JP4533209B2 - 酸化物系セラミックスおよびその製造方法 - Google Patents

酸化物系セラミックスおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4533209B2
JP4533209B2 JP2005099075A JP2005099075A JP4533209B2 JP 4533209 B2 JP4533209 B2 JP 4533209B2 JP 2005099075 A JP2005099075 A JP 2005099075A JP 2005099075 A JP2005099075 A JP 2005099075A JP 4533209 B2 JP4533209 B2 JP 4533209B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
powder
washing
oxide
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005099075A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006273697A (ja
Inventor
晃也 大平
達雄 中島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp filed Critical NTN Corp
Priority to JP2005099075A priority Critical patent/JP4533209B2/ja
Publication of JP2006273697A publication Critical patent/JP2006273697A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4533209B2 publication Critical patent/JP4533209B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は酸化物系セラミックスに関する。
従来のセラミックスの合成には、1000℃から2000℃前後に加熱できる炉を用いて外部加熱を行なわなくてはならない。このため、セラミックスの合成には、膨大なエネルギーと大型の加熱機構を必要とし、これが製造コストを高くする原因となっている。
外部加熱を行なわない製造方法として、燃焼合成法によるセラミックス粉末の合成が提案されている(特許文献1)。
燃焼合成法は、外部加熱を必要とすることなく、化合時に放出される大量の化学熱反応を利用して連鎖的に物質を合成する方法である。
上記特許文献1による製造方法では、1種類の金属酸化物と2種類の異なる金属元素の計3種類の原料を出発原料とし、金属間化合物あるいは非酸化物セラミックスと酸化物セラミックスの2種類を合成している。例えば、酸化ニッケル粉末とアルミニウム粉末とアルミナ粉末とを混合し成形体とした後、高圧反応容器内に収納し、アルゴン雰囲気下で該成形体の上端面を着火することによりアルミニウム粉末の酸化燃焼反応を誘導し、還元されたニッケルが過剰に添加したアルミニウムと反応してNiAlを合成しながら、燃焼反応が連鎖的に進行する。その結果、外部加熱なしに金属間化合物の1つであるNiTiのインゴットを製造することができる。
しかしながら、上記の場合、同時に合成されるAl23はNiTiに対する濡れ性や比重、粘性、融点および熱力学的安定性の違いから、NiTiから容易に分割できるとされているが、これら2種類の合成物を正確に分離することは困難である。例えば洗浄水で洗浄してもAl23は水に溶解しないので分離できない。
また加熱により酸素を発生するイオン結合性物質を含む出発原料を用いて、燃焼合成法で酸化物系セラミックスを製造すると、副生物として残存するイオン結合性物質がその後の酸化物系セラミックスの焼結を阻害するという問題がある。
特開平5−9009号公報
本発明は、このような課題に対処するためになされたもので、燃焼合成により、優れた焼結特性を有する酸化物系セラミックスの提供を目的とする。
本発明の酸化物系セラミックスは、比表面積が0.01〜2m2/gの4族元素を含む金属粉末(以下、4族金属粉末と略称する)と、2族元素を含む元素の炭酸塩(以下、2族炭酸塩と略称する)と、加熱により酸素を発生するイオン結合性物質(以下、酸素発生物質と略称する)とを少なくとも含む反応原料をそれぞれ所定割合で配合し、断熱火炎温度が1500℃以上である燃焼合成法により得られる粉末であって、この粉末を水で洗浄するとき、洗浄後の洗浄水の電気伝導度が150μS/cm以下であることを特徴とする。
また、上記水で洗浄するときの粉末の平均粒径が100μm以下であることを特徴とする。
本発明の酸化物系セラミックスの製造方法は、4族金属粉末と、2族炭酸塩と、酸素発生物質とを少なくとも含む反応原料をそれぞれ所定割合で配合する工程と、上記所定割合で配合された配合物を断熱火炎温度が1500℃以上である燃焼合成法により反応させる工程と、上記反応された反応生成物を粉砕する工程と、上記粉砕された粉末を水で洗浄する工程とを備えることを特徴とする。
