JP7016607B2 - ウレタン樹脂塗料組成物及びコンクリート基材の保護方法 - Google Patents
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Description
(1)プライマー塗装:コンクリート基材にプライマーを塗装し、コンクリート基材とパテの付着性を向上させるとともにコンクリート基材表層の脆弱な部分を補強する工程。
(2)パテ塗装:工程(1)より補強されたコンクリート基材に顔料を多く含む塗料を塗装し、パテ層を形成し、コンクリート基材の空隙を埋め、表面を平滑にする工程。
(3)中塗り塗装:パテ層に中塗り塗料を塗装し、防食性が付与できる連続層として中塗り塗膜を形成する工程。ここで、中塗り塗料としては、エポキシ樹脂塗料を使用する場合が多い。
(4)上塗り塗装:中塗り塗膜に上塗り塗料を塗装する工程。
R=(塗膜形成成分の質量)×100/(塗料組成物の質量)
高温高湿度になるに従い、イソシアネート基と空気中に存在する水の反応によって二酸化炭素が発生しやすく、塗膜の耐久性が低くなる傾向がある。そのため、温度35℃及び相対湿度90%の条件で発泡が少なく連続した塗膜が得られれば、気温10~30℃、相対湿度80%以下の条件で塗装しても、十分に耐久性のある塗膜が形成できると推測できる。
n=Mn(g/mol)×OHV(mgKOH/g)/56110
ここで、水酸基価とは、試料1g中の遊離水酸基を無水酢酸で完全にアセチル化した後、それを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。また、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されるポリスチレン換算した数平均分子量である。
ポリオールの数平均分子量が300未満であると、不粘着性が十分な塗膜が得られないため好ましくない。また、数平均分子量が10,000を超えると塗装作業性が不良となるため好ましくない。
ポリオール1分子あたりの水酸基の数が2.3未満であり、且つポリオールの水酸基に対するイソシアネート基が0.5~1.5当量の場合、塗膜の不粘着性が十分な塗膜が得られないため好ましくない。また、1分子あたりの水酸基の数が9.0を超え、且つポリオールの水酸基に対するイソシアネート基が0.5~1.5当量である場合、コンクリートのひび割れに対する追従性が十分でなく、塗膜の耐久性が得られない。
混合器にURIC H-854(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量800、水酸基価215、1分子あたりの水酸基の数3.0、粘度800mPa・s)を40質量部投入し、酸化チタン5質量部、炭酸カルシウム42質量部を加えて練合した後、BYK-358N(BYK社製レベリング剤)を2.0質量部、BYK-A535(BYK社製消泡剤)を3.0質量部、及びジブチルスズジラウレート(硬化促進剤)を0.2質量部、チヌビン400(BASF社製、ヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)系紫外線吸収剤)を2.0質量部、オルソ蟻酸エチル(脱水剤)を3.0質量部それぞれ攪拌環境下で徐々に投入し20分間攪拌を行い、主剤1を調製した。
上記主剤1の調製方法と同様に、以下の表1に示す配合処方に従って主剤2~20を調製した。なお、主剤8において、有機溶剤は練合前に投入した。
(注2)URIC H-81(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量500、水酸基価340、1分子あたりの水酸基の数3.0、粘度1,200mPa・s)
(注3)URIC H-102(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量880、水酸基価320、1分子あたりの水酸基の数5.0、粘度1,100mPa・s)
(注4)URIC H-368(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量700、水酸基価200、1分子あたりの水酸基の数2.5、粘度1,300mPa・s)
(注5)URIC F-40(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量700、水酸基価240、1分子あたりの水酸基の数3.0、粘度3,900mPa・s)
(注6)URIC HF-2009(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量2,550、水酸基価44、1分子あたりの水酸基の数2.0、粘度1,500mPa・s)
(注7)URIC H-1830(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量1,600、水酸基価77、1分子あたりの水酸基の数2.2、粘度1,100mPa・s)
(注8)アクリディック WTU-152(DIC社製ポリオールワニス、加熱残分66質量%、数平均分子量5,100、水酸基価100、1分子あたりの水酸基の数9.1、加熱残分の粘度は100,000mPa・sを超える)
先に調製した主剤1 64質量部にデュラネートAE700-100(旭化成ケミカルズ社製ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト変性体、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合11.9質量%、粘度800mPa・s)36質量部を混合撹拌し、塗料組成物1を調製した。ポリオールの水酸基に対するイソシアネート基は1.0当量、塗料組成物1の塗膜形成成分の割合は93.3質量%であった。
