JP2004299916A - ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の比表面積に対する正方晶性(テトラゴナリティ)および結晶性を高くする製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも2種以上の主原料粉末を混合、仮焼きし、形成されたペロブスカイト構造を有する酸化物を溶液中で湿式粉砕するペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法であって、主原料粉末を仮焼きする工程は、その仮焼き雰囲気における酸素分圧Poが1×104Pa以下の範囲(酸素を含まない零を含む)であり、ペロブスカイト構造を有する酸化物を湿式粉砕する工程は、pHが8.5〜12.5の溶液中で処理されてなり、主原料粉末を仮焼きする工程における酸素分圧Po(単位はパスカル)と、湿式粉砕工程における溶液pHとの関係が下記式(1)〜(3)を満たす範囲で行なわれるように構成される。
0≦Po≦1×104 …式(1)
pH≦(−4×10−5)Po+12.5 …式(2)
pH≧(1.2×10−4)Po+8.5 …式(3)
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも2種以上の主原料粉末を混合、仮焼きし、形成されたペロブスカイト構造を有する酸化物を溶液中で湿式粉砕するペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法であって、主原料粉末を仮焼きする工程は、その仮焼き雰囲気における酸素分圧Poが1×104Pa以下の範囲(酸素を含まない零を含む)であり、ペロブスカイト構造を有する酸化物を湿式粉砕する工程は、pHが8.5〜12.5の溶液中で処理されてなり、主原料粉末を仮焼きする工程における酸素分圧Po(単位はパスカル)と、湿式粉砕工程における溶液pHとの関係が下記式(1)〜(3)を満たす範囲で行なわれるように構成される。
0≦Po≦1×104 …式(1)
pH≦(−4×10−5)Po+12.5 …式(2)
pH≧(1.2×10−4)Po+8.5 …式(3)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、積層型チップコンデンサの誘電体層の形成材料に用いられるペロブスカイト構造を有する酸化物粉末(例えば、チタン酸バリウム粉末)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2001−316114号公報
【特許文献2】特開2002−255552号公報
【特許文献3】特開平10−87372号公報
【0003】
ペロブスカイト構造を有する酸化物、例えば、チタン酸バリウムなどは、積層型チップコンデンサ(積層セラミックコンデンサ)などの電子部品のための誘電体材料として用いられている。
【0004】
近年、このようなペロブスカイト構造を有する酸化物を、誘電体材料(誘電体原料粉末)として用いる場合、粒子径が小さく、かつ高い正方晶性(テトラゴナリティ)および結晶性を有する原料粉末であることが要望されている。積層型チップコンデンサにおいては、小型かつ大容量化を図るために誘電体層(誘電体セラミック層)の厚みをできるだけ薄くする必要があるからである。
【0005】
例えば、チタン酸バリウム粉末の正方晶性(テトラゴナリティ)および結晶性を高めるためには、いわゆる固相反応法において、仮焼き温度を高くし、仮焼き時間を長くすることが効果的であるとされている。すなわち、炭酸バリウム等のバリウム化合物と二酸化チタン等のチタン酸化物とを混合してペレット状に成形した後、仮焼き温度を高くし、仮焼き時間を長くする操作が有効であるとされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような高温・長時間の仮焼き条件では、粒子の成長や粒子同士の凝結が生じてしまう。そのため、この凝結部を分離させたり、粒子のより微粒子化を図るためにボールミル等に仮焼き粉末を投入して湿式粉砕が行なわれる。しかしながら、湿式粉砕を行なうと、チタン酸バリウム粉末の表層部分よりBaイオンが遊離するため、湿式粉砕物の乾燥後に得られるチタン酸バリウム粉末には、Baイオンと空気中の炭酸ガスとの反応により生じたと思われる炭酸バリウムの量が多くなるとともに、チタン酸バリウム粉末の正方晶性(テトラゴナリティ)および結晶性が低下するという問題が生じてしまう。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような実状のもと、本発明らが仮焼き工程における酸素分圧と、仮焼き後に行なわれる湿式粉砕の条件について鋭意研究を進めた結果、酸素分圧を小さくするとともに、湿式粉砕時の溶液pHを、従来行なわれたことのないアルカリ側に設定することにより、ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の正方晶性(テトラゴナリティ)および結晶性の低下を極めて効果的に抑制することができることを見出し本発明に想到したものである。
【0008】
すなわち、本発明は、ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末を製造する際の少なくとも2種以上の主原料粉末を準備する工程と、これらの少なくとも2種以上の主原料粉末を混合する工程と、混合された少なくとも2種以上の主原料粉末を仮焼きする工程と、仮焼きにより形成されたペロブスカイト構造を有する酸化物を溶液中で湿式粉砕する工程と、を有するペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法であって、前記主原料粉末を仮焼きする工程は、その仮焼き雰囲気における酸素分圧Poが1×104Pa以下の範囲(酸素を含まない零を含む)であり、前記ペロブスカイト構造を有する酸化物を湿式粉砕する工程は、pHが8.5〜12.5の溶液中で処理されてなり、前記主原料粉末を仮焼きする工程における酸素分圧Po(単位はパスカル)と、前記湿式粉砕工程における溶液pHとの関係が下記式(1)〜(3)を満たす範囲で行なわれるように構成される。
0≦Po≦1×104 …式(1)
pH≦(−4×10−5)Po+12.5 …式(2)
pH≧(1.2×10−4)Po+8.5 …式(3)
【0009】
また、本発明の好ましい態様として、前記主原料粉末がABO3(AはBa,Sr,Caのグループから選ばれた少なくとも1種であり、BはTi,Zrのグループから選ばれた少なくとも1種)で表されるペロブスカイト構造の酸化物のAサイトを構成する化合物粉末およびBサイトを構成する化合物粉末として構成される。
【0010】
また、本発明の好ましい態様として、前記ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末がチタン酸バリウム粉末であり、前記主原料粉末がチタン化合物およびバリウム化合物である。
【0011】
また、本発明の好ましい態様として、前記ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末は、誘電体層と内部電極層とが交互に積層された素子本体を有する積層型チップコンデンサの誘電体層を形成するために用いられる。
【0012】
