以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明は、建築物、土木構造物等の既存壁面に適用することができる。このような既存壁面は、少なくとも基材と既存被膜で構成される。基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、金属、木材、ガラス等、あるいは各種板状壁材等が挙げられる。このうち板状壁材としては、例えばセメント、珪酸カルシウム、石灰、石膏等のいずれかを主成分する無機質硬化体が挙げられる。このような板状壁材の具体例としては、例えば、セメントボード、押出成形板、スレート板、PC板、ALC板、繊維強化セメント板、サイディングボード、セラミック板、珪酸カルシウム板、石膏ボード、硬質木片セメント板等が挙げられる。
本発明では、既存壁面として、その表面に凹凸模様を有するものを対象とする。既存壁面における凹凸模様としては、種々のものが挙げられ、例えばタイル調模様、レンガ調模様、幾何学的模様、縞模様、格子模様、水玉模様、砂壁模様、ゆず肌模様、さざ波模様等の他、動植物等をデザイン化した図形模様等が挙げられる。具体的に、凹凸模様を正面から見たときの凸部の形状としては、例えば正方形、長方形、円形、楕円形、三角形、菱形、多角形、不定形等の形状が挙げられる。また、凹凸模様における凸部の断面形状としては、例えば台形、正方形、長方形、半円形、波形、階段形、三角形、山形等が挙げられる。凹凸模様における凹部としては、例えば、平坦で目地を形成するもの等が挙げられる。凹部と凸部との高低差は、各々の部位で一定であっても相違していてもよいが、好ましくは20mm以下、より好ましくは1~15mm程度である。このような凹凸模様は、基材、既存被膜のいずれか一方または両方に付されたものであればよい。
本発明における既存壁面では、基材の表面に、既存被膜が設けられており、既存壁面は種々の色彩(単色ないし多色模様)を有することができる。既存被膜は、上記基材上に、現場塗装、あるいは工場塗装(ライン塗装)等により既に塗装されている種々の被膜であり、例えば、有機質被膜、無機質被膜、有機無機複合被膜等から選ばれる少なくとも1種の被膜が挙げられる。また、既存被膜としては、着色被膜(エナメル系被膜、印刷被膜等)、クリヤー被膜、あるいはこれらの積層被膜等が挙げられ、各種コーティング材を基材に塗布・硬化させ、形成された被膜である。このようなコーティング材は、例えば、常温乾燥型、常温硬化型、焼付け硬化型、紫外線(UV)硬化型、電子線硬化型等のいずれのものであってもよい。
このようなコーティング材の結合材としては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂等の有機質結合材、あるいはシリコン樹脂、アルコキシシラン、コロイダルシリカ、ケイ酸塩等の無機質結合材、アクリルシリコン樹脂等の有機無機複合結合材等が挙げられる。
本発明は、特に、最表面の既存被膜が、無機質被膜(上記無機質結合材を含む被膜)、有機無機複合被膜(上記有機無機複合結合材を含む被膜)、フッ素樹脂被膜(上記フッ素樹脂を含む被膜)等から選ばれる1種以上である場合に好適であり、さらには、これらのクリヤー被膜に好適に適用できる。このような既存被膜は、光触媒酸化チタン等を含むものであってもよい。
本発明は、上述のような既存壁面が経年劣化した際の改装方法として適用できる。経年劣化の程度は、特に限定されるものではないが、壁面として概ね5年以上(さらには8年以上)使用されたものは、本発明の対象とすることができる。
本発明の既存壁面としては、表面に凹凸模様を有すると共に既存被膜を備えた板状壁材が、複数併設されることによって構成されたものが好適である。本発明は、このような複数の板状壁材で構成された既存壁面を対象とした場合に、有利な効果を得ることができる。凹凸模様は、少なくとも板状壁材自体に付されていることが望ましい。
板状壁材どうしの連結部にはシーリング材または乾式目地材が充填されていてもよい。この場合、複数の板状壁材は、連結部を介して併設され、板状壁材どうしの間には、連結部が設けられる。連結部の幅は、好ましくは3~20mm(より好ましくは5~15mm)程度である。この連結部に、シーリング材または乾式目地材が充填される。
本発明では、既存壁面が、板状壁材どうしの連結部にシーリング材が充填されたものである場合に、有利な効果を得ることができる。シーリング材は、板状壁材と同様に経年劣化したものでもよいし、上塗材の塗装前に、新たに打設されたものであってもよい。
シーリング材としては一般的なものが使用可能であり、例えば、シリコーン系シーリング材、変性シリコーン系シーリング材、ポリサルファイド系シーリング材、変性ポリサルファイド系シーリング材、アクリルウレタン系シーリング材、ポリウレタン系シーリング材、SBR系シーリング材、ブチルゴム系シーリング材等が挙げられる。
シーリング材の充填方法としては、特に限定されず、例えば、ガンやへら等による公知の方法を採用することができる。
シーリング材の充填前には、予めバックアップ材充填やプライマー塗付等の処理を行っておいてもよい。バックアップ材としては、例えば、発泡ポリエチレン系バックアップ材等を使用することができる。プライマーとしては、例えば、合成ゴム系プライマー、アクリル系プライマー、ウレタン系プライマー、エポキシ系プライマー、シリコーンレジン系プライマー、シラン系プライマー等を使用することができる
本発明の被膜形成方法は、上述のような経年劣化した既存壁面に対し、上塗材を塗付(塗装)するものである。
本発明における上塗材は、非水系溶剤(A)、樹脂成分(B)、及び増粘剤(C)を含み、このうち非水系溶剤(A)、樹脂成分(B)がそれぞれ特定の化合物を含み、上塗材における樹脂成分(B)の固形分、紫外線透過率等が特定範囲内であることを特徴とするものである。
本発明では、このような上塗材を用いることにより、凹凸模様を有し、既存被膜を備えた既存壁面に対し、その凹凸模様や色彩模様を活かした仕上りを得ることができ、さらに、既存被膜の劣化を十分に抑制し、長期的な美観性保持に寄与する新設被膜を形成することができる。本発明では、このような新設被膜により既存壁面の長寿命化を図ることもできる。このような効果が奏される作用機構については以下に限定されるものではないが、本発明における上塗材は増粘剤を含むと共に、樹脂成分の固形分が特定条件を満たすこと等により、既存壁面の凹凸に沿って満遍なく塗着できること、そして既存壁面に塗着した上塗材は、特定の非水系溶剤及び樹脂成分等の作用により、既存被膜に対し優れた密着性を発現すること、等が寄与しているものと推察される。本発明では、このような新設被膜によって、太陽光や水に対する耐性が高まり、既存被膜の劣化抑制、長期的な美観性保持等の効果を得ることができる。
