JP2013006897A - 熱線高反射塗料組成物、熱線高反射塗料組成物調製用キット、熱線高反射塗装物、および熱線高反射塗装物の塗装方法 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、白色系の塗膜は熱線の高反射が期待できるものの、汚染が目立ちやすいという景観状の問題、汚染による熱線反射の低下等の問題を有している。
また、熱線高反射顔料を使用した例として特許文献3には近赤外域で高い太陽放射反射率を有する黒色焼成顔料の塗料組成物が提案されている。しかし、クロム系顔料を使用しているので、塗装作業中の作業者の健康を損なうと共に環境を汚染するという問題を有していた。
特許文献6の熱線高反射塗料組成物により形成される塗膜は、複合金属酸化物顔料により熱線を高い効率で反射し、温度上昇を抑制できる。また、該塗膜はシリケート化合物を含有していることで耐汚染性に優れており、塗膜表面が汚染されて反射率が低下することが抑制されるため、熱線の反射率を長期間維持できる。
また、特許文献6の熱線高反射塗料組成物は、マンガン化合物を必須成分として含むが、マンガン化合物は、化学物質管理促進法(PRTR法)で危険性が危惧される物質とされている問題もある。
また、特許文献6の熱線高反射塗料組成物によれば、高反射率で熱線を反射する塗膜が得られるが、夏場の節電要求は厳しく、さらになる高反射率で熱線を反射する塗膜が求められている。
[2]前記溶剤が弱溶剤である[1]に記載の熱線高反射塗料組成物。
[3]さらに、硬化剤を含有する[1]または[2]に記載の熱線高反射塗料組成物。
[4]前記複合金属酸化物顔料の含有量が、該複合金属酸化物顔料とフッ素樹脂、および必要に応じて使用する他の樹脂との合計含有量に対して0.1質量%以上である[1]〜[3]の何れか一項に記載の熱線高反射塗料組成物。
[5]Biの酸化物とCuの酸化物とを含む複合金属酸化物顔料、下式(1)で表されるケイ素含有化合物(A)、フッ素樹脂、硬化剤及び弱溶剤を含有する熱線高反射塗料組成物の調製用キットであって、
前記複合金属酸化物顔料、前記フッ素樹脂、および弱溶剤の一部を含有する主剤、ならびに前記ケイ素含有化合物(A)、硬化剤、および弱溶剤の残部を含有する硬化用組成物を備え、
前記ケイ素含有化合物(A)中のSiO2分が45〜50質量%であることを特徴とする熱線高反射塗料組成物調製用キット。
[6]前記主剤中の複合金属酸化物顔料の含有量が、該複合金属酸化物顔料とフッ素樹脂、および必要に応じて使用する他の樹脂との合計含有量に対して0.1質量%以上である[5]に記載の熱線高反射塗料組成物調製用キット。
[7][1]〜[4]の何れか一項に記載の熱線高反射塗料組成物を塗装して形成された塗膜を有することを特徴とする熱線高反射塗装物。
[8]被塗装物上に、塗膜層(X)と、該塗膜層(X)上に形成された塗膜層(Y)とを有する塗装物であって、
前記塗膜層(X)は、Biの酸化物とCuの酸化物とを含む複合金属酸化物顔料と、樹脂成分(xt)を含有し、
前記塗膜層(Y)は、下式(1)で表されるケイ素含有化合物(A)と、フッ素樹脂(y)とを含有し、該ケイ素含有化合物(A)中のSiO2分が45〜50質量%であることを特徴とする熱線高反射塗装物。
[9]前記塗膜層(X)および/または前記塗膜層(Y)が、硬化剤により硬化された塗膜層である[8]に記載の熱線高反射塗装物。
[10]前記塗膜層(X)中における複合金属酸化物顔料の含有量が、該複合金属酸化物顔料と樹脂成分(xt)との合計含有量に対して0.1質量%以上である[8]または[9]に記載の熱線高反射塗装物。
[11]被塗装物上に、Biの酸化物とCuの酸化物とを含む複合金属酸化物顔料と、樹脂成分(xt)と弱溶剤を含む組成物(X1)を塗布して塗膜層(X)から形成された塗膜を形成させる工程と、
形成した該塗膜層(X)から形成された塗膜上に、下式(1)で表されるケイ素含有化合物(A)と、フッ素樹脂(y)と弱溶剤を含む組成物(Y1)を塗布して塗膜層(Y)から形成された塗膜を形成させる工程を有し、前記ケイ素含有化合物(A)中のSiO2分が45〜50質量%であることを特徴とする熱線高反射塗装物の塗装方法。
[12]前記組成物(X1)および/または前記組成物(Y1)が、さらに硬化剤を含む請求項11に記載の熱線高反射塗装物の塗装方法。
[13]前記組成物(X1)における複合金属酸化物顔料の含有量が、該複合金属酸化物顔料と樹脂成分(xt)との合計含有量に対して0.1質量%以上である[12]に記載の熱線高反射塗装物の塗装方法。
また、本発明の熱線高反射塗装物は、環境対応型である弱溶剤を使用して形成でき、マンガン化合物の使用を要さず、塗膜の汚染性の低く、かつ、濃色系でありながら熱線反射性能が高い。
本発明の熱線高反射塗料組成物(以下「本塗料組成物」ともいう。)は、Biの酸化物とCuの酸化物とを含む複合金属酸化物顔料(以下「複合顔料M」ともいう。)と、ケイ素含有化合物(A)と、フッ素樹脂と、溶剤を含有する。
複合顔料Mは、本塗料組成物によって得られる塗膜に熱線反射性能を付与する役割を果たす。複合顔料Mは、Biの酸化物とCuの酸化物とを含有する濃色系の顔料である。複合顔料Mは、本塗料組成物中に分散させて配合する。
複合顔料M中のCuの酸化物の含有量は、5〜95質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましい。Cuの酸化物の含有量が下限値以上であれば、反射性能の良い黒顔料が得られやすい。
複合顔料M中のBiの酸化物の含有量は、5〜95質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましい。Biの酸化物の含有量が下限値以上であれば、反射性能の良い黒顔料が得られやすい。
また、複合顔料Mは、必要に応じて後述する他の着色顔料を含有していてもよい。