また、本発明は、誘電体層と内部電極層とが交互に積層された素子本体を有する積層型チップコンデンサであって、該誘電体層を形成するために用いられる酸化物粉末が請求項1ないし請求項3のいずれかに記載された製造方法により形成されたものとして構成される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
まず、本発明のペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法について説明する前に、本発明の製造方法により製造される酸化物粉末の好適な用途例の一つである誘電体層(誘電体セラミック層)を備える一般的な積層型チップコンデンサの概略構成について、図1〜図3を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は、積層型チップコンデンサの一実施形態を示す斜視図であり、図2は、図1に示される積層型チップコンデンサのA−A線矢視断面図であり、図3は、積層構造の形成過程を分かりやすく説明するための一例を示す斜視図である。
【0016】
図1〜図3に示される好適な一例としての積層型チップコンデンサ1は、第1内部電極層23と第2内部電極層28とが誘電体層7を介して交互に積層された素子本体2と、この素子本体2の対向する端面に設けられた一対の外部電極11,15とを備えている。誘電体層7が本発明の製造方法により製造される酸化物粉末の好適な用途例の一つである。
【0017】
素子本体2は、通常、直方体形状とされるが、特に形状に制限はない。また、素子本体2の寸法も特に制限はなく、用途に応じて適宜設定することができ、例えば、(0.6〜5.6mm)×(0.3〜5.0mm)×(0.3〜2.5mm)程度の大きさとすることができる。
【0018】
内部電極層23、28は、上述したように誘電体層7を介して交互に積層された第1内部電極層23と第2内部電極層28から構成されている。このような構造を形成するための好適例が図3に示されており、この図によれば、誘電体層7と第1内部電極層23を有するシート体73と、誘電体層7と第2内部電極層28を有するシート体78とが互いに順次繰り返し多層に積層される。
【0019】
積層される第1内部電極層23は、図3に示されるように前記第1外部電極11側に露出する接続部23aを有し、この接続部23aは第1外部電極11に接続されている。図3に示されるごとく第1内部電極層23は、誘電体層7との関係で、誘電体層7の外周枠から露出している部分は接続部23aのみ(より正確には接続部の端部のみ)である。
【0020】
この一方で、積層される第2内部電極層28は、図3に示されるように第2外部電極15側に露出する接続部28aを有し、この接続部28aは第2外部電極15に接続されている。図3に示されるごとく第2内部電極層28は、誘電体層7との関係で、誘電体層7の外周枠から露出している部分は接続部28aのみ(より正確には接続部28aの端部のみ)である。
【0021】
上述したように本発明の製造方法の対象となるペロブスカイト構造を有する酸化物粉末は、誘電体層7の形成材料として好適に使用される。以下、本発明のペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法について説明する。本願発明は、所定構造を備える酸化物粉末の製造方法とは言っても、その詳細要部は、仮焼き工程の仮焼き雰囲気の設定(酸素分圧の設定)および仮焼き工程後の湿式粉砕方法にある。以下、工程順に従い順次説明する。
【0022】
〔ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末を製造する際の少なくとも2種以上の主原料粉末を準備する工程〕
主原料粉末は、ABO3で表されるペロブスカイト構造の酸化物のAサイトを構成する化合物粉末およびBサイトを構成する化合物粉末から構成される。上記AはBa,Sr,Caのグループから選ばれた少なくとも1種を表し、上記BはTi,Zrのグループから選ばれた少なくとも1種を表す。
【0023】
ぺロブスカイト構造を有する酸化物粉末を製造する際の主原料材料は、一般に、金属酸化物粉末および金属炭酸塩粉末が用いられることが多い。
【0024】
ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末として、チタン酸バリウム粉末を好適例として挙げて、以下説明する。
【0025】
ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末であるチタン酸バリウム粉末を得るためには、まず、加熱分解によって酸化バリウムを生成するバリウム化合物の粉末が準備される。このバリウム化合物としては、例えば、炭酸バリウム(BaCO3)を好適に使用することができる。比表面積は、5〜40m2/gの範囲のものが好ましい。炭酸バリウムに代えて、水酸化バリウム(Ba(OH)2)を用いてもよい。また、2種類以上のバリウム化合物を併用してもよい。
【0026】
金属酸化物粉末としては二酸化チタンが準備される。このものは、例えば、四塩化チタンを熱分解することによって得ることができる。比表面積は、10〜50m2/gの範囲のものが好ましい。
【0027】
〔主原料粉末を混合する工程〕
上記二酸化チタンで例示される金属酸化物粉末と、上記炭酸バリウムで例示される金属炭酸塩粉末とを、所定のモル比となるように秤量して、混合する。Ba/Ti比は、0.990〜1.020程度とされる。
【0028】
混合に際しては、上記原料粉末に水を添加して行なう湿式混合とすることが好ましい。より具体的な好適例として、上記混合対象粉末を水およびジルコニアボールとともにボールミルに入れて、湿式で、16時間以上混合することが望ましい。
【0029】
このような混合により得られたスラリーは、通常、乾燥させられて混合粉体が形成される。
【0030】
〔混合された主原料粉末を仮焼きする工程〕
上記混合工程で得られた混合粉体は、通常、加圧成型によってペレット状物に成型される。加圧成型は、通常、上記混合粉体に水が添加され成型可能な状態とされた後に行なわれる。
【0031】
成型されたペレット状物は仮焼きされる。本発明の混合された主原料粉末を仮焼きする工程は、その仮焼き雰囲気における酸素分圧Poが1×104Pa以下の範囲(酸素を含まない零を含む)に設定される。
【0032】
仮焼き雰囲気の全圧力を1×105Pa(1atm)で行なう場合には、上記の酸素分圧は全圧に対して0%〜10%の範囲となる。仮焼き雰囲気の全圧力を1×105Pa(1atm)で操作することは、減圧や増圧のための特別な装置を必要とせず炉の設計が容易であること、種々のタイプの炉に容易に適用させることが可能であること等、種々のメリットがある。
【0033】
仮焼き雰囲気の全圧力は、3×104Pa〜2×105Paとすることが好ましい。
酸素分圧以外の他の分圧ガス要素としては、例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガス等が好適に用いられる。
【0034】
さらに本発明における酸素分圧Poは、後述する湿式粉砕工程における溶液pHとの関係において、本発明所定の関係を満たす範囲に設定される。これについては、湿式粉砕工程のところで詳述する。
【0035】
上述してきた仮焼き雰囲気以外の他の仮焼き条件は、以下に示すような条件とすることが好ましい。
・昇温速度:100〜300℃/hr
・保持温度:900〜1000℃
・保持時間:1〜10hr
・冷却温度:100〜300℃/hr
【0036】
〔仮焼きにより形成されたペロブスカイト構造を有する酸化物を溶液中で湿式粉砕する工程〕
上記仮焼きされたペレット状物は、必要に応じて例えば解砕機等により解砕された後、本発明の湿式粉砕の処理が施される。
