JP2013006897A - 熱線高反射塗料組成物、熱線高反射塗料組成物調製用キット、熱線高反射塗装物、および熱線高反射塗装物の塗装方法 - Google Patents

熱線高反射塗料組成物、熱線高反射塗料組成物調製用キット、熱線高反射塗装物、および熱線高反射塗装物の塗装方法 Download PDF

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恒平 遠藤
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亮介 長岡
Nagao Hori
長生 堀
Akiko Okuda
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Abstract

【課題】環境対応型である弱溶剤を使用可能で、マンガン化合物の使用を要さず、かつ熱線反射性能の高い塗膜を得る。
【解決手段】Biの酸化物とCuの酸化物とを含む複合金属酸化物顔料と、下式(1)で表されるケイ素含有化合物(A)と、フッ素樹脂とを含有し、前記ケイ素含有化合物(A)中のSiO分が45〜50質量%であることを特徴する熱線高反射塗料組成物。
[化1]
Figure 2013006897

(ただし、nは1〜100の整数である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、熱線高反射塗料組成物、熱線高反射塗料組成物調製用キット、熱線高反射塗装物、および熱線高反射塗装物の塗装方法に関する。
一般に建築物の屋根等においては、黒色系の顔料を含む濃色系塗料が用いられることが多い。しかし、濃色系塗料では一般に太陽エネルギーを吸収しやすく、建築物等の温度上昇を引き起こし、空調のためのエネルギー消費拡大をもたらすという問題があった。
一方、白色系の塗膜は熱線の高反射が期待できるものの、汚染が目立ちやすいという景観状の問題、汚染による熱線反射の低下等の問題を有している。
この問題を解決するため特許文献1、特許文献2では、ビヒクルに、赤、橙、黄、緑、青、紫系の有彩色の顔料を混合することにより、無彩色である黒色に着色した塗料組成物が提案されている。しかしながら色調の調整が難しく、また紫外線により着色顔料が劣化し、変色し易いという問題を有していた。
また、熱線高反射顔料を使用した例として特許文献3には近赤外域で高い太陽放射反射率を有する黒色焼成顔料の塗料組成物が提案されている。しかし、クロム系顔料を使用しているので、塗装作業中の作業者の健康を損なうと共に環境を汚染するという問題を有していた。
また、濃色系の熱線高反射顔料としては、ビスマスマンガンオキサイドを含有する顔料(特許文献4)や、希土類マンガン複合酸化物を含む顔料(特許文献5)も提案されている。さらに、特許文献6には、ビスマスおよび/またはイットリウムの酸化物とマンガンの酸化物とを含む複合金属酸化物顔料、シリケート化合物、および樹脂を含有する熱線高反射塗料組成物が示されている。
特許文献6の熱線高反射塗料組成物により形成される塗膜は、複合金属酸化物顔料により熱線を高い効率で反射し、温度上昇を抑制できる。また、該塗膜はシリケート化合物を含有していることで耐汚染性に優れており、塗膜表面が汚染されて反射率が低下することが抑制されるため、熱線の反射率を長期間維持できる。
特許文献6の熱線高反射塗料組成物は、耐汚染性および耐候性に優れる点から、通常、溶剤系塗料組成物として用いられる。しかし、溶剤系塗料組成物はトルエン、キシレン等の揮発性有機化合物(VOC)を放散するため、塗装時の作業環境および地球環境への悪影響がある。また、改修の際に水性塗料と併用して重ね塗りすることが困難である。
また、特許文献6の熱線高反射塗料組成物は、マンガン化合物を必須成分として含むが、マンガン化合物は、化学物質管理促進法(PRTR法)で危険性が危惧される物質とされている問題もある。
また、特許文献6の熱線高反射塗料組成物によれば、高反射率で熱線を反射する塗膜が得られるが、夏場の節電要求は厳しく、さらになる高反射率で熱線を反射する塗膜が求められている。
特許第2593968号公報 特開平5−293434号公報 特許第3468698号公報 特表2002−532379号公報 特開2002−38048号公報 特開2008−106092号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、環境対応型である弱溶剤を使用可能で、マンガン化合物の使用を要さず、かつ熱線反射性能の高い濃色系の塗膜を得られる、熱線高反射塗料組成物、熱線高反射塗料組成物調製用キット、及び熱線高反射塗装物の塗装方法を提供することを目的とする。また、環境対応型である弱溶剤を使用して形成でき、マンガン化合物の使用を要さず、かつ、熱線反射性能が高い濃色系の熱線高反射塗装物を提供することを目的とする。
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]Biの酸化物とCuの酸化物とを含む複合金属酸化物顔料と、下式(1)で表されるケイ素含有化合物(A)と、フッ素樹脂と、溶剤とを含有し、前記ケイ素含有化合物(A)中のSiO分が45〜50質量%であることを特徴する熱線高反射塗料組成物。
Figure 2013006897
(ただし、nは1〜100の整数である。)
[2]前記溶剤が弱溶剤である[1]に記載の熱線高反射塗料組成物。
[3]さらに、硬化剤を含有する[1]または[2]に記載の熱線高反射塗料組成物。
[4]前記複合金属酸化物顔料の含有量が、該複合金属酸化物顔料とフッ素樹脂、および必要に応じて使用する他の樹脂との合計含有量に対して0.1質量%以上である[1]〜[3]の何れか一項に記載の熱線高反射塗料組成物。
[5]Biの酸化物とCuの酸化物とを含む複合金属酸化物顔料、下式(1)で表されるケイ素含有化合物(A)、フッ素樹脂、硬化剤及び弱溶剤を含有する熱線高反射塗料組成物の調製用キットであって、
前記複合金属酸化物顔料、前記フッ素樹脂、および弱溶剤の一部を含有する主剤、ならびに前記ケイ素含有化合物(A)、硬化剤、および弱溶剤の残部を含有する硬化用組成物を備え、
前記ケイ素含有化合物(A)中のSiO分が45〜50質量%であることを特徴とする熱線高反射塗料組成物調製用キット。
Figure 2013006897
(ただし、nは1〜100の整数である。)
[6]前記主剤中の複合金属酸化物顔料の含有量が、該複合金属酸化物顔料とフッ素樹脂、および必要に応じて使用する他の樹脂との合計含有量に対して0.1質量%以上である[5]に記載の熱線高反射塗料組成物調製用キット。
[7][1]〜[4]の何れか一項に記載の熱線高反射塗料組成物を塗装して形成された塗膜を有することを特徴とする熱線高反射塗装物。
[8]被塗装物上に、塗膜層(X)と、該塗膜層(X)上に形成された塗膜層(Y)とを有する塗装物であって、
前記塗膜層(X)は、Biの酸化物とCuの酸化物とを含む複合金属酸化物顔料と、樹脂成分(xt)を含有し、
前記塗膜層(Y)は、下式(1)で表されるケイ素含有化合物(A)と、フッ素樹脂(y)とを含有し、該ケイ素含有化合物(A)中のSiO分が45〜50質量%であることを特徴とする熱線高反射塗装物。
Figure 2013006897
(ただし、nは1〜100の整数である。)
[9]前記塗膜層(X)および/または前記塗膜層(Y)が、硬化剤により硬化された塗膜層である[8]に記載の熱線高反射塗装物。
[10]前記塗膜層(X)中における複合金属酸化物顔料の含有量が、該複合金属酸化物顔料と樹脂成分(xt)との合計含有量に対して0.1質量%以上である[8]または[9]に記載の熱線高反射塗装物。
[11]被塗装物上に、Biの酸化物とCuの酸化物とを含む複合金属酸化物顔料と、樹脂成分(xt)と弱溶剤を含む組成物(X1)を塗布して塗膜層(X)から形成された塗膜を形成させる工程と、
形成した該塗膜層(X)から形成された塗膜上に、下式(1)で表されるケイ素含有化合物(A)と、フッ素樹脂(y)と弱溶剤を含む組成物(Y1)を塗布して塗膜層(Y)から形成された塗膜を形成させる工程を有し、前記ケイ素含有化合物(A)中のSiO分が45〜50質量%であることを特徴とする熱線高反射塗装物の塗装方法。
Figure 2013006897
(ただし、nは1〜100の整数である。)
[12]前記組成物(X1)および/または前記組成物(Y1)が、さらに硬化剤を含む請求項11に記載の熱線高反射塗装物の塗装方法。
[13]前記組成物(X1)における複合金属酸化物顔料の含有量が、該複合金属酸化物顔料と樹脂成分(xt)との合計含有量に対して0.1質量%以上である[12]に記載の熱線高反射塗装物の塗装方法。
本発明の熱線高反射塗料組成物、熱線高反射塗料組成物調製用キット、及び熱線高反射塗装物の塗装方法によれば、環境対応型である弱溶剤を使用して、マンガン化合物を使用することなく、熱線反射性能が高く、塗膜の汚染性の低い濃色系の塗膜及び塗装物を得られる。
また、本発明の熱線高反射塗装物は、環境対応型である弱溶剤を使用して形成でき、マンガン化合物の使用を要さず、塗膜の汚染性の低く、かつ、濃色系でありながら熱線反射性能が高い。
<熱線高反射塗料組成物>
