JP3981717B2 - タングステンブロンズ型圧電材料の製造方法 - Google Patents

タングステンブロンズ型圧電材料の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密機械・器具等における位置決め機構としてのアクチュエータや流体の制御バルブ等の駆動源としてのアクチュエータや圧力センサ等に利用される圧電性と透光性を併せ持つタングステンブロンズ型ニオブ酸系化合物圧電材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圧電性を有するセラミックスとしては、チタン酸バリウム(BT:BaTiO3),チタン酸鉛(PT:PbTiO3),チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:PbZrO3−PbTiO3)等のペロブスカイト型化合物が報告されており、なかでもPZTは変位量が最も大きいことからアクチュエータや圧力センサなどに多く利用されている。
なかでも、BTは1942年に強誘電体であることが知られて以来、多結晶体の磁器として利用できることが分かり、コンデンサやアクチュエータ等の用途開発に向けて数多くの研究がなされている。
一方、1955年にPZTがBTの2倍以上の電気機械結合係数を有することが見出されて以来、このPZTがアクチュエータやブザー等に独占的に利用されるようになった。
【0003】
近年、有害物質に対する環境問題が重視されてきていることから、鉛を含まない圧電材料に関する開発のニーズが高まってきており、1961年に開発されたBi0.5Na0.5TiO3(BNT)系化合物(Smolenskyet al.Soviet Physics Solid State[2]2651−54(1961))を利用した圧電材料の研究が進められている。
ところで、特開昭62−202576号公報には、BNT−MTiO3(M;Ba、K0.5Bi0.5)化合物からなる圧電体セラミックスが提案されているが、このセラミックスは広がり方向の結合係数Kpが厚さ方向の結合係数Ktよりも大きいことから、超音波探傷器や厚さ計に用いた場合に横向きの振動干渉を発生して広がり振動が生じるという欠点があった。同様に、竹中等による論文(Ferroelectrics[106]375−380、)(1990))には、BNT−MTiO3(M:Sr,Ca,Pb)に関する報告があるものの、これは圧電定数d33が約120pC/Nであり、PZTの約1/4程度に過ぎないものである。
【0004】
一方、タングステンブロンズ型化合物では、Sr1−xBaxNb26(SBN)においてx=0.5〜0.7の範囲で単結晶化すると、電気光学結晶としての特性を有することが報告されており(S.Sakamoto and T.Yamada、Appl.Phys.Letters22、429(1973))、それ以降、赤外線検出器や表面弾性波のフィルターとして用いられている。さらに、Sr2−xCaxNaNb515については、R.R.Neurgaonkar等により単結晶の圧電特性が報告されている(Ferroelectrics[160]265−276,(1994))。さらにまた、Ba2−xSrxNaNb515については、フィルター用材料等として実用可能であることが提案されている(特開平10−297969号公報)。
【0005】
これらに報告されている材料の中で、チタン酸バリウム(BT:BaTiO3)及びチタン酸鉛(PT:PbTiO3)については、スパークプラズマ焼結法を用いることが竹内等の論文((JACS[82−4]375−943)(1999))、(JACS[83−3]541−544)(2000))に報告されているものの、その中にはその他の多成分組成に関するものについての記述はなく、焼結条件についても昇温速度は200℃/分であり、降温速度は炉冷却で行うことが開示されているに過ぎず、これらの方法では、多成分組成の焼結密度向上や材料クラックの防止を達成できないという欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のペロブスカイト型化合物の代表例であるPZT系圧電体セラミックスでは、焼成や焼結工程において鉛化合物が分解し、排気ガスとして大気中に放出されたり、粉末の製造成形工程で水中に放出されたりするため、公害対策を施す必要があり、製品のコスト高を招来させることとなる。そのうえ、近年の廃棄物規制の高まりに伴い、最終製品のシュレッダーダスト中にも鉛が含まれているため環境汚染が懸念されている。さらには、性能面でもPZTの場合は誘電率が高く回路への組み込みが困難であり、また、利用中の発振による発熱が大きいため連続的に利用するアクチュエータへの適用は制限される。
