等の負荷が少ないヘンシェルミキサやボールミル等を使用することが好ましい。
混合された原料粉末は、坩堝に投入して燃焼合成を行なうが、その坩堝の材質としては好ましくは非酸化物である炭素、炭化珪素、窒化珪素等が使用できる。これらの中で炭素材が熱伝導と形状加工性に優れているので好ましい。
混合された原料粉末を坩堝等へ投入する方法としては、原料粉末をパウダーベット状に敷き詰めたり、敷き詰めた後圧縮したり、ペレット状に押し固めたものを坩堝へ投入する方法等が使用できる。
本発明における燃焼合成工程は、チャンバー内において大気圧未満の圧力条件下で原料粉末に着火して燃焼合成反応を開始した後、該燃焼合成反応の進行に伴ない発生する副生成物によりチャンバーの内圧が大気圧以上になったときに該チャンバーの弁を開放させつつ反応を行なわせる工程である。
この燃焼合成工程を行なう燃焼合成装置例を図1に示す。図1は、本発明の燃焼合成装置の模式断面図である。図1に示すように、燃焼合成装置1は、内圧制御弁4を有するチャンバー2と、チャンバー2に接続された真空ポンプ3とを備えてなり、チャンバー2内に原料粉末を入れた坩堝5が載置されている。
燃焼合成反応は、チャンバー2内を真空ポンプ3により大気圧(101.325 kPa = 1 気圧)よりも低い減圧下として原料粉末に着火して開始する。好ましい減圧度は 0.003 気圧〜0.1 気圧(0.3 kPa 〜 10.1 kPa)である。
なお、真空ポンプ3はこの反応開始時のみ起動させればよい。よって、反応開始後においても真空ポンプ3を起動し続ける場合と比較して、運転コストを低くできる。また、燃焼合成反応進行中は真空ポンプ3を停止させることで、真空ポンプ3に副生塩等が吸引されることも防止できる。
燃焼合成を開始させるための原料粉末への着火方法は、金属粉が着火発熱可能となる方法であれば特に限定されない。カーボンフイルムを着火発熱させて熱源とし、原料粉末に接触させて着火発熱させる方法が取り扱いに優れているので好ましい。燃焼合成反応は、約 1 秒〜60 秒で終了する。
燃焼合成反応の進行に伴ない発生する分解ガス等の副生成物によりチャンバー2の内圧が大気圧以上になったときには、該チャンバー2の内圧制御弁4を開放する。内圧制御弁4を開放することでチャンバー2の内圧が、開始時のチャンバー内圧以上、大気圧以下に保たれ、燃焼合成反応における圧力平衡が反応生成物の生成側に進み、分解ガスや副生塩が反応生成物中から脱ガス、脱塩しやすくなり、反応生成物中に残存する副生塩を減少できる。また、該内圧制御弁4から分解ガス(CO2ガス等)や副生塩である昇華物(NaCl等)がチャンバー外に排出される。また、チャンバー2として、耐圧力の低いチャンバーを採用することができる。
また、この副生塩を捕捉するために、内圧制御弁4からのチャンバー排出口4aにフィルターやトラップ装置を設けることが好ましい。
燃焼合成反応の断熱火炎温度は 1500℃以上である。1500℃以上であれば、燃焼波が伝播するからである。また、チャンバー内の雰囲気としては、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)等の希ガス雰囲気が好ましい。なお、反応生成物の誘電特性を劣化させなければ、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気等を利用することも可能である。
反応生成物は、坩堝中において塊状である。該反応生成物の粉砕は、平均粒子径が 100μm 以下となる粉砕方法であれば特に限定されず、ジェットミル、ボールミル、乳鉢と乳棒等で行なうことができる。平均粒子径が 100μm をこえると、後工程の洗浄工程での洗浄が十分でなくなり、副生塩であるイオン結合性塩が残留しやすくなる。
粉砕工程後の微粉末には、副生塩であるイオン結合性塩が若干量含まれている。例えばNaClO4 を原料に用いた場合はNaClが、KClO4 を原料に用いた場合はKClがそれぞれ生成する。水で洗浄することでこれらの副生塩を除去できる。洗浄後は乾燥させる。
副生塩類が燃焼合成反応後の粉末に存在すると焼結性等が阻害される。焼結性を阻害しない程度まで副生塩類を減らす基準としては、洗浄液の電気伝導率が 150μS/cm 以下である。すなわち洗浄回数、洗浄量の如何にかかわらず、上記合成粉末を水で洗浄したとき洗浄後の洗浄水の電気伝導率が 150μS/cm 以下であればよい。本発明では、上述のように大気圧以下に減圧しつつ燃焼合成反応を行ない残存副生塩が少ないため、上記条件を満たす洗浄回数等が少なくてよい。
以上の工程により誘電体セラミックス(合成粉末)が得られる。また、用途に応じて乾燥後、該粉末を焼結してもよい。焼結するとき、ポリビニルブチラールなどの成形用粘結剤を配合できる。焼結条件としては、10〜100 MPa の圧力で成形後、大気雰囲気下、1200〜1500℃の温度で焼成する条件が挙げられる。
また、燃焼合成で得られた合成粉末の結晶構造をさらに安定させたり、微量な不純物を除去するため、900〜1100℃で仮焼することも可能である。
以上の燃焼合成法により得られる誘電体セラミックスは、燃焼合成後の焼結体特性に優れ、理論密度に近く緻密化されるので、誘電体アンテナ、コンデンサ、共振器、圧力センサ、超音波モータ等に好適に使用できる。
実施例1
Ti粉末(住友チタニウム社製TSP−350 比表面積 0.3 m2/g)と、SrCO3(和光純薬工業社製試薬)と、NaClO4(和光純薬工業社製試薬)とを反応原料として用い、上記式(1)に示すモル比でボールミルを用いて 5 時間混合することにより原料粉末を得た。図1に示す燃焼合成装置のチャンバー2内にカーボン坩堝5を設置し、原料粉末をカーボン坩堝5内に敷き詰め、着火用のカーボンフイルムを原料粉末の一部と接触させて、チャンバー2を閉じた。真空ポンプ3を用いて、チャンバー2内の残留酸素を減少させた後、アルゴン(Ar)ガスを封入し、真空ポンプ3によりチャンバー2の内圧を 0.3 kPa まで減圧した。
真空ポンプ3を停止した後、原料粉末に着火して燃焼合成反応を開始させた。燃焼合成反応中においてチャンバー内2の内圧が大気圧以上となり、内圧制御弁4を開放した。該反応において燃焼波が伝播し、燃焼合成法により合成粉末(SrTiO3)と副生成物(NaCl)が得られた。アルミナ製乳鉢を用いて合成粉末を粉砕し、平均粒子径が 1μm の未洗浄合成粉末を得た。なお、Ti粉末として比表面積 0.005 m2/g を用いた場合には、燃焼波が伝播せず合成粉末が得られなかった。
比較例1
実施例1と同じ原料粉末を用い、チャンバー内を 0.1 MPa の大気圧状態で燃焼合成反応を開始し、燃焼合成反応の進行とともにチャンバー内圧は最大で 500 kPa まで上昇し、燃焼波の伝播が断続的に行なわれた。チャンバーとしては耐圧チャンバーを用いた。実施例1と同様に処理して平均粒子径が 1μm の未洗浄合成粉末を得た。
比較例2
実施例1と同じ原料粉末を用い、真空ポンプを連続稼動させチャンバーの内圧を 0.3 kPa に保ちながら燃焼合成反応を行なった。実施例1と同様に処理して平均粒子径が 1μm の未洗浄合成粉末を得た。
得られた以上の未洗浄合成粉末を十分水洗し、この粉末に付着したNaClを除去した後、乾燥して誘電体セラミックスを得た。洗浄前後の重量から、副生塩の含有率を測定した。結果を表1に示す。また、それぞれの合成に必要となる概算の製造コスト比(チャンバー費用、真空ポンプ運転費用、その他)を実施例1を基準「1」として求め、表1に併記した。
また、得られた誘電体セラミックス粉末について比誘電率および誘電正接を以下の方法で測定した。
粉末に成形用バインダ(ポリビニルブチラール樹脂)を1重量%添加して混合した。次に混合粉末を 10 mm×80 mm の金型に投入し、1.5トン/cm2の圧力を加えてグリーン体(10 mm×90 mm×3 mm )を得た。このグリーン体を600℃で 1 時間保持し、有機分を除去した後、1300℃で 3 時間焼成した。得られた焼結体を70 mm×1.5 mm×1.5 mm の試験片に加工し、空洞共振器法を用いて、1、5 GHz の周波数帯で比誘電率および誘電正接を測定した。ここで、比誘電率および誘電正接は 25℃での値である。結果を表1に示す。
Figure 2008105915
本発明の燃焼合成方法は、副生する分解ガスや塩の除去を容易に行ない円滑な化学反応で誘電体セラミックスを製造することができるので、安全かつ低コストで誘電体セラミックスを製造することができる。
本発明の一実施例に係る燃焼合成装置の模式断面図である。
符号の説明
1 燃焼合成装置
2 チャンバー
3 ポンプ
4 内圧制御弁
5 坩堝

