JP2018003444A - コンクリート剥落防止工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】剥落防止システムの施工を短期間で実施可能なコンクリート剥落防止工法を提供する。【解決手段】コンクリート構造物の表面に、下塗り塗膜、繊維シート及び上塗り塗膜を備える積層体を形成させて、コンクリート構造物からのコンクリートの剥落を防止する方法であって、下塗り塗料及び上塗り塗料が、数平均分子量が300〜10,000であり且つ1分子あたりの水酸基の数が2.0〜9.0であるポリオールと、イソシアネート基の割合が10.0〜20.0質量%であるポリイソシアネートとを含み、該ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対するイソシアネート基が0.5〜1.5当量であり、該ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネート及び脂環式ポリイソシアネートよりなる群から選択される少なくとも1種である2液硬化型塗料であることを特徴とする方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、コンクリート構造物からのコンクリートの剥落を防止する方法(以下、コンクリート剥落防止工法ともいう)に関し、特には剥落防止システムの施工を短期間で実施可能なコンクリート剥落防止工法に関するものである。
高架橋、トンネル、橋梁やその他の構造物は、その強度や耐久性を向上させる必要性から、コンクリート製の構造物が広く用いられている。しかしながら、近年では、コンクリートの塩害による鉄筋の腐食や排ガス等による中性化、アルカリ骨材反応、ひび割れに浸入した水分の凍結等により、コンクリートが劣化し、劣化が進行するとコンクリート構造物の表面からコンクリート片が剥がれ落ち、コンクリート構造物自体の強度低下や美観の低下、剥落による事故の危険性等の課題が発生している。かかる課題を解決するため、コンクリート剥落防止システムの開発が行われている。
『迫 寛之、外3名、「最新のコンクリート片はく落防止システム」、DNTコーティング技報(No. 9)、p. 32-38、[online]、2009年10月、大日本塗料株式会社、インターネット<URL: http://www.dnt.co.jp/japanese/imagepdf/giho9-32.pdf>』(非特許文献1)は、日本高速道路株式会社(NEXCO)の規定に適合する省工程剥落防止工法を報告しており、ここでは、剥落防止用メッシュシートとして特定の2軸ナイロンメッシュシートを用いることで、従来の工法より塗装工程を1工程削減している。このため、非特許文献1に記載のコンクリート剥落防止工法によれば、剥落防止システムの施工を2日で完了させることが可能である。
しかしながら、コンクリート剥落防止システムの施工を1日で完了できる手法が求められており、施工期間の短縮については依然として改良の余地があった。
また、特開2006−1812号公報(特許文献1)には、コテやヘラによる塗布作業性に優れ、樹脂組成物の指触乾燥時間が数時間以内であり、補強材を用いる必要もないコンクリート剥落防止方法が記載され、特開2008−285972号公報(特許文献2)には、施工性に優れる剥落防止構造が記載され、特開2010−1707号公報(特許文献3)には、コンクリート構造物の表面を補強することができるとともに、補強されたコンクリート構造物の素地の状態を外部から目視によって観察することができ、さらに工期短縮及び長期に渡り耐久性を維持することができるコンクリート構造物表面の強化コーティング方法が記載されている。しかしながら、特許文献1〜3に記載される技術を適用しても、コンクリート剥落防止システムの1日での施工完了を実現できるものではない。
特開2006−1812号公報 特開2008−285972号公報 特開2010−1707号公報
迫 寛之、外3名、「最新のコンクリート片はく落防止システム」、DNTコーティング技報(No. 9)、p. 32-38、[online]、2009年10月、大日本塗料株式会社、インターネット<URL: http://www.dnt.co.jp/japanese/imagepdf/giho9-32.pdf>
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、剥落防止システムの施工を短期間で実施可能なコンクリート剥落防止工法を提供することにある。
本発明者は、まず、同一の塗料で塗り重ねを行うことができれば、塗料の乾燥工程を短縮又は省略することができ、施工期間を大幅に短縮することができると考え、使用する塗料をウレタン樹脂塗料に揃えることについて検討した。なぜなら、ウレタン樹脂は、耐候性に優れるという特徴を有するため、上塗り塗料として好適であると考えたからである。
従来のコンクリート剥落防止工法には、エポキシ樹脂系の下塗り材にシートを配置し、翌日に上塗りを塗装する工法がある。このエポキシ樹脂系下塗り材を上塗りとして用いると1日で施工することは可能であるが、エポキシ樹脂の耐候性の低さにより耐久性に劣るため、上塗りに耐候性を有するウレタン樹脂系塗料やふっ素樹脂系塗料を用いる必要がある。また、エポキシ樹脂系下塗り材に異なる樹脂系、例えばウレタン樹脂系の上塗りを1日の内に塗装すると、エポキシ樹脂系塗料の硬化剤に用いられるアミンなどの影響により、上塗り塗膜の硬化不良や剥離などの不具合の原因となるため、塗装間隔の保持のために施工に2日を要する。
