JP5419068B2 - 厚膜型防食塗膜の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は厚膜型防食塗膜の形成方法に関し、例えば、自動車のシャーシやその他の金属部品、タンク等の鋼構造物、橋梁、水道管、機械等の金属性構築物、建造物、家具、家電の筐体に厚膜型の防食塗膜を形成する方法に関する。
従来、自動車のシャーシやその他の金属部品、タンク等の鋼構造物、橋梁、水道管、機械等の金属製構築物、建造物、家具、家電の筐体は、大気や降雨による腐食性環境から保護するために、例えば、外表面に防食塗料を塗布するなど、防食塗装が施されている。また、この防食性を強化するために下塗り及び上塗りの二層塗りにすることにより厚膜型防食塗膜が形成されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。更に、防食性を一層強化するために下塗り及び上塗りをそれぞれ多層塗りにすることにより厚膜型防食塗膜が形成されている。
特開平7−8905号公報 特開平9−57192号公報
しかしながら、下塗り及び上塗りをそれぞれ多層塗りにすることは工程数が多くなることであり、コスト高の要因になっている。
本発明の目的は、それぞれ1回の下塗り及び上塗りで従来の各層の多層塗りによる防食効果と同等の防食効果を得ることができる厚膜型防食塗膜の形成方法を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、特定組成の弱溶剤型ハイソリッド変性エポキシ樹脂塗料を下塗りし、次いで、特定組成の弱溶剤型ハイソリッドポリウレタン樹脂塗料を上塗りすることにより、上記の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の厚膜型防食塗膜の形成方法は、バインダー樹脂成分の全質量を基準にしてエポキシ当量が400〜2000g/eqである変性エポキシ樹脂70〜95質量%、アミン樹脂1〜20質量%及び反応性希釈剤1〜20質量%からなるバインダー樹脂成分を含み、不揮発性成分量が塗料の全質量を基準にして80〜100質量%である弱溶剤型ハイソリッド変性エポキシ樹脂塗料を下塗りし、次いで、バインダー樹脂成分の全質量を基準にして水酸基価が10〜100mgKOH/gであるポリオール樹脂65〜95質量%及びポリイソシアネート樹脂5〜35質量%からなるバインダー樹脂成分を含み、不揮発性成分量が塗料の全質量を基準にして70〜100質量%である弱溶剤型ハイソリッドポリウレタン樹脂塗料を上塗りすることを特徴とする。
本発明の厚膜型防食塗膜の形成方法により、それぞれ1回の下塗り及び上塗りで従来の各層の多層塗りによる防食効果と同等の防食効果を得ることができる。
本発明の厚膜型防食塗膜の形成方法で用いる弱溶剤型ハイソリッド変性エポキシ樹脂塗料を構成する変性エポキシ樹脂としてエポキシ当量が400〜2000g/eqであり、弱溶剤に可溶な変性エポキシ樹脂を用いる。エポキシ当量が400g/eq未満である場合には、架橋密度が高すぎて塗膜の硬化収縮が大きくなり、付着阻害を起こす可能性がある。逆にエポキシ当量が2000g/eqを超える場合には、塗料粘度が高すぎてハイソリッド塗料とはなりにくい。
上記の変性エポキシ樹脂として、例えば、特開2002−088299号公報に記載されているようなアルキルフェノール変性エポキシ樹脂、脂肪酸変性エポキシ樹脂や、特開2004−204135号公報に記載されているような脂肪族1級アミン類及び/又は脂肪族2級アミン類で変性した変性エポキシ樹脂がある。変性エポキシ樹脂の製造に用いられるエポキシ樹脂として、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、その他のグリシジル型エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂等を挙げることができる。
上記のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂は、例えば、多価アルコール、多価フェノール等と過剰量のエピハロヒドリン又はアルキレンオキシドとを反応させて得ることができる。上記の多価アルコールの例として、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール等を挙げることができる。また、上記の多価フェノールの例として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、2,2−ビス(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ハロゲン化ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]、トリス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、レゾルシン、テトラヒドロキシフェニルエタン、1,2,3−トリス(2,3−エポキシプロポキシ)プロパン、ノボラック型多価フェノール、クレゾール型多価フェノール等を挙げることができる。