複合顔料Mは、BiとCuの混合物を、700℃以上の焼成温度で焼成して得られる酸化物を使用することが好ましい。なお、複合顔料Mの原料として使用されるBiとCuは、単体に限定されず、酸化物等の化合物であってもよい。
平均粒子径0.1μm〜30μmの条件を満たす複合顔料Mの市販品としては、たとえば、大日精化工業社製 ダイピロキサイド ブラック#9581等が挙げられる。
本塗料組成物には、用途や目的に応じて色調を調整する目的で、複合顔料Mに加えて他の着色顔料を含有させていてもよい。
他の着色顔料としては、たとえば、酸化チタン、べんがら、黄土、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ホワイトカーボン、微粉ケイ酸等の無機系顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ジオキサジン等の有機系顔料が挙げられる。
酸化チタンは、酸化セリウム等で表面被覆した酸化チタンが好ましく、該酸化チタンは、石原産業社製、商品名「PFC−105」;堺化学社製、商品名「D−918」等として入手できる。
ただし、熱線反射性能をより優れたものにするという観点からは、本塗料組成物を被塗装物表面に塗布して塗膜を形成した際に、得られる塗装物表面が濃色系の色調であることが好ましい。具体的には、塗装物表面のJIS Z 8729に規定された明度L*が5〜80であることが好ましく、10〜60であることがより好ましい。
複合顔料Mに加えて他の着色顔料を含有させる場合の複合顔料Mの顔料全体に対する割合は、0.1〜100質量%であることが好ましく、20〜100質量%であることがより好ましい。複合顔料Mの顔料全体に対する割合が好ましい下限値以上であれば、得られる塗膜において、複合顔料Mの優れた熱線反射特性が発揮されやすい。複合顔料Mとその他の顔料を使用することにより、任意の色に調整が可能となる。
ケイ素含有化合物(A)は、塗膜の表面が汚染されて熱線反射性が低下することを防ぐ。ケイ素含有化合物(A)は、下式(1)で表される化合物(1)である。
なお、「SiO2分」とは、本塗料組成物中で、アルコキシ基の加水分解反応および縮合反応が生じる以前における(本塗料組成物の他の成分と混合する以前における。)ケイ素含有化合物(A)の総質量を100質量%としたときの、SiO2換算としてのシリカの含有量を示す値である。以下、SiO2分が45〜50質量%のケイ素含有化合物(A)を本ケイ素含有化合物という。
本ケイ素含有化合物としては、例えば、コルコート社製の商品名「エチルシリケート48」(SiO2分:48質量%)等が挙げられる。
本塗料組成物には、アルコキシ基の加水分解反応および縮合反応を進めるための親水化促進剤を含有させるのが好ましい。親水化促進剤としては、従来から知られている塩酸、p−トルエンスルホン酸などの酸性触媒またはジルコニウムキレート、アルミニウムキレートなどの有機金属キレート化合物を用いることができる。
具体的な親水化促進剤としては、特に限定はされないが、ALCH、ALCH−TR、アルミキレートD、アルミキレートA(W) (川研ファインケミカル社製)K−KAT 4205(楠本化成社製)が挙げられる。
本ケイ素含有化合物の親水化促進剤の含有量は、本ケイ素含有化合物の固形分に対して、0.1〜50質量%であることが好ましい。
フッ素樹脂は、フッ素原子を有する繰り返し単位(β1)を有する重合体であり、明確な融点を有する樹脂、融点を示さない樹脂、ゴム弾性を示すエラストマー、熱可塑性エラストマーが含まれる。
フッ素樹脂は架橋性基を有することが好ましい。すなわち、架橋性基を有する繰り返し単位(β2)を有することが好ましい。前記架橋性基とは、互いに、もしくは硬化剤と反応して化学結合(架橋)を形成する官能基である。
フッ素樹脂としては、フッ素原子を有する繰り返し単位(β1)と、架橋性基を有する繰り返し単位(β2)を有する共重合体が好ましい。
繰り返し単位(β1)は、フッ素原子を有する単量体(以下、「単量体(b1)」という。)を重合することで形成される。
単量体(b1)としては、フッ素樹脂の原料として通常使用されるフッ素原子を有する単量体が使用できる。具体的には、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニル(VF)等のフルオロオレフィン類;フルオロアルキル基を有するオレフィン類、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)等フルオロビニルエーテル類等が挙げられる。なかでも、フルオロオレフィン類が好ましく、TFE、HFP、CTFE、VdF、VFがより好ましく、TFE、CTFE、VdFがさらに好ましく、TFE、CTFEが特に好ましく、硬化塗膜の耐候性、耐薬品性、透湿性の点から、CTFEが最も好ましい。
単量体(b1)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
繰り返し単位(β2)は、架橋性基を有する単量体(以下、「単量体(b2)」という。)を重合することにより形成できる。単量体(b2)は、架橋性基を有し、前記単量体(b1)と共重合可能な重合性不飽和基を有する単量体であればよい。単量体(b2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体(b2)における架橋性基としては、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、エポキシ基、加水分解性シリル基等が挙げられる。なかでも、架橋反応性、入手容易性、共重合体への導入容易性の点から、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基が好ましく、水酸基が特に好ましい。