4族金属粉末と、2族炭酸塩と、酸素発生物質とを少なくとも含む反応原料を用いて、断熱火炎温度が1500℃以上の燃焼合成により、焼結性に優れた酸化物系セラミックスが得られる。
また、本発明の酸化物系セラミックスの製造方法によれば、合成粉末を微粉化した後、水で洗浄することで十分な副生成物の除去が可能となるので、理論密度に近い焼結体が得られる。
出発原料となる4族元素を含む金属としては、好ましくは4族元素単独であり、より好ましくは4族A元素である。具体的には、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)が挙げられ、その中でも特にTiまたはZrが誘電特性、圧電特性などに優れるセラミックスが得られるので好ましい。
4族A元素は単独でもあるいは混合しても使用できる。また、これら4族A元素と同時に配合できる元素としては、ラザホージウム(Rf)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセジウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロビウム(Eu)、ビスマス(Bi)、ポロニウム(Po)、アスタチン(At)等が挙げられる。
4族元素を含む金属の形状は、微粉末であることが好ましく、比表面積が0.01〜2m2/gである。燃焼波が伝播し、かつ取り扱いやすいので好ましい比表面積の範囲は0.1〜0.6m2/gである。比表面積が0.01m2/g未満の場合、発熱源となる金属粉未と酸素供給源となる過酸化物の接触面積が少ないため、燃焼波が伝播せず、酸化物系セラミックスが合成できない場合がある。また、比表面積が2m2/gをこえる金属粉未は極めて活性であり、取り扱いが困難となるため好ましくない。
本発明において、金属粉未の比表面積は、BET法により測定された値をいう。
燃焼合成に使用できる金属微粉末は、平均粒子径が同一であっても、比表面積が異なると反応性に差が認められた。すなわち、球状よりも比表面積が大きくなる形状の金属粉末を用いると燃焼合成反応がより速やかに進行した。比表面積が大きくなる形状としては、球状粒子表面に複数の凹凸が形成された粒子、粒子全体としていびつな形状の粒子、またはこれらの組み合わせがある。
本発明に使用できる平均粒子径としては150μm以下、好ましくは0.1〜100μmである。150μmをこえると、他の原材料との混合が十分でなくなり、燃焼波が伝播しない場合が生じる。
表面に凹凸が形成された粒子またはいびつな形状の平均粒子径の測定方法は、画像解析法が好ましい。
2族元素を含む元素としては、好ましくは2族元素単独であり、より好ましくは2族A元素である。具体的には、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)が挙げられ、その中でも特にCa、Sr、Baが上記金属粉末との組み合わせにおいて圧電性、誘電特性に優れるセラミックスが得られるので好ましい。
2族A元素は単独でもあるいは混合しても使用できる。また、これら2族A元素と同時に配合できる元素としては、Rf、Sn、Sb、Te、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Bi、Po、At等が挙げられる。
2族A元素は炭酸塩の形で使用される。2族A元素からなる炭酸塩としては、BeCO3、MgCO3、CaCO3、SrCO3、BaCO3、RaCO3等がある。その中で特にCaCO3、SrCO3、BaCO3が取り扱いに優れるので好ましい。
本発明は上記出発原料とともに酸素発生物質が配合される。この加熱により酸素を発生する物質としては、KClO3、NaClO3、NH4ClO3等の塩素酸塩類、KClO4、NaClO4、NH4ClO4等の過塩素酸塩類、NaClO2などの亜塩素酸塩類、KBrO3などの臭素酸塩類、KNO3、NaNO3、NH4NO3等の硝酸塩類、NaIO3、KIO3等のよう素酸塩類、KMnO4、NaMnO4・3H2Oの過マンガン酸塩類、K2Cr27、(NH42Cr27等の重クロム酸塩類、NaIO4などの過よう素酸塩類、HIO4・2H2Oなどのメタよう素酸、CrO3などの無水クロム酸塩、NaNO3などの亜硝酸塩、Ca(ClO)2・3H2Oなどの次亜塩素酸カルシウム三水塩類等が挙げられる。
これらの中で過塩素酸塩類、塩素酸塩類、亜塩素酸塩類が好ましく、特にNaClO4、KClO4は、副生成物であるNaCl、KClが繰り返し純水で洗浄することで除去できるので好適である。なお、過塩素酸塩類の場合、生成する炭酸ガスがガス化するため、合成粉末には残存しない。
4族金属粉末、2族炭酸塩、および酸素発生物質とを少なくとも含む反応原料としては、4族金属粉末、2族炭酸塩、および酸素発生物質のみであることが洗浄性に優れ、圧電性、誘電特性に優れるので好ましい。
反応原料はそれぞれ所定割合で配合するが、燃焼合成反応において誘電体セラミックスは、例えばチタン酸バリウムの場合、以下の化学反応式にしたがって生成する。各反応原料は、4族金属粉末と2族炭酸塩とは反応に必要なそれぞれのモル質量に相当する量を配合するが、酸素発生物質は反応に必要なモル質量以上を配合できる。

