JP5781375B2 - 建築用コーティング剤及び該コーティング剤を用いた外壁のはく落防止工法 - Google Patents
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Description
そして、本発明者らは上記の驚くべき現象を知見することによって、上記塗布量管理の問題を解決できることに加え、このコーティング剤が建築用として有用であり、その用途として外壁のはく落防止工法が好適であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は次の第1〜第8の発明から構成される。
このような工程を備える外壁のはく落防止工法において、織物として上記のものを用いた場合には、特に良好な施工性と光透過性を有する外壁はく落防止層を得ることができる。
このような工程を備える外壁のはく落防止工法において、織物として上記のものを用いた場合には、特に良好な施工性と光透過性を有する外壁はく落防止層を得ることができる。
打設し、該はく落防止層を上記コンクリート躯体に対して一体的に結合させたことを特徴とする、第3〜第6の発明に係る外壁はく落防止工法に関するものである。このような工程を備える外壁のはく落防止工法において、アンカーピンを用いた場合には、特に良好なはく落防止性能を有する外壁はく落防止層を得ることができる。
本発明における、ポリオール化合物(A)は、反応性の水酸基を有する化合物を含有するポリマー前駆体組成物、又は反応性の水酸基を分子内に有するポリマー前駆体であり、常温で液状のものである。上記ポリオール化合物(A)自体は、硬化前に光透過性のポリマー前駆体であり、かつ、硬化後もその単独皮膜は光透過性を維持するものである。また、本発明におけるポリオール化合物(A)は、粘度を低減するために希釈剤・可塑剤が添加されていてもよい。
本発明における、ポリイソシアネート化合物(B)は、反応性のイソシアネート基を有する化合物を含有するポリマー前駆体組成物、又は反応性のイソシアネート基を分子内に
有するポリマー前駆体であり、常温で液状のものである。
上記ポリイソシアネート化合物(B)自体は、硬化前に光透過性のポリマー前駆体であり、かつ、硬化後もその単独皮膜は光透過性を維持するものである。本発明における、ポリイソシアネート化合物(B)は、粘度を低減するために希釈剤・可塑剤が添加されていてもよい。
建築用コーティング剤としての作業性(塗りつけやすさ、壁面等への適用の際の垂れ等)及びその硬化時間を考慮して、適宜多液型及び/又は1液型のポリマー前駆体を用いればよい。
本発明における、ゼオライト微粉末(C)は、アルミノシリケート化合物よりなる無機粉末であり、その平均粒子径が30μm以下の範囲にあるものである。
この無機粉末は、内部に空洞を多数有し、この空洞は表面からの細孔に繋がっている。そして、この細孔は、極めて均一な径を有しているので、この径を通過しうる分子(被吸着物)だけが、空洞に吸着されるという特性を、ゼオライト微粉末は有している。このようなゼオライト微粉末を構成する化合物は、種々の化学組成を有するものであるが、例えば、MX/n[(AlO2)X・(SiO2)Y]・ZH2O(但し、M;原子価nの金属陽イオン、X+Y;単位格子当りの四面体数、Z;水分子のモル数)で表わされる結晶性のアルミノケイ酸塩等の化合物が挙げられる。ゼオライトの化学組成の一例を示せば、ゼオライト4AはNa12[(AlO2)12(SiO2)12]27H2O、ゼオライト5AはNaXCaY[(AlO2)12(SiO2)12]27H2O、(但し、X+2Y=12)なる化学組成を有するものである。
有効細孔径が0.3〜1.0nmの範囲にあるゼオライトの市販品としては、例えば「モレキュラーシーブ3A粉末(有効細孔径0.3nm/平均粒子径10μm以下/A型ゼオライト)」、「同4A粉末(同0.4nm/平均粒子径10μm以下/A型ゼオライト)」、「同5A粉末(同0.5nm/平均粒径10μm以下/A型ゼオライト)」および「同13X粉末(同1.0nm/平均粒子径10μm以下/X型ゼオライト)」(以上、モレキュラーシーブはユニオン昭和株式会社製、商品名)、「ゼオスターNA00P(有効細孔径0.4nm/平均粒子径10μm以下/ナトリウムA型ゼオライト)」(以上、ゼオスターは日本化学工業株式会社製、商品名)、「ゼオラム A−4 100#(有効細孔径0.4nm/平均粒子径0.150mm以下/A型ゼオライト)」(以上、ゼオラムは東ソー株式会社製、商品名)等を挙げることができる。
ことができる。
本発明における、微粉末シリカ(D)は、従来公知のヒュームドシリカである。