単量体(b21)としては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等の水酸基を有するビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等の水酸基を有するアリルエーテル類;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。なかでも、入手容易性、重合反応性、水酸基の架橋性が優れる点から、水酸基を有するビニルエーテル類が好ましく、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルがより好ましい。
単量体(b21)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体(b22)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸、ウンデシレン酸、3−アリルオキシプロピオン酸、3−(2−アリロキシエトキシカルボニル)プロピオン酸、フタル酸ビニル等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類;イタコン酸モノエステル、マレイン酸モノエステル、フマル酸モノエステル等の不飽和ジカルボン酸モノエステル類;マレイン酸無水物等の不飽和ジカルボン酸の無水物等が挙げられる。これらの他にもピロメリット酸ビニル等の多価カルボン酸のビニルエーテルまたはアリルエーテル等が挙げられる。なかでも、入手容易性、重合反応性、架橋性が優れる点から、クロトン酸、ウンデシレン酸、マレイン酸、イタコン酸が好ましい。
単量体(b22)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体(b23)としては、グリシジルビニルエーテル、グリシジルアリルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルが好ましい。
単量体(b23)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ただし、繰り返し単位(β2)は、単量体(b2)を重合することで形成された繰り返し単位には限定されない。例えば、繰り返し単位(β2)の架橋性基としてカルボキシ基を導入する場合、前記単量体(b21)を共重合させ、得られた共重合体に導入された水酸基に、酸無水物を反応させる方法によりカルボキシ基を導入できる。
前記酸無水物としては、無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
上記では、フッ素原子を含有しない繰り返し単位(β2)について例示したが、繰り返し単位(β2)は架橋性基を有していればよく、フッ素原子は含有していてもいなくてもよい。
単量体(b3)としては、オレフィン類、アルキル基と重合性不飽和基とがエーテル結合で連結されたアルキルビニルエーテル類、またはアルキル基と重合性不飽和基とがエステル結合で連結されたカルボン酸ビニルエステル類が好ましい。
アルキルビニルエーテル類としては、エチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
カルボン酸ビニルエステル類としては、バーサチック酸ビニル等が挙げられる。
フッ素樹脂中の全繰り返し単位(100モル%)に対する繰り返し単位(β2)の割合は、6〜50モル%が好ましく、7〜40モル%がより好ましい。繰り返し単位(β2)の割合が前記範囲の下限値以上であれば、形成される硬化塗膜の架橋度が高くなり硬度等が向上する。
繰り返し単位(β2)の割合が前記範囲の上限値以下であれば、本発明の塗料組成物にゲル化が起こりにくい。
フッ素樹脂中の全繰り返し単位(100モル%)に対する繰り返し単位(β3)の割合は、45モル%以下が好ましく、35モル%以下がより好ましい。
フッ素樹脂の製造は、公知の重合方法を採用でき、具体的には、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の重合方法を採用できる。
また、本塗料組成物は、フッ素樹脂以外の他の樹脂を含有していてもよい。他の樹脂としては、アルキッド樹脂、アミノアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、エポキシポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン変性ポリエステル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、アクリル樹脂が好ましい。
また、他の樹脂は、前記架橋性基を有していることが好ましく、水酸基を有していることがより好ましく、耐候性の観点から、水酸基を有するアクリル樹脂が特に好ましい。
本塗料組成物の樹脂成分はフッ素樹脂のみからなることが特に好ましい。また、樹脂成分として他の樹脂が含まれる場合、フッ素樹脂は樹脂成分全体に対して5〜98質量%であることが好ましく、30〜98質量%であることがより好ましい。
本塗料組成物(溶剤も含めて100質量%とする。)中の樹脂成分の含有量は、5〜80質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましい。樹脂成分が前記範囲の下限値以上であれば、塗装塗膜の膜厚確保が可能である。樹脂成分が前記範囲の上限値以下であれば、塗装作業性が向上する。
また、樹脂成分中のフッ素樹脂の含有量は、5〜100質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることがより好ましい。樹脂成分中のフッ素樹脂の含有量が高い程耐候性が高くなる。
本塗料組成物には硬化剤を含有させることができる。硬化剤は、樹脂成分と反応して架橋構造を形成する。硬化剤は、本塗料組成物中に含有される樹脂成分が有する架橋性基の種類に応じて適宜選定する。本塗料組成物においては、フッ素樹脂、および必要に応じて使用する他の樹脂が有する架橋性基が水酸基で、硬化剤がポリイソシアネート系硬化剤(C)であることが好ましい。
