JP6458995B2 - コンクリートの断面修復及び剥落防止工法 - Google Patents

コンクリートの断面修復及び剥落防止工法 Download PDF

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Description

本発明は、コンクリートの断面修復及び剥落防止工法に関する。
鉄筋コンクリート等の腐食性金属材料が埋め込まれた無機質硬化物は、雨水の侵入などにより腐食性金属材料に錆が発生すると、その体積膨張により、無機質硬化物に亀裂が発生することや、無機質硬化物が破砕することがある。その結果、地震等の外力により、無機質硬化物の表面層が剥落することや、内部の躯体が露出されて劣化が促進することがある。
上記のように、無機質硬化物の表面層が剥落した場合、従来、以下の手順で補修が行われている。
(1)はつり工:劣化したコンクリート及び旧塗膜を除去し、腐食性金属材料の腐食部分を全面露出させる。
(2)鉄筋防錆施工及び打継施工:腐食性金属材料の発錆部分を除去した後、防錆塗料を塗装する。
(3)断面修復:はつり部分を埋める作業で、ポリマーセメント組成物(パテ)又はポリマーモルタル組成物(パテ)を塗装する。
(4)繊維強化プラスチック(FRP)処理:連続繊維シートを貼り付けて、補修部分を補強する。
(5)中塗り及び上塗り層の形成:補修部分に対して、保護及び美観の機能を付与する。一般には、中塗り塗料及び上塗り塗料が塗装される。
このような方法は、特許文献1や非特許文献1で開示されている。
しかしながら、従来の手順による補修では、ポリマーセメント材料やポリマーモルタル材料を用いるため、必ず養生工程が必要となり、補修期間は数日を要する。補修が必要となる建造物が増加傾向にある昨今の状況から、短期間で補修できる工法が求められている。
特開平9−317195号
構造物塗料グループ・里 隆幸、宮下 剛、「コンクリート片はく落防止工法」 DNTコーティング技報、大日本塗料株式会社、2002年10月、No.2、10〜15ページ。
本発明の課題は、補修部分の剥落防止性能及び良好な外観を保ち、且つ、従来の工法よりも補修期間を短縮できる工法を提供することにある。
上記課題は、防錆顔料又は/及び防錆剤並びに0〜5質量%の有機溶剤を含むエポキシ樹脂塗料又はポリウレタン樹脂塗料を防錆塗料として用い、0.01〜1.20g/cm3の真密度を有する充填材及び0〜5質量%の有機溶剤を含むエポキシ樹脂塗料又はポリウレタン樹脂塗料を断面修復材として用い、更に、従来の中塗り及び上塗り層に代えて塩化ビニルシートを用いることにより解決できることが見出された。すなわち、本発明は、下記〔1〕〜〔7〕に関するものである。
〔1〕コンクリートの断面修復及び剥落防止工法であって、以下の工程A〜工程D
(工程A) コンクリートの断面に防錆塗料を塗装し、防錆塗膜を形成する工程
(工程B) 工程Aで得られた防錆塗膜表面に断面修復材を塗装し、断面修復層を
形成する工程
(工程C) 工程Bで得られた断面修復層に補強材を接着する工程、及び
(工程D) 前記接着された補強材に塩化ビニルシートを接着する工程、
を含み、
前記防錆塗料が、防錆顔料若しくは/及び防錆剤と、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂と反応する硬化剤とを含むエポキシ樹脂塗料(A1)、又は防錆顔料若しくは/及び防錆剤と、ポリオールと、ポリオールと反応してポリウレタン樹脂を形成する硬化剤とを含むポリウレタン樹脂塗料(A2)であり、且つ前記防錆塗料における有機溶剤の含有量が0〜5質量%であり、
前記断面修復材が、0.01〜1.20g/cm3の真密度を有する充填材と、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂と反応する硬化剤とを含むエポキシ樹脂塗料(B1)、又は0.01〜1.20g/cm3の真密度を有する充填材と、ポリオールと、ポリオールと反応してポリウレタンを形成する硬化剤とを含むポリウレタン樹脂塗料(B2)であり、且つ前記断面修復材における有機溶剤の含有量が0〜5質量%であることを特徴とする工法。
〔2〕コンクリートの断面修復及び剥落防止工法であって、以下の工程A、工程B及び工程E
(工程A) コンクリートの断面に防錆塗料を塗装し、防錆塗膜を形成する工程
(工程B) 工程Aで得られた防錆塗膜表面に断面修復材を塗装し、断面修復層を
形成する工程、及び
(工程E) 工程Bで得られた断面修復層に、補強材と塩化ビニルシートとを接着して一体化したシートを接着する工程、
を含み、
前記防錆塗料が、防錆顔料若しくは/及び防錆剤と、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂と反応する硬化剤とを含むエポキシ樹脂塗料(A1)、又は防錆顔料若しくは/及び防錆剤と、ポリオールと、ポリオールと反応してポリウレタン樹脂を形成する硬化剤とを含むポリウレタン樹脂塗料(A2)であり、且つ前記防錆塗料における有機溶剤の含有量が0〜5質量%であり、
前記断面修復材が、0.01〜1.20g/cm3の真密度を有する充填材と、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂と反応する硬化剤とを含むエポキシ樹脂塗料(B1)、又は0.01〜1.20g/cm3の真密度を有する充填材と、ポリオールと、ポリオールと反応してポリウレタンを形成する硬化剤とを含むポリウレタン樹脂塗料(B2)であり、且つ前記断面修復材における有機溶剤の含有量が0〜5質量%であることを特徴とする工法。
〔3〕前記充填材が、0.5〜10mmの平均粒子径を有する、前記〔1〕又は〔2〕に記載の工法。
〔4〕前記充填材が、発泡ポリスチレン粒子である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の工法。
〔5〕前記塩化ビニルシートが、ふっ素処理塩化ビニルシートである、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の工法。
〔6〕前記〔1〕又は〔2〕に記載の工法に用いるための断面修復材であって、0.01〜1.20g/cm3の真密度を有する充填材と、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂と反応する硬化剤とを含み、且つ前記断面修復材に対して有機溶剤の含有量が0〜5質量%であることを特徴とする断面修復材。
〔7〕前記〔1〕又は〔2〕に記載の工法に用いるための断面修復材であって、0.01〜1.20g/cm3の真密度を有する充填材と、ポリオールと、ポリオールと反応してポリウレタンを形成する硬化剤とを含み、且つ前記断面修復材に対して有機溶剤の含有量が0〜5質量%であることを特徴とする断面修復材。
本発明の工法により、補修部分の剥落防止性能及び良好な外観を保ちながら、従来の工法よりも補修期間を短縮することができる。
本発明は、以下の工程A〜工程Dを含む工法である。
(工程A) コンクリートの断面に防錆塗料を塗装し、防錆塗膜を形成する工程
(工程B) 工程Aで得られた防錆塗膜表面に断面修復材を塗装し、断面修復層を
形成する工程、
(工程C) 工程Bで得られた断面修復層に補強材を接着する工程、及び
(工程D) 前記接着された補強材に塩化ビニルシートを接着する工程。
更に、前記防錆塗料が、防錆顔料若しくは/及び防錆剤と、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂と反応する硬化剤とを含むエポキシ樹脂塗料(A1)、又は防錆顔料若しくは/及び防錆剤と、ポリオールと、ポリオールと反応してポリウレタンを形成する硬化剤とを含むポリウレタン樹脂塗料(A2)であり、且つ前記防錆塗料における有機溶剤の含有量が0〜5質量%である。
また、前記断面修復材が、0.01〜1.20g/cm3の真密度を有する充填材と、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂と反応する硬化剤とを含むエポキシ樹脂塗料(B1)、又は0.01〜1.20g/cm3の真密度を有する充填材と、ポリオールと、ポリオールと反応してポリウレタンを形成する硬化剤とを含むポリウレタン樹脂塗料(B2)であり、且つ前記断面修復材における有機溶剤の含有量が0〜5質量%である。
<防錆塗料>
本発明に用いられる防錆塗料は、工程Aで使用されるものであり、該防錆塗料は、防錆顔料若しくは/及び防錆剤と、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂と反応する硬化剤とを含むエポキシ樹脂塗料(A1)、又は防錆顔料若しくは/及び防錆剤と、ポリオールと、ポリオールと反応してポリウレタンを形成する硬化剤とを含むポリウレタン樹脂塗料(A2)であり、且つ前記断面修復材における有機溶剤の含有量が0〜5質量%である。