Ti+BaCO3+0.5NaClO4 → BaTiO3+CO2↑+0.5NaCl
4族金属粉末と、2族炭酸塩と、酸素発生物質とを少なくとも含む反応原料をそれぞれ所定割合で配合する工程において、反応原料の混合は、ボールミル、乳鉢と乳棒等を用いた混合等特に制限されることなく使用できる。特に量産性に優れているボールミルを用いる混合が好ましい。
混合粉末は、るつぼに投入して燃焼合成を行なうが、そのるつぼの材質としては好ましくは非酸化物である炭素(C)、炭化珪素(SiC)、窒化珪素Si34等が使用できる。これらの中で炭素(C)材が熱伝導と形状加工性に優れているので好ましい。
混合粉末をるつぼへ投入する方法としては、混合粉末をパウダーベット状に敷き詰めたり、敷き詰めた後圧縮したり、ペレット状に押し固めたものをるつぼへ投入する方法等が使用できる。
上記所定割合で配合された配合物を燃焼合成法により反応させる。
燃焼合成法の条件について、反応系の断熱火炎温度は1500℃以上である。1500℃以上であれば、燃焼波が伝播するからである。
燃焼合成はチャンバー内で行なうが、その雰囲気としては、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)等の希ガス雰囲気が好ましい。なお、反応生成物の誘電特性を劣化させなければ、窒素ガス、炭酸ガス雰囲気等を利用することも可能である。また、酸素分圧を制御可能であれば、酸素ガスを使用することも可能である。
燃焼合成を開始させるための混合粉末への着火方法は、金属粉が着火発熱可能となる方法であれば特に限定されない。カーボンフイルムを着火発熱させて熱源とし、混合粉末に接触させて着火発熱させる方法が取り扱いに優れているので好ましい。
燃焼合成反応は、外部加熱を必要とすることなく、着火部分より同時多発的に化学反応が進行し、各種の不定比化合物が合成される。このため、本発明においては、4族金属粉末、2族炭酸塩、および酸素発生物質の配合割合が重要となる。
上記配合割合で燃焼合成反応させ、反応生成物を粉砕する工程を経て、水で洗浄することにより、理論密度に近い緻密化される酸化物系セラミックスが得られる。
反応生成物の粉砕は、平均粒径が100μm以下となる粉砕方法であれば特に限定されず、ジェットミル、ボールミル、乳鉢と乳棒等で行なうことができる。平均粒径が100μmをこえると、後工程の洗浄工程での洗浄が十分でなくなり、副生成物であるイオン結合性塩が残留しやすくなる。
粉砕工程後の微粉末には、副生成物であるイオン結合性塩が含まれている。例えばNaClO4を原料に用いた場合はNaClが、KClO4を原料に用いた場合はKClがそれぞれ生成する。水で洗浄することでこれらの塩を除去できる。塩類が燃焼合成反応後の合成粉末に存在すると焼結性が阻害される。焼結性を阻害しない程度まで塩類を減らす基準としては、洗浄液の電気伝導度が150μS/cm以下である。すなわち洗浄回数、洗浄量の如何にかかわらず、上記合成粉末を水で洗浄したとき洗浄後の洗浄水の電気伝導度が150μS/cm以下であればよい。
洗浄に用いる水の電気伝導度は50μS/cm未満が好ましい。50μS/cm以上であると、溶出したNa、Clなどのイオン性物質の量が十分に少なくても、洗浄液の電気伝導度が高くなる。電気伝導度が50μS/cm未満の洗浄水としては、取り扱い上、蒸留水などの純水が特に好ましい。洗浄容器に微細化された合成粉末と洗浄液を入れ、超音波洗浄を行ない、副生成物をNa、Clなどのイオンにして純水に溶出させる。洗浄液の交換回数を増やす、あるいは合成粉末に対する洗浄液量を増やすことで、除去量を増すことが可能となる。溶出を促進させるには、洗浄液の温度を上げることも効果的である。副生成物のイオン性物質の残存量が多くなると、セラミック粉末を焼成する際、イオン性物質が焼結を阻害するので好ましくない。残存イオン性物質を管理する手法として、洗浄液の電気伝導度の測定がある。洗浄後の洗浄水の電気伝導度が150μS/cmをこえると、酸化物系セラミックの焼結性を阻害するので好ましくない。
上記酸化物系セラミック粉末は、洗浄乾燥後、焼結することにより、酸化物系セラミックスが得られる。焼結するとき、ポリビニルブチラールなどの成形用粘結剤を配合できる。焼結条件としては、10〜100MPaの圧力で成形後、大気雰囲気下、1200〜1500℃の温度で焼成する条件が挙げられる。
得られる酸化物系セラミックスは、理論密度に近く緻密化されるので、誘電体アンテナ、コンデンサ、共振器、圧力センサ、超音波モータ等に使用できる。
実施例1〜実施例3
表1に示す比表面積の異なる4族金属粉末、2族炭酸塩、酸素発生物質をそれぞれ表1に示すモル比でボールミルを用いて5時間混合することにより混合粉末を得た。合成装置内のチャンバー内にカーボンるつぼを設置し、混合粉末(100g)をカーボンるつぼ内に敷き詰め、着火用のカーボンフイルムを混合粉の一部と接触させて、チャンバーを閉じた。真空ポンプを用いて、チャンバー内の残留酸素を減少させた後、アルゴン(Ar)ガスを封入し、チャンバーの内圧を0.1MPaとした。
実施例1〜3のすべての組成物について燃焼波が伝播し、燃焼合成法により合成粉末と副生成物(NaCl)が得られた。アルミナ製乳鉢を用いて合成粉末を粉砕し、平均粒子径が1μmの未洗浄酸化物系セラミックス粉末を得た。