【0037】
本発明における湿式粉砕は、pHが8.5〜12.5(好ましくは、9.0〜12.1、さらに好ましくは、9.7〜12.1)の溶液(溶媒)中で粉砕処理される。すなわち、解砕されたペロブスカイト構造を有する酸化物は、上記のpH範囲内に調製された溶媒の中に入れられ、ジルコニアボールとともにボールミル内で湿式粉砕される。ボールミル粉砕方法以外に遊星ミル、振動ミル等の粉砕方法を用いてもよい。
【0038】
溶液(溶媒)のpH調整手段は特に制限されるものではないが、水にアンモニア水を加えて調整する方法を採用するのが簡便で好ましい。
【0039】
他の湿式粉砕条件は以下の条件とすることが好ましい。
・スラリー濃度(固形分濃度):20〜40wt%
・粉砕時間:10〜20hr
【0040】
上述したように、上記仮焼き工程における酸素分圧Po(単位はパスカル)は、湿式粉砕工程における溶液pH(変数であるpH値を式中では単にpHと示している)の関係において、下記式(1)〜(3)を満たすことが必要とされる。
0≦Po≦1×104 …式(1)
pH≦(−4×10−5)Po+12.5 …式(2)
pH≧(1.2×10−4)Po+8.5 …式(3)
【0041】
上記式(1)〜式(3)で規定される一定領域は、後述する実施例における実験データをグラフにプロットし、良好な結果が得られた領域を本願発明範囲として範囲規定したものである。
【0042】
さらに好ましい範囲は、下記式(4)〜(6)を満たす範囲である。
0≦Po≦1×102 …式(4)
pH≦(−4×10−3)Po+12.5 …式(5)
pH≧(1.2×10−2)Po+9.7 …式(6)
【0043】
このようにして得られたペロブスカイト構造を有する酸化物粉末(チタン酸バリウム粉末)は、焼成工程を経て焼結体とされることによって、例えば、上述した積層チップコンデンサの誘電体層(誘電体セラミック)として好適に用いることができる。誘電体層(誘電体セラミック)形成に際しては、上述のペロブスカイト構造を有する酸化物粉末に、Caや、Sc,Yを含む希土類元素、Zr,Mn,Mg,Siなどの添加物を添加することができる。
【0044】
なお、上述してきた説明は、ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末として、二酸化チタンと炭酸バリウムとを用いて合成されたチタン酸バリウムを好適例として示してきたが、この発明は、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム、およびこれらの複合酸化物などの他のペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法にも適用することが可能である。
【0045】
【実施例】
以下、具体的実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0046】
〔実験グループ1〕
(実施例1−1)
比表面積5.7m2/gの炭酸バリウム粉末および比表面積22.6m2/gの二酸化チタン粉末を準備した。二酸化チタン粉末は四塩化チタンの熱分解により製造されたものである。
【0047】
炭酸バリウムと二酸化チタンとのモル比が1.006:1.000となるように、炭酸バリウム粉末および二酸化チタン粉末をそれぞれ秤量した。
【0048】
次いで、これらの原料粉末を水およびジルコニアボールとともにボールミル内に入れ、湿式で16時間混合した。得られたスラリー(混合物)を乾燥させて混合粉体とした。次いで、得られた混合粉体に水を10wt%添加して、このものを金型に投入して加圧成型することにより、ペレット状物(成型物)を得た。次いで、下記に示される条件でペレット状物の仮焼きを行なった。
【0049】
仮焼き条件
・仮焼き雰囲気:
全圧1×105Pa(1atm)
酸素分圧3×103Pa(3%)
窒素分圧9.7×104Pa(97%)
・昇温速度:200℃/hr
・保持温度:975℃
・保持時間:2hr
・冷却温度:200℃/hr
【0050】
このような仮焼き工程の後、得られたペレット状物を解砕し、湿式粉砕の対象となるチタン酸バリウム粉末とした。このものをpH9.0に調整された溶液(溶媒)中にジルコニアボールとともにボールミル内に入れ、湿式粉砕した。湿式粉砕条件は以下のとおり。
【0051】
湿式粉砕条件
・溶媒pH:9.0(水にアンモニア水を加えることにより調整した)
・処理される粉体量:110g
・スラリー濃度(固形分濃度):23wt%
・粉砕時間:16時間
【0052】
このような湿式粉砕処理により実施例1−1のチタン酸バリウム粉末サンプルを作製した。
【0053】
(実施例1−2〜1−3;比較例1−1〜1−3)
上記実施例1−1において、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを下記表1に示されるごとく種々変えた。pH変更にはアンモニア水の添加量等を調整した。それ以外は、上記実施例1−1と同様にして、実施例1−2〜1−3;比較例1−1〜1−3のチタン酸バリウム粉末を作製した。
【0054】
なお、この実験グループ1のサンプルにおいては、すでに公知の比較例1−1(pH=7.4)サンプルを比較すべき評価基準サンプルとした。
【0055】
〔実験グループ2〕
(実施例2−1)
上記実施例1−1において、仮焼き工程における仮焼き雰囲気の酸素分圧を3%から1%に変えた(1×103Pa)。さらに、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを8.7とした。それ以外は、上記実施例1−1と同様にして、実施例2−1のチタン酸バリウム粉末サンプルを作製した。
【0056】
(実施例2−2〜2−5;比較例2−1〜2−3)
上記実施例2−1において、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを下記表1に示されるごとく種々変えた。pH変更にはアンモニア水の添加量等を調整した。それ以外は、上記実施例2−1と同様にして、実施例2−2〜2−5;比較例2−1〜2−3のチタン酸バリウム粉末を作製した。
【0057】
なお、この実験グループ2のサンプルにおいては、すでに公知の比較例2−1(pH=7.4)サンプルを比較すべき評価基準サンプルとした。
【0058】
〔実験グループ3〕
(実施例3−1)
上記実施例1−1において、仮焼き工程における仮焼き雰囲気の酸素分圧を3%から5%に変えた(5×103Pa)。さらに、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを9.3とした。それ以外は、上記実施例1−1と同様にして、実施例3−1のチタン酸バリウム粉末サンプルを作製した。
【0059】
(実施例3−2〜3−3;比較例3−1〜3−3)
上記実施例3−1において、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを下記表1に示されるごとく種々変えた。pH変更にはアンモニア水の添加量等を調整した。それ以外は、上記実施例3−1と同様にして、実施例3−2〜3−3;比較例3−1〜3−3のチタン酸バリウム粉末を作製した。
【0060】
なお、この実験グループ3のサンプルにおいては、すでに公知の比較例3−1(pH=7.4)サンプルを比較すべき評価基準サンプルとした。
【0061】
〔実験グループ4〕
(実施例4−1)
