JP5781375B2 - 建築用コーティング剤及び該コーティング剤を用いた外壁のはく落防止工法 - Google Patents

建築用コーティング剤及び該コーティング剤を用いた外壁のはく落防止工法 Download PDF

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Description

本発明は、塗布時には有色不透明であるが、その後外気に触れることにより、光透過性の皮膜となることを特徴とする、塗布量管理が容易な建築用コーティング剤及び該コーティング剤を用いた建築物・構造物の外壁のはく落防止工法に関する。
土木構造物並びに公共建築物及び集合住宅等の大型建築物は、鉄筋コンクリート構造物が主であり、その外壁は、打放しのコンクリート躯体のままで使用される外、コンクリート躯体上にモルタル等の下地層が形成され、その上に塗材やタイル等の仕上材によって仕上げられて使用される。ところが、これらの外壁は、長期間使用されるうちに、浮きやひび割れ、欠損等を生じて、外壁のはく落事故が発生することがあった。そこで、この外壁のはく落事故を防止するために、従来からはく落防止構造が工夫されてきた。
従来の外壁はく落防止構造は、例えば、適度な孔径の小孔が多数開口した繊維素材からなるメッシュシートを、外壁上に適宜のアンカー手段により固定し、該メッシュシートの表面にポリマーセメントを塗布して構成されていた(例えば、特許文献1参照)。
また、他の外壁はく落防止構造は、コンクリート建造物の外壁の下地上に樹脂系仕上げ塗材からなる樹脂系仕上げ層を形成し、コンクリート躯体から表面まで形成されたひび割れの開口部を覆った状態で上記樹脂系仕上げ層上に補強テープを貼り、この補強テープで覆った状態の上に無機系仕上げ塗材からなる無機系仕上げ層を形成して構成されていた(例えば、特許文献2参照)。
そのような中、本発明者らは鋭意研究の結果、透明な有機系仕上げ層を形成する外壁はく落防止構造及び工法を見出した(特許文献3及び特許文献4参照)。これらの外壁はく落防止構造及び工法は、ガラス繊維、ポリエステル繊維あるいはナイロン繊維等の無機物の繊維又は有機物の繊維の織物と、透明な樹脂とで構成される透明な繊維強化プラスチックからはく落防止層を形成させることで、補修前の外壁に意匠性が与えられていた場合の美観を活かすことができるものであった。
特開平4−52365号公報(第3図) 特開2002−38690号公報(図1(d)) 特開2008−002183号公報 特開2008−231881号公報
しかし、特許文献1に記載の外壁はく落防止構造においては、外壁上に繊維素材からなるメッシュシートを適宜のアンカー手段により固定し、該メッシュシートの表面にポリマーセメントを塗布して外壁のはく落防止をすることができるが、該表面に塗布されたポリマーセメントが透明材料ではないので、補修前の躯体コンクリートの外壁に意匠性を有する仕上材層が形成されていた場合に、該既存仕上材層が見えなくなり、その美観を活かすことができないものであった。したがって、上記ポリマーセメントの表面に、改めて新規仕上材層を形成する必要があった。このことから、外壁のはく落防止の工期が長くなり、コストも増大するという問題があった。
また、特許文献2に記載の外壁はく落防止構造においては、コンクリート建造物の外壁の下地上に樹脂系仕上げ層を形成し、コンクリート躯体から表面まで形成されたひび割れ部分に補強テープを貼り、この補強テープで覆った状態の上に無機系仕上げ層を形成して外壁のはく落防止をすることができるが、主として外壁のひび割れ補修兼仕上げを行うものであり、このような部分補修では、補修時には健全であった他の箇所が経年変化によって劣化し、その都度補修を行わなければならなかった。この場合、そのまま放置しておくと、外壁のはく落事故に繋がってしまうため、点検やメンテナンスのサイクルを短くする必要があった。また、外表面に形成された無機系仕上げ層が透明材料ではないので、上述と同様に、既存仕上材層が見えなくなりその美観を活かすことができず、上記無機系仕上げ層の表面に、改めて新規仕上材層を形成する必要があった。
さらに、特許文献3及び特許文献4に記載の外壁はく落防止構造及び工法においては、外壁のはく落防止効果及びその美観維持(透明性が高い、変色性が低い)という観点では有用であったが、上記樹脂を塗布するに際しては、その塗布量の管理が難しいという問題点があった。すなわち、塗剤が透明であるために塗布すべき外壁面上にどの程度の厚さで樹脂が塗布されているかの判断が難しく、結果として樹脂層の厚みにムラが生じる等の不具合が発生することがあった。
このような問題点に対処し、本発明が解決しようとする課題は、塗布量管理が容易な建築用コーティング剤、及び該コーティング剤を用いた補修前の外壁に意匠性が与えられていた場合の美観を活かすことができる、外壁はく落防止工法を提供することにある。
そこで、本発明者らは、塗布量管理の容易な建築用コーティング剤及び該コーティング剤を用いた外壁はく落防止工法を開発するために鋭意検討した。その検討のなかで、従来は知見されていない、まったく予期できない現象を見出した。その現象とは、ポリオール化合物と、ポリイソシアネート化合物の混合物に対して、特定の粒子径を有するゼオライト微粉末を配合したコーティング剤は、当初は有色不透明(白色)であるが、この塗膜が外気に触れることにより徐々に消色し、最終的な硬化皮膜は透明なものとなるという現象である。
ウレタン系の硬化性樹脂組成物に対しては、発泡抑制の目的で従来からもゼオライトは配合されてきているが、このような現象は報告されていない。これは当業者にとって、ゼオライトは主たる充てん材としては認識されておらず、ゼオライトを配合する系では通常他の不透明な充てん材が併用されていることによるものと思われる。逆に皮膜の透明性が要求される用途においては有色粉末であるゼオライトは使用できないものとの当業者の固定観念があるためであると思われる。
さらに、本発明者らは上記の混合物中にアルコキシシランを配合することで、上記の透明化反応を促進することが可能であることを見出した。
