JP6148713B2 - 複層膜の形成方法 - Google Patents

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本発明は、複層膜の形成方法に関し、特には鱗片状金属顔料を含む弱溶剤系塗料組成物による塗装であってもムラなく高輝度な金属調塗膜を形成することができ、これにより、複層膜を構成するすべての塗膜を弱溶剤系塗料組成物から形成可能である複層膜の形成方法に関するものである。
高輝度で高意匠の塗膜を形成できるメタリック塗料は、自動車、家庭用電化製品、事務機器、玩具の他、建築物や構築物といった構造物等に幅広く利用されている。メタリック塗料は、一般的にアルミ等の鱗片状の金属顔料が配合されるが、この鱗片状金属顔料が基材に対して平行に配列された状態で塗膜中に存在していると、高輝度な塗膜となる。
また、既に建築・建設された構造物を塗り替える場合、環境への配慮や幅広い下地選択性の観点から弱溶剤系塗料による塗装が好適であるものの、メタリック塗料を弱溶剤系塗料として使用するには十分な検討がなされていない。例えば、特開平5−253536号公報(特許文献1)、特開昭59−196370号公報(特許文献2)及び特開平7−310419号公報(特許文献3)は、構造物の塗装に好適な各種メタリック塗料を記載するものの、いずれのメタリック塗料においても強溶剤が使用されている。
特開平5−253536号公報 特開昭59−196370号公報 特開平7−310419号公報
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、鱗片状金属顔料を含む弱溶剤系塗料組成物による塗装であってもムラなく高輝度な金属調塗膜を形成することができ、これにより、複層膜を構成するすべての塗膜を弱溶剤系塗料組成物から形成可能である複層膜の形成方法を提供することにある。
本発明者は、鱗片状金属顔料を含む弱溶剤系塗料組成物による塗装について検討したところ、金属調塗膜にムラが出てしまい、輝度を低下させる問題があった。特に、刷毛塗装やローラー塗装により基材上に塗布すると、ムラの発生、輝度の低下が確認される。鱗片状金属顔料を平行に配列させる最も一般的な方法は、スプレー塗装により鱗片状金属顔料の配向を制御する方法であるが、既に建築・建設された構造物の塗り替えの用途までを考慮すると、スプレー塗装では塗料の飛散も大きいため、刷毛やローラーを用いて塗装を行う際にもムラなく高輝度な金属調塗膜を形成できることが望まれる。
本発明者は、更に、鱗片状金属顔料を含む弱溶剤系塗料組成物を用いた場合に起こる塗膜のムラの原因について検討したところ、弱溶剤中における鱗片状金属顔料は、キシレンやトルエン等の強溶剤中での鱗片状金属顔料と比べて、自由度が高く、配向の制御が困難になり、塗膜のムラが発生するものと推定される。
このような状況下、本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、弱溶剤系塗料組成物中に、鱗片状金属顔料を高含有量で配合することによって、刷毛やローラーを用いて塗装を行う際にもムラなく高輝度な金属調塗膜を形成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。なお、塗料組成物中での鱗片状金属顔料の割合が高くなると、塗膜のつやを低下させることが知られており、金属調塗膜を形成する目的で塗料組成物を調製する際には鱗片状金属顔料の割合を低くする傾向にあるため、本発明が奏する効果は驚くべきものである。
即ち、本発明の複層膜の形成方法は、基材表面をエポキシ樹脂系塗料組成物で塗装して第1塗膜を形成させる工程と、該第1塗膜をエナメル塗料組成物で塗装して第2塗膜を形成させる工程と、該第2塗膜をメタリック塗料組成物で塗装して第3塗膜を形成させる工程とを含む複層膜の形成方法であって、
前記エポキシ樹脂塗料組成物が、エポキシ樹脂及び有機溶剤を含み、
前記エナメル塗料組成物が、着色顔料及び有機溶剤を含み、
前記メタリック塗料組成物が、鱗片状金属顔料及び有機溶剤を含み、該メタリック塗料組成物中における不揮発分の含有量が35〜50質量%であり、かつ、該不揮発分中の鱗片状金属顔料の含有量が15〜40質量%であり、
前記エポキシ樹脂塗料組成物、エナメル塗料組成物及びメタリック塗料組成物に含まれる有機溶剤が、JIS K 2256に規定される混合アニリン点又はアニリン点が12〜70℃の範囲内にある弱溶剤を50質量%以上含むことを特徴とする。
本発明の複層膜の形成方法の好適例においては、前記鱗片状金属顔料が、表面樹脂層を備えたアルミニウム顔料である。
本発明の複層膜の形成方法の他の好適例においては、前記メタリック塗料組成物が、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有アクリルシリコーン樹脂及び水酸基含有ふっ素樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種のポリオール、鱗片状金属顔料及び有機溶剤を少なくとも含む主剤と、ポリイソシアネートを少なくとも含む硬化剤とを含む2液型の塗料組成物である。
本発明の複層膜の形成方法の他の好適例においては、前記第1塗膜の膜厚が10〜50μmであり、前記第2塗膜の膜厚が10〜50μmであり、前記第3塗膜の膜厚が5〜30μmである。
本発明の複層膜の形成方法の他の好適例においては、前記エナメル塗料組成物が、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有アクリルシリコーン樹脂及び水酸基含有ふっ素樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種のポリオール、着色顔料及び有機溶剤を少なくとも含む主剤と、ポリイソシアネートを少なくとも含む硬化剤とを含む2液型の塗料組成物である。
本発明の複層膜の形成方法の他の好適例においては、前記第2塗膜の隠蔽率が90%以上である。