次に、本発明者は、ウレタン樹脂塗料によって得られる塗膜を厚くすることについて検討した。なぜなら、塗膜を厚くすることによって耐久性に優れる、すなわち、長期にわたりコンクリートを保護することが可能となるとともに、コンクリートのひび割れに対する追従性も向上すると考えたからである。ところでウレタン樹脂塗料においては、例えばポリイソシアネートのイソシアネート基とポリオールの水酸基との反応によってウレタン結合が形成されることで架橋膜が形成されるが、イソシアネート基は、例えば空気中に存在する水とも反応し、生じるカルバミン酸から二酸化炭素が発生し、最終的に尿素結合が形成される。このため、塗膜を厚くすればする程、塗膜中に二酸化炭素を由来とする気泡が残存することになり、塗膜の耐久性が低下するといった問題があった。その上、ポリイソシアネートには、黄変を起こしやすいものも含まれており、このようなポリイソシアネートの使用は塗膜の耐久性の低下を引き起こす恐れもある。
このような状況下、本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、数平均分子量が300〜10,000であり、且つ1分子あたりの水酸基の数が2.0〜9.0であるポリオールと、イソシアネート基の割合が10.0〜20.0質量%である脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートとを含み、水酸基に対するイソシアネート基の量を適正な範囲内とする2液硬化型塗料を下塗り塗料及び上塗り塗料として用いることによって、塗膜を厚く塗装しても水とイソシアネート基の反応による二酸化炭素の発生が抑えられ、長期間にわたり高い耐久性を有する塗膜を形成することができ、これによりコンクリート剥落防止システムの施工を短期間で実現できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明のコンクリート剥落防止工法は、コンクリート構造物の表面に、下塗り塗膜、繊維シート及び上塗り塗膜を備える積層体を形成させて、コンクリート構造物からのコンクリートの剥落を防止する方法であって、
下塗り塗料でコンクリート構造物の表面を塗装し、下塗り塗膜を形成させる第1の工程と、下塗り塗膜上に繊維シートを配置させる第2の工程と、下塗り塗膜及び繊維シートを覆うように上塗り塗料による塗装を行い、上塗り塗膜を形成させる第3の工程とを含み、
前記下塗り塗料及び前記上塗り塗料が、数平均分子量が300〜10,000であり且つ1分子あたりの水酸基の数が2.0〜9.0であるポリオールと、イソシアネート基の割合が10.0〜20.0質量%であるポリイソシアネートとを含み、該ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対するイソシアネート基が0.5〜1.5当量であり、該ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネート及び脂環式ポリイソシアネートよりなる群から選択される少なくとも1種である2液硬化型塗料であることを特徴とする。
本発明のコンクリート剥落防止工法の好適例において、前記ポリイソシアネートがヘキサメチレンジイソシアネートを少なくとも含む。
本発明のコンクリート剥落防止工法の他の好適例においては、前記2液硬化型塗料は、せん断速度0.1s−1における粘度が0.1〜10,000(Pa・s、23℃)であり、せん断速度1000s−1における粘度が0.05〜10(Pa・s、23℃)である。
本発明のコンクリート剥落防止工法の他の好適例において、前記2液硬化型塗料は、顔料体積濃度が10〜60体積%である。
本発明のコンクリート剥落防止工法の他の好適例においては、前記2液硬化型塗料が、ホワイトカーボン及びシリカから選択される少なくとも1種の無機粉体を含む。
本発明のコンクリート剥落防止工法の他の好適例においては、前記2液硬化型塗料が、沈降性硫酸バリウム及び珪酸マグネシウムから選択される少なくとも1種の無機粉体を含む。
本発明のコンクリート剥落防止工法の他の好適例においては、前記2液硬化型塗料が、更に、脱水剤を含む。
本発明のコンクリート剥落防止工法の他の好適例において、前記下塗り塗膜及び前記上塗り塗膜は、それぞれ独立して、乾燥膜厚が100〜800μmである。
本発明によれば、長期間にわたり高い耐久性を有する塗膜を形成可能な2液硬化型塗料を下塗り塗料及び上塗り塗料として用いることによって、剥落防止システムの施工を短期間で実施可能なコンクリート剥落防止工法を提供することができる。
以下に、本発明のコンクリート剥落防止工法を詳細に説明する。本発明のコンクリート剥落防止工法は、コンクリート構造物の表面に、下塗り塗膜、繊維シート及び上塗り塗膜を備える積層体を形成させて、コンクリート構造物からのコンクリートの剥落を防止する方法であって、下塗り塗料でコンクリート構造物の表面を塗装し、下塗り塗膜を形成させる第1の工程と、下塗り塗膜上に繊維シートを配置させる第2の工程と、下塗り塗膜及び繊維シートを覆うように上塗り塗料による塗装を行い、上塗り塗膜を形成させる第3の工程を含み、前記下塗り塗料及び前記上塗り塗料が、数平均分子量が300〜10,000であり且つ1分子あたりの水酸基の数が2.0〜9.0であるポリオールと、イソシアネート基の割合が10.0〜20.0質量%であるポリイソシアネートとを含み、該ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対するイソシアネート基が0.5〜1.5当量であり、該ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネート及び脂環式ポリイソシアネートよりなる群から選択される少なくとも1種である2液硬化型塗料であることを特徴とする。
本発明のコンクリート剥落防止工法は、コンクリート構造物の表面に、下塗り塗膜、繊維シート及び上塗り塗膜を備える積層体を形成させて、コンクリート構造物からのコンクリートの剥落を防止する方法であり、本発明における「コンクリート剥落防止システム」とは、主としてこの「積層体」を指す。