次にその各セラミック粉末の10gと、洗浄液である蒸留水200mlとをビーカに入れ、10分間超音波洗浄を行なった。洗浄処理後、電気伝導度計を用いて洗浄液の電気伝導度を測定した。測定後、洗浄液を除去し、新しい蒸留水を200ml投入し、10分間超音波洗浄を行なった。再度、電気伝導度計を用いて洗浄液の電気伝導度を測定した。この操作を6回繰り返した。洗浄液を除去して、120℃で24時間乾燥した後、粉末の結晶相の同定をX線回折装置(XRD)を用いて行なった。XRDの結果、全ての材料は、SrTiO3であることがわかった。測定結果を表2に示す。
得られた酸化物系セラミックス粉末に成形用バインダ(ポリビニルプチラール樹脂)を1質量%添加して混合した。次に4gの混合粉末を直径20mmの金型に投入し、1.5ton/cm2の圧力を加えてグリーン体を成形した。そのグリーン体を大気雰囲気の電気炉に投入し、600℃で1時間保持して有機分を除去し、続けて1300℃で3時間焼成を行なった。
得られた焼結体は、5.18g/cm3の理論密度に対して、すべて5.10g/cm3(相対密度:約98.5%)以上であり、十分緻密化していた。緻密化の度合いの判定基準として、相対密度が96%以上を○、96%未満を×とした。結果を表2に示す。
Figure 0004533209
Figure 0004533209
表2より、すべての実施例において燃焼波が伝播し、それぞれの酸化物系セラミックスが得られ、相対密度が96%以上の酸化物系セラミックスを得ることができた。
比較例1
表3に示す比表面積のTi金属粉末、炭酸塩、過酸化物をそれぞれ所定のモル比でボールミルを用いて5時間混合することで混合粉末を得た。合成装置内のチャンバー内にカーボンるつぼを設置し、混合粉末(100g)をカーボンるつぼ内に敷き詰め、着火用のカーボンフイルムを混合粉の一部と接触させて、チャンバーを閉じた。真空ポンプを用いて、チャンバー内の残留酸素を減少させた後、Arガスを封入し、チャンバーの内圧を0.1MPaとした。合成実験の結果を表4に示す。Ti金属粉の比表面積が0.01より小さいため、燃焼波が伝播せず、合成粉を得ることができなかった。
比較例2
表3に示す比表面積のTi金属粉末と断熱火炎温度を下げるためにTiO2を併用し、炭酸塩、過酸化物をそれぞれ所定のモル比でボールミルを用いて5時間混合することで混合粉末を得た。合成装置内のチャンバー内にカーボンるつぼを設置し、混合粉末(100g)をカーボンるつぼ内に敷き詰め、着火用のカーボンフイルムを混合粉の一部と接触させて、チャンバーを閉じた。真空ポンプを用いて、チャンバー内の残留酸素を減少させた後、Arガスを封入し、チャンバーの内圧を0.1MPaとした。合成実験の結果を表4に示す。断熱火炎温度が1500℃より低いため、燃焼波が伝播せず、合成粉を得ることができなかった。
比較例3
表3に示す金属粉末、炭酸塩、過酸化物をそれぞれ所定のモル比でボールミルを用いて5時間混合することで混合粉末を得た。合成装置内のチャンバー内にカーボンるつぼを設置し、混合粉末(100g)をカーボンるつぼ内に敷き詰め、着火用のカーボンフイルムを混合粉の一部と接触させて、チャンバーを閉じた。真空ポンプを用いて、チャンバー内の残留酸素を減少させた後、Arガスを封入し、チャンバーの内圧を0.1MPaとした。
比較例3においては、燃焼波が伝播し、燃焼合成法により合成粉末と副生成物(NaCl)が得られた。この両者を粉砕することなく、洗浄を行なった。
未洗浄セラミックス粉の10gと、洗浄液である蒸留水200mlとをビーカに入れ、10分間超音波洗浄を行なった。洗浄処理後、電気伝導度計を用いて洗浄液の電気伝導度を測定した。測定後、洗浄液を除去し、新しい蒸留水を200ml投入し、10分間超音波洗浄を行なった。再度、電気伝導度計を用いて洗浄液の電気伝導度を測定した。この操作を7回繰り返した。次に、合成粉末をアルミナ製乳鉢を用いて粉砕し、平均粒子径が1μmの粉末とした後、再度蒸留水を200ml投入し、10分間超音波洗浄を行なった。電気伝導度計を用いて洗浄液の電気伝導度を測定した結果、160μS/cmと実施例の3回洗浄品よりその値は大きく、まだNaClの除去が不十分であった。
次に、洗浄液を除去して、120℃で24時間乾燥した後、粉末の結晶相の同定をX線回折装置(XRD)を用いて行なった。XRDの結果、全ての材料は、SrTiO3であることがわかった。
得られた酸化物系セラミックス粉末に成形用バインダ(ポリビニルブチラール樹脂)を1質量%添加して混合した。次に4gの混合粉末を直径20mmの金型に投入し、1.5ton/cm2の圧力を加えてグリーン体を成形した。そのグリーン体を大気雰囲気の電気炉に投入し、600℃で1時間保持して有機分を除去し、続けて1300℃で3時間焼成を行なった。
得られた焼結体は、5.18g/cm3の理論密度に対して、4.5g/cm3(相対密度:約86.9%)以下であり緻密化していなかった。緻密化の度合いの判定基準として、相対密度が96%以上を○、96%未満を×とした。結果を表4に示す。
Figure 0004533209
Figure 0004533209
本発明の酸化物系セラミックスは、比表面積が0.01〜2m2/gの4族金属粉末と、2族炭酸塩と、酸素発生物質とを少なくとも含む反応原料をそれぞれ所定割合で配合し、断熱火炎温度が1500℃以上である燃焼合成法により得られ、その後に粉砕して水で洗浄するので、副生成物の除去が可能となり、理論密度に近い相対密度の酸化物系セラミックスが得られる。その結果、アンテナ、コンデンサ、共振器、圧力センサ、超音波モータ等の電子部品分野で酸化物系セラミックスの用途が拡大する。