また、凹凸模様を有し、既存被膜を備えた既存壁面では、凹凸形状等に応じて、太陽光の当たり方、水の流れ方や滞留の程度等が、部分的に異なることとなる。そのため、従来技術では、上塗材塗装後であっても、太陽光や水による負荷が大きな部分において劣化が進行し、局所的に変色、ひび割れ等が引き起こされるおそれがある。これに対し、本発明では、上述のような特定上塗材から形成される新設被膜が、凹凸模様を有する既存壁面の全面にわたって形成され、太陽光や水に対する十分な耐性を発揮することから、既存被膜の劣化抑制を図ることができ、長期的な美観性保持等の効果が得られるものと考えられる。
上塗材における非水系溶剤(A)としては、例えば、n-へプタン、n-ヘキサン、n-ペンタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン等の脂肪族炭化水素溶剤、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素溶剤、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素含有混合溶剤、石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ、ケロシン等の石油系溶剤等の他、イソパラフィン系溶剤、アルコール系溶剤、エーテルアルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、エーテルエステル系溶剤、ケトン系溶剤等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。
本発明における上塗材は、非水系溶剤(A)として、アニリン点12~70℃の非水系溶剤を含む。このような非水系溶剤は、既存被膜を若干膨潤ないし溶解することにより、密着性向上に寄与しているものと考えられる。アニリン点12~70℃の非水系溶剤としては、例えば、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素含有混合溶剤、石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ、ケロシン等の石油系溶剤等から選ばれる1種以上が好適である。本発明では、非水系溶剤(A)として、アニリン点30~65℃の非水系溶剤を含む態様がより好適であり、非水系溶剤(A)中にアニリン点30~65℃の非水系溶剤を50~100重量%含む態様がさらに好適である。なお、アニリン点は、JIS K2256の方法で測定される値である。本発明において、「α~β」は「α以上β以下」と同義である。
本発明における上塗材は、樹脂成分(B)として、アクリル樹脂、及びフッ素樹脂を含む。本発明では、樹脂成分(B)として、このような両成分を含むことにより、太陽光や水への耐性を高めることができ、さらに長期にわたり十分な密着性等を確保することができ、本発明の効果を十分に発揮することが可能となる。
アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、必要に応じその他のモノマーとを構成成分として含み、これらを重合したものが使用できる。
このうち、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、(メタ)アクリロイル基とアルキル基とを有する化合物であり、当該アルキル基の形態としては、例えば、直鎖状、分岐状、環状等が挙げられる。
このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の炭素数1~2のアルキル基を有するもの、あるいは、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸t-ペンチル、(メタ)アクリル酸1-エチルプロピル、(メタ)アクリル酸2-メチルブチル、(メタ)アクリル酸3-メチルブチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルブチル、(メタ)アクリル酸2-メチルペンチル、(メタ)アクリル酸4-メチルペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ウンデシル、(メタ)アクリル酸n-ラウリル等の炭素数3以上のアルキル基を有するもの等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。
上記その他のモノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、ピリジン系モノマー、ニトリル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、カルボニル基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー、芳香族モノマー、紫外線吸収性基含有モノマー、光安定性基含有モノマー等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。
このうち、その他のモノマーとして水酸基含有モノマーを使用した場合には、水酸基含有アクリル樹脂(アクリルポリオール化合物)を得ることができる。樹脂成分(B)として、水酸基含有アクリル樹脂を含む場合、さらにポリイソシアネート化合物等を併用することにより、架橋反応による被膜を形成することができ、太陽光や水への耐性、密着性等の効果が高まり、好適である。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。
水酸基含有アクリル樹脂の水酸基価は、好ましくは10~200KOHmg/g、より好ましくは20~100KOHmg/gである。水酸基価は、樹脂固形分1gに含まれる水酸基と等モルの水酸化カリウムのmg数によって表される値である。
アクリル樹脂としては、炭素数3以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(M)(以下「(M)成分」ともいう)を、アクリル樹脂の構成成分中に20重量%以上含むものが好ましい。このような(M)成分としては、炭素数4以上(より好ましくは4以上8以下)のアルキル基を有するものが、より好適である。
アクリル樹脂における(M)成分の比率は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは25~99重量%、さらに好ましくは30~98重量%である。(M)成分が上記比率であれば、水に対する耐性等を高めることができ、変色、ひび割れ等の劣化抑制、美観性保持等の効果向上の点でも好適である。
