JP5061531B2 - 緩衝材用接着剤、通気緩衝複合防水工法および通気緩衝複合防水工法を用いて製造される構造体 - Google Patents
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Description
これらの工法には、建築物の屋上等の下地であるモルタル等の上に防水層(シート防水工法においては防水シート、塗膜防水工法においては防水塗膜)を直接形成して改修する場合、下地中に滞留している水蒸気が気化して防水層に膨れや、下地のひび割れが生じる問題があることが知られている。
そのため、近年、これらの工法において、防水層と下地との間に、通気性および緩衝性を備えた緩衝材(通気緩衝シート)を設ける工法が提案されている(例えば、特許文献1等参照。)。
(1)ウレタンプレポリマーと、エポキシ樹脂と、加水分解性イミン化合物と、粉体とを含有し、上記エポキシ樹脂を、上記ウレタンプレポリマー100質量部に対して1〜100質量部含有し、上記ウレタンプレポリマーが、トリレンジイソシアネートとポリオール化合物とを反応させて得られるTDI系ウレタンプレポリマーであり、上記ウレタンプレポリマーの粘度が50Pa・s以下であり、上記エポキシ樹脂の粘度が60Pa・s以下であり、上記加水分解性イミン化合物が、ケトンまたはアルデヒドと、アミンとから導かれるイミノ(>C=N−)結合を有し、上記加水分解性イミン化合物を、(上記ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基および上記エポキシ樹脂中のエポキシ基の合計数)/(上記加水分解性イミン化合物中のイミノ結合の数)で表される当量比が0.7〜1.5となるように含有し、粘度が1.0〜30Pa・sである、建築用ウレタン塗膜防水材と下地との間に設けられる緩衝材用接着剤。
(2)上記加水分解性イミン化合物の粘度が30Pa・s以下である上記(1)に記載の緩衝材用接着剤。
(3)上記加水分解性イミン化合物が、上記イミノ結合を形成する炭素原子および窒素原子の少なくとも一方の原子のα位またはβ位に分岐炭素原子または環員炭素原子が結合している構造を有する、上記(1)または(2)に記載の緩衝材用接着剤。
(4)上記粉体が、炭素繊維、炭酸カルシウム、シリカおよびシリコーン微粉末からなる群から選択される少なくとも1種である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の緩衝材用接着剤。
(5)上記粉体の含有量が、上記ウレタンプレポリマー100質量部に対して1〜150質量部である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の緩衝材用接着剤。
(6)上記ウレタンプレポリマーを含有する主剤と、上記エポキシ樹脂と上記加水分解性イミン化合物と上記粉体とを含有する接着付与剤とからなり、
上記主剤と上記接着付与剤との質量比が1:1または1:2である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の緩衝材用接着剤。
(7)建築物の表面にウレタン塗膜防水材を施工する通気緩衝複合防水工法であって、
上記(1)〜(6)のいずれかに記載の緩衝材用接着剤を建築物の表面に塗布する塗布工程と、
上記塗布工程により塗布された上記接着剤の上に通気緩衝シートを貼り付ける貼付工程と、
上記貼付工程により貼り付けられた上記通気緩衝シートにウレタン塗膜防水材を施工する施工工程とをこの順で具備する通気緩衝複合防水工法。
(8)上記(7)に記載の通気緩衝複合防水工法を用いて製造される、建築物の表面にウレタン塗膜防水材が施工された構造体。
本発明の第1の態様に係る緩衝材用接着剤(以下、「本発明の接着剤」ともいう。)は、ウレタンプレポリマーと、エポキシ樹脂と、加水分解性イミン化合物と、粉体とを含有し、上記エポキシ樹脂を、上記ウレタンプレポリマー100質量部に対して1〜100質量部含有し、上記ウレタンプレポリマーの粘度が50Pa・s以下であり、上記エポキシ樹脂の粘度が60Pa・s以下であり、上記加水分解性イミン化合物を、(上記ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基および上記エポキシ樹脂中のエポキシ基の合計数)/(上記加水分解性イミン化合物中のイミノ結合の数)で表される当量比が0.7〜1.5となるように含有し、粘度が1.0〜30Pa・sである、建築用ウレタン塗膜防水材と下地との間に設けられる緩衝材用の接着剤である。
ここで、本明細書において、ウレタンプレポリマー、エポキシ樹脂、本発明の接着剤の各粘度は、E型粘度計を用い、20℃下で測定した値をいう。