本発明のコンクリート剥落防止工法において、下塗り塗料と上塗り塗料は、上記特定した範囲内で同一の2液硬化型塗料でありさえすれば、十分に施工期間を短縮することができるため、完全に同一の塗料である必要はないものの、より確実に施工期間を短縮する観点からは、完全に同一の塗料であることが好ましい。
本発明のコンクリート剥落防止工法において、下塗り塗料及び上塗り塗料に用いる2液硬化型塗料は、イソシアネート基の割合が10.0〜20.0質量%であるポリイソシアネートを含むことを要する。ポリイソシアネートは、イソシアネート基(NCO基)を複数有する化合物であるが、本発明においては、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合が10.0〜20.0質量%であり、好ましくは10.0〜15.0質量%である。ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合が20.0質量%以下であれば、高い耐久性を有する塗膜が得られる。この理由は明らかでないが、発生する二酸化炭素の量を低く抑えることが可能であり、且つ、架橋密度が高過ぎないため、二酸化炭素が発生しても気泡にならずに塗膜内を移動し、空気中に放散するためと考えられる。なお、2液硬化型塗料に基材の可視性を求める場合であっても、気泡により塗膜が濁ることを防ぐことができ、十分な可視性を確保することができる。また、イソシアネート基の割合が10.0質量%未満であると、不粘着性が十分な塗膜が得られないため好ましくない。
上記ポリイソシアネートは、塗膜形成成分の割合を高める観点から、液体であることが好ましい。具体的には23℃で粘度が100,000mPa・s以下の液体であることが好ましく、23℃で粘度が100〜10,000mPa・sの液体であることが更に好ましい。なお、本発明において、ポリイソシアネートの粘度は、液温23℃においてB型粘度計を用いて60rpmで測定された値である。
上記ポリイソシアネートは、黄変を抑制し、長期間にわたり高い耐久性を有する塗膜を形成させる観点から、脂肪族ポリイソシアネート及び脂環式ポリイソシアネートよりなる群から選択される少なくとも1種である。通常、反応性が高く、強靭で物性に優れる塗膜を形成可能であるという理由から、ポリイソシアネートとして芳香族ポリイソシアネートの使用が好ましいとされているが、芳香族ポリイソシアネートは黄変を引き起こし易いため、本発明においては好ましくない。上記ポリイソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等のほか、これらイソシアネート化合物の変性体が挙げられる。変性体の具体例としては、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体、アダクト変性体(例えばトリメチロールプロパン付加物)、アロファネート変性体、ウレトジオン変性体等が挙げられる。特に耐候性の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネートやその各種変性体が好ましい。なお、これらポリイソシアネートは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記2液硬化型塗料において、ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対してイソシアネート基が0.5〜1.5当量であることを要し、0.8〜1.2当量であることが好ましい。ポリオールの水酸基に対してイソシアネート基が0.5当量未満だとポリオールの水酸基過剰となり架橋密度が低下するため、不粘着性や耐溶剤性を満足する塗膜が得られない。また、ポリオールの水酸基に対してイソシアネート基が1.5当量を超えるとイソシアネート過剰となり残存したイソシアネート基が水と反応し二酸化炭素が発生し、塗膜中に泡となり残存し高い耐久性を有する塗膜が得られないと同時に、塗膜の伸び性が低下する。
上記2液硬化型塗料において、塗膜形成成分中に占めるポリイソシアネートとポリオールを合計した割合は、クリヤー塗料においては80〜99.9質量%であることが好ましく、90〜99.9質量%であることが更に好ましい。なお、上記2液硬化型塗料がエナメル塗料である場合、塗膜形成成分中に占めるポリイソシアネートとポリオールを合計した割合は、40〜90質量%であることが好ましい。
上記2液硬化型塗料は、数平均分子量が300〜10,000、より好ましくは400〜2,000であり、且つ1分子あたりの水酸基の数が2.0〜9.0、好ましくは2.3〜9.0、より好ましくは2.5〜5.0のポリオールを含むことを要する。なお、ポリオール1分子あたりの水酸基の数(n)は、ポリオールの持つ水酸基価(OHV)と数平均分子量(Mn)から次の計算式により求められる。
n=Mn(g/mol)×OHV(mgKOH/g)/56110
ここで、水酸基価とは、試料1g中の遊離水酸基を無水酢酸で完全にアセチル化した後、それを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。また、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されるポリスチレン換算した数平均分子量である。
ポリオールの数平均分子量が300未満であると、不粘着性が十分な塗膜が得られないため好ましくない。また、数平均分子量が10,000を超えると塗装作業性が不良となるため好ましくない。