また、タングステンブロンズ型化合物では、Sr1−xBaxNb26(SBN)は単結晶として広く利用されており、その圧電定数d33は約600pC/Nを有しておりPZTと同等の特性値を示すが、圧電特性を示すキューリー温度(Tc)が60〜75℃と低いため、振動による発熱を考慮すると室温による利用に制限される結果、多くの機械部品に適用することは困難である。また、SBN化合物では、全域が固溶体であるため組成の変動が生じやすく、加工時や使用時に組成変動に伴う特性の変化を引き起こすことが報告されている。さらに、このような磁器圧電材料を製造するには焼結工程に長時間を要するうえ、焼結された圧電材料の結晶粒径が大きいという問題がある。
そこで、このような磁器圧電材料の製造に要する時間を短縮することは、工業的生産性の向上に不可欠であり、また、結晶粒径を小さくすることは、材料としての特性を向上させる可能性がある。
【0007】
本発明は、従来の技術における上記した課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、鉛等の有害な金属成分を含有することがなく、良好な圧電特性及び透光性を有する小粒径で高性能な4元系以上のタングステンブロンズ型圧電材料を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、鉛化合物等の有害物質を用いることなく、焼結工程を短縮化させることにより、短時間で安全かつ安価に良好な圧電特性及び透光性を有する高性能な4元系以上のタングステンブロンズ型圧電材料を製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の焼結条件を採用することにより、良好な圧電特性を有する4元系以上のタングステンブロンズ型圧電化合物を、短時間の焼結により安全に低コストで製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明によれば、Sr2−xCaNaNb15(式中、xは0.02<x<0.12の範囲である。)で示される組成40〜80モル%及びBaNaNb15で示される組成20〜60モル%を含むことを特徴とするタングステンブロンズ型圧電材料が提供される。この圧電材料は、スパークプラズマ焼結法を用いて得られた焼結体であることが好ましい。また、その焼結体の結晶粒子は、平均粒子径が1〜8μmであることが好ましい。なお、この焼結体の結晶粒子の大きさは、走査型電子顕微鏡写真に平行直線(任意本数)が横切る粒子長の平均を、その画像装置を用いて求めた値である。
【0010】
また、本発明によれば、Sr2−xCaNaNb15(式中、xは0.02<x<0.12の範囲である。)で示される組成40〜80モル%及びBaNaNb15で示される組成20〜60モル%を含むタングステンブロンズ型圧電材料の製造方法において、焼結工程にスパークプラズマ方法を用い、その焼結条件として、圧力40MPa以下、焼結温度1000〜1250℃において30分以下保持して焼結させた後、圧力を下げて10〜15MPaに保持し、200℃/時以下の冷却速度で冷却させることを特徴とするタングステンブロンズ型圧電材料の製造方法が提供される。その焼結工程の昇温速度は、250℃/分以上であることが好ましい。さらに、その焼結工程の終了後に、大気中1000〜1150℃、5〜15時間の熱処理を行うことが好ましい。
【0011】
本発明の上記タングステンブロンズ型圧電材料は、精密機械・器具における位置決め機構としてのアクチュエータ、流体の制御バルブなどの駆動部素材又は圧力センサー素材としての用途を有するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明における圧電材料は、Sr2−xCaNaNb15(式中、xは0.02<x<0.12の範囲である。)で示される組成40〜80モル%及びBaNaNb15で示される組成20〜60モル%を含む多結晶圧電化合物からなるタングステンブロンズ型圧電材料であって、以下、Sr2−xCaNaNb15で示される組成40〜80モル%を、(1−y)Sr2−xCaNaNb15(0.02<x<0.12、0.20<y<0.6)で表し、他方、BaNaNb15で示される組成20〜60モル%を、yBaNaNb15(yは前記と同じ意味を有する。)で表す。