次に、本発明の接着剤に用いられる各成分について詳述する。
本発明の接着剤に用いられるウレタンプレポリマーは、通常の1液型のポリウレタン樹脂組成物と同様、ポリオール化合物と過剰のポリイソシアネート化合物(即ち、水酸(OH)基に対して過剰のイソシアネート(NCO)基)を反応させて得られる反応生成物であって、粘度が50Pa・s以下のものである。
上記ポリオール化合物と上記ポリイソシアネート化合物とを混合する割合は、ポリオール化合物のヒドロキシ基の数に対するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の数の比(NCO/OH)が1.1〜2.0であるのが好ましい。
なお、分子内にNCO基を1個のみ有するモノイソシアネート化合物も、ジイソシアネート化合物等と混合することにより用いることができる。
ここで、芳香族ジオール類としては、具体的には、例えば、レゾルシン(m−ジヒドロキシベンゼン)、キシリレングリコール、1,4−ベンゼンジメタノール、スチレングリコール、4,4′−ジヒドロキシエチルフェノール;下記に示すようなビスフェノールA構造(4,4′−ジヒドロキシフェニルプロパン)、ビスフェノールF構造(4,4′−ジヒドロキシフェニルメタン)、臭素化ビスフェノールA構造、水添ビスフェノールA構造、ビスフェノールS構造、ビスフェノールAF構造のビスフェノール骨格を有するもの;等が挙げられる。
このようなポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリプロピレントリオール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリテトラエチレングリコール、ソルビトール系ポリオール等が挙げられる。
また、ビスフェノール骨格を有するポリエーテルポリオールの具体例としては、ビスフェノールA(4,4′−ジヒドロキシフェニルプロパン)に、エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを付加させて得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
ここで、上記縮合系ポリエステルポリオールを形成する多塩基性カルボン酸としては、具体的には、例えば、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、ピロメリット酸、他の低分子カルボン酸、オリゴマー酸、ヒマシ油、ヒマシ油とエチレングリコール(もしくはプロピレングリコール)との反応生成物等のヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。
また、上記ラクトン系ポリオールとしては、具体的には、例えば、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、ε−メチル−ε−カプロラクトン等のラクトンを適当な重合開始剤で開環重合させたもので両末端に水酸基を有するものが挙げられる。
また、ビスフェノール骨格を有するポリエステルポリオールとしては、上記低分子多価アルコール類に代えて、または低分子多価アルコール類とともに、ビスフェノール骨格を有するジオールを用いて得られる縮合系ポリエステルポリオールが挙げられる。具体的には、ビスフェノールAとヒマシ油とから得られるポリエステルポリオール、ビスフェノールAとヒマシ油とエチレングリコールとプロピレングリコールとから得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。
また、本発明においては、このようなウレタンプレポリマーの重量平均分子量は、2000〜100000であるのが好ましく、3000〜30000であるのがより好ましい。ウレタンプレポリマーの重量平均分子量がこの範囲であると、得られる本発明の接着剤の作業性が良好となり、非溶剤化の達成がより容易になるため好ましい。
本発明の接着剤に用いられるエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のオキシラン環(エポキシ基)を有する化合物からなる樹脂であって粘度が60Pa・s以下のものであれば特に限定されず、一般的に、エポキシ当量が90〜2000のものである。