ポリオール1分子あたりの水酸基の数が2.0未満であり、且つポリオールの水酸基に対するイソシアネート基が0.5〜1.5当量の場合、塗膜の不粘着性が十分な塗膜が得られないため好ましくない。また、1分子あたりの水酸基の数が9.0を超え、且つポリオールの水酸基に対するイソシアネート基が0.5〜1.5当量である場合、コンクリートのひび割れに対する追従性が十分でなく、塗膜の耐久性が得られない。また、二酸化炭素が発生した際に気泡が塗膜内を移動できずに泡が残存してしまい、この点からも塗膜の耐久性が低下し得る。
上記ポリオールは、塗膜形成成分の割合を高める観点から、液体であることが好ましい。具体的には23℃で粘度が100,000mPa・s以下の液体であることが好ましく、23℃で粘度が500〜5,000mPa・sの液体であることが更に好ましい。なお、本発明において、ポリオールの粘度は、液温23℃においてB型粘度計を用いて60rpmで測定された値である。
上記ポリオールとしては、例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。アクリルポリオールは、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルと重合性不飽和基を有する化合物を共重合して得られる。水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。重合性不飽和基を有する化合物としては、スチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これら重合性不飽和基を有する化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。ポリエステルポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、セバシン酸、ピメリン酸、スベリン酸等の多塩基カルボン酸とを脱水縮合反応して得られる。また、大豆油、亜麻仁油、米ぬか油、綿実油、桐油、ひまし油、やし油などの天然油を上記多価アルコールで分解して得られる水酸基含有脂肪酸エステルを多価アルコールの全部又は一部として含むこともできる。ポリウレタンポリオールは、上記多価アルコールと、上述のポリイソシアネートとをアルコール過剰の条件で反応して得られる。また、上記水酸基含有脂肪酸エステルを多価アルコールの全部又は一部として含むこともできる。ポリエーテルポリオールは、例えば、上記多価アルコールや水酸基含有脂肪酸エステルに、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加させて得られる。なお、これらポリオールは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記2液硬化型塗料は、気泡により塗膜が濁ることを防ぐことができるため、基材の可視性が高い塗膜を形成するための塗料として使用することもできるが、エナメル塗料として使用することも可能である。この場合、上記2液硬化型塗料は、顔料体積濃度(PVC:Pigment Volume Concentration)が10〜60体積%であることが好ましく、35〜40体積%であることが更に好ましい。なお、顔料体積濃度が60体積%を超えると、塗膜を構成する樹脂成分の割合が少なくなりすぎ、塗膜の物性バランスが悪くなる。また、顔料体積濃度が10体積%未満では、ポリオールやポリイソシアネートの割合が高くなり、エナメル塗料としての価格が高くなる。
なお、上記2液硬化型塗料が、クリヤー塗料である場合、例えば、顔料体積濃度は0体積%以上で且つ10体積%未満である。
本発明において、顔料体積濃度とは、塗膜形成成分に占める顔料の体積濃度であり、塗膜形成成分を構成する各成分の組成及び比重から計算により求めることができる。上記2液硬化型塗料に使用できる顔料としては、着色顔料や体質顔料等の各種顔料が挙げられる。着色顔料としては、例えば、酸化チタン及びカーボンブラック等が好適に挙げられる。また、体質顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、水和アルミナ、マグネシア、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、ウォラストナイト、セラミック粉末、ガラス繊維粉末、ホワイトカーボン、珪酸マグネシウム等が挙げられ、これらの中でも、炭酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウムが好ましい。なお、これら顔料は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記2液硬化型塗料に使用できる顔料は、吸油量が10〜35g/100gであることが好ましい。顔料の吸油量が10g/100g以上であれば、強靭な塗膜を形成する上で好ましいものの、顔料の吸油量が35g/100gを超えると、塗料の粘度が高くなりすぎる場合がある。なお、本発明において、顔料の吸油量は、JIS K 5101−13−2:2004「顔料試験方法−第13部:吸油量−第2節:煮あまに油法」の規定に従って決定される。
上記2液硬化型塗料は、ホワイトカーボン及びシリカから選択される少なくとも1種の無機粉体を含むことが好ましい。これら2種の無機粉体は、厚膜を形成する観点から好ましく、一次粒子径は1nm〜20μmが好ましい。無機粉体の一次粒子径は、粉体粒子の表面に吸着占有面積の分かるガス分子を吸着させ、その吸着量から試料の比表面積を求め、粒子径を計算するBET法によって決定される。また、塗料上記2液硬化型塗料は、作業性を向上させる観点から、沈降性硫酸バリウム及び珪酸マグネシウムから選択される少なくとも1種の無機粉体を含むことが好ましい。なお、上記2液硬化型塗料において、これら無機粉体の合計含有量は、塗膜形成成分中、0.1〜10体積%であることが好ましい。該無機粉体の合計含有量が10体積%を超えると、塗膜のつやが低下したり、塗料中に泡が生じたり、塗料がクリーム状になったり、作業性が低下したりするなどの問題が生じる恐れがある。
