JP2007055873A - 誘電体セラミックスおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
低コストかつ安全に燃焼合成法により得られ、優れた焼結体特性を有する誘電体セラミックスおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 組成式MTiO3(M は2族元素)または組成式 BaRe2Tim2m+4(式中 3 ≦ m ≦ 7 ; m は整数 Re は希土類元素 )で表される誘電体セラミックスの製造方法であって、比表面積が 0.01〜2 m2/gの水素化チタン粉末と、比表面積が 0.01〜2 m2/gのチタン粉末と、酸素供給源となる物質を少なくとも含む反応原料をそれぞれ所定割合で配合し、断熱火炎温度が1500℃以上である燃焼合成法により得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、組成式 MTiO3、組成式 BaRe2Tim2m+4(式中 3 ≦ m ≦ 7 ; m は整数 Re は希土類元素 )等で表され燃焼合成方法により得られる酸化物系の誘電体セラミックス、特に水素化Ti粉末とTi粉末とを反応原料とした該誘電体セラミックスおよびその製造方法に関する。
酸化物系の誘電体セラミックス(一般式ABO3)は、一般式中のA、Bの組み合わせによって、誘電性、超伝導性、プロトン伝導性等に優れるため種々の用途に利用されている。この誘電体セラミックスの代表的なものとしては、セラミックコンデンサーに使用されるBaTiO3、圧電・焦電セラミックスの主要材料であるPZT(PbZrO3−PbTiO3)、燃料電池用の高温型プロトン伝導性酸化物であるSrCeO3、BaCeO3、CaZrO3、SrZrO3、BaZrO3などが挙げられる。
また、低い誘電損失および良好な温度安定性を同時に有する誘電体セラミックスとして、BaRe2Ti514、BaRe2Ti412等が知られており(Re:希土類元素、以下に同じ)、多種の用途に使用されている。これらは、常誘電相をベースとすることで、誘電損失を低く抑えている。
従来の上記各種の誘電体セラミックスの合成には、1000℃から2000℃前後に加熱できる炉を用いて外部加熱を行なわなくてはならなかった。このため、セラミックスの合成には、膨大なエネルギーと大型の加熱機構を必要とし、これが製造コストを高くする原因となっている。
これに対し、外部加熱を行なわない製造方法として、燃焼合成法(自己伝播高温合成(self propagating high temperature synthesis:SHS))によるセラミックス粉末の合成が提案されている。該方法は、金属間化合物やセラミックスの生成時の発熱を利用するものであり、化合物の構成元素となる粉体をよく混合して圧粉体をつくり、その一部に高熱を与えると着火して、生成熱を発しながら合成反応が進行することで焼結体を得る方法である。燃焼合成法を利用するものとして、例えば、1種類の金属酸化物と2種類の異なる金属元素の計3種類の原料を出発原料とし、金属間化合物あるいは非酸化物セラミックスと酸化物セラミックスの2種類を合成する方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、本出願人は、発熱源として比表面積を限定した純Ti粉末を含む反応原料を用いること等により、燃焼合成反応で酸化物系の誘電体セラミックスを製造する方法を出願している(例えば、特願2005−99073)。
しかしながら、上記特許文献1の燃焼合成法では酸化物系の誘電体セラミックスを製造することができない。一方、発熱源として比表面積を限定した純Ti粉末を含む反応原料を用いること等により、燃焼合成反応で酸化物系の誘電体セラミックスを製造することができる。しかし、発熱源として純Ti粉末のみを用いる場合、反応原料中のTi粉末の配合割合が多くなり、純Ti粉末は活性度が高いことから静電気等によって粉塵爆発を起こす可能性がある。よって、該反応原料の混合には注意が必要であり、熟練した技術や安全に作業可能な設備を必要としていた。