本発明の熱線高反射塗料組成物(以下「本塗料組成物」ともいう。)は、Biの酸化物とCuの酸化物とを含む複合金属酸化物顔料(以下「複合顔料M」ともいう。)と、ケイ素含有化合物(A)と、フッ素樹脂と、溶剤を含有する。
[複合顔料M]
複合顔料Mは、本塗料組成物によって得られる塗膜に熱線反射性能を付与する役割を果たす。複合顔料Mは、Biの酸化物とCuの酸化物とを含有する濃色系の顔料である。複合顔料Mは、本塗料組成物中に分散させて配合する。
複合顔料M中のCuの酸化物の含有量は、5〜95質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましい。Cuの酸化物の含有量が下限値以上であれば、反射性能の良い黒顔料が得られやすい。
複合顔料M中のBiの酸化物の含有量は、5〜95質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましい。Biの酸化物の含有量が下限値以上であれば、反射性能の良い黒顔料が得られやすい。
また、複合顔料Mは、必要に応じて後述する他の着色顔料を含有していてもよい。
複合顔料Mは、BiとCuの混合物を、700℃以上の焼成温度で焼成して得られる酸化物を使用することが好ましい。なお、複合顔料Mの原料として使用されるBiとCuは、単体に限定されず、酸化物等の化合物であってもよい。
複合顔料Mの平均粒子径は、0.1μm〜30μmであることが好ましい。ただし、平均粒子径とは、電子顕微鏡(SEM)にて15000倍の拡大写真観察で任意に選択した100個の粒子の粒子径を数平均した値である。複合顔料Mの平均粒子径が上限値以下であれば、形成される塗膜の光沢が低下することを抑制しやすい。また、複合顔料Mの平均粒子径が下限値以上であれば着色性が良好となる。
平均粒子径0.1μm〜30μmの条件を満たす複合顔料Mの市販品としては、たとえば、大日精化工業社製 ダイピロキサイド ブラック#9581等が挙げられる。
顔料として複合顔料Mのみを使用する場合、本塗料組成物における複合顔料Mの含有量は、本塗料組成物中のフッ素樹脂、および必要に応じて使用する他の樹脂(以下、合わせて「樹脂成分」という。以下同じ。)の合計含有量(本明細書において、各種顔料と樹脂成分の含有量は乾燥固形分における含有量である。)に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.1〜200質量%であることがより好ましく、10〜100質量%であることがさらに好ましい。複合顔料Mの前記含有量が下限値以上であれば、充分な熱線反射効果が得られやすい。また、複合顔料Mの前記含有量が上限値以下であれば、形成される塗膜の光沢が低下することを抑制しやすい。
[他の着色顔料]
本塗料組成物には、用途や目的に応じて色調を調整する目的で、複合顔料Mに加えて他の着色顔料を含有させていてもよい。
他の着色顔料としては、たとえば、酸化チタン、べんがら、黄土、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ホワイトカーボン、微粉ケイ酸等の無機系顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ジオキサジン等の有機系顔料が挙げられる。
酸化チタンは、酸化セリウム等で表面被覆した酸化チタンが好ましく、該酸化チタンは、石原産業社製、商品名「PFC−105」;堺化学社製、商品名「D−918」等として入手できる。
ただし、熱線反射性能をより優れたものにするという観点からは、本塗料組成物を被塗装物表面に塗布して塗膜を形成した際に、得られる塗装物表面が濃色系の色調であることが好ましい。具体的には、塗装物表面のJIS Z 8729に規定された明度Lが5〜80であることが好ましく、10〜60であることがより好ましい。
複合顔料Mに加えて他の着色顔料を含有させる場合、本塗料組成物中の顔料全体の含有量は、本塗料組成物中の顔料全体と樹脂成分の合計含有量に対して、0.001〜80質量%であることが好ましく、0.1〜60質量%であることがより好ましい。顔料全体の前記含有量が下限値以上であれば、複合顔料Mの含有量が少なくなりすぎて熱線反射効果が低下することを抑制しやすい。また、顔料全体の前記含有量が上限値以下であれば、形成される塗膜の光沢が低下することを抑制しやすい。
複合顔料Mに加えて他の着色顔料を含有させる場合の複合顔料Mの顔料全体に対する割合は、0.1〜100質量%であることが好ましく、20〜100質量%であることがより好ましい。複合顔料Mの顔料全体に対する割合が好ましい下限値以上であれば、得られる塗膜において、複合顔料Mの優れた熱線反射特性が発揮されやすい。複合顔料Mとその他の顔料を使用することにより、任意の色に調整が可能となる。
[ケイ素含有化合物(A)]
ケイ素含有化合物(A)は、塗膜の表面が汚染されて熱線反射性が低下することを防ぐ。ケイ素含有化合物(A)は、下式(1)で表される化合物(1)である。
Figure 2013006897
ただし、nは、1〜100の整数である。nは、1以上の整数であるが、2以上の整数が好ましい。また、nは100以下の整数であり、70以下の整数が好ましく、50以下の整数がより好ましい。nがこの範囲内であれば、ケイ素含有化合物(A)の弱溶剤への溶解性、塗料組成物の保存安定性、および本塗料組成物から形成される硬化塗膜の低汚染性が良好である。
ケイ素含有化合物(A)(100質量%)中のSiO分は、45〜50質量%であり、47〜49質量%がより好ましい。ケイ素含有化合物(A)におけるSiO分がこの範囲内にあると、ケイ素含有化合物(A)の弱溶剤への溶解性、および塗料組成物の保存安定性が良好であり、かつ塗料組成物から形成される硬化塗膜の低汚染性が優れたものである。
なお、「SiO分」とは、本塗料組成物中で、アルコキシ基の加水分解反応および縮合反応が生じる以前における(本塗料組成物の他の成分と混合する以前における。)ケイ素含有化合物(A)の総質量を100質量%としたときの、SiO換算としてのシリカの含有量を示す値である。以下、SiO分が45〜50質量%のケイ素含有化合物(A)を本ケイ素含有化合物という。
本ケイ素含有化合物としては、例えば、コルコート社製の商品名「エチルシリケート48」(SiO分:48質量%)等が挙げられる。
本塗料組成物における本ケイ素含有化合物の割合は、樹脂成分と硬化剤の合計含有量100質量部に対して、1.5〜90質量部が好ましく、3〜30質量部がより好ましい。本ケイ素含有化合物の割合が前記範囲の下限値以上であれば、形成される硬化塗膜の低汚染性が向上する。本ケイ素含有化合物の割合が前記範囲の上限値以下であれば、弱溶剤に対する本ケイ素含有化合物の溶解性が向上し、均一な硬化塗膜を形成しやすい。
[親水化促進剤]
本塗料組成物には、アルコキシ基の加水分解反応および縮合反応を進めるための親水化促進剤を含有させるのが好ましい。親水化促進剤としては、従来から知られている塩酸、p−トルエンスルホン酸などの酸性触媒またはジルコニウムキレート、アルミニウムキレートなどの有機金属キレート化合物を用いることができる。
具体的な親水化促進剤としては、特に限定はされないが、ALCH、ALCH−TR、アルミキレートD、アルミキレートA(W) (川研ファインケミカル社製)K−KAT 4205(楠本化成社製)が挙げられる。
本ケイ素含有化合物の親水化促進剤の含有量は、本ケイ素含有化合物の固形分に対して、0.1〜50質量%であることが好ましい。
[フッ素樹脂]
フッ素樹脂は、フッ素原子を有する繰り返し単位(β1)を有する重合体であり、明確な融点を有する樹脂、融点を示さない樹脂、ゴム弾性を示すエラストマー、熱可塑性エラストマーが含まれる。
フッ素樹脂は架橋性基を有することが好ましい。すなわち、架橋性基を有する繰り返し単位(β2)を有することが好ましい。前記架橋性基とは、互いに、もしくは硬化剤と反応して化学結合(架橋)を形成する官能基である。
フッ素樹脂としては、フッ素原子を有する繰り返し単位(β1)と、架橋性基を有する繰り返し単位(β2)を有する共重合体が好ましい。
(繰り返し単位(β1))
繰り返し単位(β1)は、フッ素原子を有する単量体(以下、「単量体(b1)」という。)を重合することで形成される。
単量体(b1)としては、フッ素樹脂の原料として通常使用されるフッ素原子を有する単量体が使用できる。具体的には、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニル(VF)等のフルオロオレフィン類;フルオロアルキル基を有するオレフィン類、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)等フルオロビニルエーテル類等が挙げられる。なかでも、フルオロオレフィン類が好ましく、TFE、HFP、CTFE、VdF、VFがより好ましく、TFE、CTFE、VdFがさらに好ましく、TFE、CTFEが特に好ましく、硬化塗膜の耐候性、耐薬品性、透湿性の点から、CTFEが最も好ましい。
単量体(b1)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(繰り返し単位(β2))