このようなエポキシ樹脂としては、従来公知のエポキシ樹脂を用いることができ、具体的には、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型等のビスフェニル基を有するエポキシ化合物や、ポリアルキレングリコール型、アルキレングリコール型のエポキシ化合物、更にナフタレン環を有するエポキシ化合物、フルオレン基を有するエポキシ化合物等の二官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;
フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、DPPノボラック型、トリス・ヒドロキシフェニルメタン型、三官能型、テトラフェニロールエタン型等の多官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;
ダイマー酸等の合成脂肪酸のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;
下記式(1)で表されるN,N,N′,N′−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリン等のグリシジルアミノ基を有する芳香族エポキシ樹脂;
また、本発明においては、このようなエポキシ樹脂の含有量は、上記ウレタンプレポリマー100質量部に対して1〜100質量部であり、好ましくは3〜50質量部であり、より好ましくは5〜20質量部である。エポキシ樹脂の含有量がこの範囲であると、得られる本発明の接着剤自体が硬化する前に後述する通気緩衝シートの通気層(不織布)の一部に浸透しやすくなり、下地と通気緩衝シートとの接着性が向上する。
本発明の接着剤に用いられる加水分解性イミン化合物は、カルボニル化合物とアザンまたはアミンとの縮合による炭素−窒素二重結合基を有する化合物(イミン化合物)のうち、加水分解により第1級アミンを生成するものであれば特に限定されない。
このような加水分解性イミン化合物としては、ケトンまたはアルデヒドと、アミンとから導かれるイミノ(>C=N−)結合を有する化合物であるのが好ましく、その具体例としては、ケトンとアミンとから導かれるケチミン、アルデヒドとアミンとから導かれるアルジミンが挙げられる。
具体的には、例えば、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチル−t−ブチルケトン(MTBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、ピバルアルデヒド(トリメチルアセトアルデヒド)、カルボニル基に分岐炭素が結合したイソブチルアルデヒド((CH3)2CHCHO)、メチルシクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、メチルシクロヘキシルケトン、アセトフェノン、プロピオフェノン等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのうち、MTBK、MIPKが好ましい。
具体的には、MIBKとプロピレンジアミンとから得られるもの;MIPKおよび/またはMTBKとジェファーミンEDR148とから得られるもの;MIPKおよび/またはMTBKと1,3BACとから得られるもの;MIPKおよび/またはMTBKとNBDAとから得られるもの;MIPKおよび/またはMTBKとMXDAとから得られるもの;MIPKおよび/またはMTBKとポリアミドアミンとから得られるもの;ジエチルケトンとMXDAとから得られるもの;ピバルアルデヒド、イソブチルアルデヒドおよびシクロヘキサンカルボクスアルデヒドからなる群より選択される少なくとも1種のアルデヒドと、NBDA、1,3BAC、ジェファーミンEDR148およびMXDAからなる群より選択される少なくとも1種のアミンとの組み合わせから得られるもの;等が好適に例示される。
本発明の接着剤は、粘度の調整、主剤と接着付与剤との質量比の調整等を目的として粉体を含有する。
上記粉体は、接着剤に使用され得る微小粒子であれば特に限定されず、具体的には、例えば、炭酸カルシウム、カーボンブラック、シリカ(ホワイトカーボン)、シリコーン微粉末、クレー・タルク類、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、生石灰、炭酸塩類(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、胡粉)、アルミナ水和物(例えば、含水水酸化アルミニウム)、ケイソウ土、硫酸バリウム(例えば、沈降性硫酸バリウム)、マイカ、硫酸アルミナ、リトポン、アスベスト、グラファイト、二硫化モリブデン、軽石粉、ガラス粉、ケイ砂、ゼオライト;これらの脂肪酸、樹脂酸、脂肪酸エステル、高級アルコール付加イソシアネート化合物等による表面処理物;ガラスバルーン;樹脂バルーン;等が挙げられる。また、上記粉体は、粒状物だけでなく、繊維状物であってもよく、その具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維等が好適に挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、炭素繊維、炭酸カルシウム、シリカ、シリコーン微粉末が好ましく、コストと物性のバランスの点から炭酸カルシウムがより好ましい。
