JP2003063877A - 多成分系圧電材料の製造方法 - Google Patents

多成分系圧電材料の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 PZTのごとく有害な鉛成分を含有しない圧
電特性に優れた4元系以上の多成分圧電材料の焼結速度
を向上させた低コストの製造法を提供する。 【解決手段】 スパークプラズマ焼結法を用いて、一般
式:Sr2-xCaxNaNb515 (x=0〜0.4)で
表わされる組成成分を有する多成分系圧電材料を製造す
る方法において、そのスパークプラズマによる焼結工程
が、焼結過程は40MPa以下の圧力に保持し、かつ冷
却過程は10〜15MPaの圧力に保持して行う多成分
系圧電材料の製造方法である。この方法によれば、微細
結晶化と焼結温度の低温化が同時に達成され、かつ焼結
時間が大幅に短縮された多成分圧電材料の製法を実現で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、精密機械・器具に
おける位置決め機構としてのアクチュエータや流体の制
御バルブなどの駆動源としてのアクチュエータや圧力セ
ンサなどに利用される圧電性を有するタングステンブロ
ンズ型ニオブ酸系化合物圧電材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】圧電性を有するセラミックスとしては、
チタン酸バリウム(BT:BaTiO 3),チタン酸鉛
(PT:PbTiO3),チタン酸ジルコン酸鉛(PZ
T:PbZrO3−PbTiO3)などペロブスカイト型
化合物が報告されており、なかでもPZTは変位量が最
も大きいことからアクチュエータや圧力センサなどに多
く利用されている。1942年、BTは強誘電体である
ことが発見されて以来、多結晶体の磁器として利用でき
ることが分かり、コンデンサやアクチュエータなどの用
途開発に向けて数多くの研究がなされている。一方、1
955年にPZTがBTの2倍以上の電気機械結合係数
を有することが発見されて以来、このPZTがアクチュ
エータやブザー等に独占的に利用されるようになった。
【0003】近年、有害物質に対する環境問題が重視さ
れてきていることから、鉛を含まない圧電材料に関する
開発のニーズが高まってきており、1961年に発見さ
れたBi0.5Na0.5TiO3(BNT)系化合物(Sm
olenskyet al.Soviet Physic
s Solid State[2]2651−54(19
61))を利用した圧電材料の研究が進められている。
ところで、特開昭62−202576号公報には、BN
T−MTiO3(M;Ba、K0.5Bi0.5)化合物から
なる圧電体セラミックスが提案されているが、このセラ
ミックスは広がり方向の結合係数Kpが厚さ方向の結合
係数Ktよりも大きいことから、超音波探傷器や厚さ計
に用いた場合に横向きの振動干渉を発生して広がり振動
が生じたりする欠点があった。
【0004】また、竹中等による論文(Ferroel
ectrics[106]375−380、)(199
0))には、BNT−MTiO3(M:Sr,Ca,P
b)に関する報告があるものの、これは圧電定数d33
約120pC/Nであり、PZTの約1/4程度のもの
である。一方、タングステンブロンズ型化合物では、S
1-xBaxNb26(SBN)においてx=0.5〜
0.7の範囲で単結晶化し、電気光学結晶としての特性
を有することが報告されており(S.Sakamoto
and T.Yamada、Appl.Phys.Le
tters22、429(1973))、それ以来、赤
外線検出器や表面弾性波のフィルターとして用いられて
いる。さらに、Sr 2-xCaxNaNb515について
は、R.R.Neurgaonkar等により単結晶の
圧電特性が報告されている(Ferroelectri
cs[160]265−276,(1994))。さら
にまた、Ba2-xSrxNaNb515についてはフィル
ター用の材料として提案されている(特開平10−29
7969号公報)。
【0005】これらに報告されている材料の中で、チタ
ン酸バリウム(BT:BaTiO3)及びチタン酸鉛
(PT:PbTiO3)については、スパークプラズマ
焼結法を用いることが竹内等の論文((JACS[82
−4]375−943)(1999))、(JACS
[83−3]541−544)(2000))に報告さ
れているものの、その中にはその他の多成分組成に関す
るものについての記述はなく、焼結条件についても昇温
速度は200℃/分であり、降温速度は炉冷却で行うこ