Claims (6)

  1. 比表面積が0.01〜2m2/gの4族元素を含む金属粉末と、2族元素を含む元素の炭酸塩と、加熱により酸素を発生するイオン結合性物質とを少なくとも含む反応原料をそれぞれ所定割合で配合し、断熱火炎温度が1500℃以上である燃焼合成法により反応させて得られた反応生成物を、粉砕後、水で複数回超音波洗浄して得られる粉末であって、
    洗浄後の洗浄水の電気伝導度が150μS/cm以下であることを特徴とする酸化物系セラミックス。
  2. 前記水で洗浄するときの粉末の平均粒径が100μm以下であることを特徴とする請求項1記載の酸化物系セラミックス。
  3. 前記4族元素がチタンまたはジルコニウムであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の酸化物系セラミックス。
  4. 前記2族元素がストロンチウム、バリウムおよびカルシウムから選ばれた少なくとも1つの元素であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の酸化物系セラミックス。
  5. 前記加熱により酸素を発生する物質が過塩素酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の酸化物系セラミックス。
  6. 比表面積が0.01〜2m2/gの4族元素を含む金属粉末と、2族元素を含む元素の炭酸塩と、加熱により酸素を発生するイオン結合性物質とを少なくとも含む反応原料をそれぞれ所定割合で配合する工程と、
    前記所定割合で配合された配合物を断熱火炎温度が1500℃以上である燃焼合成法により反応させる工程と、
    前記反応生成物を粉砕する工程と、
    前記粉砕された粉末を水で複数回超音波洗浄することにより、洗浄後の洗浄水の電気伝導度を150μS/cm以下とする工程とを備えることを特徴とする酸化物系セラミックスの製造方法。
JP2005099075A 2005-03-30 2005-03-30 酸化物系セラミックスおよびその製造方法 Expired - Fee Related JP4533209B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005099075A JP4533209B2 (ja) 2005-03-30 2005-03-30 酸化物系セラミックスおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005099075A JP4533209B2 (ja) 2005-03-30 2005-03-30 酸化物系セラミックスおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006273697A JP2006273697A (ja) 2006-10-12
JP4533209B2 true JP4533209B2 (ja) 2010-09-01