そして、本発明者らは上記の驚くべき現象を知見することによって、上記塗布量管理の問題を解決できることに加え、このコーティング剤が建築用として有用であり、その用途として外壁のはく落防止工法が好適であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は次の第1〜第8の発明から構成される。
第1の発明は、ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)に対して、粒子径30μm以下のゼオライト微粉末(C)を配合するとともに、微粉末シリカ(D)、アルコキシシラン(E)を含有する、有色不透明のウレタン系コーティング剤であって、その塗膜が外気に触れることにより、光透過性の塗膜又は皮膜となることを特徴とする建築用コーティング剤に関するものである。ゼオライト粉末として、平均粒子径が30μm以下のものを用いたときに、養生前(塗布時)は有色不透明(主に白色)であったコーティング剤が、外気に触れることで徐々に消色し、塗膜又は皮膜が光透過性に変化するという現象が起こる。
なお、本発明においては「光透過性」と「透明」をほぼ同意義のものとして用いる。「光透過性」とは、ある部材が光を透過する性質のことであり、光を100%近く透過する透明状態と、光を透過する度合いが0%より高く100%未満である半透明状態とを含むものである。特に本発明では、コンクリート構造物等の外壁に意匠性が与えられていた場合に、その意匠性を損なわない程度に光を透過する性質(すなわち、最終硬化皮膜を通して外壁の意匠が見えること)を意味する。本明細書においては、光透過性とは、透明状態、半透明状態、意匠性を損なわない程度に光を透過する性質、などを含むものとして用いる。
第2の発明は、上記ポリオール化合物(A)とポリイソシアネート化合物(B)が、ポリカーボネート骨格を有するポリオール化合物と脂肪族ポリイソシアネート化合物とから選ばれるものであることを特徴とする上記第1の発明に係る建築用コーティング剤に関するものである。ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)として、上記のものを用いる場合には、特に良好な耐侯性を得ることができる。
第3の発明は、コンクリート構造物の外壁としてのコンクリート躯体の表面又は該コンクリート躯体上に形成された仕上材層の表面に、上記第1又は2の発明に係る建築用コーティング剤を層状に塗布する工程と、この建築用コーティング剤層中に含浸されることで有色から無色透明に変化する織物を層状に貼り付ける工程と、織物に建築用コーティング剤を含浸させた後、織物を有する建築用コーティング剤層の表面を平滑化する工程と、その後、織物を有する層状に積層された上記建築用コーティング剤層を硬化させて透明なはく落防止層を形成する工程と含み、その塗膜が外気に触れることにより、無色透明の塗膜となることを特徴とする外壁はく落防止工法に関するものである。このような工程を備える外壁のはく落防止工法において、第1〜2の発明に係る外気に触れることにより消色する建築用コーティング剤を好適に用いることができる。
第4の発明は、上記織物が、モノフィラメントで形成された織物であることを特徴とする、第3の発明に係る外壁はく落防止工法に関するものである。このような工程を備える外壁のはく落防止工法において、織物として上記のものを用いた場合には、特に良好な施工性と光透過性を有する外壁はく落防止層を得ることができる。
第5の発明は、上記モノフィラメントが、ポリオレフィン又はナイロンからなることを特徴とする第4の発明に係る外壁はく落防止工法に関するものである。
このような工程を備える外壁のはく落防止工法において、織物として上記のものを用いた場合には、特に良好な施工性と光透過性を有する外壁はく落防止層を得ることができる。
第6の発明は、上記織物の網目が、1〜100メッシュ/インチの粗さに形成されていることを特徴とする、第3〜第5の発明に係る外壁はく落防止工法に関するものである。
このような工程を備える外壁のはく落防止工法において、織物として上記のものを用いた場合には、特に良好な施工性と光透過性を有する外壁はく落防止層を得ることができる。
第7の発明は、上記はく落防止層の上から、コンクリート躯体に達するアンカーピンを
打設し、該はく落防止層を上記コンクリート躯体に対して一体的に結合させたことを特徴とする、第3〜第6の発明に係る外壁はく落防止工法に関するものである。このような工程を備える外壁のはく落防止工法において、アンカーピンを用いた場合には、特に良好なはく落防止性能を有する外壁はく落防止層を得ることができる。
第8の発明は、上記アンカーピンが、先端部に孔やスリットを穿設すると共に先端部内側には拡張子を配置させた中空の筒状に形成され、上記はく落防止層の上からコンクリート躯体に打設した状態で後端部側からの棒状部材の打ち込みにより上記拡張子の先端部を拡開させて上記コンクリート躯体に固定するものであることを特徴とする第7の発明に係る外壁はく落防止工法に関するものである。このような工程を備える外壁のはく落防止工法において、アンカーピンとして上記のものを用いた場合には、最も良好なはく落防止性能を有する外壁はく落防止層を得ることができる。
本発明に係る建築用コーティング剤は、塗布時には有色不透明(主に白色)であるものが、その塗膜又は硬化皮膜が外気に触れることにより消色し、最終的に光透過性の硬化皮膜を与えるものであり、塗布量管理が容易となるという効果を奏するものである。また、このような建築用コーティング剤を用いることによって、補修前の外壁に意匠性が与えられていた場合の美観を活かすことができる外壁はく落防止工法が得られるという効果をも奏するものである。
以下、本発明を実施するための形態を、詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例示にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
[ポリオール化合物(A)について]
本発明における、ポリオール化合物(A)は、反応性の水酸基を有する化合物を含有するポリマー前駆体組成物、又は反応性の水酸基を分子内に有するポリマー前駆体であり、常温で液状のものである。上記ポリオール化合物(A)自体は、硬化前に光透過性のポリマー前駆体であり、かつ、硬化後もその単独皮膜は光透過性を維持するものである。また、本発明におけるポリオール化合物(A)は、粘度を低減するために希釈剤・可塑剤が添加されていてもよい。
