JP4688271B2 - ビスマス層状化合物焼結体の製造方法 - Google Patents

ビスマス層状化合物焼結体の製造方法 Download PDF

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    • C04B2235/787Oriented grains

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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高いキュリー温度、優れた圧電特性、良好な温度特性を有し、例えば、発振子、超音波振動子、超音波モータ、あるいは加速度センサ、ノッキングセンサおよびAEセンサ等の圧電センサなどに適し、特に、高周波レゾネータの共振子用圧電材料として好適に用いられるビスマス層状化合物焼結体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来から、例えばフィルタ、共振子、発振子、超音波振動子、超音波モータ、圧電センサ等に使用される圧電磁器組成物として、PbTiO3やPb(Zr,Ti)O3、Pb(Mn1/3Nb2/3)O3やPb(Ni1/3Nb2/3)O3などの多量の鉛を含む圧電セラミックス材料が幅広く利用されている。
【0003】
これら多量の鉛を含む圧電セラミックス材料は生態系に有害であることから、環境保護の観点で鉛の含有量が少ない圧電セラミックス材料の開発が強く求められている。
【0004】
このような鉛の含有量が少ない圧電セラミック材料として、キュリー温度が高く、電気機械結合係数k33、機械的品質係数Qmが大きいビスマス層状化合物が挙げられ、特に発振子用への応用が期待されているが、現状では上記鉛系圧電セラミックス材料に比べて圧電特性が低く、圧電特性の向上が望まれている。
【0005】
一方、かかるビスマス層状化合物は、c軸と垂直な方向に容易に分極する(分極容易軸が存在する)ために、圧電特性の異方性が大きく、結晶を特定面に対して配向させることによって、c軸に垂直な方向で上述の鉛系圧電セラミックス材料に匹敵する大きなk値が得られることが知られている。
【0006】
例えば、特開昭52−86198号公報には、ホットプレス焼成によってビスマス層状化合物焼結体中の主結晶をc軸配向させて圧電特性を向上できることが記載されている。また、特開平6−107448号公報には、ビスマス層状化合物仮焼粉末を金型内に供給し200MPa以上の高い成形圧にて一軸成形(プレス成形)することによって、加圧軸方向に対してc軸が平行に揃うように、すなわち主平面がc面配向するように主結晶が配向した成形体および焼結体中を作製し、圧電性の感度を高めることができることが記載されている。
さらに、特開2000−34192号公報では、板状のBi4Ti312等の種結晶粉末とCaCO3、TiO2等のセラミック原料粉末を混合し、板状に成形した後、焼成することによって、ホットプレス等を用いることなく相対密度およびc軸方向の配向度を高めたCaBi4Ti415等のビスマス層状化合物焼結体を作製できることが記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭52−86198号公報のホットプレスを用いた方法では、配向度は高められるものの、生産性が悪く、ダイス等との反応によって相対密度の高い焼結体を得ることが難しく、また、焼結体中に大きな残留応力が残存し割れや欠けが生じて生産歩留まりが悪く、さらに、焼成時に主結晶の粒成長度合いを制御できないことから焼結体中の主結晶の粒径を揃えることができず圧電特性にばらつきが発生するという問題があった。
【0008】
また、特開平6−107448号公報の一軸加圧によって仮焼粉末を配向させる方法では、200MPa以上という非常に高い圧力を発生させるための特殊な装置が必要な上に、成形体表面(金型との接触面)付近のみしか配向度を充分に高めることができず、また、成形体表面と内部との密度および配向度が不均一であるために、焼結体の圧電特性は充分とはいえず、また、ばらつきが大きいものであった。