上記実施例1−1において、仮焼き工程における仮焼き雰囲気の酸素分圧を3%から0.1%に変えた(1×102Pa)。さらに、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを9.7とした。それ以外は、上記実施例1−1と同様にして、実施例4−1のチタン酸バリウム粉末サンプルを作製した。
【0062】
(実施例4−2〜4−4;比較例4−1〜4−3)
上記実施例4−1において、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを下記表1に示されるごとく種々変えた。pH変更にはアンモニア水の添加量等を調整した。それ以外は、上記実施例4−1と同様にして、実施例4−2〜4−4;比較例4−1〜4−3のチタン酸バリウム粉末を作製した。
【0063】
なお、この実験グループ4のサンプルにおいては、すでに公知の比較例4−1(pH=7.4)サンプルを比較すべき評価基準サンプルとした。
【0064】
〔実験グループ5〕
(実施例5−1)
上記実施例1−1において、仮焼き工程における仮焼き雰囲気の酸素分圧を3%から10%に変えた(1×104Pa)。さらに、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを9.7とした。それ以外は、上記実施例1−1と同様にして、実施例5−1のチタン酸バリウム粉末サンプルを作製した。
【0065】
(実施例5−2〜5−3;比較例5−1〜5−3)
上記実施例5−1において、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを下記表1に示されるごとく種々変えた。pH変更にはアンモニア水の添加量等を調整した。それ以外は、上記実施例5−1と同様にして、実施例5−2〜5−3;比較例5−1〜5−3のチタン酸バリウム粉末を作製した。
【0066】
なお、この実験グループ5のサンプルにおいては、すでに公知の比較例5−1(pH=7.4)サンプルを比較すべき評価基準サンプルとした。
【0067】
〔実験グループ6〕
(実施例6−1)
上記実施例1−1において、仮焼き工程における仮焼き雰囲気の酸素分圧を3%から0%に変えた(0Pa)。さらに、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを8.5とした。それ以外は、上記実施例1−1と同様にして、実施例6−1のチタン酸バリウム粉末サンプルを作製した。
【0068】
(実施例6−2〜6−5;比較例6−1〜6−2)
上記実施例6−1において、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを下記表1に示されるごとく種々変えた。pH変更にはアンモニア水の添加量等を調整した。それ以外は、上記実施例6−1と同様にして、実施例6−2〜6−5;比較例6−1〜6−2のチタン酸バリウム粉末を作製した。
【0069】
なお、この実験グループ6のサンプルにおいては、すでに公知の比較例6−1(pH=7.4)サンプルを比較すべき評価基準サンプルとした。
【0070】
〔実験グループ7〕
(比較例7−1〜7−4)
上記実施例1−1において、仮焼き工程における仮焼き雰囲気の酸素分圧を3%から20%に変えた(1×104Pa)。さらに、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを下記表1に示されるように変え、比較例7−1〜7−4のチタン酸バリウム粉末を作製した。この実験グループ7のサンプルにおいては、すでに公知の比較例7−1(pH=7.4)サンプルを比較すべき評価基準サンプルとした。
【0071】
このようにして得られた各実施例および比較例のサンプルについて、X線回折測定を行い、(1)結晶のc/a軸比、および(2)(111)面の半値幅ΔH(111)をそれぞれ求めた。
【0072】
さらに、LCRメーターで、1kHz、1Vrmsの条件にて静電容量を測定し、誘電体層厚みおよび電極面積から誘電率εを求めた。
【0073】
なお、BET法にて、サンプル粉末の比表面積SSA(m2/g)を求めところ、本実験による粉砕では、比表面積SSA=6.2〜6.5(m2/g)の範囲であった。
【0074】
結果を下記表1に示した。なお、表1中、各サンプルの製造条件が本発明の式(1)〜(3)の範囲内にあるものを「〇」で表示、範囲外のものを「×」で表示した。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
表1の結果より明らかなように、上記式(1)〜(3)を満たす範囲において、c/a軸比およびΔH(111)が良好なチタン酸バリウムが得られていることがわかる。特に、上記式(4)〜(6)を満たす範囲においては、比表面積が6.2〜6.5(m2/g)の範囲で、c/a軸比が1.0095以上、かつΔH(111)が0.125以下を満たすチタン酸バリウムが得られていることがわかる。
【0078】
なお、上記の各実験における仮焼き雰囲気の全圧は、1×105Pa(1atm)でおこなったが、この全圧を変えても、酸素分圧Poを本発明の所定の範囲に制御すれば同等の効果が発現する。
【0079】
【発明の効果】
上記の結果より本発明の効果は明らかである。すなわち、本発明は、ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末を製造する際の少なくとも2種以上の主原料粉末を準備する工程と、これらの少なくとも2種以上の主原料粉末を混合する工程と、混合された少なくとも2種以上の主原料粉末を仮焼きする工程と、仮焼きにより形成されたペロブスカイト構造を有する酸化物を溶液中で湿式粉砕する工程と、を有するペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法であって、前記主原料粉末を仮焼きする工程は、その仮焼き雰囲気における酸素分圧Poが1×104Pa以下の範囲(酸素を含まない零を含む)であり、前記ペロブスカイト構造を有する酸化物を湿式粉砕する工程は、pHが8.5〜12.5の溶液中で処理されてなり、前記主原料粉末を仮焼きする工程における酸素分圧Po(単位はパスカル)と、前記湿式粉砕工程における溶液pHとの関係が下記式(1)〜(3)を満たす範囲で行なわれているので、ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の比表面積に対する正方晶性(テトラゴナリティ)および結晶性を高くすることができる。
0≦Po≦1×104 …式(1)
pH≦(−4×10−5)Po+12.5 …式(2)
pH≧(1.2×10−4)Po+8.5 …式(3)
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、積層型チップコンデンサの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示される積層型チップコンデンサのA−A線矢視断面図である。
【図3】図3は、積層構造の形成過程を分かりやすく説明するための斜視図である。
【符号の説明】
1…積層型チップコンデンサ
2…素子本体
7…誘電体層
11,15…外部電極
23,28…内部電極層
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、積層型チップコンデンサの誘電体層の形成材料に用いられるペロブスカイト構造を有する酸化物粉末(例えば、チタン酸バリウム粉末)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2001−316114号公報
