JP2007247290A - コンクリート剥落防止表面被覆工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】橋梁、トンネル、高架道路、建築物等のコンクリート構造物から、コンクリート片の剥落を防止するコンクリート剥落防止表面被覆工法を提供する。
【解決手段】 コンクリートの表面に、プライマー層(A)、主材層(B)、コンクリート剥落防止用シート(C)、主材層(B)及び上塗り塗膜層(D)を順次積層するコンクリート剥落防止表面被覆工法であって、主材層(B)が20℃における粘度が15〜200Pa・sである水性ポリウレタン塗料(b)によって形成されるものであることを特徴とするコンクリート剥落防止表面被覆工法。
【選択図】 図1
【解決手段】 コンクリートの表面に、プライマー層(A)、主材層(B)、コンクリート剥落防止用シート(C)、主材層(B)及び上塗り塗膜層(D)を順次積層するコンクリート剥落防止表面被覆工法であって、主材層(B)が20℃における粘度が15〜200Pa・sである水性ポリウレタン塗料(b)によって形成されるものであることを特徴とするコンクリート剥落防止表面被覆工法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、橋梁、トンネル、高架道路、建築物等のコンクリート構造物から、コンクリート片の剥落を防止するコンクリート剥落防止表面被覆工法に関するものである。
橋梁、トンネル、高架道路、建築物といったコンクリート製の構造物は、耐久性に優れたものとして広く用いられてきた。しかし、コンクリートのコールドジョイント、自動車の排気ガスによる中性化、凍結防止剤の散布による塩害などによる鉄筋の腐食やアルカリ骨材反応、コンクリートのひび割れなどから、想定された期間より早くコンクリート片が剥離、落下するといった事故が発生している。
このようなコンクリートの剥落防止には、通常、Eガラスやポリビニルアルコール等で形成される連続繊維シートを塗膜ではさみ込む塗装仕様が用いられており、塗膜はシートの接着剤となり、コンクリートの剥落防止機能は主にシートが果たしている。
この接着剤としてはエポキシ樹脂が使用されることが多く、施工法としては、下地表面処理の後、エポキシ樹脂系プライマー、エポキシ樹脂系パテ、エポキシ樹脂系主材、シート貼り付け、エポキシ樹脂系主材、および耐候性を有するウレタン樹脂上塗り塗料等のトップコートを順次塗装・貼付していく方法(平成3年10月に首都高速道路公団が作成した「コンクリート塗装及びFRP補修基準(案)」による仕様)が一般的であるが、工程数が多く、接着剤として用いられる塗料は一般の塗料と比較して非常に粘度が高く刷毛やローラーでは塗装することが困難で、ヘラやコテといった道具を用いて塗装しているため(例えば、特許文献1)、施工効率が非常に悪く、施工期間が長くなるため作業コストが高くなるという問題があった。さらに、一般の表面被覆材と同様に塗装面に貼り紙が貼られると簡単に剥がすことができなくなるため、外観を損ねるという問題があった。
また、溶剤系の塗料やパテなどを使用するために、自然環境への影響や作業者の衛生面の確保にも問題があり、上記のように、施工期間の短縮が可能で、作業者の衛生面に優れたコンクリートの剥落防止方法が今だ提案されていないのが現状である。
本発明の目的は、短期間で施工が完了し、刷毛やローラーでも容易に塗装でき、安全性に優れたコンクリート剥落防止表面被覆工法を提供することにある。
本発明者らは、上記問題を解決すべく、鋭意検討した結果、主材層(B)に特定の水性ポリウレタン塗料を用いることによって、塗装作業性及び安全性に優れたコンクリート剥落防止表面被覆工法が実現し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、 コンクリートの表面に、プライマー層(A)、主材層(B)、コンクリート剥落防止用シート(C)、主材層(B)及び上塗り塗膜層(D)を順次積層するコンクリート剥落防止表面被覆工法であって、主材層(B)が20℃における粘度が15〜200Pa・sである水性ポリウレタン塗料(b)によって形成されるものであることを特徴とするコンクリート剥落防止表面被覆工法に関する。