また、純Ti粉末は高価であり、該純Ti粉末の配合量が増えると誘電体セラミックスの製造コストが高くなるという問題がある。
一方、燃焼合成法において燃焼波を完全に伝播させるためには、発熱源となる金属粉末等の物性(比表面積)、配合割合が重要となり、該方法により所望組成のセラミックスを高品位で製造することは容易ではない。例えば、発熱源成分である金属粉末が安定すぎる場合等では、燃焼波が完全に伝播せず、未反応成分が混入する等して誘電特性が劣化するという問題がある。
特開平5−9009号公報
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、低コストかつ安全に燃焼合成法により得られ、優れた焼結体特性を有する誘電体セラミックスおよびその製造方法の提供を目的とする。
本発明の誘電体セラミックスは、比表面積が 0.01〜2 m2/gの水素化チタン粉末(Ti(H))と、比表面積が 0.01〜2 m2/gのチタン粉末と、酸素供給源となる物質を少なくとも含む反応原料をそれぞれ所定割合で配合し、断熱火炎温度が1500℃以上である燃焼合成法により得られることを特徴とする。本発明において各元素記号は、それぞれBa(バリウム)、Ti(チタン)、O(酸素)、H(水素)を示す。
上記反応原料は、TiO2が含まれることを特徴とする。
上記誘電体セラミックスは、組成式MTiO3(M は2族元素)で表され、上記反応原料として、2族元素Mの炭酸塩が含まれることを特徴とする。
上記誘電体セラミックスは、組成式 BaRe2Tim2m+4(式中 3 ≦ m ≦ 7 ; m は整数 Re は希土類元素 )で表され、上記反応原料として、Re酸化物またはRe水酸化物と、Ba過酸化物とが含まれることを特徴とする。
本発明のチタン系の誘電体セラミックスの製造方法は、比表面積が 0.01〜2 m2/gの水素化チタン粉末と、比表面積が 0.01〜2 m2/gのチタン粉末と、酸素供給源となる物質とを少なくとも含む反応原料をそれぞれ所定割合で配合する工程と、上記所定割合で配合された配合物を断熱火炎温度が1500℃以上である燃焼合成法により反応させる工程とを備えることを特徴とする。
本発明の誘電体セラミックスは、水素化Ti粉末と、Ti粉末と、酸素供給源となる物質を少なくとも含む反応原料を用いて、断熱火炎温度が 1500℃以上の燃焼合成により得られるので焼結体特性に優れる。純Ti粉末と、安定である水素化Ti粉末とを併用するので、反応原料混合時の取り扱いが容易となるとともに、純Ti粉末のみ用いる場合と比較して低コスト化が図れる。
本発明の誘電体セラミックスの製造方法は、上記原料を用い、水素化Ti粉末およびTi粉末の比表面積を所定範囲とすること等により、燃焼合成法で酸化物系の誘電体セラミックスを製造することができる。純Ti粉末と、安定な水素化Ti粉末とを併用するので、反応原料の混合を安全に行なうことができる。また、燃焼合成法を用いることにより、従来の外部加熱を行なう方法と比較して、低コスト、短時間で誘電体セラミックスを製造することができる。
本発明の誘電体セラミックスは、組成式MTiO3(M は2族元素)、組成式 BaRe2Tim2m+4(式中 3 ≦ m ≦ 7 ; m は整数 Re は希土類元素 )等で表される酸化物系の誘電体セラミックスであり、比表面積が 0.01〜2 m2/gの水素化Ti粉末と、比表面積が 0.01〜2 m2/gのTi粉末と、酸素供給源となる物質を少なくとも含む反応原料をそれぞれ所定割合で配合し、断熱火炎温度が1500℃以上である燃焼合成法により得られる。
上記組成式MTiO3(M は2族元素)の誘電体セラミックスを得るための燃焼合成反応系としては、例えば、水素化Ti粉末と、Ti粉末と、2族元素Mの炭酸塩と、過塩素酸ナトリウムとを少なくとも含む反応原料を用いる反応系が挙げられる。