<エポキシ樹脂塗料(A1)>
本発明の防錆塗料に用いられるエポキシ樹脂塗料(A1)は、防錆顔料又は/及び防錆剤と、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂と反応する硬化剤とを含み、前記塗料における有機溶剤の含有量が0〜5質量%である。
(防錆顔料、防錆剤)
本発明の防錆塗料に用いられるエポキシ樹脂塗料(A1)に配合される防錆顔料及び防錆剤は、腐食性金属材料における錆の発生を防ぐ目的で塗料に添加される顔料及び薬剤である。腐食性金属材料としては、鉄、鉄鋼等がある。
防錆顔料としては、例えば、トリポリリン酸アルミニウム、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、リン・ケイ酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸アルミニウム亜鉛、リン酸カルシウム亜鉛、亜リン酸亜鉛、亜リン酸カルシウム、亜リン酸アルミニウム、シアナミド亜鉛カルシウム、亜鉛処理されたポリリン酸アルミニウム、トリポリリン酸二水素アルミニウム、モリブデン酸亜鉛カルシウム、モリブデン酸亜鉛、リンモリブデン酸亜鉛、リンモリブデン酸アルミニウム等を挙げることができる。これらの防錆顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
防錆剤としては、例えば、亜硝酸塩などのアルカリ性還元剤が挙げられ、亜硝酸塩としては、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸リチウムなどが好ましく用いられる。これらの防錆剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、防錆顔料と防錆剤を組み合わせて用いてもよい。
防錆顔料及び防錆剤は公知であり、市場において容易に入手することができるか、又は調製可能である。
防錆顔料又は/及び防錆剤の含有量は、防錆塗料の質量に対して1〜30質量%であり、好ましくは3〜20量%である。1〜30質量%であれば十分な防錆効果が得られる。
(エポキシ樹脂)
本発明のエポキシ樹脂塗料(A1)に含まれるエポキシ樹脂は、1分子中に平均2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましく、更に室温(5〜30℃)で液状であることが好ましい。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、及び脂環族エポキシ樹脂等が挙げられ、更にはこれらエポキシ樹脂がアルキルフェノール又は/及び脂肪酸によって変性されてなる変性エポキシ樹脂、アルキルフェノールをエピクロルヒドリンと反応させてなるアルキルフェニルグリシジルエーテル、ノボラック型アルキルフェノール樹脂をエピクロルヒドリンと反応させてなるアルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂等も含まれる。これらエポキシ樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、多価アルコール、多価フェノール等の水酸基含有化合物と、エピクロルヒドリン等のエポキシ基含有化合物を反応させて得られるグリシジルエーテル基を有するエポキシ樹脂である。上記多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等を挙げることができる。また、上記多価フェノールの具体例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[一般名:ビスフェノールA]、2,2−ビス(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2−ヒドロキシフェニル)2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ハロゲン化ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[一般名:ビスフェノールF]、トリス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、レゾルシン、テトラヒドロキシフェニルエタン、1,2,3−トリス(2,3−エポキシプロポキシ)プロパン、ノボラック型多価フェノール、クレゾール型多価フェノール等を挙げることができる。
上記グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、例えば、フタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル等を挙げることができる。
上記脂環族エポキシ樹脂としては、例えば(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシ6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等を挙げることができる。
上記アルキルフェノールとしては、炭素原子数2〜18のアルキル基を有するフェノールが好ましく、具体例としては、4−t−ブチルフェノール、4−t−ペンチルフェノール、4−ネオペンチルフェノール、4−オクチルフェノール、4−ノニルフェノールな等を挙げることができる。
上記脂肪酸としては、乾性油脂肪酸、半乾性油脂肪酸等が好ましく、具体例としては、亜麻仁油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、桐油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ひまし油脂肪酸、ハイジエン脂肪酸等を挙げることができる。
上記アルキルフェノールや脂肪酸を変性剤として用いて、エポキシ樹脂を変性する反応は、特に限定されず、従来公知の方法により行うことができる。なお、変性剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂は公知であり、市場において容易に入手することができるか、又は調製可能である。
(エポキシ樹脂と反応する硬化剤)
本発明の防錆塗料に用いられるエポキシ樹脂塗料(A1)は、硬化剤 を含む。硬化剤は、塗装された防錆塗料を硬化させるために用いられる 。
硬化剤は、エポキシ樹脂と硬化反応を起こすものであれば、特に制限されないが、エポキシ樹脂の硬化剤としては、アミン化合物が好ましい。
また、硬化剤は室温(5〜30℃)で液状であることが好ましく、このようなアミン化合物としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等の脂肪族ポリアミン類、メタキシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミン等の芳香族ポリアミン類、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環族ポリアミン類や、これらポリアミン類に対して公知の方法によりポリアミド化、エポキシアダクト化、マンニッヒ化、ケチミン化等の変性反応を行って得られる変性ポリアミン等が挙げられる。これらアミン化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂と反応する硬化剤は公知であり、市場において容易に入手することができるか、又は調製可能である。
アミン化合物は、上記エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜3.0当量の活性水素を有することが好ましく、0.6〜1.5当量の活性水素を有することが更に好ましい。アミン化合物の配合量が上記特定した範囲内にあれば、塗膜の硬化性、不粘着性及び付着性等に優れる。
本発明のエポキシ樹脂塗料(A1)において、エポキシ樹脂と硬化剤を合わせた含有量は、10〜95質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましい。10質量%以上であれば基材や断面修復層との付着性や腐食因子の遮断性が良好であり、95質量%以下であれば防錆剤による防錆効果が得られ、防錆性に優れた防錆塗膜を形成できる。
(有機溶媒)