本発明のコンクリート剥落防止表面被覆工法によれば、各工程に使用する塗料を全て水性塗料にすることが可能であり、自然環境保全や作業者の衛生面も確保され、またこれまでのものと比べて粘度が低く、刷毛やローラーでの塗装が可能で、施工効率の面からも非常に有用である。さらに、刷毛やローラーを用いて塗装することにより、塗膜表面に凹凸(さざ波模様)も形成可能であるため、コンクリート剥落用シートの貼り付け跡を目立たないようにでき、さらに貼り紙に対する剥離性が高く、貼り紙防止にも非常に有用である。
また、本発明のコンクリート剥落防止表面被覆工法は、平成15年5月に首都高速道路公団が作成した、「コンクリート片剥落防止対策要領(案)」の評価基準A種、B種共に満足するものである。
本発明のコンクリート剥落防止表面被覆工法は、まず必要に応じてコンクリート表面をディスクサンダーや圧力水あるいは圧縮空気との混合水の吹付けにより、レイタンス処理及び不陸修正を施した後、該コンクリートの表面に、図1に示すように、プライマー層(A)、主材層(B)、コンクリート剥落防止用シート(C)、主材層(B)及び上塗り塗膜層(D)を順次積層する工法である。
本発明においてプライマー層(A)の形成に使用される塗料は、低粘度でコンクリート表面に含浸しやすく、上層部分を形成する主材層(B)との付着性が良好なものであり、エポキシ樹脂と、アミン系の硬化剤とを組み合わせて塗料化することによって得られる溶剤型又は水性塗料が好適である。
上記エポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基を1個より多く、好ましくは2個以上有し、常温で液状または固体状の樹脂である。常温で液状の樹脂とは、具体的には25℃における粘度が15,000mPa・s以下、好ましくは5,000mPa・s以下の樹脂である。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、その他のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、これらのエポキシ樹脂をアルキルフェノール又は/及び脂肪酸によって変性してなる変性エポキシ樹脂、あるいはアルキルジフェノールまたはアルキルフェノールノボラック型樹脂とエピクロルヒドリンと反応させてなるエポキシ基導入アルキルフェノールまたはアルキルフェノールノボラック型樹脂などを挙げることができる。
上記エポキシ樹脂の中でも、特に液状の樹脂としてアルキルジフェノール又はアルキルフェノールノボラック型樹脂とエピクロルヒドリンとを反応させてなるエポキシ基導入アルキルフェノールまたはアルキルフェノールノボラック型樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好適であり、固体状の樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂、これをアルキルフェノールまたは/及び脂肪酸によって変性してなる変性エポキシ樹脂が、得られる塗膜の造膜性、強靭性などの点から好適である。またこれらエポキシ樹脂に二塩基酸およびカルボキシル基含有アクリル樹脂を反応させてなるアクリル変性エポキシ樹脂や、該エポキシ樹脂に二塩基酸を重付加及び重合性不飽和モノマーをグラフト重合又は共重合させてなるアクリル変性エポキシ樹脂、さらにはこれらアクリル変性エポキシ樹脂の変性にカルボキシル基含有フェノールをも用いた変性エポキシ樹脂が、ミネラルスピリット等の弱溶剤への可溶性や乾燥性が求められる場合に、好適に使用できる。
水性塗料とする場合には、上記エポキシ樹脂を水分散してなるエポキシ樹脂エマルションを用いることができる。エポキシ樹脂の水性化方法としては、樹脂骨格にカルボキシル基もしくはアミノ基を導入し、中和剤により中和して水分散をする自己乳化方法、エポキシ樹脂を乳化剤の存在下で分散する強制乳化方法など、公知の方法を採用できる。
上記エポキシ樹脂には、必要に応じて、ウレタン変性エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂、石油樹脂などから選ばれる樹脂を、塗膜の可撓性や乾燥性などを向上させる点から、適宜併用することができる。