繰り返し単位(β2)は、架橋性基を有する単量体(以下、「単量体(b2)」という。)を重合することにより形成できる。単量体(b2)は、架橋性基を有し、前記単量体(b1)と共重合可能な重合性不飽和基を有する単量体であればよい。単量体(b2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体(b2)における架橋性基としては、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、エポキシ基、加水分解性シリル基等が挙げられる。なかでも、架橋反応性、入手容易性、共重合体への導入容易性の点から、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基が好ましく、水酸基が特に好ましい。
水酸基を有する単量体(以下、「単量体(b21)」という。)は、水酸基と重合性不飽和基を有する単量体である。
単量体(b21)としては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等の水酸基を有するビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等の水酸基を有するアリルエーテル類;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。なかでも、入手容易性、重合反応性、水酸基の架橋性が優れる点から、水酸基を有するビニルエーテル類が好ましく、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルがより好ましい。
単量体(b21)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
カルボキシ基を有する単量体(以下、「単量体(b22)」という。)は、カルボキシ基と重合性不飽和基を有する単量体であり、容易にカルボキシ基を有する単量体に変換される不飽和ジカルボン酸の酸無水物も含む。
単量体(b22)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸、ウンデシレン酸、3−アリルオキシプロピオン酸、3−(2−アリロキシエトキシカルボニル)プロピオン酸、フタル酸ビニル等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類;イタコン酸モノエステル、マレイン酸モノエステル、フマル酸モノエステル等の不飽和ジカルボン酸モノエステル類;マレイン酸無水物等の不飽和ジカルボン酸の無水物等が挙げられる。これらの他にもピロメリット酸ビニル等の多価カルボン酸のビニルエーテルまたはアリルエーテル等が挙げられる。なかでも、入手容易性、重合反応性、架橋性が優れる点から、クロトン酸、ウンデシレン酸、マレイン酸、イタコン酸が好ましい。
単量体(b22)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ基を有する単量体(以下、「単量体(b23)」という。)は、エポキシ基と重合性不飽和基を有する単量体である。単量体(b23)におけるエポキシ基は、グリシジル基となっていることが好ましい。
単量体(b23)としては、グリシジルビニルエーテル、グリシジルアリルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルが好ましい。
単量体(b23)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
繰り返し単位(β2)としては、単量体(b2)を重合することで形成された繰り返し単位が好ましい。
ただし、繰り返し単位(β2)は、単量体(b2)を重合することで形成された繰り返し単位には限定されない。例えば、繰り返し単位(β2)の架橋性基としてカルボキシ基を導入する場合、前記単量体(b21)を共重合させ、得られた共重合体に導入された水酸基に、酸無水物を反応させる方法によりカルボキシ基を導入できる。
前記酸無水物としては、無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
上記では、フッ素原子を含有しない繰り返し単位(β2)について例示したが、繰り返し単位(β2)は架橋性基を有していればよく、フッ素原子は含有していてもいなくてもよい。
フッ素樹脂は、必要に応じて、前記繰り返し単位(β1)および繰り返し単位(β2)に加え、単量体(b1)および単量体(b2)以外の他の単量体(以下、「単量体(b3)」という。)に基づく繰り返し単位(β3)を有してもよい。
単量体(b3)としては、オレフィン類、アルキル基と重合性不飽和基とがエーテル結合で連結されたアルキルビニルエーテル類、またはアルキル基と重合性不飽和基とがエステル結合で連結されたカルボン酸ビニルエステル類が好ましい。
オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン等が挙げられる。
アルキルビニルエーテル類としては、エチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
カルボン酸ビニルエステル類としては、バーサチック酸ビニル等が挙げられる。
フッ素樹脂中の全繰り返し単位(100モル%)に対する繰り返し単位(β1)の割合は、35〜65モル%が好ましく、40〜60モル%がより好ましい。繰り返し単位(β1)の割合が前記範囲内であれば、形成される硬化塗膜の耐候性と、弱溶剤への溶解性を両立しやすい。
フッ素樹脂中の全繰り返し単位(100モル%)に対する繰り返し単位(β2)の割合は、6〜50モル%が好ましく、7〜40モル%がより好ましい。繰り返し単位(β2)の割合が前記範囲の下限値以上であれば、形成される硬化塗膜の架橋度が高くなり硬度等が向上する。
繰り返し単位(β2)の割合が前記範囲の上限値以下であれば、本発明の塗料組成物にゲル化が起こりにくい。
フッ素樹脂中の全繰り返し単位(100モル%)に対する繰り返し単位(β3)の割合は、45モル%以下が好ましく、35モル%以下がより好ましい。
フッ素樹脂の製造は、公知の重合方法を採用でき、具体的には、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の重合方法を採用できる。
フッ素樹脂の数平均分子量(Mn)は、5,000〜20,000が好ましい。フッ素樹脂のMnが下限値以上であれば、形成される硬化塗膜の耐候性が向上する。また、フッ素樹脂のMnが上限値以下であれば、塗料組成物の粘度が適度となり取扱い性が向上する。フッ素樹脂のMnは、ポリスチレンを標準物質として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される値である。
フッ素樹脂のフッ素含有量は、耐候性が向上する点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましい。一方、フッ素樹脂の弱溶剤への溶解性の点からフッ素樹脂のフッ素含有量は、35質量%以下が好ましい。フッ素樹脂のフッ素含有量とは、フッ素樹脂の質量に対する、フッ素樹脂が有するフッ素原子の合計の質量割合である。
本塗料組成物(溶剤も含めて100質量%とする。)中のフッ素樹脂の含有量は、5〜60質量%が好ましく、10〜45質量%がより好ましい。フッ素樹脂が前記範囲の下限値以上であれば、耐候性が向上する。フッ素樹脂が前記範囲の上限値以下であれば、塗装作業性が向上する。
[その他の樹脂]
また、本塗料組成物は、フッ素樹脂以外の他の樹脂を含有していてもよい。他の樹脂としては、アルキッド樹脂、アミノアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、エポキシポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン変性ポリエステル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、アクリル樹脂が好ましい。
また、他の樹脂は、前記架橋性基を有していることが好ましく、水酸基を有していることがより好ましく、耐候性の観点から、水酸基を有するアクリル樹脂が特に好ましい。
本塗料組成物の樹脂成分はフッ素樹脂のみからなることが特に好ましい。また、樹脂成分として他の樹脂が含まれる場合、フッ素樹脂は樹脂成分全体に対して5〜98質量%であることが好ましく、30〜98質量%であることがより好ましい。
本塗料組成物(溶剤も含めて100質量%とする。)中の樹脂成分の含有量は、5〜80質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましい。樹脂成分が前記範囲の下限値以上であれば、塗装塗膜の膜厚確保が可能である。樹脂成分が前記範囲の上限値以下であれば、塗装作業性が向上する。
また、樹脂成分中のフッ素樹脂の含有量は、5〜100質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることがより好ましい。樹脂成分中のフッ素樹脂の含有量が高い程耐候性が高くなる。
[硬化剤]
本塗料組成物には硬化剤を含有させることができる。硬化剤は、樹脂成分と反応して架橋構造を形成する。硬化剤は、本塗料組成物中に含有される樹脂成分が有する架橋性基の種類に応じて適宜選定する。本塗料組成物においては、フッ素樹脂、および必要に応じて使用する他の樹脂が有する架橋性基が水酸基で、硬化剤がポリイソシアネート系硬化剤(C)であることが好ましい。
