JP6437322B2 - ウレタン樹脂塗料組成物及びコンクリート基材の保護方法 - Google Patents
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Description
(1)下塗り塗装:コンクリート基材にエポキシ樹脂塗料を塗装し、下塗り塗膜を形成しコンクリート基材の空隙を埋める工程。
(2)パテ塗装:下塗り塗膜に顔料を多く含むエポキシ樹脂塗料を塗装し、パテ層を形成し、表面を平滑にする工程。
(3)中塗り塗装:パテ層に中塗り塗料を塗装し、防食性が付与できる連続層として中塗り塗膜を形成する工程。ここで、中塗り塗料としては、エポキシ樹脂塗料を使用する場合が多い。
(4)上塗り塗装:中塗り塗膜に上塗り塗料を塗装する工程。
温度35℃及び相対湿度90%の雰囲気下で、前記ウレタン樹脂塗料組成物から膜厚300μmの塗膜を形成した場合、該塗膜の可視光透過率が30%以上であることを特徴とする。
R=(塗膜形成成分の質量)×100/(塗料組成物の質量)
高温高湿度になるに従い、イソシアネート基と空気中に存在する水の反応によって二酸化炭素が発生しやすく、可視光透過性が低くなる傾向がある。そのため、温度35℃及び相対湿度90%の条件で透明性のある塗膜が得られれば、気温10〜30℃、相対湿度80%以下の条件で塗装しても、透明性のある塗膜が形成できると推測できる。
n=Mn(g/mol)×OHV(mgKOH/g)/56110
ここで、水酸基価とは、試料1g中の遊離水酸基を無水酢酸で完全にアセチル化した後、それを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。また、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されるポリスチレン換算した数平均分子量である。
ポリオールの数平均分子量が300未満であると、不粘着性が十分な塗膜が得られないため好ましくない。また、数平均分子量が10,000を超えると塗装作業性が不良となるため好ましくない。
ポリオール1分子あたりの水酸基の数が2.3未満であり、且つポリオールの水酸基に対するイソシアネート基が0.5〜1.5当量の場合、塗膜の不粘着性が十分な塗膜が得られないため好ましくない。また、1分子あたりの水酸基の数が9.0を超え、且つポリオールの水酸基に対するイソシアネート基が0.5〜1.5当量である場合、コンクリートのひび割れに対する追従性が十分でなく、塗膜の耐久性が得られない。また、二酸化炭素が発生した際に気泡が塗膜内を移動できずに泡が残存してしまい、基材の可視性にも優れない。
混合器にURIC H−854(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量800、水酸基価215、1分子あたりの水酸基の数3.0、粘度800mPa・s)を90質量部投入し、これにBYK−3441(BYK社製レベリング剤)を1.0質量部、BYK−A535(BYK社製消泡剤)を2.0質量部、及びジブチルスズジラウレート(反応触媒)を0.25質量部、それぞれ攪拌環境下で徐々に投入し20分間攪拌を行い、主剤1を調製した。
混合器にURIC H−854を90質量部、AEROSIL R972(デグサ社製シリカ、平均粒子径0.02μm)を1.0質量部順次投入し、ペイントコンディショナーを用いて1時間練合し、続いてBYK−3441を1.0質量部、BYK−A535を2.0質量部、及びジブチルスズジラウレートを0.25質量部、それぞれ攪拌環境下で徐々に投入しさらに20分間攪拌を行い、主剤2を調製した。
上記主剤2の調製方法と同様に、以下の表1に示す配合処方に従って主剤3〜24を調製した。なお、主剤5〜7において、有機溶剤は練合前に投入した。
(注2)MC−K(丸尾カルシウム社製炭酸カルシウム、平均粒子径0.05μm)
(注3)バリファインBF−20(堺化学社製硫酸バリウム、平均粒子径0.03μm)
(注4)URIC H−81(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量500、水酸基価340、1分子あたりの水酸基の数3.0、粘度1,200mPa・s)
(注5)URIC H−102(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量880、水酸基価320、1分子あたりの水酸基の数5.0、粘度1,100mPa・s)
(注6)URIC H−368(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量700、水酸基価200、1分子あたりの水酸基の数2.5、粘度1,300mPa・s)
(注7)URIC F−40(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量700、水酸基価240、1分子あたりの水酸基の数3.0、粘度3,900mPa・s)