【特許文献2】特開2002−255552号公報
【特許文献3】特開平10−87372号公報
【0003】
ペロブスカイト構造を有する酸化物、例えば、チタン酸バリウムなどは、積層型チップコンデンサ(積層セラミックコンデンサ)などの電子部品のための誘電体材料として用いられている。
【0004】
近年、このようなペロブスカイト構造を有する酸化物を、誘電体材料(誘電体原料粉末)として用いる場合、粒子径が小さく、かつ高い正方晶性(テトラゴナリティ)および結晶性を有する原料粉末であることが要望されている。積層型チップコンデンサにおいては、小型かつ大容量化を図るために誘電体層(誘電体セラミック層)の厚みをできるだけ薄くする必要があるからである。
【0005】
例えば、チタン酸バリウム粉末の正方晶性(テトラゴナリティ)および結晶性を高めるためには、いわゆる固相反応法において、仮焼き温度を高くし、仮焼き時間を長くすることが効果的であるとされている。すなわち、炭酸バリウム等のバリウム化合物と二酸化チタン等のチタン酸化物とを混合してペレット状に成形した後、仮焼き温度を高くし、仮焼き時間を長くする操作が有効であるとされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような高温・長時間の仮焼き条件では、粒子の成長や粒子同士の凝結が生じてしまう。そのため、この凝結部を分離させたり、粒子のより微粒子化を図るためにボールミル等に仮焼き粉末を投入して湿式粉砕が行なわれる。しかしながら、湿式粉砕を行なうと、チタン酸バリウム粉末の表層部分よりBaイオンが遊離するため、湿式粉砕物の乾燥後に得られるチタン酸バリウム粉末には、Baイオンと空気中の炭酸ガスとの反応により生じたと思われる炭酸バリウムの量が多くなるとともに、チタン酸バリウム粉末の正方晶性(テトラゴナリティ)および結晶性が低下するという問題が生じてしまう。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような実状のもと、本発明らが仮焼き工程における酸素分圧と、仮焼き後に行なわれる湿式粉砕の条件について鋭意研究を進めた結果、酸素分圧を小さくするとともに、湿式粉砕時の溶液pHを、従来行なわれたことのないアルカリ側に設定することにより、ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の正方晶性(テトラゴナリティ)および結晶性の低下を極めて効果的に抑制することができることを見出し本発明に想到したものである。
【0008】
すなわち、本発明は、ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末を製造する際の少なくとも2種以上の主原料粉末を準備する工程と、これらの少なくとも2種以上の主原料粉末を混合する工程と、混合された少なくとも2種以上の主原料粉末を仮焼きする工程と、仮焼きにより形成されたペロブスカイト構造を有する酸化物を溶液中で湿式粉砕する工程と、を有するペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法であって、前記主原料粉末を仮焼きする工程は、その仮焼き雰囲気における酸素分圧Poが1×104Pa以下の範囲(酸素を含まない零を含む)であり、前記ペロブスカイト構造を有する酸化物を湿式粉砕する工程は、pHが8.5〜12.5の溶液中で処理されてなり、前記主原料粉末を仮焼きする工程における酸素分圧Po(単位はパスカル)と、前記湿式粉砕工程における溶液pHとの関係が下記式(1)〜(3)を満たす範囲で行なわれるように構成される。
0≦Po≦1×104 …式(1)
pH≦(−4×10−5)Po+12.5 …式(2)
pH≧(1.2×10−4)Po+8.5 …式(3)
【0009】
また、本発明の好ましい態様として、前記主原料粉末がABO3(AはBa,Sr,Caのグループから選ばれた少なくとも1種であり、BはTi,Zrのグループから選ばれた少なくとも1種)で表されるペロブスカイト構造の酸化物のAサイトを構成する化合物粉末およびBサイトを構成する化合物粉末として構成される。
【0010】
また、本発明の好ましい態様として、前記ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末がチタン酸バリウム粉末であり、前記主原料粉末がチタン化合物およびバリウム化合物である。
【0011】
また、本発明の好ましい態様として、前記ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末は、誘電体層と内部電極層とが交互に積層された素子本体を有する積層型チップコンデンサの誘電体層を形成するために用いられる。
【0012】
また、本発明は、誘電体層と内部電極層とが交互に積層された素子本体を有する積層型チップコンデンサであって、該誘電体層を形成するために用いられる酸化物粉末が請求項1ないし請求項3のいずれかに記載された製造方法により形成されたものとして構成される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
まず、本発明のペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法について説明する前に、本発明の製造方法により製造される酸化物粉末の好適な用途例の一つである誘電体層(誘電体セラミック層)を備える一般的な積層型チップコンデンサの概略構成について、図1〜図3を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は、積層型チップコンデンサの一実施形態を示す斜視図であり、図2は、図1に示される積層型チップコンデンサのA−A線矢視断面図であり、図3は、積層構造の形成過程を分かりやすく説明するための一例を示す斜視図である。
【0016】
図1〜図3に示される好適な一例としての積層型チップコンデンサ1は、第1内部電極層23と第2内部電極層28とが誘電体層7を介して交互に積層された素子本体2と、この素子本体2の対向する端面に設けられた一対の外部電極11,15とを備えている。誘電体層7が本発明の製造方法により製造される酸化物粉末の好適な用途例の一つである。
【0017】
素子本体2は、通常、直方体形状とされるが、特に形状に制限はない。また、素子本体2の寸法も特に制限はなく、用途に応じて適宜設定することができ、例えば、(0.6〜5.6mm)×(0.3〜5.0mm)×(0.3〜2.5mm)程度の大きさとすることができる。
【0018】
内部電極層23、28は、上述したように誘電体層7を介して交互に積層された第1内部電極層23と第2内部電極層28から構成されている。このような構造を形成するための好適例が図3に示されており、この図によれば、誘電体層7と第1内部電極層23を有するシート体73と、誘電体層7と第2内部電極層28を有するシート体78とが互いに順次繰り返し多層に積層される。
【0019】
積層される第1内部電極層23は、図3に示されるように前記第1外部電極11側に露出する接続部23aを有し、この接続部23aは第1外部電極11に接続されている。図3に示されるごとく第1内部電極層23は、誘電体層7との関係で、誘電体層7の外周枠から露出している部分は接続部23aのみ(より正確には接続部の端部のみ)である。
【0020】
