JP2011052457A - コンクリート片の剥落防止工法及び剥落防止構造 - Google Patents

コンクリート片の剥落防止工法及び剥落防止構造 Download PDF

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Abstract

【課題】−30℃から50℃という幅広い環境温度領域で安定した剥落防止性能を有するコンクリート片の剥落防止工法及び剥落防止構造を提供する。
【解決手段】コンクリート躯体1の表面側に網状の剥落防止材を接着させてコンクリート片の剥落を防止するコンクリート片の剥落防止工法であって、コンクリート躯体1の表面に、プライマー2を層状に塗布する工程と、この塗付されたプライマー層の表面に、網状の剥落防止材3を層状に配置する工程と、この配置された剥落防止材3の表面に、硬化反応によりウレア結合を形成する、少なくとも2液混合型の樹脂組成物を層状に塗布する工程と、を含むコンクリート片の剥落防止工法。
【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリート躯体の表面側に網状の剥落防止材を接着させてコンクリート片の剥落を防止するコンクリート片の剥落防止工法及び剥落防止構造に関し、詳しくは、特定の化学構造を有する強靭で弾性を有する硬化樹脂からなる含浸材を用いて剥落防止材をコンクリート躯体の表面側に接着することで、剥落防止効果を向上するコンクリート片の剥落防止工法及び剥落防止構造に係るものである。
従来、コンクリートは、橋桁や柱、トンネル、建築物などのコンクリート構造物の主要構造として広く利用されている。しかしながら、コンクリートは、中性化によるひび割れ、地震、地盤沈下や過荷重などによるひび割れ、更にひび割れによる崩壊、一部欠落などの欠陥が生じる場合があった。そのため、従来は、コンクリート躯体の表面側に、樹脂モルタル、モルタルなどを用いて網状体を埋め込むなどして補強、補修していた(例えば特許文献1、2)。
これに対して、エポキシ樹脂組成物のみにより網状体をコンクリート躯体の表面側に接着させるものとして、例えば、旧首都高速道路公団(平成17年10月1日 首都高速道路株式会社に組織変更)では、平成元年1月に、コンクリート床版水切り部補修施工基準(案)を作成し、ガラスクロスをエポキシ樹脂組成物(2液型エポキシ樹脂組成物)でコンクリート構造物表面に接着させるという保護工法による補修を行っていた。さらに、旧日本道路公団(平成17年10月1日 分割民営化により解散)では、平成12年6月に、「コンクリート片はく落防止対策マニュアル」を作成し、エポキシ樹脂組成物(2液型エポキシ樹脂組成物)による繊維シート接着、剥落対策用防水又は鋼板設置を実施していた。なお、旧日本道路公団の前記マニュアルでは、ガラスクロスは、コンクリートのアルカリ性により劣化するため、接着する繊維シートは、ビニロン製のメッシュ状のもの(メッシュ状ビニロン製シート)が条件をクリアすると記載されている。このような旧首都高速道路公団や旧日本道路公団でのマニュアルでは、いずれも、コンクリート構造物表面に繊維シート(ガラスクロスや、メッシュ状ビニロン製シートなど)を接着するという点、及び、これらの繊維シートの接着によりコンクリート片の剥落を防止させるという点で共通していた。また、近年ではエポキシ樹脂以外の有機系樹脂材料を用いた剥落防止工法が種々提案されている(例えば特許文献3〜6)。
特公昭60−5750号公報 特公平4−67546号公報 特開2004−60197号公報 特開2005−213842号公報 特開2006−1812号公報 特開2009−91414号公報
本発明は、−30℃から50℃という幅広い環境温度領域で安定した剥落防止性能を有するコンクリート片の剥落防止工法及び剥落防止構造を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究した結果、特定の化学構造を有する強靭で弾性を有する硬化樹脂材料を用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は次の第1〜10の発明から構成される。
第1の発明は、コンクリート躯体の表面側に網状の剥落防止材を接着させてコンクリート片の剥落を防止するコンクリート片の剥落防止工法であって、上記コンクリート躯体の表面に、プライマーを層状に塗布する工程(X1)と、この塗付されたプライマー層の表面に、網状の剥落防止材を層状に配置する工程(X3)と、この配置された剥落防止材の表面に、硬化反応により下記式(1)で示されるウレア結合を形成する、少なくとも2液混合型の樹脂組成物からなる含浸材を層状に塗布する工程(X4)と、を含むことを特徴とするコンクリート片の剥落防止工法である。
本発明においては、下記式(1)で示されるウレア結合を単に「特定化学構造」と記載することがある。当該特定化学構造を形成する強靭で弾性を有する硬化樹脂材料を用い、上記の工程を採用することによって、−30℃から50℃という幅広い環境温度領域で安定した剥落防止性能を得ることができる。
・・・ (1)
(但し、R、R、Rは水素原子又は有機基である。)
第2の発明は、上記プライマーを層状に塗布する工程(X1)と網状の剥落防止材を層状に配置する工程(X3)との間に、硬化反応により上記式(1)で示されるウレア結合を形成する、少なくとも2液混合型の樹脂組成物からなる中塗り材を層状に塗布する工程(X2)を含むことを特徴とする、第1の発明に係るコンクリート片の剥落防止工法に関するものである。