本発明の防錆塗料に用いられるエポキシ樹脂塗料(A1)は、有機溶剤を含まないことが好ましく、有機溶剤を含む場合、エポキシ樹脂塗料(A1)の質量に対して5質量%以下であり、好ましくは3質量%以下であり、最も好ましくは、1質量%以下である。溶剤含有量を5質量%以下とすることにより、溶剤の揮発に要する時間を短縮でき、且つ、後述する断面修復材に含まれる充填材の溶解を抑えることができる。
エポキシ樹脂塗料(A1)に含まれる有機溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン等が挙げられる。
有機溶剤は公知であり、市場において容易に入手することができるか、又は調製可能である。
(その他成分)
本発明の防錆塗料に用いられるエポキシ樹脂塗料(A1)には、塗膜の内部応力を軽減させる目的や意匠性を付与する目的で、体質顔料や着色顔料を添加することもできる。
着色顔料の具体例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、黒色酸化鉄、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、チタンイエロー、クロムグリーン、コバルトブルーなどの無機着色顔料や、アゾ系、フタロシアニン系、縮合多環系などの有機着色顔料が挙げられる。また、体質顔料の具体例としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化ケイ素、アクリル樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子等が挙げられる。
着色顔料及び体質顔料は公知であり、市場において容易に入手することができるか、又は調製可能である。
着色顔料の粒子径は0.1〜10μm、体質顔料の粒子径は1〜200μmであることが好ましい。
本発明の防錆塗料に用いられるエポキシ樹脂塗料(A1)に含まれる体質顔料や着色顔料の合計含有量は、防錆塗料の質量に対して60質量%以下であることが好ましい。
本発明の防錆塗料に用いられるエポキシ樹脂塗料(A1)は、反応触媒、分散剤、消泡剤、脱水剤、レベリング剤、沈降防止剤、ダレ止め剤、防藻剤、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の他の添加剤を含んでもよい。
本発明の防錆塗料に用いられるエポキシ樹脂塗料(A1)は、エポキシ樹脂及び防錆顔料を含む主剤と、硬化剤又は硬化剤を含む硬化剤混合物とを混合することにより調製され得る。好ましくは、主剤と硬化剤又は硬化剤混合物とは、防錆塗料の使用直前に混合される。
<ポリウレタン樹脂塗料(A2)>
本発明の防錆塗料に用いられるポリウレタン樹脂塗料(A2)は、防錆顔料又は/及び防錆剤と、ポリオールと、ポリオールと反応してポリウレタン樹脂を形成する硬化剤とを含み、前記塗料における有機溶剤の含有量が0〜5質量%である。
(防錆顔料、防錆剤)
本発明の防錆塗料に用いられるポリウレタン樹脂塗料(A2)に配合される防錆顔料及び防錆剤は、腐食性金属材料における錆の発生を防ぐ目的で塗料に添加される顔料及び薬剤であり、前記エポキシ樹脂塗料(A1)に配合できる防錆顔料や防錆剤が使用できる。
防錆顔料又は/及び防錆剤の含有量は、防錆塗料の質量に対して1〜30質量%であり、好ましくは3〜20質量%である。1〜30質量%であれば十分な防錆効果が得られる。
(ポリオール)
本発明の防錆塗料に用いられるポリウレタン樹脂塗料(A2)に含まれるポリオールは、数平均分子量が300〜10,000、より好ましくは400〜2,000であり、且つ1分子あたりの水酸基の数が2.3〜9.0、より好ましくは2.5〜5.0のポリオールを含むことが好ましい。
数平均分子量が300〜10,000であれば、耐久性を有する塗膜を形成でき、且つ塗装作業性にも優れたポリウレタン樹脂塗料を調製できる。また、1分子あたりの水酸基の数が2.3〜9.0であれば、耐久性及び基材への付着性に優れた塗膜を形成できる。なお、ポリオールの1分子あたりの水酸基の数(n)は、ポリオールの持つ水酸基価(OHV)と数平均分子量(Mn)から次の計算式により求められる。
n=Mn(g/mol)×OHV(mgKOH/g)/56110
ここで、水酸基価とは、試料1g中の遊離水酸基を無水酢酸で完全にアセチル化した後、それを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。また、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されるポリスチレン換算した数平均分子量である。
上記ポリオールとしては、例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
アクリルポリオールは、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルと重合性不飽和基を有する化合物を共重合して得られる。水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。重合性不飽和基を有する化合物としては、スチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これら重合性不飽和基を有する化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステルポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、セバシン酸、ピメリン酸、スベリン酸等の多塩基カルボン酸とを脱水縮合反応して得られる。また、大豆油、亜麻仁油、米ぬか油、綿実油、桐油、ひまし油、やし油などの天然油を上記多価アルコールで分解して得られる水酸基含有脂肪酸エステルを多価アルコールの全部又は一部として含むこともできる。
ポリウレタンポリオールは、上記多価アルコールと、ポリイソシアネートとをアルコール過剰の条件で反応して得られる。また、上記水酸基含有脂肪酸エステルを多価アルコールの全部又は一部として含むこともできる。
ポリエーテルポリオールは、例えば、上記多価アルコールや水酸基含有脂肪酸エステルに、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加させて得られる。なお、これらポリオールは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリオールは公知であり、市場において容易に入手することができるか、又は調製可能である。
(ポリオールと反応してポリウレタン樹脂を形成する硬化剤)
本発明の防錆塗料に用いられるポリウレタン樹脂塗料(A2)は、硬化剤を含む。
硬化剤は、ポリオールと硬化反応を起こしてポリウレタン樹脂を形成するものであれば、特に制限されないが、ポリオールの硬化剤としては、ポリイソシアネートが好ましい。
また、硬化剤は室温(5〜30℃)で液状であることが好ましく、このようなポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族、芳香族又は芳香脂肪族のポリイソシアネートが含まれ、具体例としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等のほか、これらイソシアネート化合物の変性体が挙げられる。変性体の具体例としては、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体、アダクト変性体(例えばトリメチロールプロパン付加物)、アロファネート変性体、ウレトジオン変性体等が挙げられる。特に耐候性の観点からヘキサメチレンジイソシアネートの各種変性体、イソホロンジイソシアネートの各種変性体が好ましい。なお、これらポリイソシアネートは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリオールと反応してポリウレタン樹脂を形成する硬化剤は公知であり、市場において容易に入手することができるか、又は調製可能である。
硬化剤としてポリイソシアネートを用いる場合、本発明の防錆塗料に用いられるポリウレタン樹脂塗料(A2)において、ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対してイソシアネート基が0.5〜1.5当量であることを要し、0.8〜1.2当量であることが好ましい。ポリオールの水酸基に対してイソシアネート基の含有量が上記特定した範囲内にあれば、塗膜の硬化性、不粘着性及び付着性等に優れる。
前記ポリウレタン樹脂塗料(A2)に含まれるポリオール及び硬化剤の合計含有量は、防錆塗料の質量に対して10〜95質量%であることが好ましく、20〜90質量%であることがより好ましい。10質量%以上であれば基材や断面修復層との付着性や腐食因子の遮断性が良好であり、95質量%以下であれば防錆剤による防錆効果が得られ、防錆性に優れた防錆塗膜を形成できる。