とが開示されているに過ぎず、これらの方法では、多成
分組成の焼結密度向上や材料クラックの防止を達成でき
ないという欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のペロブスカイト
型化合物の代表例であるPZT系圧電体セラミックスで
は、焼成や焼結工程において鉛化合物が分解し、排気ガ
スとして大気中に放出されたり、粉末製造成形工程で水
中に放出されたりするため、公害対策を施す必要があ
り、製品のコスト高を招来させることとなる。そのう
え、近年の廃棄物規制から最終製品のシュレッダーダス
ト中にも鉛が含まれることから、環境汚染が懸念されて
いる。さらにまた、性能面でもPZTの場合は誘電率が
高く回路への組み込みが困難となり、利用中の発振によ
る発熱が大きいため連続的に利用するアクチュエータへ
の適用は制限される。また、タングステンブロンズ型化
合物では、Sr1-xBaxNb26(SBN)は単結晶と
して広く利用されており、圧電定数d33は約600pC
/NであってPZTと同等の特性値を示すが、圧電特性
を示すキューリー温度(Tc)が60〜75℃であるた
め、振動による発熱を考慮すると室温による利用に制限
される結果、多くの機械部品に適用することは困難であ
る。また、SBN化合物では、全域が固溶体であるため
組成の変動が生じやすく、加工時や使用時に組成の変動
が生じて特性が変化することが報告されている。また、
このような磁器圧電材料の製造工程は焼結工程が長時間
に及ぶうえ、焼結された圧電材料の結晶粒径も大きいと
いう問題がある。そこで、このような磁器圧電材料の製
造に要する時間を短縮することは、工業的生産性の向上
には不可欠であり、また、結晶粒径を小さくすること
は、材料としての特性を向上させる可能性がある。
【0007】本発明は、従来の技術における上記した実
状に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目
的は、鉛成分を含むPZTのような有害な金属成分を含
有しない材料を用いて、結晶粒径が小さく、圧電特性の
向上した多成分組成からなる圧電化合物を短時間で安価
に製造する方法を提供することにある。また、本発明の
他の目的は、圧電材料の製造工程において鉛化合物等の
有害な物質の排出がなく、製品に利用された後に廃棄さ
れた場合にもシュレッダーダスト中に有害化合物が排出
されることがないため安全に製造でき、かつ、従来技術
では焼結工程が長くなる4元系以上のタングステンブロ
ンズ型圧電材料において、製造コストの低減が可能な焼
結方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の焼結条
件を採用することにより、良好な圧電特性を有する多成
分組成からなる圧電化合物を短時間で安価に製造できる
ことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】すなわち、本発明によれば、スパークプラ
ズマ焼結法を用いて、一般式:Sr 2-xCaxNaNb5
15 (x=0〜0.4)で表わされる組成成分を有す
る多成分系圧電材料を製造する方法において、そのスパ
ークプラズマによる焼結工程が、焼結過程は40MPa
以下の圧力に保持し、かつ冷却過程は10〜15MPa
の圧力に保持して行うことを特徴とする多成分系圧電材
料の製造方法が提供される。
【0010】そして、本発明における上記多成分系圧電
材料の製造方法においては、前記焼結工程は、焼結温度
が1000〜1300℃の範囲であり、焼結時間が30
分以下であることが好ましい。また、その焼結工程の焼
結過程は、昇温速度が250℃/分より速くすることが
好ましく、また、その焼結工程の冷却過程は、冷却速度
が200℃/時間より遅くすることが好ましい。さら
に、その多成分系圧電材料の製造方法としては、少なく
とも金属酸化物原料の混合粉砕工程、仮焼成による合成
工程、粒子の粉砕工程、スパークプラズマ焼結法を用い
る焼結工程及び成形工程を経ることが好ましい。また、
その焼結工程の終了後に、大気中1000〜1150
℃、5〜15時間の熱処理を行うことが好ましい。
【0011】本発明の多成分系圧電材料は、上記製造方
法で得られた焼結体の平均粒子径が1〜8μmの範囲の
ものである。なお、この焼結体の結晶粒子の大きさは、
走査型電子顕微鏡写真に平行直線(任意本数)が横切る
粒子長の平均を、その画像装置を用いて求めた値であ
る。この圧電材料は、精密機械・器具における位置決め
機構としてのアクチュエータ、流体の制御バルブなどの