【0013】
本発明の圧電材料は、PZTのような有害な金属成分を含まないものであって、(1−y)モルのSr2−xCaNaNb15(SCNN)で示される組成とyモルのBaNaNb15(BNN)で示される組成との境界領域における特性の変化を活用する4元系以上の多成分組成からなるタングステンブロンズ型圧電材料である。ここでxは0.02乃至0.012の範囲、yは0.2乃至0.6の範囲であり、この範囲になければ、圧電性等の諸特性に優れた多成分結晶体を得ることができない。この圧電材料は、スパークプラズマ焼結法を用いて製造することが好ましい。
【0014】
本発明の圧電材料の製造方法によれば、スパークプラズマ焼結法を用いて焼結させると、従来のセラミックス製造に要する時間を大幅に短縮でき、また、圧電性等の必要な諸特性を向上させると同時に、透光性を有する小粒径の高性能な4元系以上の多成分組成を有する焼結体を得ることができる。
この圧電材料の製造工程としては 従来法と同じく、磁器原料の粉末を混合する混合工程、その混合物を反応させる合成工程、その合成物を砕く粉砕工程、その粉砕物を焼結する焼結工程及び成形工程を経るものであるが、本発明では、その焼結工程として、スパークプラズマ法を用いて特定の条件下に焼結することを特徴としている。この製造法では、磁器原料として鉛等の有害成分を用いないから、製造工程中に有害化合物の排出がなく、製品に利用された後に廃棄された場合にもシュレッダーダスト中にも有害化合物が含まれることがないため、安全に焼結体を得ることができる。
【0015】
次に、本発明の圧電材料について、その製造方法を基にして順に説明する。
まず、市販の化学試薬SrCO3、BaCO3、CaCO3、Na2CO3及びNb25、さらに必要に応じて副成分をも添加し、それぞれの原料粉末を所定の割合に秤量してベース組成粉末とする。この際のベース組成は、(1−y)Sr2−xCaNaNb15(SCNN)及び yBaNaNb15(BNN)を含む4元系以上の多成分組成において、xは0.02〜0.12の範囲であり、また、yは0.2〜0.6(20〜60Mol%)の範囲である。
ここで、SCNN及び BNNで表わされるベース組成が上記範囲内にするのが好ましいのは、上記範囲よりも少ないと耐熱温度が低く自己発熱温度で劣化し、一方、多すぎると圧電定数が不足することになるためである。
【0016】
次いで、上記のベース組成混合粉末を、アルコール等の溶液中、ボールミル等の混合粉砕機を用いて粉砕混合を24時間程度行った後、粉砕された混合粉末はロータリーエバポレータ等の乾燥機を用いて乾燥させる。その後、その混合粉末を、例えば、大気中1100〜1170℃の温度で6〜10時間、好ましくは1150℃で6〜8時間合成のための仮焼成を行って反応させる。その際、仮焼温度が1100℃未満ではCaCO3、Na2CO3やBaCO3及びSrCO3が十分に反応が行われないことから、焼結時に不均一な組成物を生じるため特性が向上しない傾向があり、一方、1170℃超過では部分的に焼結が起こり、粉砕が困難になるとともに焼結時に組成の不均一化を生じる傾向がある。また、6時間未満では反応が十分に起こらず、逆に8時間超過では粉体同士の反応のほかに「さや」との反応が起きて成分の偏析が生じ易いという問題がある。
さらに、その反応生成物を再度アルコール中でボールミルを用いて24時間程度の粉砕を行った後、ロータリーエバポレータを用いて乾燥する。この仮焼粉末の粉砕は、粉末粒径が0.5μm以下になるように行うことが好ましい。すなわち、粉末の粒子径が0.5μm以上では後の焼結工程が困難になる傾向がある。
【0017】