この反応系としては、水素化Ti粉末、Ti粉末、M金属炭酸塩、および酸素供給源となるNaClO4のみ、または、これにTi酸化物を加えたものであることが反応生成物が洗浄性に優れ、圧電性、誘電特性に優れるので好ましい。
例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)の場合、以下の化学反応式にしたがって生成する。各反応原料である、水素化Ti粉末(Ti(H))、Ti粉末、2族炭酸塩(BaCO3)は反応に必要なそれぞれのモル質量に相当する量を配合するが、酸素供給源となるNaClO4は、反応に必要なモル質量以上( z ≧ 0.5 )を配合できる。
また、水素化Ti粉末は燃焼合成時において水素を放出するため、NaClO4を過剰に配合しておき、該水素化Ti由来の水素を、酸素と反応させて水として取り出すことが好ましい。

xTi+yTi(H)+BaCO3+zNaClO4 →BaTiO3+CO2↑+0.5NaCl+(H2↑)
ここで、x + y = 1 , 0.2 ≦ x ≦ 0.8 , z ≧ 0.5 である。
水素化Ti粉末(Ti(H))は、Ti粉末に比べて、発熱、酸化、窒化等が起こりにくく安定しており、また、純Ti粉末と比較して約3割安価であるので、水素化Ti粉末の配合割合を燃焼合成可能な範囲内で多くすることで、コスト低減が図れる。水素化Ti粉末は略 400 ℃以上で分解し水素を発生する。なお、本発明において水素化Tiを化学式Ti(H)で表現するが、これは水素を含有しているTiであることを意味するものであり水素化Ti粉末 1 kg 中に約 450 リットルの水素が含有されている。
本発明で使用するTi粉末および水素化Ti粉末は、微粉末であることが好ましく、比表面積が0.01〜2 m2/gである。燃焼波が伝播し、かつ取り扱いやすいので好ましい比表面積の範囲は 0.1〜0.6 m2/g である。比表面積が0.01 m2/g 未満の場合、発熱源となるTi粉末および水素化Ti粉未と酸素供給源となる物質との接触面積が少ないため、燃焼波が伝播せず、誘電体セラミックスが合成できない場合がある。また、比表面積が 2 m2/g をこえるものは極めて活性であり、取り扱いが困難となるため好ましくない。なお、本発明において水素化Ti粉未の比表面積は、BET法により測定された値をいう。
本発明で使用できる水素化Ti粉末の市販品としては、住友チタニウム社製 TSH−100、TSH−350、TMH−100、TMH−350、TSHT等が挙げられる。また、Ti粉末の市販品としては、住友チタニウム社製 TSP−100、TSP−350、TMP−100、TMP−350、TILOP−45等が挙げられる。
燃焼合成に使用できるTi粉末および水素化Ti微粉末は、平均粒子径が同一であっても、比表面積が異なると反応性に差が認められた。すなわち、球状よりも比表面積が大きくなる形状の金属粉末を用いると燃焼合成反応がより速やかに進行した。比表面積が大きくなる形状としては、球状粒子表面に複数の凹凸が形成された粒子、粒子全体としていびつな形状の粒子、またはこれらの組み合わせがある。
本発明に使用できる平均粒子径としては 150μm 以下、好ましくは 0.1〜100μm である。150μmをこえると、他の原材料との混合が十分でなくなり、燃焼波が伝播しない場合が生じる。
表面に凹凸が形成された粒子またはいびつな形状の平均粒子径の測定方法は、画像解析法が好ましい。
また、酸化チタン(TiO2)を併用することができる。TiO2 は、燃焼合成反応において反応希釈剤として働き、該TiO2の配合量を調整することで断熱火炎温度を制御できる。具体的には、TiO2の配合割合を上げると、反応の進行速度が低下し、断熱火炎温度が下がる。
また、一般に金属単体とするためには精製が必要であり、例えば、Ti粉末および水素化Ti粉末はTiO2よりコストが高いので、Ti粉末、水素化Ti粉末とTiO2 とを併用することにより、コスト削減を図れるという効果も有する。