上記アミン系硬化剤は、上記エポキシ樹脂の硬化剤であり、ポリアミン、ポリアミド、ケチミン硬化剤など、従来公知のものが特に制限なく使用でき、好適には常温で液状であることが望ましい。
上記ポリアミン化合物としては、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミンなどの脂肪族ポリアミン類;メタキシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミンなどの芳香族ポリアミン類;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミンなどの脂環族ポリアミン類等が挙げられる。
上記ポリアミン化合物のアミノ基がジアルキルケトンによってブロック化されてなるケチミン化合物も挙げることができる。該ケチミン化合物を用いることにより、プライマー層(A)に使用される塗料を一液型組成物とすることが可能となる。この場合には、上記ポリアミン化合物の中でも、分子中に第2級アミノ基を有しない、即ち活性水素原子を有するアミノ基として、カルボニル化合物でブロック化され得る第1級アミノ基のみを有するポリアミン化合物を用いることが、エポキシ樹脂と混合後の貯蔵安定性が良いことから好適である。分子中に第2級アミノ基を有するケチミン化合物を使用する場合には、第2級アミノ基をエポキシ化合物と反応させて第2級アミノ基を消費させたアダクト化合物として使用することが望ましい。
上記ポリアミン化合物の第1級アミノ基をブロック化するのに用いられるジアルキルケトンとしては、例えばメチルエチルケトンメチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルt−ブチルケトン、メチルsec−ブチルケトン、メチルヘキシルケトンなどが、硬化性と貯蔵安定性、両方のバランスの点から好適である。
上記アミン系硬化剤の配合割合は、エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して、アミン系硬化剤中の活性水素が0.2〜3.0当量、好ましくは0.4〜1.5当量になるような割合で用いることが塗膜の硬化性、非粘着性、防食性の点から望ましい。
プライマー層(A)に使用される塗料には、必要に応じて顔料、有機溶剤、反応性希釈剤、脱水剤、改質用樹脂成分、増粘剤、樹脂微粒子、可塑剤、分散剤などを含有することができる。
本発明において主材層(B)の形成に使用される水性ポリウレタン塗料(b)は、その20℃における粘度は、15〜200Pa・s(測定機器:東機産業株式会社製、RB80型粘度計、回転速度6rpm)、好ましくは20〜100Pa・sである。かかる粘度が15Pa・s未満では、塗膜表面に凹凸模様を形成させることができず、一方200Pa・sを越えると塗装作業性が悪くなるので好ましくない。
水性ポリウレタン塗料(b)としては、特に制限なく従来公知のものが使用できるが、水分散型樹脂(I)及び顔料(II)を含有するベース塗料(III)に、イソシアネート基を含有する化合物を含む架橋剤(IV)を混合してなるものが好適である。
水性ポリウレタン塗料(b)に用いられる水分散型樹脂(I)は、塗膜物性、塗装作業性の点から、水酸基価5〜100mgKOH/g、好ましくは10〜50mgKOH/gであることが望ましい。
また、該水分散型樹脂(I)は、形成膜の強度や耐水性、塗膜の柔軟性の点から、ガラス転移温度−50〜0℃、好ましくは−40〜0℃、また形成膜の耐候性、耐水性及び他の塗料成分との相溶性及び造膜性、硬化性の点から、重量平均分子量20,000〜400,000、好ましくは20,000〜300,000の範囲内であることが望ましい。
水分散型樹脂(I)としては、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂など、特に制限なく従来公知のものが好適に使用できる。
上記顔料(II)としては、酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ等の着色顔料や、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、クレー、珪藻土、珪砂、パライト等の体質顔料や骨材等が挙げられ、適宜選択して使用することができる。