上記の工程により、さらに確実に安定した剥落防止性能を得ることができる。
第3の発明は、硬化反応により上記式(1)で示されるウレア結合を形成する、少なくとも2液混合型の樹脂組成物が、少なくとも、分子内にイソシアネート基を2つ以上持つ化合物(A)、分子内に下記式(2)で示されるケチミン基を2つ以上持つ化合物(B)、及び、分子内に水酸基を2つ以上持つ化合物(C)を含むことを特徴とする、第1又は第2の発明に係るコンクリート片の剥落防止工法に関するものである。
上記化合物(A)(B)(C)を含む樹脂組成物を用いると、本発明の特定化学構造とともにイソシアネート基と水酸基が反応して形成されるウレタン結合構造を有する、より柔軟で強靭な硬化樹脂材料を得ることができる。より柔軟で強靭な樹脂層は、躯体の動きに対する追従性にさらに優れ、コンクリート躯体の保護性能をより高くすることができる。例えば躯体にひび割れが発生した場合などに、より柔軟で強靭な樹脂層は、よく伸びてより切れにくいためにひび割れに沿った破断がさらに発生しにくく、ひび割れへの水などの外的劣化因子の浸入を防止し、コンクリートの劣化抑制効果により優れている。
・・・(2)
(但し、R、R、Rは上記と同じである。)
第4の発明は、上記網状の剥落防止材が、少なくとも片側面に粘着剤層が設けられていることを特徴とする、第1〜第3のいずれかの発明に係るコンクリート片の剥落防止工法に関するものである。
網状の剥落防止材の少なくとも片側面に粘着剤層が設けられていると、施工時に剥落防止材を押さえながら作業する必要がなく、剥落防止材の隅角部への収まりもよくなり、施工性を大きく向上することができる。
第5の発明は、上記少なくとも2液混合型の樹脂組成物からなる含浸材を層状に塗布する工程(X4)の後に、さらに仕上げ塗材を層状に塗布する工程(X5)を含むことを特徴とする、第1〜第4のいずれかの発明に係るコンクリート片の剥落防止工法に関するものである。
最終的に仕上げ塗材を施工することで、施工後の外観、耐候性や耐久性を向上することができる。
第6の発明は、上記式(2)において、Rがエチル基であり、Rがメチル基であり、Rが水素原子であることを特徴とする、第1〜第5のいずれかの発明に係るコンクリート片の剥落防止工法に関するものである。
上記のような化合物を用いると、より強靭な硬化樹脂材料が得られるため好ましい。
第7の発明は、上記ケチミン基を2つ以上持つ化合物(B)が、下記式(3)に示される構造を有することを特徴とする第1〜第6のいずれかの発明に係るコンクリート片の剥落防止工法に関するものである。
上記のような化合物を用いると、より強靭な硬化樹脂材料が得られるため、さらに好ましい。
・・・(3)
(但し、R、Rは互いに結合して環を形成していてもよい有機基であり、R、R、R、Rは水素原子又は有機基であり、m及びnは1以上の整数である。)
第8の発明は、コンクリート躯体表面に、プライマー層(Y1)、層状に配置された網状の剥落防止材(Y3)、下記式(4)で示されるウレア結合を有する硬化樹脂組成物からなる含浸材層(Y4)が、積層されたコンクリート片の剥落防止構造に関するものである。
このような積層構造をとることにより、−30℃から50℃という幅広い環境温度領域で安定した剥落防止性能を有する剥落防止構造となる。
・・・ (4)
(但し、R、R、Rは水素原子又は有機基である。)
第9の発明は、コンクリート躯体表面に、プライマー層(Y1)、上記式(4)で示されるウレア結合を有する硬化樹脂組成物からなる中塗り材層(Y2)、層状に配置された網状の剥落防止材(Y3)、上記式(4)で示されるウレア結合を有する硬化樹脂組成物からなる含浸材層(Y4)が、積層されたコンクリート片の剥落防止構造に関するものである。
このような積層構造をとることにより、安定した剥落防止性能を有する剥落防止構造となるとともに、躯体の動きに対する追従性にさらに優れた、コンクリート躯体の保護性能がより高い剥落防止構造となる。
第10の発明は、第8又は第9の発明において、上記式(4)で示されるウレア結合を有する硬化樹脂組成物からなる含浸材層(Y4)の上に、さらに仕上げ塗材層(Y5)が、積層されたコンクリート片の剥落防止構造に関するものである。
このような積層構造をとることにより、施工後の外観、耐候性や耐久性を向上することができる。
本発明に係る剥落防止工法及び剥落防止構造は、−30℃から50℃という幅広い環境温度領域で安定した剥落防止性能を有する極めて有用なものである。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係るコンクリート片の剥落防止工法の第一の実施形態を示す工程図である。このコンクリート片の剥落防止工法は、コンクリート躯体の表面側に網状の剥落防止材を接着させてコンクリート片の剥落を防止するもので、特定化学構造を有する硬化樹脂材料を含浸材として用いて剥落防止材をコンクリート躯体の表面側に接着するようになっている。以下、第一の実施形態によるコンクリート片の剥落防止工法について、図1を参照して説明する。
まず、図1(a)は、第一の実施形態によるコンクリート片の剥落防止工法を施工する前のコンクリート構造物、例えば高架橋の高欄、梁や床版などや道路トンネルや鉄道トンネルなどの内壁を構成するコンクリート躯体1を示す断面図である。