アクリル樹脂は、樹脂構成成分中の(M)成分として、炭素数4以上のアルキル主鎖を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(m1)(以下「(m1)成分」ともいう)を含むことが好ましい。このような(m1)成分としては、そのアルキル部分が、直鎖状または分枝状のアルキル基(環状を除く)であって、主鎖(最も長い炭素直鎖)の炭素数が4以上であるものが使用できる。アクリル樹脂が(m1)成分を含むものであれば、水に対する耐性、ひび割れ等の劣化抑制、美観性保持等の効果をより一層高めることができる。
(m1)成分は、アルキル部分に炭素数4以上(好ましくは4以上8以下)のアルキル主鎖を有する。(m1)成分のアルキル部分は、このようなアルキル主鎖を有する限り、種々の側鎖(例えば、アルキル主鎖よりも少ない炭素数のアルキル基等)を有するものであってもよい。(m1)成分としては、上述の(M)成分のうち、このような条件を満たすものが挙げられ、例えば、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸2-メチルブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸3-メチルブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸2-メチルペンチル、(メタ)アクリル酸4-メチルペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ウンデシル、(メタ)アクリル酸n-ラウリル等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。
(m1)以外の(M)成分(以下「(m2)成分」ともいう)としては、例えば、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸t-ペンチル、(メタ)アクリル酸1-エチルプロピル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。
(M)成分中に占める(m1)成分の重量比は「r」として表すことができる。この「r」は、下記式にて算出される値である。
[式] r={樹脂構成成分中の(m1)成分の重量}/{樹脂構成成分中の(M)成分の重量}
上記式で表わされるrは、好ましくは0.05~0.7、より好ましくは0.1~0.5、さらに好ましくは0.15~0.4である。
アクリル樹脂は、重量平均分子量が10000~150000(より好ましくは40000~120000、さらに好ましくは55000~95000)であることが望ましい。本発明では、このような重量平均分子量のアクリル樹脂を含む場合、上塗材が既存壁面の凹凸に沿って満遍なく塗着しやすくなり、既存被膜の劣化抑制、長期にわたる美観性保持等の点で好適である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定して得られる値である。
アクリル樹脂は、その形態が非水分散型樹脂であることが望ましい。非水分散型樹脂は、上記非水系溶剤(A)に樹脂粒子として分散しているものであり、非水系溶剤(A)に溶解可能な樹脂部分と溶解しない樹脂部分の両方を併せ持つものである。アクリル樹脂として、このような形態の樹脂を含む場合、上塗材が既存壁面の凹凸に沿って満遍なく塗着しやすくなり、既存被膜の劣化抑制、長期にわたる美観性保持等の点で好適である。
アクリル樹脂は、そのガラス転移点が、好ましくは-40~60℃、より好ましくは-20~55℃である。ガラス転移点が上記下限以上であることにより、汚染抑制、美観性保持等の点で好適であり、ガラス転移点が上記上限以下であることにより、被膜の割れ防止、美観性保持等の点で好適である。なお、ガラス転移温度はFoxの計算式によって求められる値である。
フッ素樹脂は、フッ素原子を有する樹脂である。フッ素樹脂の使用により、太陽光や水に対する耐性等を高めることができ、変色、ひび割れ等の劣化抑制、美観性保持等の効果向上の点で好適である。このようなフッ素樹脂は、例えば、フルオロオレフィン類、フルオロアルキル基含有アクリル系モノマー等のフッ素含有モノマーと、必要に応じてその他のモノマーとを共重合することにより得ることができる。なお、フッ素原子を有するアクリル樹脂は、フッ素樹脂に包含される。
このうち、フルオロオレフィン類としては、例えば、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロピレン、2,2,3,3-テトラフルオロプロピレン、1,1,2-トリフルオロプロピレン、3,3,3-トリフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、1-クロロ-1,2-ジフルオロエチレン、1,1-ジクロロ-2,2-ジフルオロエチレン等が挙げられる。フルオロアルキル基含有アクリル系単量体としては、例えば、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロイソノニルメチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。
フッ素樹脂におけるその他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、ピリジン系モノマー、ニトリル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、カルボニル基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー、芳香族モノマー、紫外線吸収性基含有モノマー、光安定性基含有モノマー等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。
このうち、その他のモノマーとして水酸基含有モノマーを使用した場合には、水酸基含有フッ素樹脂(含フッ素ポリオール化合物)を得ることができる。樹脂成分(B)として、水酸基含有フッ素樹脂を含む場合、さらにポリイソシアネート化合物等を併用することにより、架橋反応による被膜を形成することができ、太陽光や水への耐性、密着性等の効果が高まり、好適である。水酸基含有フッ素樹脂の水酸基価は、好ましくは10~200KOHmg/g、より好ましくは20~100KOHmg/gである。樹脂成分(B)として、水酸基含有フッ素樹脂を使用する場合、アクリル樹脂としては水酸基含有アクリル樹脂を使用することが望ましい。