上記ポリオール化合物(A)としては、ポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。ポリアクリルポリオールの具体例としては、水酸基を有するアクリレートを汎用モノマーと共重合した従来公知のアクリルポリオールが好適に用いられる。また、ポリエステルポリオールの具体例としては、セバシン酸やアジピン酸から誘導されるポリエステル骨格、カプロラクトンから誘導されるポリカプロラクトン骨格を有するポリオール等が好適に用いられる。また、ポリカーボネートポリオールの具体例としては、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールなどから誘導されるポリカーボネート骨格を有するポリオール等が好適に用いられる。さらに、1分子中にポリエステル骨格とポリカーボネート骨格を有するポリオールも好適に用いられる。これらの中で、ポリカーボネート骨格を有するポリオールが、耐侯性、はく落防止効果に寄与する硬化物の強靱性などが高いため、特に好ましい。
[ポリイソシアネート化合物(B)について]
本発明における、ポリイソシアネート化合物(B)は、反応性のイソシアネート基を有する化合物を含有するポリマー前駆体組成物、又は反応性のイソシアネート基を分子内に
有するポリマー前駆体であり、常温で液状のものである。
上記ポリイソシアネート化合物(B)自体は、硬化前に光透過性のポリマー前駆体であり、かつ、硬化後もその単独皮膜は光透過性を維持するものである。本発明における、ポリイソシアネート化合物(B)は、粘度を低減するために希釈剤・可塑剤が添加されていてもよい。
上記ポリイソシアネート化合物(B)としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、シクロヘキサンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート及びその多量体等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。該多量体としては、ウレトジオン型ダイマー、ビュレット型トリマー、イソシアヌレート型トリマー、トリメチロールプロパンアダクト型トリマー、アロファネート変性イソシアヌレート型多量体等が好適に用いられる。また、これらのポリイソシアネート化合物の一部のイソシアネート基が、他の官能基で変性されていてもよい。他の官能基で変性する場合、アルキルアルコール系化合物、ポリエチレングリコール系化合物、ポリプロピレングリコール系化合物、アルキルアミン系化合物、アミノ酸系化合物、アミノスルホン酸系化合物、アルキルチオール系化合物などが好適に用いられる。
さらに、後述する1液型のポリマー前駆体と同様の方法で、上記ポリオール化合物(A)と上記ポリイソシアネート化合物(B)とを、従来公知の方法にて予め反応させておいた、分子内に反応性のイソシアネート基を含有するポリマー前駆体を用いてもよい。これらのなかでは、ビュレット型HDIトリマー、イソシアヌレート型HDIトリマー、トリメチロールプロパンアダクト型HDIトリマー及びその誘導体が、入手が容易であり、透明性が高く、経時での黄変性が少ないため、より好ましく、イソシアヌレート型HDIトリマーが耐久性が高いため、特に好ましい。
なお、本発明には、上記ポリオール化合物(A)とポリイソシアネート化合物(B)とを予め反応させて得られた分子内に反応性のイソシアネート基を有するポリマー前駆体を用いる1液型が含まれる。また、1液型の場合、該ポリマー前駆体中の反応性のイソシアネート基が水(空気中の湿気)と反応することで硬化し、最終的にポリウレタン硬化物の皮膜を形成する。
また、上記1液型のポリマー前駆体を得るためには、上記ポリオール化合物(A)と上記ポリイソシアネート化合物(B)とを、従来公知の方法にて予め反応させておき、分子内に反応性のイソシアネート基を含有するポリマー前駆体とすればよい。
建築用コーティング剤としての作業性(塗りつけやすさ、壁面等への適用の際の垂れ等)及びその硬化時間を考慮して、適宜多液型及び/又は1液型のポリマー前駆体を用いればよい。
上記ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)は、硬化することではく落防止層となる皮膜形成成分として用いられる。多液型、1液型のいずれにおいても、所望の反応速度に調整するため、必要に応じて硬化触媒を用いてもよい。硬化触媒としては、金属触媒,塩基触媒,酸触媒等の従来公知の触媒を用いることができる。金属触媒としては、有機スズ化合物や有機亜鉛化合物等に代表される有機金属触媒、ラウリン酸スズやオクチル酸ビスマス等に代表されるカルボン酸金属塩等の無機金属触媒があり、塩基触媒としては、ジメチルシクロヘキシルアミンや1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン等に代表される三級アミン等のアミン触媒があり、酸触媒としては、リン酸やカルボン酸等のブレンステッド酸触媒などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
なお、上記ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)としては、ポリカーボネート骨格を有するポリオール化合物と、脂肪族ポリイソシアネート化合物との組み合わせが、光透過性が得られることと、耐候性が良いことから好適である。
[ゼオライト微粉末(C)について]
本発明における、ゼオライト微粉末(C)は、アルミノシリケート化合物よりなる無機粉末であり、その平均粒子径が30μm以下の範囲にあるものである。
この無機粉末は、内部に空洞を多数有し、この空洞は表面からの細孔に繋がっている。そして、この細孔は、極めて均一な径を有しているので、この径を通過しうる分子(被吸着物)だけが、空洞に吸着されるという特性を、ゼオライト微粉末は有している。このようなゼオライト微粉末を構成する化合物は、種々の化学組成を有するものであるが、例えば、MX/n[(AlO)X・(SiO)Y]・ZHO(但し、M;原子価nの金属陽イオン、X+Y;単位格子当りの四面体数、Z;水分子のモル数)で表わされる結晶性のアルミノケイ酸塩等の化合物が挙げられる。ゼオライトの化学組成の一例を示せば、ゼオライト4AはNa12[(AlO12(SiO1227O、ゼオライト5AはNaXCaY[(AlO12(SiO1227O、(但し、X+2Y=12)なる化学組成を有するものである。