上記塗料組成物1の調製方法と同様に、表2~9に示す配合処方に従って塗料組成物2~60を調製した。各塗料組成物の塗膜形成成分の割合は表2~9に示す通りであった。
(注10)タケネートD-140N(三井化学社製イソホロンジイソシアネートのビュレット変性体の酢酸エチル溶液、加熱残分75質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合10.5質量%、粘度2500mPa・s)
(注11)デスモジュールE21(バイエル社製芳香族ポリイソシアネート、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合16.0質量%、粘度5400mPa・s)
(注12)デュラネートTSA-100(旭化成ケミカルズ社製ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合20.6質量%、粘度500mPa・s)
(注13)デスモジュールN3400(バイエル社製ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン変性体、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合21.8質量%、粘度175mPa・s)
該塗料組成物1~62の塗装作業性、タレ限界、発泡性、不粘着性、水蒸気透過度、伸び性、耐候性を測定及び評価した。結果を表2~9に示す。
コンクリート基材の水平面にパテ材又は塗料組成物を膜厚300μmとなるようにヘラで塗装し、下記の基準に従って評価した。このコンクリート基材は、表面が平滑な基材が、JIS A 5372:2004(プレキャスト鉄筋コンクリート製品)に規定するU形ふた、呼び名1種(400×600×60mm)を用いた。
〇:塗料組成物を容易に塗りつけられ、均一に仕上がり、規定の膜厚に容易に塗装できる。
△:塗料組成物を容易に塗りつけられ、均一に仕上がるが、規定の膜厚に容易に塗装できない。
×:塗料組成物を容易に塗りつけられない、または均一に仕上がらない。
ポリプロピレン板(厚み150mm、幅70mm)の垂直面に、下塗塗料組成物をヘラでタレが生じるまで塗装し、温度23℃相対湿度50%で168時間乾燥させた後、基材上端から20mmの位置の膜厚をタレ限界とした。なお、膜厚は塗膜を基材から剥離し、ノギスを用いて測定した。
ポリプロピレン板(厚み150mm、幅70mm)に塗料組成物を膜厚700μmとなるようにヘラで塗装し、温度35℃相対湿度90%で168時間乾燥させた塗膜について、基材に対し垂直に断面をとり、泡のない連続膜が得られている塗膜の表面積が占める割合を求め、その割合について下記の基準に従って評価した。
◎:70%以上である。
○:50%以上で且つ70%未満である。
×:50%未満である。
ガラス板に調製した塗料組成物を膜厚700μmとなるようにヘラで塗装し、温度35℃相対湿度90%で168時間乾燥させた塗膜に砂を撒き、刷毛で払い落とした際に塗膜に砂が残存するかを観察し、下記の基準に従って評価した。
〇:砂が残存しない。
×:砂が残存する。
本発明のウレタン樹脂塗料組成物をポリプロピレン板に刷毛で膜厚300μmとなるように塗布し、温度23℃相対湿度50%の環境下で168時間乾燥させた塗膜を剥離後、その剥離した塗膜の水蒸気透過度を、温度40℃相対湿度90%の環境下でJIS K7129のA法に規定の感湿センサー法に準拠して測定した。測定には水蒸気透過率測定装置(スイスリッシー社製「L80-4000J」)を用い、下記の基準に従い評価した。
◎: 水蒸気透過度が5mg/cm2・24h 以下である。
〇: 水蒸気透過度が5mg/cm2・24h より大きく、10mg/cm2・24h 以下である。
△:水蒸気透過度が10mg/cm2・24h より大きく、30mg/cm2・24h 以下である。
×: 水蒸気透過度が30mg/cm2・24h よりも大きい。
JSCE-K 532-2010に基づき作製した基板に、調製した塗料組成物を刷毛で膜厚300μmとなるように塗装し、気温23℃相対湿度50%の条件で28日乾燥させた試験体について、島津製作所社製オートグラフAG-100KN I型を用いJSCE-K 532-2010に定められた試験条件で引っ張り試験を行って、下記の基準に従って評価を行った。
◎:塗膜の破断距離が0.9mm以上
〇:塗膜の破断距離が0.6mm以上で且つ0.9mm未満
×:塗膜の破断距離が0.6mm未満
試験板に対して、JIS K5600-4-7に記載の方法で照射試験前と照射試験後の60°鏡面光沢度を測定し、60°鏡面光沢度保持率を計算し、またJIS K5600-4-6 3.2に記載の方法でサカタインクス株式会社製マクベス分光光度計CE-3100を用いて、照射試験前と照射試験後の色相を測定し、色差ΔEを算出した。この方法で、下記評価基準で評価した。
◎:60°鏡面光沢度保持率70%以上、かつ、ΔEが1.0未満
〇:60°鏡面光沢度保持率70%未満、50%以上、または、ΔEが1.0以上、1.5未満
△:60°鏡面光沢度保持率50%未満、40%以上、または、ΔEが1.5以上、2.0未満
×:60°鏡面光沢度保持率40%未満、または、ΔEが2.0以上
Claims (15)