ヒュームドシリカを用いることで、コーティング剤の透明性に影響を与えることなく、適正な粘性を付与することが出来る。親水性シリカと疎水性シリカの2種類に大別されるが、適正な粘性を付与することが可能であるならば、種類は問わない。
[アルコキシシラン(E)について]
本発明における、アルコキシシラン(E)は、ケイ素にアルコールが結合している化合物を指す。
アルコキシシランの化学組成の一例を示せば、テトラエトキシシランはSi(OC2H5
)4なる化学組成を有するものであり、水と反応することでポリシロキサンとエタノールに分解する。
本発明に係るコーティング剤は、上記構成のものであるが、本発明の目的・効果を損なわない範囲で更に従来公知の任意成分が含有されていてもよい。例えば、フタル酸系エステル、アジピン酸系エステル等の可塑剤、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、ケトン類、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素等の希釈剤、粘接着付与剤、増粘剤、シランカップリング剤、光硬化性アクリル系オリゴマー、消泡剤、チタンカップリング剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等の任意成分が含有されていてもよい。
上述のとおり、ゼオライト微粉末はその表面に微細な細孔を無数に有しており、またその粉末形状も不定形となっている。したがって、塗布直後のコーティング剤は、ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)自体は透明であるものの、ゼオライト微粉末の表面において光が乱反射・散乱することによって、全体としてコーティング剤は有色不透明となっているものと考えられる。ちなみに、本発明のコーティング剤は、湿気等を遮断した密閉容器内に充てんした状態においては色調変化を起こさず、有色不透明のままである。
空洞及び表面の細孔を満たすこととなる。その結果、ゼオライト微粉末の表面における光の乱反射・散乱が低減乃至なくなることによって、光透過性を有する硬化皮膜となるものと推察している。ただし、上記の変化にはある程度の時間が必要であることがわかっている。
そこで、アルコキシシラン(E)を添加すると、アルコキシシラン(E)と空気中の水分との反応により発生するアルコールがゼオライト微粉末に捉えられ、上記の変化速度を向上させ、より短時間で光透過性を有する硬化皮膜となるものと推察している。
本発明のコーティング剤を用いた外壁はく落防止工法について以下に説明する。
本発明に係るはく落防止工法が適用される外壁は、土木構造物並びに公共建築物及び集合住宅等の大型建築物等の鉄筋コンクリート構造物の外壁であり、打放しのコンクリート躯体のままで使用される外、コンクリート躯体上にモルタル等の下地層が形成され、その上に塗材やタイル等の仕上材によって仕上げられているものである。例えば、この仕上材層としては、上記コンクリート躯体の上を覆って外表面の美観を整えたり、意匠性を与えたりする目的で、コンクリート躯体のすぐ上に浮きを調整するための下地モルタルが塗布され、この下地モルタルの上にはタイルをはり付けるためのタイル貼付けモルタルが塗布され、このタイル貼付けモルタルによってタイル(例えば磁器質タイル)がはり付けられ、最後に、隣り合うタイル間の目地部に目地詰め用モルタルが充填されて仕上げられているようなものが挙げられる。なお、以下では「コンクリート躯体の表面又は該コンクリート躯体上に形成された仕上材層の表面」を併せて「外壁表面」と表記する。
このような外壁表面に、本発明に係るコーティング剤を、例えばペイントローラー等を用いて層状に塗布する。本発明のコーティング剤は、少なくとも塗布直後は有色不透明な常温液状のものであるから、外壁表面に塗布した際の色目を目視により観察しながら塗工すれば、その塗布量の管理が容易となり、塗りムラ等の不具合を生じることはない。さらに、ゴム製へら又は左官鏝等により平滑に仕上げてもよい。
外壁表面に塗布されたコーティング剤は、反応によって硬化していく。この過程で本発明のコーティング剤は、当初は有色不透明であったものが、外気に触れることにより徐々に消色し、最終的な硬化皮膜は透明なものとなる。その結果、最終的には、外壁表面上に、透明なポリウレタン硬化物の樹脂皮膜層からなるはく落防止機能を有する層が形成される。
外壁のはく落を防止するにあたって、織物を併用してもよい。この場合においては、上記「コーティング剤の塗布工程」と同様の方法で本発明のコーティング剤を塗布した後、塗布されたコーティング剤層の上に繊維から成る織物を層状にはり付ける。このとき、該はり付けられた織物の隙間から先にコーティング剤層として塗付されたコーティング剤を十分染み出させるように、脱泡ローラーやゴム製へら、左官鏝等を用いて押圧し、含浸させる。