ゼオライト微粉末(C)としては、平均粒子径が30μm以下(好ましくは平均粒子径が10μm以下)の範囲にあるものが使用できる。また、ゼオライト微粉末には、天然産出品と合成品とがあるが、いずれであっても良い。特に好ましいゼオライト微粉末としては、合成品を用いるのが良い。なお、本願のゼオライト微粉末(C)の平均粒子径は、マイクロトラック粒度分析計(レーザー回折・散乱法)を用いて測定される平均粒子径の値である。
本発明におけるゼオライトの有効細孔径は、通常0.3〜1.0nm(3〜10オングストローム)の範囲にある、水や二酸化炭素の吸収能を有するものであることが好ましい。ちなみに、水分子の大きさは0.3〜0.4nm(3〜4オングストローム)程度、二酸化炭素分子の大きさは0.4〜0.5nm(4〜5オングストローム)程度である。
有効細孔径が0.3〜1.0nmの範囲にあるゼオライトの市販品としては、例えば「モレキュラーシーブ3A粉末(有効細孔径0.3nm/平均粒子径10μm以下/A型ゼオライト)」、「同4A粉末(同0.4nm/平均粒子径10μm以下/A型ゼオライト)」、「同5A粉末(同0.5nm/平均粒径10μm以下/A型ゼオライト)」および「同13X粉末(同1.0nm/平均粒子径10μm以下/X型ゼオライト)」(以上、モレキュラーシーブはユニオン昭和株式会社製、商品名)、「ゼオスターNA00P(有効細孔径0.4nm/平均粒子径10μm以下/ナトリウムA型ゼオライト)」(以上、ゼオスターは日本化学工業株式会社製、商品名)、「ゼオラム A−4 100#(有効細孔径0.4nm/平均粒子径0.150mm以下/A型ゼオライト)」(以上、ゼオラムは東ソー株式会社製、商品名)等を挙げることができる。
本発明において、ゼオライト微粉末(C)の配合量は、上記ポリオール化合物(A)100質量部に対して0.5〜30質量部であるのが好ましく、更に好ましくは1〜20質量部である。ここで、ゼオライト微粉末(C)の配合量が0.5質量部未満になると、コーティング剤の硬化時における発泡を抑制しにくくなる傾向が生じるが、硬化触媒等の添加、増量により硬化に要する時間を短縮することによって発泡は低減することができる。また、ゼオライト微粉末(C)は配合量を増やすほど、コーティング剤としての粘度が高くなり、ハンドリングが悪くなる傾向があるが、例えば使用するポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)をより粘度の低いものを選択したり、必要に応じてウレタンプレポリマーの硬化を阻害しない有機溶剤等を配合して、ハンドリングを調整する
ことができる。
[微粉末シリカ(D)について]
本発明における、微粉末シリカ(D)は、従来公知のヒュームドシリカである。
ヒュームドシリカを用いることで、コーティング剤の透明性に影響を与えることなく、適正な粘性を付与することが出来る。親水性シリカと疎水性シリカの2種類に大別されるが、適正な粘性を付与することが可能であるならば、種類は問わない。
本発明において、微粉末シリカ(D)の配合量は、ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)の粘度と微粉末シリカ(D)の種類によって異なるが、一般的には、上記ポリオール化合物(A)100質量部に対して0.5〜20質量部であるのが好ましく、更に好ましくは1〜10質量部である。
[アルコキシシラン(E)について]
本発明における、アルコキシシラン(E)は、ケイ素にアルコールが結合している化合物を指す。
アルコキシシランの化学組成の一例を示せば、テトラエトキシシランはSi(OC
なる化学組成を有するものであり、水と反応することでポリシロキサンとエタノールに分解する。
本発明において、アルコキシシラン(E)の配合量は、上記ポリオール化合物(A)100質量部に対して0.5〜20質量部であるのが好ましく、更に好ましくは1〜10質量部である。なお、アルコキシシラン(E)を増やすほど、粘度が低くなり、ダレが生じやすくなる傾向にあるが、例えば使用するポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)をより粘度が高いものを選択したり、必要に応じて微粉末シリカ(D)の配合量を増加して、調整することができる。
[その他の成分について]
本発明に係るコーティング剤は、上記構成のものであるが、本発明の目的・効果を損なわない範囲で更に従来公知の任意成分が含有されていてもよい。例えば、フタル酸系エステル、アジピン酸系エステル等の可塑剤、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、ケトン類、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素等の希釈剤、粘接着付与剤、増粘剤、シランカップリング剤、光硬化性アクリル系オリゴマー、消泡剤、チタンカップリング剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等の任意成分が含有されていてもよい。
本発明の最大の特徴は、塗布時又は塗布直後は有色不透明(主に白色不透明)であったコーティング剤が、外気に触れることにより徐々に消色し、最終的な硬化皮膜は透明なものとなるという点にある。この現象の機構は明らかではないが、発明者らは以下のように推察している。
上述のとおり、ゼオライト微粉末はその表面に微細な細孔を無数に有しており、またその粉末形状も不定形となっている。したがって、塗布直後のコーティング剤は、ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)自体は透明であるものの、ゼオライト微粉末の表面において光が乱反射・散乱することによって、全体としてコーティング剤は有色不透明となっているものと考えられる。ちなみに、本発明のコーティング剤は、湿気等を遮断した密閉容器内に充てんした状態においては色調変化を起こさず、有色不透明のままである。