このようなコンクリート躯体1の表面に対して、最初に、図1(b)に示すように、プライマー2を層状に塗布する(工程X1)。このプライマー2は、塗材を塗り重ねる際に下地補強するための塗料であり、例えばエポキシ樹脂系の従来公知の1液型又は2液型の組成物から成る。
次に、図1(c)に示すように、上述のように塗付されたプライマー層(2)の表面に、網状の剥落防止材3を層状に配置する(工程X3)。この剥落防止材3は、コンクリート躯体1の表面側に接着されて、該コンクリート躯体1の表面にひび割れが生じた際のコンクリート片の剥落を防止するもので、例えば図2に示すように、3本の糸3a,3b,3cが網状に交差する3軸ネットに織り上げられている。
このような剥落防止材3としては、特に制限されず、目的とする剥落防止効果の程度などに応じて種々の材質、織物等を適宜選択して用いることができる。この剥落防止材3としては、例えば、織り布状シート(繊維シートなど)、不織布状シート、ネット状又はメッシュ状シート(「ネット状シート」と称する場合がある)などの種々の形状のシート(面状体)を用いることができる。なお、織り布状シートにおいて、空隙率が大きい織り布状シートは、ネット状シートに相当する。
ネット状シートは、非組布状のネット状シートであってもよいが、剥落防止効果を高めるため、組布状のネット状シートであることが好ましい。ネット状シートにおいて、格子目の形状としては、三角形、四角形、六角形など種々の形状が挙げられる。このような格子目は、規則的に形成されていてもよく、不規則的に形成されていてもよい。また、格子目の大きさ(又は空隙率)は、特に制限されず、目的とする剥落防止効果の程度などに応じて適宜選択することができる。例えば、格子目が正三角形の場合、その目合(格子目の正三角形の一辺の長さ)としては、3〜300mm(好ましくは5〜50mm)程度の範囲から選択することができ、また、格子目が他の形状の場合は、上記正三角形の場合に準じた目合とすることができる。
織り布状シート、不織布状シート、ネット状シートなどの種々の形状のシートにおいて、その空隙率としては、例えば、10〜90%(好ましくは50〜80%)程度であってもよい。
なお、剥落防止材3としては、連続シートが好ましい。連続シートであると、コンクリート片の剥落防止効果をより一層高めることができる。
また、剥落防止材3の素材としては、炭素繊維、プラスチック繊維[例えば、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維シート(特に、ハイインパクトタイプのポリエチレンによる繊維シート)、ポリイミド繊維シート等]、ガラス繊維などの種々の繊維を用いることができる。さらに、剥落防止材3は、単一の種類の繊維のみからなっていてもよく、複数の種類の繊維からなっていてもよい。
最後に、図1(d)に示すように、上述のように配置された剥落防止材3の表面に、硬化反応により上記式(1)で示されるウレア結合を形成する、少なくとも2液混合型の樹脂組成物を含浸材4として層状に塗布する(工程X4)。この含浸材4は、上記剥落防止材3に塗付した状態で含浸されて該剥落防止材3をコンクリート躯体1の表面側に保持するためのものであり、−30℃から50℃という幅広い環境温度領域において強靭で弾性を有し安定した剥落防止性能を発揮する。
上記含浸材4として用いられる樹脂組成物は、例えば、少なくとも、分子内にイソシアネート基を2つ以上持つ化合物(A)、分子内に上記式(2)で示されるケチミン基を2つ以上持つ化合物(B)を含む樹脂組成物から成るものである。この樹脂組成物については、後で詳しく述べる。
図1(d)に示すように、含浸材4を剥落防止材3の表面に層状に塗布した状態で放置し、上記樹脂組成物からなる含浸材4が反応硬化してコンクリート片の剥落防止工法の工程が終了する。これにより、コンクリート躯体1の表面側に網状の剥落防止材3を接着させてコンクリート片の剥落を防止することができる。この場合、上記式(1)で示される特定化学構造(ウレア結合)を有する強靭で弾性を有する硬化樹脂材料を用いることで、−30℃から50℃という幅広い環境温度領域で安定した剥落防止性能を得ることができる。
上記のような工程をとることによって、コンクリート躯体の表面側に、プライマー層(Y1)、剥落防止材(Y3)、含浸材層(Y4)が順次積層された積層されたコンクリート片の剥落防止構造が得られる。
図3は本発明によるコンクリート片の剥落防止工法の第二の実施形態を示す工程図である。このコンクリート片の剥落防止工法は、図3(a)及び(b)の工程は前述の図1(a)及び(b)の工程と同じである。そして、図3(b)の工程の次に、図3(c)に示すように、硬化反応により上記式(1)で示されるウレア結合を形成する、少なくとも2液混合型の樹脂組成物を中塗り材5として層状に塗布する(工程X2)。中塗り材5は、上述の含浸材4と同様の樹脂組成物を用いる。
その後、上述の図1(c)の工程と同様に図3(d)に示すように、中塗り材層(5)の表面に、網状の剥落防止材3を層状に配置し(工程X3)、次いで上述の図1(d)の工程と同様に図3(e)に示すように、配置された剥落防止材3の表面に、硬化反応により上記式(1)で示されるウレア結合を形成する、少なくとも2液混合型の樹脂組成物を含浸材4として層状に塗布する(工程X4)。