(有機溶剤)
本発明の防錆塗料に用いられるポリウレタン樹脂塗料(A2)は、有機溶剤を含まないことが好ましく、有機溶剤を含む場合、ポリウレタン樹脂塗料の質量に対して5質量%以下であり、好ましくは3質量%以下であり、最も好ましくは、1質量%以下である。溶剤含有量を5質量%以下とすることにより、溶剤の揮発に要する時間を短縮でき、且つ、断面修復材に含まれる充填材の溶解を抑えることができる 。
ポリウレタン樹脂塗料(A2)に含まれる有機溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン等が挙げられる。
有機溶剤は公知であり、市場において容易に入手することができるか、又は調製可能である。
(その他成分)
本発明の防錆塗料に用いられるポリウレタン樹脂塗料(A2)には、塗膜の内部応力を軽減させる目的や意匠性を付与する目的で、体質顔料や着色顔料を添加することもできる。着色顔料、体質顔料としては、前記エポキシ樹脂塗料(A1)の欄に列挙したものが使用できる。
着色顔料の粒子径は0.1〜10μm、体質顔料の粒子径は1〜200μmであることが好ましい。
本発明の防錆塗料に用いられるポリウレタン樹脂塗料(A2)に含まれる体質顔料や着色顔料の合計含有量は、防錆塗料の質量に対して60質量%以下であることが好ましい。
本発明の防錆塗料に用いられるポリウレタン樹脂塗料(A2)は、反応触媒、分散剤、消泡剤、脱水剤、レベリング剤、沈降防止剤、ダレ止め剤、防藻剤、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の他の添加剤を含んでもよい。
本発明の防錆塗料に用いられるポリウレタン樹脂塗料(A2)は、ポリオール及び防錆顔料を含む主剤と、硬化剤又は硬化剤を含む硬化剤混合物とを混合することにより調製され得る。好ましくは、主剤と硬化剤又は硬化剤混合物とは、防錆塗料の使用直前に混合される。
<断面修復材>
本発明に用いられる断面修復材は、工程Bで使用されるものであり、0.01〜1.20g/cm3の真密度を有する充填材と、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂と反応する硬化剤とを含むエポキシ樹脂塗料(B1)、又は0.01〜1.20g/cm3の真密度を有する充填材と、ポリオールと、ポリオールと反応してポリウレタン樹脂を形成する硬化剤とを含むポリウレタン樹脂塗料(B2)であり、且つ前記断面修復材における有機溶剤の含有量が0〜5質量%である。
<エポキシ樹脂塗料(B1)>
本発明の断面修復材に用いられるエポキシ樹脂塗料(B1)は、0.01〜1.20g/cm3の真密度を有する充填材と、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂と反応する硬化剤とを含み、前記断面修復材における有機溶剤の含有量が0〜5質量%である。
(充填材)
充填材は、断面修復材に含まれるエポキシ樹脂及び硬化剤の含有量を減らし、硬化する際の硬化収縮を緩和する目的で配合される。エポキシ樹脂及び硬化剤の含有量が多い断面修復材による断面修復を行った場合、硬化収縮が大きいため、硬化後に防錆塗膜との層間剥離が起こることや、断面修復材の硬化物中にクラックが発生することがある。
充填材としては、発泡ポリスチレン粒子、発泡アクリル粒子、発泡ポリウレタン等が挙げられる。これらの充填材は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
充填材は公知であり、市場において容易に入手することができる。
断面修復材に含まれる充填材の真密度は、0.01〜1.2g/cm3、好ましくは0.01〜1.0g/cm3である。充填材の真密度が0.01g/cm3以上であれば取扱いや入手、購入が容易であり、1.2g/cm3以下であれば断面修復時に充填材が沈降することがなく、施工が容易である。
充填材の平均粒子径は0.5〜10mmであり、好ましくは1.0〜8.0mmである。平均粒子径が0.5mm未満であると、充填材の表面積が大きくなりすぎて、断面修復材の硬化物の強度が低下する場合がある。一方、10mmを超えると、粒子が大きくなりすぎて、充填材の配合量が不足することや、断面修復材の塗装作業性が悪くなることがある。平均粒子径は、例えば、光学顕微鏡又は目視により測定される。具体的には、無作為に抽出された100個の粒子について、光学顕微鏡や目視で実測された粒子径の算術平均を求める。
断面修復材の充填材含量は、断面修復材の質量に対して0.1〜15質量%、好ましくは1〜15質量%である。0.1質量%以上であれば硬化収縮を軽減することができ、15質量%以下であれば十分な強度を有する断面修復材の硬化物が得られる。
(エポキシ樹脂)
本発明の断面修復材に含まれるエポキシ樹脂は、1分子中に平均2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましく、更に室温(5〜30℃)で液状であることが好ましい。
上記エポキシ樹脂としては、前述のエポキシ樹脂塗料(A1)に配合できるエポキシ樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、前述のエポキシ樹脂塗料(A1)に配合されるエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂塗料(B1)に含まれるエポキシ樹脂は同一でも、異なっていてもよい。
(エポキシ樹脂と反応する硬化剤)
本発明の断面修復材に用いられるエポキシ樹脂塗料(B1)は、硬化剤を含む。硬化剤は、塗装された断面修復材を硬化させるために用いられる 。
硬化剤は、エポキシ樹脂と硬化反応を起こすものであれば、特に制限されないが、エポキシ樹脂の硬化剤としては、アミン化合物が好ましい。また、硬化剤は室温(5〜30℃)で液状であることが好ましい。上記のアミン化合物としては、前述のエポキシ樹脂塗料(A1)に配合できるアミン化合物が挙げられる。
アミン化合物は、上記エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜3.0当量の活性水素を有することが好ましく、0.6〜1.5当量の活性水素を有することが更に好ましい。アミン化合物の配合量が上記特定した範囲内にあれば、塗膜の硬化性、不粘着性及び付着性等に優れる。なお、本発明のエポキシ樹脂塗料組成物において、エポキシ樹脂とアミン化合物を合わせた含有量は、25〜99質量%であることが好ましい。
25質量%以上であれば防錆塗膜や補強材、塩化ビニルシートとの付着性が良好であり、99質量%以下であれば、硬化収縮を緩和する成分を十分に配合することが可能になる。
(有機溶剤)
本発明の断面修復材に用いられるエポキシ樹脂塗料(B1)は、有機溶剤を含まないことが好ましく、有機溶剤を含む場合、エポキシ樹脂塗料の質量に対して5質量%以下であり、好ましくは3質量%以下 であり、最も好ましくは、1質量%以下である。溶剤含有量を5質量%以下とすることにより、溶剤の揮発に要する時間を短縮でき、且つ、断面修復材に含まれる充填材の溶解を抑えることができる 。
エポキシ樹脂塗料(B1)に含まれる有機溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン等が挙げられる。
(その他成分)
本発明の断面修復材に用いられるエポキシ樹脂塗料(B1)には、塗膜の内部応力を軽減させる目的や意匠性を付与する目的で、体質顔料や着色顔料を添加することもできる。着色顔料や体質顔料の具体例としては、前述の防錆塗料に用いられるエポキシ樹脂塗料(A1)に適用できるものを挙げることができる。
着色顔料の粒子径は0.1〜10μm、体質顔料の粒子径は1〜200μmであることが好ましい。
本発明の断面修復材に用いられるエポキシ樹脂塗料(B1)に含まれる体質顔料や着色顔料の合計含有量は、断面修復材の質量に対して60質量%以下であることが好ましい。
本発明の断面修復材に用いられるエポキシ樹脂塗料(B1)は、反応触媒、防錆剤、分散剤、消泡剤、脱水剤、レベリング剤、沈降防止剤、ダレ止め剤、防藻剤、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の他の添加剤を含んでもよい。
本発明の断面修復材に用いられるエポキシ樹脂塗料(B1)は、エポキシ樹脂及び充填材を含む主剤と、硬化剤又は硬化剤を含む硬化剤混合物とを混合することにより調製され得る。好ましくは、主剤と硬化剤又は硬化剤混合物とは、断面修復材の使用直前に混合される。
<ポリウレタン樹脂塗料(B2)>