駆動源としてのアクチュエータ又は圧力センサーの素材
として利用することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明における多成分系圧電材料
の製造方法は、上述した課題を解決するための手段を有
するものであって、Sr2-xCaxNaNb515(ただ
し、x=0〜0.4である。)で表わされる4元系以上
の多成分組成を有する焼結体を得る際に、短時間にスパ
ークプラズマ焼結方法で焼結させて、従来のセラミック
ス製造に要する時間を大幅に短縮させると共に、生成す
る多成分結晶体の有する圧電性等の必要な特性値を向上
させた高性能な圧電材料を提供するものである。この圧
電材料の製造方法は 従来法と同じく、その製造工程
は、磁器原料の混合工程,合成工程,粉砕工程、焼結工
程及び成形工程を経るものであるが、焼結工程として、
特定の条件下にスパークプラズマ法を用いて焼結するこ
とを特徴とするものである。
【0013】以下、 本発明の圧電材料の製造方法を工
程順に説明する。まず、市販の化学試薬SrCO3,C
aCO3,Na2CO3およびNb25のそれぞれを所定
量秤量して、得られた混合物をベース組成粉末とする。
この際のベース組成は、Sr2-xCaxNaNb515
で表わされる4元系以上の多成分組成において、xは0
〜0.4の範囲であるが、好ましくは0.05〜0.3
5(5〜35Mol%)の範囲である。ここで、Sr
2-xCaxNaNb515等で表わされるベース組成が上
記範囲内にするのが好ましいのは、上記範囲よりも少な
いと耐熱温度が低く自己発熱温度で劣化し、一方、多す
ぎると圧電定数が不足することになるためである。
【0014】次いで、上記の混合粉末を、アルコール等
の溶液中でボールミルを用いて粉砕混合を24時間程度
行った後、粉砕された混合粉末はロータリーエバポレー
タを用いて乾燥させる。その後、その混合粉末を、例え
ば、大気中、1100〜1170℃の温度で6〜10時
間、好ましくは6〜8時間合成のための仮焼成を行って
反応させる。その際、仮焼温度が1100℃未満ではN
2CO3やSrCO3の十分な反応が行われないことか
ら、焼結時に不均一な組成物を生じるため特性が向上し
ない傾向があり、一方、1170℃超過では部分的に焼
結が起こり、粉砕が困難になるとともに焼結時の組成に
ばらつきを生じる傾向がある。また、6時間未満では反
応が十分に起こらず、逆に8時間超過では粉体同士の反
応のほかに「さや」との反応も起きるため成分の偏析が
生じ易いという問題がある。さらに、その反応生成物を
アルコール中でボールミルを用いて24時間程度の粉砕
を行った後、ロータリーエバポレータを用いて乾燥す
る。この仮焼粉末の粉砕は、粉末粒径が0.5 m以下
となるように行うことが好ましい。すなわち、粉末の粒
子径が0.5 m以上では後の焼結工程が困難になる傾
向がある。
【0015】次に、その粉砕された微細粉末を、スパー
クプラズマ焼結法を用いて焼結させる。その焼結工程条
件としては、圧力40MPa以下で、1000〜130
0℃の温度で30分以下の保持、好ましくは1200
℃、5分で焼結する。その焼結過程は、昇温速度を25
0℃/分より速くすることが好ましい。この40MPa
以下の圧力は短時間で緻密な焼結体を製造するために実
用的でかつ必要な圧力である。その後の冷却過程は、圧
力を10〜15MPaに保持し、冷却速度を200℃/
時間より遅くすることが好ましい。この温度勾配を設け
ることにより、短時間でクラックの無い緻密な焼結体を
製造することができるため実用的でかつ必要な降温速度
である。このように、焼結工程の冷却過程における圧力
を10〜15MPaの範囲に低減しながら行うことによ
り、圧電材料の破壊なしに焼結することができる。
【0016】上記焼結工程の中で、焼結温度までの昇温
速度を250℃/分よりゆっくりと行わせると、治具と
反応して焼結後の圧電材料に不純物が混在してくる恐れ
があり、また当該温度域からの降温速度を200℃/時
間より速くすると、焼結材料にクラックが発生して圧電
定数や分極できず圧電特性が発現しない可能性がある。
また、焼結工程の圧力を40MPa以上では、焼結の緻
密性は進むものの焼結後の材料内部にも微細なクラック
が発生して分極できず圧電特性が発現しない可能性があ
る。さらに、本発明に係わる圧電材料の製造方法におい
ては、上記した焼結工程の後に、大気中で1000〜1
150℃、5〜15時間の熱処理を施すことにより、よ
り一層の良好な圧電材料を得ることができる。
【0017】また、焼結体の微構造は、SEM写真に関