上記組成式MTiO3における、2族元素Mとしては、好ましくは2族A元素である。具体的には、上記反応式で例示したバリウム(Ba)の他、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、ラジウム(Ra)が挙げられ、その中でも特にCa、Sr、Baが上記水素化Ti粉末との組み合わせにおいて圧電性、誘電特性に優れるセラミックスが得られるので好ましい。
2族A元素は単独でもあるいは混合しても使用できる。また、これら2族A元素と同時に配合できる元素としては、Rf、Sn、Sb、Te、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Bi、Po、At等が挙げられる。
2族A元素は主に炭酸塩の形で使用される。2族A元素からなる炭酸塩としては、BeCO3、MgCO3、CaCO3、SrCO3、BaCO3、RaCO3等がある。その中で特にCaCO3、SrCO3、BaCO3が取り扱いに優れるので好ましい。
酸素供給源としては、加熱により酸素を発生させるイオン結合性物質が配合される。該イオン結合性物質としては、上記反応式で例示したNaClO4の他、KClO3、NaClO3、NH4ClO3等の塩素酸塩類、KClO4、NH4ClO4等の過塩素酸塩類、NaClO2などの亜塩素酸塩類、KBrO3などの臭素酸塩類、KNO3、NaNO3、NH4NO3等の硝酸塩類、NaIO3、KIO3等のよう素酸塩類、KMnO4、NaMnO4・3H2Oの過マンガン酸塩類、K2Cr27、(NH42Cr27等の重クロム酸塩類、NaIO4などの過よう素酸塩類、HIO4・2H2Oなどのメタよう素酸、CrO3などの無水クロム酸塩、NaNO2などの亜硝酸塩、Ca(ClO)2・3H2Oなどの次亜塩素酸カルシウム三水塩類等が挙げられる。
これらの中で過塩素酸塩類、塩素酸塩類、亜塩素酸塩類が好ましく、特にNaClO4、KClO4は、副生成物であるNaCl、KClが繰り返し純水で洗浄することで除去できるので好適である。なお、過塩素酸塩類の場合、生成する炭酸ガスがガス化するため、合成粉末には残存しない。
上記組成式 BaRe2Tim2m+4(式中 3 ≦ m ≦ 7 ; m は整数 Re は希土類元素 )の誘電体セラミックスを得るための燃焼合成反応系としては、例えば、m=5、ReがNd(ネオジム)であるBaNd2Ti514を合成する場合、水素化Ti粉末と、Ti粉末と、Nd酸化物またはNd水酸化物と、Ba過酸化物と、過塩素酸ナトリウムとを少なくとも含む反応原料を用いる反応系が挙げられる。
上記の各反応原料を所定割合で配合した後、断熱火炎温度が 1500℃以上である燃焼合成法により誘電体セラミックスが得られる。該反応系の化学反応式は下記式(1)または(2)に示すとおりである。
Figure 2007055873
反応希釈剤としてTiO2 を含む場合には、上記式(1)および(2)において x + y ≠10 である。x + y =1である場合、Ti粉末および水素化Ti粉末の量が少なく発熱源が不足するため、燃焼波が伝播せず焼結体を得ることができない。また、TiO2 を完全に含有しない場合( x + y =10)では、反応が急激に進行し、合成粉がチャンバー内に飛散するため、合成粉の回収が困難となる場合がある。
各反応原料を所定割合で配合するとは、上記式を満たすモル質量比で配合することをいう。すなわち、上記式(1)の場合、Ti粉末の配合モル質量を x モル、水素化Ti粉末の配合モル質量を y モルとすると、TiO2 は(10-x-y)モル、少なくともNaClO4 は(x+y-1)/2モルとなり、水素化Ti粉末の配合モル質量に関係なく、BaO2 は 2 モル、Nd23 は 2 モル配合する。上記式(2)の場合は、Nd23の代わりにNd(OH)2を 4 モル、少なくともNaClO4 を (x+y)/2 モル配合する。なお、各式における、NaClO4の配合割合は、最小の配合割合である。燃焼合成時において水素化Tiから放出される水素を、NaClO4の酸素と反応させて水として取り出すために、該反応式における配合割合よりも過剰に配合することが好ましい。