(注8)URIC HF−2009(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量2,550、水酸基価44、1分子あたりの水酸基の数2.0、粘度1,500mPa・s)
(注9)URIC H−1830(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量1,600、水酸基価77、1分子あたりの水酸基の数2.2、粘度1,100mPa・s)
(注10)アクリディック WTU−152(DIC社製ポリオールワニス、加熱残分66質量%、数平均分子量5,100、水酸基価100、1分子あたりの水酸基の数9.1、加熱残分の粘度は100,000mPa・sを超える)
先に調製した主剤1 43.5質量部にデュラネートAE700−100(旭化成ケミカルズ社製ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト変性体、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合11.9質量%、粘度800mPa・s)56.5質量部を混合撹拌し、塗料組成物1を調製した。ポリオールの水酸基に対するイソシアネート基は1.0当量、塗料組成物1の塗膜形成成分の割合は98.5質量%、23℃におけるせん断速度0.1s−1の粘度は2.2Pa・s、せん断速度1,000s−1の粘度は1.2Pa・sであった。
上記塗料組成物1の調製方法と同様に、表2〜6に示す配合処方に従って塗料組成物2〜72を調製した。各塗料組成物の塗膜形成成分の割合や23℃における粘度は表2〜6に示す通りであった。
(注12)デュラネートTSE−100(旭化成ケミカルズ社製ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合12.0質量%、粘度1,650mPa・s)
(注13)デスモジュールXP2580(バイエル社製ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート変性体、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合20.0質量%、粘度500mPa・s)
(注14)デュラネートTSA−100(旭化成ケミカルズ社製ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合20.6質量%、粘度500mPa・s)
(注15)デュラネートTPA−100(旭化成ケミカルズ社製ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合23.1質量%、粘度1,400mPa・s)
(注16)デスモジュールN3400(バイエル社製ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン変性体、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合21.8質量%、粘度175mPa・s)
(注17)デスモジュールN3900(バイエル社製ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合23.5質量%、粘度730mPa・s)
該塗料組成物1〜72の塗装作業性、タレ限界、発泡性、耐溶剤性、不粘着性、可視光透過率、基材可視性、伸び性、耐候性を測定及び評価した。結果を表2〜6に示す。
コンクリート基材の水平面に、調製した塗料組成物を膜厚300μmとなるように刷毛で塗装し、下記の基準に従って評価した。
〇:塗料組成物を容易に塗りつけられ、均一に仕上がる。
×:塗料組成物を容易に塗りつけられない、または均一に仕上がらない。
ポリプロピレン板(厚み150mm、幅70mm)の垂直面に、調製した塗料組成物を刷毛でタレが生じるまで塗装し、温度23℃相対湿度50%で168時間乾燥させた後、基材上端から20mmの位置の膜厚をタレ限界とした。なお、膜厚は塗膜を基材から剥離し、ノギスを用いて測定した。
ガラス板に調製した塗料組成物を膜厚300μmとなるように刷毛で塗装し、温度35℃相対湿度90%で168時間乾燥させた塗膜について、基材まで泡のない連続膜が得られている塗膜の表面積が占める割合を求め、その割合について下記の基準に従って評価した。
◎:90%以上である。
○:50%以上で且つ90%未満である。
×:50%未満である。
ガラス板に調製した塗料組成物を膜厚300μmとなるように刷毛で塗装し、温度35℃相対湿度90%で168時間乾燥させた塗膜にキシレンを滴下し、ラビングテストを行って、下記の基準に従って評価した。
〇:塗膜変状なし。
×:塗膜が溶解する。
ガラス板に調製した塗料組成物を膜厚300μmとなるように刷毛で塗装し、温度35℃相対湿度90%で168時間乾燥させた塗膜に砂を撒き、刷毛で払い落とした際に塗膜に砂が残存するかを観察し、下記の基準に従って評価した。
〇:砂が残存しない。
×:砂が残存する。