上記のグリシジルエステル型エポキシ樹脂として、例えば、フタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル等を挙げることができる。
上記のその他のグリシジル型エポキシ樹脂として、例えば、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができる。
上記の脂環族エポキシ樹脂として、例えば、(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等を挙げることができる。
上記の変性剤として使用できるアルキルフェノールとしては炭素原子数約2〜18のアルキル基を有するアルキルフェノールが好ましく、その具体例として、パラt−ブチルフェノール、パラオクチルフェノール、ドデシルフェノール等を挙げることができる。また、上記の変性剤として使用できる脂肪酸としては乾性油脂肪酸、半乾性油脂肪酸が好適であり、その具体例として、アマニ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻実油脂肪酸、ブドウ核油脂肪酸、キリ油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、クルミ油脂肪酸、ゴム種油脂肪酸、オイチシカ油脂肪酸、魚油脂肪酸、ハイジエン脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸等を挙げることができる。上記の変性剤であるアルキルフェノール及び脂肪酸はそれぞれ1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記の変性剤として使用できる脂肪族1級アミン類としては、1分子中に1級アミノ基を1個以上有する脂肪族の化合物であれば良く、その構造が特に制限されるものではないが、炭素原子数が2〜38の脂肪族炭化水素基を有する脂肪族1級アミン類である事が好ましく、例えば、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、2−エチルヘキシルアミン、モノエタノールアミン等を挙げることができ、これらの中でも得られる変性エポキシ樹脂の弱溶剤に対する溶解性が良好である点から、オレイルアミン、2−エチルヘキシルアミンが特に好ましい。また、これらの化合物は1種類単独でも、2種類以上の混合物としても用いることも可能である。
上記の変性剤として使用できる脂肪族2級アミン類としては、1分子中に2級アミノ基を1個以上有する脂肪族の化合物であれば良くその構造が特に制限されるものではないが、アルカノールアミン類であることが好ましく、例えば、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン等を挙げることができ、これらの中でも得られる変性エポキシ樹脂の硬化塗膜の耐食性が良好である点からジエタノールアミンが特に好ましい。また、これらの化合物は1種類単独でも、2種類以上の混合物としても用いることが可能である。
本発明の厚膜型防食塗膜の形成方法で用いる弱溶剤型ハイソリッド変性エポキシ樹脂塗料を構成するアミン樹脂として、一般にエポキシ樹脂硬化剤として用いられるアミン系化合物が何れも使用でき、脂肪族ポリアミン樹脂、脂肪族ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミン樹脂等を挙げることができる。
脂肪族ポリアミンとして、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアルキレンポリアミン、ノルボルナンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノ3,6−ジエチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン等の複素環式ポリアミン等を挙げることができる。