具体的には、表面処理されていない重質炭酸カルシウムとしては、ホワイトンSSB赤(白石工業社製)、スーパーS(丸尾カルシウム社製)等が挙げられ、表面処理された重質炭酸カルシウムとしては、ライトンA−4(備北粉化工業社製)、スノーライト(丸尾カルシウム社製)等が挙げられる。また、表面処理されていない沈降炭酸カルシウムとしては、白艶華A、Brilliant−1500(ともに白石工業社製)等が挙げられ、表面処理された沈降炭酸カルシウムとしては、ビスコライトMBP(白石工業社製)、カルファイン200(丸尾カルシウム社製)等が挙げられる。
これにより、本発明の接着剤の非溶剤化が図れ、また、上記ウレタンプレポリマーが消防法危険物第4石油類に該当し、上記エポキシ樹脂および上記加水分解性イミン化合物が同法危険物第3石油類または第4石油類に該当するため、製品保管数量に関して消防法上の制限が緩和される。これに対し、上述したように、現行のウレタン塗膜防水材用接着剤は、粉体のみならず有機溶剤(例えば、トルエン、キシレン等)を多量に含有するため、同法危険物第1石油類や第2石油類に該当することがあり、製品保管数量に関して消防法上の制限を受ける場合がある。
本発明者は、接着剤の粘度が低すぎる場合、接着剤が毛細管現象により通気層の孔に浸入して通気層の閉塞を招くと考え、上記粉体の添加等により接着剤の粘度を特定の値以上に調整することで、この問題を解決できることを見出した。また、粘度が上記の範囲であれば、粘度が高くなり過ぎることによって作業性の低下を招くこともなく、非溶剤化を達成できる。
上記可塑剤としては、具体的には、例えば、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP);アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル;アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、第三石油類であり、比較的低粘度である2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレートが好ましい。
加水分解触媒は、特に限定されず、その具体例としては、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸等のカルボン酸類;ポリリン酸、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート等のリン酸類;ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート等の有機金属類;等が挙げられる。
このような加水分解触媒を含有していると、加水分解性イミン化合物の湿気(水)による加水分解が促進され、得られる本発明の接着剤の低温化での硬化性が良好となり、下地と通気緩衝シートとの接着性が向上するため好ましい。
シランカップリング剤は、特に限定されず、その具体例としては、アミノシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、メタクリルシラン、イソシアネートシラン、ケチミンシランもしくはこれらの混合物もしくは反応物、または、これらとポリイソシアネートとの反応により得られる化合物等が挙げられる。
エポキシシランとしては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
メタクリルシランとしては、例えば、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
イソシアネートシランとしては、例えば、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネートプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
ケチミンシランとしては、例えば、ケチミン化プロピルトリメトキシシラン、ケチミン化プロピルトリエトキシシランが挙げられる。