フッ素樹脂における水酸基含有モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシペンチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル;エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル等のヒドロキシアリルエーテル;上述と同様の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。
フッ素樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1000~150000、より好ましくは5000~100000である。また、フッ素樹脂の形態は、可溶型樹脂、非水分散型樹脂のいずれであってもよい。
樹脂成分(B)において、アクリル樹脂とフッ素樹脂との混合比(アクリル樹脂:フッ素樹脂の固形分重量比)は、99:1~30:70であり、好ましくは95:5~50:50、より好ましくは90:10~60:40、さらに好ましくは85:15~65:35である。両成分の混合比がこのような範囲内であることにより、長期にわたり十分な密着性等を確保することができる。また、上塗材が既存壁面の凹凸に沿って満遍なく塗着しやすくなる点でも好適であり、既存被膜の劣化抑制、長期にわたる美観性保持等を図ることが可能となる。
樹脂成分(B)が水酸基含有アクリル樹脂及び/または水酸基含有フッ素樹脂を含む場合、樹脂成分(B)として、さらに、ポリイソシアネート化合物を含むことが望ましい。ポリイソシアネート化合物は、1分子中に2以上のイソシアネート基を有するものであり、水酸基含有アクリル樹脂及び/または水酸基含有フッ素樹脂と架橋反応して被膜を形成するものである。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(pure-MDI)、ポリメリックMDI、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添XDI、水添MDI等、あるいはこれらの誘導体(例えば、ウレタン化反応、アロファネート化反応、イソシアヌレート化反応等によって得られる化合物)が挙げられ、アロファネート基を有するもの、アロファネート基及びイソシアヌレート基を有するもの等も使用することができる。これらは、1種または2種以上で使用できる。
ポリイソシアネート化合物は、その数平均官能基数が2~3であることが望ましく、2.05~2.6であることがより望ましく、2.1~2.5であることがさらに望ましい。このようなポリイソシアネート化合物の使用により、水に対する耐性等を高めることができ、変色、ひび割れ等の劣化抑制、美観性保持等の効果を一層高めることが可能となる。さらに、このようなポリイソシアネート化合物の使用は、既存壁面がシーリング材を有するものである場合にとりわけ有利であり、シーリング材が充填された連結部付近における被膜の膨れ、割れ、剥れ等を抑制し、長期にわたり仕上り性を保持する効果に寄与できる。
ポリイソシアネート化合物の数平均官能基数は、以下の式で求められる値である。なお、下記式中、ポリイソシアネートの数平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)によって測定される値である。NCO含有率は、ポリイソシアネート化合物中のNCO基の割合を質量%で表したものである。式中の42は、NCO基の分子量である。
<式>数平均官能基数=(数平均分子量×NCO含有量(%)/100)/42
ポリイソシアネート化合物の混合比率は、ポリオール化合物の水酸基に対する、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比、すなわちNCO/OH比を考慮して設定すればよい。NCO/OH比は、好ましくは0.6~1.4、より好ましくは0.8~1.2である。このような比率であれば、本発明の効果を十分に得ることができる。
樹脂成分(B)は、上述の成分の他に、反応性シリル基を有する化合物を含むことができる。このような化合物としては、例えば、反応性シリル基含有ビニル化合物、テトラアルコキシシラン化合物、アルキルアルコキシシラン化合物、シランカップリング剤等、あるいは、これらに由来する化合物(例えば、縮合物、変性物、重合物、共重合物等)等から選ばれる1種以上を使用することができる。反応性シリル基を有する化合物は、その架橋反応性によって密着性向上に寄与しているものと考えられる。
反応性シリル基は、例えば、アルコキシル基、水酸基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン等から選ばれる1種以上の官能基が珪素原子に結合したものである。この中でも、珪素原子にアルコキシル基が結合したアルコキシシリル基、及び/または、珪素原子に水酸基が結合したシラノール基が好適である。
反応性シリル基含有ビニル化合物としては、例えば、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
反応性シリル基含有ビニル化合物は、これ以外のモノマーとの共重合により得られる樹脂(例えば、アクリルシリコン樹脂等)の態様にて使用することができる。このようなモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、ピリジン系モノマー、ニトリル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、カルボニル基含有モノマー、フッ素含有モノマー、芳香族モノマー、紫外線吸収性基含有モノマー、光安定性基含有モノマー等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。
テトラアルコキシシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
アルキルアルコキシシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルトリエトキシシラン、β-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤の他、イソシアネート基含有シランカップリング剤、イソシアヌレート基含有シランカップリング剤、酸無水物基(カルボキシル基)含有シランカップリング剤等が挙げられる。
反応性シリル基を有する化合物は、(B)成分の固形分中、SiO2換算で好ましくは0.1~30重量%、より好ましくは0.3~20重量%となる範囲内で含むことができる。反応性シリル基を有する化合物の混合比率が、このような範囲内であることにより、既存被膜と上塗材被膜との密着性が一層高まり、被膜の剥れ等を防止することができ、長期にわたる美観性保持等の点で好適である。