本発明の複層膜の形成方法の他の好適例において、前記弱溶剤は沸点が150〜210℃の範囲内にある。
本発明の複層膜の形成方法の他の好適例において、前記弱溶剤が脂肪族炭化水素系有機溶剤である。
本発明によれば、鱗片状金属顔料を含む弱溶剤系塗料組成物による塗装であってもムラなく高輝度な金属調塗膜を形成することができ、これにより、複層膜を構成するすべての塗膜を弱溶剤系塗料組成物から形成可能である複層膜の形成方法を提供することができる。
以下に、本発明の複層膜の形成方法を詳細に説明する。本発明の複層膜の形成方法は、基材表面をエポキシ樹脂系塗料組成物で塗装して第1塗膜を形成させる工程と、該第1塗膜をエナメル塗料組成物で塗装して第2塗膜を形成させる工程と、該第2塗膜をメタリック塗料組成物で塗装して第3塗膜を形成させる工程とを含む複層膜の形成方法であって、前記エポキシ樹脂塗料組成物が、エポキシ樹脂及び有機溶剤を含み、前記エナメル塗料組成物が、着色顔料及び有機溶剤を含み、前記メタリック塗料組成物が、鱗片状金属顔料及び有機溶剤を含み、該メタリック塗料組成物中における不揮発分の含有量が35〜50質量%であり、かつ、該不揮発分中の鱗片状金属顔料の含有量が15〜40質量%であり、前記エポキシ樹脂塗料組成物、エナメル塗料組成物及びメタリック塗料組成物に含まれる有機溶剤が、JIS K 2256に規定される混合アニリン点又はアニリン点が12〜70℃の範囲内にある弱溶剤を50質量%以上含むことを特徴とする。
本発明の複層膜の形成方法においては、まず、基材表面をエポキシ樹脂系塗料組成物で塗装して第1塗膜を形成させる(第1塗膜形成工程)。第1塗膜にはエポキシ樹脂が含まれており、基材に対する塗膜の密着性を確保することができ、また、基材に防錆性を付与することもできる。
上記基材は、特に限定されるものではないが、本発明の複層膜の形成方法は、後述するように、使用するすべての塗料組成物が弱溶剤系であるため、基材が、建築物又は構築物であっても好適に適用できる。また、基材表面に旧塗膜が存在していても、エポキシ樹脂を含む弱溶剤系塗料組成物による塗装であれば、塗膜の密着性を十分に確保することができるため、本発明の複層膜の形成方法は、建築物又は構築物の塗り替えに対しても好適である。なお、本発明において、建築物とは、人間が居住又は滞在する目的で建築された構造物を意味し、例えば住宅やビル、工場等が挙げられ、構築物とは、人間が居住又は滞在する目的以外のために建設された構造物を意味し、例えば煙突、立体駐車場等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂系塗料組成物は、エポキシ樹脂及び有機溶剤を含み、ここで、該有機溶剤は、JIS K 2256に規定される混合アニリン点又はアニリン点が12〜70℃の範囲内にある弱溶剤を50質量%以上含む。なお、有機溶剤については、エナメル塗料組成物やメタリック塗料組成物に用いる有機溶剤と共通するため、後でまとめて説明する。
上記エポキシ樹脂系塗料組成物は、好ましくは建築物又は構築物に対して塗装を行うための塗料組成物であり、より好ましくは土地に定着した構造物の塗り替えに対して適用する観点から常温乾燥型の塗料組成物である。ここでいう「常温」とは5〜35℃である。
また、上記エポキシ樹脂系塗料組成物は、少なくともエポキシ基を分子内に2個以上有するエポキシ樹脂を含む主剤と、少なくともアミン系化合物を含む硬化剤から構成される2液型の塗料組成物であることが好ましい。このような塗料組成物は、塗装時に主剤と硬化剤とを混合することで使用されるものであり、常温乾燥型の塗料組成物として容易に使用可能である。上記エポキシ樹脂系塗料組成物としては、2液型に限定されず、1液型の塗料組成物も使用できるが、好適な2液型の塗料組成物に基づきエポキシ樹脂系塗料組成物について以下に説明する。
上記エポキシ樹脂系塗料組成物を構成し得る主剤は、エポキシ樹脂の他、有機溶剤を少なくとも含むことが好ましい。なお、有機溶剤は、粘度を調整する等の目的で、主剤の他、硬化剤に配合されていてもよいし、塗装時に主剤と硬化剤を混合する際に得られる混合物に対して加えてもよい。
上記エポキシ樹脂としては、エポキシ基を分子内に2個以上有するエポキシ樹脂が好ましいものの、これに限定されず、エポキシ基を分子内に1個有するエポキシ樹脂を用いてもよい。上記エポキシ樹脂としては、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、及び脂環族エポキシ樹脂等が挙げられ、更にはこれらエポキシ樹脂がアルキルフェノール又は/及び脂肪酸によって変性されてなる変性エポキシ樹脂、アルキルフェノールをエピクロルヒドリンと反応させてなるアルキルフェニルグリシジルエーテル、ノボラック型アルキルフェノール樹脂をエピクロルヒドリンと反応させてなるアルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂等も含まれる。これらエポキシ樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記エポキシ樹脂系塗料組成物を構成し得る硬化剤は、アミン系化合物を含むことが好ましく、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等の脂肪族ポリアミン類、メタキシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミン等の芳香族ポリアミン類、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環族ポリアミン類や、これらポリアミン類に対して公知の方法によりポリアミド化、エポキシアダクト化、マンニッヒ化、ケチミン化等の変性反応を行って得られる変性ポリアミン等が挙げられる。これらアミン系化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記エポキシ樹脂系塗料組成物において、アミン系化合物は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜3.0当量の活性水素を有することが好ましく、0.6〜1.5当量の活性水素を有することが更に好ましい。なお、上記エポキシ樹脂系塗料組成物中において、エポキシ樹脂とアミン系化合物を合わせた含有量は、10〜80質量%であることが好ましい。なお、1液型のエポキシ樹脂系塗料組成物の場合、該塗料組成物中におけるエポキシ樹脂の含有量は、10〜80質量%であることが好ましい。