ポリイソシアネート系硬化剤(C)としては、弱溶剤への溶解性が優れる点から、下記硬化剤(C1)が好ましい。ただし、ポリイソシアネート系硬化剤は下記硬化剤(C1)には限定されず、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の一般的なポリイソシアネート系硬化剤を使用してもよい。
硬化剤(C1):脂肪族ジイソシアネートおよび脂環式ジイソシアネートからなる群から選ばれる1種以上のジイソシアネートと、炭素数1〜20のモノアルコールとを反応させて得られる、アロファネート基(All)とイソシアヌレート基(Iso)のモル比(All/Iso)が81/19〜90/10のポリイソシアネート系硬化剤。
脂肪族ジイソシアネートとは、分子中に脂肪族基を有するジイソシアネート化合物である。一方、脂環式ジイソシアネートとは、分子中に環状脂肪族基を有するジイソシアネート化合物である。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,4−ジイソシアナトブタン、1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1,6−ジイソシアナト−2,2,4−トリメチルヘキサン、2,6−ジイソシアナトヘキサン酸メチル(リジンジイソシアネート)等が挙げられる。なかでも、工業的に入手し易い点から、HDIが好ましい。
脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、5−イソシアナト−1−イソシアナトメチル−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン(別名:イソホロンジイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(別名:水添キシリレンジイソシアネート)、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(別名:水添ジフェニルメタンジイソシアネート)、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン等が挙げられる。なかでも、工業的に入手し易い点から、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
ジイソシアネートとしては、硬化剤(C1)が低粘度となる点から、脂環式ジイソシアネートよりも脂肪族ジイソシアネートの方が好ましく、形成される硬化塗膜の耐候性、柔軟性の点から、HDIが特に好ましい。
前記炭素数1〜20のモノアルコールの炭素数の下限は、弱溶剤への溶解性の点から、1であり、2が好ましく、3がより好ましく、4がさらに好ましく、6が特に好ましい。前記モノアルコールの炭素数の上限は、形成される硬化塗膜の硬度の点から、20であり、16が好ましく、12がより好ましく、9がさらに好ましい。
モノアルコールは、飽和炭化水素基と水酸基だけからなることが好ましい。また、モノアルコールは、分岐を有していることが好ましい。
モノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、イソアミルアルコール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチル−1−ヘキサノール、トリデカノール、ペンタデカノール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、トリメチルシクロヘキサノール等が挙げられる。
モノアルコールは、弱溶剤への溶解性の点では、イソブタノール、1−ブタノール、イソアミルアルコール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、1−へプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、トリデカノール、ペンタデカノール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、1,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチル−1−ヘキサノールが好ましく、イソブタノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3,3,5−トリメチル−1−ヘキサノールがより好ましい。
また、モノアルコールは、粘度がより低くなる点では、1−プロパノール、イソブタノール、1−ブタノール、イソアミルアルコール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3,3,5−トリメチル−1−ヘキサノールが好ましい。
モノアルコールは、前記したものには限定されず、分子内にエーテル基や、エステル基、カルボニル基を有するモノアルコールでもよい。
モノアルコールは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化剤(C1)におけるアロファネート基(All)とイソシアヌレート基(Iso)のモル比(All/Iso)は、81/19〜90/10が好ましい。モル比(All/Iso)が前記範囲内であれば、硬化性と弱溶剤への溶解性が優れる。前記モル比(All/Iso)の下限は、83/17がより好ましい。前記モル比(All/Iso)の上限は、88/12がより好ましく、86/14が最も好ましい。
前記モル比(All/Iso)は、国際公開第2008/047761号パンフレットに記載したH−NMR法により求められる。
このようなイソシアネート系硬化剤は、例えば国際公開第2008/047761号パンフレットに記載の方法で合成することができる。
硬化剤(C1)(100質量%)中のイソシアネート基の含有量(以下、「NCO含有量」という。)は、弱溶剤に対する溶解性と、架橋性の点から、10〜22質量%が好ましく、13〜21質量%がより好ましく、16〜20質量%がさらに好ましい。
硬化剤(C1)の粘度の下限は、架橋性の点から、50mPa・sが好ましく、75mPa・sがより好ましく、100mPa・sがさらに好ましく、120mPa.sが特に好ましい。硬化剤(C1)の粘度の上限は、揮発性有機化合物(VOC)を低減する点から、500mPa・sが好ましく、450mPa・sがより好ましく、400mPa・sがさらに好ましく、350mPa・sが特に好ましく、300mPa・sが最も好ましい。
硬化剤(C1)におけるイソシアネート基の平均数は、硬化性と、弱溶剤への溶解性の点から、2.10〜2.50が好ましく、2.15〜2.40がより好ましく、2.20〜2.35がさらに好ましい。
前記イソシアネート基の平均数は、国際公開第2008/047761号に記載のように下式で求められる。
(イソシアネート基の平均数)=(数平均分子量)×(NCO含有量)/4200
硬化剤(C1)の数平均分子量は、GPCにより測定できる。
硬化剤としてポリイソシアネート系硬化剤(C)を使用する場合、イソシアネート基が保護されたブロック化ポリイソシアネート系硬化剤であってもよく、イソシアネート基が保護されていない非ブロック化ポリイソシアネート系硬化剤であってもよい。硬化剤として、非ブロック化ポリイソシアネート系硬化剤を使用する場合、該硬化剤の配合は、塗料組成物を塗布する直前に行う。一方、硬化剤として、ブロック化ポリイソシアネート系硬化剤を使用する場合、硬化剤の配合時期は特に限定されない。
ブロック化ポリイソシアネート系硬化剤としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート化合物中のイソシアネート基がメチルエチルケトンオキシム等によりブロック化された硬化剤等が好ましい。
樹脂成分が有する架橋性基が水酸基で、硬化剤がポリイソシアネート系硬化剤(C)である場合、本塗料組成物中に含有される樹脂成分が有する水酸基、すなわちフッ素樹脂および/または必要に応じて使用する他の樹脂が有する水酸基の合計と、硬化剤のイソシアネート基のモル比(OH/NCO)は、0.3〜2.0が好ましく、0.7〜1.3がより好ましい。前記モル比(OH/NCO)が前記下限値以上であれば、耐溶剤性が向上する。前記モル比(OH/NCO)が前記上限値以下であれば、耐候性が向上し、また硬化不良(タック残存)が生じることを抑制しやすい。
ポリイソシアネート系硬化剤(C)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本塗料組成物中に含有される樹脂成分が有する架橋性基が水酸基以外の場合の硬化剤は、該架橋性基の種類に応じて適宜選定すればよい。
本塗料組成物中に含有される樹脂成分が有する架橋性基がカルボキシ基の場合、硬化剤としては、公知のアミノ系硬化剤、エポキシ系硬化剤等が挙げられる。
本塗料組成物中に含有される樹脂成分が有する架橋性基がアミノ基の場合、硬化剤としては、公知のカルボニル基を有する硬化剤、エポキシ系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられる。