脂肪族ポリアミド樹脂として、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族ポリアミンと、1価脂肪族カルボン酸又は多価カルボン酸とを反応させたものを挙げることができる。ここで使用し得る1価脂肪族カルボン酸は、飽和脂肪酸であるパルミチン酸、ステアリン酸、不飽和脂肪酸であるリノレイン酸、オレイン酸、リノール酸、エライジン酸、リシノレイン酸等を挙げることができ、また、多価カルボン酸としては、脂肪族ポリアミンと不飽和脂肪酸を重合させることによって得られるダイマー酸やトリマー酸との脱水縮合物を挙げることができる。これらのなかでも特に、高引火点有機溶媒への溶解性が良好となる点から脂肪族ポリアミン、特に、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミンか、脂環式ポリアミン、特にノルボルナンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが好ましい。
芳香族ポリアミンとしては、m−キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等を挙げることができる。
本発明の厚膜型防食塗膜の形成方法で用いる弱溶剤型ハイソリッド変性エポキシ樹脂塗料を構成する反応性希釈剤として従来公知の種々の反応性希釈剤、例えばジグリシジル化合物等を用いることができる。
ジグリシジル型反応性希釈剤として、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ(2−ヒドロキシプロピレン)グリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等を挙げることができる。他のジグリシジル型反応性希釈剤としては、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリンなどが例示される。また、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルまたはグリセリントリグリシジルエーテルのようなトリグリシジルエーテル型反応性希釈剤を用いても良い。カージュラE(glycidyl ester of versatic acid)等を用いることもできる。
本発明の厚膜型防食塗膜の形成方法で用いる弱溶剤型ハイソリッド変性エポキシ樹脂塗料を構成する各成分の組成割合については、防食性、耐水性、耐薬品性等の塗膜性能を考慮して、バインダー樹脂成分の全質量を基準にして、エポキシ当量が400〜2000g/eqである変性エポキシ樹脂70〜95質量%、アミン樹脂1〜20質量%及び反応性希釈剤1〜20質量%からなることが好ましく、また、不揮発性成分量が塗料の全質量を基準にして80〜100質量%であることが好ましい。従って、弱溶剤型ハイソリッド変性エポキシ樹脂塗料はミネラルスピリット(ミネラルシンナー、ペトロリウムスピリット、ホワイトスピリット及びミネラルターペンを含む)、ブチルセロソルブ等の溶剤を0〜20質量%含有することができる。
本発明の厚膜型防食塗膜の形成方法で用いる弱溶剤型ハイソリッド変性エポキシ樹脂塗料はバインダー樹脂の任意成分として非反応性の希釈剤(変性樹脂)、例えばキシレン樹脂、スチレン化フェノール樹脂、テルペン樹脂、テルペン化フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂等を用いることができる。
本発明の厚膜型防食塗膜の形成方法で用いる弱溶剤型ハイソリッドポリウレタン樹脂塗料を構成するポリオール樹脂としては水酸基価が10〜100mgKOH/gである限りはその種類については限定されず、例えば、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、フッ素系ポリオール樹脂、シリコーンポリオール樹脂等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、ポリオール樹脂の水酸基価が10mgKOH/g未満である場合には、塗膜の架橋密度が低下し、耐水性や耐薬品性が低下する傾向があるので好ましくない。また、ポリオール樹脂の水酸基価が100mgKOH/gを超える場合には、塗料としては高粘度となり過ぎ、塗膜としては架橋密度が高くなり過ぎることで、塗膜の硬化収縮が大きくなり、下地塗膜との付着性が低下する傾向があるので好ましくない。