本発明の複層膜の形成方法においては、次に、上記第1塗膜をエナメル塗料組成物で塗装して第2塗膜を形成させる(第2塗膜形成工程)。エナメル塗料組成物から得られる塗膜は、下地を形成する第1塗膜に含まれるエポキシ樹脂を紫外線などの劣化因子から保護することを目的としている。また、第2塗膜の隠蔽率は90%以上であることが好ましい。ここで、塗膜の隠蔽率は、JIS K 5600−4−1に準じて測定されるものであり、具体的には、JIS K 5600−4−1に規定される隠蔽力測定法に基づき、すきま150μmのフィルムアプリケーターを用いて隠蔽率試験紙に塗膜を形成して測定される。
上記エナメル塗料組成物は、着色顔料及び有機溶剤を含み、ここで、該有機溶剤は、JIS K 2256に規定される混合アニリン点又はアニリン点が12〜70℃の範囲内にある弱溶剤を50質量%以上含む。なお、有機溶剤については、エポキシ樹脂系塗料組成物やメタリック塗料組成物に用いる有機溶剤と共通するため、後でまとめて説明する。
上記エナメル塗料組成物に用いる着色顔料としては、公知の着色顔料を好適に使用できるが、第3塗膜の発色性を向上させる観点から、酸化チタン及びカーボンブラック等の無機顔料やフタロシアニン系顔料及びアゾ系顔料等の有機顔料が挙げられる。なお、これら着色顔料は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記エナメル塗料組成物中において、着色顔料の含有量は、下地を隠蔽する観点から、1.0〜30質量%であることが好ましい。
上記エナメル塗料組成物は、好ましくは建築物又は構築物に対して塗装を行うための塗料組成物であり、より好ましくは土地に定着した構造物の塗り替えに対して適用する観点から常温乾燥型の塗料組成物である。ここでいう「常温」とは5〜35℃である。
また、上記エナメル塗料組成物は、少なくともポリオールを含む主剤と、少なくともポリイソシアネートを含む硬化剤から構成される2液型の塗料組成物であることが好ましい。このような塗料組成物は、塗装時に主剤と硬化剤とを混合することで使用され、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によってウレタン結合を有する樹脂が形成されるものであるが、常温乾燥型の塗料組成物として容易に使用可能である。上記エナメル塗料組成物としては、2液型に限定されず、1液型の塗料組成物も使用できるが、好適な2液型の塗料組成物に基づきエナメル塗料組成物について以下に説明する。
上記エナメル塗料組成物を構成し得る主剤は、ポリオールの他、着色顔料及び有機溶剤を少なくとも含むことが好ましい。なお、有機溶剤は、粘度を調整する等の目的で、主剤の他、硬化剤に配合されていてもよいし、塗装時に主剤と硬化剤を混合する際に得られる混合物に対して加えてもよい。
ポリオールは、水酸基を2個以上有する化合物であり、ポリイソシアネートのイソシアネート基と反応することでウレタン結合を形成するが、上記主剤に用いるポリオールは、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有アクリルシリコーン樹脂及び水酸基含有ふっ素樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましい。このような樹脂をポリオールとして含む2液型の塗料組成物は、幅広い形状・形態の対象物に対する塗装が可能であると共に、耐候性等の塗膜物性にも優れる。これら水酸基含有樹脂は、市販品を好適に使用できるが、例えばアクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂又はふっ素樹脂の合成の際に、水酸基含有モノマーを用いることで容易に得られる。
上記エナメル塗料組成物において、ポリオールに占める上記水酸基含有樹脂(即ち、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有アクリルシリコーン樹脂及び水酸基含有ふっ素樹脂)の割合は、50質量%以上であることが好ましく、その上限は100質量%である。なお、上記水酸基含有樹脂以外のポリオールとしては、特に限定されるものではなく、従来から公知の各種ポリオール、例えばポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール等を使用できる。
ポリオールは、数平均分子量が300〜10,000であることが好ましく、400〜2,000であることが更に好ましい。ポリオールの数平均分子量が300未満であると、不粘着性が十分な塗膜が得られない場合があり、一方、数平均分子量が10,000を超えると塗装作業性が低下する場合がある。なお、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されるポリスチレン換算した数平均分子量である。
また、ポリオールは、水酸基価が5〜150mgKOH/gであることが好ましい。なお、水酸基価は、試料1g中の遊離水酸基を無水酢酸で完全にアセチル化した後、それを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。
上記エナメル塗料組成物において、ポリオールの含有量は、20〜42質量%であることが好ましい。