本塗料組成物中に含有される樹脂成分が有する架橋性基がエポキシ基の場合、硬化剤としては、公知のカルボキシル基を有する硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミノ系硬化剤等が挙げられる。
硬化剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
[溶剤]
本塗料組成物における溶剤としては、キシレン、トルエン、酢酸エチル、弱溶剤等の一般的に塗料の溶剤として使用されている溶剤を使用することができる。溶剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本塗料組成物中の溶剤の含有量は、本ケイ素含有化合物、樹脂成分の溶解性、塗装方法に応じた最適な粘度等を考慮して適宜決定できる。溶剤の含有量は、本塗料組成物の総量(100質量%)に対して、10〜90質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましい。
[弱溶剤]
本塗料組成物における溶剤としては、補修の際の下地(旧塗膜)への影響、および地球環境への負荷を低減できることから弱溶剤を使用することが好ましい。弱溶剤は、労働安全衛生法による有機溶剤の分類において、第三種有機溶剤に分類されている有機溶剤である。
弱溶剤としては、ガソリン、コールタールナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、テレピン油、ミネラルスピリット、ミネラルシンナー、ペトロリウムスピリット、ホワイトスピリット、ミネラルターペン等が挙げられる。
弱溶剤は、アニリン点が30〜70℃の弱溶剤が好ましく、アニリン点が40〜60℃の弱溶剤がより好ましい。弱溶剤のアニリン点が前記範囲の下限値以上であれば、補修の際に旧塗膜を侵食することを抑制しやすい。弱溶剤のアニリン点が前記範囲の上限値以下であれば、本ケイ素含有化合物およびフッ素樹脂の溶解性が向上する。なお、弱溶剤のアニリン点は、JIS K 2256に記載のアニリン点試験方法に準じて測定される。
弱溶剤としては、引火点が室温以上である点から、ミネラルスピリットが好ましい。
ミネラルスピリットとして市販されている弱溶剤としては、例えば、HAWS(シェルジャパン社製、アニリン点17℃)、エッソナフサNo.6(エクソンモービル化学社製、アニリン点43℃)、LAWS(シェルジャパン社製、アニリン点44℃)、ペガゾール3040(エクソンモービル化学社製、アニリン点55℃)、Aソルベント(新日本石油化学社製、アニリン点45℃)、クレンゾル(新日本石油化学社製、アニリン点64℃)、ミネラルスピリットA(新日本石油化学社製、アニリン点43℃)、ハイアロム2S(新日本石油化学社製、アニリン点44℃)、ハイアロム2S(新日本石油化学社製、アニリン点44℃)、リニアレン10、リニアレン12(出光石油化学社製、αオレフィン系炭化水素、アニリン点は順に44℃、54℃)、エクソールD30(エクソンモービル社製、ナフテン系溶剤、アニリン点63℃)、リカソルブ900、910B、1000(新日本理化株式会社製、水添C9溶剤、アニリン点は順に53℃、40℃、55℃)等が挙げられる。
弱溶剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
[その他の成分]
本塗料組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、硬化触媒、光安定剤、紫外線吸収剤、つや消し剤、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、分散剤等の他の成分を含んでもよい。
硬化触媒としては、例えば、硬化剤としてポリイソシアネート系硬化剤(C)を使用する場合、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、アデカアーガス化学社製の商品名「MARX LA62」、「MARX LA67」;BASFジャパン社製の商品名「チヌビン292」、「チヌビン144」、「チヌビン123」、「チヌビン440」等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、シアノアクリレート系化合物等が挙げられる。具体的には、「Viosorb130」、「Viosorb582」、「Viosorb583」(以上、共同製薬社製、商品名)、「チヌビン320」、「チヌビン384−2」、「チヌビン982」、「チヌビン1130」、「チヌビン400」(以上、BASFジャパン社製、商品名)等が挙げられる。
つや消し剤としては、超微粉合成シリカ等が挙げられる。つや消し剤を使用した場合、優雅な半光沢、つや消し仕上げの硬化塗膜を形成できる。
界面活性剤としては、ノニオン型、カチオン型、アニオン型のいずれでもよく、レオレックスASE(第一工業社製、商品名)、フッ素系界面活性剤の「サーフロン」(旭硝子社製、商品名)、アクリル系界面活性剤の「モダフロー」(モンサント社製、商品名)、「レオファット」シリーズ(花王社製、商品名)等が挙げられる。
レベリング剤を配合すれば、形成する硬化塗膜の厚さの均一性が向上する。レベリング剤としては、BYK−300(BYK−Chemie社製、商品名)、フローレンNo.3(共栄社化学社製、商品名)、ディスパロンLF1985(楠本化成社製、商品名)等が挙げられる。
以上説明した本塗料組成物は、弱溶剤を使用できるため環境負荷が小さく、またケイ酸含有化合物の弱溶剤への溶解性が良好なことから均一な硬化塗膜を形成でき、形成される硬化塗膜の低汚染性が優れている。
[製造方法]
本塗料組成物は、上記各成分を混合することにより得られる。混合の順番に特に限定はないが、予めフッ素樹脂、および必要に応じて使用する他の樹脂の弱溶剤溶液に顔料を混合し、これに本ケイ素含有化合物または本ケイ素含有化合物及び硬化剤の弱溶剤溶液を添加する方法が好ましい。
本ケイ素含有化合物の親水化促進剤は、本ケイ素含有化合物に予め添加しておくことが好ましい。ただし、本ケイ素含有化合物を樹脂溶液及び顔料に混合してから塗装するまでの時間が長い場合は、親水化促進剤は塗料組成物を塗装する直前に配合することがより好ましい。
艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、たれ防止剤、表面調整剤、粘性調整剤、分散剤、紫外線吸収剤、光安定剤、硬化触媒等の添加剤は、顔料と共に、樹脂溶液に混合することが好ましい。
本塗料組成物は、後述の熱線高反射塗料組成物調製用キットを用い、その主剤と硬化用組成物とを混合することにより、容易に調製できる。
<熱線高反射塗料組成物調製用キット>
本発明の熱線高反射塗料組成物調製用キットは、前述した本塗料組成物を調製するための二液硬化型のキットである。本発明の熱線高反射塗料組成物調製用キットは、前記複合顔料Mと、前記フッ素樹脂、および弱溶剤の一部を含有する主剤、ならびに本ケイ素含有化合物、硬化剤、および弱溶剤の残部を含有する硬化用組成物からなる。
本発明の熱線高反射塗料組成物調製用キットにより、本塗料組成物を調製する場合、硬化剤としては、保護基で保護されていない非ブロック化ポリイソシアネート系硬化剤が好ましい。
フッ素樹脂以外の他の樹脂を使用する場合、該他の樹脂は、前記主剤に含有させることが好ましい。複合顔料M以外の顔料を使用する場合、該他の顔料も、前記主剤に含有させることが好ましい。本ケイ素含有化合物の親水化促進剤は、硬化用組成物に添加しておくことが好ましい。艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、たれ防止剤、表面調整剤、粘性調整剤、分散剤、紫外線吸収剤、光安定剤、硬化触媒等の添加剤は、複合顔料Mと共に、主剤に含有させることが好ましい。
本発明の熱線高反射塗料組成物調製用キットにおける主剤および硬化用組成物の組成は、それらを混合したときに、前述した本塗料組成物となる組成であればよい。
本発明の熱線高反射塗料組成物調製用キットにおける主剤中の複合顔料Mの含有量は、複合顔料Mと樹脂成分との合計含有量に対して0.1質量%以上であることが好ましい。
本発明の熱線高反射塗料組成物調製用キットにおける主剤中の弱溶剤は、樹脂成分100質量部に対して、10〜90質量部が好ましい。
本発明の熱線高反射塗料組成物調製用キットにおける硬化用組成物中の弱溶剤は、本ケイ素含有化合物の100質量部に対して、10〜90質量部が好ましい。
<熱線高反射塗装物>
本発明の熱線高反射塗装物は、被塗装物品に本塗料組成物により得られた塗膜を有するもの(熱線高反射塗装物I)、または被塗装物品に、複合顔料Mおよび樹脂成分(xt)を含有する塗膜層(X)と、本ケイ素含有化合物およびフッ素樹脂(y)とを含有する塗膜層(Y)とが順次設けられたもの(熱線高反射塗装物II)である。
[被塗装物品]
被塗装物品の材質に特に限定はなく。たとえばコンクリート、自然石、ガラスなど無機物、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、真鍮、チタンなどの金属または木材などがある。また有機無機複合材である繊維強化プラスチック、樹脂強化コンクリート、繊維強化コンクリートなどでもよい。