そして、コーティング剤を塗布すると、空気中の水分、空気中の二酸化炭素、ポリイソシアネート化合物(B)と空気中の水分との副反応により発生する二酸化炭素等がゼオライト微粉末に捉えられると考えられる。捉えられた水分や二酸化炭素はゼオライト内部の
空洞及び表面の細孔を満たすこととなる。その結果、ゼオライト微粉末の表面における光の乱反射・散乱が低減乃至なくなることによって、光透過性を有する硬化皮膜となるものと推察している。ただし、上記の変化にはある程度の時間が必要であることがわかっている。
そこで、アルコキシシラン(E)を添加すると、アルコキシシラン(E)と空気中の水分との反応により発生するアルコールがゼオライト微粉末に捉えられ、上記の変化速度を向上させ、より短時間で光透過性を有する硬化皮膜となるものと推察している。
[外壁のはく落防止工法について]
本発明のコーティング剤を用いた外壁はく落防止工法について以下に説明する。
<適用される外壁について>
本発明に係るはく落防止工法が適用される外壁は、土木構造物並びに公共建築物及び集合住宅等の大型建築物等の鉄筋コンクリート構造物の外壁であり、打放しのコンクリート躯体のままで使用される外、コンクリート躯体上にモルタル等の下地層が形成され、その上に塗材やタイル等の仕上材によって仕上げられているものである。例えば、この仕上材層としては、上記コンクリート躯体の上を覆って外表面の美観を整えたり、意匠性を与えたりする目的で、コンクリート躯体のすぐ上に浮きを調整するための下地モルタルが塗布され、この下地モルタルの上にはタイルをはり付けるためのタイル貼付けモルタルが塗布され、このタイル貼付けモルタルによってタイル(例えば磁器質タイル)がはり付けられ、最後に、隣り合うタイル間の目地部に目地詰め用モルタルが充填されて仕上げられているようなものが挙げられる。なお、以下では「コンクリート躯体の表面又は該コンクリート躯体上に形成された仕上材層の表面」を併せて「外壁表面」と表記する。
<コーティング剤の塗布工程>
このような外壁表面に、本発明に係るコーティング剤を、例えばペイントローラー等を用いて層状に塗布する。本発明のコーティング剤は、少なくとも塗布直後は有色不透明な常温液状のものであるから、外壁表面に塗布した際の色目を目視により観察しながら塗工すれば、その塗布量の管理が容易となり、塗りムラ等の不具合を生じることはない。さらに、ゴム製へら又は左官鏝等により平滑に仕上げてもよい。
<コーティング剤の硬化工程>
外壁表面に塗布されたコーティング剤は、反応によって硬化していく。この過程で本発明のコーティング剤は、当初は有色不透明であったものが、外気に触れることにより徐々に消色し、最終的な硬化皮膜は透明なものとなる。その結果、最終的には、外壁表面上に、透明なポリウレタン硬化物の樹脂皮膜層からなるはく落防止機能を有する層が形成される。
<織物を用いる場合の工程>
外壁のはく落を防止するにあたって、織物を併用してもよい。この場合においては、上記「コーティング剤の塗布工程」と同様の方法で本発明のコーティング剤を塗布した後、塗布されたコーティング剤層の上に繊維から成る織物を層状にはり付ける。このとき、該はり付けられた織物の隙間から先にコーティング剤層として塗付されたコーティング剤を十分染み出させるように、脱泡ローラーやゴム製へら、左官鏝等を用いて押圧し、含浸させる。
次に、上記はり付けられた繊維から成る織物層の上に該織物層を覆うように、さらに本発明のコーティング剤を層状に塗布する。このときは、コーティング剤を織物層に対して、例えばペイントローラー等で塗布し、ゴム製へら又は左官鏝等により平滑に仕上げる。
その後、上記層状に積層されたコーティング剤と織物とが一体に硬化すると、この過程
で本発明のコーティング剤は、当初は有色不透明であったものが、外気に触れることにより徐々に消色し、最終的な硬化皮膜は透明なものとなる。また、用いられる織物は該コーティング剤が消色した状態で光透過性になる繊維から成るものであるから、最終的には、外壁表面上に、光透過性を有する一体となった繊維強化プラスチックから成るはく落防止機能を有する層を形成される。
上記織物に使用される繊維は、その構造の違いにより、マルチフィラメントとモノフィラメントの2種類に大別される。マルチフィラメントは細い繊維が多数撚り合わさってできているが,モノフィラメントは1本の繊維だけでできている。一般的にマルチフィラメントで形成される織物は繊維と繊維の間に空隙があるため樹脂が含浸しにくい傾向にあり、樹脂の含浸のしやすさからモノフィラメントで形成される織物が好適に用いられる。
なお、本発明のコーティング剤が含浸して消色後に光透過性になるものであれば、どのような構造の繊維を使用してもよいが、後述する比較例でも示されるように、一般的にマルチフィラメントで形成される織物を使用した場合は、コーティング剤が含浸しにくいので不透明なコーティング剤層となりやすい。
上記繊維から成る織物としては、網目状に形成されているものが好適に用いられる。当該織物は、本発明のコーティング剤が十分含浸して消色後に光透過性が得られ、かつはく落防止性能(耐荷重性が大きい)を有しているものであれば従来公知のものが使用できる。さらに、網目状に形成された織物の場合には、容易な含浸作業性、良好な光透過性の観点から、1〜100メッシュ/インチの粗さのものが好ましい。更に好ましくは、2〜70メッシュの網目状の織物であり、最も好ましくは、5〜50メッシュの網目状の織物である。網目状の織物は、必要に応じて2層以上積層しても良い。なお、織物のメッシュとして1〜100メッシュ/インチの粗さのものが好ましい理由は、1メッシュより粗いとはく落防止層の平滑性を保つのが困難となって外壁の美観を損ねることがあるからであり、100メッシュより細かいと本発明のコーティング剤の含浸性が悪くなって実用上の含浸作業性が低下するからである。
なお、形成される網目の粗さが上記粗さと同程度であり、含浸作業性及び光透過性を損ねないものであれば、どのような形状の網目を有する織物を使用してもよい。