上記2液硬化型塗料は、更に、脱水剤を含むことが好ましい。イソシアネート基は、例えば空気中に存在する水や、顔料中に残存する水とも反応を起こすため、脱水剤の使用が好ましい。脱水剤としては、公知の材料が使用できるが、例えば、合成ゼオライトや、セピオライト、無水石膏、オルトプロピオン酸エステル、オルトギ酸エステル、オルト酢酸エステル、オルトホウ酸トリアルキル、アルコキシシラン化合物、テトラアルキルシリケート化合物、テトラアリールシリケート化合物等が挙げられる。なお、これら脱水剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記2液硬化型塗料において、脱水剤の含有量は、塗膜形成成分中、0.1〜5.0質量%であることが好ましい。
また、例えば、後述するような、上記コンクリート構造物がその表面に窪み、割れ、穴等を有する場合には、上記下塗り塗料塗装前に、上記下塗り塗料に使用できる2液硬化型塗料に骨材を更に配合してなるパテ材を塗装することが好ましい。このようなコンクリート構造物の表面の空隙を埋め、平滑にするため、下塗り塗料に珪砂等の骨材を使用し、パテとして用いることで、このパテの上に下塗塗料を直ちに塗装することができる。なお、上記パテ材中において、骨材の含有量は、5〜60質量%であることが好ましい。
本発明のコンクリート剥落防止工法において、下塗り塗料及び上塗り塗料に用いる2液硬化型塗料は、環境負荷が小さい塗料組成物を提供するため、塗膜形成成分の割合が70質量%以上であることが好ましく、80〜100質量%であることが更に好ましい。塗膜形成成分の割合が70質量%以上であれば、環境負荷が小さいだけでなく、乾燥時に揮発性有機化合物の蒸発に伴う塗膜の収縮が少ないため、厚膜塗装性に優れるという効果も得られる。なお、本発明において、塗膜形成成分とは、塗膜を形成するための塗料中に含まれる成分を意味し、ポリオールやポリイソシアネートの他、必要に応じて配合される添加剤等が挙げられる。また、本発明においては、主剤と硬化剤との混合により調製した2液硬化型塗料を130℃で30分間乾燥させた際に残存する成分を塗膜形成成分として取り扱う。2液硬化型塗料に占める塗膜形成成分の割合(R)(質量%)は、以下の式により求められる。
R=(塗膜形成成分の質量)×100/(塗料組成物の質量)
上記2液硬化型塗料は、粘度を調整する等の目的で有機溶剤を含んでもよい。有機溶剤としては、例えば、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、ケトン類、酢酸エステル類、エーテル類、アルコール系溶剤等が挙げられる。これら有機溶剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記2液硬化型塗料中において、有機溶剤の割合は、0〜30質量%であり、より好ましくは0〜20質量%である。上記2液硬化型塗料中に占める有機溶剤の割合が0〜30質量%であれば、含有する揮発性有機化合物の量が少なく、環境負荷が小さい塗料組成物を提供することが可能となる。
上記2液硬化型塗料には、防錆剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、ダレ止め剤、硬化促進剤、防藻剤、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を必要に応じて適宜配合してもよい。
上記2液硬化型塗料は、通常、ポリオールを含む主剤と、ポリイソシアネートを含む硬化剤の形態を取り、塗装直前に主剤と硬化剤とを混合させる。主剤には、ポリオールの他、必要に応じて適宜選択される各種成分を配合することができる。また、硬化剤には、ポリイソシアネートの他、必要に応じて適宜選択される各種成分を配合することができる。なお、上記2液硬化型塗料の粘度を調整するため、主剤と、硬化剤とを混合した後に、有機溶剤を更に加えてもよい。
上記2液硬化型塗料は、1回の塗装で膜厚100μm以上の塗膜を形成させる観点から、せん断速度0.1s−1における粘度が0.1〜10,000(Pa・s、23℃)であり、且つせん断速度1000s−1における粘度が0.05〜10(Pa・s、23℃)であることが好ましい。それぞれのせん断速度での粘度が上記の範囲内にあることで、塗装作業性、タレ性に優れるため、1回の塗装で膜厚100μm以上の均一な塗膜を容易に形成することが可能となる。なお、本発明において、粘度はTAインスツルメンツ社製レオメーターARESを用い、液温を23℃に調整した後測定される。
本発明のコンクリート剥落防止工法においては、上記2液硬化型塗料の塗装により下塗り塗膜及び上塗り塗膜を形成することになるが、塗装方法は、特に限定されず、既知の塗装手段、例えば、刷毛塗装、ローラー塗装、コテ塗装、ヘラ塗装、エアースプレー塗装、エアレススプレー塗装等が利用できるが、既に建設されたコンクリート構造物への塗装までを考慮すると、刷毛塗装、ローラー塗装、コテ塗装及びヘラ塗装が好適である。
本発明のコンクリート剥落防止工法においては、まず、下塗り塗料でコンクリート構造物の表面を塗装し、下塗り塗膜を形成させる(第1の工程)。ここで、上記コンクリート構造物は、コンクリートを単体で利用した構造物や鉄筋コンクリートを利用した構造物であり、その具体例としては、高架橋、橋梁、橋脚、橋台、桁、床版、高欄、ドルフィン、トンネル、道路、導水路、貯蔵槽、壁、屋根、バルコニー等の各種コンクリート構造物やその部材等が挙げられる。