なお、SiO2換算とは、Si-O結合をもつ化合物を、完全に加水分解した後に、900℃で焼成した際にシリカ(SiO2)となって残る重量分にて表したものである。一般に、テトラアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン等は、水と反応して加水分解反応が起こりシラノールとなり、さらにシラノール同士やシラノールとアルコキシにより縮合反応を起こす性質を持っている。この反応を究極まで行うと、シリカ(SiO2)となる。これらの反応は、
RO(Si(OR)2O)nR+(n+1)H2O→nSiO2+(2n+2)ROH
(Rはアルキル基を示す。nは整数。)
という反応式で表される。本発明におけるSiO2換算は、この反応式をもとに残るシリカ成分の量を換算したものである。
(B)成分として反応性シリル基を有する化合物を使用する場合、硬化触媒を併せて使用することもできる。硬化触媒としては、例えば、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタネート化合物、酸性化合物、アミン化合物、アルカリ性化合物等が挙げられ、これらは1種または2種以上で使用できる。
上塗材における増粘剤(C)としては、例えば、有機ベントナイト、微粉シリカ、表面処理炭酸カルシウム、アマイドワックス、水添ヒマシ油ワックス、ベンジリデンソルビトール、金属石鹸、酸化ポリエチレン、重合植物油、ポリカルボン酸アミン塩等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。
増粘剤(C)の混合比率は、樹脂成分(B)の固形分100重量部に対して、好ましくは0.1~10重量部、より好ましくは0.2~5重量部である。増粘剤(C)の混合量がこのような範囲内であれば、上塗材が既存壁面の凹凸に沿って満遍なく塗着しやすくなり、既存被膜の劣化抑制、長期にわたる美観性保持等の点で好適であり、本発明の効果を安定的に得ることができる。
上塗材において、樹脂成分(B)の固形分は、上塗材中に25~75重量%であり、好ましくは35~70重量%である。上塗材における樹脂成分(B)の固形分{塗装時の上塗材の重量を基準としたとき、その中に占める樹脂成分(B)の重量比率}がこのような比率であることにより、既存壁面の凹凸に沿って、上塗材を満遍なく塗着することができ、凹凸模様を活かしつつ、既存被膜の劣化抑制、長期にわたる美観性保持等において優れた性能を備えた新設被膜を形成することが可能となる。樹脂成分(B)の固形分が上記値に満たない場合は、凹凸模様を有する既存壁面において、上塗材の塗着状態が不均一となりやすく、既存被膜の劣化抑制等に支障をきたすおそれがある。樹脂成分(B)の固形分が上記値を超える場合は、既存壁面の凹凸模様を活かした仕上りが得られ難くなるおそれがある。なお、固形分は、JIS K5601-1-2の方法にて測定される値であり、加熱温度は105℃、加熱時間は60分である。
本発明における上塗材は、可視光透過性を有する被膜を形成するものである。これにより、透明性を有する被膜を形成することができ、既存被膜面の色彩(単色、多色模様等)を活かした仕上りを得ることが可能となる。この可視光透過性は、既存被膜面が視認できる程度であればよく、被膜は無色透明、着色透明のいずれであってもよく、また艶有り、艶消し(7分艶、5分艶、3分艶等を含む)のいずれであってもよい。着色透明の被膜は、例えば、着色顔料、染料等を含む上塗材によって形成できる。艶消しの被膜は、例えば、体質顔料、艶消し剤等を含む上塗材によって形成できる。
可視光透過性の程度は、可視光透過率で示すことができる。可視光透過率は、好ましくは30%以上、より好ましくは35~100%、さらに好ましくは40~95%である。なお、可視光透過率は、膜厚30μmの被膜について、波長580nmの光の透過率を、分光光度計を用いて測定した値(被膜なし(空気)の場合を透過率100%とする)である。
このような可視光透過性を得るには、例えば、上塗材中の着色顔料比率を低く設定すればよい。上塗材中の着色顔料比率は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは0~3重量%である。上塗材が着色顔料を含まない態様も好適である。
本発明における上塗材は、紫外線透過率が30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは0~15%である被膜を形成するものである。本発明では、紫外線透過率が上記範囲内であることにより、太陽光に対する耐性等を高めることができ、変色、ひび割れ等の劣化抑制、美観性保持等の効果を得ることが可能となる。なお、紫外線透過率は、膜厚30μmの被膜について、波長350nmの光の透過率を、分光光度計を用いて測定した値(被膜なし(空気)の場合を透過率100%とする)である。
このような紫外線透過率を得る手段としては、例えば、
(1)紫外線吸収性基を有する樹脂成分を含有する上塗材を使用する。
(2)紫外線吸収剤を含有する上塗材を使用する。
(3)紫外線遮蔽性粉体を含む上塗材を使用する。
等が挙げられる。これらの手段は、単独で採用してもよいし、組み合わせて採用してもよい。
上記(1)では、例えば、樹脂成分(B)として、樹脂構成成分中に紫外線吸収性基含有モノマーを含む化合物等を使用すればよい。この場合、当該化合物中における紫外線吸収性基含有モノマーの比率は、好ましくは0.05~10重量%、より好ましくは0.1~5重量%である。
上記(2)における紫外線吸収剤(重合性不飽和二重結合を有する化合物を除く)としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、マロン酸エステル系紫外線吸収剤、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤等が挙げられる。このうち、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-ドデシルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシベンゾフェノン、ビス(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、4-ドデシルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ステアリルオキシベンゾフェノン等が挙げられる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシアルキルエステル、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコールの反応生成物等が挙げられる。トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヒドロキシフェニル誘導体、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルの反応生成物、2,4-ビス「2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3-5-トリアジン等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。紫外線吸収剤の混合比率は、樹脂成分(B)の固形分100重量部に対し、好ましくは0.05~10重量部、より好ましくは0.1~5重量部である。