硬化剤(C1):脂肪族ジイソシアネートおよび脂環式ジイソシアネートからなる群から選ばれる1種以上のジイソシアネートと、炭素数1〜20のモノアルコールとを反応させて得られる、アロファネート基(All)とイソシアヌレート基(Iso)のモル比(All/Iso)が81/19〜90/10のポリイソシアネート系硬化剤。
脂肪族ジイソシアネートとは、分子中に脂肪族基を有するジイソシアネート化合物である。一方、脂環式ジイソシアネートとは、分子中に環状脂肪族基を有するジイソシアネート化合物である。
脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、5−イソシアナト−1−イソシアナトメチル−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン(別名:イソホロンジイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(別名:水添キシリレンジイソシアネート)、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(別名:水添ジフェニルメタンジイソシアネート)、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン等が挙げられる。なかでも、工業的に入手し易い点から、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
ジイソシアネートとしては、硬化剤(C1)が低粘度となる点から、脂環式ジイソシアネートよりも脂肪族ジイソシアネートの方が好ましく、形成される硬化塗膜の耐候性、柔軟性の点から、HDIが特に好ましい。
モノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、イソアミルアルコール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチル−1−ヘキサノール、トリデカノール、ペンタデカノール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、トリメチルシクロヘキサノール等が挙げられる。
また、モノアルコールは、粘度がより低くなる点では、1−プロパノール、イソブタノール、1−ブタノール、イソアミルアルコール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3,3,5−トリメチル−1−ヘキサノールが好ましい。
モノアルコールは、前記したものには限定されず、分子内にエーテル基や、エステル基、カルボニル基を有するモノアルコールでもよい。
モノアルコールは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記モル比(All/Iso)は、国際公開第2008/047761号パンフレットに記載した1H−NMR法により求められる。
このようなイソシアネート系硬化剤は、例えば国際公開第2008/047761号パンフレットに記載の方法で合成することができる。
前記イソシアネート基の平均数は、国際公開第2008/047761号に記載のように下式で求められる。
(イソシアネート基の平均数)=(数平均分子量)×(NCO含有量)/4200
硬化剤(C1)の数平均分子量は、GPCにより測定できる。
ブロック化ポリイソシアネート系硬化剤としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート化合物中のイソシアネート基がメチルエチルケトンオキシム等によりブロック化された硬化剤等が好ましい。
ポリイソシアネート系硬化剤(C)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本塗料組成物中に含有される樹脂成分が有する架橋性基がカルボキシ基の場合、硬化剤としては、公知のアミノ系硬化剤、エポキシ系硬化剤等が挙げられる。
本塗料組成物中に含有される樹脂成分が有する架橋性基がアミノ基の場合、硬化剤としては、公知のカルボニル基を有する硬化剤、エポキシ系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられる。
本塗料組成物中に含有される樹脂成分が有する架橋性基がエポキシ基の場合、硬化剤としては、公知のカルボキシル基を有する硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミノ系硬化剤等が挙げられる。
硬化剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本塗料組成物における溶剤としては、キシレン、トルエン、酢酸エチル、弱溶剤等の一般的に塗料の溶剤として使用されている溶剤を使用することができる。溶剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
[弱溶剤]
本塗料組成物における溶剤としては、補修の際の下地(旧塗膜)への影響、および地球環境への負荷を低減できることから弱溶剤を使用することが好ましい。弱溶剤は、労働安全衛生法による有機溶剤の分類において、第三種有機溶剤に分類されている有機溶剤である。
弱溶剤としては、ガソリン、コールタールナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、テレピン油、ミネラルスピリット、ミネラルシンナー、ペトロリウムスピリット、ホワイトスピリット、ミネラルターペン等が挙げられる。