上記顔料(II)は、形成される塗膜における顔料体積濃度(以下、PVCと略称する)が10%〜70%、好ましくは20%〜60%となるように配合することが、耐候性、塗膜としての劣化因子遮断、塗膜の厚塗り性機能を付与させる点から望ましい。
上記ベース塗料(III)は、水分散型樹脂(I)及び上記顔料(II)を含有するものであり、さらに必要に応じて、顔料分散剤、消泡剤、硬化触媒、増粘剤、造膜助剤、防腐剤、凍結防止剤などの塗料用添加剤を含有しても良い。
このうち硬化触媒としては、特に制限なく従来公知のものが使用でき、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン触媒;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、オクチル酸錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルトなどが使用でき、また消泡剤としては、例えばポリエーテル系、ポリシロキサンとポリエーテルの共重合系、ポリシロキサンとケイ酸の縮合物系、金属石鹸系などが使用できる。
架橋剤(IV)は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を含有する化合物を含むものであって、該架橋剤(IV)として、ポリイソシアネート化合物を、このままで或いは界面活性剤と共に使用して、上記ベース塗料(III)に添加し攪拌混合することができ、さらに水分散性の点からは該ポリイソシアネート化合物を界面活性剤などにより変性して使用することが好適である。
該ポリイソシアネート化合物としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ポリトリレンポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート、ポリフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートが挙げられる。また、この他に上記のポリイソシアネートをカルボジイミドで変性したポリイソシアネート(カルボジイミド変性ポリイソシアネート)、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート、ウレタンポリマー(例えばポリオールと過剰のポリイソシアネートとの反応生成物であって、イソシアネート基を分子末端に持つもの)、ビュウレット体等の類似の化合物が挙げられ、これらは1種又は2種以上混合して使用できる。
この水性ポリウレタン塗料(b)は、上記ベース塗料(III)と架橋剤(IV)からなり、これらはベース塗料(III)中に含まれる水酸基1モルに対して架橋剤(IV)中に含まれるイソシアネート基が0.05〜5.0モル、好ましくは0.2〜3.0モルとなるように使用直前に混合して使用に供する。
また、水性ポリウレタン塗料(b)には、さらに必要に応じて界面活性剤、分散剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤、防腐剤、凍結防止剤、有機溶剤などの塗料用添加剤を配合することができる。
本発明において使用されるコンクリート剥落防止用シート(C)には、特に制限なく従来公知のものが好適に使用でき、例えば、ビニロン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、カーボン繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維、テトロン繊維などから選ばれる1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、酸、アルカリに侵されにくく、耐薬品性に優れている点および抗張力、伸びなどの点から、ビニロン繊維製のメッシュ状のシートが好適である。