中塗り材5を設けることによって、剥落防止材3が、中塗り材5及び含浸材4によって形成される樹脂層中に確実に埋没され、樹脂層と一体化することにより、さらに確実に安定した剥落防止性能を得ることができる。
上記のような工程をとることによって、コンクリート躯体の表面側に、プライマー層(Y1)、中塗り材層(Y2)、剥落防止材(Y3)、含浸材層(Y4)が順次積層された積層されたコンクリート片の剥落防止構造が得られる。
さらに、図1及び図3の含浸材層(4)の表面に、仕上げ塗材5を層状に塗布してもよい。この仕上げ塗材5は、含浸材層(4)の表面仕上げをするための塗装であり、これにより剥落防止工法を施工した後の外観、耐候性や耐久性を向上するものである。
上記のような工程をとることによって、コンクリート躯体の表面側に、プライマー層(Y1)、剥落防止材(Y3)、含浸材層(Y4)、仕上げ塗材層(Y5)が、又はプライマー層(Y1)、中塗り材層(Y2)、剥落防止材(Y3)、含浸材層(Y4)、仕上げ塗材層(Y5)が順次積層されたコンクリート片の剥落防止構造が得られる。
また、図1(c)及び図3(d)に示す工程(X3)で配置する網状の剥落防止材3は、少なくとも片側面に粘着剤層が設けられていることが望ましい。この場合、その粘着剤層が設けられた網状の剥落防止材3を、プライマー層(2)又は中塗り材層(5)の表面に上記粘着剤層を押圧して仮止めすることができる。これにより、プライマー層(2)又は中塗り材層(5)の表面に剥落防止材3を仮止めするための別個の手段を用いることなく、簡単に施工を進めることができる。剥落防止材の隅角部への収まりもよくなり、施工性が向上する。したがって、全体として施工時間を短縮することができる。なお、上記粘着剤としては、例えばエマルジョン型アクリル系粘着剤を用いればよい。そして、例えば3軸ネットに織り上げた剥落防止材3の片側面に、エマルジョン型アクリル系粘着剤を100g/mで塗布して乾燥させることで、粘着剤層を有する剥落防止材3が得られる(本出願人の保有に係る特許第3973542号の特許公報参照)。
〔特定化学構造を形成する樹脂組成物について〕
本発明の特定化学構造を形成する樹脂組成物について説明する。含浸材4又は中塗り材5として用いられる樹脂組成物は、例えば、少なくとも、分子内にイソシアネート基を2つ以上持つ化合物(A)、分子内に上記式(2)で示されるケチミン基を2つ以上持つ化合物(B)を含む樹脂組成物から成るものである。
〔イソシアネート化合物(A)について〕
分子内にイソシアネート基を2つ以上持つ化合物(A)(以下単に「イソシアネート化合物(A)」と表記することがある)としては、特に限定されず、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート等様々なものを使用することができる。例えば、トリレンジイソシアネ−ト(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト(MDI)、ポリメリックMDI、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、リジントリイソシアネート(LTI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシネート(NBDI)、等が挙げられる。それらの中で、ポリフェニルイソシアネート化合物が強靭で弾性を有する硬化物物性を発現しやすいことから好ましく、それらは、例えば、トリレンジイソシアネ−ト(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト(MDI)、ポリメリックMDI、等である。
本発明においてイソシアネート化合物(A)として好ましいのは、特に、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物から得られる、末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーである。このウレタンプレポリマーの原料となるイソシアネート化合物としては、前記の段落で説明したイソシアネート化合物(A)を用いることができる。特に、ポリフェニルイソシアネート化合物が前記のように強靭で弾性を有する硬化物物性を発現するために好ましい。
また上記のウレタンプレポリマーの原料となるポリイソシアネート化合物としては、上記例に挙げられたイソシアネ−ト化合物の二量体や三量体、あるいはイソシアネ−ト化合物の反応生成物又は重合物(例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの二量体や三量体、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物等)等も使用することができる。
さらに、ウレタンプレポリマーの原料となるポリオール化合物としては、特に限定されることなく公知慣用のポリオール化合物を使用することができる。例えば、低分子ポリオール化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、水添ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられ、さらに、2価であり、かつ、カルボキシル基を有するものとして、例えば、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸等が挙げられる。さらに、高分子ポリオール化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール、及びポリカーボネートポリオール等が挙げられる。これらの中で、とりわけ、ポリプロピレングリコール骨格を有しないポリオール化合物が好ましい。