上記のアクリルポリオール樹脂は、ヒドロキシル基含有アクリルモノマーと他のエチレン性不飽和モノマーとを常法により共重合することにより得られるものである。上記ヒドロキシル基含有アクリルモノマーとしては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。
上記のポリエステルポリオール樹脂は、多価カルボン酸を主体とした酸成分と、多価アルコールを主体としたアルコール成分との重縮合物である。上記の酸成分としては特に限定されず、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその無水物;こはく酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸等を挙げることができる。
本発明の厚膜型防食塗膜の形成方法で用いる弱溶剤型ハイソリッドポリウレタン樹脂塗料を構成するポリイソシアネート樹脂としては、ミネラルスピリットに代表される弱溶剤に可溶な物であればその種類については特に限定されず、例えば、キシリレンジイソシアネートもしくはイソホロンジイソシアネートの如き各種環状ジイソシアネート類(脂環式ジイソシアネート類)、トリレンジイソシアネートもしくは4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートの如き各種の芳香族ジイソシアネート類のような有機ジイソシアネート化合物;これら有機ジイソシアネート化合物と、多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂(ポリエステルポリオール)または水などとの付加物;上記の如き有機ジイソシアネート化合物同士の重合体(イソシアヌレート型ポリイソシアネート化合物をも含む。)や、イソシアネート・ビゥレット体などを挙げることができる。また、塗膜の耐候性を考慮すると非黄変型のものが好ましい。
市販のポリイソシアネート樹脂として、例えば「デュラネートTSA−100」、「デュラネートTSS−100」〔以上、旭化成ケミカルズ(株)製〕などを挙げることができる。
本発明の厚膜型防食塗膜の形成方法で用いる弱溶剤型ハイソリッドポリウレタン樹脂塗料を構成する各成分の組成割合については、塗膜の耐候性や耐薬品性を考慮すると、バインダー樹脂成分の全質量を基準にして、水酸基価が10〜100mgKOH/gであるポリオール樹脂65〜95質量%及びポリイソシアネート樹脂5〜35質量%からなることが好ましく、また、不揮発性成分量が塗料の全質量を基準にして70〜100質量%であることが好ましい。従って、弱溶剤型ハイソリッドポリウレタン樹脂塗料はミネラルスピリット(ミネラルシンナー、ペトロリウムスピリット、ホワイトスピリット及びミネラルターペンを含む)、ブチルセロソルブ等の溶剤を0〜30質量%含有することができる。
本発明の厚膜型防食塗膜の形成方法で用いる弱溶剤型ハイソリッド変性エポキシ樹脂塗料を構成するエポキシ樹脂及び/又は弱溶剤型ハイソリッドポリウレタン樹脂塗料は顔料を含有することができ、その含有量は塗膜の隠蔽性や、塗料の粘性、塗装作業性等を考慮すると、バインダー樹脂成分の全質量を基準にして50〜100質量%となる量であることが好ましい。
本発明で用いることのできる顔料は従来公知の塗料配合用の顔料であり、具体的には、炭酸カルシウム、タルク、沈降性硫酸バリウム、ホワイトカーボン等の体質顔料、酸化チタン等の白色顔料、黄鉛、黄色弁柄、ベンジジンエロー等の黄色顔料、赤口黄鉛、クロムバーミリオン等の橙色顔料、弁柄、パーマネントレッド4R等の赤色顔料、コバルトバイオレット等の紫色顔料、群青、フタロシアニンブルー、コバルトブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン、コバルトグリーン、クロムグリーン等の緑色顔料等を挙げることができ、それらの表面処理したものも用いることができる。これらの顔料は1種単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
本発明の厚膜型防食塗膜の形成方法で用いる弱溶剤型ハイソリッド変性エポキシ樹脂塗料を構成するエポキシ樹脂及び/又は弱溶剤型ハイソリッドポリウレタン樹脂塗料は防食塗料に通常用いられている種々の添加剤、例えば顔料分散剤、表面調整剤、増粘剤、消泡剤等を含有することができる。
本発明の厚膜型防食塗膜の形成方法においては、エアレススプレー、エアースプレー、刷毛塗り、ローラー塗りなど常法により塗布することができる。なお、下塗りに先立ち、必要により、錆、油脂、水分、塵埃、スライム、塩分、旧塗膜などの外板表面付着物を清掃・除去してもよい。