上記エナメル塗料組成物を構成し得る硬化剤は、ポリイソシアネートを少なくとも含む。なお、ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対してイソシアネート基が0.5〜1.5当量であることが好ましく、0.8〜1.2当量であることが更に好ましい。このように、ポリイソシアネートの含有量は、ポリオールの官能基の量に応じて適宜調整されるものであるが、例えば、上記塗料組成物中におけるポリイソシアネートの含有量は、0.5〜15質量%であることが好ましい。
上記ポリイソシアネートは、イソシアネート基を2個以上有する化合物であり、例えば、脂肪族、芳香族又は芳香脂肪族のポリイソシアネートが含まれ、具体例としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の他、これらポリイソシアネートの変性体が挙げられる。変性体の具体例としては、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体、アダクト変性体(例えばトリメチロールプロパン付加物)、アロファネート変性体、ウレトジオン変性体等が挙げられる。これらの中でも、ヘキサメチレンジイソシアネートの各種変性体やイソホロンジイソシアネートの各種変性体が、硬化性や塗膜特性の観点から好ましい。なお、これらポリイソシアネートは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の複層膜の形成方法においては、次に、上記第2塗膜をメタリック塗料組成物で塗装して第3塗膜を形成させる(第3塗膜形成工程)。本発明によれば、組成物中における不揮発分の含有量が35〜50質量%であり、かつ該不揮発分中における鱗片状金属顔料の含有量が15〜40質量%である弱溶剤系塗料組成物で第2塗膜を塗装することによって、ムラなく高輝度な金属調塗膜を形成することができる。
上記メタリック塗料組成物は、塗装作業性や塗膜の仕上がり外観を向上させる観点から、不揮発分の含有量が35〜50質量%である。なお、本発明においては、塗料組成物を130℃で60分間乾燥させた際に残存する成分を不揮発分として取り扱う。
また、上記メタリック塗料組成物において、不揮発分中における鱗片状金属顔料の含有量が15〜40質量%であり、20〜35質量%であることが好ましい。塗料組成物中における不揮発分中における鱗片状金属顔料の含有量が15質量%以上であれば、ムラなく高輝度な金属調塗膜を形成することができる。塗料組成物中における鱗片状金属顔料の含有量が高いと、鱗片状金属顔料の自由度が低くなり、基材に対して平行に配列された状態で塗膜中に存在することで、このような効果が達成できるものと推定される。一方、塗料組成物中における不揮発分中における鱗片状金属顔料の含有量が40質量%を超えると、鱗片状金属顔料の量が多くなりすぎ、その他の塗膜物性を悪化させることになる。なお、上記メタリック塗料組成物中において、鱗片状金属顔料の含有量は6〜20質量%であることが好ましく、6.5〜19質量%であることが更に好ましい。
鱗片状金属顔料は、箔のような薄く平らな形状をした金属顔料であり、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、錫、銅、銀、白金、金等の金属顔料が挙げられ、更にはステンレス等の合金の顔料も含まれる。これらの中でも、アルミニウム顔料が好適に使用される。なお、これら金属顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記鱗片状金属顔料は、50%体積平均径が0.1〜60μmであることが好ましく、5〜50μmであることが更に好ましい。鱗片状金属顔料の50%体積平均径が60μm以下であれば、金属光沢により優れる塗膜を形成することができる。一方、鱗片状金属顔料の50%体積平均径が0.1μm未満では、鱗片状金属顔料のアスペクト比が小さくなる傾向にあり、金属光沢が十分に得られない場合がある。
本発明において、50%体積平均径は、体積基準粒度分布の50%粒子径(D50)を指し、粒度分布測定装置(例えばレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置)を用いて測定される粒度分布から求めることができる。そして、本発明における粒子径は、レーザ回折・散乱法による球相当径で表される。
また、上記鱗片状金属顔料は、アスペクト比が1以上であることが好ましく、3以上であることが更に好ましい。鱗片状金属顔料のアスペクト比が1以上であれば、塗膜の金属光沢を更に向上させることができる。なお、鱗片状金属顔料のアスペクト比の上限は通常400程度である。ここで、鱗片状金属顔料のアスペクト比は、50%体積平均径(D)と平均厚み(T)との比(D/T)である。なお、本発明においては、SEM(走査電子顕微鏡)を用いて鱗片状金属顔料の厚みを測定し、100個以上の粒子を対象にして平均厚みを求めた。
上記鱗片状金属顔料は、表面に樹脂層を備えることが好ましく、表面樹脂層を備えたアルミニウム顔料が特に好ましい。金属顔料の表面に樹脂層を設けることで、耐薬品性を向上でき、複層膜の表層での使用にも耐え得る第3塗膜を容易に形成することができる。なお、表面樹脂層を備えた鱗片状金属顔料は、市販品を好適に使用できるが、具体例としては、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ふっ素樹脂等の樹脂で表面が覆われた鱗片状金属顔料、好ましくはアルミニウム顔料が挙げられる。
上記メタリック塗料組成物は、更に有機溶剤を含むが、ここで、該有機溶剤は、上述したエポキシ樹脂系塗料組成物やエナメル塗料組成物と同様に、JIS K 2256に規定される混合アニリン点又はアニリン点が12〜70℃の範囲内にある弱溶剤を50質量%以上含む。かかる弱溶剤は、環境に対する負荷が比較的少ない有機溶剤であり、常温乾燥にて除去できる。アニリン点及び混合アニリン点は、溶剤の溶解力を表す指標の一種であり、アニリン点又は混合アニリン点が高いほど溶解力が弱くなる。アニリン点は、等容積の溶剤とアニリンとが均一な溶液として存在する最低温度であり、混合アニリン点は、溶剤1容積、ヘプタン1容積及びアニリン2容積が均一な溶液として存在する最低温度である。混合アニリン点又はアニリン点が12℃未満では、溶剤の溶解力が強すぎるため、塗料組成物を被覆基材に塗装する場合、基材を既に覆っている塗膜(旧塗膜)が溶剤に侵され(具体的には旧塗膜が溶解したり膨潤したりして)、リフティング等の不具合が発生する恐れがあるので好ましくない。また、混合アニリン点又はアニリン点が70℃を超えると、溶剤の溶解力が弱すぎるため、実用的な性能を有する樹脂を溶解し難くなり好ましくない。