これらのポリオール化合物やイソシアネート化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
ウレタンプレポリマーの原料となるポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できる。例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを、溶媒下又は無溶媒下で混合することにより、分子鎖末端にイソシアネート基を2個以上有するウレタンプレポリマーを得ることができる。
反応に際しては、重合触媒を用いることができる。重合触媒としては、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させる際に用いられる公知慣用の重合触媒(硬化触媒)を用いることができる。より具体的には、重合触媒として、有機スズ化合物、金属錯体、アミン化合物等の塩基性化合物、有機酸、有機燐酸化合物等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させる際の両成分のモル比は、例えば、NCO/OH(モル比)として、1.2以上、好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2.0以上である。NCO/OH(モル比)が1.2未満の場合には、ウレタンプレポリマーの分子量が大きくなるため、ゲル化もしくは高粘度化し易くなる。反応温度は、例えば5〜100℃、好ましくは60〜85℃である。
〔ケチミン化合物(B)について〕
分子内に上記式(2)で示されるケチミン基を2つ以上持つ化合物(B)(以下単に「ケチミン化合物(B)」と表記することがある)としては、分子内に2個以上の1級アミノ基を持つアミン化合物とケトン化合物を脱水縮合されて得られるものであれば特に限定されない。また、ケチミン化合物(B)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
1級アミン化合物としては、特に限定されることなく公知慣用のポリアミン化合物を使用することができ、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、芳香脂肪族ポリアミン、複素環式ポリアミン等が含まれる。例えば、エチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、1,3−キシリレンジアミン、1,4−キシリレンジアミン、ポリオキシアルキレン骨格を有するポリアミンを用いることもできる。
ケチミン化合物の原料となるポリアミン化合物としては、なかでも、下記式(5)に示されるような構造を持つものが、適度な可使時間を有するため好ましい。このようなポリアミン化合物としては、例えば、イソホロンジアミン等が挙げられる。
・・・(5)
(但し、R、Rは互いに結合して環を形成していてもよい有機基であり、m及びnは1以上の整数である。)
1級アミン化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
ケチミン化合物の原料となるケトン化合物としては、従来公知のものを用いればよい。例えば、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等公知慣用のケトン化合物を併せて使用することができる。ケトン化合物としては1種又は2種以上を用いてもよい。すなわち、上記式(5)において、R、R、R、Rは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
なかでも、ケトン化合物のアルキル基の構造が炭素数2以上のアルキル基であることが好ましく、ともにエチル基であるジエチルケトンが特に好ましい。
1級アミン化合物とケトン化合物との反応は、特に限定されず、公知の方法を採用できる。例えば、1級アミン化合物とケトン化合物とを無溶剤の存在下、あるいは非極性溶剤(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン等)の存在下で混合し、その後、加熱還流し、必要に応じて生成する水を共沸により除去することにより行うことができる。なお、反応速度を速くするため、必要に応じて、酸触媒等の触媒を用いてもよく、また系内に脱水剤を存在させてもよい。脱水剤は、ある程度反応が進行して反応速度が遅くなった時点で系内に添加するのが、経済的等の観点から好ましい。
前記脱水剤としては、反応を阻害しない脱水剤であれば特に限定されず、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のアルコキシシラン化合物:ビニルトリメトキシシラン等のビニル基含有アルコキシシラン化合物:テトラメトキシシランのオリゴマー等のシリコーン系オリゴマー:ヘキサメチルジシラザン等のシラザン化合物:テトラブトキシチタン等のアルコキシチタン化合物等が挙げられる。脱水剤としては、アミンに対して反応性を有しない、液状のものが好ましい。