ミネラルスピリットとして市販されている弱溶剤としては、例えば、HAWS(シェルジャパン社製、アニリン点17℃)、エッソナフサNo.6(エクソンモービル化学社製、アニリン点43℃)、LAWS(シェルジャパン社製、アニリン点44℃)、ペガゾール3040(エクソンモービル化学社製、アニリン点55℃)、Aソルベント(新日本石油化学社製、アニリン点45℃)、クレンゾル(新日本石油化学社製、アニリン点64℃)、ミネラルスピリットA(新日本石油化学社製、アニリン点43℃)、ハイアロム2S(新日本石油化学社製、アニリン点44℃)、ハイアロム2S(新日本石油化学社製、アニリン点44℃)、リニアレン10、リニアレン12(出光石油化学社製、αオレフィン系炭化水素、アニリン点は順に44℃、54℃)、エクソールD30(エクソンモービル社製、ナフテン系溶剤、アニリン点63℃)、リカソルブ900、910B、1000(新日本理化株式会社製、水添C9溶剤、アニリン点は順に53℃、40℃、55℃)等が挙げられる。
弱溶剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本塗料組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、硬化触媒、光安定剤、紫外線吸収剤、つや消し剤、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、分散剤等の他の成分を含んでもよい。
硬化触媒としては、例えば、硬化剤としてポリイソシアネート系硬化剤(C)を使用する場合、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、シアノアクリレート系化合物等が挙げられる。具体的には、「Viosorb130」、「Viosorb582」、「Viosorb583」(以上、共同製薬社製、商品名)、「チヌビン320」、「チヌビン384−2」、「チヌビン982」、「チヌビン1130」、「チヌビン400」(以上、BASFジャパン社製、商品名)等が挙げられる。
つや消し剤としては、超微粉合成シリカ等が挙げられる。つや消し剤を使用した場合、優雅な半光沢、つや消し仕上げの硬化塗膜を形成できる。
レベリング剤を配合すれば、形成する硬化塗膜の厚さの均一性が向上する。レベリング剤としては、BYK−300(BYK−Chemie社製、商品名)、フローレンNo.3(共栄社化学社製、商品名)、ディスパロンLF1985(楠本化成社製、商品名)等が挙げられる。
本塗料組成物は、上記各成分を混合することにより得られる。混合の順番に特に限定はないが、予めフッ素樹脂、および必要に応じて使用する他の樹脂の弱溶剤溶液に顔料を混合し、これに本ケイ素含有化合物または本ケイ素含有化合物及び硬化剤の弱溶剤溶液を添加する方法が好ましい。
本ケイ素含有化合物の親水化促進剤は、本ケイ素含有化合物に予め添加しておくことが好ましい。ただし、本ケイ素含有化合物を樹脂溶液及び顔料に混合してから塗装するまでの時間が長い場合は、親水化促進剤は塗料組成物を塗装する直前に配合することがより好ましい。
艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、たれ防止剤、表面調整剤、粘性調整剤、分散剤、紫外線吸収剤、光安定剤、硬化触媒等の添加剤は、顔料と共に、樹脂溶液に混合することが好ましい。
本塗料組成物は、後述の熱線高反射塗料組成物調製用キットを用い、その主剤と硬化用組成物とを混合することにより、容易に調製できる。
本発明の熱線高反射塗料組成物調製用キットは、前述した本塗料組成物を調製するための二液硬化型のキットである。本発明の熱線高反射塗料組成物調製用キットは、前記複合顔料Mと、前記フッ素樹脂、および弱溶剤の一部を含有する主剤、ならびに本ケイ素含有化合物、硬化剤、および弱溶剤の残部を含有する硬化用組成物からなる。
本発明の熱線高反射塗料組成物調製用キットにより、本塗料組成物を調製する場合、硬化剤としては、保護基で保護されていない非ブロック化ポリイソシアネート系硬化剤が好ましい。
フッ素樹脂以外の他の樹脂を使用する場合、該他の樹脂は、前記主剤に含有させることが好ましい。複合顔料M以外の顔料を使用する場合、該他の顔料も、前記主剤に含有させることが好ましい。本ケイ素含有化合物の親水化促進剤は、硬化用組成物に添加しておくことが好ましい。艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、たれ防止剤、表面調整剤、粘性調整剤、分散剤、紫外線吸収剤、光安定剤、硬化触媒等の添加剤は、複合顔料Mと共に、主剤に含有させることが好ましい。
本発明の熱線高反射塗料組成物調製用キットにおける主剤中の複合顔料Mの含有量は、複合顔料Mと樹脂成分との合計含有量に対して0.1質量%以上であることが好ましい。
本発明の熱線高反射塗料組成物調製用キットにおける主剤中の弱溶剤は、樹脂成分100質量部に対して、10〜90質量部が好ましい。
本発明の熱線高反射塗料組成物調製用キットにおける硬化用組成物中の弱溶剤は、本ケイ素含有化合物の100質量部に対して、10〜90質量部が好ましい。
本発明の熱線高反射塗装物は、被塗装物品に本塗料組成物により得られた塗膜を有するもの(熱線高反射塗装物I)、または被塗装物品に、複合顔料Mおよび樹脂成分(xt)を含有する塗膜層(X)と、本ケイ素含有化合物およびフッ素樹脂(y)とを含有する塗膜層(Y)とが順次設けられたもの(熱線高反射塗装物II)である。
被塗装物品の材質に特に限定はなく。たとえばコンクリート、自然石、ガラスなど無機物、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、真鍮、チタンなどの金属または木材などがある。また有機無機複合材である繊維強化プラスチック、樹脂強化コンクリート、繊維強化コンクリートなどでもよい。
また、表面に、既に形成された他の塗膜や接着剤層や、プラスチック、ゴムなどの層を有する物品でもよい。
熱線高反射塗装物Iは、被塗装物品に本塗料組成物を塗装して形成された塗膜を有する物品である。塗膜の厚みは特に限定されないが、5〜100μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。膜厚が薄くなると隠蔽性や耐候性が低下する傾向にあり、厚くなるとタレなどの施工上の弊害が発生する傾向にある。