また、上記弱溶剤は、乾燥性や塗装作業性の面から、沸点が150〜210℃の範囲内にあることが好ましい。
上記弱溶剤には、例えば、脂肪族系溶剤、ナフテン系溶剤、芳香族ナフサ等の炭化水素系有機溶剤が挙げられ、これらの中でも、特に臭気が少なく、環境に対する悪影響が小さい好適な弱溶剤として、脂肪族炭化水素系有機溶剤が挙げられる。上記炭化水素系有機溶剤の具体例としては、メチルシクロヘキサン(沸点:101℃、アニリン点:40℃)、エチルシクロヘキサン(沸点:132℃、アニリン点:44℃)、ミネラルスピリット(沸点:150〜205℃、アニリン点:56℃)、テレビン油(沸点:149〜180℃、アニリン点:44℃)が挙げられる。また、上記炭化水素系有機溶剤には、石油系炭化水素として市販されるものがあり、例えば、HAWS(シェルケミカルズジャパン社製、沸点:151〜193℃、アニリン点:17℃)、LAWS(シェルケミカルズジャパン社製、沸点:151〜196℃、アニリン点:44℃)、ペガゾール3040(エクソンモービル社製、沸点:158〜196℃、アニリン点:55℃)、ペガゾールAN45(エクソンモービル社製、沸点:158〜187℃、アニリン点42℃)、Aソルベント(JX日鉱日石エネルギー社製、沸点:160〜200℃、アニリン点:45℃)、クレンゾルHS(JX日鉱日石エネルギー社製、沸点:155〜175℃、アニリン点:64℃)、ミネラルスピリットA(JX日鉱日石エネルギー社製、沸点:165〜195℃、アニリン点:43℃)、エクソールD30(エクソンモービル社製、沸点:145〜163℃、アニリン点:64℃)、エクソールD40(エクソンモービル社製、沸点:166〜191℃、アニリン点:69℃)、ニューソルDXハイソフト(JX日鉱日石エネルギー社製、沸点:164〜200℃、アニリン点:68℃)、ソルベッソ100(エクソンモービル社製、沸点:162〜178℃、混合アニリン点:14℃)、ソルベッソ150(エクソンモービル社製、沸点:184〜206℃、混合アニリン点:18.3℃)、スワゾール1000(丸善石油化学社製、沸点:163〜175℃、混合アニリン点:12.7℃)、スワゾール1500(丸善石油化学社製、沸点:182〜207℃、混合アニリン点:16.5℃)、スワゾール1800(丸善石油化学社製、沸点:196〜247℃、混合アニリン点:15.7℃)、出光イプゾール100(出光興産社製、沸点:159〜172℃、混合アニリン点:13.5℃)、出光イプゾール150(出光興産社製、沸点:184〜205℃、混合アニリン点:15.2℃)等が挙げられる。なお、これら弱溶剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
上記メタリック塗料組成物において、有機溶剤の含有量は、例えば50〜65質量%であることが好ましい。また、上記エポキシ樹脂系塗料組成物において、有機溶剤の含有量は、例えば20〜90質量%であることが好ましく、上記エナメル塗料組成物において、有機溶剤の含有量は、例えば20〜70質量%であることが好ましい。また、これら塗料組成物において、有機溶剤に占める弱溶剤の割合は、50質量%以上であるが、その上限は100質量%である。なお、その他の有機溶剤は、特に限定されるものではなく、従来から公知の各種有機溶剤、例えばケトン類、エステル類、エーテル類、アルコール類等を使用できる。
上記メタリック塗料組成物は、好ましくは建築物又は構築物に対して塗装を行うための塗料組成物であり、より好ましくは土地に定着した構造物の塗り替えに対して適用する観点から常温乾燥型の塗料組成物である。ここでいう「常温」とは5〜35℃である。
また、上記メタリック塗料組成物は、少なくともポリオールを含む主剤と、少なくともポリイソシアネートを含む硬化剤から構成される2液型の塗料組成物であることが好ましい。このような塗料組成物は、塗装時に主剤と硬化剤とを混合することで使用され、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によってウレタン結合を有する樹脂が形成されるものであるが、常温乾燥型の塗料組成物として容易に使用可能である。上記メタリック塗料組成物としては、2液型に限定されず、1液型の塗料組成物も使用できるが、好適な2液型の塗料組成物に基づき上記メタリック塗料組成物について以下に説明する。
上記メタリック塗料組成物を構成し得る主剤は、ポリオールの他、鱗片状金属顔料及び有機溶剤を少なくとも含むことが好ましい。なお、有機溶剤は、粘度を調整する等の目的で、主剤の他、硬化剤に配合されていてもよいし、塗装時に主剤と硬化剤を混合する際に得られる混合物に対して加えてもよい。
ポリオールは、水酸基を2個以上有する化合物であり、ポリイソシアネートのイソシアネート基と反応することでウレタン結合を形成するが、上記主剤に用いるポリオールは、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有アクリルシリコーン樹脂及び水酸基含有ふっ素樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましい。このような樹脂をポリオールとして用いることで得られる樹脂は、耐候性や耐久性に優れる。これら水酸基含有樹脂は、市販品を好適に使用できるが、例えばアクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂又はふっ素樹脂の合成の際に、水酸基含有モノマーを用いることで容易に得られる。