して平行な直線10本(ただし、任意本数)が横切る粒
子長の平均を画像装置で求めた結果を粒子径とすること
ができる。焼結後には焼結体を、例えば直径6mm×高
さ8mmの円筒状物に加工し、密度を測定すると共に、
X線回折にて成分を確認する。本発明において、上記目
的を達成し得る他の焼結に係わる圧電材料の製造条件
は、焼結工程の冷却時における圧力低減にあり、10〜
15MPaの圧力に低減することにより、圧電材料内部
及び外部のクラック発生を防止することができ、4元系
以上の多成分結晶体で必要特性値を満たすものを得るこ
とができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例等によりさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限
定されるものではない。 実施例1 市販のSrCO3,CaCO3,Na2CO3およびNb2
5を用意し、これらをSr2-xCaxNaNb515で表
わされる成分組成においてxが0.1(すなわち、Sr
1.9Ca0.1NaNb515)となるように秤量してベー
ス組成とした。これをアルコール中でボールミルを用い
て24時間の粉砕混合を行い、次いで、この混合スラリ
ーをロータリーエバポレータを用いて乾燥させた後、大
気中1150℃で6時間仮焼成して合成反応させ、得ら
れた合成物をアルコール中でボールミルを用いて24時
間粉砕して粒径0.5μm以下の粉末に調整した後、ロ
ータリーエバポレータを用いて乾燥させた。得られた乾
燥粉末を、1200℃の温度に300℃/分の割合で昇
温して、35MPaの圧力を加えながら5分間保持して
焼結した後、降温速度を150℃/時の割合に制御し、
同時に圧力を10MPaにまで低下させるスパークプラ
ズマ焼結を行った。さらに、これを大気中1000℃で
10時間の熱処理を行うことにより、平均粒子径2.6
μmの焼結体を得た。なお、この焼結体の微構造は、走
査型電子顕微鏡(SEM)写真に撮り、平行な直線10
本が横切る粒子長の平均を画像装置で求めた結果を平均
粒子径とした。次に、得られた焼結体を直径6mm、高
さ8mmの円筒状物に加工し、その密度を測定すると共
に、X線回折により成分測定を行った結果、密度は5.
007×10−3kg/mであった。また、合成度は
X線回折の代表ピーク高さ(結晶比率100に対する)
で判断し、100%合成されていた。これらの製造条件
及び得られた測定値を、表1に示す。
【0019】実施例2及び3 実施例1におけるスパークプラズマ焼結のを、表1に示
す焼結条件で行ったこと以外は、実施例1と同様にして
それぞれの焼結体及びそれを用いた円筒状物を得た。
実施例1と同様にして得られた測定値を表1に示す。
【0020】表1に示す実施例1〜3の評価では、Sr
2-xCaxNaNb515でx=0.1の多成分組成を用
いて、降温速度と冷却時の圧力を代えた例を示したが、
降温速度が速くなるにつれて冷却時の圧力の影響を受け
やすく、クラックの発生があった。また、冷却時にクラ
ックが入らなくても熱処理を行わないものは、ダイスか
らの不純物であるカーボンを内包しており、特性を出せ
ないものであった。なお、表中の総合評価は、材料の密
度、クラックおよび不純物の度合を判断基準として行っ
た。
【0021】比較例1及び2 実施例1と同じベース組成をアルコール中でボールミル
を用いて24時間の粉砕混合を行い、次いで、この混合
スラリーをロータリーエバポレータを用いて乾燥させた
後、大気中1150℃で6時間仮焼成して合成反応さ
せ、得られた合成物をアルコール中でボールミルを用い
て24時間粉砕して粒径0.6μmの粉末に調整した
後、ロータリーエバポレータを用いて乾燥させた。得ら
れた乾燥粉末を、プレス成形機と静水圧成形(2000
kg/cm)で得た成形体に対し、第1焼成として大
気中1240℃で6時間の普通焼結を行った後、第2焼
成のためすぐに温度を1320℃まで上昇させてさらに
25時間の普通焼結を行った。得られた焼結体を実施例
1と同様にして加工して測定し、得られた値をそれぞれ
表2に示す。
【0022】比較例3〜6 実施例1において、スパークプラズマ焼結工程の焼結時
の圧力及び降温時の圧力を、それぞれ表2に示す圧力に
したこと以外(ただし、比較例6のみは熱処理もな
し。)は、実施例1と同様にして焼結体を得た。また、
実施例1と同様に加工して測定し、得られた値をそれぞ
れ表2に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、鉛を含まないSr2-x
