JP2006327902A - ペロブスカイト型セラミックスおよびその製造方法 - Google Patents

ペロブスカイト型セラミックスおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 燃焼合成により得られ、優れた焼結体特性を有するペロブスカイト型セラミックスおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 ペロブスカイト型結晶構造を有するセラミックスであって、比表面積が 0.01〜2 m2/gの4族元素を含む金属粉末と、2族元素を含む元素の炭酸塩と、過塩素酸ナトリウムとを少なくとも含む反応原料をそれぞれ所定割合で配合し、断熱火炎温度が1500℃以上である燃焼合成法により得られる。また、上記4族元素は、チタンであり、上記2族元素は、ストロンチウム、バリウムおよびカルシウムから選ばれた少なくとも1つの元素である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ペロブスカイト型結晶構造を有するセラミックスおよびその製造方法に関する。
ペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物系セラミックス(一般式ABO3、以下ペロブスカイト型セラミックスと称する)は、一般式中のA、Bの組み合わせによって、誘電性、超伝導性、プロトン伝導性等に優れるため種々の用途に利用されている。ペロブスカイト型セラミックスの代表的なものとしては、セラミックコンデンサーに使用されるBaTiO3、圧電・焦電セラミックスの主要材料であるPZT(PbZrO3−PbTiO3)、燃料電池用の高温型プロトン伝導性酸化物であるSrCeO3、BaCeO3、CaZrO3、SrZrO3、BaZrO3などが挙げられる。
ペロブスカイト型セラミックスの製造方法として、固相法による、酸化チタンと炭酸バリウムとを原料に用いたチタン酸バリウム(BaTiO3)の製造過程における化学反応式を下記式(1)〜(3)に示す。加熱昇温に伴い、最初に原料の一部において式(1)で示す反応が起こり、その後に式(2)で示す反応が起こる。最後に式(3)で示す反応により目的とするBaTiO3が得られる。
(1)BaCO3 +TiO2 →BaTiO3 +CO2
(2)BaCO3 +BaTiO3 →Ba2TiO4+CO2
(3)Ba2TiO4+TiO2→2BaTiO3
上記のようにBaTiO3 が形成されるまでに多段階の反応過程を経るため、完全に反応を終了させるためには、仮焼すなわち熱処理温度を高く設定する必要がある。また、該仮焼き温度を高くし、仮焼き時間を長くすることにより、BaTiO3粉末の正方晶性および結晶性を高めることができるとされている。
上記のペロブスカイト型セラミックスの製造方法に示すように、従来のセラミックスの合成時には、高温、例えば1000℃から2000℃前後に加熱できる炉を用いて外部加熱を行なう必要がある。このため、セラミックスの合成には、膨大なエネルギーと大型の加熱機構を必要とし、これが製造コストを高くする原因となっている。
このような外部加熱を行なわない製造方法として、燃焼合成法によるセラミックス粉末の合成が提案されている(特許文献1参照)。
燃焼合成法は、外部加熱を必要とすることなく、化合時に放出される大量の化学熱反応を利用して連鎖的に物質を合成する方法である。
上記特許文献1による製造方法では、1種類の金属酸化物と2種類の異なる金属元素の計3種類の原料を出発原料とし、金属間化合物あるいは非酸化物セラミックスと酸化物セラミックスの2種類を合成している。例えば、酸化ニッケル粉末とアルミニウム粉末とアルミナ粉末とを混合し成形体とした後、高圧反応容器内に収納し、アルゴン雰囲気下で該成形体の上端面を着火することによりアルミニウム粉末の酸化燃焼反応を誘導し、還元されたニッケルが過剰に添加したアルミニウムと反応してNiAlを合成しながら、燃焼反応が連鎖的に進行する。その結果、外部加熱なしに金属間化合物の1つであるNiTiのインゴットを製造することができる。
しかしながら、上記の場合、同時に合成されるAl23はNiTiに対する濡れ性や比重、粘性、融点および熱力学的安定性の違いから、NiTiから容易に分割できるとされているが、これら2種類の合成物を正確に分離することは困難である。例えば洗浄水で洗浄してもAl23は水に溶解しないので分離できない。