本発明の断面修復材に用いられるポリウレタン樹脂塗料(B2)は、0.01〜1.20g/cm3の真密度を有する充填材と、ポリオールと、ポリオールと反応してポリウレタン樹脂を形成する硬化剤とを含み、前記断面修復材に占める有機溶剤の含有量が0〜5質量%である。
(充填材)
充填材は、断面修復材に含まれるポリオール及び硬化剤の含有量を減らし、硬化する際の硬化収縮を緩和する目的で配合される。ポリオール及び硬化剤の含有量が多い場合、断面修復材による断面修復を行った場合、硬化収縮が大きいため、硬化後に防錆塗膜との層間剥離が起ることや、断面修復材の硬化物中にクラックが発生することがある。
充填材としては、発泡ポリスチレン粒子、発泡アクリル粒子、発泡ポリウレタン等が挙げられる。これらの充填材は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
充填材は公知であり、市場において容易に入手することができる。
断面修復材に含まれる充填材の真密度は、0.01〜1.2g/cm3、好ましくは0.01〜1.0g/cm3 である。充填材の真密度が0.01g/cm3以上であれば取扱いや入手・購入が容易であり、1.2g/cm3以下であれば断面修復時に充填材が沈降することがなく、施工が容易である 。
充填材の平均粒子径は0.5〜10mmであり、好ましくは1.0〜8.0 mmである。平均粒子径が0.5mm未満であると、充填材の表面積が大きくなりすぎて、断面修復材の硬化物の強度が低下する場合がある。一方、10mmを超えると、粒子が大きくなりすぎて、充填材の配合量が不足することや、断面修復材の塗装作業性が悪くなることがある。平均粒子径は、例えば、光学顕微鏡 又は目視により測定される。具体的には、無作為に抽出された100個の粒子について、光学顕微鏡や目視で実測された粒子径の算術平均を求める。
断面修復材の充填材含量は、断面修復材の質量に対して0.1〜15質量%、好ましくは1〜15質量%である。0.1質量%以上であれば硬化収縮を軽減することができ、15質量%以下であれば十分な強度を有する断面修復材の硬化物が得られる。
(ポリオール)
本発明の断面修復材に用いられるポリウレタン樹脂塗料(B2)に含まれるポリオールは、数平均分子量が300〜10,000、より好ましくは400〜2,000であり、且つ1分子あたりの水酸基の数が2.3〜9.0、より好ましくは2.5〜5.0のポリオールを含むことが好ましい。数平均分子量が300〜10,000であれば、耐久性を有する塗膜を形成でき、且つ塗装作業性にも優れたポリウレタン樹脂塗料を調製できる。また、1分子あたりの水酸基の数が2.3〜9.0であれば、耐久性及び防錆塗膜や補強材、塩化ビニルシートへの付着性に優れた塗膜を形成できる。
上記ポリオールとしては、前述の防錆塗料に用いられるポリウレタン樹脂塗料(A2)に用いることができるものが挙げられる。なお、これらポリオールは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(ポリオールと反応してポリウレタン樹脂を形成する硬化剤)
本発明の断面修復材に用いられるポリウレタン樹脂塗料(B2)は、硬化剤を含む。硬化剤は、ポリオールと硬化反応を起こしてポリウレタン樹脂を形成するものであれば、特に制限されないが、ポリオールの硬化剤としては、ポリイソシアネートが好ましい。
また、硬化剤は室温(5〜30℃)で液状であることが好ましく、このようなポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族、芳香族又は芳香脂肪族のポリイソシアネートが含まれ、前述の防錆塗料に用いられるポリウレタン樹脂塗料(A2)に用いることができるものが挙げられる。
硬化剤としてポリイソシアネートを用いる場合、本発明の断面修復材に用いられるポリウレタン樹脂塗料(B2)において、ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対してイソシアネート基が0.5〜1.5当量であることを要し、0.8〜1.2当量であることが好ましい。ポリオールの水酸基に対してイソシアネート基の含有量が上記特定した範囲内にあれば、塗膜の硬化性、不粘着性及び付着性等に優れる。
前記ポリウレタン樹脂塗料(B2)に含まれるポリオール及び硬化剤の合計含有量は、ポリウレタン樹脂塗料(B2)の質量に対して25〜99質量%である。25質量%以上であれば防錆塗膜や補強材、塩化ビニルシートとの付着性が良好であり、99質量%以下であれば、硬化収縮を緩和する成分を十分に配合することが可能になる。
(有機溶剤)
本発明の断面修復材に用いられるポリウレタン樹脂塗料(B2)は、有機溶剤を含まないことが好ましく、有機溶剤を含む場合、ポリウレタン樹脂塗料の質量に対して5質量%以下であり、好ましくは3質量%以下であり、最も好ましくは、1質量%以下である。溶剤含有量を5質量%以下とすることにより、溶剤の揮発に要する時間を短縮でき、且つ、断面修復材に含まれる充填材の溶解を抑えることができる 。
ポリウレタン樹脂塗料(B2)に含まれる有機溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン等が挙げられる。
(その他成分)
本発明の断面修復材に用いられるポリウレタン樹脂塗料(B2)には、塗膜の内部応力を軽減させる目的や意匠性を付与する目的で、体質顔料や着色顔料を添加することもできる。着色顔料や体質顔料の具体例としては、前述の防錆塗料に用いられるポリウレタン樹脂塗料(A2)に適用できるものを挙げることができる。
着色顔料の粒子径は0.1〜10μm、体質顔料の粒子径は1〜200μmであることが好ましい。
本発明の断面修復材に用いられるポリウレタン樹脂塗料(B2)に含まれる体質顔料や着色顔料の合計含有量は、断面修復材の質量に対して60質量%以下であることが好ましい。
本発明の断面修復材に用いられるポリウレタン樹脂塗料(B2)は、反応触媒、防錆剤、分散剤、消泡剤、脱水剤、レベリング剤、沈降防止剤、ダレ止め剤、防藻剤、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の他の添加剤を含んでもよい。
本発明の断面修復材に用いられるポリウレタン樹脂塗料(B2)は、ポリオール及び充填材を含む主剤と、硬化剤又は硬化剤を含む硬化剤混合物とを混合することにより調製され得る。好ましくは、主剤と硬化剤又は硬化剤混合物とは、断面修復材の使用直前に混合される。
<補強材>
本発明に用いられる補強材は、繊維を編み込み、シート状にしたものである。
補強材の材質は、一般に高強度、高弾性の繊維からなり、ガラス繊維、ビニロン繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリパラフェニレン繊維、ポリアリレート繊維、アラミド繊維、炭素繊維等がある。
補強材の形状としては、2軸や3軸、4軸等のメッシュ形状があるが、本発明に使用されるメッシュ状シートは、強度やコスト等の点から、ビニロン樹脂製三軸メッシュシート又はポリアミド樹脂製二軸メッシュシートが好ましい。メッシュシートを用いる場合、目合いは0.5〜10mmであることが好ましい。目合いが0.5mm以上であれば、断面修復材がメッシュシート内に浸透し、補強効果が得られる。10mm以下であれば、メッシュシートの目合いが大きすぎないため、剥落防止機能が十分に得られる。
補強材は公知であり、市場において容易に入手することができる。
<塩化ビニルシート>
本発明に用いられる塩化ビニルシートは、工程Dに用いられるものであり、断面修復部分を風雨や光などの外的因子から保護するものである。
塩化ビニルシートの厚さは10〜500μmであり、好ましくは10〜250μmである。厚さが10μm以上であれば断面修復部分を風雨や光などの外的因子から保護することが可能であり、500μm以下であればシートに柔軟性があるため、施工作業性に優れる。
塩化ビニルシートは、ふっ素処理されていてもよい。ふっ素処理塩化ビニルシートを用いることにより、耐候性をより高めることができる。
塩化ビニルシートは公知であり、市場において容易に入手することができる。
従来の中塗り塗料及び上塗り塗料に代えて塩化ビニルシートを用いることにより、塗膜の硬化のための時間が不要となり、補修期間を短縮することができる。
本発明の工法は、コンクリートの断面に防錆塗料を塗装する工程(工程A)を含む。
コンクリート断面は、好ましくは、はつり工及び素地調整がなされたコンクリート断面である。はつり工により、コンクリート構造物の劣化箇所を除去し、鉄筋の腐食部分を露出させる。尚、コンクリート構造物の劣化箇所を除去した部分を、打継部と呼ぶ。鉄筋の露出部分については、発錆部分を除去しておく。次に、打継部の表層の脆弱層や異物を除去して素地調整を行う。