そして、上記織物は、ポリオレフィンモノフィラメント及び/又はナイロンモノフィラメントからなる有機系織物が好適に用いられ、ポリオレフィンモノフィラメントしては芯部と鞘部で異なるポリオレフィン層を有する複合繊維も好適に使用することができる。なお、本発明のコーティング剤が含浸して消色後に光透過性になるものであれば、どのような組成の織物を使用してもよい。
<その他付加的な施工方法>
さらに織物を含む繊維強化プラスチック層をより一層外壁表面に確実に固定するために、上記織物を用いた施工方法の後、若しくは、織物をはり付ける工程の後において、コンクリート躯体に達するアンカーピンを打設し一体的に結合させてもよい。この場合、例えば、形成された繊維強化プラスチック層の上から、仕上材層のタイルの目地部に、例えばハンマードリルを用いてコンクリート躯体に達するまで穴を穿設した後、注入口を有するアンカーピンを上記穴の入口からワッシャーを通して挿入し、このアンカーピンの先端部内側に配置させている拡張子を、該アンカーピンの注入口から打込み棒を打ち込んでその先端部を拡開させて、上記アンカーピンをコンクリート躯体に固定する。
上記アンカーピンは、先端部に孔やスリットを穿設すると共に先端部内側には拡張子を配置させた中空の筒状に形成され、上記繊維強化プラスチック層の上からコンクリート躯体に打設した状態で後端部側からの棒状部材(打込み棒)の打ち込みにより上記拡張子の先端部を拡開させて上記コンクリート躯体に固定するものとしてもよい。そして、上記コ
ンクリート躯体から放散される湿気により繊維強化プラスチック層と仕上材層との間の界面圧力の上昇によって上記繊維強化プラスチック層と仕上材層との界面がはく離するのを防止することができる。
また、本発明のコーティング剤を施工後に、必要に応じてトップコートとして、紫外線吸収剤や光安定剤などの耐候性付与剤、疎水性シリカなどのダレ止め剤、アクリル微粒子やシリカなどの艶消し剤、及び、消泡剤やレベリング剤などの流動性改質剤を適宜配合した表面保護剤(光透過性を有する)を塗布することで、表面の仕上がりをより高めることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[使用原料の準備]
<ポリオール化合物>
ポリオール化合物として、「ニッポラン982R」(日本ポリウレタン工業株式会社製、ポリカーボネートジオールとポリエステルのコポリマー、平均分子量2000)、「デュラノールT5651」(旭化成ケミカルズ株式会社製、ポリカーボネートジオール、平均分子量1000)を用意した。
<ポリイソシアネート化合物>
ポリイソシアネート化合物として、「デュラネートTKA00」(旭化成ケミカルズ株式会社製、イソシアヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー)を用意した。<ゼオライト微粉末>
ゼオライト微粉末として、「モレキュラーシーブ5A粉末」(ユニオン昭和株式会社製、細孔径0.5nm(5オングストローム)で平均粒径10μm以下のゼオライト粉末)、「モレキュラーシーブ4A粉末」(ユニオン昭和株式会社製、細孔径0.4nm(4オングストローム)で平均粒径10μm以下のゼオライト粉末)を用意した。
<微粉末シリカ>
微粉末シリカとして、「アエロジルRY200S」(日本アエロジル株式会社製、疎水性シリカ、平均一次粒子径16nm)、「アエロジルRX300」(日本アエロジル株式会社製、疎水性シリカ、平均一次粒子径7nm)を用意した。
<アルコキシシラン>
アルコキシシランとして、「TSL8124」(モメンティブ・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、テトラエトキシシラン)、「MS51」(三菱化学株式会社製、テトラメトキシシラン)を用意した。
<織物>
織物として、「P−6060」(ダイオ化成株式会社製、ポリプロピレン製、7メッシュ/インチ、熱融着加工品)、「9010」(ダイオ化成株式会社製、ポリエチレン製、10メッシュ/インチ)、「12−215PPNW」(ダイオ化成株式会社製、ポリプロピレン製、12メッシュ/インチ、熱融着加工品)、「NB50」(株式会社NBCメッシュテック製、ナイロン製、50メッシュ/インチ)、「MS133A3NT」(旭ファイバーグラス株式会社製、ガラス製、目抜き平織り)、「トリネオTSS−1810−Y」(ユニチカ株式会社製、ビニロン製、3軸ネット)を用意した。
加熱及び真空下での撹拌が可能な撹拌装置に、ポリオール化合物(A)として「ニッポラン982Rを100質量部、ゼオライト微粉末(C)として「モレキュラーシーブ5A粉末」を20質量部配合し、120℃で1時間真空撹拌した後、冷却した。これを密閉性容器に収容した。
上記で得られたポリオール化合物とゼオライト微粉末との混合物全量に対して、ポリイソシアネート化合物(B)である「デュラネートTKA00」を17.9質量部(イソシアネート基/水酸基比=0.9)混合した。その混合物に対し、微粉末シリカ(D)として「アエロジルRY200S」を5質量部、アルコキシシラン(E)として「TSL8124」を10質量部、さらに硬化触媒であるネオスタンU−830を0.02部混合し、ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)に対してゼオライト微粉末(C)、微粉末シリカ(D)、アルコキシシラン(E)を配合したウレタン系コーティング剤を得た。
得られたウレタン系コーティング剤と織物として「P−6060」を用い、以下に示す方法・評価基準にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
「モレキュラーシーブ5A粉末」の配合量を10質量部とした他は実施例1と同様にしてウレタン系コーティング剤を得た。実施例1と同様の方法・評価基準にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
「モレキュラーシーブ5A粉末」の配合量を1質量部とした他は実施例1と同様にしてウレタン系コーティング剤を得た。実施例1と同様の方法・評価基準にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