次に、本発明では、その粉砕された微細粉末を、スパークプラズマ焼結法を用いて焼結させる。その焼結工程条件としては、圧力40MPa以下で、1000〜1250℃の温度で30分以下の保持、好ましくは1200℃で5分間の焼結を行う。その焼結工程の焼結温度までの昇温速度は250℃/分より速くすることが好ましい。この速度より遅くすると治具との反応が起こり、焼結後の圧電材料に不純物が混在する恐れがある。その焼結工程の圧力を40MPa以下とすることは、短時間で緻密な焼結体を得るのに必要である。その圧力を40MPa以上では、焼結の緻密性は進むものの焼結後の材料内部にも微細なクラックが発生して分極できないため圧電特性を発現しない可能性がある。
【0018】
その後の焼結工程における冷却過程は、圧力を下げて10〜15MPaに保持し、冷却速度を200℃/時間より遅くすることが好ましい。この温度勾配を設けることにより、短時間でクラックの無い緻密な焼結体を製造することができる。このように、焼結後の冷却過程における圧力を10〜15MPaの範囲に低減しながら行うことにより、圧電材料の破壊なしに焼結することができる。また、焼結温度域からの降温速度を200℃/時間より速くすると、焼結材料にクラックが発生して圧電定数や分極できず圧電特性が発現しない可能性がある。
さらに、本発明に係わる圧電材料の製造方法においては、上記の焼結工程を経た後、大気中で1000〜1150℃、5〜15時間の熱処理を施すことにより、より一層の良好な圧電材料を得ることができる。
【0019】
また、焼結体の微構造は、SEM写真に関して平行な直線10本(ただし、任意本数)が横切る粒子長の平均を画像装置で求めた結果を粒子径とすることができる。焼結後には焼結体を、例えば直径6mm×高さ8mmの円筒状物に加工し、密度を測定すると共に、X線回折により成分を確認する。
本発明において、上記の目的を達成し得る他の焼結に係わる圧電材料の製造条件は、主に焼結工程の冷却時における圧力を低減することであり、10〜15MPaの圧力に低減することにより、圧電材料の内部及び外部のクラック発生を防止することができ、4元系以上の多成分結晶体に要望される特性値を満たすものが得られる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を実施例等によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によっては何ら限定されるものではない。
実施例1〜9
市販のSrCO3、BaCO3、CaCO3、Na2CO3およびNb25の粉末を用意し、これらを(1−y)Sr2−xCaNaNb15(SCNN)及び yBaNaNb15(BNN)で表される成分組成においてx=0.1、y=0.2〜0.6となるように秤量し、(1−y)SCNNとyBNNの粉末混合物でy=0.4とし、x=0.02〜0.12まで変化させた混合粉末を調製した。
次に、その混合粉末をアルコール中でボールミルを用いて24時間の粉砕混合を行い、この混合スラリーをロータリーエバポレータを用いて乾燥させた後、大気中1150℃で6〜8時間仮焼成して元素を合成反応させた。得られた生成物を再度アルコール中でボールミルを用いて24時間粉砕して粒径0.5μm以下の粉末に調整した後、ロータリーエバポレータを用いて乾燥させた。
得られた乾燥粉末を、1200〜1250℃の温度にまで300℃/分の割合で昇温し、35MPaの圧力を加えながら5分間保持した後、降温速度を150〜600℃/時の割合に制御し、それと同時に圧力を10〜15MPaにまで低下させてスパークプラズマ焼結を行った。
その後、この焼結物を大気中1000℃で10時間の熱処理を行って、平均粒子径2.4〜2.6μmの焼結体を得た。この焼結体は、透光性が観測されたことから、粒子径が均一であることを示すものと考えられる。なお、この焼結体の微細構造は、走査型電子顕微鏡(SEM)写真に撮り、平行な直線10本が横切る粒子長の平均を画像装置で求めた結果を平均粒子径とした。
【0021】
次に、得られた焼結体を直径6mm、高さ0.7mmの円筒状物に加工し、その密度を測定すると共に、X線回折により成分測定を行った後、両端に金を蒸着し、2V/mm、60℃の条件で分極した後、圧電定数d33を測定したところ、90pC/Nを越える良好なものであった。この圧電定数が90pC/N以上を有する焼結体は、変位量がアクチュエーターとして機械部品を駆動することを可能とするものである。
表1には、それらの製造条件等を変更したもの及び得られた測定値等を、実施例1〜9として示す。なお、表中の総合評価は、材料の密度、クラックおよび不純物の度合を判断基準として行った。
【0022】