防錆塗料は、公知の方法により塗装することができる。例えば、防錆塗料は、ハケやローラーを用いて塗装され得る。
防錆塗料の塗布量は、0.1〜10kg/m2であり、好ましくは0.25〜0.4kg/m2である。塗布量が0.1kg/m2以上であれば防錆塗膜として必要な膜厚を得ることができ、10kg/m2以下であれば膜厚が厚すぎず、塗膜が割れたりせず、また、防錆塗膜形成後の断面修復材の施工作業性にも優れる。
本発明はまた、塗装された防錆塗料に断面修復材を塗装する工程(工程B)を含む。
断面修復材は、公知の方法により塗装することができる。例えば、断面修復材は、コテやヘラを用いて塗装され得る。
断面修復材の塗布量は、コンクリート断面を補修するのに十分な量であれば、特に制限はない。
断面修復材は、好ましくは、防錆塗料が完全に硬化する前に、防錆塗料上に塗装される。防錆塗料が完全に硬化する前に断面修復材を塗装することにより、コンクリート断面の補修期間を短縮できる。尚、防錆塗料に含まれる溶剤は5質量%以下であるため、防錆塗料が溶剤を含む場合であっても、断面修復材中の充填材は、完全に硬化していない防錆塗料に含まれる溶剤により溶解されない。
本発明は、塗装した断面修復材に補強材を接着する工程(工程C)を含む。
断面修復材が接着剤として作用するため、補強材を直接断面修復材に貼り付けてもよい。あるいは、断面修復材上に接着剤を塗装してから補強材を貼り付けてもよい。接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂とアミン化合物とを混合したもの等が挙げられる。補強材の貼り付け又は接着剤の塗装は、断面修復材が完全に硬化する前に行われるのが好ましい。断面修復材が完全に硬化する前に補強材の貼り付け又は接着剤の塗装を行うことにより、コンクリート断面の補修期間を短縮できる。また、断面修復材が露出する時間が短いため、補強材の接着の妨げとなる断面修復材表面への砂塵の付着を抑えることができる。
本発明はまた、接着された補強材に塩化ビニルシートを接着する工程(工程D)を含む。塩化ビニルシートは、公知の方法により補強材に接着される。例えば、塩化ビニルシートは、接着剤を用いて補強材に接着される。
本発明の別の態様として、工程C及び工程Dに代えて、あらかじめ補強材と塩化ビニルシートとを接着して一体化したシートを準備し、一体化したシートを断面修復材に接着する工程(工程E)を含んでもよい。補強材と塩化ビニルシートとの接着及び一体化したシートと断面修復材との接着には、接着剤を用いてもよい。あらかじめ補強材と塩化ビニルシートとを接着して一体化したシートを準備しておくことにより、本発明の工法の工程数を減らすことができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
1.防錆塗料、断面修復材及びその他の材料
<防錆塗料>
防錆塗料の調製に用いた原料を以下に記す。
・エポキシ樹脂 商品名:jER 828(グリシジルエーテル型エポキシ樹脂)
(三菱化学(株)社製)
・ポリオール 商品名:URIC H-854(ポリエステルポリオール)
(数平均分子量800、1分子あたりの水酸基数3.0)
(伊藤製油社製)
・体質顔料 商品名:タルクS-D(平均粒子径20μm)
(日本タルク(株)社製)
・体質顔料 商品名:サイリシア350(平均粒子径3.9μm)
(富士シリシア社製)
・着色顔料(酸化鉄) 商品名:CHEMIRITE CK-100(平均粒子径0.6μm)
(ケミライト社製)
・着色顔料(酸化チタン)商品名:TITONE R-5N(平均粒子径0.26μm)
(堺化学工業(株)社製)
・防錆顔料(トリポリリン酸アルミニウム) 商品名:ZAP-1(Shih-Shong社製)
・レべリング剤 商品名:BYK-3441(BYK社製)
・反応触媒(ジブチルスズジラウレート)
・アミン化合物 商品名:Ancamide 2396 (テトラエチレンペンタミン)
(Air Products社製)
・ポリイソシアネート化合物 商品名:デュラネートAE700-100
(ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト変性体)
(旭化成ケミカルズ社製)
・有機溶媒(キシレン)
(防錆塗料1の調製)
表1の配合に従い、容器に、エポキシ樹脂42.5質量部、体質顔料(タルクS-D)29.75質量部、着色顔料(酸化鉄)8.5質量部、防錆顔料4.25質量部を順次仕込み、均一になるまで混合撹拌して、これを主剤とした。また、別途、硬化剤としてアミン化合物15質量部(上記エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して1.0当量の活性水素)を用意した。そして、使用直前に主剤と硬化剤とを混合撹拌することにより、有機溶剤を含まない防錆塗料1を得た。
(防錆塗料2の調製)
主剤に更に有機溶剤3質量部を加えた以外は防錆塗料1と同様の方法で、有機溶剤を2.9質量%含む防錆塗料2を得た。
(防錆塗料3の調製)
主剤に更に有機溶剤5質量部を加えた以外は防錆塗料1と同様の方法で、有機溶剤を4.8質量%含む防錆塗料3を得た。
(防錆塗料4の調製)(比較例)
主剤に更に有機溶剤6質量部を加えた以外は防錆塗料1と同様の方法で、有機溶剤を5.7質量%含む防錆塗料4を得た。
Figure 0006458995
(防錆塗料5の調製)
表2の配合に従い、容器に、ポリオール37.71質量部、体質顔料(サイリシア350)1.63質量部、着色顔料(酸化チタン)8.5質量部、防錆顔料4.25質量部、レべリング剤0.47質量部、反応触媒0.12質量部を順次仕込み、均一になるまで混合撹拌して、これを主剤とした。また、別途、硬化剤としてポリイソシアネート化合物49.5質量部(上記ポリオールの水酸基1当量に対して1.0当量のイソシアネート基)を用意した。そして、使用直前に主剤と硬化剤とを混合撹拌することにより、有機溶剤を含まない防錆塗料5を得た。
(防錆塗料6の調製)
主剤に更に有機溶剤3質量部を加えた以外は防錆塗料5と同様の方法で、有機溶剤を2.9質量%含む防錆塗料6を得た。
(防錆塗料7の調製)
主剤に更に有機溶剤5質量部を加えた以外は防錆塗料5と同様の方法で、有機溶剤を4.7質量%含む防錆塗料7を得た。
(防錆塗料8の調製)(比較例)
主剤に更に有機溶剤6質量部を加えた以外は防錆塗料5と同様の方法で、有機溶剤を5.5質量%含む防錆塗料8を得た。
Figure 0006458995
<断面修復材>
断面修復材の調製に用いた原料を以下に記す。
・エポキシ樹脂 商品名:jER 828(グリシジルエーテル型エポキシ樹脂)
(三菱化学(株)社製)
・ポリオール 商品名:URIC H-854(ポリエステルポリオール)
(数平均分子量800、1分子あたりの水酸基数3.0)
(伊藤製油社製)
・発泡ポリスチレン粒子 (平均粒子径6mm、真密度 0.021g/cm3
(株)大創産業社製)
・発泡ポリスチレン粒子 (平均粒子径1mm、真密度 0.021g/cm3
(株)大創産業社製)
・宇部珪砂 3号A (平均粒子径0.8〜3.3mm、真密度 2.6g/cm3
宇部サンド工業(株)社製)
・体質顔料 商品名:タルクS-D(平均粒子径20μm)
(日本タルク社(株)製)
・体質顔料 商品名:サイリシア350(平均粒子径3.9μm)
(富士シリシア社製)
・着色顔料(酸化チタン) 商品名:TITONE R-5N(平均粒子径0.26μm)
(堺化学工業(株)社製)
・アミン化合物 商品名:Ancamide 2396 (テトラエチレンペンタミン)
(Air Products社製)
・ポリイソシアネート化合物 商品名:デュラネートAE700-100
(ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト変性体)
(旭化成ケミカルズ社製)
・着色顔料(黒鉛) 商品名:土状黒鉛特微粉 (西村黒鉛(株)社製)
・着色顔料(黄色酸化鉄) 商品名:タロックス LL-XLO(チタン工業(株)社製)
・有機溶媒(キシレン)
(断面修復材1の調製)
表3の配合に従い、容器に、エポキシ樹脂48質量部、発泡ポリスチレン粒子(平均粒子径6mm)6質量部、体質顔料(タルクS-D)11質量部、着色顔料(酸化チタン)3.8質量部を順次仕込み、均一になるまで混合撹拌して、これを主剤とした。また、別容器に、アミン化合物22質量部(上記エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して1.0当量の活性水素)、体質顔料(タルクS-D)9質量部、着色顔料(黒鉛)0.1質量部、着色顔料(黄色酸化鉄)0.1質量部を順次仕込み、均一になるまで混合撹拌して、これを硬化剤混合物とした。そして、使用直前に主剤と硬化剤混合物とを混合撹拌することにより、有機溶剤を含まない断面修復材1を得た。