Family

ID=37208793

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005099075A Expired - Fee Related JP4533209B2 (ja) 2005-03-30 2005-03-30 酸化物系セラミックスおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4533209B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4874574B2 (ja) * 2005-05-27 2012-02-15 Ntn株式会社 ペロブスカイト型セラミックスの製造方法
JP4766931B2 (ja) * 2005-06-16 2011-09-07 Ntn株式会社 誘電体セラミックスおよびその製造方法
JP5114013B2 (ja) * 2006-03-23 2013-01-09 Ntn株式会社 誘電体セラミックスの製造方法
JP5128782B2 (ja) * 2006-03-29 2013-01-23 Ntn株式会社 誘電体セラミックスの製造方法
KR102363205B1 (ko) * 2016-06-14 2022-02-14 덴카 주식회사 고순도 티탄산 바륨계 분말 및 그 제조 방법, 그리고 수지 조성물 및 지문 센서

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11228139A (ja) * 1998-02-06 1999-08-24 Toyota Central Res & Dev Lab Inc チタン含有複合酸化物粉末の製造方法
JP2002211907A (ja) * 2000-12-28 2002-07-31 Japan Science & Technology Corp 複合酸化物およびその製造方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0723201B2 (ja) * 1987-09-22 1995-03-15 トヨタ自動車株式会社 複合酸化物粉末の製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11228139A (ja) * 1998-02-06 1999-08-24 Toyota Central Res & Dev Lab Inc チタン含有複合酸化物粉末の製造方法
JP2002211907A (ja) * 2000-12-28 2002-07-31 Japan Science & Technology Corp 複合酸化物およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006273697A (ja) 2006-10-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4874574B2 (ja) ペロブスカイト型セラミックスの製造方法
JP4533209B2 (ja) 酸化物系セラミックスおよびその製造方法
JP5327677B2 (ja) BaTi2O5系強誘電性セラミックス製造方法
Ichikawa et al. Fabrication and characterization of (100),(001)-oriented reduction-resistant lead-free piezoelectric (Ba, Ca) TiO3 ceramics using platelike seed crystals
JP2006273696A (ja) 誘電体セラミックス
JP4766931B2 (ja) 誘電体セラミックスおよびその製造方法
JP5114013B2 (ja) 誘電体セラミックスの製造方法
JP4789286B2 (ja) 誘電体セラミックスの製造方法
JP5069444B2 (ja) 誘電体セラミックスの製造方法
JP3827131B2 (ja) 圧電材料およびその製造方法
JP4569491B2 (ja) 圧電材アクチュエータ
JP4989044B2 (ja) 誘電体セラミックスの製造方法
JP2006347823A (ja) 燃焼合成方法および誘電体セラミックス
JP2006347824A (ja) 燃焼合成方法および酸化物系セラミックス
JP2008105915A (ja) 燃焼合成方法および燃焼合成装置
JP2007055873A (ja) 誘電体セラミックスおよびその製造方法
JP2007055872A (ja) 誘電体セラミックスおよびその製造方法
JP5128782B2 (ja) 誘電体セラミックスの製造方法
KR101954075B1 (ko) 자전연소합성법을 이용한 안정화 지르코니아 제조방법 및 이 방법으로 제조된 안정화 지르코니아
JP2006347821A (ja) 反応装置材および燃焼合成方法
JP2006347819A (ja) 誘電体セラミックスおよびその製造方法
JP2007063036A (ja) 誘電体セラミックスおよびその製造方法
JP2007141531A (ja) 燃焼合成方法および誘電体セラミックス
JP2008056530A (ja) 誘電体セラミックスおよびその製造方法
JP2007261891A (ja) 誘電体セラミックスおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080306

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100112

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100202

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100302

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100421

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100525

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100611

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130618

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees