JPH10265271A - 結晶配向セラミックスの製造方法 - Google Patents

結晶配向セラミックスの製造方法

Info

Publication number
JPH10265271A
JPH10265271A JP9092920A JP9292097A JPH10265271A JP H10265271 A JPH10265271 A JP H10265271A JP 9092920 A JP9092920 A JP 9092920A JP 9292097 A JP9292097 A JP 9292097A JP H10265271 A JPH10265271 A JP H10265271A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
crystal
guest material
host material
guest
oriented
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP9092920A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsuguto Takeuchi
嗣人 竹内
Toshihiko Tani
俊彦 谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP9092920A priority Critical patent/JPH10265271A/ja
Publication of JPH10265271A publication Critical patent/JPH10265271A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ペロブスカイト構造を有する化合物の結晶配
向セラミックスを容易かつ安価に製造することができ,
また上述の結晶配向セラミックスよりなる厚みのあるバ
ルク材料を得ることができる,結晶配向セラミックスの
製造方法を提供すること。 【解決手段】 ペロブスカイト構造を有するゲスト材料
B,これを生じる材料P,これの前駆体である材料Qを
用いて,マグネットプランバイト構造を有するホスト材
料Aを種結晶として該ホスト材料Aの表面で上記ゲスト
材料Bの少なくとも一部を生成または再配列させる。そ
して,ホスト材料Aの結晶面等の配向を利用して上記ゲ
スト材料Bの少なくとも一部の結晶面等を配向させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,機能や特性が結晶方位依存性を
有するペロブスカイト構造の材料,即ち,誘電体材料,
焦電体材料,圧電体材料,強誘電体材料,イオン導伝性
材料,熱電材料,蓄電材料などの多結晶セラミックスに
おいて,その結晶方位が配向した,結晶配向セラミック
スの製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】ペロブスカイト構造は,例えば,PZT
(化合物名:チタン酸ジルコン酸鉛)やチタン酸バリウ
ムに代表されるように工学的に重要な強誘電体の多くが
取る結晶構造である。そして,上記ペロブスカイト構造
の化合物は,加速度センサ,焦電センサ,超音波セン
サ,磁性センサ,電界センサ,温度センサ,ガスセンサ
などのセンサ類,熱伝変換,圧電トランスなどのエネル
ギー変換素子,圧電アクチュエータ,超音波モータ,レ
ゾネータなどの低損失アクチュエータ,低損失レゾネー
タ,キャパシタ,イオン伝導体,電子伝導体,蓄電体と
して利用することができる,広い応用範囲を持った機能
性セラミックス材料に用いることができる。
【0003】また,上記ペロブスカイト構造は立方晶系
あるいは立方晶系が僅かに歪んだ晶系に属し,上記ペロ
ブスカイト構造を有する化合物は,その結晶構造の歪み
の方向によって大きな特性の異方性を示す。
【0004】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記ペロブス
カイト構造における結晶の異方性は極めて小さく,従っ
て,異方性形状の単結晶粒子を合成することが極めて困
難である。また,上記ペロブスカイト構造の骨格を構成
するTi,Zr,Nbなどの酸化物は,ペロブスカイト
構造における骨格構造と長周期構造が類似し,かつ異方
性形状を持つ粒子が合成できない。このため,従来知ら
れているソフトフェライト材料の配向制御に有効なトポ
タキシー法(釘宮公一,廣田健,エレクトロセラミック
ス,7月号,56−63(1991))を利用した配向
制御もできなかった。
【0005】これまでに,チタン酸カリウム繊維あるい
はその誘導体である繊維状酸化チタン,繊維状含水水酸
化チタンを原料としてチタン酸鉛やチタン酸バリウムな
どの配向セラミックスを作製する技術が特許公告されて
いるが(特公昭63−24949号,特公昭63−24
950号,特公昭63−43339号,特公昭63−4
3340号,特公昭63−43341号),ペロブスカ
イト構造とは異なるTi−O結合骨格を持つチタン酸カ
リウム繊維やその誘導体を用いて結晶配向セラミックス
を作製することは原理的に極めて困難である。
【0006】また,結晶配向したペロブスカイト型構造
をとる結晶配向セラミックスを得る別の方法として,ス
パッタリング,化学気相蒸着(CVD),ゾルゲルなど
の方法で基板上に薄膜を作製することが知られている。
しかしながら,このような方法で,厚膜を作るためには
製造コストが高価になるばかりでなく,膜の亀裂,剥離
の問題が生じ,5μmを超える厚みの結晶配向セラミッ
クスを得ることは極めて困難であった。このように,ペ
ロブスカイト構造を有し,かつ結晶配向したセラミック
スは,高価で生産性の劣る単結晶育成に頼らない限り,
作製は困難であった。
【0007】ところで,従来,マグネットプランバイト
構造を有するMO・6Fe2 3 (ここにMとはBa,
Sr,Pb等の元素を示す)は代表的なハードフェライ
トとして知られており,固相法,液相法等の種々の方法
で合成が行われている(J.J.Went,et a
1.:Philips Tech.Rev.13 19
4(1952),山本洋,竹内礼,粉体および粉末冶
金,43(8)984−989(1996),特開昭5
6−50200号)。
【0008】この材料は,そのc軸方向に磁化容易軸を
有し,このため成形時あるいは焼結時に磁場を印加した
磁場中成形あるいは磁場中焼結により配向制御が可能で
あり,X線回折により求められるc軸配向度(Lotg
ering法)が90%を超える結晶配向焼結体が得ら
れている(田口仁,エレクトロセラミックス,7月号,
49−55(1991),下田達也,エレクトロセラミ
ックス,7月号,16−22(1991))。
【0009】また,マグネットプランバイト構造を有す
る材料の結晶粒子はa軸方向に成長し易く,液相法等の
合成法により,c面が拡がった六角板状の形状異方性粒
子が容易に得られる。また,加圧成形,ドクターブレー
ド成形,押出成形により粒子配向を行うことも可能であ
り,この方法でもc軸配向した結晶配向焼結体が得られ
ている(特開昭55−154110号)。
【0010】しかしながら,マグネットプランバイト構
造を有する材料をペロブスカイト材料を作製するための
テンプレート用ホスト材料として利用した例はこれまで
にない。
【0011】本発明は,かかる問題点に鑑み,ペロブス
カイト構造を有する化合物の結晶配向セラミックスを容
易かつ安価に製造することができ,また上述の結晶配向
セラミックスよりなる厚みのあるバルク材料を得ること
ができる,結晶配向セラミックスの製造方法を提供しよ
うとするものである。
【0012】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,ペロブスカイト
構造を有するゲスト材料B,あるいは反応により該ゲス
ト材料Bを生じる材料P,または該ゲスト材料Bの前駆
体よりなる材料Qを用いて,マグネットプランバイト構
造に関連した結晶構造を有しかつ強磁性体であるホスト
材料Aを種結晶として該ホスト材料Aの表面で上記ゲス
ト材料Bの少なくとも一部を生成または再配列または再
配列させる,または該ホスト材料Aの表面の少なくとも
一部分に予めゲスト材料Bをエピタキシー関係を保って
形成した複合セラミックス粒子を種結晶として該複合セ
ラミックス粒子の表面で上記ゲスト材料Bの少なくとも
一部を生成または再配列または再配列させると共に,上
記ホスト材料Aの結晶面または結晶軸の配向を利用して
上記ゲスト材料Bの少なくとも一部の結晶面または結晶
軸を配向させることを特徴とする結晶配向セラミックス
の製造方法にある。
【0013】上記ホスト材料Aは,本発明の製造方法の
工程中で配向させる。この場合,ホスト材料Aの表面で
ゲスト材料Bの少なくとも一部を生成または再配列する
前にホスト材料Aの結晶面または結晶軸を配向させても
よく,あるいはホスト材料Aの表面でゲスト材料Bの少
なくとも一部を生成または再配列した後にホスト材料A
の結晶面または結晶軸を配向させてもよい。
【0014】また,材料Pまたは材料Qを用いてゲスト
材料Bを生成または再配列する方法としては,後述する
ように,材料Pまたは材料Qを加熱する方法等がある。
また,後述するように,上記ホスト材料Aとして,その
表面にゲスト材料Bをエピタキシー関係を保って形成し
た複合セラミックス粒子を使用することもできる。
【0015】また,上記ホスト材料Aと上記材料Pまた
は材料Qとより得られる結晶配向セラミックスは,ホス
ト材料Aと混合する材料Pまたは材料Qの組成がゲスト
材料Bの合成に必要な化学量論比に一致していれば,強
磁性体のホスト材料Aとペロブスカイト構造のゲスト材
料Bとよりなる複合セラミックスとなる。また,得られ
た結晶配向セラミックス中に一部のゲスト材料Bの組成
が拡散した化合物が残留することもある。
【0016】また,最終的にホスト材料Aがゲスト材料
Bまたは該ゲスト材料Bと同じペロブスカイト構造を有
する材料B’へと変換し得る様に,上記製造工程におい
て材料Cを加えることもできる。この場合に最終的に得
られる結晶配向セラミックスは,ゲスト材料Bあるいは
B’単相の結晶配向セラミックスである。なお,上記製
造工程において,ホスト材料Aと材料Pまたは材料Qと
の他にフィラーとして予めゲスト材料BあるいはB’の
微細粉末を混合しておいても良い。
【0017】なお,ゲスト材料Bがホスト材料Aの表面
で生成する場合において,ホスト材料Aの結晶格子と方
向を揃えた状態となったゲスト材料Bは全部であって
も,一部であってもよい。一部の場合には,ホスト材料
Aの表面以外でゲスト材料Bが無配向に生成する。ま
た,ゲスト材料Bが,ホスト材料Aの表面で再配列する
場合において,ホスト材料Aの結晶格子と方向を揃えた
状態となったゲスト材料Bは全部であっても,一部であ
ってもよい。この場合も一部の場合には,ホスト材料A
の表面以外でゲスト材料Bが無配向に存在する。
【0018】また,上述の無配向なゲスト材料Bの一部
あるいは全部が,配向したゲスト材料Bに吸収される様
な粒成長の工程を導入することにより,無配向なゲスト
材料Bの割合を減らすことができる。なお,上記粒成長
の工程としては,後述する熱処理工程における後期工程
がこれに相当する。
【0019】次に,上記ホスト材料Aについて説明す
る。上記ホスト材料Aとしては,マグネットプランバイ
ト構造に関連する構造を有し,かつ強磁性を示すものを
用いる。このような化合物としては,一般式MO・6F
2 3 (ここにMはBa,Sr,Pb,La等であ
る。)で表現されるマグネットプランバイト構造を有す
る化合物を挙げることができる。
【0020】なお,上記『マグネットプランバイト構造
に関連する構造』とは,少なくとも一部にマグネットプ
ランバイト構造を含んだ結晶構造である。例えば,Ba
2 Fe1627,Ba2 2 Fe1222,Ba3 2
2441(ここにMはCo,Fe,Mn,Ni,Zn,
Mg,Cu等である)等の,マグネットプランバイト構
造とMFe2 4 スピネル構造層を結晶構造内に含んだ
化合物を挙げることができる。
【0021】上記ホスト材料Aの形態は特に限定される
ものではないが,上記材料Pまたは材料Qとの混合容易
性を考慮すると粉末状であることが好ましい。また,上
記粉末を構成する粒子の形状についても特に限定される
ものではないが,上記ゲスト材料Bのエピタキシー生成
または再配列を容易とするために,後述するごとくペロ
ブスカイト構造に対する格子整合面となるマグネットプ
ランバイト構造のc面よりなる広がり面を有する形状で
あることが好ましい。
【0022】また,上記c面よりなる広がり面の長さ
(長軸径)は0.5μm以上であることが好ましい。こ
れにより,界面エネルギーの利得が大きくなり,ゲスト
材料Bのエピタキシー生成または再配列を容易とするこ
とができる。また,これにより,上記ゲスト材料Bがエ
ピタキシー生成または再配列することにより得られた結
晶の大きさをより大きくすることができる。特にこの場
合には,後述する粒成長工程においてオストワルド成長
の原理により上記ゲスト材料Bの結晶がより大きくなり
やすい。なお,上記広がり面の大きさは5μm以上であ
ることがさらに好ましい。
【0023】また,上記ホスト材料Aは,固相法,液相
法あるいは気相法により合成することができる。また,
c面を広がり面とする粒子を得るためには,液相法ある
いは気相法により合成することが好ましく,特に高温の
融液中で合成するフラックス法,水熱法,または過飽和
溶液中で析出させる方法を採用することが好ましい。
【0024】次に,上記ゲスト材料Bについて説明す
る。上記ゲスト材料Bはペロブスカイト構造を有する化
合物である。上記化合物としては,一般式ABO3 (こ
こにA,Bは共に金属元素である。)にて示される,例
えば,SrTiO3 などの誘電体,BaTiO3 ,Pb
TiO3 ,Pb(Zr,Ti)O3 などの強誘電体,P
bZrO3 などの反強誘電体,PbMg1/3 Nb2/3
3 ,PbZn1/3 Nb2/3 3 ,(Pb,La)(Z
r,Ti)O3 などの緩和型強誘電体,(La,Ca)
MnO3 ,(La,Sr)MnO3 などの磁性体,La
LiTi2 6 などのイオン伝導体,Ba2 LnIrO
6 (Ln=La,Ce,Pr,Eu,Ho,Er,Y
b,Lu)などの半導体を挙げることができる。
【0025】もちろん,これらの化合物にとどまらず,
ほとんど全てのペロブスカイト型構造を有する物質に対
し,本発明の製造方法を適用して結晶配向セラミックス
を得ることができる。また,上記の物質を主成分とする
もの以外に,物質間の固溶体に対しても適用することが
できる。
【0026】また,最終的にゲスト材料B単相よりなる
結晶配向セラミックスを得るためにはホスト材料A,材
料Pまたは材料Q,ゲスト材料Bとの間に組成的な限定
が必要となる。即ち,ゲスト材料Bの組成がホスト材料
Aの組成を含む様な組合わせを取ることが必要となる。
【0027】例えば,ホスト材料AとしてPbFe12
19を用い,材料QとしてNbO3 ,PbO,Fe
2 3 ,ZrO2 ,TiOなどの粉末を用いた場合に
は,PbFe1/2 Nb1/3 3 (PFN),Pb(Z
r,Ti)O3 −PFNなどのゲスト材料B単相よりな
る結晶配向セラミックスを得ることができる。
【0028】また,ホスト材料AとしてBaFe1219
を用い,材料QとしてBaCO3 ,Fe2 3 ,Nb2
5 ,PbO,ZnO2 ,TiO2 などの粉末を用いた
場合には,BaFe1/2 Nb1/2 3 (BFN),Pb
(Zr,Ti)O3 −BFNなどのゲスト材料B単相よ
りなる結晶配向セラミックスを得ることができる。勿
論,結晶配向セラミックスの組成がゲスト材料B単相で
なくともよい場合には,ホスト材料Aとゲスト材料Bと
して任意の化合物を組み合せることができる。
【0029】次に,上記材料Pまたは材料Qについて説
明する。上記材料Pまたは材料Qは,ゲスト材料Bの原
料となる単純酸化物の他,水酸化物,炭酸塩,硝酸塩,
硫酸塩,有機酸塩,アルコキシドなど,ゲスト材料Bを
構成する酸化物等となり得る物質であればいかなるもの
でも使用することができる。
【0030】また,上記材料Pまたは材料Qは固体や液
体として用いることも,水や有機溶媒に溶解または懸濁
している状態で使用してもよく,これらの液体中で錯体
を作製して使用してもよい。
【0031】また,気相の原料を用いてホスト材料Aの
表面に付着させてよい。例えば,上記ゲスト材料Bとし
て,BaTiO3 ,PbTiO3 ,Pb(Zr,Ti)
3 などを選択した場合には,TiO2 ,PbO,Zr
2 などの酸化物,BaCO3 などの炭酸塩を用いるこ
とができる。また,Ti,Zrのアルコキシド,酢酸鉛
等を原料としてこれらの金属元素を含むゾルを用いても
よい。
【0032】次に,本請求項にかかる製造方法は,『混
合工程』,『成形・配向工程』及び『熱処理工程』より
なることが好ましい。以下に,これらの工程につき詳細
に説明する。なお,上記『混合工程』,『成形・配向工
程』及び『熱処理工程』は順不同に行うことができる。
また,二つの工程を同時に行うこともできる。
【0033】まず,上記『混合工程』につき説明する。
上記『混合工程』において,上記ホスト材料A及び上記
材料Pまたは材料Qを混合する。また,上記『混合工
程』において,上記ホスト材料A及び上記材料Pまたは
材料Qに対して,分散剤,結合材,可塑剤等を同時に添
加,混合することができる。上記ホスト材料Aと上記材
料Pまたは材料Qの混合は乾式で行ってもよいが,好ま
しくは,水または有機溶媒中でボールミルや攪拌機を用
いて行う。
【0034】なお,上記材料Pまたは材料Qとして水溶
性の材料を用いる場合には,上記混合工程終了後,上記
ホスト材料A及び上記材料Pまたは材料Qが偏析し難い
条件にて液体成分の除去を行う必要がある。この液体成
分の除去方法として吸引濾過,蒸発乾燥を採用する場合
には,これを速やかに行う必要がある。上記液体成分の
除去に使用する手段としてはスプレードライヤー等を用
いることが好ましい。ただし,『成形・配向工程』にお
いて湿式成形を行なう場合には,液体成分を含有したス
ラリーをそのまま使用することができるため,上述した
乾燥は必要ない。
【0035】また,上記ホスト材料Aの体積は,最終的
に生成または再配列した結晶配向セラミックス100%
に対し,5%以上とすることが好ましい。これにより,
得られた結晶配向セラミックスにおいて,結晶面または
結晶軸に依存する特性を実用上意味のある程度にまで高
めることができる。
【0036】上記ホスト材料Aの体積を5%以上とした
場合には,得られた結晶配向セラミックスの配向度を1
0%以上とすることができる。さらに,上記ホスト材料
Aの体積を20%以上とした場合には,得られた結晶配
向セラミックスの配向度を30%以上とすることができ
る。なお,上記結晶配向セラミックスにおける配向度
は,X線回折の強度から計算するLotgering法
にて求めるのが一般的である。
【0037】また,上記ホスト材料Aの体積が多いほ
ど,ホスト材料Aを構成する粉末間の間隙が小さくな
る。このため,後述のオストワルド粒成長が容易とな
り,ゲスト材料Bの配向度を高めることができる。しか
しながら,ホスト材料Aの体積が増大するほど,ゲスト
材料Bの体積が減少するため,上記ホスト材料Aの上限
は80%とすることが好ましい。さらに,好ましくは上
限を50%とするのがよい。
【0038】次に,上記『成形・配向工程』について説
明する。上記『成形・配向工程』において,上記ホスト
材料Aに対し配向成形を施し,特定方向に配向したホス
ト材料A(または,その表面に部分的にゲスト材料Bが
エピタキシー生成または再配列した状態にあるホスト材
料A)よりなる成形体を得ることができる。上記『成形
・配向工程』としては,例えば,湿式または乾式の一軸
加圧,押出成形,ドクターブレード等を用いたテープ成
形,遠心成形などを採用することができる。また,後述
するごとく,外部磁場を印加しつつ上記成形のいずれか
を行うこともできる。
【0039】また,上記『成形・配向工程』において得
られた成形体は,圧延することが好ましい。上記圧延処
理により,ホスト材料Aと材料Pまたは材料Qとの接触
面積が増大し,後述する『熱処理工程』において,上記
成形体の表面に対するゲスト材料Bのエピタキシー生成
または再配列がより容易となる。また,上記圧延処理に
より,最終的な生成または再配列物である結晶配向セラ
ミックスの密度を高めることができる。
【0040】なお,水または有機溶媒等の液体成分を含
むスラリー状態の上記ホスト材料A及び上記材料Pまた
は材料Qを用いて成形した成形体は,後述する『熱処理
工程』に先立って,上記液体成分を除去するための乾燥
処理を施すことが好ましい。
【0041】次に,上記『熱処理工程』について説明す
る。上記『熱処理工程』において,ホスト材料Aまたは
該ホスト材料Aより成形された成形体の表面にゲスト材
料Bの少なくとも一部がエピタキシー生成またはエピタ
キシー関係を保つように再配列し,その後該ゲスト材料
Bが粒成長し,本例にかかる結晶配向セラミックスとな
る。
【0042】そして,上記『熱処理工程』は,ゲスト材
料Bをエピタキシー生成またはエピタキシー関係を保つ
ように再配列させる『前期工程』と,生成または再配列
したゲスト材料Bを粒成長させる『後期工程』との二工
程よりなることが好ましい。これにより,エピタキシー
生成またはエピタキシー関係を保つように再配列したゲ
スト材料Bが粒成長(オストワルト粒成長)の過程にお
いて,ホスト材料Aの表面以外の部分において生成また
は存在する無配向のゲスト材料Bを取り込むことができ
る。よって,より配向度の高い結晶配向セラミックスを
得ることができる。
【0043】以下,上記『前期工程』について説明す
る。上記『前期工程』における加熱温度は,例えば熱分
析等で見出すことができる材料Pまたは材料Qよりゲス
ト材料Bが合成される温度よりも高い温度であって,か
つ可能な限り低い温度とすることが好ましい。また,上
記『前期工程』における加熱は最低限必要な時間のみ行
うことが好ましい。これにより,ゲスト材料Bのエピタ
キシー生成またはエピタキシー関係を保つように再配列
にかかる反応のみを優先的に進行させることができる。
【0044】上記『前期工程』における加熱温度は,具
体的にはゲスト材料Bの種類によって異なるが,上述の
理由から,200〜1200℃の範囲で行うことが好ま
しい。上記加熱温度が200℃未満である場合には,ゲ
スト材料Bのエピタキシー生成することまたはエピタキ
シー関係を保つように再配列することが困難となるおそ
れがある。
【0045】一方,1200℃を越えた場合には,配向
していないゲスト材料Bの粗大な粒子(即ちホスト材料
Aを種結晶とせず,独立して生成または再配列したゲス
ト材料Bよりなる粒子)が生成するおそれがある。ま
た,この『前期工程』における雰囲気としては,大気ま
たは酸素を用いることが好ましい。
【0046】ただし,上記『前期工程』におけるゲスト
材料Bのエピタキシー生成または再配列を,水熱反応を
利用して行う,あるいは溶液からの析出反応を利用して
行う場合には,上述した200〜1200℃以下の温
度,例えば20〜250℃といった低温で行うことがで
きる(但し,この温度範囲はゲスト材料Bの種類にも依
存するため,あくまで一例である)。また,このような
低温での『前期工程』の継続時間は10分以上必要であ
る。
【0047】上記温度が20℃未満である場合には,ゲ
スト材料Bのエピタキシー生成または再配列が困難とな
るおそれがある。一方,250℃を越えた場合には,ホ
スト材料Aの表面が腐食によって荒らされ,ゲスト材料
Bのエピタキシー生成または再配列が困難となるおそれ
がある。また,上記『前期工程』の継続時間が10分よ
り短い場合においても,ゲスト材料Bのエピタキシー生
成または再配列が困難となるおそれがある。
【0048】また,上記『前期工程』における加熱手段
は特に問わず,電気炉,ガス炉,イメージ炉などの各種
の炉を使用することができる。しかしながら,マイクロ
波やミリ波等を用い,ホスト材料Aを優先的に加熱する
といった手法は,その表面上でのゲスト材料Bのエピタ
キシー生成または再配列を促進するため,有効な手段で
ある。
【0049】次に『後期工程』について説明する。上記
『後期工程』は,通常,ゲスト材料Bの緻密化のために
行なわれる焼結等の温度領域で行うことが好ましい。こ
れにより,緻密化を達成する過程において同時に配向度
を高めることができる。なお,上記『後期工程』におけ
る加熱温度は,ゲスト材料Bの種類にも依存するが,例
えば800〜1600℃において行うことが好ましい。
また,上記『前期工程』における加熱温度,即ちゲスト
材料Bがエピタキシー生成またはエピタキシー関係を保
つように再配列する温度領域よりもさらに高温で行うこ
とが好ましい。
【0050】上記温度が800℃未満である場合には,
粒成長による配向度の向上が不十分であり,一方,16
00℃を越えた場合には,ゲスト材料Bの種類にもよる
が,熱分解が非常に激しくなるおそれがある。また,
『後期工程』の継続時間は30分以上であることが好ま
しい。上記継続時間が30分未満である場合には,充分
な粒成長が行なわれず,配向度が高まり難いおそれがあ
る。
【0051】また,上記『後期工程』は,上記ゲスト材
料Bが酸化物よりなる場合には,空気中または酸素中で
行うことができる。特に酸素雰囲気で行う場合には,よ
り高密度の結晶配向セラミックスを得ることができるた
め好ましい。必要に応じて,さらに緻密化させるために
は,上記『後期工程』中に機械的加圧または静水圧加圧
(HIP)を行うことも有効である。
【0052】なお,上記『前期工程』と上記『後期工
程』とを連続して,あるいは同時に行うこともできる。
さらに,上記『前期工程』の前または上記『前期工程』
の途中において,冷間静水圧プレス(CIP)を行うこ
とが好ましい。これにより,成形体内のホスト材料Aと
ゲスト材料Bとの接触面積が大きくなり,『前期工程』
におけるゲスト材料Bのエピタキシー生成またはエピタ
キシー関係を保つように再配列または『後期工程』にお
ける粒成長および緻密化を促進することができる。
【0053】また,上記ホスト材料Aの代わりに,ホス
ト材料Aの表面の少なくとも一部分に予めゲスト材料B
をエピタキシーの関係を保って形成した複合セラミック
ス粒子を用いることができる。これにより,結晶配向セ
ラミックスを製造する工程において,ゲスト材料Bのエ
ピタキシー生成または再配列が一層容易となり,配向度
を高めることができる。
【0054】上記複合セラミックス粒子は,磁性を有す
る中心粒子と誘電性,導電性,イオン伝導性,熱電性,
圧電性等の機能を有する被覆相とからなる複合機能粒子
である。上記複合セラミックス粒子は磁場を印加するこ
とで,粒子の移動,配列,配向等が可能である。上記配
向セラミックス製造におけるホスト材料Aとして以外に
も,磁場による配向膜の作製,磁場による機能制御等の
可能な材料として利用することができる。
【0055】上記複合セラミックス粒子は,ホスト材料
Aを固相法,融液法,溶液法,あるいは気相法により処
理することで合成することができる。特に,フラックス
法等の溶融塩中で処理することを特徴とする融液法,水
熱法等の溶液中で処理することを特徴とするものは,被
覆面積が大きい良好な複合セラミックス粒子となりやす
く,好ましい。
【0056】本発明の作用につき,以下に説明する。本
発明の製造方法においては,ゲスト材料Bあるいは材料
Pまたは材料Qを用い,ホスト材料Aを種結晶として,
該ホスト材料Aの表面にゲスト材料Bの少なくとも一部
を生成または再配列させると共に,ホスト材料Aの配向
を利用して上記ゲスト材料Bの少なくとも一部を配向さ
せる。
【0057】上記材料Pまたは材料Qの少なくとも一部
は上記ホスト材料Aの表面の結晶格子をテンプレートと
する形で上記ゲスト材料Bとして生成または再配列す
る。即ち,上記ゲスト材料Bの結晶格子の少なくとも一
部は,上記ホスト材料Aの結晶格子と整合性がある状態
でエピタキシー生成または再配列する。また,上記のよ
うに結晶格子の整合性があれば,ホスト材料Aの表面付
近にあるゲスト材料Bは,ホスト材料Aとエピタキシー
関係を保つように再配列できる。
【0058】上記ホスト材料Aの表面にて上記ゲスト材
料Bがエピタキシー生成する理由は次の通りである。つ
まり,上記ホスト材料Aの表面の結晶格子と格子整合性
を有する結晶は,格子整合性を持たない結晶よりも安定
に存在できる。これは格子整合性を持つ結晶は界面エネ
ルギーが小さいため,持たない結晶よりもエネルギー利
得が大きいためである。
【0059】また,上記ホスト材料Aの表面にて上記ゲ
スト材料がエピタキシー関係を保つように再配列する理
由は,上記エピタキシー生成の場合と同様に界面エネル
ギーが小さくなるためである。すなわち,隣接するホス
ト材料Aとゲスト材料Bが格子整合する結晶面で接した
場合,その界面エネルギーの利得がもっとも大きくな
る。
【0060】図1に示すごとく,一般式MO・6Fe2
3 により示されるマグネットプランバイト構造の結晶
格子において,矢線αにて示されるα面の原子配列は図
3に示すごとき状態にある。また,図2に示すごとく,
一般式ABO3 により示されるペロブスカイト構造の結
晶格子において,矢線βにて示されるβ面の原子配列は
図4に示すごとき状態にある。
【0061】これらの面は,図3,図4より明らかであ
るが,二次元的にはその原子配列が類似した状態にあ
る。また,両者の格子寸法差も小さい。従って,両者の
間には格子整合性が成立し,よって,上記α面をテンプ
レートとして,上記β面がエピタキシー生成またはエピ
タキシーの関係を保って再配列することが可能である。
なお,上記α面とは,結晶格子におけるc軸と垂直方向
に広がるc面,上記β面とは,結晶格子における[11
1]軸と垂直方向に広がる(111)面である
【0062】そして,本例にかかるホスト材料Aはマグ
ネットブランバイト構造(またはこれに関連した構造
の)の化合物であり,ゲスト材料Bはペロブスカイト構
造の化合物である。一方,上記マグネットブランバイト
構造の化合物は,従来技術において示したごとき一般的
に知られている,安価で容易に実行可能な配向成形を施
すことにより,結晶軸または結晶面が配向した成形体を
得ることができる。
【0063】以上により,上記ゲスト材料Bの結晶格子
は,配向した上記ホスト材料Aの表面の結晶格子に沿っ
てエピタキシー生成またはエピタキシー関係を保つよう
に再配列することができる。従って,ゲスト材料Bの結
晶そのものが配向し易いか配向し難いかにかかわらず,
上記ゲスト材料Bの少なくとも一部は配向した状態とな
る。
【0064】従って,高価で生産性の劣る単結晶育成に
頼らずとも,容易かつ安価にペロブスカイト構造を有す
る化合物の結晶配向セラミックスを製造することができ
る。
【0065】以上の如く,本発明によれば,ペロブスカ
イト構造を有する化合物の結晶配向セラミックスを容易
かつ安価に製造することができ,また上述の結晶配向セ
ラミックスよりなる厚みのあるバルク材料を得ることが
できる,結晶配向セラミックスの製造方法を提供するこ
とができる。
【0066】次に,上記ホスト材料Aを磁場中成形また
は磁場中焼結により配向させることが好ましい。一般
に,マグネットプランバイト構造を有する化合物は,そ
のc軸方向に磁化容易軸を有する。それ故に,外部磁場
中で Th=H×I (Th;トルク,H;外部磁場,I;磁化容易軸方向の
磁気モーメント)で示されるトルクを受けることによ
り,上記化合物の結晶粒子は該結晶粒子のc面が外部磁
場と直交するように配列することができる。
【0067】従って,上記ホスト材料Aに対し,磁場中
成形または磁場中焼結(即ち外部磁場を印加しながら成
形または焼結を行う)を施すことにより,これを構成す
る結晶粒子の方向の揃った,即ち上記ホスト材料Aが配
向した成形体を得ることができる。
【0068】また,加熱処理中に磁場を印加する場合に
は,上述した『前期工程』および『後期工程』を磁場中
において行うことが好ましい。これにより,加熱に伴う
結晶粒子の再配列によるホスト材料Aの配向度低下を抑
制することができる。また,熱処理中に液相を生じ,ホ
スト材料Aの回転が成形時より容易となる場合には,ホ
スト材料Aの配向度は成形体であった状態よりもより高
まる。その結果,より高い配向度を有する結晶配向セラ
ミックスを得ることができる。
【0069】また,磁場の方向は特に限定されるもので
はないが,ホスト材料Aとしてマグネットプランバイト
構造のc面が広がり面となった粒子を用いた場合には,
加圧方向,あるいは剪断応力のかかる面に対して垂直方
向となるように磁場を印加することが好ましい。この場
合,ホスト材料Aを構成する粒子の形状異方性に伴う配
向と磁場による配向の効果が相乗し,より高い配向度を
有する結晶配向セラミックスを得ることができる。
【0070】また,上記磁場の強さは特に限定されるも
のではないが,1kOe(キロエルステッド)以上とす
ることが好ましい。上記磁場が1kOe未満である場合
には,ホスト材料Aを構成する粒子に十分なトルクを与
えることができず,配向度を高めることができないおそ
れがある。
【0071】また,本発明の結晶配向セラミックスは,
上記ゲスト材料Bの少なくとも一部がペロブスカイト構
造の(111)面で配向することを特徴とする。これ
は,上述のようにマグネットプランバイト構造のc面
と,ペロブスカイト構造の(111)面が格子整合を持
つためである。
【0072】一般にペロブスカイト構造を有する強誘電
体あるいは圧電体材料においては,,その結晶対称性が
菱面体晶に属するものは,その分極容易軸が[111]
軸方向にある。従って,ペロブスカイト構造の(11
1)面において配向させることで,特に強誘電体あるい
は圧電体材料として用いられる結晶配向セラミックスの
特性が向上できる。
【0073】なお,本発明により得られた結晶配向セラ
ミックスは従来の無配向のセラミックスと比較して優れ
た特性を有している。これを利用することにより,加速
度センサ,焦電センサ,超音波センサ,磁性センサ,電
界センサ,温度センサ,ガスセンサなどのセンサ類,熱
伝変換,圧電トランスなどのエネルギー変換素子,圧電
アクチュエータ,超音波モータ,レゾネータなどの低損
失アクチュエータ,低損失レゾネータ,キャパシタ,イ
オン伝導体など,広い範囲の機能性セラミックス材料に
用いることができる。
【0074】
【発明の実施の形態】
実施形態例 本発明の実施形態例にかかる結晶配向セラミックスの製
造方法及びこれにより得られた結晶配向セラミックス及
びその性能について図1〜図4を用いて説明する。本例
にかかる結晶配向セラミックスの製造方法においては,
ペロブスカイト構造を有するゲスト材料B,あるいは反
応により該ゲスト材料Bを生じる材料Pを用いる。そし
て,マグネットプランバイト構造に関連した結晶構造を
有しかつ強磁性体であるホスト材料Aを種結晶として該
ホスト材料Aの表面で上記ゲスト材料Bの少なくとも一
部をエピタキシー生成または再配列させる。
【0075】そしてこの生成または再配列と共に,該ホ
スト材料Aの結晶面または結晶軸の配向を利用して上記
ゲスト材料Bの少なくとも一部の結晶面または結晶軸を
配向させ,結晶配向セラミックスを作製する。なお,以
上により得られた結晶配向セラミックスは,ゲスト材料
B単相の材料である。これは,後述するごとくホスト材
料Aをゲスト材料Bに転換させるための物質を製造中に
添加するためである。
【0076】そして,上記エピタキシーの関係が成立し
た格子整合面は,マグネットプランバイト構造を有する
ホスト材料Aにおいては,図1にかかる矢線αにおいて
示したα面である。また,上記α面とは,図3に示すご
とく,結晶構造におけるc軸に対して垂直なc面であ
る。また,ペロブスカイト構造を有するゲスト材料Bに
おいては,図2にかかる矢線βにおいて示したβ面であ
る。また,上記β面とは,図4に示すごとく,結晶構造
における[111]軸に垂直な(111)面である。
【0077】以下に本例にかかる製造方法につき詳細に
説明する。本例においては,上記ホスト材料AとしてB
aFe1219を用い,反応によりゲスト材料BであるB
aFe1/2 Nb1/2 3 (BFN)を生じる材料Pとし
てBaCO3 およびNb2 5 の混合粉末を用いる場合
を説明する。
【0078】まず,上記ホスト材料A及び材料Qを最終
的に反応によりBFN単相となるように,ホスト材料
A:BaCO3 :Nb2 5 がモル比で1:23:6と
なるように秤量し,ボールミル等による湿式混合,ある
いは乾式混合により,混合粉末とする。これが『混合工
程』である。
【0079】次に,上記混合粉末をプレス方向に10〜
15MGOeの磁場をかけながら,一軸プレスを行い
(いわゆる縦磁場成形),円盤状の成形体を得る。これ
が『成形工程』である。
【0080】上記成形体を電気炉にて1000〜120
0℃の温度で0.5〜2時間熱処理し,原料中のBaC
3 を分解するとともに(BaCO3 →BaO+C
2 ),ホスト材料Aの表面にゲスト材料Bの一部を生
成させた仮焼体を得る。上記工程において,成形体の膨
張が著しい場合は,仮焼体に冷間静水圧プレス(CI
P)を施し,仮焼体密度を再度高める。これが『熱処理
工程−前期工程』となる。
【0081】上記仮焼体を電気炉にて更に1200〜1
400℃の温度で1〜24時間の熱処理を行い,反応を
完了させ,BFN単相からなる焼結体を得る。これが
『熱処理工程−後期工程』となる。
【0082】上述の方法にて得られる焼結体をX線回折
法により測定することにより,その結晶配向を評価でき
る。成形時の加圧方向に垂直(すなわち磁場方向に垂
直)な面の回折パターンは,通常のBFN粉末の回折パ
ターンに比べて相対的に(111)面が高くなり,ペロ
ブスカイト構造の(111)面が配向していることが確
かめられる。その配向度はLotgering法による
値で10%以上とすることができる。
【0083】なお,比較のために,上述の製造方法のよ
うにホスト材料Aを使用せず,BaCO3 ,Fe
2 3 ,Nb2 5 の粉末をモル比で4:1:1となる
ように秤量,これらを混合し,成形,熱処理する場合,
得られる焼結体には,上述の焼結体のような結晶の配向
は観察されない。以上により,本例の製造方法によれば
高価で生産性の劣る単結晶育成に頼らずとも容易かつ安
価にペロブスカイト構造を有する化合物の結晶配向セラ
ミックスを得られることが分かった。
【0084】
【発明の効果】上記のごとく,本発明によれば,ペロブ
スカイト構造を有する化合物の結晶配向セラミックスを
容易かつ安価に製造することができ,また上述の結晶配
向セラミックスよりなる厚みのあるバルク材料を得るこ
とができる,結晶配向セラミックスの製造方法を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例における,マグネットプランバイト
構造のホスト材料Aの結晶格子を示す説明図。
【図2】実施形態例における,ペロブスカイト構造のゲ
スト材料Bの結晶格子を示す説明図。
【図3】実施形態例における,マグネットプランバイト
構造のホスト材料Aの格子整合面となるc面の原子配列
の説明図。
【図4】実施形態例における,ペロブスカイト構造のゲ
スト材料Bの格子整合面となる(111)面の原子配列
の説明図。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペロブスカイト構造を有するゲスト材料
    B,あるいは反応により該ゲスト材料Bを生じる材料
    P,または該ゲスト材料Bの前駆体よりなる材料Qを用
    いて,マグネットプランバイト構造に関連した結晶構造
    を有しかつ強磁性体であるホスト材料Aを種結晶として
    該ホスト材料Aの表面で上記ゲスト材料Bの少なくとも
    一部を生成または再配列または再配列させる,または該
    ホスト材料Aの表面の少なくとも一部分に予めゲスト材
    料Bをエピタキシー関係を保って形成した複合セラミッ
    クス粒子を種結晶として該複合セラミックス粒子の表面
    で上記ゲスト材料Bの少なくとも一部を生成または再配
    列または再配列させると共に,上記ホスト材料Aの結晶
    面または結晶軸の配向を利用して上記ゲスト材料Bの少
    なくとも一部の結晶面または結晶軸を配向させることを
    特徴とする結晶配向セラミックスの製造方法。
JP9092920A 1997-03-26 1997-03-26 結晶配向セラミックスの製造方法 Withdrawn JPH10265271A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9092920A JPH10265271A (ja) 1997-03-26 1997-03-26 結晶配向セラミックスの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9092920A JPH10265271A (ja) 1997-03-26 1997-03-26 結晶配向セラミックスの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10265271A true JPH10265271A (ja) 1998-10-06

Family

ID=14067930

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9092920A Withdrawn JPH10265271A (ja) 1997-03-26 1997-03-26 結晶配向セラミックスの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10265271A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002121069A (ja) * 2000-10-10 2002-04-23 Kyocera Corp ビスマス層状化合物焼結体およびその製造方法
JP2005121715A (ja) * 2003-10-14 2005-05-12 Ricoh Co Ltd 光スイッチ
JP2008037064A (ja) * 2006-08-10 2008-02-21 Murata Mfg Co Ltd 配向性セラミックスの製造方法
CN103274677A (zh) * 2013-05-27 2013-09-04 浙江大学 一种钛掺杂钡铁氧体陶瓷材料及其制备方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002121069A (ja) * 2000-10-10 2002-04-23 Kyocera Corp ビスマス層状化合物焼結体およびその製造方法
JP4688271B2 (ja) * 2000-10-10 2011-05-25 京セラ株式会社 ビスマス層状化合物焼結体の製造方法
JP2005121715A (ja) * 2003-10-14 2005-05-12 Ricoh Co Ltd 光スイッチ
JP2008037064A (ja) * 2006-08-10 2008-02-21 Murata Mfg Co Ltd 配向性セラミックスの製造方法
CN103274677A (zh) * 2013-05-27 2013-09-04 浙江大学 一种钛掺杂钡铁氧体陶瓷材料及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4529219B2 (ja) 圧電セラミックス及びその製造方法
US6093338A (en) Crystal-oriented ceramics, piezoelectric ceramics using the same, and methods for producing the same
Zhang et al. Preparation and enhanced electrical properties of grain-oriented (Bi1/2Na1/2) TiO3-based lead-free incipient piezoceramics
US6620752B2 (en) Method for fabrication of lead-based perovskite materials
US7560089B2 (en) Anisotropically-shaped powder of an alkali metal oxide compound
JP3379387B2 (ja) 結晶配向セラミックス及びその製造方法
JP2003012373A (ja) 結晶配向セラミックス及びその製造方法、並びに、異方形状粉末a及びその製造方法
JP2002173369A (ja) 圧電セラミックス
JP3666182B2 (ja) 結晶配向セラミックスの製造方法
EP0826643B1 (en) Crystal-oriented ceramics and methods for producing the same
JP2004300019A (ja) 結晶配向セラミックス及びその製造方法
Lal et al. Piezoelectric characteristics of spray-dried PZT ceramics modified by isovalent, supervalent and subvalent substitutions
JP2001048647A (ja) 圧電セラミックスの製造方法
JP2002193663A (ja) 結晶配向ペロブスカイト型化合物の焼結体、該焼結体の製造方法、該化合物に用いられるセラミックス粉体の成形体、及び板状結晶配向ペロブスカイト型化合物
JP2007084408A (ja) 圧電セラミックス
JP3557854B2 (ja) 結晶配向材料の製造方法
JP3650872B2 (ja) 結晶配向ビスマス層状ペロブスカイト型化合物及びその製造方法
JPH10265271A (ja) 結晶配向セラミックスの製造方法
Brahmaroutu et al. Templated grain growth of textured Sr/sub 2/Nb/sub 2/O/sub 7
JP2001106568A (ja) 結晶配向セラミックス、結晶配向セラミックスの製造方法及び結晶配向セラミックス製造用板状Ba6Ti17O40粉末の製造方法
US3994823A (en) Ceramic material and method of making
JP3666179B2 (ja) 結晶配向セラミックス及びその製造方法
Yoon et al. Electromechanical Properties of Pb (Yb1/2Nb1/2) O3‐PbZrO3‐PbTiO3 Ceramics
JP2000264727A (ja) 圧電セラミックス
JP4419232B2 (ja) 結晶配向ビスマス層状ペロブスカイト型磁器組成物及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20050404