(断面修復材2の調製)
発泡ポリスチレン粒子(平均粒子径6mm)6質量部に代えて発砲ポリスチレン粒子(平均粒子径1mm)6質量部を用いた以外は断面修復材1と同様にして、有機溶剤を含まない断面修復材2を得た。
(断面修復材3の調製)
発泡ポリスチレン粒子(平均粒子径6mm)6質量部に代えて発泡ポリスチレン粒子(平均粒子径6mm)4質量部及び発砲ポリスチレン粒子(平均粒子径1mm)2質量部を用いた以外は断面修復材1と同様にして、有機溶剤を含まない断面修復材3を得た。
(断面修復材4の調製)
硬化剤混合物に更に有機溶剤3質量部を加えた以外は断面修復材1と同様の方法で、有機溶剤を2.9質量%含む断面修復材4を得た。
(断面修復材5の調製)
硬化剤混合物に更に有機溶剤5質量部を加えた以外は断面修復材1と同様の方法で、有機溶剤を4.8質量%含む断面修復材5を得た。
(断面修復材6の調製)(比較例)
硬化剤混合物に更に有機溶剤6質量部を加えた以外は断面修復材1と同様の方法で、有機溶剤を5.7質量%含む断面修復材6を得た。
(断面修復材7の調製)(比較例)
発泡ポリスチレン粒子(平均粒子径6mm)6質量部に代えて宇部珪砂3号Aを6質量部用いた以外は断面修復材1と同様にして、断面修復材7を得た。
(断面修復材8の調製)(比較例)
使用直前に、住友大阪セメント株式会社製NEWリフレモルセット(パウダー(セメント):80.6質量部、ポリマー(エマルション):8.6質量部、水:10.8質量部)を混合し、断面修復材8を調製した。
Figure 0006458995
(断面修復材9の調製)
表4の配合に従い、容器に、ポリオール37.71質量部、発泡ポリスチレン粒子(平均粒子径6mm)6質量部、体質顔料(サイリシア350)11質量部、着色顔料(酸化チタン)3.8質量部を順次仕込み、均一になるまで混合撹拌して、これを主剤とした。また、別容器に、ポリイソシアネート化合物49.5質量部(上記ポリオールの水酸基1当量に対して1.0当量のイソシアネート基)、体質顔料(タルクS-D)9質量部、着色顔料(黒鉛)0.1質量部、着色顔料(黄色酸化鉄)0.1質量部を順次仕込み、均一になるまで混合撹拌して、これを硬化剤混合物とした。そして、使用直前に主剤と硬化剤混合物とを混合撹拌することにより、有機溶剤を含まない断面修復材9を得た。
(断面修復材10の調製)
発泡ポリスチレン粒子(平均粒子径6mm)6質量部に代えて発砲ポリスチレン粒子(平均粒子径1mm)6質量部を用いた以外は断面修復材9と同様にして、有機溶剤を含まない断面修復材10を得た。
(断面修復材11の調製)
硬化剤混合物に更に有機溶剤5質量部を加えた以外は断面修復材9と同様の方法で、有機溶剤を4.1質量%含む断面修復材11を得た。
(断面修復材12の調製)(比較例)
硬化剤混合物に更に有機溶剤7質量部を加えた以外は断面修復材1と同様の方法で、有機溶剤を5.6質量%含む断面修復材12を得た。
Figure 0006458995
<ボンド(接着剤)>
使用する直前に、エポキシ樹脂(jER 828(三菱化学(株)社製))42.5質量部とアミン化合物(Ancamide 2396 (Air Products社製))15質量部を混合し、ボンドを調製した。
<メッシュシート>
メッシュシートとして、ポリアミド2軸メッシュシート(商品名:KSMシート、キョウワ(株)社製、目の大きさ(目合い)は1辺3mm。)を使用した。
<塩ビシート、ふっ素処理塩ビシート>
塩ビシートとして、住友3M社製スコッチカルフィルムJシリーズ(フィルム厚:80μm(接着層含む。))を使用した。尚、シートの色はコンクリートと同様の色になるよう選定した。
ふっ素処理塩ビシートとして、住友3M社製スコッチカルフィルムJS1000XLシリーズ(フィルム厚:80μm(接着層含む。))を使用した。尚、シートの色はコンクリートと同様の色になるよう選定した。
<ポリアミド2軸メッシュシート入り塩ビシート>
ポリアミド2軸メッシュシート(商品名:KSMシート、キョウワ(株)社製)と塩ビシート(住友3M社製スコッチカルフィルムJシリーズ)を上記ボンドで接着させて、ポリアミド2軸メッシュシート入り塩ビシートを作製した。
<ポリアミド2軸メッシュシート入りふっ素処理塩ビシート>
ポリアミド2軸メッシュシート(商品名:KSMシート、キョウワ(株)社製)とふっ素処理塩ビシート(住友3M社製スコッチカルフィルムJS1000XLシリーズ)を上記ボンドで接着させて、ポリアミド2軸メッシュシート入りふっ素処理塩ビシートを作製した。
<中塗り塗料1>
溶剤系エポキシ樹脂塗料(商品名: レジガード#100中塗り、大日本塗料株式会社製)
<上塗り塗料1>
溶剤系ウレタン樹脂塗料(商品名:レジガード#100上塗り、大日本塗料株式会社製)
2.コンクリート剥落防止工法の施工(実施例1〜17、比較例1〜7)
(実施例1)
(1)はつり工、素地調整
施工後約10年経過したコンクリート構造物において、ひび割れ、剥落等で劣化した箇所をハンマーやカップワイヤー、ブラスト法等を用いて除去し、鉄筋の腐食部分を全面露出させた。鉄筋の露出部分については、更にワイヤーブラシ等で発錆部分を除去した。
次に、前記打継部の周辺をディスクサンダー(#20研磨ディスク)で研磨し、表層の脆弱層や異物を除去した。
(2)鉄筋防錆施工・打継施工(工程A)
はつり工後の鉄筋露出部及び打継部に、ハケやローラーを用いて、防錆塗料1を0.25kg/m2の塗布量で塗装した。
(3)断面修復(工程B)
防錆塗料1を塗装後、完全に硬化する前に、コテやヘラを用いて、防錆塗料1上に断面修復材1を1.0kg/m2の塗布量で塗装した。
(4)FRP処理(工程C)
断面修復材1を塗装後、完全に硬化する前に、断面修復材1上にボンドを塗装し、ポリアミド2軸メッシュシートを貼り付けた。
(5)仕上げ処理(工程D)
更に、ポリアミド2軸メッシュシート上にボンドを塗装し、塩ビシートを貼り付け、最後に断面修復材1を硬化させた。
(実施例2)
工程Aにおいて防錆塗料1に代えて防錆塗料2を用いた以外は実施例1と同様にして施工した。
(実施例3)
工程Aにおいて防錆塗料1に代えて防錆塗料3を用いた以外は実施例1と同様にして施工した。
(実施例4)
工程Bにおいて断面修復材1に代えて断面修復材2を用いた以外は実施例1と同様にして施工した。
(実施例5)
工程Bにおいて断面修復材1に代えて断面修復材3を用いた以外は実施例1と同様にして施工した。
(実施例6)
工程Bにおいて断面修復材1に代えて断面修復材4を用いた以外は実施例1と同様にして施工した。
(実施例7)
工程Bにおいて断面修復材1に代えて断面修復材5を用いた以外は実施例1と同様にして施工した。
(実施例8)
工程Dにおいて塩ビシートに代えてふっ素処理塩ビシートを用いた以外は実施例1と同様にして施工した。
(実施例9)
工程C及びDに代えて、断面修復材1を塗装後、完全に硬化する前に、断面修復材1上にボンドを塗装し、ポリアミド2軸メッシュシート入り塩ビシートを貼り付けた(工程E)以外は実施例1と同様にして施工した。その際、塩ビシートが、外側に位置し、ポリアミド2軸メッシュシートがボンドによって断面修復材1に接着するように貼り付けた。
(実施例10)
ポリアミド2軸メッシュシート入り塩ビシートに代えてポリアミド2軸メッシュシート入りふっ素処理塩ビシートを用いた以外は実施例9と同様にして施工した。その際、ふっ素処理塩ビシートが、外側に位置し、ポリアミド2軸メッシュシートがボンドによって断面修復材1に接着するように貼り付けた。
(比較例1)
工程Aにおいて防錆塗料1に代えて有機溶剤を5.7質量%含む防錆塗料4を用いた以外は実施例1と同様にして施工した。
(比較例2)
工程Bにおいて断面修復材1に代えて有機溶剤を5.7質量%含む断面修復材6を用いた以外は実施例1と同様にして施工した。
(比較例3)
工程Bにおいて断面修復材1に代えて真密度2.6g/cm3の充填材を含む断面修復材7を用いた以外は実施例1と同様にして施工した。
(比較例4)
(1)はつり工、素地調整
実施例1と同様に行った。
(2)鉄筋防錆施工・打継施工
実施例1と同様に行った。
(3)断面修復
断面修復において、防錆塗料1の塗膜を乾燥・硬化させた後、コテやヘラを用いて、防錆塗料1上に既製品の断面修復材8を14kg/m2の塗布量で塗装し、24時間養生した。
(4)FRP処理
養生後、断面修復材8上にボンドを塗装し、ポリアミド2軸メッシュシートを貼り付け、24時間静置した。
(5)仕上げ処理(工程D’)
断面修復材8の塗膜を乾燥・硬化させた後、ポリアミド2軸メッシュシート上に中塗り塗料1を0.4kg/m2の塗布量で塗装した。室温で24時間静置した後、中塗り塗料1上に上塗り塗料1を0.3kg/m2の塗布量で塗装した。上塗り塗料を塗装後、室温で24時間静置させ、塗膜を硬化させた。