CaxNaNb515で表わされる多成分組成からなる多
結晶圧電化合物を特定の条件下で短時間のスパークプラ
ズマ焼結を行うことにより、環境汚染のない4元系以上
の高性能な多成分圧電材料を製造することができる。ま
た、その焼結時間が大幅に短縮されたから、製造工程の
改善によるコスト低減が可能になった。本発明により得
られる焼結体の結晶粒子は、平均粒子径が1〜8μmの
範囲のものであり、良好な焼結性を有すると共に圧電特
性にも優れた圧電材料を提供できる。また、この圧電材
料は、アクチュエータの駆動部素材とすることによっ
て、精密機械における位置決めアクチュエータや流体制
御バルブなどの駆動源として用いることができる。
【0026】本発明による圧電材料の製造方法では、ス
パークプラズマ法の焼結工程を圧力を40MPa以下と
すると同時に、冷却中には10〜15MPaの圧力に低
減することによって、、密度が大で焼結後の粒子直径が
小さくクラックのない圧電特性に優れた圧電材料を比較
的簡便に得ることができる。さらに、その焼結を、温度
1000〜1250℃で30分以下の短時間の焼結とす
ることで、緻密な焼結体とすることができ、また、焼結
工程の昇温速度を250℃/分にすることで、材料中へ
の不純物混入を防止できる。さらにまた、冷却時の冷却
速度を200℃/時間以下で除冷することにより、密度
の大きい圧電材料とすることが可能である。さらに、本
発明による圧電材料は、焼結終了後に1000〜115
0℃、5〜15時間の熱処理を施すことで、材料中への
不純物混入を防止でき、圧電特性をより一層向上させる
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋宗 淑雄 茨城県つくば市東1−1−1独立行政法人 産業技術総合研究所つくばセンター内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スパークプラズマ焼結法を用いて、一般
    式:Sr2-xCaxNaNb515 (x=0〜0.4)で
    表わされる組成成分を有する多成分系圧電材料を製造す
    る方法において、そのスパークプラズマによる焼結工程
    が、焼結過程は40MPa以下の圧力に保持し、かつ冷
    却過程は10〜15MPaの圧力に保持して行うことを
    特徴とする多成分系圧電材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記焼結工程は、焼結温度が1000〜
    1300℃の範囲であり、焼結時間が30分以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の多成分系圧電材料の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記焼結工程の焼結過程は、昇温速度が
    250℃/分以上であることを特徴とする請求項1また
    は2に記載の多成分系圧電材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記焼結工程の冷却過程は、冷却速度が
    200℃/時間以下であることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の多成分系圧電材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 多成分系圧電材料の製造方法は、少なく
    とも金属酸化物原料の混合粉砕工程、仮焼成による合成
    工程、粒子の粉砕工程、スパークプラズマ焼結法による
    焼結工程及び成形工程を経ることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれか1項に記載の多成分系圧電材料の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記焼結工程の終了後に、大気中100
    0〜1150℃、5〜15時間の熱処理を行うことを特
    徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の多成分系
    圧電材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製
    造方法により得られた焼結体の平均粒子径が1〜8μm
    であることを特徴とする多成分系圧電材料。
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