本塗料組成物を被塗装物品に塗装する方法は、種々の方法で行うことができる。例えば刷毛塗り、スプレー塗装、浸漬法による塗装、ロールコーターやフローコーターによる塗装などが適用できる。
また、プライマー又は下塗り剤としては、エポキシ樹脂系、変性エポキシ樹脂系、ポリエステル樹脂系、エポキシ変性ポリエステル樹脂系、ビニル樹脂系、塩化ゴム系等の塗料などが挙げられ、必要によりリン酸亜鉛、鉛丹、亜鉛末、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、シアナミド鉛、塩基性クロム酸鉛、塩基性硫酸鉛等の防錆顔料、酸化鉄、雲母、アルミニウム、ガラスフレーク等の鱗片状顔料等を含んでもよい。また、防錆力を高めるため、ジンクリッチプライマーを用いてもよく、前記した溶剤系下塗り材を2種類以上塗り重ねることもできる。
本塗料組成物の硬化の方式に限定はなく、熱硬化型、熱可塑型、常温乾燥型、常温硬化型など種々の硬化方式を用いることができる。また、硬化の条件も、硬化方式に応じて公知の条件で硬化することができる。
熱線高反射塗装物IIは、被塗装物品に、塗膜層(X)と塗膜層(Y)とが順次設けられた物品である。
塗膜層(X)は、本塗料組成物における硬化剤と同等の硬化剤を含有することができる。また、本塗料組成物と同様に、硬化触媒、光安定剤、紫外線吸収剤、つや消し剤、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、分散剤等の他の成分を含んでもよい。
例えば、塗膜層(X)中における複合顔料Mの含有量は、複合顔料Mと樹脂成分(xt)に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.1〜200質量%であることがより好ましく、10〜100質量%であることがさらに好ましい。
また、塗膜層(X)中における顔料全体の含有量は、顔料全体と樹脂成分(xt)の合計含有量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.1〜200質量%であることがより好ましく、10〜100質量%であることがさらに好ましい。
また、樹脂成分(xt)中のフッ素樹脂(x)の含有量は、30〜100質量%であることが好ましく、50〜100質量%であることがより好ましい樹脂成分(xt)中のフッ素樹脂(x)の含有量が高い程耐候性が高くなるが、塗膜層(X)は塗膜層(Y)で覆われているため、フッ素樹脂(x)の含有量は低くてもよく、ゼロでもよい。
また、樹脂成分(xt)が有する水酸基の合計と、硬化剤のイソシアネート基のモル比(OH/NCO)は、0.3〜2.0が好ましく、0.7〜1.3がより好ましい。
塗膜層(X)の厚みは特に限定されないが、5〜100μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。膜厚が薄くなると隠蔽性や耐候性が低下する傾向にあり、厚くなるとタレなどの施工上の弊害が発生する傾向にある。
本ケイ素含有化合物は、本塗料組成物における本ケイ素含有化合物と同等のものである。また、フッ素樹脂(y)は、本塗料組成物におけるフッ素樹脂と同等のものであり、本塗料組成物と同様に他の樹脂を含有してもよい。
塗膜層(Y)は、本塗料組成物における硬化剤と同等の硬化剤を含有することができる。また、本塗料組成物と同様に、硬化触媒、光安定剤、紫外線吸収剤、つや消し剤、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、分散剤等の他の成分を含んでもよい。
例えば、塗膜層(Y)中における本ケイ素含有化合物の含有量は、フッ素樹脂、および必要に応じて使用する他の樹脂(以下、合わせて「樹脂成分(yt)」という。)の合計含有量と硬化剤の合計含有量100質量部に対して、1.5〜90質量部が好ましく、3〜30質量部がより好ましい。
また、樹脂成分(yt)中のフッ素樹脂(y)の含有量は、5〜100質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることがより好ましい。樹脂成分(yt)中のフッ素樹脂(y)の含有量が高い程耐候性が高くなる。
また、樹脂成分(yt)が有する水酸基の合計と、硬化剤のイソシアネート基のモル比(OH/NCO)は、0.3〜2.0が好ましく、0.7〜1.3がより好ましい。
塗膜層(Y)の厚みは特に限定されないが、5〜100μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。膜厚が薄くなると隠蔽性や耐候性が低下する傾向にあり、厚くなるとタレなどの施工上の弊害が発生する傾向にある。
また、複合顔料Mを塗膜層(X)に、本ケイ素含有化合物を塗膜層(Y)に、各々分けて含有させ、塗膜層(Y)を塗膜層(X)上に備える。そのため、本ケイ素含有化合物による表面の汚染防止効果がより向上し、複合顔料Mの劣化もより抑えられる。また、熱線高反射塗装物IIは、塗膜層(Y)を最上層として設けることにより、表面の汚染防止により美観を維持する効果、および熱線の反射性能を維持する効果が特に高くなる。
本発明の熱線高反射塗装物の塗装方法は熱線高反射塗装物IIの塗装方法であり、組成物(X1)を被塗装物上に塗布して塗膜層(X)を形成させ、つぎに、組成物(Y1)を塗膜層(X)上に塗布して塗膜層(Y)を形成させることを特徴とする方法である。
すなわち、組成物(X1)は複合顔料M、樹脂成分(xt)及び弱溶剤を必須成分とし、塗膜層(X)における任意成分を含んでもよい。また、組成物(Y1)は本ケイ素含有化合物、フッ素樹脂(y)及び弱溶剤を必須成分とし、塗膜層(Y)の任意成分を含んでもよい。