(比較例5)
(1)はつり工、素地調整
実施例1と同様に行った。
(2)鉄筋防錆施工・打継施工
実施例1と同様に行った。
(3)断面修復
比較例4と同様に行った。
(実施例11)
工程Aにおいて防錆塗料1に代えて防錆塗料5を用い、且つ、工程Bにおいて断面修復材1に代えて断面修復材9を用いた以外は実施例1と同様にして施工した。
(実施例12)
工程Aにおいて防錆塗料5に代えて防錆塗料6を用いた以外は実施例11と同様にして施工した。
(実施例13)
工程Aにおいて防錆塗料5に代えて防錆塗料7を用いた以外は実施例11と同様にして施工した。
(実施例14)
工程Bにおいて断面修復材9に代えて断面修復材10を用いた以外は実施例11と同様にして施工した。
(実施例15)
工程Bにおいて断面修復材9に代えて断面修復材11を用いた以外は実施例11と同様にして施工した。
(比較例6)
工程Aにおいて防錆塗料5に代えて有機溶剤を5.5質量%含む防錆塗料8を用いた以外は実施例11と同様にして施工した。
(比較例7)
工程Bにおいて断面修復材9に代えて有機溶剤を5.6質量%含む断面修復材12を用いた以外は実施例11と同様にして施工した。
(実施例16)
工程Bにおいて断面修復材1に代えて断面修復材9を用いた以外は実施例1と同様にして施工した。
(実施例17)
工程Aにおいて防錆塗料1に代えて防錆塗料5を用いた以外は実施例1と同様にして施工した。
<試験及び評価方法>
各試験方法及び評価方法は、以下のように行った。結果を表5〜7に示す。
<剥落防止性能>
JIS A5372:2000に規定するU形ふた、呼び名1種300(400×600×60mm)を使用し、表5及び表6に示す塗装仕様に従い施工を行った。試験は首都高速道路株式会社 保全施設部コンクリート片剥落防止対策要領(案)平成15年5月版に準拠し行った。以下の評価基準により評価した。
・耐荷性
○:φ10cmあたりの押抜き荷重1.5kN以上。
×:φ10cmあたりの押抜き荷重1.5kN未満。
・伸び性能
○:押抜き試験において10mm以上の変位がある。
×:押抜き試験において10mm以上の変位がない。
<外観>
実施例1〜17、比較例1〜7のコンクリート剥落防止施工箇所の外観を目視で評価した。
○:均一な修復面が得られており、良好な外観が得られている。
×:修復面が均一でなく、外観不良である。
Figure 0006458995
Figure 0006458995
Figure 0006458995
実施例1〜17の結果から、本発明の工法は、コンクリート片剥落防止施工を1日で可能にし、更に実用性に耐えうる性能を有することが認められた。また、実施例9及び10に示すような工夫を行うことで、更なる工程短縮が可能であることが認められた。
また、比較例1及び6のように、5質量%を超える量の有機溶剤を含む防錆塗料を用いて、1日で施工を行った場合、溶剤が十分に揮発していない状態で、断面修復材を塗装する必要があるが、この場合、防錆塗膜中に残存する溶剤が断面修復材に含まれる充填剤を軟化させ、十分な剥落防止性能が得られず、また、施工後の外観が悪かった。しかしながら、防錆塗膜中に残存する溶剤を十分に揮発させるためには、断面修復材を塗装する前に溶剤の揮発のための時間を設ける必要があり、施工時間が長くなる。
比較例2及び7では、断面修復材に5質量%を超える有機溶剤を含むため、主剤と硬化剤混合物を混合した後、発泡ポリスチレン粒子が軟化した。そのため、比較例2及び7では、断面修復材が十分な機能を有さず、コンクリート剥落防止性能が十分得られず、また、施工後の外観が悪かった。
比較例3では、真密度の大きい充填材を使用した。この場合、剥落防止性能は得られるが、断面修復材の塗装性が悪く、修復面が平滑にならなかった。
比較例4のような従来の断面修復材を用いた工法では施工日数が4日となり、短時間での施工は困難であった。また、比較例5のように、従来の工法を用いて1日で施工した場合、FRP処理及び仕上げ処理を行うことができず、剥落防止性能が得られない結果となった。
本発明のコンクリートの断面修復及び剥落防止工法は、橋脚、橋台、桁、床版、道路、壁、屋根の各種コンクリート構造物において有用である。

Claims (7)

  1. コンクリートの断面修復及び剥落防止工法であって、以下の工程A〜工程D
    (工程A) コンクリートの断面に防錆塗料を塗装し、防錆塗膜を形成する工程
    (工程B) 工程Aで得られた防錆塗膜表面に断面修復材を塗装し、断面修復層を
    形成する工程
    (工程C) 工程Bで得られた断面修復層に補強材を接着する工程、及び
    (工程D) 前記接着された補強材に塩化ビニルシートを接着する工程、
    を含み、
    前記防錆塗料が、防錆顔料若しくは/及び防錆剤と、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂と反応する硬化剤とを含むエポキシ樹脂塗料(A1)、又は防錆顔料若しくは/及び防錆剤と、ポリオールと、ポリオールと反応してポリウレタン樹脂を形成する硬化剤とを含むポリウレタン樹脂塗料(A2)であり、且つ前記防錆塗料における有機溶剤の含有量が0〜5質量%であり、
    前記断面修復材が、0.01〜1.20g/cm3の真密度を有する充填材と、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂と反応する硬化剤とを含むエポキシ樹脂塗料(B1)、又は0.01〜1.20g/cm3の真密度を有する充填材と、ポリオールと、ポリオールと反応してポリウレタン樹脂を形成する硬化剤とを含むポリウレタン樹脂塗料(B2)であり、且つ前記断面修復材における有機溶剤の含有量が0〜5質量%であることを特徴とする工法。
  2. コンクリートの断面修復及び剥落防止工法であって、以下の工程A、工程B及び工程E
    (工程A) コンクリートの断面に防錆塗料を塗装し、防錆塗膜を形成する工程
    (工程B) 工程Aで得られた防錆塗膜表面に断面修復材を塗装し、断面修復層を
    形成する工程、及び
    (工程E) 工程Bで得られた断面修復層に、補強材と塩化ビニルシートとを接着して一体化したシートを接着する工程、
    を含み、
    前記防錆塗料が、防錆顔料若しくは/及び防錆剤と、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂と反応する硬化剤とを含むエポキシ樹脂塗料(A1)、又は防錆顔料若しくは/及び防錆剤と、ポリオールと、ポリオールと反応してポリウレタン樹脂を形成する硬化剤とを含むポリウレタン樹脂塗料(A2)であり、且つ前記防錆塗料における有機溶剤の含有量が0〜5質量%であり、
    前記断面修復材が、0.01〜1.20g/cm3の真密度を有する充填材と、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂と反応する硬化剤とを含むエポキシ樹脂塗料(B1)、又は0.01〜1.20g/cm3の真密度を有する充填材と、ポリオールと、ポリオールと反応してポリウレタンを形成する硬化剤とを含むポリウレタン樹脂塗料(B2)であり、且つ前記断面修復材における有機溶剤の含有量が0〜5質量%であることを特徴とする工法。
  3. 前記充填材が、0.5〜10mmの平均粒子径を有する、請求項1又は2に記載の工法。
  4. 前記充填材が、発泡ポリスチレン粒子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の工法。
  5. 前記塩化ビニルシートが、ふっ素処理塩化ビニルシートである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の工法。
  6. 請求項1又は2に記載の工法に用いるための断面修復材であって、0.01〜1.20g/cm3の真密度を有する充填材と、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂と反応する硬化剤とを含み、且つ前記断面修復材に対して有機溶剤の含有量が0〜5質量%であることを特徴とする断面修復材。
  7. 請求項1又は2に記載の工法に用いるための断面修復材であって、0.01〜1.20g/cm3の真密度を有する充填材と、ポリオールと、ポリオールと反応してポリウレタンを形成する硬化剤とを含み、且つ前記断面修復材に対して有機溶剤の含有量が0〜5質量%であることを特徴とする断面修復材。
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