また、表面に、既に形成された他の塗膜や接着剤層や、プラスチック、ゴムなどの層を有する物品でもよい。
被塗装物品としては、自動車、電車、航空機などの輸送用機器、橋梁部材、鉄塔などの土木部材、シ−トやアスファルト等の防水材、タンク、パイプなどの産業機材、ビル外装、ドア、窓門部材、モニュメント、ポールなどの建築部材、道路の中央分離帯、ガードレールなどの道路部材、通信機材、電気及び電子部品などが挙げられる。
[熱線高反射塗装物I]
熱線高反射塗装物Iは、被塗装物品に本塗料組成物を塗装して形成された塗膜を有する物品である。塗膜の厚みは特に限定されないが、5〜100μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。膜厚が薄くなると隠蔽性や耐候性が低下する傾向にあり、厚くなるとタレなどの施工上の弊害が発生する傾向にある。
本塗料組成物を被塗装物品に塗装する方法は、種々の方法で行うことができる。例えば刷毛塗り、スプレー塗装、浸漬法による塗装、ロールコーターやフローコーターによる塗装などが適用できる。
本塗料組成物を被塗装物品に塗装するに際しては、事前に表面の研磨、サンダー処理、封孔処理、プライマー処理、下塗り剤の塗布など、通常塗料を塗布する際に使用する前処理を行うことが好ましい。ここで使用する封孔処理剤、プライマー、下塗り剤としては特に限定なく、有機溶剤溶液、非水分散液、水性溶液又は水性分散液などがある。
また、プライマー又は下塗り剤としては、エポキシ樹脂系、変性エポキシ樹脂系、ポリエステル樹脂系、エポキシ変性ポリエステル樹脂系、ビニル樹脂系、塩化ゴム系等の塗料などが挙げられ、必要によりリン酸亜鉛、鉛丹、亜鉛末、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、シアナミド鉛、塩基性クロム酸鉛、塩基性硫酸鉛等の防錆顔料、酸化鉄、雲母、アルミニウム、ガラスフレーク等の鱗片状顔料等を含んでもよい。また、防錆力を高めるため、ジンクリッチプライマーを用いてもよく、前記した溶剤系下塗り材を2種類以上塗り重ねることもできる。
本塗料組成物の硬化の方式に限定はなく、熱硬化型、熱可塑型、常温乾燥型、常温硬化型など種々の硬化方式を用いることができる。また、硬化の条件も、硬化方式に応じて公知の条件で硬化することができる。
[熱線高反射塗装物II]
熱線高反射塗装物IIは、被塗装物品に、塗膜層(X)と塗膜層(Y)とが順次設けられた物品である。
塗膜層(X)は、複合顔料Mおよび樹脂成分(xt)を含有する。複合顔料Mは、本塗料組成物における複合顔料Mと同等のものであり、本塗料組成物と同様に他の顔料を含有してもよい。また、樹脂成分(xt)は、本塗料組成物におけるフッ素樹脂と同等のフッ素樹脂(x)および/または本塗料組成物と同様の他の樹脂を含有することができる。
塗膜層(X)は、本塗料組成物における硬化剤と同等の硬化剤を含有することができる。また、本塗料組成物と同様に、硬化触媒、光安定剤、紫外線吸収剤、つや消し剤、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、分散剤等の他の成分を含んでもよい。
塗膜層(X)における各成分の好ましい割合は、本ケイ素含有化合物を含有しない点、フッ素樹脂を含むことが必須でない点、および溶剤を含有しない点を除き、本塗料組成物と同様である。
例えば、塗膜層(X)中における複合顔料Mの含有量は、複合顔料Mと樹脂成分(xt)に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.1〜200質量%であることがより好ましく、10〜100質量%であることがさらに好ましい。
また、塗膜層(X)中における顔料全体の含有量は、顔料全体と樹脂成分(xt)の合計含有量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.1〜200質量%であることがより好ましく、10〜100質量%であることがさらに好ましい。
塗膜層(X)(100質量%)中の樹脂成分(xt)の含有量は、30〜99質量%であることが好ましく、50〜99質量%であることがより好ましい。
また、樹脂成分(xt)中のフッ素樹脂(x)の含有量は、30〜100質量%であることが好ましく、50〜100質量%であることがより好ましい樹脂成分(xt)中のフッ素樹脂(x)の含有量が高い程耐候性が高くなるが、塗膜層(X)は塗膜層(Y)で覆われているため、フッ素樹脂(x)の含有量は低くてもよく、ゼロでもよい。
また、樹脂成分(xt)が有する水酸基の合計と、硬化剤のイソシアネート基のモル比(OH/NCO)は、0.3〜2.0が好ましく、0.7〜1.3がより好ましい。
塗膜層(X)の厚みは特に限定されないが、5〜100μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。膜厚が薄くなると隠蔽性や耐候性が低下する傾向にあり、厚くなるとタレなどの施工上の弊害が発生する傾向にある。
塗膜層(Y)は、本ケイ素含有化合物およびフッ素樹脂(y)を含有する。
本ケイ素含有化合物は、本塗料組成物における本ケイ素含有化合物と同等のものである。また、フッ素樹脂(y)は、本塗料組成物におけるフッ素樹脂と同等のものであり、本塗料組成物と同様に他の樹脂を含有してもよい。
塗膜層(Y)は、本塗料組成物における硬化剤と同等の硬化剤を含有することができる。また、本塗料組成物と同様に、硬化触媒、光安定剤、紫外線吸収剤、つや消し剤、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、分散剤等の他の成分を含んでもよい。
塗膜層(Y)における各成分の好ましい割合は、複合顔料Mを含有しない点、溶剤を含有しない点を除き、本塗料組成物と同様である。
例えば、塗膜層(Y)中における本ケイ素含有化合物の含有量は、フッ素樹脂、および必要に応じて使用する他の樹脂(以下、合わせて「樹脂成分(yt)」という。)の合計含有量と硬化剤の合計含有量100質量部に対して、1.5〜90質量部が好ましく、3〜30質量部がより好ましい。
また、塗膜層(Y)(100質量%)中の樹脂成分(yt)の含有量は、30〜99質量%であることが好ましく、50〜99質量%であることがより好ましい。
また、樹脂成分(yt)中のフッ素樹脂(y)の含有量は、5〜100質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることがより好ましい。樹脂成分(yt)中のフッ素樹脂(y)の含有量が高い程耐候性が高くなる。
また、樹脂成分(yt)が有する水酸基の合計と、硬化剤のイソシアネート基のモル比(OH/NCO)は、0.3〜2.0が好ましく、0.7〜1.3がより好ましい。
塗膜層(Y)の厚みは特に限定されないが、5〜100μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。膜厚が薄くなると隠蔽性や耐候性が低下する傾向にあり、厚くなるとタレなどの施工上の弊害が発生する傾向にある。
熱線高反射塗装物IIは、塗膜層(X)と塗膜層(Y)との間に、熱線高反射塗装物IIの反射性能および該反射性能を維持する効果、ならびに美観を維持する効果を妨げない範囲内において別の中間層が設けられていてもよい。しかし、塗膜層(Y)は塗膜層(X)の表面に形成され、中間層は設けないことが好ましい。
熱線高反射塗装物IIは、複合顔料Mを含有する塗膜層(X)と、本ケイ素含有化合物を含有する塗膜層(Y)とを有することにより、汚染が目立ちにくく、熱線の反射性能を安定して維持できる。
また、複合顔料Mを塗膜層(X)に、本ケイ素含有化合物を塗膜層(Y)に、各々分けて含有させ、塗膜層(Y)を塗膜層(X)上に備える。そのため、本ケイ素含有化合物による表面の汚染防止効果がより向上し、複合顔料Mの劣化もより抑えられる。また、熱線高反射塗装物IIは、塗膜層(Y)を最上層として設けることにより、表面の汚染防止により美観を維持する効果、および熱線の反射性能を維持する効果が特に高くなる。
[熱線高反射塗装物の塗装方法]
本発明の熱線高反射塗装物の塗装方法は熱線高反射塗装物IIの塗装方法であり、組成物(X1)を被塗装物上に塗布して塗膜層(X)を形成させ、つぎに、組成物(Y1)を塗膜層(X)上に塗布して塗膜層(Y)を形成させることを特徴とする方法である。
組成物(X1)は、塗膜層(X)を形成させる塗料組成物、組成物(Y1)は、塗膜層(Y)を形成させる塗料組成物であり、それぞれ、塗膜層(X)または塗膜層(Y)に含有させる各必須成分、任意成分、及び弱溶剤を含む塗布用組成物である。
すなわち、組成物(X1)は複合顔料M、樹脂成分(xt)及び弱溶剤を必須成分とし、塗膜層(X)における任意成分を含んでもよい。また、組成物(Y1)は本ケイ素含有化合物、フッ素樹脂(y)及び弱溶剤を必須成分とし、塗膜層(Y)の任意成分を含んでもよい。
組成物(X1)および組成物(Y1)における弱溶剤としては本塗料組成物における弱溶剤と同様のものを用いる。組成物(X1)および組成物(Y1)は、各々塗膜層(X)または塗膜層(Y)に含有させる各必須成分及び任意成分を弱溶剤に溶解または分散させた溶剤組成物とする。