この一方で、積層される第2内部電極層28は、図3に示されるように第2外部電極15側に露出する接続部28aを有し、この接続部28aは第2外部電極15に接続されている。図3に示されるごとく第2内部電極層28は、誘電体層7との関係で、誘電体層7の外周枠から露出している部分は接続部28aのみ(より正確には接続部28aの端部のみ)である。
【0021】
上述したように本発明の製造方法の対象となるペロブスカイト構造を有する酸化物粉末は、誘電体層7の形成材料として好適に使用される。以下、本発明のペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法について説明する。本願発明は、所定構造を備える酸化物粉末の製造方法とは言っても、その詳細要部は、仮焼き工程の仮焼き雰囲気の設定(酸素分圧の設定)および仮焼き工程後の湿式粉砕方法にある。以下、工程順に従い順次説明する。
【0022】
〔ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末を製造する際の少なくとも2種以上の主原料粉末を準備する工程〕
主原料粉末は、ABO3で表されるペロブスカイト構造の酸化物のAサイトを構成する化合物粉末およびBサイトを構成する化合物粉末から構成される。上記AはBa,Sr,Caのグループから選ばれた少なくとも1種を表し、上記BはTi,Zrのグループから選ばれた少なくとも1種を表す。
【0023】
ぺロブスカイト構造を有する酸化物粉末を製造する際の主原料材料は、一般に、金属酸化物粉末および金属炭酸塩粉末が用いられることが多い。
【0024】
ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末として、チタン酸バリウム粉末を好適例として挙げて、以下説明する。
【0025】
ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末であるチタン酸バリウム粉末を得るためには、まず、加熱分解によって酸化バリウムを生成するバリウム化合物の粉末が準備される。このバリウム化合物としては、例えば、炭酸バリウム(BaCO3)を好適に使用することができる。比表面積は、5〜40m2/gの範囲のものが好ましい。炭酸バリウムに代えて、水酸化バリウム(Ba(OH)2)を用いてもよい。また、2種類以上のバリウム化合物を併用してもよい。
【0026】
金属酸化物粉末としては二酸化チタンが準備される。このものは、例えば、四塩化チタンを熱分解することによって得ることができる。比表面積は、10〜50m2/gの範囲のものが好ましい。
【0027】
〔主原料粉末を混合する工程〕
上記二酸化チタンで例示される金属酸化物粉末と、上記炭酸バリウムで例示される金属炭酸塩粉末とを、所定のモル比となるように秤量して、混合する。Ba/Ti比は、0.990〜1.020程度とされる。
【0028】
混合に際しては、上記原料粉末に水を添加して行なう湿式混合とすることが好ましい。より具体的な好適例として、上記混合対象粉末を水およびジルコニアボールとともにボールミルに入れて、湿式で、16時間以上混合することが望ましい。
【0029】
このような混合により得られたスラリーは、通常、乾燥させられて混合粉体が形成される。
【0030】
〔混合された主原料粉末を仮焼きする工程〕
上記混合工程で得られた混合粉体は、通常、加圧成型によってペレット状物に成型される。加圧成型は、通常、上記混合粉体に水が添加され成型可能な状態とされた後に行なわれる。
【0031】
成型されたペレット状物は仮焼きされる。本発明の混合された主原料粉末を仮焼きする工程は、その仮焼き雰囲気における酸素分圧Poが1×104Pa以下の範囲(酸素を含まない零を含む)に設定される。
【0032】
仮焼き雰囲気の全圧力を1×105Pa(1atm)で行なう場合には、上記の酸素分圧は全圧に対して0%〜10%の範囲となる。仮焼き雰囲気の全圧力を1×105Pa(1atm)で操作することは、減圧や増圧のための特別な装置を必要とせず炉の設計が容易であること、種々のタイプの炉に容易に適用させることが可能であること等、種々のメリットがある。
【0033】
仮焼き雰囲気の全圧力は、3×104Pa〜2×105Paとすることが好ましい。
酸素分圧以外の他の分圧ガス要素としては、例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガス等が好適に用いられる。
【0034】
さらに本発明における酸素分圧Poは、後述する湿式粉砕工程における溶液pHとの関係において、本発明所定の関係を満たす範囲に設定される。これについては、湿式粉砕工程のところで詳述する。
【0035】
上述してきた仮焼き雰囲気以外の他の仮焼き条件は、以下に示すような条件とすることが好ましい。
・昇温速度:100〜300℃/hr
・保持温度:900〜1000℃
・保持時間:1〜10hr
・冷却温度:100〜300℃/hr
【0036】
〔仮焼きにより形成されたペロブスカイト構造を有する酸化物を溶液中で湿式粉砕する工程〕
上記仮焼きされたペレット状物は、必要に応じて例えば解砕機等により解砕された後、本発明の湿式粉砕の処理が施される。
【0037】
本発明における湿式粉砕は、pHが8.5〜12.5(好ましくは、9.0〜12.1、さらに好ましくは、9.7〜12.1)の溶液(溶媒)中で粉砕処理される。すなわち、解砕されたペロブスカイト構造を有する酸化物は、上記のpH範囲内に調製された溶媒の中に入れられ、ジルコニアボールとともにボールミル内で湿式粉砕される。ボールミル粉砕方法以外に遊星ミル、振動ミル等の粉砕方法を用いてもよい。
【0038】
溶液(溶媒)のpH調整手段は特に制限されるものではないが、水にアンモニア水を加えて調整する方法を採用するのが簡便で好ましい。
【0039】
他の湿式粉砕条件は以下の条件とすることが好ましい。
・スラリー濃度(固形分濃度):20〜40wt%
・粉砕時間:10〜20hr
【0040】
上述したように、上記仮焼き工程における酸素分圧Po(単位はパスカル)は、湿式粉砕工程における溶液pH(変数であるpH値を式中では単にpHと示している)の関係において、下記式(1)〜(3)を満たすことが必要とされる。
0≦Po≦1×104 …式(1)
pH≦(−4×10−5)Po+12.5 …式(2)
pH≧(1.2×10−4)Po+8.5 …式(3)
【0041】
上記式(1)〜式(3)で規定される一定領域は、後述する実施例における実験データをグラフにプロットし、良好な結果が得られた領域を本願発明範囲として範囲規定したものである。
【0042】
さらに好ましい範囲は、下記式(4)〜(6)を満たす範囲である。
0≦Po≦1×102 …式(4)
pH≦(−4×10−3)Po+12.5 …式(5)
pH≧(1.2×10−2)Po+9.7 …式(6)
【0043】
このようにして得られたペロブスカイト構造を有する酸化物粉末(チタン酸バリウム粉末)は、焼成工程を経て焼結体とされることによって、例えば、上述した積層チップコンデンサの誘電体層(誘電体セラミック)として好適に用いることができる。誘電体層(誘電体セラミック)形成に際しては、上述のペロブスカイト構造を有する酸化物粉末に、Caや、Sc,Yを含む希土類元素、Zr,Mn,Mg,Siなどの添加物を添加することができる。
【0044】
なお、上述してきた説明は、ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末として、二酸化チタンと炭酸バリウムとを用いて合成されたチタン酸バリウムを好適例として示してきたが、この発明は、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム、およびこれらの複合酸化物などの他のペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法にも適用することが可能である。