本発明において上塗り塗膜層(D)の形成に使用される塗料としては、特に制限なく従来公知の耐候性や防水性などを付与しうる水系または有機溶剤系の塗料が使用でき、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコンアクリル樹脂などを主成分とするものが好適に使用できる。特に耐候性の点から、水性ポリウレタン塗料(d)が好ましい。水性ポリウレタン塗料(d)は、前述の水性ポリウレタン塗料(b)の説明で列記した成分から適宜選択して得られる水分散型樹脂及び顔料を含有するベース塗料に、イソシアネート基を含有する化合物を含む架橋剤を混合してなるものである。供給
本発明のコンクリート剥落防止表面被覆工法において、コンクリートの表面に、図1に示す積層体を形成させる塗料の塗布量は、特に制限されるものではないが、それぞれプライマー層(A)(塗布量:50〜300g/m2、好ましくは50〜200g/m2)、主材層(B)(塗布量:500〜1500g/m2、好ましくは700〜1200g/m2)、コンクリート剥落防止用シート(C)の積層後に主材層(B)(塗布量:500〜1500g/m2、好ましくは500〜1200g/m2)及び上塗り塗膜層(D)(塗布量:70〜300g/m2、好ましくは70〜200g/m2)程度が適当である。
本発明のコンクリート剥落防止表面被覆工法において、コンクリートの表面に、図1に示す積層体を形成させる塗料の塗布量は、特に制限されるものではないが、それぞれプライマー層(A)(塗布量:50〜300g/m2、好ましくは50〜200g/m2)、主材層(B)(塗布量:500〜1500g/m2、好ましくは700〜1200g/m2)、コンクリート剥落防止用シート(C)の積層後に主材層(B)(塗布量:500〜1500g/m2、好ましくは500〜1200g/m2)及び上塗り塗膜層(D)(塗布量:70〜300g/m2、好ましくは70〜200g/m2)程度が適当である。
本発明のコンクリート剥落防止表面被覆工法における、プライマー層(A)の形成に用いられる塗料と上塗り塗膜層(D)の形成に用いられる塗料の塗装方法は特に限定されず、スプレー塗装、ローラー塗装、刷毛塗り等、公知の方法が使用できる。上塗り塗膜層(D)の形成にはマスチックローラーを用いることもできる。
また、主材層(B)の形成に用いられる水性ポリウレタン塗料(b)の塗装には、ローラー塗装、刷毛塗り等が適用できる。特に、マスチックローラーを用いることにより、さざ波模様のローラーマークを形成することで、剥落防止用シートの跡を見えないようにすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
塗装及び評価試験
実施例1〜4及び比較例1〜3
コンクリート板表面に、プライマー(エポキシ/ポリアミド系水性塗料、不揮発分:61重量%)を塗布量100g/m2となるようにローラーにて塗装し、1時間養生させて、プライマー層を形成した。次いで、その上に主材をマスチックローラーで塗布量900g/m2となるように塗装し、さらにその上にビニロンメッシュ(ユニチカ株式会社製、トリネオTSS−1820)を貼付し、さらにその上に主材をマスチックローラーで塗布量750g/m2となるように塗装した。主材の塗装から16時間後に上塗り塗料をローラーで塗布量140g/m2となるように塗装し、各試験積層体を得た。塗装温度及び養生温度は23℃で行った。得られた積層体は28日間養生し、下記基準で(*1)(*2)を評価した。なお実施例1〜4及び比較例1、2については、主材として、A:水性ポリウレタン塗料を使用し、比較例3については、主材として、B:溶剤型エポキシ樹脂塗料を使用した。また、上塗り塗料には2液型の水性ポリウレタン塗料(ベース塗料中のアクリル樹脂の水酸基価:44mgKOH/g、PVC:16%、不揮発分:55重量%)のものを使用した。実施例1〜4及び比較例1〜3について、主材以外の他の材料は全て同じものを使用した。
実施例1〜4及び比較例1〜3