【表1】
Figure 0003981717
【0023】
比較例1及び2
実施例1における(1−y)SCNN及び yBNNで表される成分組成において、それぞれy=0.1とするベース組成の混合粉末を調製した。
次に、その混合粉末をアルコール中でボールミルを用いて24時間の粉砕混合を行い、次いで、この混合スラリーをロータリーエバポレータを用いて乾燥させた後、大気中1150℃で6時間仮焼成して合成反応させた。得られた合成物を再度アルコール中でボールミルを用いて24時間粉砕して粒径0.6μmの粉末に調整した後、ロータリーエバポレータを用いて乾燥させた。
得られた乾燥粉末を、プレス成形機と静水圧成形(2000kg/cm)で得た成形体について、第1焼成として大気中1240℃で6時間の普通焼結を行った後、第2焼成のため直ちに温度を1320℃まで上昇させてさらに25時間の普通焼結を行った。得られた焼結体の平均粒子径を実施例1と同様にしてもとめたところ、それぞれ9.88μm及び11.5μmであった。
これらの焼結体を実施例1と同様にして加工し、密度及び成分の測定を行った。なお、合成度については、X線回折の代表ピーク高さ(結晶率100に対する)で判定したところ、97〜100%であった。また、これらの焼結体の圧電定数d33を測定したところ、50pC/N未満と低くて不十分なものであった。
【0024】
比較例3〜8
比較のため、実施例1における(1−y)SCNN及び yBNNで表される成分組成で、本発明の範囲外とするベース組成の混合粉末を調製した。
次に、その混合粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして焼結体を得た。得られた焼結体は、スパークプラズマ焼結を用いたにもかかわらず、特性値は、大気焼結の比較例1,2と比べて大幅な改善は見られなかった。
比較例1〜8におけるそれぞれの製造条件及び測定値を、表2に示す。
【0025】
【表2】
Figure 0003981717
【0026】
また、(1−y)SCNN−yBNNで示されるセラミックスの電気特性を表3に示す。
【表3】
Figure 0003981717
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、有害物質を含まないSr2-xCaNaNb15− BaNaNb15系の多成分からなる高性能なタングステンブロンズ型圧電材料を短時間の焼結で製造できるから、コスト低減が可能であり工業的生産に好適である。
本発明で得られる焼結体は、均一な微細粒径からなり、良好な焼結性を有すると共に、優れた圧電特性及び透光性を有する圧電材料であるから、アクチュエータの駆動部素材とすることによって、精密機械における位置決めアクチュエータや流体制御バルブなどの駆動源として用いることができる。また、この焼結体は、
透光性を有するから、光透過性材料としても有用である。
【0028】
本発明による圧電材料の製造方法によれば、スパークプラズマ法の焼結工程を特定の製造条件を採用することにより、焼結後の粒子径が小さく、クラックのない高密度で緻密な焼結体が得られるから、圧電特性に優れた圧電材料を比較的簡便に得ることができる。

Claims (3)

  1. Sr2−xCaNaNb15(式中、xは0.02<x<0.12の範囲である。)で示される組成40〜80モル%及びBaNaNb15で示される組成20〜60モル%を含むタングステンブロンズ型圧電材料の製造方法において、焼結工程にスパークプラズマ方法を用い、その焼結工程の焼結条件として圧力40MPa以下、焼結温度1000〜1250℃において30分以下保持して焼結させた後、圧力を下げて10〜15MPaに保持し、200℃/時以下の冷却速度で冷却させることを特徴とするタングステンブロンズ型圧電材料の製造方法。
  2. 前記焼結工程の昇温速度が、250℃/分以上であることを特徴とする請求項記載のタングステンブロンズ型圧電材料の製造方法。
  3. 前記焼結工程の終了後に、大気中1000〜1150℃で5〜15時間の熱処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のタングステンブロンズ型圧電材料の製造方法。
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