組成物(X1)の各成分の配合順序に限定はないが、硬化剤を添加する場合は、予め樹脂成分(xt)の弱溶剤溶液に複合顔料M等の顔料を混合し、これに硬化剤を添加する方法が好ましい。また、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、たれ防止剤、表面調整剤、粘性調整剤、分散剤、光安定剤、硬化触媒などの添加剤を添加する場合は、顔料と共に、樹脂成分(xt)の弱溶剤溶液に混合することが好ましい。
組成物(Y1)の各成分の配合順序に限定はないが、本ケイ素含有化合物の親水化促進剤を添加する場合は、前記親水化促進剤を予め本ケイ素含有化合物に添加しておくことが好ましい。また、組成物(Y1)を溶剤組成物に配合してから塗布するまでの時間が長い場合は、組成物(Y1)を塗布する直前に親水化促進剤を配合することが好ましい。
組成物(X1)および組成物(Y1)の硬化の方式に限定はなく、熱硬化型、熱可塑型、常温乾燥型、常温硬化型など種々の硬化方式を用いることができる。
組成物(X1)を被塗装物に塗装するに際しては、事前に表面の研磨、サンダー処理、封孔処理、プライマー処理、下塗り剤の塗布など、通常塗料を塗布する際に使用する前処理を行うことが好ましい。前処理の種類は1種であっても2種以上であってもよく、各処理の回数も1回であっても2回以上であってもよい。ここで使用する封孔処理剤、プライマー、下塗り剤としては特に限定はなく、有機溶剤溶液、非水分散液、水性溶液又は水性分散液などがある。
また、プライマーまたは下塗り剤としては、たとえば、エポキシ樹脂系、変性エポキシエステル樹脂系、ビニル樹脂系、塩化ゴム系などの塗料が挙げられ、必要によりリン酸亜鉛、鉛丹、亜鉛末、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、シアナミド鉛、塩基性クロム酸鉛、塩基性硫酸鉛などの防錆顔料、酸化鉄、雲母、アルミニウム、ガラスフレークなどの鱗片状顔料などを含んでもよい。また、防錆力を高めるため、JIS K5552に記載されるジンクリッチプライマーを用いてもよく、前記した下塗り材を2種類以上塗り重ねることもできる。
組成物(X1)および組成物(Y1)を塗布する方法は、種々の方法を適用できる。たとえば、刷毛塗り、スプレー塗装、浸漬法による塗装、ロールコーターやフローコーターによる塗装などが適用できる。組成物(X1)および組成物(Y1)の塗布は、組成物(X1)が塗布され、乾燥して塗膜層(X)が形成された後に、組成物(Y1)を塗布することにより行うことが好ましい。また中間層を形成させる場合には、組成物(Y1)の塗布前に必要に応じて塗布などの方法で中間層の形成を行う。
組成物(Y1)の塗布は組成物(X1)(及び中間層)が完全に乾燥する前に行ってもよい。組成物(X1)および組成物(Y1)の塗布は、1回以上行ってもよい。塗布を複数回行う方法は、タレを発生させずに膜厚を厚くする方法として好ましい。
<溶解性の評価>
ケイ素含有化合物(A)の弱溶剤に対する溶解性を調べる実験を行った。
[例1]
硬化剤であるデュラネートA2400−100(旭化成ケミカルズ社製 弱溶剤可溶型無黄変タイプイソシアネート系硬化剤)20.9gに、弱溶剤であるミネラルスピリットA(新日本石油化学社製)の18.3gを加えて混合し、さらにケイ素含有化合物(A)であるエチルシリケート48(コルコート社製、SiO2分48質量%)の10.8gを加えて混合して硬化用組成物とした。
[例2]
エチルシリケート48の代わりに、エチルシリケート40(コルコート社製、SiO2分40質量%)を使用した以外は、例1と同様にして硬化用組成物を得た。
[例3]
エチルシリケート48の代わりに、メチルシリケート51(コルコート社製、SiO2分51質量%)を使用した以外は、例1と同様にして硬化用組成物を得た。
[例4]
エチルシリケート48の代わりに、メチルシリケート53A(コルコート社製、SiO2分53質量%)を使用した以外は、例1と同様にして硬化用組成物を得た。
[例5]
エチルシリケート48の代わりに、MKCシリケートMS56S(メチルシリケート、三菱化学社製、SiO2分56質量%)を使用した以外は、例1と同様にして硬化用組成物を得た。
[例6]
エチルシリケート48の代わりに、n−ブチルシリケート(コルコート社製、SiO2分19質量%)を使用した以外は、例1と同様にして硬化用組成物を得た。
[例7]
エチルシリケート48の代わりに、n−プロピルシリケート(コルコート社製、SiO2分23質量%)を使用した以外は、例1と同様にして硬化用組成物を得た。
[例8]
エチルシリケート48の代わりに、MCS−18(Si(OCHCHOCH、コルコート社製、SiO分18質量%)を使用した以外は、例1と同様にして硬化用組成物を得た。
[溶解性評価]
例1〜8の硬化用組成物について、5℃または23℃における初期の溶解性と、23℃において6ヶ月貯蔵した後の溶解性を、目視により確認し、以下の基準で評価した。
「○」:無色透明で白濁がなかった。
「△」:白濁があった。
「×」:白濁が顕著であった。
溶解性の評価結果を表1に示す。
Figure 2013006897
SiO分が53質量%、56質量%のメチルシリケートを使用した例4、5の硬化用組成物において、メチルシリケートの弱溶剤に対する溶解性が不良であったのに対し、SiO分が45〜50質量%のケイ素含有化合物(A)を使用した例1の硬化用組成物では、弱溶剤に対するケイ素含有化合物(A)の溶解性が良好であった。
<硬化塗膜の低汚染性の評価>
ケイ素含有化合物(A)による低汚染化硬効果を調べる実験を行った。
[例9]
クロロトリフルオロエチレン、シクロヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテルおよびヒドロキシアルキルビニルエーテルの共重合体である弱溶剤溶解型フッ素樹脂ルミフロンLF−800S[旭硝子社製、水酸基含有フルオロオレフィン系共重合体(水酸基価:52mgKOH/g)60質量%を含む有機溶剤溶液]の45gを、弱溶剤であるミネラルスピリットAの25gに溶解して調製した主剤の70gに、例1で得られた硬化用組成物の10gを混合して塗料組成物を調製した。
基材(縦20cm×横9cm×厚さ0.1cm、材質アルミ板)の表面に、ボンエポコートライト グレー色(AGCコーテック社製、エポキシ塗料)を下塗り(塗布量0.27kg/m)し、さらに、ボンフロンライト中塗 白色(AGCコーテック社製、フッ素樹脂塗料)を中塗り(塗布量0.13kg/m)した後、スプレーガンにより前記塗料組成物を膜厚が30μmとなるように塗布し、23℃、相対湿度60%以下の条件で14日間養生し、硬化塗膜を形成して試験体を得た。
[例10〜14]
例1の硬化用組成物の代わりに、表2に示す硬化用組成物を使用した以外は、例9と同様にして試験体を得た。
[例15]
硬化剤であるデュラネートA2400−100の20.9gに、弱溶剤であるミネラルスピリットAの29.1gを加えて混合し、硬化用組成物とした。その後、例1の硬化用組成物の代わりにこの硬化用組成物を使用した以外は、例9と同様にして試験体を得た。
[折曲曝露(雨筋暴露)試験]
各例で得られた、硬化塗膜を有する縦20cmの試験体を、下端から10cmまでの領域が垂直面、下端から10cm以降の領域が傾斜面とを有するように、途中で60°屈曲させた。なお、硬化塗膜が傾斜面の上側となるようにした。このように屈曲させた試験体を屋外に曝露し、傾斜面と垂直面の雨筋の発生度合を目視により確認し、以下の基準で低汚染性を評価した。
「◎」:斜面の汚れ、雨筋汚れがなかった。
「○」:斜面の汚れ、雨筋汚れがほとんど認められなかった。
「△」:斜面の汚れ、雨筋汚れが認められた。
「×」:斜面の汚れ、雨筋汚れが顕著に認められた。
例9〜15の試験体の低汚染性の評価を表2に示す。
Figure 2013006897
SiO分が45〜50質量%のケイ素含有化合物(A)を使用した例9の試験体は、3ヶ月曝露後も雨筋の発生が少なく、ケイ素含有化合物を使用していない例15の試験体に比べて低汚染性が優れていた。また、例9の試験体は、SiO分が40質量%のエチルシリケートを使用した例10、メチルシリケート、n−ブチルシリケート、n−プロピルシリケート、Si(OCHCHOCHをそれぞれ使用した例11〜14の試験体と比べても、低汚染性が優れていた。
<実施例と比較例>
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例および比較例において用いた基材、主剤、及び硬化剤組成物は、下記のとおりである。また、顔料を含有する主剤をエナメル主剤、含有しない主剤をクリヤー主剤という。
[処方]
(基材)
基材としては、140mm×240mm×0.5mmのクロメート処理されたアルミ板に 下塗り剤と中塗り剤とを順次塗布したものを用いた。
下塗り剤としては、ボンエポコート55MP、白色(AGCコーテック社製、エポキシ塗料)を用いた。中塗り剤としては、ボンフロン#1000白色(AGCコーテック社製、フッ素塗料)を用いた。
(エナメル主剤1)
フッ素樹脂ルミフロンLF−800Sの63.88gにミネラルスピリットA(新日本石油化学社製)の22.72gを加えた。
次に ダイピロキサイド ブラック#9581(大日精化工業社製 Cu、Bi複合酸化物顔料)の13.0gを加えてサンドミルで分散を行った。さらにジブチル錫ジラウリレートの0.0005gを加えて撹拌したものをエナメル主剤1とした。