- 塗料組成物中に占める塗膜形成成分の割合が80~100質量%であり、数平均分子量が300~10,000であり且つ1分子あたりの水酸基の数が2.3~9.0であるポリオールと、イソシアネート基の割合が10.0~17.7質量%であるポリイソシアネートとを含み、ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対するイソシアネート基が0.5~1.5当量であり、さらに塗膜形成成分中に占める顔料の割合が30~60質量%であり、前記ポリオール及び前記ポリイソシアネートは、それぞれ23℃での粘度が100,000mPa・s以下の液体であることを特徴とするウレタン樹脂塗料組成物。
- 塗料組成物中に占める塗膜形成成分の割合が80~100質量%であり、数平均分子量が300~10,000であり且つ1分子あたりの水酸基の数が2.3~9.0であるポリオールと、イソシアネート基の割合が10.0~17.7質量%であるポリイソシアネートとを含み、ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対するイソシアネート基が0.5~1.5当量であり、さらに塗膜形成成分中に占める顔料の割合が30~60質量%であるウレタン樹脂塗料組成物であって、前記塗料組成物の、せん断速度0.1s -1 の粘度が0.1~10,000Pa・sであり、且つせん断速度1,000s -1 の粘度が0.05~10Pa・sであることを特徴とするウレタン樹脂塗料組成物。
- 塗料組成物中に占める塗膜形成成分の割合が80~100質量%であり、数平均分子量が300~10,000であり且つ1分子あたりの水酸基の数が2.3~9.0であるポリオールと、イソシアネート基の割合が10.0~17.7質量%であるポリイソシアネートとを含み、ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対するイソシアネート基が0.5~1.5当量であり、さらに塗膜形成成分中に占める顔料の割合が30~60質量%であるウレタン樹脂塗料組成物であって、前記塗料組成物が2液硬化形塗料組成物であることを特徴とするウレタン樹脂塗料組成物。
- 温度23℃及び相対湿度50%の雰囲気下で、前記ウレタン樹脂塗料組成物から膜厚300μmの塗膜を形成した場合、該塗膜の水蒸気透過度が10mg/cm2・24h以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のウレタン樹脂塗料組成物。
- 前記塗料組成物中に占める有機溶剤の割合が0~20質量%であり、前記塗料組成物中に占める塗膜形成成分と有機溶剤の合計割合が100質量%であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のウレタン樹脂塗料組成物。
- 前記ポリオール及び前記ポリイソシアネートは、それぞれ23℃での粘度が100,000mPa・s以下の液体であることを特徴とする請求項2又は3に記載のウレタン樹脂塗料組成物。
- 前記塗料組成物の、せん断速度0.1s-1の粘度が0.1~10,000Pa・sであり、且つせん断速度1,000s-1の粘度が0.05~10Pa・sであることを特徴とする請求項1又は3に記載のウレタン樹脂塗料組成物。
- 2液硬化形塗料組成物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のウレタン樹脂塗料組成物。
- コンクリート基材上に、塗膜を形成するコンクリート基材の保護方法であって、塗膜を形成する塗料が、塗料組成物中に占める塗膜形成成分の割合が80~100質量%であり、数平均分子量が300~10,000であり且つ1分子あたりの水酸基の数が2.3~9.0であるポリオールと、イソシアネート基の割合が10.0~17.7質量%であるポリイソシアネートとを含み、ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対するイソシアネート基が0.5~1.5当量であり、さらに塗膜形成成分中に占める顔料の割合が30~60質量%であるウレタン樹脂塗料組成物であることを特徴とするコンクリート基材の保護方法。
- 1回の塗装で100μm以上の膜厚で塗膜を形成することを特徴とする請求項9に記載のコンクリート基材の保護方法。
- 温度23℃及び相対湿度50%の雰囲気下で、前記ウレタン樹脂塗料組成物から膜厚300μmの塗膜を形成した場合、該塗膜の水蒸気透過度が10mg/cm 2 ・24h以下であることを特徴とする請求項9又は10に記載のコンクリート基材の保護方法。
- 前記塗料組成物中に占める有機溶剤の割合が0~20質量%であり、前記塗料組成物中に占める塗膜形成成分と有機溶剤の合計割合が100質量%であることを特徴とする請求項9~11のいずれか一項に記載のコンクリート基材の保護方法。
- 前記ポリオール及び前記ポリイソシアネートは、それぞれ23℃での粘度が100,000mPa・s以下の液体であることを特徴とする請求項9~12のいずれか一項に記載のコンクリート基材の保護方法。
- 前記塗料組成物の、せん断速度0.1s -1 の粘度が0.1~10,000Pa・sであり、且つせん断速度1,000s -1 の粘度が0.05~10Pa・sであることを特徴とする請求項9~13のいずれか一項に記載のコンクリート基材の保護方法。
- 前記塗料組成物が2液硬化形塗料組成物であることを特徴とする請求項9~14のいずれか一項に記載のコンクリート基材の保護方法。
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