この反応においては、1級アミン化合物及びケトン化合物のうちいずれか一方の成分(特に、ケトン化合物)が過剰に用いられていてもよい。反応温度は、用いる1級アミン化合物及びケトン化合物の種類によっても異なるが、通常、50〜200℃、好ましくは100〜160℃である。反応終了後、残存するケトン化合物、用いた溶媒、1級アミン化合物は蒸留等により除去することができる。
1級アミン化合物のケチミン化率は、1級アミン化合物とケトン化合物の仕込みモル比、反応温度、反応時間、触媒や脱水剤の種類や添加量等により制御できる。また、反応後の精製によりケチミン化率を調整してもよい。精製方法については従来公知の方法を採用できる。
こうして得られるケチミン化合物は、主生成物であるアミノ基を有しないケチミン化合物とともに、未反応の1級アミノ基を有するケチミン化合物を含んでいてもよい。
本発明において、ケチミン化合物は、その原料である1級アミン化合物を基準とするケチミン化率が80%以上であることが好ましい。反応により前記ケチミン化率を80%以上としてもよいが、反応後に精製等によりケチミン化率を80%以上に調整することもできる。前記ケチミン化率は、好ましくは90〜95%である。ケチミン化率が80%未満であると、ゲル化若しくは高粘度化し易くなり、可使時間が短くなり過ぎる傾向がある。なお、ケチミン化率はガスクロマトグラフィーの測定により求めることができる。
前記のように1級アミン化合物のケチミン化率は80%以上であることが好ましいが、ケチミン化率が80%を下回ると、ケチミン化合物の異性体であるエナミン化合物や水酸基よりイソシアネート基に対する反応性が高い1級アミンが多く残存するため、可使時間が短くなり過ぎる傾向がある。
イソシアネート化合物(A)が有するイソシアネート基と、ケチミン化合物(B)が有する上記式(2)で表されるケチミン基とは、以下のように反応し、上記式(1)で示されるウレア結合を生成する。このような特定化学構造(ウレア結合)が優先的に生成した硬化樹脂材料は、強靱で弾性を有し、本発明の効果である幅広い環境温度領域での安定した剥落防止性能を発揮する。
・・・(6)
本発明の特定化学構造を形成する樹脂組成物におけるイソシアネート化合物(A)、ケチミン化合物(B)のモル比による配合割合、すなわち、ケチミン基/イソシアネート基としては、0.01〜1.2程度、好ましくは0.1〜0.5程度である。上記のモル比を上回ると、未反応のケチミン基が多く残り、架橋部位が減ってしまい、物性が低下する傾向があり、一方、上記のモル比を下回ると、結果的にイソシアネート基同士の架橋が増えてしまい、発泡しやすくなる傾向がある。
含浸材4又は中塗り材5として用いられる樹脂組成物は、イソシアネート化合物(A)とケチミン化合物(B)のほかに分子内に水酸基を2つ以上持つ化合物(C)を含むことがさらに好ましい。本発明の特定化学構造とともにイソシアネート基と水酸基が反応して形成されるウレタン結合構造を有する、より柔軟で強靭な硬化樹脂材料を得ることができる。より柔軟で強靭な樹脂層は、躯体の動きに対する追従性にさらに優れ、コンクリート躯体の保護性能をより高くすることができる。例えば躯体にひび割れが発生した場合などに、より柔軟で強靭な樹脂層は、よく伸びてより切れにくいためにひび割れに沿った破断がさらに発生しにくく、ひび割れへの水などの外的劣化因子の浸入を防止し、コンクリートの劣化抑制効果により優れている。
〔ポリオール化合物(C)について〕
分子内に水酸基を2つ以上持つ化合物(C)(以下単に「ポリオール化合物(C)」と表記することがある)としては、特に限定されることなく従来公知のポリオール化合物を使用することができる。具体的には、ウレタンプレポリマーの原料として例示したようなポリオール化合物を使用することができる。なかでも、ヒマシ油系ポリオールが、反応性が高く、水を吸収しにくく、発泡しにくい点で好ましい。
本発明の特定化学構造を形成する樹脂組成物におけるイソシアネート化合物(A)、ケチミン化合物(B)及びポリオール化合物(C)のモル比による配合割合、すなわち、(ケチミン基+水酸基)/イソシアネート基、としては、0.1〜1.2程度、好ましくは0.2〜1.0程度である。上記のモル比が1.2を上回ると、未反応のケチミン基、又は水酸基が多く残り、架橋部位が減ってしまい、物性が低下する傾向があり、一方、上記のモル比が0.1を下回ると、結果的にイソシアネート基同士の架橋が増えてしまい、発泡しやすくなる傾向がある。
本発明の特定化学構造を形成する樹脂組成物には、必要に応じて、脱水剤、硬化触媒、添加剤等を混合することにより調製できる。硬化触媒としては、例えば、有機酸(なかでも、水酸基を有するカルボン酸、酸性リン酸エステルが好ましい)、有機酸(例えば酸性リン酸エステル)とアミンから得られる塩、スズ系触媒、アミン系触媒等を使用することができる。脱水剤としては、エチルシリケート、メチルシリケート、シリケート化合物のオリゴマー、エポキシシラン、アミノシラン、ケチミンシラン等のシランカップリング剤を添加することができる。脱水剤を添加することで、貯蔵中にケチミンの加水分解による1級アミンの生成を抑制できるため、可使時間が貯蔵前後で変化せず好ましい。