次に、上記はり付けられた繊維から成る織物層の上に該織物層を覆うように、さらに本発明のコーティング剤を層状に塗布する。このときは、コーティング剤を織物層に対して、例えばペイントローラー等で塗布し、ゴム製へら又は左官鏝等により平滑に仕上げる。
で本発明のコーティング剤は、当初は有色不透明であったものが、外気に触れることにより徐々に消色し、最終的な硬化皮膜は透明なものとなる。また、用いられる織物は該コーティング剤が消色した状態で光透過性になる繊維から成るものであるから、最終的には、外壁表面上に、光透過性を有する一体となった繊維強化プラスチックから成るはく落防止機能を有する層を形成される。
なお、本発明のコーティング剤が含浸して消色後に光透過性になるものであれば、どのような構造の繊維を使用してもよいが、後述する比較例でも示されるように、一般的にマルチフィラメントで形成される織物を使用した場合は、コーティング剤が含浸しにくいので不透明なコーティング剤層となりやすい。
なお、形成される網目の粗さが上記粗さと同程度であり、含浸作業性及び光透過性を損ねないものであれば、どのような形状の網目を有する織物を使用してもよい。
さらに織物を含む繊維強化プラスチック層をより一層外壁表面に確実に固定するために、上記織物を用いた施工方法の後、若しくは、織物をはり付ける工程の後において、コンクリート躯体に達するアンカーピンを打設し一体的に結合させてもよい。この場合、例えば、形成された繊維強化プラスチック層の上から、仕上材層のタイルの目地部に、例えばハンマードリルを用いてコンクリート躯体に達するまで穴を穿設した後、注入口を有するアンカーピンを上記穴の入口からワッシャーを通して挿入し、このアンカーピンの先端部内側に配置させている拡張子を、該アンカーピンの注入口から打込み棒を打ち込んでその先端部を拡開させて、上記アンカーピンをコンクリート躯体に固定する。
ンクリート躯体から放散される湿気により繊維強化プラスチック層と仕上材層との間の界面圧力の上昇によって上記繊維強化プラスチック層と仕上材層との界面がはく離するのを防止することができる。
<ポリオール化合物>
ポリオール化合物として、「ニッポラン982R」(日本ポリウレタン工業株式会社製、ポリカーボネートジオールとポリエステルのコポリマー、平均分子量2000)、「デュラノールT5651」(旭化成ケミカルズ株式会社製、ポリカーボネートジオール、平均分子量1000)を用意した。
<ポリイソシアネート化合物>
ポリイソシアネート化合物として、「デュラネートTKA00」(旭化成ケミカルズ株式会社製、イソシアヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー)を用意した。<ゼオライト微粉末>
ゼオライト微粉末として、「モレキュラーシーブ5A粉末」(ユニオン昭和株式会社製、細孔径0.5nm(5オングストローム)で平均粒径10μm以下のゼオライト粉末)、「モレキュラーシーブ4A粉末」(ユニオン昭和株式会社製、細孔径0.4nm(4オングストローム)で平均粒径10μm以下のゼオライト粉末)を用意した。
微粉末シリカとして、「アエロジルRY200S」(日本アエロジル株式会社製、疎水性シリカ、平均一次粒子径16nm)、「アエロジルRX300」(日本アエロジル株式会社製、疎水性シリカ、平均一次粒子径7nm)を用意した。
<アルコキシシラン>
アルコキシシランとして、「TSL8124」(モメンティブ・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、テトラエトキシシラン)、「MS51」(三菱化学株式会社製、テトラメトキシシラン)を用意した。
<織物>
織物として、「P−6060」(ダイオ化成株式会社製、ポリプロピレン製、7メッシュ/インチ、熱融着加工品)、「9010」(ダイオ化成株式会社製、ポリエチレン製、10メッシュ/インチ)、「12−215PPNW」(ダイオ化成株式会社製、ポリプロピレン製、12メッシュ/インチ、熱融着加工品)、「NB50」(株式会社NBCメッシュテック製、ナイロン製、50メッシュ/インチ)、「MS133A3NT」(旭ファイバーグラス株式会社製、ガラス製、目抜き平織り)、「トリネオTSS−1810−Y」(ユニチカ株式会社製、ビニロン製、3軸ネット)を用意した。