コンクリート板表面に、プライマー(エポキシ/ポリアミド系水性塗料、不揮発分:61重量%)を塗布量100g/m2となるようにローラーにて塗装し、1時間養生させて、プライマー層を形成した。次いで、その上に主材をマスチックローラーで塗布量900g/m2となるように塗装し、さらにその上にビニロンメッシュ(ユニチカ株式会社製、トリネオTSS−1820)を貼付し、さらにその上に主材をマスチックローラーで塗布量750g/m2となるように塗装した。主材の塗装から16時間後に上塗り塗料をローラーで塗布量140g/m2となるように塗装し、各試験積層体を得た。塗装温度及び養生温度は23℃で行った。得られた積層体は28日間養生し、下記基準で(*1)(*2)を評価した。なお実施例1〜4及び比較例1、2については、主材として、A:水性ポリウレタン塗料を使用し、比較例3については、主材として、B:溶剤型エポキシ樹脂塗料を使用した。また、上塗り塗料には2液型の水性ポリウレタン塗料(ベース塗料中のアクリル樹脂の水酸基価:44mgKOH/g、PVC:16%、不揮発分:55重量%)のものを使用した。実施例1〜4及び比較例1〜3について、主材以外の他の材料は全て同じものを使用した。
結果を表1に示す。
(注1)主材層塗料種:A 2液型水性ポリウレタン塗料(ベース塗料中のアクリル樹脂の水酸基価:22mgKOH/g、PVC:44%、不揮発分:70重量%)、B 溶剤型エポキシ樹脂塗料(「KCエポエラスト100」関西ペイント社製 溶剤型コンクリート用柔軟型エポキシ樹脂塗料)
(注2)粘度:実施例1〜4及び比較例1、2の主材である水性ポリウレタン塗料を上水で塗料粘度を調製し、(測定機器:東機産業株式会社製、RB80型粘度計)、回転速度6rpm、気温23℃、相対湿度65%の条件下で測定した。
(注2)粘度:実施例1〜4及び比較例1、2の主材である水性ポリウレタン塗料を上水で塗料粘度を調製し、(測定機器:東機産業株式会社製、RB80型粘度計)、回転速度6rpm、気温23℃、相対湿度65%の条件下で測定した。
評価試験
(*1)塗膜外観:実施例1〜4及び比較例1〜3の積層体のローラー模様(凹凸)の形成の確認を目視にて評価した。
○:良好
△:不均一
×:平滑(凹凸がみられない)
(*1)塗膜外観:実施例1〜4及び比較例1〜3の積層体のローラー模様(凹凸)の形成の確認を目視にて評価した。
○:良好
△:不均一
×:平滑(凹凸がみられない)
(*2)塗装作業性:実施例1〜4及び比較例1〜3において、主材を塗装した際の塗装作業性をマスチックローラーが適切に回転しているかについて評価した。
○:良好
△:塗付はできるが若干ローラーが滑りぎみ、または回転し難い
×:ローラーが滑る、または回転しないため材料を塗付できない
○:良好
△:塗付はできるが若干ローラーが滑りぎみ、または回転し難い
×:ローラーが滑る、または回転しないため材料を塗付できない
(*3)剥離作業性:実施例1〜4及び比較例1〜3において、被塗物をコンクリート板からA4サイズのモルタルに変更し、積層体を形成させた。さらに、気温23℃、相対湿度65%の条件下で7日間養生した。また以下行う試験も養生させる環境と同じ状態で行う。住友スリーエム社製スプレーのり「スプレーのり77」を、アスクル社製A4用紙「スーパーホワイト」に300mmの距離から全体的に3秒間噴射し、のりを塗付する。その紙のスプレー面と積層体の表面を合わせ、紙の非スプレー面から紙と試料が密着するように全体を手で10秒間擦る。貼り付けから60秒後、紙の端部を手で垂直方向に引っ張り、紙と被覆層の剥がし易さを評価した。
○:紙が破れず、容易に剥がすことができる
△:紙が部分的に剥がせるが、部分的に破れる
×:紙が破れる、または剥がすことができない
○:紙が破れず、容易に剥がすことができる
△:紙が部分的に剥がせるが、部分的に破れる
×:紙が破れる、または剥がすことができない
(*4)耐荷性:実施例1〜4及び比較例1〜3において、被塗物をコンクリート板からJIS A 5372:2000に規定するU形ふた(400×600×60mm)に変更し、その片面に積層体を作成した。ここでは養生時間を28日間とする。得られた積層体3個を一組として試験を実施した。試験機はJIS B 7733の6.に規定される1等級以上のものを適用する。試験室内は20℃に設定し、積層体も同温とする。積層体を試験機にセットし、ふたが破壊されるまで1mm/分のスピードで載荷する。その後5mm/分で載荷し、押しぬき最大荷重を測定する。さらに耐荷性を有すると判断できる場合は、試験を継続し最大変位50mmまでの剥落防止性能を評価する。(首都高速道路公団「コンクリート片剥落防止対策要領(案)」に記載される試験項目)
○:最大荷重が1.5KNを超える
△:最大荷重が1.0〜1.5KN
×:最大荷重が1.0KN未満
○:最大荷重が1.5KNを超える
△:最大荷重が1.0〜1.5KN