加熱により酸素を発生するイオン結合性物質を含む出発原料を用いて、燃焼合成法で酸化物系セラミックスを製造すると、副生物として残存するイオン結合性物質がその後の酸化物系セラミックスの焼結を阻害するという問題がある。
また、上記特許文献1の燃焼合成法で得られる酸化物系セラミックスの構造は、ペロブスカイト型結晶構造ではなく、該燃焼合成法によるペロブスカイト型セラミックスの製造方法については、開示されていない。
特開平5−9009号公報
本発明は、このような問題に対処するためになされたものであり、燃焼合成により得られ、優れた焼結体特性を有するペロブスカイト型セラミックスおよびその製造方法の提供を目的とする。
本発明のペロブスカイト型セラミックスは、ペロブスカイト型結晶構造を有するセラミックスであって、比表面積が 0.01〜2 m2/gの4族元素を含む金属粉末と、2族元素を含む元素の炭酸塩と、過塩素酸ナトリウムとを少なくとも含む反応原料をそれぞれ所定割合で配合し、断熱火炎温度が1500℃以上である燃焼合成法により得られることを特徴とする。
また、上記4族元素はチタンであることを特徴とする。
また、上記2族元素はストロンチウム、バリウムおよびカルシウムから選ばれた少なくとも1つの元素であることを特徴とする。
また、上記加熱により酸素を発生する物質は過塩素酸ナトリウムであることを特徴とする。
また、上記反応原料は、上記4族元素の金属酸化物が含まれることを特徴とする。
本発明のペロブスカイト型セラミックスの製造方法は、ペロブスカイト型結晶構造を有するセラミックスの製造方法であって、4族金属粉末と、2族炭酸塩と、過塩素酸ナトリウムとを少なくとも含む反応原料をそれぞれ所定割合で配合する工程と、上記所定割合で配合された配合物を断熱火炎温度が1500℃以上である燃焼合成法により反応させる工程と、上記反応された反応生成物を粉砕する工程と、上記粉砕された粉末を水で洗浄する工程とを備えることを特徴とする。
4族金属粉末と、2族炭酸塩と、酸素発生物質である過塩素酸ナトリウムとを少なくとも含む反応原料を用いて、断熱火炎温度が1500℃以上の燃焼合成により、焼結体特性に優れたペロブスカイト型セラミックスが得られる。
また、本発明のペロブスカイト型セラミックスの製造方法によれば、合成粉末を微粉化した後、水で洗浄することで十分な副生成物の除去が可能となるので、理論密度に近い焼結体が得られる。
ペロブスカイト型セラミックスの結晶構造を図1を参照して説明する。図1は、ペロブスカイト型結晶構造の単位格子を示す図である。ペロブスカイト構造の一般式はABX3であり、特に酸化物系である場合には、ABO3として表される。図1において、黒球はA、斜線を付した球はB、白球は酸素原子(O)を表す。
図1に示すように、立方体(立方晶)の8つの頂点位置にA原子が、体心位置にB原子が、面心位置にO原子が位置したもので、B原子とO原子は8面体を構成し、B原子がその中心にくる。上記立方体(立方晶)が理想型であり、A、Bの原子種類、温度条件、電界条件などにより、ひずんで直方体(正方晶)等となる。ペロブスカイト型セラミックスは、室温では理想的な立方晶構造からわずかに歪んだ構造をしており、この適度な歪、いわゆる構造の非対称性が、該ペロブスカイト型セラミックスが様々な特性を示す原因となっている。
また、一般的にAとBの原子価は足して平均で3価になるような組み合わせであればペロブスカイト構造が成立し、例えばA2+4+3、A+5+3、A3+3+3などの組み合わせがある。
本発明では、4族元素を含む金属粉末と、2族元素を含む元素の炭酸塩とを原料として用いるので、本発明のペロブスカイト型セラミックスの一般式は、A2+4+3となり、図1においてAが炭酸塩由来、Bが金属粉末由来となる。
出発原料となる4族元素を含む金属としては、好ましくは4族元素単独であり、より好ましくは4族A元素である。具体的には、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)が挙げられ、その中でも特にTiまたはZrが誘電特性、圧電特性などに優れるペロブスカイト型セラミックスが得られるので好ましい。
4族A元素は単独でもあるいは混合しても使用できる。また、これら4族A元素と同時に配合できる元素としては、ラザホージウム(Rf)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセジウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロビウム(Eu)、ビスマス(Bi)、ポロニウム(Po)、アスタチン(At)等が挙げられる。