上記で得られたポリオール化合物とゼオライト微粉末との混合物全量に対して、ポリイソシアネート化合物(B)である「デュラネートTKA00」を17.9質量部(イソシアネート基/水酸基比=0.9)混合した。その混合物に対し、微粉末シリカ(D)として「アエロジルRY200S」を5質量部、アルコキシシラン(E)として「TSL8124」を10質量部、さらに硬化触媒であるネオスタンU−830を0.02部混合し、ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)に対してゼオライト微粉末(C)、微粉末シリカ(D)、アルコキシシラン(E)を配合したウレタン系コーティング剤を得た。
得られたウレタン系コーティング剤と織物として「P−6060」を用い、以下に示す方法・評価基準にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
「TSL8124」の配合量を0質量部とした他は実施例1と同様にしてウレタン系コーティング剤を得た。実施例1と同様の方法・評価基準にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
「アエロジルRY200S」の配合量を0質量部とした他は実施例1と同様にしてウレタン系コーティング剤を得た。実施例1と同様の方法・評価基準にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
「モレキュラーシーブ5A粉末」の配合量を0質量部とした他は実施例1と同様にしてウレタン系コーティング剤を得た。実施例1と同様の方法・評価基準にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
ネットに本願以外の透明化が困難な目抜き平織りのガラス製織物を用いた例として記載する。
「P−6060」に代えて「MS133A3NT」を用いた他は実施例1と同様の方法・評価基準にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
ネットに本願以外の透明化が困難なビニロン製織物を用いた例として記載する。
「P−6060」に代えて「TSS−1810−Y」を用いた他は実施例1と同様の方法・評価基準にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
初期(塗布直後)でのウレタン系コーティング剤の光透過性を以下の方法で評価した。
上記実施例1〜11及び比較例1〜5で得られたウレタン系コーティング剤を23±2℃、50±10%RHの恒温恒湿室内で直ちにガラス板上に3mm厚となるように塗布し、ガラス板の下には黒の24ポイントのMS明朝体で「あ」と印刷した白色普通紙を置いたときに、印刷した文字が目視で認識できるかどうかで、初期のウレタン系コーティング剤の状態を評価した。評価は以下の基準に従って行い、結果は表1にまとめた(表中では「初期」と表記)。初期(塗布直後)のときにはコーティング剤は「不透明」であるのが好ましい。
・不透明:文字がかろうじて透けて見えるが、不鮮明である。
・透明 :文字がハッキリと認識され、透明である。
上記初期の状態評価終了後、これを23±2℃、50±10%RHの条件下にて1日間
放置して硬化させる。その後、該硬化皮膜をガラス板上より剥がし、上記評価と同様の方法で硬化皮膜の下に置いた文字が目視で認識できるかどうかで、1日後の硬化皮膜の状態を評価した。評価は以下の基準に従って行い、結果は表1にまとめた(表中では「1日後」と表記)。外気に触れた後は、コーティング剤の硬化皮膜は「透明」であるのが好ましい。
・透明 :文字がハッキリと認識され、透明である。
・不透明:文字がかろうじて透けて見えるが、不鮮明である。
コンクリート躯体として、90cm×90cm×10cmのスレート板を用意し、これにタイル張り付けモルタルを用いて、50二丁タイルをはり付け、目地部に目地詰め用モルタルを充てんし、23℃相対湿度50%で7日間養生した。得られた試験体におけるタイル仕上げ表面(以下、仕上げ材表面という)を建物外壁に見立てて塗布厚のムラの評価実験を下記のとおり行った。
その後、そのままの状態で、コーティング剤層の厚みをウェットゲージ(株式会社ケツト科学研究所製)を用いて5箇所測定し塗布厚のムラの確認を行った。評価は以下の基準に従って行い、結果は表1にまとめた(表中では「塗布ムラ」と表記)。コーティング剤の硬化皮膜は「ムラなし」であるのが好ましい。
・ムラなし:5箇所の測定結果の最大値と最小値の差が0.5mm以下である。
・ムラあり:5箇所の測定結果の最大値と最小値の差が0.5mm以上である。