ポリプロピレン板に調製した塗料組成物を膜厚300μmとなるように刷毛で塗装し、温度35℃相対湿度90%で168時間乾燥させた塗膜をポリプロピレン板から剥離した。剥離した塗膜から50mm×50mmの試験片を切り出した。サカタインクス株式会社製マクベス分光光度計CE−3100を用いて、JIS K 7375に基づき、該試験片の全光線透過率を測定した。具体的には、360nm〜750nmまで10nm置きに全光線透過率を測定し、得られた40データの合計を、データ数で割った値を可視光透過率とした。
ただし、耐溶剤性または不粘着性が不良であった試験体については、評価を行わなかった。
コンクリート基材に調製した塗料組成物を膜厚300μmとなるように刷毛で塗装し、温度35℃相対湿度90%で168時間乾燥させた試験体について、目視で観察し、下記の基準に従って評価を行った。
◎:基材表面を鮮明に確認できる。
〇:鮮明ではないものの基材表面を確認することが出来る。
×:基材表面を確認することが出来ない。
JSCE−K 532−2010に基づき作製した基板に、調製した塗料組成物を刷毛で膜厚300μmとなるように塗装し、気温23℃相対湿度50%の条件で28日乾燥させた試験体について、島津製作所社製オートグラフAG−100KN I型を用いJSCE−K 532−2010に定められた試験条件で引っ張り試験を行って、下記の基準に従って評価を行った。
◎:塗膜の破断距離が0.9mm以上
〇:塗膜の破断距離が0.6mm以上で且つ0.9mm未満
×:塗膜の破断距離が0.6mm未満
ただし、耐溶剤性または不粘着性が不良であった試験体については、評価を行わなかった。
ポリプロピレン板に調製した塗料組成物を膜厚300μmとなるように刷毛で塗装し、気温23℃相対湿度50%の条件で168時間乾燥させた試験体について岩崎電気社製EYE SUPER UV TESTER SUV−W23を用い400時間の照射試験を行った。照射試験後、剥離した塗膜から50mm×50mmの試験片を切り出した。サカタインクス社製マクベス分光光度計CE−3100を用いて、JIS K 7375に基づき、該試験片の全光線透過率を測定した。具体的には、360nm〜750nmまで10nm置きに全光線透過率を測定し、得られた40データの合計を、データ数で割った値を可視光透過率とし、これを耐久性(耐候性)試験の評価結果とした。
ただし、耐溶剤性または不粘着性が不良であった試験体については、評価を行わなかった。
Claims (9)
- 塗料組成物中に占める塗膜形成成分の割合が70質量%以上であり、数平均分子量が300〜10,000であり且つ1分子あたりの水酸基の数が2.3〜9.0であるポリオールと、イソシアネート基の割合が10.0〜20.0質量%であるポリイソシアネートとを含み、ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対するイソシアネート基が0.5〜1.5当量であり、さらに塗膜形成成分中に占める体質顔料の割合が0〜10.0質量%であるウレタン樹脂塗料組成物であって、
温度35℃および相対湿度90%の雰囲気下で、前記ウレタン樹脂塗料組成物から膜厚300μmの塗膜を形成した場合、該塗膜の可視光透過率が30%以上であることを特徴とするウレタン樹脂塗料組成物。 - 前記ポリオールおよび前記ポリイソシアネートが、それぞれ23℃での粘度が100,000mPa・s以下の液体であることを特徴とする請求項1に記載のウレタン樹脂塗料組成物。
- 前記塗料組成物の、せん断速度0.1s−1の粘度が0.1〜10,000Pa・sであり、且つせん断速度1,000s−1の粘度が0.05〜10Pa・sであることを特徴とする請求項1又は2に記載のウレタン樹脂塗料組成物。
- 温度35℃および相対湿度90%の雰囲気下で、前記ウレタン樹脂塗料組成物から膜厚300μmの塗膜を形成した場合、該塗膜の可視光透過率が60%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のウレタン樹脂塗料組成物。
- 前記体質顔料の平均粒子径が1μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のウレタン樹脂塗料組成物。
- 前記体質顔料が炭酸カルシウム、シリカ、および硫酸バリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のウレタン樹脂塗料組成物。
- 2液硬化形塗料組成物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のウレタン樹脂塗料組成物。
- コンクリート基材上に、塗膜を形成するコンクリート基材の保護方法であって、塗膜を形成する塗料が、請求項1〜7のいずれかに記載のウレタン樹脂塗料組成物であることを特徴とするコンクリート基材の保護方法。
- 1回の塗装で100μm以上の膜厚で塗膜を形成することを特徴とする請求項8に記載のコンクリート基材の保護方法。
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