本発明の厚膜型防食塗膜の形成方法で厚膜型塗膜の厚さは、十分な防食性能を確保するためには、100〜300μm程度とすることが好ましい。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
実施例1
みがき軟鋼板を120番の研磨紙で研磨した後、弱溶剤に可溶としたビスフェノールA型エポキシ樹脂168V70(JER社製、エポキシ当量420〜480、変性エポキシ樹脂)92.6質量部、ポリアミドアミン245HS(富士化成工業社製、アミン樹脂)3.7質量部、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(反応性希釈剤)1.9質量部、キシレン樹脂ニカノールK−100(フドー社製、変性樹脂)1.9質量部、酸化チタン13.0質量部、タルク16.7質量部、沈降性硫酸バリウム16.7質量部、リン酸アルミニウム4.6質量部、消泡剤0.9質量部、増粘剤0.9質量部及び溶剤1.2質量部からなる弱溶剤型ハイソリッド変性エポキシ樹脂塗料を乾燥膜厚で120μmとなるように下塗りし、24時間放置した。その後、水酸基価が45mgKOH/gであるポリオール樹脂ワニス50質量部、ポリイソシアネート樹脂ワニス5質量部、酸化チタン30質量部、沈降性硫酸バリウム10質量部、顔料分散剤1質量部、表面調整剤1質量部、粘性付与剤1質量部、消泡剤1質量部及びミネラルスピリット1質量部からなる弱溶剤型ハイソリッドポリウレタン樹脂塗料を乾燥膜厚で55μmとなるように塗装して試験板を作成した。
比較例1
みがき軟鋼板を120番の研磨紙で研磨した後、エポオールスマイル(大日本塗料社製商品名:弱溶剤型浸透性変性エポキシ樹脂下塗塗料、不揮発性成分量が塗料の全質量を基準にして71質量%)を乾燥膜厚60μmとなるように塗布し、24時間放置した後、エポオールスマイルを乾燥膜厚60μmとなるように塗布し、24時間放置した後、VトップHスマイル中塗塗料(大日本塗料社製商品名:弱溶剤型ポリウレタン樹脂塗料用中塗塗料、不揮発性成分量が塗料の全質量を基準にして70質量%)を乾燥膜厚30μmとなるように塗装し、24時間放置した後、VトップHスマイル上塗塗料(大日本塗料社製商品名:弱溶剤型ポリウレタン樹脂上塗塗料、不揮発性成分量が塗料の全質量を基準にして57質量%)を乾燥膜厚25μmとなるように塗装して試験板を作成した。
実施例1及び比較例1で得られた試験板に付き、付着性試験、塩水噴霧試験及び臭気性試験を以下の方法にて試験した。それらの結果を下記の第1表に示す。
<付着性試験>
カッターナイフで素地に達する2×2mmのゴバン目を25個作り、その表面にセロハン粘着テープを貼り、それを剥がし、みがき鋼板上に上塗り塗膜層が残存したゴバン目の数を数え、残存数/25で付着性を評価した。
<耐塩水噴霧試験>
JIS K 5600の方法に準拠して1000時間の噴霧を行い、塗膜表面を目視判定した。
<臭気性試験>
5名による官能テストを実施した。
Figure 0005419068
第1表に示す結果より明らかなように、2回塗りの実施例1に示す本発明の厚膜型防食塗膜の形成方法で得られた塗膜は、4回塗りの比較例1に従来の厚膜型防食塗膜の形成方法で得られた塗膜と同一又はそれ以上の性能を示している。

Claims (2)

  1. バインダー樹脂成分の全質量を基準にしてエポキシ当量が400〜2000g/eqである変性エポキシ樹脂70〜95質量%、アミン樹脂1〜20質量%及び反応性希釈剤1〜20質量%からなるバインダー樹脂成分を含み、不揮発性成分量が塗料の全質量を基準にして80〜100質量%である弱溶剤型ハイソリッド変性エポキシ樹脂塗料を下塗りし、次いで、バインダー樹脂成分の全質量を基準にして水酸基価が10〜100mgKOH/gであるポリオール樹脂65〜95質量%及びポリイソシアネート樹脂5〜35質量%からなるバインダー樹脂成分を含み、不揮発性成分量が塗料の全質量を基準にして70〜100質量%である弱溶剤型ハイソリッドポリウレタン樹脂塗料を上塗りすることを特徴とする厚膜型防食塗膜の形成方法。
  2. 顔料をバインダー樹脂成分の全質量を基準にして50〜100質量%となる量で含有している弱溶剤型ハイソリッド変性エポキシ樹脂塗料及び/又は顔料をバインダー樹脂成分の全質量を基準にして50〜100質量%となる量で含有している弱溶剤型ハイソリッドポリウレタン樹脂塗料を用いることを特徴とする請求項1記載の厚膜型防食塗膜の形成方法。
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