Claims (3)

  1. 比表面積が 0.01 m2/g〜2 m2/g の4族元素を含む金属粉末と、酸素供給源となる物質とを少なくとも含む反応原料においてそれぞれの粉末を所定割合で混合して原料粉末とする混合工程と、該混合工程で得られた原料粉末をチャンバー内で断熱火炎温度が 1500℃以上の燃焼合成反応により焼結体とする燃焼合成工程とを備えてなる誘電体セラミックスの燃焼合成方法であって、
    前記燃焼合成工程は、前記チャンバー内において大気圧未満の圧力条件下で前記原料粉末に着火して燃焼合成反応を開始した後、該燃焼合成反応の進行に伴ない発生する副生成物により前記チャンバーの内圧が大気圧以上になったときに該チャンバーの弁を開放させつつ反応を行なわせる工程であることを特徴とする燃焼合成方法。
  2. 前記酸素供給源となる物質は、過塩素酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1記載の燃焼合成方法。
  3. 内圧制御弁を有するチャンバーと、該チャンバーに接続され燃焼合成反応開始時における前記チャンバーの内圧を大気圧未満に減圧する真空ポンプとを備えてなり、前記チャンバー内において燃焼合成反応により酸化物系の誘電体セラミックスを製造するための燃焼合成装置であって、
    前記内圧制御弁は、燃焼合成反応に伴ない発生する副生成物により前記チャンバーの内圧が大気圧以上になったときに開放されることを特徴とする燃焼合成装置。
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KR101254713B1 (ko) 2011-05-27 2013-04-15 (주)오티앤티 자전연소법을 이용한 이산화티탄의 제조방법

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