シランカップリン剤の含有量がこの範囲であると、下地と通気緩衝シートとの接着性が向上するため好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物が挙げられる。
接着性付与剤としては、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。
上記の各添加剤は適宜、組み合わせて用いることができる。
この態様においては、使用時の計量が容易であり、実用性に優れる点から、上記主剤と上記接着付与剤との質量比が整数比になるように上述した各成分を配合することが好ましく、上記主剤と上記接着付与剤との質量比が1:1または1:2であるのがより好ましい。
次に、本発明の工法における各工程について詳述する。
本発明の工法における塗布工程は、本発明の接着剤を建築物の表面(防水を必要とする下地表面)に塗布する工程である。
上記塗布工程において本発明の接着剤を塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、ローラー塗布、スプレー塗布等を挙げることができる。
また、上記塗布工程により塗布される接着剤の塗布量は、下地と通気緩衝シートとの接着性向上の観点から、100〜400g/m2であるのが好ましい。
本発明の工法における貼付工程は、上記塗布工程により塗布された上記接着剤の上に通気緩衝シートを貼り付ける工程である。
以下に、本願発明で用いる通気緩衝シートの好適な実施態様の一例を示す断面図(図1)を用いて説明する。
図1に示すように、通気緩衝シート1は、通気層(不織布)2と、その上に積層される遮水層(特殊フィルム層)3とで構成されている。
本発明においては、遮水層3上に積層される図示しない防水材保持層を構成していてもよい。
また、本発明においては、上記不織布2の厚みは、通気性能、下地に対する緩衝性能等の観点から、1.0〜3.0mmであるのが好ましい。
また、本発明においては、上記遮水層3の厚みは、柔軟性、耐久性等の観点から、0.02〜3.0mmであるのが好ましい。
本発明の工法における施工工程は、上記貼付工程により貼り付けられた上記通気緩衝シートにウレタン塗膜防水材を施工する工程である。
上記ウレタン塗膜防水材は、特に限定されず、従来から1液湿気硬化型ポリウレタン組成物や2液湿気硬化型ポリウレタン組成物として用いられているものを用いることができ、横浜ゴム社製のユーロポール、U−8000、U−8000HC、アーバンルーフT、アーバンルーフEU−ONE等が好適に用いられる。
図2に示すように、通気緩衝複合防水工法は、まず、下地4の表面に接着剤を塗布して接着剤層5を設け、次に、接着剤層5の上に不織布と遮水層とからなる通気緩衝シート6を貼り付け、次に、通気緩衝シート6の上にウレタン塗膜防水材を施工して防水塗膜7を設け、次に必要に応じてトップコート8を塗工し硬化させることにより行われる。
また、下地4中に滞留している水分は、水蒸気として通気緩衝シート6を通じて大気中に放出されることになるが、この放出を促進させる観点から、図3に示すような脱気筒を設けるのが好ましい。図3は、脱気筒回りの一例を説明する概略断面図である。
図3に示すように、脱気筒9は、通気緩衝シート6上にビス10を用いて固定され、防水塗膜7は、通気緩衝シート6および脱気筒9の上に設けられる。
本発明の工法は建築物の表面(防水を必要とする下地表面)に対して使用され、本発明の工法の使用により建築物の表面にウレタン塗膜防水材が施工された構造体が製造される。
このような構造体としては、具体的には、例えば、ビルの屋上や家屋のベランダ、庇等にウレタン塗膜防水材が施工された構造体が挙げられる。これらのうち、ビルの屋上や家屋のベランダについては、現場にて本発明の工法を使用して構造体を製造する態様が多いが、庇については、予め本発明の工法の使用により構造体を製造した後に設置する態様であってもよい。
数平均分子量4000のポリオキシプロピレントリオール(エクセノール4030、旭硝子社製)および数平均分子量2000のポリオキシプロピレンジオール(エクセノール2020、旭硝子社製)に、トリレンジイソシアネート(2,4−および2,6−トリレンジイソシアネートの混合比(質量比)は80/20、三井武田ケミカル社製、コスモネートT−80)を投入し、窒素気流中、80℃で24時間反応させてウレタンプレポリマーを合成した(NCO%:2.9%)。
なお、ウレタンプレポリマーの粘度は、E型粘度計を用い、20℃下で測定したところ、8Pa・sであった。
エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型(EP4100、旭電化工業)を用いた。