4族元素を含む金属の形状は、微粉末であることが好ましく、比表面積が0.01〜2 m2/gである。燃焼波が伝播し、かつ取り扱いやすいので好ましい比表面積の範囲は 0.1〜0.6 m2/g である。比表面積が0.01 m2/g 未満の場合、発熱源となる金属粉未と酸素供給源となる過酸化物の接触面積が少ないため、燃焼波が伝播せず、ペロブスカイト型セラミックスが合成できない場合がある。また、比表面積が 2 m2/g をこえる金属粉未は極めて活性であり、取り扱いが困難となるため好ましくない。
また、金属元素のみで使用することも可能であるが、該金属元素の金属酸化物を併用することもできる。該金属酸化物を併用することにより、コスト削減を図れる。
本発明において、金属粉未の比表面積は、BET法により測定された値をいう。
燃焼合成に使用できる金属微粉末は、平均粒子径が同一であっても、比表面積が異なると反応性に差が認められた。すなわち、球状よりも比表面積が大きくなる形状の金属粉末を用いると燃焼合成反応がより速やかに進行した。比表面積が大きくなる形状としては、球状粒子表面に複数の凹凸が形成された粒子、粒子全体としていびつな形状の粒子、またはこれらの組み合わせがある。
本発明に使用できる平均粒子径としては 150μm 以下、好ましくは 0.1〜100μm である。150μmをこえると、他の原材料との混合が十分でなくなり、燃焼波が伝播しない場合が生じる。
表面に凹凸が形成された粒子またはいびつな形状の平均粒子径の測定方法は、画像解析法が好ましい。
2族元素を含む元素としては、好ましくは2族元素単独であり、より好ましくは2族A元素である。具体的には、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)が挙げられ、その中でも特にCa、Sr、Baが上記金属粉末との組み合わせにおいて圧電性、誘電特性に優れるセラミックスが得られるので好ましい。
2族A元素は単独でもあるいは混合しても使用できる。また、これら2族A元素と同時に配合できる元素としては、Rf、Sn、Sb、Te、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Bi、Po、At等が挙げられる。
2族A元素は炭酸塩の形で使用される。2族A元素からなる炭酸塩としては、BeCO3、MgCO3、CaCO3、SrCO3、BaCO3、RaCO3等がある。その中で特にCaCO3、SrCO3、BaCO3が取り扱いに優れるので好ましい。
本発明は上記出発原料とともに、加熱により酸素を発生する酸素発生物質として過塩素酸ナトリウム(NaClO4)が配合される。NaClO4を用いることにより、副生成物であるNaClが繰り返し純水で洗浄することで除去できる。また、生成する炭酸ガスはガス化するため、合成粉末には残存しない。
4族金属粉末、2族炭酸塩、およびNaClO4とを少なくとも含む反応原料としては、4族金属粉末、2族炭酸塩、およびNaClO4のみ、または、これに4族金属酸化物を加えたものであることが洗浄性に優れ、圧電性、誘電特性に優れるので好ましい。
反応原料はそれぞれ所定割合で配合するが、燃焼合成反応においてペロブスカイト型セラミックスは、例えばチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)の場合、以下の化学反応式にしたがって生成する。各反応原料は、4族金属粉末と2族炭酸塩とは反応に必要なそれぞれのモル質量に相当する量を配合するが、酸素発生物質は反応に必要なモル質量以上を配合できる。

Ti+SrCO3+0.5NaClO4 → SrTiO3+CO2↑+0.5NaCl
4族金属粉末と、2族炭酸塩と、NaClO4とを少なくとも含む反応原料をそれぞれ所定割合で配合する工程において、反応原料の混合は、ボールミル、乳鉢と乳棒等を用いた混合等特に制限されることなく使用できる。特に量産性に優れているボールミルを用いる混合が好ましい。
混合粉末は、るつぼに投入して燃焼合成を行なうが、そのるつぼの材質としては好ましくは非酸化物である炭素(C)、炭化珪素(SiC)、窒化珪素Si34等が使用できる。これらの中で炭素(C)材が熱伝導と形状加工性に優れているので好ましい。