本発明の特定化学構造を形成する樹脂組成物には、上記以外にも、添加剤{例えば、充填剤(炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、シリカや珪砂等)、可塑剤、顔料(酸化チタン、カーボンブラック等)、染料、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着付与剤、分散剤、揺変剤(又はチクソトロピー付与剤、例えば、ヒュームドシリカ、アマイドワックス、植物油誘導体、ヒィブリル化繊維等)、反応性希釈剤、増量剤、改質剤、ポリマー粉(例えば、アクリル系ポリマー粉等)等}の他、他の潜在性硬化剤(例えば、他のケチミン系化合物、アルジミン系化合物、オキサゾリジン系化合物等)や粘度調整剤(例えば、ケトン類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素等の溶剤等)等が含まれていてもよい。また、2液式速硬化型樹脂組成物には、接着性や付着性を損なわない範囲で、例えば、変性シリコーン、シリル基末端ウレタンポリマー、シリル基を有し且つ主鎖がポリオキシアルキレン骨格を有しているポリマー、カルボン酸ビニルエステル系化合物、エポキシ樹脂等が添加されていてもよい。また、これらの配合割合は、公知乃至慣用の割合の中から適宜選択することができる。
各成分の混合は、不活性ガス雰囲気下(例えば窒素雰囲気下)で及び/又は減圧下で行うことが好ましい。また、添加剤等に含まれる水分を除去するため、加熱や減圧等により脱水を行いながら、混合してもよい。
本発明に係る樹脂組成物は少なくとも2液型であることを特徴とし、イソシアネート化合物(A)と、その他の化合物{ケチミン化合物(B)及びポリオール化合物(C)}とが、少なくともそれぞれ異なる容器に入れられている状態で販売され、使用する際にこれらを混合するものである。もちろん化合物(A)(B)(C)をそれぞれ異なるよう気に入れ3液型としても構わない。そして、本発明の特定化学構造を形成する樹脂組成物は、上記の成分を混合することにより、硬化反応が開始する。
以下、本発明のコンクリート片の剥落防止工法の実施例について評価した表1を参照して説明する。
〔実施例1〕
プライマーとして「ボンド E810L」(コニシ株式会社製商品名/2液型エポキシ樹脂系組成物)を用いた。網状の剥落防止材として、3軸ネットに織り上げた網状体「ボンドVMネット」(コニシ株式会社製商品名/ビニロン繊維)を用いた。中塗り材及び含浸材として、以下のイソシアネート化合物(A)100質量部、ケチミン化合物(B1)2質量部、ポリオール化合物(C)6質量部を混合してなる樹脂組成物を用いた。含浸材層の表面には、仕上げ塗材を塗布しない。なお、プライマー、中塗り材、含浸材の塗布量は表1に示すとおりとした。
・イソシアネート化合物(A)
「ボンド KU928R」(コニシ株式会社製商品名/イソシアネート基を含有する1液型ウレタン樹脂系組成物)
・ケチミン化合物(B1)
イソホロンジアミン(1mol)に対してジエチルケトン(2mol)を反応させて得られるケチミン化合物(純度95%)
・ポリオール化合物(C)
「TLM」(豊国製油株式会社製商品名/ヒマシ油系ポリオール)
〔実施例2〕
プライマーとして「ボンド E810L」(コニシ株式会社製商品名/2液型エポキシ樹脂系組成物)を用いた。網状の剥落防止材として、3軸ネットに織り上げた網状体の片側面に、エマルジョン型アクリル系粘着剤を100g/mで塗布し、乾燥させて粘着剤層を形成したもの「ボンドVM−DRYネット」(コニシ株式会社製商品名/ビニロン繊維)を用いた。含浸材として、上記と同じ樹脂組成物を用いた。含浸材層の表面には、仕上げ塗材を塗布しない。なお、プライマー、含浸材の塗布量は表1に示すとおりとした。
〔実施例3〕
ケチミン化合物(B1)が以下のケチミン化合物(B2)であること以外は上記と同じ中塗り材及び含浸材を用いて、実施例1と同様に含浸材層まで塗布した後、さらに含浸材層の表面に仕上げ塗材として「ボンドUコートF」(コニシ株式会社社製商品名/アクリルウレタン系塗料)を塗布した。なお、プライマー、中塗り材、含浸材、仕上げ塗材の塗布量は表1に示すとおりとした。
・ケチミン化合物(B2)
イソホロンジアミン(1mol)に対してメチルイソブチルケトン(2mol)を反応させて得られるケチミン化合物(純度95%)
〔押抜き強さの測定方法〕
ここで、上記実施例1〜3において得られた剥落防止材が接着されたコンクリート板を、下記の「はく落防止の押抜き試験方法・JHS424−2004」により、網状の剥落防止材の接着強度を測定した。
これは、旧日本道路公団試験研究所規格によるもので、コンクリート片剥落防止対策に用いる連続繊維シート接着の剥落防止性能を評価する剥落防止押抜き試験方法について規定されたものである。供試体は、次の要領で作製する。鉄筋コンクリートU形ふたの中央部を直径100mmの形状でコンクリート用コアカッタによりコア抜きをする。コア抜き方向は、裏面(連続繊維シート接着施工面の反対側)より55±0.5mmの深さで行う。連続繊維シート接着の施工面に表面処理を行う。連続繊維シート接着の施工仕様に基づき剥落防止を施工する。連続繊維シート接着の施工完了後、U形ふたを30mm水浸させた状態で必要な期間、養生を行う。試験方法は、次のとおりとする。供試体をスパン400mmにてH型鋼上にガタがないようにセットする。載荷は、まず1mm/minの速度でU形ふたが破壊するまで行う。その後、5mm/minで載荷して、押抜き試験を行い、押抜き最大荷重を測定する。最終的な耐荷力が確認された場合には、その時点で試験を終了する。