【0045】
【実施例】
以下、具体的実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0046】
〔実験グループ1〕
(実施例1−1)
比表面積5.7m2/gの炭酸バリウム粉末および比表面積22.6m2/gの二酸化チタン粉末を準備した。二酸化チタン粉末は四塩化チタンの熱分解により製造されたものである。
【0047】
炭酸バリウムと二酸化チタンとのモル比が1.006:1.000となるように、炭酸バリウム粉末および二酸化チタン粉末をそれぞれ秤量した。
【0048】
次いで、これらの原料粉末を水およびジルコニアボールとともにボールミル内に入れ、湿式で16時間混合した。得られたスラリー(混合物)を乾燥させて混合粉体とした。次いで、得られた混合粉体に水を10wt%添加して、このものを金型に投入して加圧成型することにより、ペレット状物(成型物)を得た。次いで、下記に示される条件でペレット状物の仮焼きを行なった。
【0049】
仮焼き条件
・仮焼き雰囲気:
全圧1×105Pa(1atm)
酸素分圧3×103Pa(3%)
窒素分圧9.7×104Pa(97%)
・昇温速度:200℃/hr
・保持温度:975℃
・保持時間:2hr
・冷却温度:200℃/hr
【0050】
このような仮焼き工程の後、得られたペレット状物を解砕し、湿式粉砕の対象となるチタン酸バリウム粉末とした。このものをpH9.0に調整された溶液(溶媒)中にジルコニアボールとともにボールミル内に入れ、湿式粉砕した。湿式粉砕条件は以下のとおり。
【0051】
湿式粉砕条件
・溶媒pH:9.0(水にアンモニア水を加えることにより調整した)
・処理される粉体量:110g
・スラリー濃度(固形分濃度):23wt%
・粉砕時間:16時間
【0052】
このような湿式粉砕処理により実施例1−1のチタン酸バリウム粉末サンプルを作製した。
【0053】
(実施例1−2〜1−3;比較例1−1〜1−3)
上記実施例1−1において、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを下記表1に示されるごとく種々変えた。pH変更にはアンモニア水の添加量等を調整した。それ以外は、上記実施例1−1と同様にして、実施例1−2〜1−3;比較例1−1〜1−3のチタン酸バリウム粉末を作製した。
【0054】
なお、この実験グループ1のサンプルにおいては、すでに公知の比較例1−1(pH=7.4)サンプルを比較すべき評価基準サンプルとした。
【0055】
〔実験グループ2〕
(実施例2−1)
上記実施例1−1において、仮焼き工程における仮焼き雰囲気の酸素分圧を3%から1%に変えた(1×103Pa)。さらに、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを8.7とした。それ以外は、上記実施例1−1と同様にして、実施例2−1のチタン酸バリウム粉末サンプルを作製した。
【0056】
(実施例2−2〜2−5;比較例2−1〜2−3)
上記実施例2−1において、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを下記表1に示されるごとく種々変えた。pH変更にはアンモニア水の添加量等を調整した。それ以外は、上記実施例2−1と同様にして、実施例2−2〜2−5;比較例2−1〜2−3のチタン酸バリウム粉末を作製した。
【0057】
なお、この実験グループ2のサンプルにおいては、すでに公知の比較例2−1(pH=7.4)サンプルを比較すべき評価基準サンプルとした。
【0058】
〔実験グループ3〕
(実施例3−1)
上記実施例1−1において、仮焼き工程における仮焼き雰囲気の酸素分圧を3%から5%に変えた(5×103Pa)。さらに、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを9.3とした。それ以外は、上記実施例1−1と同様にして、実施例3−1のチタン酸バリウム粉末サンプルを作製した。
【0059】
(実施例3−2〜3−3;比較例3−1〜3−3)
上記実施例3−1において、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを下記表1に示されるごとく種々変えた。pH変更にはアンモニア水の添加量等を調整した。それ以外は、上記実施例3−1と同様にして、実施例3−2〜3−3;比較例3−1〜3−3のチタン酸バリウム粉末を作製した。
【0060】
なお、この実験グループ3のサンプルにおいては、すでに公知の比較例3−1(pH=7.4)サンプルを比較すべき評価基準サンプルとした。
【0061】
〔実験グループ4〕
(実施例4−1)
上記実施例1−1において、仮焼き工程における仮焼き雰囲気の酸素分圧を3%から0.1%に変えた(1×102Pa)。さらに、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを9.7とした。それ以外は、上記実施例1−1と同様にして、実施例4−1のチタン酸バリウム粉末サンプルを作製した。
【0062】
(実施例4−2〜4−4;比較例4−1〜4−3)
上記実施例4−1において、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを下記表1に示されるごとく種々変えた。pH変更にはアンモニア水の添加量等を調整した。それ以外は、上記実施例4−1と同様にして、実施例4−2〜4−4;比較例4−1〜4−3のチタン酸バリウム粉末を作製した。
【0063】
なお、この実験グループ4のサンプルにおいては、すでに公知の比較例4−1(pH=7.4)サンプルを比較すべき評価基準サンプルとした。
【0064】
〔実験グループ5〕
(実施例5−1)
上記実施例1−1において、仮焼き工程における仮焼き雰囲気の酸素分圧を3%から10%に変えた(1×104Pa)。さらに、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを9.7とした。それ以外は、上記実施例1−1と同様にして、実施例5−1のチタン酸バリウム粉末サンプルを作製した。
【0065】
(実施例5−2〜5−3;比較例5−1〜5−3)
上記実施例5−1において、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを下記表1に示されるごとく種々変えた。pH変更にはアンモニア水の添加量等を調整した。それ以外は、上記実施例5−1と同様にして、実施例5−2〜5−3;比較例5−1〜5−3のチタン酸バリウム粉末を作製した。
【0066】
なお、この実験グループ5のサンプルにおいては、すでに公知の比較例5−1(pH=7.4)サンプルを比較すべき評価基準サンプルとした。
【0067】
〔実験グループ6〕
(実施例6−1)
上記実施例1−1において、仮焼き工程における仮焼き雰囲気の酸素分圧を3%から0%に変えた(0Pa)。さらに、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを8.5とした。それ以外は、上記実施例1−1と同様にして、実施例6−1のチタン酸バリウム粉末サンプルを作製した。
【0068】
(実施例6−2〜6−5;比較例6−1〜6−2)