混合粉末をるつぼへ投入する方法としては、混合粉末をパウダーベット状に敷き詰めたり、敷き詰めた後圧縮したり、ペレット状に押し固めたものをるつぼへ投入する方法等が使用できる。
上記所定割合で配合された配合物を燃焼合成法により反応させる。
燃焼合成法の条件について、反応系の断熱火炎温度は1500℃以上である。1500℃以上であれば、燃焼波が伝播するからである。
燃焼合成はチャンバー内で行なうが、その雰囲気としては、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)等の希ガス雰囲気が好ましい。なお、反応生成物の誘電特性を劣化させなければ、窒素ガス、炭酸ガス雰囲気等を利用することも可能である。また、酸素分圧を制御可能であれば、酸素ガスを使用することも可能である。
燃焼合成を開始させるための混合粉末への着火方法は、金属粉が着火発熱可能となる方法であれば特に限定されない。カーボンフイルムを着火発熱させて熱源とし、混合粉末に接触させて着火発熱させる方法が取り扱いに優れているので好ましい。
燃焼合成反応は、外部加熱を必要とすることなく、着火部分より同時多発的に化学反応が進行し、各種の不定比化合物が合成される。このため、本発明においては、4族金属粉末、2族炭酸塩、およびNaClO4の配合割合が重要となる。
上記配合割合で燃焼合成反応させ、反応生成物を粉砕する工程を経て、水で洗浄することにより、理論密度に近い緻密化されるペロブスカイト型セラミックスが得られる。
反応生成物の粉砕は、平均粒径が100μm以下となる粉砕方法であれば特に限定されず、ジェットミル、ボールミル、乳鉢と乳棒等で行なうことができる。平均粒径が 100μmをこえると、後工程の洗浄工程での洗浄が十分でなくなり、副生成物であるイオン結合性塩が残留しやすくなる。
粉砕工程後の微粉末には、副生成物であるイオン結合性塩としてNaClが生成する。水で洗浄することでこれらの塩を除去できる。
塩類が燃焼合成反応後の合成粉末に存在すると焼結性が阻害される。焼結性を阻害しない程度まで塩類を減らす基準としては、洗浄液の電気伝導率が 150μS/cm 以下である。すなわち洗浄回数、洗浄量の如何にかかわらず、上記合成粉末を水で洗浄したとき洗浄後の洗浄水の電気伝導率が150μS/cm以下であればよい。
洗浄に用いる水の電気伝導率は50μS/cm未満が好ましい。50μS/cm以上であると、溶出したイオン性物質(Na、Cl)の量が十分に少なくても、洗浄液の電気伝導率が高くなる。電気伝導率が50μS/cm未満の洗浄水としては、取り扱い上、蒸留水などの純水が特に好ましい。洗浄容器に微細化された合成粉末と洗浄液を入れ、超音波洗浄を行ない、副生成物であるNaClをNa、Clのイオンにして純水に溶出させる。洗浄液の交換回数を増やす、あるいは合成粉末に対する洗浄液量を増やすことで、除去量を増すことが可能となる。溶出を促進させるには、洗浄液の温度を上げることも効果的である。副生成物のイオン性物質の残存量が多くなると、セラミックス粉末を焼成する際、イオン性物質が焼結を阻害するので好ましくない。残存イオン性物質を管理する手法として、洗浄液の電気伝導率の測定がある。洗浄後の洗浄水の電気伝導率が150μS/cmをこえると、ペロブスカイト型セラミックスの焼結性を阻害するので好ましくない。
上記ペロブスカイト型セラミックス粉末は、洗浄乾燥後、焼結することにより、ペロブスカイト型セラミックスが得られる。焼結するとき、ポリビニルブチラールなどの成形用粘結剤を配合できる。焼結条件としては、10〜100MPaの圧力で成形後、大気雰囲気下、1200〜1500℃の温度で焼成する条件が挙げられる。
得られるペロブスカイト型セラミックスは、理論密度に近く緻密化されるので、誘電体アンテナ、コンデンサ、共振器、圧力センサ、超音波モータ等に使用できる。
実施例1〜実施例8
表1に示す比表面積の異なる4族金属粉末、4族金属酸化物、2族炭酸塩、酸素発生物質であるNaClO4をそれぞれ表1に示すモル比でボールミルを用いて5時間混合することにより混合粉末を得た。合成装置内のチャンバー内にカーボンるつぼを設置し、混合粉末(100g)をカーボンるつぼ内に敷き詰め、着火用のカーボンフイルムを混合粉の一部と接触させて、チャンバーを閉じた。真空ポンプを用いて、チャンバー内の残留酸素を減少させた後、アルゴン(Ar)ガスを封入し、チャンバーの内圧を 0.1 MPaとした。