上記(3)における紫外線遮蔽性粉体としては、紫外線を吸収及び/または反射する性能を有するものが使用でき、例えば、アルミナ、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、リン酸亜鉛、雲母、寒水石、タルク、珪藻土、白土、カオリン、クレー、陶土、バライト粉、珪砂、珪石粉、ホワイトカーボン、金属粉、有機樹脂粉体等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。紫外線遮蔽性粉体の平均粒子径は、好ましくは1~200nmである。上記(3)においては、可視光透過性が確保できる範囲内で、紫外線遮蔽性粉体の混合比率を設定することが望ましい。
本発明における上塗材は、上記成分以外に、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内において、必要に応じ、公知の添加剤、例えば、骨材、色粒、着色顔料、体質顔料、染料、艶消し剤、増粘剤、湿潤剤、脱水剤、レベリング剤、可塑剤、繊維、凍結防止剤、造膜助剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、光安定剤、酸化防止剤、密着性付与剤、低汚染化剤、親水化剤、撥水剤、架橋剤、硬化促進剤、触媒、溶剤等を含むものであってもよい。
本発明の上塗材は、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び必要に応じ上述の各種成分を常法によって均一に混合することで製造できる。上塗材の形態は、例えば、1液型、2液型、またはそれ以上の多液型とすることができる。
本発明における上塗材は、好ましくは伸び率が20%以上(より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上)である被膜を形成するものである。本発明では、伸び率が上記範囲内であることにより、水に対する耐性等を高めることができ、変色、ひび割れ等の劣化抑制、美観性保持等の効果を一層高めることが可能となる。伸び率の上限は、好ましくは300%以下、より好ましくは200%以下である。伸び率の上限がこのような範囲内であることにより、耐汚染性等の点で好適である。
なお、本発明における伸び率は、JIS A6909「7.26伸び試験」の「標準時の伸び試験」の方法によって測定した値(23℃時の伸び率)である。ただし、試験片としては、乾燥膜厚80μmのものを使用する。
本発明では、このような上塗材を塗付(塗装)することにより、新設被膜を形成する。上塗材は、既存壁面に対し直接塗装することができるが、必要に応じ各種前処理を行っておくこともできる。前処理としては、例えば、劣化の著しい既存被膜の除去、高圧水洗等による汚染物質等の除去、パテ、フィラー等による補修、表面形状の復元等が挙げられる。既存壁面において、新たにシーリング材を打設した場合は、シーリング材の打設後、概ね2~10日後に上塗材を塗付することが望ましい。
上塗材としては、上述の条件を満たす1種または2種以上の上塗材が使用できる。本発明では、このような上塗材を塗り重ねることもできる。例えば、1種の上塗材を複数回塗り重ねてもよいし、2種以上の上塗材を塗り重ねてもよい。塗り重ねを行う際には、適宜インターバルを設け、被膜を乾燥させることもできる。
上塗材の塗付においては、公知の塗装器具を用いることができる。塗装器具としては、例えば、スプレー、ローラー、刷毛等を使用することができる。上塗材は、必要に応じ適宜希釈した後に塗装に供することができる。
上塗材塗装時の塗付け量は、好ましくは100~600g/m2、より好ましくは150~500g/m2である。上塗材の塗付け量の下限が上記値であることにより、新設被膜に、太陽光や水への耐性が十分に付与され、既存被膜面に起因する変色、ひび割れ等の劣化抑制、長期にわたる美観性保持等の点で好適である。上塗材の塗付け量の上限が上記値であることにより、既存被膜面の凹凸模様等を活かした仕上りを得ることができる。なお、上塗材を塗り重ねた場合は、合計の塗付け量が上記範囲内となることが望ましい。上塗材の塗り回数は、好ましくは1~3回である。
塗装時の上塗材の粘度は、好ましくは0.1~10Pa・s、より好ましくは0.2~5Pa・sである。上塗材の粘度がこのような範囲内であることにより、本発明の効果を安定して得ることができる。なお、ここに言う粘度は、BH型粘度計による20rpmにおける粘度(4回転目の指針値)を測定することにより求められる値であり、測定温度は23℃である。
上塗材塗付後の乾燥は、常温(好ましくは0~50℃、より好ましくは5~45℃)で行えばよく、必要に応じ加熱することもできる。
このような上塗材によって形成される新設被膜の膜厚(塗り重ねた場合は、塗り重ね後の合計膜厚)は、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上、さらに好ましくは60μm以上、特に好ましくは65μm超、最も好ましくは70μm以上である。新設被膜の膜厚の上限は特に限定されないが、好ましくは300μm以下、より好ましくは250μm以下、さらに好ましくは200μm以下である。なお、本発明における膜厚は、乾燥膜厚のことであり、1種または2種以上の上塗材を塗り重ねた場合は、塗り重ね後の合計乾燥膜厚である。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
上塗材として、以下の上塗材1~12を用意した。
(上塗材1)
ポリオール1{非水分散型アクリルポリオール(アクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸アクリルエステル・メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル共重合体分散液、樹脂構成成分中(M)成分62重量%、(m1)成分18重量%、r=0.29、水酸基価40KOHmg/g、重量平均分子量70000、固形分50重量%、媒体:ミネラルスピリット(アニリン点42℃)}、ポリオール2{含フッ素ポリオール溶液、水酸基価40KOHmg/g、固形分50重量%、媒体:ミネラルスピリット(同上)}、紫外線吸収剤、光安定剤、増粘剤(アマイドワックス)、消泡剤、及びソルベントナフサ(アニリン点13℃)を含む主剤と、