上記メタリック塗料組成物において、ポリオールに占める上記水酸基含有樹脂(即ち、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有アクリルシリコーン樹脂及び水酸基含有ふっ素樹脂)の割合は、50質量%以上であることが好ましく、その上限は100質量%である。なお、上記水酸基含有樹脂以外のポリオールとしては、特に限定されるものではなく、従来から公知の各種ポリオール、例えばポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール等を使用できる。
ポリオールは、数平均分子量が300〜10,000であることが好ましく、400〜2,000であることが更に好ましい。ポリオールの数平均分子量が300未満であると、不粘着性が十分な塗膜が得られない場合があり、一方、数平均分子量が10,000を超えると塗装作業性が低下する場合がある。なお、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されるポリスチレン換算した数平均分子量である。
また、ポリオールは、水酸基価が5〜150mgKOH/gであることが好ましい。なお、水酸基価は、試料1g中の遊離水酸基を無水酢酸で完全にアセチル化した後、それを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。
上記メタリック塗料組成物において、ポリオールの含有量は、20〜42質量%であることが好ましい。
上記メタリック塗料組成物を構成し得る硬化剤は、ポリイソシアネートを少なくとも含む。なお、ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対してイソシアネート基が0.5〜1.5当量であることが好ましく、0.8〜1.2当量であることが更に好ましい。このように、ポリイソシアネートの含有量は、ポリオールの官能基の量に応じて適宜調整されるものであるが、例えば、上記塗料組成物中におけるポリイソシアネートの含有量は、0.5〜15質量%であることが好ましい。
上記ポリイソシアネートは、イソシアネート基を2個以上有する化合物であり、例えば、脂肪族、芳香族又は芳香脂肪族のポリイソシアネートが含まれ、具体例としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の他、これらポリイソシアネートの変性体が挙げられる。変性体の具体例としては、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体、アダクト変性体(例えばトリメチロールプロパン付加物)、アロファネート変性体、ウレトジオン変性体等が挙げられる。これらの中でも、ヘキサメチレンジイソシアネートの各種変性体やイソホロンジイソシアネートの各種変性体が、硬化性や塗膜特性の観点から好ましい。なお、これらポリイソシアネートは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の複層膜の形成方法において、上記エポキシ樹脂系塗料組成物、エナメル塗料組成物及びメタリック塗料組成物には、体質顔料等のその他顔料、反応触媒、防錆剤、分散剤、消泡剤、脱水剤、レベリング剤、沈降防止剤、ダレ止め剤、防藻剤、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を必要に応じて適宜配合してもよい。これら塗料組成物は、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することによって調製できる。
本発明の複層膜の形成方法において、上記メタリック塗料組成物は、上述したように、塗装作業性や塗膜の仕上がり外観を向上させる観点から、不揮発分の含有量が35〜50質量%であることが好ましい。また、同様の理由から、上記エポキシ樹脂系塗料組成物において、不揮発分の含有量は、10〜80質量%であることが好ましく、上記エナメル塗料組成物において、不揮発分の含有量は、30〜80質量%であることが好ましい。なお、本発明においては、塗料組成物を130℃で60分間乾燥させた際に残存する成分を不揮発分として取り扱う。
本発明の複層膜の形成方法においては、更に、上記第3塗膜をクリヤー塗料組成物で塗装して第4塗膜を形成させてもよい(第4塗膜形成工程)。本発明によれば、第3塗膜であるメタリック塗膜上に第4塗膜であるクリヤー塗膜を形成させることで、塗膜の光沢を向上させることができる。本発明によれば、鱗片状金属顔料を高含有量で含むメタリック塗料組成物から第3塗膜を形成しており、塗膜のつやが低下する傾向にあるため、塗膜の光沢を確保する目的から第4塗膜の形成は好ましい。また、炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、アモルファスシリカ、珪砂、バライト、沈降性硫酸バリウム等の体質顔料や、樹脂ビーズをクリヤー塗料組成物に配合することで、塗膜のつやを容易に調整することができる。
上記クリヤー塗料組成物は、着色剤を含まない塗料である。また、上記クリヤー塗料組成物は、他の塗料組成物と同様に、有機溶剤を含み、JIS K 2256に規定される混合アニリン点又はアニリン点が12〜70℃の範囲内にある弱溶剤を50質量%以上含む。かかる弱溶剤やその他の有機溶剤の説明については、上述した通りである。なお、上記クリヤー塗料組成物において、有機溶剤の含有量は、例えば30〜90質量%であることが好ましい。
上記クリヤー塗料組成物は、好ましくは建築物又は構築物に対して塗装を行うための塗料組成物であり、より好ましくは土地に定着した構造物の塗り替えに対して適用する観点から常温乾燥型の塗料組成物である。ここでいう「常温」とは5〜35℃である。