実施例1〜8のすべての組成物について燃焼波が伝播し、燃焼合成法により合成粉末と副生成物(NaCl)が得られた。アルミナ製乳鉢を用いて合成粉末を粉砕し、平均粒子径が1μmの粉砕セラミックス粉末を得た。次に該粉末を十分水洗し、セラミックス粉末に付着したNaClを除去した。得られたセラミックス粉末の結晶相の同定をX線回折装置(XRD)を用いて行なった。測定結果を表2に示す。
比較例1
表1に示す比表面積のTi金属粉末、炭酸塩、過酸化物をそれぞれ所定のモル比でボールミルを用いて5時間混合することで混合粉末を得た。合成装置内のチャンバー内にカーボンるつぼを設置し、混合粉末(100g)をカーボンるつぼ内に敷き詰め、着火用のカーボンフイルムを混合粉の一部と接触させて、チャンバーを閉じた。真空ポンプを用いて、チャンバー内の残留酸素を減少させた後、Arガスを封入し、チャンバーの内圧を 0.1MPaとした。合成実験の結果を表2に示す。
比較例2
表1に示す比表面積のTi金属粉末と断熱火炎温度を下げるためにTiO2を併用し、炭酸塩、過酸化物をそれぞれ所定のモル比でボールミルを用いて5時間混合することで混合粉末を得た。合成装置内のチャンバー内にカーボンるつぼを設置し、混合粉末(100g)をカーボンるつぼ内に敷き詰め、着火用のカーボンフイルムを混合粉の一部と接触させて、チャンバーを閉じた。真空ポンプを用いて、チャンバー内の残留酸素を減少させた後、Arガスを封入し、チャンバーの内圧を0.1MPaとした。合成実験の結果を表2に示す。
Figure 2006327902
Figure 2006327902
表2より、すべての実施例において燃焼波が伝播し、それぞれペロブスカイト型結晶構造を有するペロブスカイト型セラミックスを得ることができた。
また、比較例1では、Ti金属粉の比表面積が 0.01 m2/g より小さいため、燃焼波が伝播せず、合成粉を得ることができなかった。比較例2では、断熱火炎温度が1500℃より低いため、燃焼波が伝播せず、合成粉を得ることができなかった。
本発明のペロブスカイト型セラミックスは、比表面積が0.01〜2m2/gの4族金属粉末と、2族炭酸塩と、酸素発生物質であるNaClO4とを少なくとも含む反応原料をそれぞれ所定割合で配合し、断熱火炎温度が1500℃以上である燃焼合成法により得られ、その後に粉砕して水で洗浄するので、副生成物の除去が可能となり、理論密度に近い相対密度のペロブスカイト型セラミックスが得られる。その結果、アンテナ、コンデンサ、共振器、圧力センサ、超音波モータ等の電子部品分野でペロブスカイト型セラミックスの用途が拡大する。
ペロブスカイト型結晶構造の単位格子を示す図である。

Claims (5)

  1. ペロブスカイト型結晶構造を有するセラミックスであって、比表面積が 0.01〜2 m2/gの4族元素を含む金属粉末と、2族元素を含む元素の炭酸塩と、過塩素酸ナトリウムとを少なくとも含む反応原料をそれぞれ所定割合で配合し、断熱火炎温度が1500℃以上である燃焼合成法により得られることを特徴とするペロブスカイト型セラミックス。
  2. 前記4族元素は、チタンであることを特徴とする請求項1記載のペロブスカイト型セラミックス。
  3. 前記2族元素は、ストロンチウム、バリウムおよびカルシウムから選ばれた少なくとも1つの元素であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のペロブスカイト型セラミックス。
  4. 前記反応原料は、前記4族元素の金属酸化物が含まれることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3のいずれか一項記載のペロブスカイト型セラミックス。
  5. ペロブスカイト型結晶構造を有するセラミックスの製造方法であって、
    比表面積が 0.01〜2 m2/g の4族元素を含む金属粉末と、2族元素を含む元素の炭酸塩と、過塩素酸ナトリウムとを少なくとも含む反応原料をそれぞれ所定割合で配合する工程と、
    前記所定割合で配合された配合物を断熱火炎温度が1500℃以上である燃焼合成法により反応させる工程と、
    前記反応生成物を粉砕する工程と、
    前記粉砕された粉末を水で洗浄する工程とを備えることを特徴とするペロブスカイト型セラミックスの製造方法。
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