また、上記コンクリート構造物は、下塗り塗料による塗装を行う前に、その表面をプライマーで塗装する場合もある。この場合、プライマーには、各種プライマーが使用できるものの、施工期間を短縮する観点からは、ポリイソシアネートを含み、空気中の水と反応して硬化を起こす1液湿気硬化型塗料が好ましく、より強い付着性、コンクリートのひび割れに対する含浸性が求められる場合には施工期間は2日間になるもののエポキシ樹脂系塗料が好ましい。また、上記コンクリート構造物は、その表面に窪み、割れ、穴等を有する場合もある。この場合、上述したように骨材を含む下塗り塗料を用いることが好ましいものの、下塗り塗料とは異なる塗料として骨材を含む塗料を用意してもよい。この場合の塗料も、骨材を含む以外は、下塗り塗料や上塗り塗料と同一の塗料であることが好ましく、上述したような2液硬化型塗料を好適に使用できる。
上記第1の工程によって得られる下塗り塗膜は、その乾燥膜厚が100〜800μmであることが好ましい。本発明において、塗膜の乾燥膜厚とは、23℃、50%相対湿度の条件にて24時間乾燥した後の膜厚を指す。
本発明のコンクリート剥落防止工法においては、次に、上記第1の工程により形成された下塗り塗膜上に繊維シートを配置させる(第2の工程)。ここで、繊維シートは、上記下塗り塗料の硬化が完了する前に塗膜上に置くことが好ましい。これにより、繊維シートを下塗り塗膜上に貼り付けることができる。
上記繊維シートとしては、通常のコンクリート剥落防止工法に使用される繊維シートが使用できる。繊維シートの形状は、特に制限されないが、例えば格子状であり、この場合、繊維シートの厚さは0.1〜3mmであることが好ましく、目合いは一辺が0.1〜20mmであることが好ましい。剥落防止性能においてシートの引張強度は、150(N/5cm)以上が好ましい。上記繊維シートとしては、例えば、ガラス繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリパラフェニレン繊維、ポリアリレート繊維、アラミド繊維、炭素繊維等の繊維で構成されるシートが挙げられるが、例えば基材の可視性を求める場合にはガラス繊維シートが特に好ましい。
本発明のコンクリート剥落防止工法においては、次に、下塗り塗膜及び繊維シートを覆うように上塗り塗料による塗装を行い、上塗り塗膜を形成させる(第3の工程)。上記下塗り塗料の硬化が完了する前に、繊維シートの貼り付けと、上塗り塗料の塗装までを終わらせることで、施工期間を大幅に短縮することができる。
上記第3の工程によって得られる上塗り塗膜は、その乾燥膜厚が100〜800μmであることが好ましい。本発明において、塗膜の乾燥膜厚とは、23℃、50%相対湿度の条件にて24時間乾燥した後の膜厚を指す。
尚、本発明のコンクリート剥落公報においては、上述のように上塗り塗料の耐候性に優れることから上記第3の工程で施工を完了することもできるが、さらに上塗り塗料として既存の上塗り塗料を重ねて塗装することもできる。
本発明のコンクリート剥落防止工法において、上記積層体は、厚さが200〜1600μmの範囲内であることが好ましく、300〜1400μmの範囲内であることがより好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<塗料組成物>
主剤としては表1に示されるA液を用い、硬化剤としては表2に示されるB液を用いた。
2液硬化型塗料組成物は、表5〜8に示されるA液とB液の組み合わせからなる。なお、パテ材に骨材を配合する場合は、表3に示される6号珪砂を用いた。
また、比較例で使用する市販の材料については表4に示す。
主剤、パテ材及び塗料組成物の調製については、原料を小型ホモディスパーを用いて回転速度1200rpmで攪拌しながら投入し、全ての原料を投入後、均一に分散したことを確認し、これを使用した。
Figure 2018003444
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表2中、NCO割合(質量%)は、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合を意味する。
Figure 2018003444
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(注1)URIC H−854(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量800、水酸基価215、1分子あたりの水酸基の数3.0、粘度800mPa・s)
(注2)URIC H−368(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量700、水酸基価200、1分子あたりの水酸基の数2.5、粘度1,300mPa・s)
(注3)URIC H−102(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量880、水酸基価320、1分子あたりの水酸基の数5.0、粘度1,100mPa・s)
(注4)URIC HF−2009(伊藤製油社製ポリオール、加熱残分100質量%、数平均分子量2,550、水酸基価44、1分子あたりの水酸基の数2.0、粘度1,500mPa・s)
(注5)アクリディック WTU−152(DIC社製ポリオールワニス、加熱残分66質量%、数平均分子量5,100、水酸基価100、1分子あたりの水酸基の数9.1、加熱残分の粘度は100,000mPa・sを超える)
(注6)AEROSIL 200(日本アエロジル社製親水性フュームドシリカ、ホワイトカーボン、平均粒子径12nm)
(注7)サイリシア350(フジシリシア社製シリカ、平均粒子径3.9μm)
(注8)バリファインBF−20(堺化学社製沈降性硫酸バリウム、平均粒子径0.03μm)
(注9)NITTALC S(日本タルク(株)製タルク、珪酸マグネシウム)
(注10)BYK−358N(BYK社製レベリング剤)
(注11)BYK−A535(BYK社製消泡剤)