この試験を環境温度−30℃、23℃、50℃の環境下で行った。この試験方法による測定結果は、表1に「押抜き強さ」の欄に数値(kN)で示した。
表1に示す結果から明らかなように、本発明に係る剥落防止工法を用いた場合には、コンクリート躯体の表面側に網状の剥落防止材を接着させたその接着の押抜き強さが−30℃から50℃という環境温度領域で1.5kN以上となり、幅広い環境温度領域で安定した剥落防止性能を有する。
本発明に係る剥落防止工法及び剥落防止構造は、−30℃から50℃という幅広い環境温度領域で安定した剥落防止性能を有し、産業上有用である。
本発明によるコンクリート片の剥落防止工法の第一の実施形態を示す工程図である。 上記コンクリート片の剥落防止工法に用いる網状の剥落防止材を示す平面図である。 上記コンクリート片の剥落防止工法の第二の実施形態を示す工程図である。
1…コンクリート躯体
2…プライマー
3…網状の剥落防止材
4…含浸材(特定化学構造を有する樹脂材料層)
5…中塗り材(特定化学構造を有する樹脂材料層)

Claims (10)

  1. コンクリート躯体の表面側に網状の剥落防止材を接着させてコンクリート片の剥落を防止するコンクリート片の剥落防止工法であって、
    上記コンクリート躯体の表面に、プライマーを層状に塗布する工程(X1)と、
    この塗付されたプライマー層の表面に、網状の剥落防止材を層状に配置する工程(X3)と、
    この配置された剥落防止材の表面に、硬化反応により下記式(1)で示されるウレア結合を形成する、少なくとも2液混合型の樹脂組成物からなる含浸材を層状に塗布する工程(X4)と、
    を含むことを特徴とするコンクリート片の剥落防止工法。
    ・・・ (1)
    (但し、R、R、Rは水素原子又は有機基である。)
  2. 上記プライマーを層状に塗布する工程(X1)と網状の剥落防止材を層状に配置する工程(X3)との間に、
    硬化反応により上記式(1)で示されるウレア結合を形成する、少なくとも2液混合型の樹脂組成物からなる中塗り材を層状に塗布する工程(X2)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のコンクリート片の剥落防止工法。
  3. 硬化反応により上記式(1)で示されるウレア結合を形成する、少なくとも2液混合型の樹脂組成物が、少なくとも、分子内にイソシアネート基を2つ以上持つ化合物(A)、分子内に下記式(2)で示されるケチミン基を2つ以上持つ化合物(B)、及び、分子内に水酸基を2つ以上持つ化合物(C)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のコンクリート片の剥落防止工法。
    ・・・(2)
    (但し、R、R、Rは上記と同じである。)
  4. 上記網状の剥落防止材が、少なくとも片側面に粘着剤層が設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンクリート片の剥落防止工法。
  5. 上記の少なくとも2液混合型の樹脂組成物からなる含浸材を層状に塗布する工程(X4)の後に、さらに仕上げ塗材を層状に塗布する工程(X5)を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコンクリート片の剥落防止工法。
  6. 上記式(2)において、Rがエチル基であり、Rがメチル基であり、Rが水素原子であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のコンクリート片の剥落防止工法。
  7. 上記ケチミン基を2つ以上持つ化合物(B)が、下記式(3)に示される構造を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のコンクリート片の剥落防止工法。
    ・・・(3)
    (但し、R、Rは互いに結合して環を形成していてもよい有機基であり、R、R、R、Rは水素原子又は有機基であり、m及びnは1以上の整数である。)
  8. コンクリート躯体表面に、プライマー層(Y1)、層状に配置された網状の剥落防止材(Y3)、下記式(4)で示されるウレア結合を有する硬化樹脂組成物からなる含浸材層(Y4)が、積層されたコンクリート片の剥落防止構造。
    ・・・ (4)
    (但し、R、R、Rは水素原子又は有機基である。)
  9. コンクリート躯体表面に、プライマー層(Y1)、上記式(4)で示されるウレア結合を有する硬化樹脂組成物からなる中塗り材層(Y2)、層状に配置された網状の剥落防止材(Y3)、上記式(4)で示されるウレア結合を有する硬化樹脂組成物からなる含浸材層(Y4)が、積層されたコンクリート片の剥落防止構造。
  10. 請求項8又は9の剥落防止構造において、上記式(4)で示されるウレア結合を有する硬化樹脂組成物からなる含浸材層(Y4)の上に、さらに仕上げ塗材層(Y5)が、積層されたコンクリート片の剥落防止構造。
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