この割合で各反応原料を配合して燃焼合成することにより、目的のBaNd2Ti514 を容易に短時間で得ることができる。また、副生成物もNaCl、H2、H2Oのみであり、後述する水洗浄等により容易に分離することができる。なお、生成した水は、炉壁に付着するので、拭き取ることで取り除くことができる。
Ti粉末および水素化Ti粉末(両粉末を併せて、発熱源粉末とする)と、安定成分であるTiO2 との配合比は上記式(1)または(2)中における x+y の値(発熱源粉末の配合モル質量)で決定される。BaNd2Ti514 合成時における好ましい x+y の範囲としては、3 ≦ x+y ≦ 8 である。x+y が 3 未満であると、発熱源粉末が不足するとともに、反応希釈剤として働くTiO2 が多すぎるため、燃焼波が完全には伝播しないこと等により焼結体特性に劣る可能性がある。また、x+y が 8 を越えると発熱源量が多く反応の進行が急激になり飛散等の問題が生じる可能性がある。
希土類元素Reの供給源としては、希土類元素の酸化物(Re23)または水酸化物(Re(OH)2)を使用する。Reとしては、上記反応式で例示したNd(ネオジム)の他、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)が挙げられる。これらの中で工業的に特に重要となるのは、La、Pr、Nd、Sm等である。
本発明の誘電体セラミックス(BaRe2Tim2m+4)におけるReは、上記希土類元素が1種単独であっても、2種以上を混合したものであってもよい。
上記式(1)および(2)に示す反応系における、Ti粉末、水素化Ti粉末、酸素供給源となる物質についての詳細は、上述の組成式MTiO3の反応系の場合と同様である。
上記各反応系における反応原料をそれぞれ所定割合で配合する工程において、反応原料の混合は、ボールミル、乳鉢と乳棒等を用いた混合等特に制限されることなく使用できる。特に量産性に優れているボールミルを用いる混合が好ましい。水素化Ti粉末を併用することにより、粉砕が容易であるとともに、安全に作業を行なうことができる。
混合粉末は、るつぼに投入して燃焼合成を行なうが、そのるつぼの材質としては好ましくは非酸化物である炭素(C)、炭化珪素(SiC)、窒化珪素Si34 等が使用できる。これらの中で炭素(C)材が熱伝導と形状加工性に優れているので好ましい。
混合粉末をるつぼへ投入する方法としては、混合粉末をパウダーベット状に敷き詰めたり、敷き詰めた後圧縮したり、ペレット状に押し固めたものをるつぼへ投入する方法等が使用できる。
上記所定割合で配合された配合物を燃焼合成法により反応させる。燃焼合成法の条件について、反応系の断熱火炎温度は 1500℃以上である。1500℃以上であれば、燃焼波が伝播するからである。
燃焼合成はチャンバー内で行なうが、その雰囲気としては、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)等の希ガス雰囲気が好ましい。なお、反応生成物の誘電特性を劣化させなければ、窒素ガス、炭酸ガス雰囲気等を利用することも可能である。また、酸素分圧を制御可能であれば、酸素ガスを使用することも可能である。
燃焼合成を開始させるための混合粉末への着火方法は、金属粉が着火発熱可能となる方法であれば特に限定されない。カーボンフイルムを着火発熱させて熱源とし、混合粉末に接触させて着火発熱させる方法が取り扱いに優れているので好ましい。