また、上記クリヤー塗料組成物は、少なくともポリオールを含む主剤と、少なくともポリイソシアネートを含む硬化剤から構成される2液型の塗料組成物であることが好ましい。このような塗料組成物は、塗装時に主剤と硬化剤とを混合することで使用され、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によってウレタン結合を有する樹脂が形成されるものであるが、常温乾燥型の塗料組成物として容易に使用可能である。なお、ポリオール及びポリイソシアネートについては、上述した通りである。
本発明の複層膜の形成方法において、上記クリヤー塗料組成物には、反応触媒、防錆剤、分散剤、消泡剤、脱水剤、レベリング剤、沈降防止剤、ダレ止め剤、防藻剤、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を必要に応じて適宜配合してもよい。これら塗料組成物は、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することによって調製できる。
本発明の複層膜の形成方法において、上記エポキシ樹脂系塗料組成物、エナメル塗料組成物、メタリック塗料組成物及びクリヤー塗料組成物の塗装方法は、特に限定されず、既知の塗装手段、例えば、刷毛塗装、ローラー塗装、コテ塗装、ヘラ塗装、スプレー塗装等が利用できるが、刷毛塗装やローラー塗装が好適である。
本発明の複層膜の形成方法によって得られる複層膜は、基材表面上に位置する第1塗膜と、該第1塗膜上に位置する第2塗膜と、該第2塗膜上に位置する第3塗膜とを少なくとも含み、該第3塗膜上に位置する第4塗膜を含んでもよい。なお、各塗膜に求められる性能を確保する観点から、第1塗膜の膜厚は10〜50μmであることが好ましく、第2塗膜の膜厚は10〜50μmであることが好ましく、第3塗膜の膜厚は5〜30μmであることが好ましく、第4塗膜の膜厚は5〜30μmであることが好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<エポキシ樹脂塗料>
混合器に、jER168V70(三菱化学社製エポキシ樹脂のミネラルスピリット溶液)100質量部、ミネラルスピリット80質量部、酸化チタン40質量部、タルク60質量部を順次仕込み、ペイントコンディショナーを用いて1時間練合し、主剤を調製した。この主剤280質量部に、硬化剤としてフジキュアーFXP−8086(T&KTOKA社製ポリアミン)17質量部を加え、均一になるまで混合撹拌して、エポキシ樹脂塗料を調製した。
<エナメル塗料>
混合器に、ヒタロイド6500B(日立化成社製水酸基含有アクリル樹脂のミネラルスピリット溶液、不揮発分50質量%、不揮発分の水酸基価30mgKOH/g)100質量部、ミネラルスピリット80質量部、酸化チタン38質量部、カーボンブラック2質量部を順次仕込み、ペイントコンディショナーを用いて1時間練合し、主剤を調製した。この主剤220質量部に、硬化剤としてデュラネートTSA−100(旭化成ケミカルズ社製ポリイソシアネート)5.5質量部を加え、エナメル塗料を調製した。
JIS K 5600−4−1に規定される隠蔽率試験紙に、すきま150μmのフィルムアプリケーターを用いてエナメル塗料を塗布し、23℃の雰囲気下で24時間乾燥させて、隠蔽率測定用試験板を作製した。該試験板の塗布部分における三刺激値を白下地上(Y)と黒下地上(Y)のそれぞれで測定し、隠蔽率(Y/Y)を百分率で計算によって求めたところ、100%であった。
<メタリック塗料1>
混合器に入ったヒタロイド6500B 100質量部の中に、旭化成アルミペーストHR−8801(旭化成メタルズ社製樹脂コートノンリーフィングタイプのアルミニウムペースト、不揮発分55質量%)50質量部を撹拌環境下で徐々に投入し20分間撹拌を行った。さらに、フローレンAO−82(共栄社化学社製消泡剤)0.3質量部、ポリフローKL−401(共栄社化学社製レベリング剤)0.6質量部を投入し、10分間撹拌を行い、主剤を調製した。この主剤150.9質量部に、硬化剤としてデュラネートTSA−100 5.4質量部を加え、メタリック塗料1を調製した。
<メタリック塗料2〜17>
上記メタリック塗料1と同様に、表1に示す配合処方に従ってメタリック塗料2〜17の塗料を調製した。
Figure 0006148713
(注1)ルミフロンLF800(旭硝子社製水酸基含有ふっ素樹脂のミネラルスピリット溶液、不揮発分60質量%、不揮発分の水酸基価35mgKOH/g)
(注2)ルミフロンLF200(旭硝子社製水酸基含有ふっ素樹脂のキシレン溶液、不揮発分60質量%、不揮発分の水酸基価50mgKOH/g)
(注3)アルミペーストMH−8801(旭化成メタルズ社製ノンリーフィングタイプのアルミニウムペースト、不揮発分65質量%)
(注4)タケネートD−140N(三井化学社製イソホロンジイソシアネートのビュレット変性体の酢酸エチル溶液、不揮発分75質量%)
<クリヤー塗料>
ヒタロイド6500B 100質量部、ミネラルスピリット 50質量部、フローレンAO−82(共栄社化学社製消泡剤)0.3質量部、ポリフローKL−401(共栄社化学社製レベリング剤)0.6質量部を混合して主剤を調製し、該主剤に硬化剤としてデュラネートTSA−100 5.4質量部を加え、クリヤー塗料を調製した。
<実施例1>
アルミ板に、エポキシ樹脂塗料を塗布量100g/mとなるようにローラーで塗布し、温度23℃の環境下で24時間乾燥させ、膜厚20μmの第1塗膜を形成させた。その後、第1塗膜にエナメル塗料を塗布量120g/mとなるようにローラーで塗布し、温度23℃の環境下で24時間乾燥させ、膜厚30μmの第2塗膜を形成させた。さらに、第2塗膜にメタリック塗料1を塗布量60g/mとなるようにローラーで塗布し、温度23℃の環境下で24時間乾燥させ、膜厚20μmの第3塗膜を形成させ、実施例1の試験板を作製した。
<実施例2〜14、比較例1〜8>