一方、アルコキシシラン(E)を使用しない場合(比較例1)には、初期は不透明であったので塗布量管理が容易であったものの、1日後でも硬化皮膜は不透明のままであった。微粉末シリカ(D)を使用しない場合(比較例2)には、コーティング剤層にダレが生じてしまい、塗布量管理が難しかった。ゼオライト微粉末(C)を使用しない場合(比較例3)には、初期からコーティング剤が透明であり、塗布量管理が難しかった。
また、ネットに本願以外の透明化が困難な織物を用いた場合(比較例4〜5)には、ネットが白く視識され、硬化皮膜は不透明のままであった。
はく落防止工法としての検証実験を下記のとおり行った。
30cm×10cm×3cmのモルタル片を2枚用意し、2枚それぞれの10cm×3cmの面をつき合わせた。つき合わせることによって形成される60cm×10cmの片
側の面に対して、先ず、上記実施例1及び比較例3で得られたコーティング剤を左官鏝を用いて層状(厚さ約0.8mm)に塗布し、続いて、貼り付けた織物の隙間から既に塗り付けられた上記コーティング材を十分染み出させるように左官鏝を用いて押圧し、含浸させた後、コーティング剤表面を厚さが均一な層状となるよう仕上げた。このとき、実施例1で得られたコーティング材は仕上げ材層表面に塗り付けられた織物を含むコーティング剤層が白色不透明であったので、仕上げ材層表面に対してほぼ均一にムラなく塗布することができた。なお、同様の方法で各々試験体を3体ずつ作製した。
その後、そのままの状態で、上記層状に積層されたコーティング剤と織物とを、23±2℃、相対湿度50±20%で7日間養生して硬化させ、得られた試験体のはく落防止層が施工された面を下向きにして、つき合わせ部分を中心として、下部支点間距離を45cm、上部支点間距離を15cmとして、下方向に5mm/分の速度で載荷し、最大荷重と
最大変位量を測定して複合改修層の補強効果を確認した。その結果を表2に示す。
ここで、補強効果の有無については、独立行政法人都市再生機構が発行する保全工事共通仕様書に記載される、外壁複合補修工法において、複合補修層の補強効果確認(面外曲げ)試験の判定基準で定める「曲げ強度が490Nもしくは変位が30mmで破断しないこと」を判断基準とした。
Claims (8)
- ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、平均粒子径が10μm以下であるゼオライト微粉末(C)、微粉末シリカ(D)、テトラメトキシシシラン又はテトラエトキシシラン(E)を含有する有色不透明のウレタン系コーティング剤であって、その塗膜が外気に触れることにより、無色透明の塗膜となることを特徴とする建築用コーティング剤。
- 上記ポリオール化合物(A)がポリカーボネート骨格を有するポリオール化合物であり、上記ポリイソシアネート化合物(B)が脂肪族ポリイソシアネート化合物であることを特徴とする請求項1に記載の建築用コーティング剤。
- コンクリート構造物の外壁としてのコンクリート躯体の表面又は該コンクリート躯体上に形成された仕上材層の表面に、請求項1又は2に記載の建築用コーティング剤を層状に塗布する工程と、この建築用コーティング剤層中に含浸されることで有色から無色透明に変化する織物を層状に貼り付ける工程と、織物に建築用コーティング剤を含浸させた後、織物を有する建築用コーティング剤層の表面を平滑化する工程と、その後、織物を有する層状に積層された上記建築用コーティング剤層を硬化させて透明なはく落防止層を形成する工程とを含み、その塗膜が外気に触れることにより、無色透明の塗膜となることを特徴とする外壁はく落防止工法。
- 上記織物が、モノフィラメントで形成された織物であることを特徴とする請求項3に記載の外壁はく落防止工法。
- 上記モノフィラメントがポリオレフィン又はナイロンであることを特徴とする請求項4に記載の外壁はく落防止工法。
- 上記織物の網目が、1〜100メッシュ/インチの粗さに形成されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の外壁はく落防止工法。
- 上記はく落防止層の上から、コンクリート躯体に達するアンカーピンを打設し、該はく落防止層を上記コンクリート躯体に対して一体的に結合させたことを特徴とする請求項3
〜6のいずれか1項に記載の外壁はく落防止工法。 - 上記アンカーピンが、先端部に孔やスリットを穿設すると共に先端部内側には拡張子を配置させた中空の筒状に形成され、上記はく落防止層の上からコンクリート躯体に打設した状態で後端部側からの棒状部材の打ち込みにより上記拡張子の先端部を拡開させて上記コンクリート躯体に固定するものであることを特徴とする請求項7に記載の外壁はく落防止工法。
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