組成物(X1)および組成物(Y1)における弱溶剤としては本塗料組成物における弱溶剤と同様のものを用いる。組成物(X1)および組成物(Y1)は、各々塗膜層(X)または塗膜層(Y)に含有させる各必須成分及び任意成分を弱溶剤に溶解または分散させた溶剤組成物とする。
ケイ素含有化合物(A)の弱溶剤に対する溶解性を調べる実験を行った。
[例1]
硬化剤であるデュラネートA2400−100(旭化成ケミカルズ社製 弱溶剤可溶型無黄変タイプイソシアネート系硬化剤)20.9gに、弱溶剤であるミネラルスピリットA(新日本石油化学社製)の18.3gを加えて混合し、さらにケイ素含有化合物(A)であるエチルシリケート48(コルコート社製、SiO2分48質量%)の10.8gを加えて混合して硬化用組成物とした。
エチルシリケート48の代わりに、エチルシリケート40(コルコート社製、SiO2分40質量%)を使用した以外は、例1と同様にして硬化用組成物を得た。
エチルシリケート48の代わりに、メチルシリケート51(コルコート社製、SiO2分51質量%)を使用した以外は、例1と同様にして硬化用組成物を得た。
エチルシリケート48の代わりに、メチルシリケート53A(コルコート社製、SiO2分53質量%)を使用した以外は、例1と同様にして硬化用組成物を得た。
エチルシリケート48の代わりに、MKCシリケートMS56S(メチルシリケート、三菱化学社製、SiO2分56質量%)を使用した以外は、例1と同様にして硬化用組成物を得た。
エチルシリケート48の代わりに、n−ブチルシリケート(コルコート社製、SiO2分19質量%)を使用した以外は、例1と同様にして硬化用組成物を得た。
エチルシリケート48の代わりに、n−プロピルシリケート(コルコート社製、SiO2分23質量%)を使用した以外は、例1と同様にして硬化用組成物を得た。
エチルシリケート48の代わりに、MCS−18(Si(OCH2CH2OCH3)4、コルコート社製、SiO2分18質量%)を使用した以外は、例1と同様にして硬化用組成物を得た。
例1〜8の硬化用組成物について、5℃または23℃における初期の溶解性と、23℃において6ヶ月貯蔵した後の溶解性を、目視により確認し、以下の基準で評価した。
「○」:無色透明で白濁がなかった。
「△」:白濁があった。
「×」:白濁が顕著であった。
溶解性の評価結果を表1に示す。
ケイ素含有化合物(A)による低汚染化硬効果を調べる実験を行った。
[例9]
クロロトリフルオロエチレン、シクロヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテルおよびヒドロキシアルキルビニルエーテルの共重合体である弱溶剤溶解型フッ素樹脂ルミフロンLF−800S[旭硝子社製、水酸基含有フルオロオレフィン系共重合体(水酸基価:52mgKOH/g)60質量%を含む有機溶剤溶液]の45gを、弱溶剤であるミネラルスピリットAの25gに溶解して調製した主剤の70gに、例1で得られた硬化用組成物の10gを混合して塗料組成物を調製した。
基材(縦20cm×横9cm×厚さ0.1cm、材質アルミ板)の表面に、ボンエポコートライト グレー色(AGCコーテック社製、エポキシ塗料)を下塗り(塗布量0.27kg/m2)し、さらに、ボンフロンライト中塗 白色(AGCコーテック社製、フッ素樹脂塗料)を中塗り(塗布量0.13kg/m2)した後、スプレーガンにより前記塗料組成物を膜厚が30μmとなるように塗布し、23℃、相対湿度60%以下の条件で14日間養生し、硬化塗膜を形成して試験体を得た。
例1の硬化用組成物の代わりに、表2に示す硬化用組成物を使用した以外は、例9と同様にして試験体を得た。
硬化剤であるデュラネートA2400−100の20.9gに、弱溶剤であるミネラルスピリットAの29.1gを加えて混合し、硬化用組成物とした。その後、例1の硬化用組成物の代わりにこの硬化用組成物を使用した以外は、例9と同様にして試験体を得た。
各例で得られた、硬化塗膜を有する縦20cmの試験体を、下端から10cmまでの領域が垂直面、下端から10cm以降の領域が傾斜面とを有するように、途中で60°屈曲させた。なお、硬化塗膜が傾斜面の上側となるようにした。このように屈曲させた試験体を屋外に曝露し、傾斜面と垂直面の雨筋の発生度合を目視により確認し、以下の基準で低汚染性を評価した。
「◎」:斜面の汚れ、雨筋汚れがなかった。
「○」:斜面の汚れ、雨筋汚れがほとんど認められなかった。
「△」:斜面の汚れ、雨筋汚れが認められた。
「×」:斜面の汚れ、雨筋汚れが顕著に認められた。
例9〜15の試験体の低汚染性の評価を表2に示す。
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例および比較例において用いた基材、主剤、及び硬化剤組成物は、下記のとおりである。また、顔料を含有する主剤をエナメル主剤、含有しない主剤をクリヤー主剤という。
(基材)
基材としては、140mm×240mm×0.5mmのクロメート処理されたアルミ板に 下塗り剤と中塗り剤とを順次塗布したものを用いた。
下塗り剤としては、ボンエポコート55MP、白色(AGCコーテック社製、エポキシ塗料)を用いた。中塗り剤としては、ボンフロン#1000白色(AGCコーテック社製、フッ素塗料)を用いた。
フッ素樹脂ルミフロンLF−800Sの63.88gにミネラルスピリットA(新日本石油化学社製)の22.72gを加えた。
次に ダイピロキサイド ブラック#9581(大日精化工業社製 Cu、Bi複合酸化物顔料)の13.0gを加えてサンドミルで分散を行った。さらにジブチル錫ジラウリレートの0.0005gを加えて撹拌したものをエナメル主剤1とした。
フッ素樹脂ルミフロンLF−200の69.0gにキシレン18.0gを加えた。次に、ブラック6301(アサヒ化成工業社製、Mn、Bi複合酸化物顔料、マンガン含有量29質量%)を13.0g加えてサンドミルで分散を行った。さらにジブチル錫ジラウリレートの0.0005gを加えて撹拌したものをエナメル主剤2とした。