反応生成物は、るつぼ中において塊状である。該反応生成物の粉砕は、平均粒径が 100μm 以下となる粉砕方法であれば特に限定されず、ジェットミル、ボールミル、乳鉢と乳棒等で行なうことができる。平均粒径が 100μm をこえると、後工程の洗浄工程での洗浄が十分でなくなり、副生成物であるイオン結合性塩が残留しやすくなる。
粉砕工程後の微粉末には、副生成物であるイオン結合性塩が含まれている場合がある。例えばNaClO4を原料に用いた場合はNaClが、KClO4を原料に用いた場合はKClがそれぞれ生成する。水で洗浄することでこれらの塩を除去できる。
塩類が燃焼合成反応後の合成粉末に存在すると焼結性が阻害される。焼結性を阻害しない程度まで塩類を減らす基準としては、洗浄液の電気伝導率が 150μS/cm 以下である。すなわち洗浄回数、洗浄量の如何にかかわらず、上記合成粉末を水で洗浄したとき洗浄後の洗浄水の電気伝導率が150μS/cm以下であればよい。
洗浄に用いる水の電気伝導率は50μS/cm未満が好ましい。50μS/cm以上であると、溶出したNa、Clなどのイオン性物質の量が十分に少なくても、洗浄液の電気伝導率が高くなる。電気伝導率が50μS/cm未満の洗浄水としては、取り扱い上、蒸留水などの純水が特に好ましい。洗浄容器に微細化された合成粉末と洗浄液を入れ、超音波洗浄を行ない、副生成物をNa、Clなどのイオンにして純水に溶出させる。洗浄液の交換回数を増やす、あるいは合成粉末に対する洗浄液量を増やすことで、除去量を増すことが可能となる。溶出を促進させるには、洗浄液の温度を上げることも効果的である。副生成物のイオン性物質の残存量が多くなると、セラミックス粉末を焼成する際、イオン性物質が焼結を阻害するので好ましくない。残存イオン性物質を管理する手法として、洗浄液の電気伝導率の測定がある。洗浄後の洗浄水の電気伝導率が150μS/cmをこえると、誘電体セラミックスの焼結性を阻害するので好ましくない。
以上の工程により誘電体セラミックス(合成粉末)が得られる。また、用途に応じて、洗浄乾燥後、該粉末を焼結してもよい。焼結するとき、ポリビニルブチラールなどの成形用粘結剤を配合できる。焼結条件としては、10〜100MPaの圧力で成形後、大気雰囲気下、1200〜1500℃の温度で焼成する条件が挙げられる。
また、燃焼合成で得られた合成粉末の結晶構造をさらに安定させたり、微量な不純物を除去するため、900〜1100℃で仮焼することも可能である。
得られる誘電体セラミックスは、理論密度に近く緻密化され、優れた誘電特性を有するので、誘電体アンテナ、コンデンサ、誘電体共振器、フィルター、圧力センサ、超音波モータ等に使用できる。
実施例1〜実施例8、比較例1〜比較例3
Ti粉末(住友チタニウム社製TSP−350)、水素化Ti粉末(住友チタニウム社製TSH−350)、TiO2、2族炭酸塩、酸素供給源となるNaClO4をそれぞれ表1に示すモル質量比でボールミルを用いて5時間混合することにより混合粉末を得た。なお、Ti粉末および水素化Ti粉末は、分級して表1に示す所定の比表面積であるものを入手した。
合成装置内のチャンバー内にカーボンるつぼを設置し、混合粉末(100g)をカーボンるつぼ内に敷き詰め、着火用のカーボンフイルムを混合粉の一部と接触させて、チャンバーを閉じた。真空ポンプを用いて、チャンバー内の残留酸素を減少させた後、アルゴン(Ar)ガスを封入し、チャンバーの内圧を 0.1 MPaとした。
実施例9〜実施例16、比較例4〜比較例6
Ti粉末(住友チタニウム社製TSP−350)、水素化Ti粉末(住友チタニウム社製TSH−350)、TiO2、希土類酸化物または希土類水酸化物、酸素供給源となるNaClO4をそれぞれ表3に示すモル質量比でボールミルを用いて5時間混合することにより混合粉末を得た。なお、Ti粉末および水素化Ti粉末は、分級して表1に示す所定の比表面積であるものを入手した。
合成装置内のチャンバー内にカーボンるつぼを設置し、混合粉末(100g)をカーボンるつぼ内に敷き詰め、着火用のカーボンフイルムを混合粉の一部と接触させて、チャンバーを閉じた。真空ポンプを用いて、チャンバー内の残留酸素を減少させた後、アルゴン(Ar)ガスを封入し、チャンバーの内圧を 0.1 MPaとした。