上記実施例6−1において、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを下記表1に示されるごとく種々変えた。pH変更にはアンモニア水の添加量等を調整した。それ以外は、上記実施例6−1と同様にして、実施例6−2〜6−5;比較例6−1〜6−2のチタン酸バリウム粉末を作製した。
【0069】
なお、この実験グループ6のサンプルにおいては、すでに公知の比較例6−1(pH=7.4)サンプルを比較すべき評価基準サンプルとした。
【0070】
〔実験グループ7〕
(比較例7−1〜7−4)
上記実施例1−1において、仮焼き工程における仮焼き雰囲気の酸素分圧を3%から20%に変えた(1×104Pa)。さらに、仮焼きの後に行なわれる湿式粉砕の溶媒pHを下記表1に示されるように変え、比較例7−1〜7−4のチタン酸バリウム粉末を作製した。この実験グループ7のサンプルにおいては、すでに公知の比較例7−1(pH=7.4)サンプルを比較すべき評価基準サンプルとした。
【0071】
このようにして得られた各実施例および比較例のサンプルについて、X線回折測定を行い、(1)結晶のc/a軸比、および(2)(111)面の半値幅ΔH(111)をそれぞれ求めた。
【0072】
さらに、LCRメーターで、1kHz、1Vrmsの条件にて静電容量を測定し、誘電体層厚みおよび電極面積から誘電率εを求めた。
【0073】
なお、BET法にて、サンプル粉末の比表面積SSA(m2/g)を求めところ、本実験による粉砕では、比表面積SSA=6.2〜6.5(m2/g)の範囲であった。
【0074】
結果を下記表1に示した。なお、表1中、各サンプルの製造条件が本発明の式(1)〜(3)の範囲内にあるものを「〇」で表示、範囲外のものを「×」で表示した。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
表1の結果より明らかなように、上記式(1)〜(3)を満たす範囲において、c/a軸比およびΔH(111)が良好なチタン酸バリウムが得られていることがわかる。特に、上記式(4)〜(6)を満たす範囲においては、比表面積が6.2〜6.5(m2/g)の範囲で、c/a軸比が1.0095以上、かつΔH(111)が0.125以下を満たすチタン酸バリウムが得られていることがわかる。
【0078】
なお、上記の各実験における仮焼き雰囲気の全圧は、1×105Pa(1atm)でおこなったが、この全圧を変えても、酸素分圧Poを本発明の所定の範囲に制御すれば同等の効果が発現する。
【0079】
【発明の効果】
上記の結果より本発明の効果は明らかである。すなわち、本発明は、ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末を製造する際の少なくとも2種以上の主原料粉末を準備する工程と、これらの少なくとも2種以上の主原料粉末を混合する工程と、混合された少なくとも2種以上の主原料粉末を仮焼きする工程と、仮焼きにより形成されたペロブスカイト構造を有する酸化物を溶液中で湿式粉砕する工程と、を有するペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法であって、前記主原料粉末を仮焼きする工程は、その仮焼き雰囲気における酸素分圧Poが1×104Pa以下の範囲(酸素を含まない零を含む)であり、前記ペロブスカイト構造を有する酸化物を湿式粉砕する工程は、pHが8.5〜12.5の溶液中で処理されてなり、前記主原料粉末を仮焼きする工程における酸素分圧Po(単位はパスカル)と、前記湿式粉砕工程における溶液pHとの関係が下記式(1)〜(3)を満たす範囲で行なわれているので、ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の比表面積に対する正方晶性(テトラゴナリティ)および結晶性を高くすることができる。
0≦Po≦1×104 …式(1)
pH≦(−4×10−5)Po+12.5 …式(2)
pH≧(1.2×10−4)Po+8.5 …式(3)
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、積層型チップコンデンサの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示される積層型チップコンデンサのA−A線矢視断面図である。
【図3】図3は、積層構造の形成過程を分かりやすく説明するための斜視図である。
【符号の説明】
1…積層型チップコンデンサ
2…素子本体
7…誘電体層
11,15…外部電極
23,28…内部電極層
Claims (5)
- ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末を製造する際の少なくとも2種以上の主原料粉末を準備する工程と、
これらの少なくとも2種以上の主原料粉末を混合する工程と、
混合された少なくとも2種以上の主原料粉末を仮焼きする工程と、
仮焼きにより形成されたペロブスカイト構造を有する酸化物を溶液中で湿式粉砕する工程と、を有するペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法であって、
前記主原料粉末を仮焼きする工程は、その仮焼き雰囲気における酸素分圧Poが1×104Pa以下の範囲(酸素を含まない零を含む)であり、
前記ペロブスカイト構造を有する酸化物を湿式粉砕する工程は、pHが8.5〜12.5の溶液中で処理されてなり、
前記主原料粉末を仮焼きする工程における酸素分圧Po(単位はパスカル)と、前記湿式粉砕工程における溶液pHとの関係が下記式(1)〜(3)を満たす範囲で行なわれてなることを特徴とするペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法。
0≦Po≦1×104 …式(1)
pH≦(−4×10−5)Po+12.5 …式(2)
pH≧(1.2×10−4)Po+8.5 …式(3) - 前記主原料粉末がABO3(AはBa,Sr,Caのグループから選ばれた少なくとも1種であり、BはTi,Zrのグループから選ばれた少なくとも1種)で表されるペロブスカイト構造の酸化物のAサイトを構成する化合物粉末およびBサイトを構成する化合物粉末である請求項1に記載のペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法。
- 前記ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末がチタン酸バリウム粉末であり、前記主原料粉末がチタン化合物およびバリウム化合物である請求項1または請求項2に記載のペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法。
- 前記ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末は、誘電体層と内部電極層とが交互に積層された素子本体を有する積層型チップコンデンサの誘電体層を形成するために用いられる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法。
- 誘電体層と内部電極層とが交互に積層された素子本体を有する積層型チップコンデンサであって、該誘電体層を形成するために用いられる酸化物粉末が請求項1ないし請求項3のいずれかに記載された製造方法により形成されたものであることを特徴とする積層型チップコンデンサ。
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