【0009】
さらに、特開2000−34192号公報の板状の種結晶を用いる方法では、該種結晶以外にCaCO、TiO等の他の原料粉末が存在するために、スラリー中に板状の種結晶を均一に分散させることが困難であるために部分的に種結晶の配向度にばらつきが生じ、また、種結晶と焼結助剤成分とが充分に反応するように高温で焼成する必要があるために焼成中に生じるBiの揮発等によって部分的に組成ずれを生じるおそれがあることから、焼結体の圧電特性にもばらつきが生じるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、大きな圧電特性を有するとともに、圧電特性のばらつきの小さいビスマス層状化合物焼結体を得ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題に対して検討を重ねた結果、ビスマス層状化合物を90重量%以上含む粉末に溶媒を加えたスラリーに対して特定方向に高い磁場を印加することによって、非磁性材料に属するビスマス層状化合物結晶を磁場の印加方向に垂直にc軸が向くように特定の方向に配向させることができ、これを焼成して、結晶成長の異方性により粒径の揃った扁平な主結晶が特定の向きに配向したビスマス層状化合物焼結体を作製でき、高く、かつばらつきの小さい圧電特性を達成できることを知見した。
【0012】
すなわち、本発明のビスマス層状化合物焼結体の製造方法は、一般式が(Bi2+(Am−13m+12−(但し、A:アルカリ金属、アルカリ土類金属および鉛の群から選ばれる少なくとも1種、B:4a金属または5a金属の群から選ばれる少なくとも1種、m>1)で表されるビスマス層状化合物からなる扁平粒子を主結晶とし、c面と垂直な結晶面方向に配向した配向方向と垂直な面を有する焼結体であり、該配向方向と垂直な面における主結晶のうち、長径dが0.5d≦d≦2d(dは主結晶の平均長径)を満たす結晶の割合が全主結晶の80%以上であるビスマス層状化合物焼結体の製造方法であって、セラミック原料粉末としてビスマス層状化合物を90重量%以上含む粉末に溶媒および紫外線硬化性樹脂を添加したスラリーを作製し、該スラリーに対して一方向に1T以上の磁場を印加して前記ビスマス層状化合物粉末をc面と垂直な結晶面に配向させつつ紫外線を照射して前記スラリーを固化した後、焼成することを特徴とするものである。
また、本発明のビスマス層状化合物焼結体の製造方法は、一般式が(Bi 2+ (A m−1 3m+1 2− (但し、A:アルカリ金属、アルカリ土類金属および鉛の群から選ばれる少なくとも1種、B:4a金属または5a金属の群から選ばれる少なくとも1種、m>1)で表されるビスマス層状化合物からなる扁平粒子を主結晶とし、c面と垂直な結晶面方向に配向した焼結体であり、該配向方向と垂直な面における主結晶のうち、長径dが0.5d ≦d≦2d (d は主結晶の平均長径)を満たす結晶の割合が全主結晶の80%以上であるビスマス層状化合物焼結体の製造方法であって、セラミック原料粉末としてビスマス層状化合物を90重量%以上含む粉末に溶媒、および熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を添加したスラリーを作製し、該スラリーに対して一方向に1T以上の磁場を印加して前記ビスマス層状化合物粉末をc面と垂直な結晶面に配向させつつ温度を変化させて前記スラリーを固化した後、焼成することを特徴とするものである。
【0016】
ここで、前記ビスマス層状化合物粉末の平均粒径が0.5〜2.0μmであることが望ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法で得られるビスマス層状化合物焼結体は、一般式が(Bi2+(Am−13m+12−(但し、A:アルカリ金属、アルカリ土類金属および鉛の群から選ばれる少なくとも1種、B:4a金属または5a金属の群から選ばれる少なくとも1種)で表されるビスマス層状化合物からなる扁平粒子を主結晶とするものである。
【0018】
ビスマス層状化合物としては、例えば、PbBi4Ti415(PBT)、SrBi4Ti415(SBT)、BaBiTi415(BBT)、Na0.5Bi4.5Ti415(NBT)、Na0.475Ca0.05Bi4.475Ti415(NCBT)、Bi2Sr1Ca1Cu2y、(Bi,Pb)2Sr2Ca2Cu3y等が挙げられ、特に、鉛を含有せず、かつ圧電特性が大きい、SrBi4Ti415(SBT)、BaBiTi415(BBT)、Na0.5Bi4.5Ti415(NBT)、Na0.475Ca0.05Bi4.475Ti415(NCBT)を主成分とすること、またはこれらの複合化合物が望ましい。さらに、これら化合物の一部を希土類元素、Mn、アルカリ金属元素によって置換させておくことが温度特性などを高める上で好ましい。
【0019】
本発明によれば、図1の本発明の製造方法によって得られたビスマス層状化合物焼結体の模式図に示すように、ビスマス層状化合物焼結体1が、c面と垂直な結晶面(図1ではA面)に配向した配向方向と垂直な面(以下、単に配向方向と垂直な面と略す。)を有するものであり、配向方向と垂直な面Aにおける主結晶2のうち、平均長径dに対して、長径dが0.5d≦d≦2dを満たす結晶の割合が全主結晶の80%以上、特に90%以上からなることが大きな特徴であり、これによって、圧電特性が高く、かつ特性のばらつきが小さい焼結体となる。なお、本発明における配向方向と垂直な面とは、焼結体に対して特定の方向からX線回折測定を行い各ピークのピーク強度比を比較した場合に、特定結晶面のピーク強度比が最大となる面の意である。
【0020】
すなわち、長径dの分布が上記範囲を逸脱し、特に、長径dが0.5daよりも小さい主結晶2の割合が増加すると圧電性が低下し、長径dが2daよりも大きい主結晶2の割合が増加すると圧電性のばらつきが大きくなるとともに焼結体の強度が低下する。
【0021】
また、圧電性を高めるためには、配向方向と垂直な面AのX線回折強度において、例えば、具体的には(020)面および(220)面の配向度fが0.75以上、特に0.80以上、さらには0.90以上であることが望ましい。なお、本発明の配向度fとは、X線回折により得られるビスマス層状化合物の配向方向と垂直な面A(c面と垂直な結晶面)である(020)、(220)面の回折強度とc面である(006)、(008)、(0010)面における回折強度比(I(020)+I(220))/(I(020)+I(220)+I(006)+I(008)+I(0010))から求められる値である。
【0022】
すなわち、本発明によれば、配向方向と垂直な面Aにおけるc面の配向度f’(f’=1−f)が0.25以下、特に0.20以下、さらに0.10以下となる。逆に、配向方向と垂直な面Aと垂直な面においてはc面配向度が相対的に高くなり、配向方向と垂直な面Aと垂直な面における圧電特性が向上する。なお、配向方向と垂直な面Aは後述する磁場を印加する方向と垂直な面をなす。
【0023】
さらに、圧電性を高め、かつばらつきを小さくするためには、配向方向と垂直な面Aの表面の配向度f1と、該配向方向と垂直な面Aの表面を0.1mm研磨した研磨面における配向度f2との比(f2/f1)が0.8以上、特に0.9以上、さらに0.95以上であることが望ましい。
【0024】
さらにまた、圧電性を高めるとともに、焼結体の強度を高めるためには、焼結体の相対密度が95%以上、特に97%以上であることが望ましく、前記主結晶の長径が20μm以下である割合が80%以上、特に90%以上であること、さらに、主結晶の平均長径が3〜10μm、特に4〜7μmであること、前記主結晶の平均アスペクト比が3〜10であることが望ましい。なお、上記長径は配向方向と垂直な面Aについて鏡面加工を行い、SEMあるいは金属顕微鏡で組織観察した写真における各主結晶の最大径(長径)dであり、最大径dとその厚み(最大径dと垂直方向の長さ)tから、その比であるアスペクト比(d/t)を求めることができる。
【0025】
また、上記態様の焼結体は、配向方向と垂直な面A、すなわち主結晶のc面と垂直な配向方向と垂直な面のk33値としては30%以上、特に40%以上、さらに50%以上有し、また、前記k33値のばらつきが5%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下の優れた圧電特性を有するものである。
【0026】
さらに、この焼結体を、例えばレゾネータ等の電子部品として用いる場合には、特に厚み3mm以下、特に1mm以下の板状体とし、その主平面において主結晶がc面と垂直な結晶面に配向する、すなわち主平面が配向方向と垂直な面Aをなすように形成されることが望ましく、これによって、特に、両面に電極を形成して励起させる厚み縦振動k33が大きくなる。
【0027】
(製造方法)
次に、本発明のビスマス層状化合物焼結体の製造方法について説明する。
まず、例えば、ビスマス層状化合物粉末を形成するためのセラミック原料を準備する。セラミック原料としては、各金属の酸化物、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩等の粉末が使用可能であり、その他にも金属アルコキシド等の溶液を用いてもよい。
【0028】
これらセラミック原料を調合、混合して、800〜1300℃、特に850〜1200℃、さらに900〜1000℃にて1〜8時間、特に1〜5時間、さらに1〜2時間熱処理することによって、90重量%以上、特に95重量%以上、さらに99重量%以上がビスマス層状化合物をなすビスマス層状化合物の仮焼粉末を作製する。また、仮焼粉末の作製方法としては、上記以外に、公知の共沈法、ゾルゲル法、水熱合成法等を採用することもできる。
【0029】
ここで、前記仮焼粉末中のビスマス層状化合物の含有量が90重量%より少ないと、焼結体中の主結晶の粒径(長径)を揃えることができず、焼結体の圧電特性が低下するとともに、特性のばらつきが大きくなる。なお、前記仮焼粉末中のビスマス層状化合物の含有量は、仮焼粉末のX線回折チャートからリートベルト法によって求められる。なお、仮焼粉末中には少量の未反応物または中間生成物が10重量%以下、特に5重量%以下、さらに1重量%以下残存するが、これらは後述する焼成中に焼結助剤として機能し、焼結温度を低めたり、焼成時間を短縮したりする働きをなす。
【0030】
得られた仮焼体を解砕して仮焼粉末とした後、所定量の溶媒を添加して、これらの混合物を、例えば、ボールミル等にて混合してスラリーを作製する。溶媒としては、水、イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール類、アセトン等が使用可能であり、特に安全性、対環境面では水が望ましい。また、溶媒とともにポリビニルアルコール(PVA)等の有機バインダや可塑剤、分散剤を加えてもよく、PVAは分散剤としての機能をも有し、後述する仮焼粉末の配向性を高める働きをなす。
【0031】
さらに、仮焼粉末の凝集を抑制するとともに、仮焼粉末のスラリー中の分散性を高め、かつ仮焼粉末を後述する磁場中で容易に変位させるために、仮焼粉末の平均粒径は0.5〜2μm、特に0.5〜1.5μm、さらに0.5〜1.0μmであることが望ましい。なお、仮焼粉末の平均粒径とはマイクロトラック法によって求められるd50値の意である。
【0032】
次に、上記スラリーに一方向から特定の平行磁場Hを印加しつつ成形を行う。
ここで、印加する磁場Hの強さは、仮焼粉末を所望の向きに配向させるためには、1T以上、特に9T以上、さらに11T以上であることが重要である。かかる磁場を発生させる装置としては、例えば高磁場を発生できる超伝導磁石を備えた磁場発生装置を使用することが望ましい。印加する磁場が1Tより小さいと仮焼粉末が所定の方向に配向しない。また、成形方法は、鋳込成形法、射出成形法、押出成形法やドクターブレード法、カレンダーロール法等のテープ成形法が採用できる。