ポリイソシアネート1(1,6-ジイソシアナトヘキサン誘導体、数平均官能基数2.2、固形分100重量%)、テトラアルコキシシラン化合物(テトラメトキシシラン縮合物のイソブチルアルコール変性物)、及びミネラルスピリット(同上)を含む硬化剤との混合物(NCO/OH比1.0)。
ポリオール1:ポリオール2=80:20(固形分重量比)、
上塗材における樹脂成分の固形分:45重量%、反応性シリル基を有する化合物の比率:3重量%(SiO2換算)、全非水系溶剤中のミネラルスピリット比率:80重量%・ソルベントナフサ比率:20重量%、増粘剤比率:樹脂成分の固形分100重量部に対し固形分で1重量部、可視光透過率:63%、紫外線透過率:5%、伸び率:130%。
(上塗材2)
ポリオール1(同上)、ポリオール2(同上)、紫外線吸収剤、光安定剤、増粘剤(同上)、消泡剤、及びソルベントナフサ(同上)を含む主剤と、
ポリイソシアネート1(同上)、テトラアルコキシシラン化合物(同上)、及びミネラルスピリット(同上)を含む硬化剤との混合物(NCO/OH比1.0)。
ポリオール1:ポリオール2=70:30(固形分重量比)、
上塗材における樹脂成分の固形分:45重量%、反応性シリル基を有する化合物の比率:3重量%(SiO2換算)、全非水系溶剤中のミネラルスピリット比率:80重量%・ソルベントナフサ比率:20重量%、増粘剤比率:樹脂成分の固形分100重量部に対し固形分で1重量部、可視光透過率:63%、紫外線透過率:5%、伸び率:130%。
(上塗材3)
ポリオール1(同上)、ポリオール2(同上)、紫外線吸収剤、光安定剤、増粘剤(同上)、消泡剤、及びソルベントナフサ(同上)を含む主剤と、
ポリイソシアネート1(同上)、テトラアルコキシシラン化合物(同上)、及びミネラルスピリット(同上)を含む硬化剤との混合物(NCO/OH比1.0)。
ポリオール1:ポリオール2=70:30(固形分重量比)、
上塗材における樹脂成分の固形分:38重量%、反応性シリル基を有する化合物の比率:3重量%(SiO2換算)、全非水系溶剤中のミネラルスピリット比率:80重量%・ソルベントナフサ比率:20重量%、増粘剤比率:樹脂成分の固形分100重量部に対し固形分で1重量部、可視光透過率:63%、紫外線透過率:5%、伸び率:130%。
(上塗材4)
ポリオール3{非水分散型アクリルポリオール(アクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸アクリルエステル・メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル共重合体分散液、樹脂構成成分中(M)成分62重量%、(m1)成分54重量%、r=0.87、水酸基価40KOHmg/g、重量平均分子量60000、固形分50重量%、媒体:ミネラルスピリット(同上)}、ポリオール2(同上)、紫外線吸収剤、光安定剤、増粘剤(同上)、消泡剤、及びソルベントナフサ(同上)を含む主剤と、
ポリイソシアネート2{1,6-ジイソシアナトヘキサン誘導体、数平均官能基数2.6、固形分100重量%}、テトラアルコキシシラン化合物(同上)、及びミネラルスピリット(同上)を含む硬化剤との混合物(NCO/OH比1.0)。
ポリオール3:ポリオール2=70:30(固形分重量比)、
上塗材における樹脂成分の固形分:45重量%、反応性シリル基を有する化合物の比率:3重量%(SiO2換算)、全非水系溶剤中のミネラルスピリット比率:80重量%・ソルベントナフサ比率:20重量%、増粘剤比率:樹脂成分の固形分100重量部に対し固形分で1重量部、可視光透過率:62%、紫外線透過率:6%、伸び率:45%。
(上塗材5)
ポリオール1(同上)、ポリオール2(同上)、紫外線吸収剤、光安定剤、増粘剤(同上)、消泡剤、及びソルベントナフサ(同上)を含む主剤と、
ポリイソシアネート1(同上)、テトラアルコキシシラン化合物(同上)、及びミネラルスピリット(同上)を含む硬化剤との混合物(NCO/OH比1.0)。
ポリオール1:ポリオール2=70:30(固形分重量比)、
上塗材における樹脂成分の固形分:45重量%、反応性シリル基を有する化合物の比率:3重量%(SiO2換算)、全非水系溶剤中のミネラルスピリット比率:80重量%・ソルベントナフサ比率:20重量%、増粘剤比率:樹脂成分の固形分100重量部に対し固形分で1重量部、可視光透過率:64%、紫外線透過率:25%、伸び率:130%。なお、上塗材9では上塗材4よりも紫外線吸収剤の混合量を減じて、紫外線透過率が上記値となるように調製した。
(上塗材6)
ポリオール1(同上)、ポリオール2(同上)、紫外線吸収剤、光安定剤、増粘剤(同上)、消泡剤、及びソルベントナフサ(同上)を含む主剤と、
ポリイソシアネート1(同上)、テトラアルコキシシラン化合物(同上)、及びミネラルスピリット(同上)を含む硬化剤との混合物(NCO/OH比1.0)。
ポリオール1:ポリオール2=70:30(固形分重量比)、
上塗材における樹脂成分の固形分:45重量%、反応性シリル基を有する化合物の比率:3重量%(SiO2換算)、全非水系溶剤中のミネラルスピリット比率:80重量%・ソルベントナフサ比率:20重量%、増粘剤比率:樹脂成分の固形分100重量部に対し固形分で0.1重量部、可視光透過率:64%、紫外線透過率:6%、伸び率:130%。
(上塗材7)
ポリオール4{可溶型アクリルポリオール(アクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸アクリルエステル・メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル共重合体溶液、樹脂構成成分中(M)成分62重量%、(m1)成分18重量%、r=0.29、
水酸基価50KOHmg/g、重量平均分子量20000、固形分50重量%、媒体:ミネラルスピリット(同上)}、ポリオール2(同上)、紫外線吸収剤、光安定剤、増粘剤(同上)、消泡剤、及びソルベントナフサ(同上)を含む主剤と、
ポリイソシアネート1(同上)、テトラアルコキシシラン化合物(同上)、及びミネラルスピリット(同上)を含む硬化剤との混合物(NCO/OH比1.0)。
ポリオール1:ポリオール2=70:30(固形分重量比)、