×:最大荷重が1.0KN未満
(*5)付着性:実施例1〜4及び比較例1〜3において、被塗物をコンクリート板からJIS A 6909:2000に規定するモルタル板(70×70×20mm)に変更し、積層体を形成させた。モルタル板の表面をサンダーケレン等により表面処理を行い、次の3条件についてモルタル板の養生を行い、塗装し、養生後、これを試験体として層間付着性を下記試験方法にて確認した。なお、積層体作成個数は同一条件につき3個とする。
<条件A(標準養生)>
モルタル板を温度20℃、湿度65%の条件で、24時間以上養生→積層体の作成→温度20℃、湿度65%の条件で28日間養生→層間付着性の確認
<条件B(半水中養生)>
モルタル板を水温20℃の水中に全没させ、24時間以上養生→積層体の作成→温度20℃、水温20℃の条件で、半水中で28日間養生→温度20℃、湿度65%の条件で24時間養生→層間付着性の確認
<条件C(温冷繰り返し>
モルタル板を温度20℃、湿度65%の条件で24時間以上養生→積層体の作成→温度20℃、湿度65%の条件で28日間養生→温冷繰り返し養生(養生サイクル:水温20℃、全没18時間→温度−20℃、恒温槽3時間→温度50℃、恒温槽3時間 を15回繰り返す)
<条件A(標準養生)>
モルタル板を温度20℃、湿度65%の条件で、24時間以上養生→積層体の作成→温度20℃、湿度65%の条件で28日間養生→層間付着性の確認
<条件B(半水中養生)>
モルタル板を水温20℃の水中に全没させ、24時間以上養生→積層体の作成→温度20℃、水温20℃の条件で、半水中で28日間養生→温度20℃、湿度65%の条件で24時間養生→層間付着性の確認
<条件C(温冷繰り返し>
モルタル板を温度20℃、湿度65%の条件で24時間以上養生→積層体の作成→温度20℃、湿度65%の条件で28日間養生→温冷繰り返し養生(養生サイクル:水温20℃、全没18時間→温度−20℃、恒温槽3時間→温度50℃、恒温槽3時間 を15回繰り返す)
試験方法:養生の終わった試験体について、JIS A 6906:2000の「7.10.2.a」標準状態の試験手順により、引っ張り用の鋼製ジグをエポキシ樹脂系の接着剤にて接着する。その後、質量1kgの重りを乗せ、24時間静置して養生する。養生後に重りを取り除き、鋼製ジグの周りにモルタル板に達するまで、カットを施す。試験体を試験機に取り付け、鉛直方向に引張力を加えて、最大引張荷重を求める。(首都高速道路公団「コンクリート片剥落防止対策要領(案)」に記載される試験項目)
○:付着強度が1.5N/mm2を超える
△:付着強度が1.0〜1.5N/mm2
×:付着強度が1.0N/mm2未満
○:付着強度が1.5N/mm2を超える
△:付着強度が1.0〜1.5N/mm2
×:付着強度が1.0N/mm2未満
Claims (5)
- コンクリートの表面に、プライマー層(A)、主材層(B)、コンクリート剥落防止用シート(C)、主材層(B)及び上塗り塗膜層(D)を順次積層するコンクリート剥落防止表面被覆工法であって、主材層(B)が20℃における粘度が15〜200Pa・sである水性ポリウレタン塗料(b)によって形成されるものであることを特徴とするコンクリート剥落防止表面被覆工法。
- 水性ポリウレタン塗料(b)が、水酸基価5〜100mgKOH/gである水分散型樹脂(I)及び顔料(II)を含有するベース塗料(III)に、1分子中に2個以上のイソシアネート基を含有する化合物を含む架橋剤(IV)を、ベース塗料(III)中に含まれる水酸基1モルに対して架橋剤(IV)中に含まれるイソシアネート基が0.05〜5.0モルとなるように使用直前に混合してなる水性ポリウレタン塗料である、請求項1記載のコンクリート剥落防止表面被覆工法。
- プライマー層(A)が、エポキシ樹脂及びアミン系硬化剤を含む塗料によって形成される、請求項1記載のコンクリート剥落防止表面被覆工法。
- コンクリート剥落防止シート(C)が、ビニロン繊維からなる請求項1記載のコンクリート剥落防止表面被覆工法。
- 上塗り塗膜層(D)が、水性ポリウレタン塗料(d)によって形成される請求項1記載のコンクリート剥落防止表面被覆工法。
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