【0033】
このとき得られる成形体は、磁場の印加方向に対してc軸が垂直となるように配向する、すなわち磁場の印加方向にc面と垂直な結晶面が配向する。なお、磁場による粒子配向機構は明確にはわからないが、ビスマス層状化合物結晶においてa,b軸方向の磁化率に比べてc軸のそれが小さいことに起因するためと考えられる。
【0034】
そのため、レゾネータ等の圧電部品用の板状体を成形する場合、磁場を印加する方向は板状の成形体の厚み方向、平面方向のいずれであってもよいが、特に厚み方向に印加することが望ましい。
【0035】
なお、上記磁場中では、仮焼粉末中に、例えば、ビスマス層状化合物以外の副生成物が所定の比率で生成してもよく、またはBi4Ti312等を仮焼粉末に対して別途添加することもできるが、これら副成分は結晶の焼結性を促進する働きをなす。
【0036】
また、磁場中における粒子の配向は極めて短時間で完了するが、成形体中のビスマス層状化合物粉末の配向度を維持するためには、スラリー中の溶媒が揮発してスラリーが固化する、あるいは鋳込成形等にて成形する場合には、石膏等の多孔質体からなる成形型を用いてスラリー中の溶媒が成形型の細孔を通して除去されることにより着肉し、粉末が流動せず固定される硬さまで磁場を印加することが望ましい。このために、成形体をなすスラリーの固化を早めるために、スラリー中に紫外線硬化性樹脂を含有して磁場を印加してから紫外線を照射させることによりスラリーの固化を早めたり、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を添加して磁場を印加してから温度を変化させたりすることでスラリーの固化を早めることができる。
【0037】
さらに、上述した結晶配向法では、表面のみならず成形体の内部にまでわたって容易に主結晶の配向度を高めることができ、主結晶のc軸が磁場の印加方向に垂直に揃うように特定面に配向した成形体を作製することができる。
【0038】
その後、得られた成形体を、所望により所定形状に加工して脱バインダ処理した後、大気中などの酸化性雰囲気中、1000〜1300℃、特に1100〜1250℃の温度で、特に1〜6時間焼成することによりビスマス層状化合物焼結体を作製することができる。
【0039】
本発明によれば、上述した結晶配向法によって、仮焼粉末が特定面に配向しているために、焼成によっても結晶の粒成長速度が速いc面が優先的に成長して、主結晶の特定面への配向度をさらに高めることができる。また、本発明の方法によれば、ホットプレス等に比べて任意の形状の成形体および焼結体を作製することができ、また、焼結体中の主結晶の大きさおよび向きを揃えて、高く、かつばらつきの少ない圧電特性を得ることができる。
【0040】
さらに、本発明によれば、さらに焼結体の密度を高めて機械的強度を高めるために、上記焼成後HIP(熱間静水圧プレス)等の高温、高圧下での熱処理を行うこともできる。
【0041】
【実施例】
(実施例)
純度99.9%のSrCO3粉末、BaCO3粉末、Bi23粉末、TiO2粉末、Na2CO3粉末、CaCO3粉末をそれぞれ表1に示すビスマス層状化合物であるSrBi4Ti415(SBT)、BaBiTi415(BBT)、Na0.5Bi4.5Ti415(NBT)、Na0.475Ca0.05Bi4.475Ti415(NCBT)となる比率で秤量し、これにMnO2粉末を上記粉末の総量100重量部に対して0.2重量%添加した。これら混合粉末を回転ミルにて16時間混合し、大気中にて表1に示す温度で3時間仮焼し、表1の平均粒径となるように解砕した。得られた仮焼粉末についてX線回折測定を行い、リートベルト法によってビスマス層状化合物の比率(結晶化度、表中、比率と記載)を算出した。
【0042】
次に、得られた仮焼粉末に対して、固体(仮焼粉末)含有率が40体積%となるように、アクリル系樹脂を1.5重量%、溶媒として水を添加し、ボールミルにて混合してスラリーを調製した。スラリーの粘度は100sec-1において0.4〜0.6Pa・sであった。
【0043】
このスラリーを内径50mmの多孔質の石膏型に10cc(厚み5mm)注ぎ、ボア径100mm、10Tの磁場が発生可能な冷凍機型磁場装置中に入れて、スラリーの厚み方向が磁場の印加方向に対して平行となるように表1に示す磁場を印加した状態でスラリー中の溶媒を除去して鋳込み成形を行った。磁場の大きさは超伝導磁石に通電させる電流値を変化させることにより変化させた。得られた成形体は石膏から脱型し、大気中、500℃で脱バインダ処理し、大気中、表1に示す条件で焼成した(表中、PLSと記載)。
【0044】
得られた焼結体に対して、アルキメデス法により焼結体の相対密度を測定した。また、焼結体表面(主平面)の任意の5カ所にてX線回折測定を行い、そのチャートの(020)、(220)、(006)、(008)、(0010)ピーク強度から配向度f1=(I(020)+I(220))/(I(020)+I(220)+I(006)+I(008)+I(0010))を求め、その平均値を配向度とした。
【0045】
さらに、得られた試料を上記X線回折を測定した面が主平面となるように2mm×3mm×厚み1mmに切り出し、また、それとは別に上記X線回折を測定した面が側面となるように2mm×3mm×厚み1mmに切り出し、それらの両主面に銀電極を形成し、150℃のオイルバス中で3〜5kV/mmを1時間印加し分極処理を行った。そして、試料5つつのk33値をインピーダンスアナライザーを用いて共振・反共振法によって求め、磁場に垂直な面については最大と最小の差をばらつきとして算出した。
【0046】
また、焼結体のX線回折測定面にて鏡面加工を行い、サーマルエッチングした後、SEM観察を行い、粒子300個の板状結晶に対して各結晶の長径dの長さとその厚みtを画像解析装置にて測定し、平均長径daを求めて、(0.5da≦d≦2daを満たす結晶の個数/300個)×100(%)の値(表中、K1と記載)、粒径20μm以下の長径の主結晶の比率(表中、K2と記載)を算出した。さらに、JISR−1601に準じてX線回折測定面が引っ張り面となるように3点曲げ強度を測定した。結果は表1に示した。
【0047】
(比較例1)
実施例の試料No.1〜7の仮焼粉末を用いて、磁場を印加することなく40MPaの荷重を加えながら1150℃で2時間ホットプレス焼成を行って焼結体を作製し、同様に評価した(試料No.19)。結果は表1に示した。
【0048】
(比較例2)
実施例の試料No.1〜7の仮焼粉末を用いて、磁場を印加することなく200MPaの圧力にて一軸プレス成形した後、大気中表1に示す条件で焼成する以外は実施例と同様に焼結体を作製し、同様に評価した(試料No.20)。結果は表1に示した。
【0049】
(比較例3)BiTi12粉末、SrCO粉末およびTiO末をSrBiTi15となる比率で混合した粉末を用いてスラリーを調製し、ドクターブレード法により厚み300μmのテープ成形を行った後、該テープを積層して1225℃で10時間焼成する以外は実施例と同様に焼結体を作製し、同様に評価した(試料No.21)。結果は表1に示した。
【0050】
【表1】
Figure 0004688271
【0051】
表1から明らかなように、成形時に1T以上の磁場を印加しない試料No.1、2では、焼結体中の主結晶が配向せず、k33値が小さいものであった。また、スラリー中のセラミック原料粉末としてビスマス層状化合物の含有量が90重量%より少ない試料No.13では、焼結体中における主結晶の長径のばらつきが大きく、試料間でk33値のばらつきが大きくなった。
【0052】
さらに、磁場を印加することなくホットプレス焼成を行った試料No.19およびビスマス層状化合物以外の粉末を用いてテープ成形した試料No.21では、主結晶の長径のばらつきが大きく、圧電特性のばらつきが大きかった。また、高い成形圧力にてプレス成形を行った試料No.20では、不均一な組織であり、k33値が小さく、ばらつきも大きかった。
【0053】
これに対して、本発明に基づき、ビスマス層状化合物を90重量%以上含む粉末を含有するスラリーに1T以上の磁場を印加して成形した試料No.3〜12、14〜18では、いずれの試料でも主結晶の長径が均一で配向度が高く、板状体の主面のk33値が30%よりも大きくばらつきが5%以下と小さい優れた圧電特性を有するものであった。
【0054】
また、上記試料について、配向度f1を測定した面からそれぞれ0.1mmずつ研磨した面についてf1と同様に配向度f2を測定し、その比(f2/f1)を算出したところ、試料No.1、2および3〜18ではいずれも0.95〜1.05であったのに対して、試料No.19では0.9、試料No.20では0.70、試料No.21では0.75であった。
【0055】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明のビスマス層状化合物焼結体の製造方法によれば、ビスマス層状化合物粉末に溶媒を加えたスラリーに対して特定方向に高い磁場を印加することによって、ビスマス層状化合物結晶のc軸が磁場の印加方向と垂直な向きになるように配向させることができ、さらにこれを焼成することによって、結晶成長の異方性により、粒径の揃った扁平な主結晶が特定の向きに配向したビスマス層状化合物焼結体を作製でき、高く、かつばらつきの小さい圧電特性を有する焼結体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のビスマス層状化合物焼結体の模式図である。
【符号の説明】
1 ビスマス層状化合物焼結体
2 主結晶
A 配向方向と垂直な面
H 磁場の印加方向

Claims (3)

  1. 一般式が(Bi 2+ (A m−1 3m+1 2− (但し、A:アルカリ金属、アルカリ土類金属および鉛の群から選ばれる少なくとも1種、B:4a金属または5a金属の群から選ばれる少なくとも1種、m>1)で表されるビスマス層状化合物からなる扁平粒子を主結晶とし、c面と垂直な結晶面方向に配向した焼結体であり、該配向方向と垂直な面における主結晶のうち、長径dが0.5d ≦d≦2d (d は主結晶の平均長径)を満たす結晶の割合が全主結晶の80%以上であるビスマス層状化合物焼結体の製造方法であって、セラミック原料粉末としてビスマス層状化合物を90重量%以上含む粉末に溶媒および紫外線硬化性樹脂を添加したスラリーを作製し、該スラリーに対して一方向に1T以上の磁場を印加して前記ビスマス層状化合物粉末をc面と垂直な結晶面に配向させつつ紫外線を照射して前記スラリーを固化した後、焼成することを特徴とするビスマス層状化合物焼結体の製造方法。
  2. 一般式が(Bi 2+ (A m−1 3m+1 2− (但し、A:アルカリ金属、アルカリ土類金属および鉛の群から選ばれる少なくとも1種、B:4a金属または5a金属の群から選ばれる少なくとも1種、m>1)で表されるビスマス層状化合物からなる扁平粒子を主結晶とし、c面と垂直な結晶面方向に配向した焼結体であり、該配向方向と垂直な面における主結晶のうち、長径dが0.5d ≦d≦2d (d は主結晶の平均長径)を満たす結晶の割合が全主結晶の80%以上であるビスマス層状化合物焼結体の製造方法であって、セラミック原料粉末としてビスマス層状化合物を90重量%以上含む粉末に溶媒、および熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を添加したスラリーを作製し、該スラリーに対して一方向に1T以上の磁場を印加して前記ビスマス層状化合物粉末をc面と垂直な結晶面に配向させつつ温度を変化させて前記スラリーを固化した後、焼成することを特徴とするビスマス層状化合物焼結体の製造方法。
  3. 前記ビスマス層状化合物粉末の平均粒径が0.5〜2.0μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のビスマス層状化合物焼結体の製造方法。
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