実施例2〜14、比較例1〜8についても、表2に示す塗装仕様に従って、実施例1と同様に、試験板を作製した。なお、表2中、メタリック塗料については単に「塗料」と記載する。また、実施例13及び実施例14の試験板は第4塗膜を備える。このため、実施例13及び14では、第3塗膜にクリヤー塗料を60g/mとなるようにローラーで塗布し、温度23℃の環境下で24時間乾燥させ、膜厚18μmの第4塗膜を形成させ、試験板を作製した。なお、第3塗膜については、塗布量が同じであっても、膜厚に変化が見られるため、第3塗膜の膜厚を表2に示す。
実施例1〜14、比較例1〜8の塗装作業性、仕上がり外観及び輝度、旧塗膜適性、付着性、耐候性、耐アルカリ性を測定及び評価した。結果を表2に示す。
<塗装作業性>
メタリック塗料をローラーで塗装した際の塗装作業性を、下記の基準に従って評価した。
〇:塗装作業に問題がない。
△:乾燥が速く、塗装作業に熟練を要する。
×:ローラーや刷毛が重い、または軽すぎ、塗装しにくい。
<仕上がり外観及び輝度>
試験板の塗装面について目視で観察を行い、下記の基準に従って評価した。
〇:全体に輝度があり、ムラなく均一に仕上がる。
×:輝度にムラがあり、均一に仕上がらない。
<旧塗膜適性>
旧塗膜適性の評価においては、基材であるアルミ板を、「ビニローゼ 白」(大日本塗料(株)製塩化ビニル樹脂エナメル塗料)で表面を予め塗装したアルミ板に変えた以外は、同様の方法で、各実施例及び比較例に対応する試験板を作製し、該試験板に対して評価を行った。試験板の塗装面について目視で観察を行い、下記の基準に従って評価した。
○:表面が滑らかで異常がない。
×:表面にリフティング(ちぢみ)がある。
<付着性>
試験板をさらに常温で7日間乾燥した後、JIS K 5600−5−6に従って付着性試験を行い、下記の基準に従って評価した。ただし、格子の間隔は2mmとした。
○:分類0〜2の範囲内である。
×:分類3〜5の範囲内である。
<耐候性>
試験板をさらに常温で7日間乾燥した後、JIS K5600−7−7サイクルAの条件で1200時間の照射を行い、下記の基準に従って評価した。
○:光沢保持率が80%以上で、色の変化が認識できない。
×:光沢保持率が80%未満、または、色の変化が認識できる。
<耐アルカリ性>
試験板をさらに常温で7日間乾燥した後、JIS K 5600−6−1 方法2(吸収媒体法)に従い耐アルカリ性試験を行った。ただし、試験液は10g/L水酸化ナトリウム水溶液とし、試験期間は96時間とした。試験後に試験板を流水で洗浄し、23℃で2時間乾燥させた。試験板を目視で観察し、下記の基準に従って評価した。
○:光沢や色の変化がほとんどない。
×:光沢の低下、または、色の変化が大きい。
Figure 0006148713

Claims (8)

  1. 基材表面をエポキシ樹脂系塗料組成物で塗装して第1塗膜を形成させる工程と、該第1塗膜をエナメル塗料組成物で塗装して第2塗膜を形成させる工程と、該第2塗膜をメタリック塗料組成物で塗装して第3塗膜を形成させる工程とを含む複層膜の形成方法であって、
    前記エポキシ樹脂塗料組成物が、エポキシ樹脂及び有機溶剤を含み、
    前記エナメル塗料組成物が、着色顔料及び有機溶剤を含み、
    前記メタリック塗料組成物が、鱗片状金属顔料及び有機溶剤を含み、該メタリック塗料組成物中における不揮発分の含有量が35〜50質量%であり、かつ、該不揮発分中における鱗片状金属顔料の含有量が15〜40質量%であり、
    前記エポキシ樹脂塗料組成物、エナメル塗料組成物及びメタリック塗料組成物に含まれる有機溶剤が、JIS K 2256に規定される混合アニリン点又はアニリン点が12〜70℃の範囲内にある弱溶剤を50質量%以上含み、
    前記鱗片状金属顔料が、表面樹脂層を備えた鱗片状金属顔料であることを特徴とする複層膜の形成方法。
  2. 前記鱗片状金属顔料が、表面樹脂層を備えたアルミニウム顔料であることを特徴とする請求項1に記載の複層膜の形成方法。
  3. 前記メタリック塗料組成物が、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有アクリルシリコーン樹脂及び水酸基含有ふっ素樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種のポリオール、鱗片状金属顔料及び有機溶剤を少なくとも含む主剤と、ポリイソシアネートを少なくとも含む硬化剤とを含む2液型の塗料組成物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複層膜の形成方法。
  4. 前記第1塗膜の膜厚が10〜50μmであり、前記第2塗膜の膜厚が10〜50μmであり、前記第3塗膜の膜厚が5〜30μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の複層膜の形成方法。
  5. 前記エナメル塗料組成物が、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有アクリルシリコーン樹脂及び水酸基含有ふっ素樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種のポリオール、着色顔料及び有機溶剤を少なくとも含む主剤と、ポリイソシアネートを少なくとも含む硬化剤とを含む2液型の塗料組成物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の複層膜の形成方法。
  6. 前記第2塗膜の隠蔽率が90%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の複層膜の形成方法。
  7. 前記弱溶剤は沸点が150〜210℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の複層膜の形成方法。
  8. 前記弱溶剤が脂肪族炭化水素系有機溶剤であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の複層膜の形成方法。
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