燃焼合成の可否を表1および表3にそれぞれ示す。合成粉末および副生成物(NaCl)が得られたものについて、アルミナ製乳鉢を用いて合成粉末を粉砕し、平均粒子径が1μmの未洗浄誘電体セラミックス粉末を得た。
上記未洗浄誘電体セラミックス粉末を十分水洗し、この粉末に付着したNaClを除去して誘電体セラミックスを得た。
得られた誘電体セラミックス粉末の結晶相の同定をX線回折装置(XRD)を用いて行なった。結果を表1および表3にそれぞれ示す。また、比誘電率および誘電正接を以下の方法で測定した。
得られた誘電体セラミックス粉末に成形用バインダ(ポリビニルブチラール樹脂)を1質量%添加して混合した。次に混合粉末を10mmx80mmの金型に投入し、1.5トン/cm2の圧力を加えてグリーン体(10mmx90mmx3mm)を得た。このグリーン体を600℃で1時間保持し、有機分を除去した後、1300℃で3時間焼成した。得られた焼結体を70mmx1.5mmx1.5mmの試験片に加工し、空洞共振器法を用いて、1、3、5GHzの周波数帯で比誘電率および誘電正接を測定した。結果を表2および表4にそれぞれ示す。
Figure 2007055873
Figure 2007055873
Figure 2007055873
Figure 2007055873
表1および表3より、すべての実施例において燃焼波が伝播し、誘電体セラミックスを得ることができた。表2および表4より各実施例で得られた誘電体セラミックスは、優れた誘電体特性を有する。また、各実施例では、炉壁に水が付着していた。これは、NaClO4を必要量の 1.1倍 配合したことにより、この過剰分の酸素が水素化Ti粉末から発生する水素と反応し、水が発生したためと考えられる。
また、比較例1および比較例4では、Ti粉末および水素化Ti粉末の比表面積が 0.01 より小さいため、燃焼波が伝播せず、合成粉を得ることができなかった。比較例2および比較例5では、断熱火炎温度が1500℃より低いため、燃焼波が伝播せず、合成粉を得ることができなかった。
本発明の誘電体セラミックスは、理論密度に近く緻密化され、優れた誘電特性を有するので、誘電体アンテナ、コンデンサ、誘電体共振器、フィルター、圧力センサ、超音波モータ等に使用できる。

Claims (5)

  1. 比表面積が 0.01〜2 m2/gの水素化チタン粉末と、比表面積が 0.01〜2 m2/gのチタン粉末と、酸素供給源となる物質を少なくとも含む反応原料をそれぞれ所定割合で配合し、断熱火炎温度が1500℃以上である燃焼合成法により得られることを特徴とする誘電体セラミックス。
  2. 前記反応原料は、TiO2が含まれることを特徴とする請求項1記載の誘電体セラミックス。
  3. 前記誘電体セラミックスは、組成式MTiO3(M は2族元素 )で表され、前記反応原料として、2族元素Mの炭酸塩が含まれることを特徴とする請求項1記載の誘電体セラミックス。
  4. 前記誘電体セラミックスは、組成式 BaRe2Tim2m+4(式中 3 ≦ m ≦ 7 ; m は整数 Re は希土類元素 )で表され、前記反応原料として、Re酸化物またはRe水酸化物と、Ba過酸化物とが含まれることを特徴とする請求項1記載の誘電体セラミックス。
  5. チタン系の誘電体セラミックスの製造方法であって、
    比表面積が 0.01〜2 m2/gの水素化Ti粉末と、比表面積が 0.01〜2 m2/gのTi粉末と、酸素供給源となる物質とを少なくとも含む反応原料をそれぞれ所定割合で配合する工程と、
    前記所定割合で配合された配合物を断熱火炎温度が1500℃以上である燃焼合成法により反応させる工程とを備えることを特徴とする誘電体セラミックスの製造方法。
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