フッ素樹脂ルミフロンLF−200の69.0gにキシレン28.0gを加えた。次に、三菱カーボンブラックMA−11(三菱化学社製)を3.0g加えてサンドミルで分散を行った。さらにジブチル錫ジラウリレートの0.0005gを加えて撹拌したものをエナメル主剤3とした。
フッ素樹脂ルミフロンLF−800Sの64.28gに、紫外線吸収剤(BASFジャパン社製:TINUBIN384−2)の3.0g、ミネラルスピリットA(新日本石油化学社製)の32.72gを加え、さらにジブチル錫ジラウリレートの0.0005gを加えて撹拌したものをクリヤー主剤とした。
デュラネートA2400−100(旭化成ケミカルズ社製 弱溶剤可溶型無黄変タイプイソシアネート系硬化剤)の20.9gに、エチルシリケート48(コルコート社製 シリカ分48重量%のエチルシリケート縮合物)の10.8gとミネラルスピリットA(新日本石油化学社製)の18.3gを加えて混合したものを、硬化剤組成物1とした。
デュラネートA2400−100(旭化成ケミカルズ社製 弱溶剤可溶型無黄変タイプイソシアネート系硬化剤)の20.9gに、ミネラルスピリットA(新日本石油化学社製)の29.1gを加えて混合したもの。
コロネートHX(日本ポリウレタン製、無黄変タイプイソシアネート系硬化剤)の30.8gにアルミキレートD(川研ファインケミカル社製、アルミニウムキレート化合物)の1.8g加え混合し、さらに、MKCシリケートMS56S〔三菱化学社製、シリカ分56重量%のメチルシリケート縮合物〕の17.4g加えて混合したものを硬化剤組成物3とした。
コロネートHXの30.8gにキシレン19.2gを加え混合したものを硬化剤組成物4とした。
エナメル主剤1の100g(乾燥固形分として52g)に、硬化剤組成物1を15g(乾燥固形分として7.7g)混合して得た塗料組成物を、基材の上にバーコーターにて、膜厚30μmとなるように塗布した。その後、気温23℃相対湿度60%下にて7日間養生を行い、実施例1の試験体を得た。
エナメル主剤1の100g(乾燥固形分として52g)に、硬化剤組成物2を15g(乾燥固形分として6.3g)混合して得た塗料組成物を、基材の上にバーコーターにて、膜厚30μmとなるように塗布し、気温23℃相対湿度60%下にて24時間養生して、塗膜層(X)を形成した。
次に、クリヤー主剤の100g(乾燥固形分として44g)に、硬化剤組成物1を15g(乾燥固形分として7.7g)混合して得た塗料組成物を、塗膜層(X)の上にバーコーターにて、膜厚30μmとなるように塗布し、塗膜層(Y)を形成した。
その後、気温23℃相対湿度60%下にて7日間養生を行い、実施例2の試験体を得た。
エナメル主剤2の100g(乾燥固形分として54g)に、硬化剤組成物3を12g(乾燥固形分として9.7g)混合して得た塗料組成物を、基材の上にバーコーターにて、膜厚30μmとなるように塗布した。その後、気温23℃相対湿度60%下にて7日間養生を行い、比較例1の試験体を得た。
エナメル主剤2の100g(乾燥固形分として54g)に、硬化剤組成物4を12g(乾燥固形分として7.4g)混合して得た塗料組成物を、基材の上にバーコーターにて、膜厚30μmとなるように塗布した。その後、気温23℃相対湿度60%下にて7日間養生を行い、比較例2の試験体を得た。
エナメル主剤3の100g(乾燥固形分として44g)に、硬化剤組成物3を12g(乾燥固形分として9.7g)混合して得た塗料組成物を、基材の上にバーコーターにて、膜厚30μmとなるように塗布した。その後、気温23℃相対湿度60%下にて7日間養生を行い、比較例3の試験体を得た。
(初期塗膜付着性試験)
各試験体について、JIS K5600−5−6(付着性:クロスカット法)に準じて、塗膜の付着性を評価した。結果を表3に示す。
各試験体について、紫外可視近赤外分光光度計 V−670(日本分光社製)にて分光反射率を測定し、JIS K5602(塗膜の日射反射率の求め方)に準じて、近赤外域の日射反射率を算出した。結果を表3に示す。
各試験体のイオン交換水に浸漬1日後における表面静水接触角を、接触角測定機DropMaster(協和界面科学製)にて測定し、親水性を評価した。結果を表3に示す。
また、実施例1、2では、弱溶剤であるミルラルスプリットを用いたが、溶解性に問題はなく、良好な塗膜が得られた。
Claims (13)
- 前記溶剤が弱溶剤である請求項1に記載の熱線高反射塗料組成物。
- さらに、硬化剤を含有する請求項1または2に記載の熱線高反射塗料組成物。
- 前記複合金属酸化物顔料の含有量が、該複合金属酸化物顔料とフッ素樹脂、および必要に応じて使用する他の樹脂との合計含有量に対して0.1質量%以上である請求項1〜3の何れか一項に記載の熱線高反射塗料組成物。
- 前記主剤中の複合金属酸化物顔料の含有量が、該複合金属酸化物顔料とフッ素樹脂、および必要に応じて使用する他の樹脂との合計含有量に対して0.1質量%以上である請求項5に記載の熱線高反射塗料組成物調製用キット。
- 請求項1〜4の何れか一項に記載の熱線高反射塗料組成物を塗装して形成された塗膜を有することを特徴とする熱線高反射塗装物。
- 前記塗膜層(X)および/または前記塗膜層(Y)が、硬化剤により硬化された塗膜層である請求項8に記載の熱線高反射塗装物。
- 前記塗膜層(X)中における複合金属酸化物顔料の含有量が、該複合金属酸化物顔料と樹脂成分(xt)との合計含有量に対して0.1質量%以上である請求項8または9に記載の熱線高反射塗装物。
- 前記組成物(X1)および/または前記組成物(Y1)が、さらに硬化剤を含む請求項11に記載の熱線高反射塗装物の塗装方法。
- 前記組成物(X1)における複合金属酸化物顔料の含有量が、該複合金属酸化物顔料と樹脂成分(xt)との合計含有量に対して0.1質量%以上である請求項12に記載の熱線高反射塗装物の塗装方法。
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