(注12)チヌビン400(BASF社製、ヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)系紫外線吸収剤)
(注13)デュラネートAE700−100(旭化成ケミカルズ社製ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト変性体、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合11.9質量%、粘度800mPa・s)
(注14)デュラネートTSS−100(旭化成ケミカルズ社製ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合17.6質量%、粘度420mPa・s)
(注15)タケネートD−140N(三井化学社製イソホロンジイソシアネートのビュレット変性体の酢酸エチル溶液、加熱残分75質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合10.5質量%、粘度2500mPa・s)
(注16)デスモジュールN3400(バイエル社製ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン変性体、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合21.8質量%、粘度175mPa・s)
(注17)デスモジュールE21(バイエル社製芳香族ポリイソシアネート、加熱残分100質量%、ポリイソシアネートに占めるイソシアネート基の割合16.0質量%、粘度5400mPa・s)
(注18)レジガードボンドSD(大日本塗料製エポキシ樹脂系プライマー兼パテ材)
<実施例1〜16、参考例17、実施例18、参考例19、実施例20〜22、参考例23、実施例24〜43、比較例1〜13>
塗料組成物の塗装作業性、タレ限界、発泡性、不粘着性、耐候性、剥落防止性能、付着性を測定及び評価した。結果を表5〜8に示す。
<塗装作業性>
表5〜8に示されるコンクリート基材の水平面にパテ材又は塗料組成物を膜厚700μmとなるようにコテで塗装し、下記の基準に従って評価した。このコンクリート基材は、表面が平滑な基材が、JIS A 5372:2004(プレキャスト鉄筋コンクリート製品)に規定するU形ふた、呼び名1種(400×600×60mm)であり、パテ材の評価に用いた基材は、上記の平滑な基材にデスクサンダーにて表面に約5mmの窪み、幅が約2mm、長さが約50mm、最大深さ約5mmの割れ、電動式ドリルにて直径約7mm、深さ約5mmの穴等を作製したものである。
〇:塗料組成物を容易に塗りつけられ、均一に仕上がり、規定の膜厚に容易に塗装できる。
△:塗料組成物を容易に塗りつけられ、均一に仕上がるが、規定の膜厚に容易に塗装できない。
×:塗料組成物を容易に塗りつけられない、または均一に仕上がらない。
<タレ限界>
ポリプロピレン板(厚み150mm、幅70mm)の垂直面に、下塗塗料組成物をヘラでタレが生じるまで塗装し、温度23℃相対湿度50%で168時間乾燥させた後、基材上端から20mmの位置の膜厚をタレ限界とした。なお、膜厚は塗膜を基材から剥離し、ノギスを用いて測定した。
<発泡性>
ポリプロピレン板(厚み150mm、幅70mm)に塗料組成物を膜厚700μmとなるようにヘラで塗装し、温度35℃相対湿度90%で168時間乾燥させた塗膜について、基材に対し垂直に断面をとり、泡のない連続膜が得られている塗膜の表面積が占める割合を求め、その割合について下記の基準に従って評価した。
◎:70%以上である。
○:50%以上で且つ70%未満である。
×:50%未満である。
<基材可視性>
塗装作業性の評価に用いた平滑なコンクリート板と同様の板に下塗塗料組成物を、ヘラにより膜厚が300μmとなるように塗装し、ガラス繊維シート配置後、上塗塗料組成物をヘラにより膜厚が300μmとなるように塗装し、温度35℃相対湿度90%で168時間乾燥させた試験体について、目視で観察し、下記の基準に従って評価を行った。
ガラス繊維シートには、ガラスクレネット G44126[倉敷紡績株式会社製、引張強度、縦:480 横:420(N/5cm(糸本数、縦:20本、横:15本))、厚み:0.20(mm)]を用いた。
◎:基材表面を鮮明に確認できる。
〇:鮮明ではないものの基材表面を確認することが出来る。
×:基材表面を確認することが出来ない。
<不粘着性>
ガラス板に調製した塗料組成物を膜厚700μmとなるようにヘラで塗装し、温度35℃相対湿度90%で168時間乾燥させた塗膜に砂を撒き、刷毛で払い落とした際に塗膜に砂が残存するかを観察し、下記の基準に従って評価した。
〇:砂が残存しない。
×:砂が残存する。
<耐候性試験>
1.クリヤー塗料を用いた場合
ヘラにより、膜厚が300μmとなるように、塗料で表5〜8に示されるコンクリート基材(表面が平滑な基材及び表面に窪み、割れ、穴等を有する基材としては<塗装作業性>の評価に記載される基材を用いた)を塗装して下塗り塗膜を形成させ、次いで表5〜8に示される繊維シートを配置させ、次いで、ヘラにより、膜厚が300μmとなるように、塗料で下塗り塗膜及び繊維シートを塗装して上塗り塗膜を形成させた。その後、積層体を温度35℃相対湿度90%で168時間乾燥させ、試験板を作製した。得られた試験板に、岩崎電気社製EYE SUPER UV TESTER SUV−W23を用いて400時間の照射試験を行った。照射後の試験板に対して、下記基準により評価を行った。
なお、ガラス繊維シートは、ガラスクレネット G44126[倉敷紡績株式会社製、引張強度、縦:480 横:420(N/5cm(糸本数、縦:20本、横:15本))、厚み:0.20(mm)]であり、エステル繊維シートは、ポリエステルクレネット E4400[倉敷紡績株式会社製、引張強度、縦:320 横:350(N/5cm(糸本数、縦:10本、横:10本))、厚み:0.26(mm)]である。