「ニッポラン982R」に代えて「デュラノールT5651」を100質量部用い、それに合わせて「デュラネートTKA00」を33.6質量部(イソシアネート基/水酸基比=0.9)とした他は実施例1と同様にしてウレタン系コーティング剤を得た。実施例1と同様の方法・評価基準にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
「モレキュラーシーブ5A粉末」に代えて「モレキュラーシーブ4A粉末」を20質量部用いた他は実施例1と同様にしてウレタン系コーティング剤を得た。実施例1と同様の方法・評価基準にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
「アエロジルRY200S」に代えて「アエロジルRX300」を10質量部用いた他は実施例1と同様にしてウレタン系コーティング剤を得た。実施例1と同様の方法・評価基準にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
「TSL8124」の配合量を1質量部とした他は実施例1と同様にしてウレタン系コーティング剤を得た。実施例1と同様の方法・評価基準にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
「TSL8124」に代えて「MS51」を10質量部用いた他は実施例1と同様にしてウレタン系コーティング剤を得た。実施例1と同様の方法・評価基準にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
「P−6060」に代えて「9010」を用いた他は実施例1と同様の方法・評価基準
にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
「P−6060」に代えて「12−215PPNW」を用いた他は実施例1と同様の方法・評価基準にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
「P−6060」に代えて「NB50」を用いた他は実施例1と同様の方法・評価基準にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
<比較例1>
「TSL8124」の配合量を0質量部とした他は実施例1と同様にしてウレタン系コーティング剤を得た。実施例1と同様の方法・評価基準にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
<比較例2>
「アエロジルRY200S」の配合量を0質量部とした他は実施例1と同様にしてウレタン系コーティング剤を得た。実施例1と同様の方法・評価基準にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
<比較例3>
「モレキュラーシーブ5A粉末」の配合量を0質量部とした他は実施例1と同様にしてウレタン系コーティング剤を得た。実施例1と同様の方法・評価基準にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
<比較例4>
ネットに本願以外の透明化が困難な目抜き平織りのガラス製織物を用いた例として記載する。
「P−6060」に代えて「MS133A3NT」を用いた他は実施例1と同様の方法・評価基準にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
<比較例5>
ネットに本願以外の透明化が困難なビニロン製織物を用いた例として記載する。
「P−6060」に代えて「TSS−1810−Y」を用いた他は実施例1と同様の方法・評価基準にて「初期」及び「1日後」の透明性と塗布厚のムラとを評価した。
[初期のウレタン系コーティング剤の状態評価]
初期(塗布直後)でのウレタン系コーティング剤の光透過性を以下の方法で評価した。
上記実施例1〜11及び比較例1〜5で得られたウレタン系コーティング剤を23±2℃、50±10%RHの恒温恒湿室内で直ちにガラス板上に3mm厚となるように塗布し、ガラス板の下には黒の24ポイントのMS明朝体で「あ」と印刷した白色普通紙を置いたときに、印刷した文字が目視で認識できるかどうかで、初期のウレタン系コーティング剤の状態を評価した。評価は以下の基準に従って行い、結果は表1にまとめた(表中では「初期」と表記)。初期(塗布直後)のときにはコーティング剤は「不透明」であるのが好ましい。
・不透明:文字がかろうじて透けて見えるが、不鮮明である。
・透明 :文字がハッキリと認識され、透明である。
[1日後の硬化皮膜の状態評価]
上記初期の状態評価終了後、これを23±2℃、50±10%RHの条件下にて1日間
放置して硬化させる。その後、該硬化皮膜をガラス板上より剥がし、上記評価と同様の方法で硬化皮膜の下に置いた文字が目視で認識できるかどうかで、1日後の硬化皮膜の状態を評価した。評価は以下の基準に従って行い、結果は表1にまとめた(表中では「1日後」と表記)。外気に触れた後は、コーティング剤の硬化皮膜は「透明」であるのが好ましい。
・透明 :文字がハッキリと認識され、透明である。
・不透明:文字がかろうじて透けて見えるが、不鮮明である。
[塗布厚のムラの評価]
コンクリート躯体として、90cm×90cm×10cmのスレート板を用意し、これにタイル張り付けモルタルを用いて、50二丁タイルをはり付け、目地部に目地詰め用モルタルを充てんし、23℃相対湿度50%で7日間養生した。得られた試験体におけるタイル仕上げ表面(以下、仕上げ材表面という)を建物外壁に見立てて塗布厚のムラの評価実験を下記のとおり行った。
垂直面となるように設置した仕上げ材表面に対して、まず、上記実施例1〜11及び比較例1〜5で得られたコーティング剤を左官鏝を用いて、厚さ約1mmの均一な層状となるよう塗布した。
その後、そのままの状態で、コーティング剤層の厚みをウェットゲージ(株式会社ケツト科学研究所製)を用いて5箇所測定し塗布厚のムラの確認を行った。評価は以下の基準に従って行い、結果は表1にまとめた(表中では「塗布ムラ」と表記)。コーティング剤の硬化皮膜は「ムラなし」であるのが好ましい。
・ムラなし:5箇所の測定結果の最大値と最小値の差が0.5mm以下である。
・ムラあり:5箇所の測定結果の最大値と最小値の差が0.5mm以上である。