(エナメル主剤2)
フッ素樹脂ルミフロンLF−200の69.0gにキシレン18.0gを加えた。次に、ブラック6301(アサヒ化成工業社製、Mn、Bi複合酸化物顔料、マンガン含有量29質量%)を13.0g加えてサンドミルで分散を行った。さらにジブチル錫ジラウリレートの0.0005gを加えて撹拌したものをエナメル主剤2とした。
(エナメル主剤3)
フッ素樹脂ルミフロンLF−200の69.0gにキシレン28.0gを加えた。次に、三菱カーボンブラックMA−11(三菱化学社製)を3.0g加えてサンドミルで分散を行った。さらにジブチル錫ジラウリレートの0.0005gを加えて撹拌したものをエナメル主剤3とした。
(クリヤー主剤)
フッ素樹脂ルミフロンLF−800Sの64.28gに、紫外線吸収剤(BASFジャパン社製:TINUBIN384−2)の3.0g、ミネラルスピリットA(新日本石油化学社製)の32.72gを加え、さらにジブチル錫ジラウリレートの0.0005gを加えて撹拌したものをクリヤー主剤とした。
(硬化剤組成物1)
デュラネートA2400−100(旭化成ケミカルズ社製 弱溶剤可溶型無黄変タイプイソシアネート系硬化剤)の20.9gに、エチルシリケート48(コルコート社製 シリカ分48重量%のエチルシリケート縮合物)の10.8gとミネラルスピリットA(新日本石油化学社製)の18.3gを加えて混合したものを、硬化剤組成物1とした。
(硬化剤組成物2)
デュラネートA2400−100(旭化成ケミカルズ社製 弱溶剤可溶型無黄変タイプイソシアネート系硬化剤)の20.9gに、ミネラルスピリットA(新日本石油化学社製)の29.1gを加えて混合したもの。
(硬化剤組成物3)
コロネートHX(日本ポリウレタン製、無黄変タイプイソシアネート系硬化剤)の30.8gにアルミキレートD(川研ファインケミカル社製、アルミニウムキレート化合物)の1.8g加え混合し、さらに、MKCシリケートMS56S〔三菱化学社製、シリカ分56重量%のメチルシリケート縮合物〕の17.4g加えて混合したものを硬化剤組成物3とした。
(硬化剤組成物4)
コロネートHXの30.8gにキシレン19.2gを加え混合したものを硬化剤組成物4とした。
(実施例1)
エナメル主剤1の100g(乾燥固形分として52g)に、硬化剤組成物1を15g(乾燥固形分として7.7g)混合して得た塗料組成物を、基材の上にバーコーターにて、膜厚30μmとなるように塗布した。その後、気温23℃相対湿度60%下にて7日間養生を行い、実施例1の試験体を得た。
(実施例2)
エナメル主剤1の100g(乾燥固形分として52g)に、硬化剤組成物2を15g(乾燥固形分として6.3g)混合して得た塗料組成物を、基材の上にバーコーターにて、膜厚30μmとなるように塗布し、気温23℃相対湿度60%下にて24時間養生して、塗膜層(X)を形成した。
次に、クリヤー主剤の100g(乾燥固形分として44g)に、硬化剤組成物1を15g(乾燥固形分として7.7g)混合して得た塗料組成物を、塗膜層(X)の上にバーコーターにて、膜厚30μmとなるように塗布し、塗膜層(Y)を形成した。
その後、気温23℃相対湿度60%下にて7日間養生を行い、実施例2の試験体を得た。
(比較例1)
エナメル主剤2の100g(乾燥固形分として54g)に、硬化剤組成物3を12g(乾燥固形分として9.7g)混合して得た塗料組成物を、基材の上にバーコーターにて、膜厚30μmとなるように塗布した。その後、気温23℃相対湿度60%下にて7日間養生を行い、比較例1の試験体を得た。
(比較例2)
エナメル主剤2の100g(乾燥固形分として54g)に、硬化剤組成物4を12g(乾燥固形分として7.4g)混合して得た塗料組成物を、基材の上にバーコーターにて、膜厚30μmとなるように塗布した。その後、気温23℃相対湿度60%下にて7日間養生を行い、比較例2の試験体を得た。
(比較例3)
エナメル主剤3の100g(乾燥固形分として44g)に、硬化剤組成物3を12g(乾燥固形分として9.7g)混合して得た塗料組成物を、基材の上にバーコーターにて、膜厚30μmとなるように塗布した。その後、気温23℃相対湿度60%下にて7日間養生を行い、比較例3の試験体を得た。
[評価]
(初期塗膜付着性試験)
各試験体について、JIS K5600−5−6(付着性:クロスカット法)に準じて、塗膜の付着性を評価した。結果を表3に示す。
(初期日射反射率測定)
各試験体について、紫外可視近赤外分光光度計 V−670(日本分光社製)にて分光反射率を測定し、JIS K5602(塗膜の日射反射率の求め方)に準じて、近赤外域の日射反射率を算出した。結果を表3に示す。
(塗膜の水接触角測定)
各試験体のイオン交換水に浸漬1日後における表面静水接触角を、接触角測定機DropMaster(協和界面科学製)にて測定し、親水性を評価した。結果を表3に示す。
Figure 2013006897
表3に示すように、複合顔料Mと本ケイ素含有化合物を共に含有する実施例1、及び複合顔料Mを含有する層と本ケイ素含有化合物を含有する層とを積層した実施例2では、複合顔料M以外の顔料を用いた比較例1〜3より、近赤外域の日射反射率が高かった。
また、実施例1、2では、弱溶剤であるミルラルスプリットを用いたが、溶解性に問題はなく、良好な塗膜が得られた。

Claims (13)

  1. Biの酸化物とCuの酸化物とを含む複合金属酸化物顔料と、下式(1)で表されるケイ素含有化合物(A)と、フッ素樹脂と、溶剤とを含有し、前記ケイ素含有化合物(A)中のSiO分が45〜50質量%であることを特徴する熱線高反射塗料組成物。
    Figure 2013006897
    (ただし、nは1〜100の整数である。)
  2. 前記溶剤が弱溶剤である請求項1に記載の熱線高反射塗料組成物。
  3. さらに、硬化剤を含有する請求項1または2に記載の熱線高反射塗料組成物。
  4. 前記複合金属酸化物顔料の含有量が、該複合金属酸化物顔料とフッ素樹脂、および必要に応じて使用する他の樹脂との合計含有量に対して0.1質量%以上である請求項1〜3の何れか一項に記載の熱線高反射塗料組成物。
  5. Biの酸化物とCuの酸化物とを含む複合金属酸化物顔料、下式(1)で表されるケイ素含有化合物(A)、フッ素樹脂、硬化剤及び弱溶剤を含有する熱線高反射塗料組成物の調製用キットであって、
    前記複合金属酸化物顔料、前記フッ素樹脂、および弱溶剤の一部を含有する主剤、ならびに前記ケイ素含有化合物(A)、硬化剤、および弱溶剤の残部を含有する硬化用組成物を備え、
    前記ケイ素含有化合物(A)中のSiO分が45〜50質量%であることを特徴とする熱線高反射塗料組成物調製用キット。
    Figure 2013006897
    (ただし、nは1〜100の整数である。)
  6. 前記主剤中の複合金属酸化物顔料の含有量が、該複合金属酸化物顔料とフッ素樹脂、および必要に応じて使用する他の樹脂との合計含有量に対して0.1質量%以上である請求項5に記載の熱線高反射塗料組成物調製用キット。
  7. 請求項1〜4の何れか一項に記載の熱線高反射塗料組成物を塗装して形成された塗膜を有することを特徴とする熱線高反射塗装物。
  8. 被塗装物上に、塗膜層(X)と、該塗膜層(X)上に形成された塗膜層(Y)とを有する塗装物であって、
    前記塗膜層(X)は、Biの酸化物とCuの酸化物とを含む複合金属酸化物顔料と、樹脂成分(xt)を含有し、
    前記塗膜層(Y)は、下式(1)で表されるケイ素含有化合物(A)と、フッ素樹脂(y)とを含有し、該ケイ素含有化合物(A)中のSiO分が45〜50質量%であることを特徴とする熱線高反射塗装物。
    Figure 2013006897
    (ただし、nは1〜100の整数である。)
  9. 前記塗膜層(X)および/または前記塗膜層(Y)が、硬化剤により硬化された塗膜層である請求項8に記載の熱線高反射塗装物。
  10. 前記塗膜層(X)中における複合金属酸化物顔料の含有量が、該複合金属酸化物顔料と樹脂成分(xt)との合計含有量に対して0.1質量%以上である請求項8または9に記載の熱線高反射塗装物。
  11. 被塗装物上に、Biの酸化物とCuの酸化物とを含む複合金属酸化物顔料と、樹脂成分(xt)と弱溶剤を含む組成物(X1)を塗布して塗膜層(X)から形成された塗膜を形成させる工程と、
    形成した該塗膜層(X)から形成された塗膜上に、下式(1)で表されるケイ素含有化合物(A)と、フッ素樹脂(y)と弱溶剤を含む組成物(Y1)を塗布して塗膜層(Y)から形成された塗膜を形成させる工程を有し、前記ケイ素含有化合物(A)中のSiO分が45〜50質量%であることを特徴とする熱線高反射塗装物の塗装方法。
    Figure 2013006897
    (ただし、nは1〜100の整数である。)
  12. 前記組成物(X1)および/または前記組成物(Y1)が、さらに硬化剤を含む請求項11に記載の熱線高反射塗装物の塗装方法。
  13. 前記組成物(X1)における複合金属酸化物顔料の含有量が、該複合金属酸化物顔料と樹脂成分(xt)との合計含有量に対して0.1質量%以上である請求項12に記載の熱線高反射塗装物の塗装方法。
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