<<クリヤー塗料を用いた場合の評価基準>>
積層体の上からコンクリート基材を目視で観察し、下記評価基準で評価した。
◎:基材表面を鮮明に確認できる。
〇:鮮明ではないものの基材表面を確認することが出来る。
△:塗膜が黄変したものの基材表面を確認することが出来る。
×:基材表面を確認することが出来ない。
2.エナメル塗料を用いた場合
コンクリート基材をガラス板に変更した以外は、クリヤー塗料を用いた場合の耐候性試験と同様の方法により、試験板を作製した。
<<エナメル塗料を用いた場合の評価基準>>
試験板に対して、JIS K5600−4−7に記載の方法で照射試験前と照射試験後の60°鏡面光沢度を測定し、60°鏡面光沢度保持率を計算し、またJIS K5600−4−6 3.2に記載の方法でサカタインクス株式会社製マクベス分光光度計CE−3100を用いて、照射試験前と照射試験後の色相を測定し、色差ΔEを算出した。この方法で、下記評価基準で評価した。
◎:60°鏡面光沢度保持率70%以上、かつ、ΔEが1.0未満
〇:60°鏡面光沢度保持率70%未満、60%以上、または、ΔEが1.0以上、1.5未満
△:60°鏡面光沢度保持率60%未満、50%以上、または、ΔEが1.5以上、2.0未満
×:60°鏡面光沢度保持率50%未満、または、ΔEが2.0以上
<剥落防止性能>
コテ塗装により、500μmになるように塗料で表5〜8に示されるコンクリート基材を塗装して下塗り塗膜を形成させ、次いで表5〜8に示される繊維シートを配置させ、次いで、コテ塗装により、膜厚が500μmとなるように、塗料で下塗り塗膜及び繊維シートを塗装して上塗り塗膜を形成させ、その後、積層体を温度35℃相対湿度90%で168時間乾燥させた。コンクリート基材については<塗装作業性>を、繊維シートについては<耐候性試験>を参照されたい。
次いで、積層体を備えるコンクリート基材に対して、「首都高速道路株式会社 橋梁構造物設計要領 コンクリート片剥落防止編 平成18年8月版」に準拠して剥落防止性能試験を行い、下記基準に従い評価した。
・耐荷性
〇:φ10cmあたりの押抜き荷重1.0kN以上。
×:φ10cmあたりの押抜き荷重1.0kN未満。
<付着性試験>
コンクリート基材の種類及び積層体の乾燥条件以外は、<剥落防止性能>と同様に、積層体を形成させた。コンクリート基材としては、寸法20×70×70mmのモルタル片を用いた。乾燥条件としては、23℃の恒温室(湿度50%RH)にて、7日間養生を行った。次いで、積層体を備えるコンクリート基材に対して、建研式付着力試験機を用いた剥離試験を行い、剥離時の数値を下記基準により評価した。
〇:1.0N/mm以上。
×:1.0N/mm未満。
Figure 2018003444
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Claims (8)

  1. コンクリート構造物の表面に、下塗り塗膜、繊維シート及び上塗り塗膜を備える積層体を形成させて、コンクリート構造物からのコンクリートの剥落を防止する方法であって、
    下塗り塗料でコンクリート構造物の表面を塗装し、下塗り塗膜を形成させる第1の工程と、下塗り塗膜上に繊維シートを配置させる第2の工程と、下塗り塗膜及び繊維シートを覆うように上塗り塗料による塗装を行い、上塗り塗膜を形成させる第3の工程とを含み、
    前記下塗り塗料及び前記上塗り塗料が、数平均分子量が300〜10,000であり且つ1分子あたりの水酸基の数が2.0〜9.0であるポリオールと、イソシアネート基の割合が10.0〜20.0質量%であるポリイソシアネートとを含み、該ポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基に対するイソシアネート基が0.5〜1.5当量であり、該ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネート及び脂環式ポリイソシアネートよりなる群から選択される少なくとも1種である2液硬化型塗料であることを特徴とする方法。
  2. 前記ポリイソシアネートがヘキサメチレンジイソシアネートを少なくとも含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記2液硬化型塗料は、せん断速度0.1s−1における粘度が0.1〜10,000(Pa・s、23℃)であり、せん断速度1000s−1における粘度が0.05〜10(Pa・s、23℃)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記2液硬化型塗料は、顔料体積濃度が10〜60体積%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記2液硬化型塗料が、ホワイトカーボン及びシリカから選択される少なくとも1種の無機粉体を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記2液硬化型塗料が、沈降性硫酸バリウム及び珪酸マグネシウムから選択される少なくとも1種の無機粉体を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記2液硬化型塗料が、更に、脱水剤を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記下塗り塗膜及び前記上塗り塗膜は、それぞれ独立して、乾燥膜厚が100〜800μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
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