Figure 0005781375
上記表1の内容から明らかなように、本発明に係るポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)に対して、ゼオライト微粉末(C)、微粉末シリカ(D)、アルコキシシラン(E)を配合したコーティング剤(実施例1〜11)は、初期(塗布直後)のウレタン系コーティング剤は「不透明」であり、塗布量の管理が容易であり、経時とともに外気に触れてその硬化皮膜は1日後には「透明」となった。
一方、アルコキシシラン(E)を使用しない場合(比較例1)には、初期は不透明であったので塗布量管理が容易であったものの、1日後でも硬化皮膜は不透明のままであった。微粉末シリカ(D)を使用しない場合(比較例2)には、コーティング剤層にダレが生じてしまい、塗布量管理が難しかった。ゼオライト微粉末(C)を使用しない場合(比較例3)には、初期からコーティング剤が透明であり、塗布量管理が難しかった。
また、ネットに本願以外の透明化が困難な織物を用いた場合(比較例4〜5)には、ネットが白く視識され、硬化皮膜は不透明のままであった。
[はく落防止工法としての検証実験]
はく落防止工法としての検証実験を下記のとおり行った。
30cm×10cm×3cmのモルタル片を2枚用意し、2枚それぞれの10cm×3cmの面をつき合わせた。つき合わせることによって形成される60cm×10cmの片
側の面に対して、先ず、上記実施例1及び比較例3で得られたコーティング剤を左官鏝を用いて層状(厚さ約0.8mm)に塗布し、続いて、貼り付けた織物の隙間から既に塗り付けられた上記コーティング材を十分染み出させるように左官鏝を用いて押圧し、含浸させた後、コーティング剤表面を厚さが均一な層状となるよう仕上げた。このとき、実施例1で得られたコーティング材は仕上げ材層表面に塗り付けられた織物を含むコーティング剤層が白色不透明であったので、仕上げ材層表面に対してほぼ均一にムラなく塗布することができた。なお、同様の方法で各々試験体を3体ずつ作製した。
その後、そのままの状態で、上記層状に積層されたコーティング剤と織物とを、23±2℃、相対湿度50±20%で7日間養生して硬化させ、得られた試験体のはく落防止層が施工された面を下向きにして、つき合わせ部分を中心として、下部支点間距離を45cm、上部支点間距離を15cmとして、下方向に5mm/分の速度で載荷し、最大荷重と
最大変位量を測定して複合改修層の補強効果を確認した。その結果を表2に示す。
ここで、補強効果の有無については、独立行政法人都市再生機構が発行する保全工事共通仕様書に記載される、外壁複合補修工法において、複合補修層の補強効果確認(面外曲げ)試験の判定基準で定める「曲げ強度が490Nもしくは変位が30mmで破断しないこと」を判断基準とした。
Figure 0005781375
上記により、実施例1を用いた場合には、最大変位が30mm以上でも破断は見られず、最大荷重の値も安定しており、複合改修層の補強効果を確認した。一方、比較例3を用いた場合には、塗布量管理が難しいため最大荷重の値が不安定であった。
本発明に係るコーティング剤は、塗布時には有色不透明(主に白色)であるものが、塗膜が外気に触れることにより消色し、最終的に光透過性の硬化皮膜を与えるという効果を奏するものであり、産業上極めて有用である。また、このようなコーティング剤を用いることによって、補修前の外壁に意匠性が与えられていた場合の美観を活かすことができるうえ、塗布量管理も容易な外壁はく落防止工法が得られるという効果をも奏するものであり、産業上極めて有用である。

Claims (8)

  1. ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、平均粒子径が10μm以下であるゼオライト微粉末(C)、微粉末シリカ(D)、テトラメトキシシシラン又はテトラエトキシシラン(E)を含有する有色不透明のウレタン系コーティング剤であって、その塗膜が外気に触れることにより、無色透明の塗膜となることを特徴とする建築用コーティング剤。
  2. 上記ポリオール化合物(A)がポリカーボネート骨格を有するポリオール化合物であり、上記ポリイソシアネート化合物(B)が脂肪族ポリイソシアネート化合物であることを特徴とする請求項1に記載の建築用コーティング剤。
  3. コンクリート構造物の外壁としてのコンクリート躯体の表面又は該コンクリート躯体上に形成された仕上材層の表面に、請求項1又は2に記載の建築用コーティング剤を層状に塗布する工程と、この建築用コーティング剤層中に含浸されることで有色から無色透明に変化する織物を層状に貼り付ける工程と、織物に建築用コーティング剤を含浸させた後、織物を有する建築用コーティング剤層の表面を平滑化する工程と、その後、織物を有する層状に積層された上記建築用コーティング剤層を硬化させて透明なはく落防止層を形成する工程とを含み、その塗膜が外気に触れることにより、無色透明の塗膜となることを特徴とする外壁はく落防止工法。
  4. 上記織物が、モノフィラメントで形成された織物であることを特徴とする請求項3に記載の外壁はく落防止工法。
  5. 上記モノフィラメントがポリオレフィン又はナイロンであることを特徴とする請求項4に記載の外壁はく落防止工法。
  6. 上記織物の網目が、1〜100メッシュ/インチの粗さに形成されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の外壁はく落防止工法。
  7. 上記はく落防止層の上から、コンクリート躯体に達するアンカーピンを打設し、該はく落防止層を上記コンクリート躯体に対して一体的に結合させたことを特徴とする請求項3
    〜6のいずれか1項に記載の外壁はく落防止工法。
  8. 上記アンカーピンが、先端部に孔やスリットを穿設すると共に先端部内側には拡張子を配置させた中空の筒状に形成され、上記はく落防止層の上からコンクリート躯体に打設した状態で後端部側からの棒状部材の打ち込みにより上記拡張子の先端部を拡開させて上記コンクリート躯体に固定するものであることを特徴とする請求項7に記載の外壁はく落防止工法。
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