上塗材における樹脂成分の固形分:45重量%、反応性シリル基を有する化合物の比率:3重量%(SiO2換算)、全非水系溶剤中のミネラルスピリット比率:80重量%・ソルベントナフサ比率:20重量%、増粘剤比率:樹脂成分の固形分100重量部に対し固形分で1重量部、可視光透過率:64%、紫外線透過率:6%、伸び率:120%。
(上塗材8)
ポリオール1(同上)、ポリオール2(同上)、紫外線吸収剤、光安定剤、増粘剤(同上)、消泡剤、及びソルベントナフサ(同上)を含む主剤と、
ポリイソシアネート1(同上)、テトラアルコキシシラン化合物(同上)、及びミネラルスピリット(同上)を含む硬化剤との混合物(NCO/OH比1.0)。
ポリオール1:ポリオール2=50:50(固形分重量比)、
上塗材における樹脂成分の固形分:45重量%、反応性シリル基を有する化合物の比率:3重量%(SiO2換算)、全非水系溶剤中のミネラルスピリット比率:80重量%・ソルベントナフサ比率:20重量%、増粘剤比率:樹脂成分の固形分100重量部に対し固形分で1重量部、可視光透過率:62%、紫外線透過率:5%、伸び率:130%。
(上塗材9)
ポリオール1(同上)、ポリオール2(同上)、紫外線吸収剤、光安定剤、増粘剤(同上)、消泡剤、及びソルベントナフサ(同上)を含む主剤と、
ポリイソシアネート1(同上)、テトラアルコキシシラン化合物(同上)、及びミネラルスピリット(同上)を含む硬化剤との混合物(NCO/OH比1.0)。
ポリオール1:ポリオール2=30:70(固形分重量比)、
上塗材における樹脂成分の固形分:45重量%、反応性シリル基を有する化合物の比率:3重量%(SiO2換算)、全非水系溶剤中のミネラルスピリット比率:80重量%・ソルベントナフサ比率:20重量%、増粘剤比率:樹脂成分の固形分100重量部に対し固形分で1重量部、可視光透過率:61%、紫外線透過率:5%、伸び率:140%。
(上塗材10)
ポリオール1(同上)、ポリオール2(同上)、紫外線吸収剤、光安定剤、増粘剤(同上)、消泡剤、及びソルベントナフサ(同上)を含む主剤と、
ポリイソシアネート1(同上)、テトラアルコキシシラン化合物(同上)、及びミネラルスピリット(同上)を含む硬化剤との混合物(NCO/OH比1.0)。
ポリオール1:ポリオール2=70:30(固形分重量比)、
上塗材における樹脂成分の固形分:22重量%、反応性シリル基を有する化合物の比率:3重量%(SiO2換算)、全非水系溶剤中のミネラルスピリット比率:80重量%・ソルベントナフサ比率:20重量%、増粘剤比率:樹脂成分の固形分100重量部に対し固形分で1重量部、可視光透過率:63%、紫外線透過率:5%、伸び率:120%。
(上塗材11)
ポリオール1(同上)、ポリオール2(同上)、紫外線吸収剤、光安定剤、増粘剤(同上)、消泡剤、及びソルベントナフサ(同上)を含む主剤と、
ポリイソシアネート1(同上)、テトラアルコキシシラン化合物(同上)、及びミネラルスピリット(同上)を含む硬化剤との混合物(NCO/OH比1.0)。
ポリオール1:ポリオール2=99.2:0.8(固形分重量比)、
上塗材における樹脂成分の固形分:45重量%、反応性シリル基を有する化合物の比率:3重量%(SiO2換算)、全非水系溶剤中のミネラルスピリット比率:80重量%・ソルベントナフサ比率:20重量%、増粘剤比率:樹脂成分の固形分100重量部に対し固形分で1重量部、可視光透過率:64%、紫外線透過率:5%、伸び率:120%。
(上塗材12)
ポリオール1(同上)、紫外線吸収剤、光安定剤、増粘剤(同上)、消泡剤、及びソルベントナフサ(同上)を含む主剤と、
ポリイソシアネート1(同上)、テトラアルコキシシラン化合物(同上)、及びミネラルスピリット(同上)を含む硬化剤との混合物(NCO/OH比1.0)。
上塗材における樹脂成分の固形分:45重量%、反応性シリル基を有する化合物の比率:3重量%(SiO2換算)、全非水系溶剤中のミネラルスピリット比率:80重量%・ソルベントナフサ比率:20重量%、増粘剤比率:樹脂成分の固形分100重量部に対し固形分で1重量部、可視光透過率:64%、紫外線透過率:6%、伸び率:120%。
○試験体作製
既存壁面として、屋外曝露により劣化した灰色の窯業系サイディングボート(表面にタイル目地調の凸部と凹部(目地)、凸部にはさらに不定形の凹凸模様を有し、最表層塗膜として無機質クリヤー被膜を有するもの)を用意した。この既存壁面の全面に対し、上塗材を塗付け量110g/m2(実施例15、16では30g/m2)にてスプレー塗装し、2時間乾燥後、再度塗付け量110g/m2(実施例15、16では30g/m2)にてスプレー塗装し、7日間乾燥養生することにより、試験体を作製した。なお、塗装ないし養生の工程は、すべて標準状態(気温23℃、相対湿度50%)下で行った。
○試験
以下の試験1~5を行った。
(試験1)
上記方法で作製した試験体について、水浸漬14日後、凹凸模様の各部位の被膜にカッターナイフでクロスカットを入れ、このクロスカット部分にテープを貼り付けて剥ぐことにより密着性を評価した。評価は、剥れが認められなかったものを「A」、概ね良好であったが一部剥れが認められたものを「B」、剥れが多く認められたものを「C」として行った。
(試験2)
上記方法で作製した試験体について、促進耐候性試験機(メタルウェザー;ダイプラウィンテス株式会社製)による曝露を500時間行った後、試験体表面の外観変化(光沢、色、浮き、剥れ、ひび割れの状態)を観察した。評価は、その外観変化を曝露前の試験体と比較し、「A:変化なし」、「C:光沢低下、変色、浮き、剥れまたはひび割れ進行あり」とする3段階(優;A>B>C;劣)にて行った。
(試験3)
上記試験2の後、促進耐候性試験機による曝露をさらに500時間行い(合計1000時間)、試験体表面の外観変化(光沢、色、浮き、剥れ、ひび割れの状態)を観察した。評価は、その外観変化を曝露前の試験体と比較し、「A:変化なし」、「C:光沢低下、変色、浮き、剥れまたはひび割れ進行あり」とする3段階(優;A>B>C;劣)にて行った。
(試験4)
上記試験3の後、促進耐候性試験機による曝露をさらに500時間行い(合計1500時間)、試験体表面の外観変化(光沢、色、浮き、剥れ、ひび割れの状態)を観察した。評価は、その外観変化を曝露前の試験体と比較し、「A:変化なし」、「C:光沢低下、変色、浮き、剥れまたはひび割れ進行あり」とする3段階(優;A>B>C;劣)にて行った。
(試験5)
上記方法で作製した試験体について3か月間屋外曝露を行い、試験体表面の汚れ等による外観変化を観察し、汚れの程度が軽微であったものを「A」とする3段階(優;A>B>C;劣)で評価した。
(試験結果)
試験結果を表1~2に示す。実施例1~10では、各上塗材から形成される新設被膜により、既存壁面の凹凸模様や色彩模様を活かした仕上りを得ることができ、試験1~5においても良好な結果を得ることができた。