なお、エポキシ樹脂の粘度は、E型粘度計を用い、20℃下で測定したところ、12Pa・sであった。
ケチミンとして、ノルボルナンジアミン(NBDA、三井東圧化学社製)100gと、メチルイソプロピルケトン(MIPK)200gとを、トルエン200gとともにフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら20時間反応させることで合成した、下記構造式で表される化合物を用いた。
なお、ケチミンの粘度は、E型粘度計を用い、20℃下で測定したところ、0.03Pa・sであった。
アルジミンとして、ヘキサメチレンジアミン1モルと、2‐メチルペンタナール2モルとを、生成する水を共沸により除きながら20時間反応させることで合成した、下記構造式で表される化合物を用いた。
なお、アルジミンの粘度は、E型粘度計を用い、20℃下で測定したところ、1Pa・sであった。
(1)炭素繊維:VGCF(昭和電工社製)
(2)表面処理炭酸カルシウム:スノーライトS(丸尾カルシウム社製)
(3)重質炭酸カルシウム:スーパーS(丸尾カルシウム社製)
(4)コロイダルシリカ:アエロジルRY−200(日本エアロジル社製)
(5)シリコーン微粉末:KMP−701(信越シリコーン社製)
(6)可塑剤(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート):CS−16、エクソンモービル社製、第三石油類
上述した各成分を、下記第1表に示す成分比(質量部)で配合し、建築用ウレタン塗膜防水材用接着剤を調製した。
また、配合は、ウレタンプレポリマー以外の成分を予めニーダーで混合して調製した接着付与剤マスターバッチと、ウレタンプレポリマーとを、モルタルに塗布する直前に混合することにより行った。
更に、比較例6および7には、それぞれ現行品の建築用ウレタン塗膜防水材用接着剤として第1石油類に該当する1液型ウレタン系接着剤および1液型クロロプレン系接着剤を用いた。
各接着剤の粘度をE型粘度計を用いて20℃下で測定した。結果を第1表に示す。
得られた構造体サンプルについて、接着性の評価として、以下に示す方法でモルタルと通気緩衝シートとの剥離強度(モルタル/シート 剥離強度)を測定した。
また、下記の方法により通気性能を評価した。
剥離強度は、得られた各構造体サンプルを用い、JIS A1439−1997に準じて、50mm/分の引張速度でモルタルと通気緩衝シートとを180℃方向に引張る接着面の剥離試験(180度ピール試験)を行い、剥離時の引張強度(kgf/25mm)を測定した。その結果を下記第1表に示す。なお、測定は、得られた各構造体サンプルの初期状態(20℃×7日間養生後)、および、耐温水老化後(20℃×7日間養生後+50℃温水×7日間浸漬後)について行った。
モルタル/シート剥離強度試験(20℃×7日間養生)で剥離した後の通気緩衝シートを目視で観察した。通気層に接着剤によるつぶれが無かったものを「○」、通気層に接着剤によるつぶれが点在していたものを「△」、通気層の面積の30%以上に接着剤によるつぶれがあったものを「×」とした。
一方、実施例1〜11の接着剤は、比較例1〜5の接着剤と比較して、モルタル/シート 剥離強度が同等以上であり、接着剤による通気層のつぶれを生じなかった。また、比較例6〜7の現行品の接着剤と比較して、溶剤を用いずに同等以上のモルタル/シート 剥離強度を有していることが分かった。
2 不織布
3 遮水層
4 下地
5 接着剤層
6 通気緩衝シート
7 防水塗膜
8 トップコート
9 脱気筒
10 ビス
Claims (8)
- ウレタンプレポリマーと、エポキシ樹脂と、加水分解性イミン化合物と、粉体とを含有し、
前記エポキシ樹脂を、前記ウレタンプレポリマー100質量部に対して1〜100質量部含有し、
前記ウレタンプレポリマーが、トリレンジイソシアネートとポリオール化合物とを反応させて得られるTDI系ウレタンプレポリマーであり、
前記ウレタンプレポリマーの粘度が50Pa・s以下であり、
前記エポキシ樹脂の粘度が60Pa・s以下であり、
前記加水分解性イミン化合物が、ケトンまたはアルデヒドと、アミンとから導かれるイミノ(>C=N−)結合を有し、
前記加水分解性イミン化合物を、(前記ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基および前記エポキシ樹脂中のエポキシ基の合計数)/(前記加水分解性イミン化合物中のイミノ結合の数)で表される当量比が0.7〜1.5となるように含有し、
粘度が1.0〜30Pa・sである、建築用ウレタン塗膜防水材と下地との間に設けられる緩衝材用接着剤。 - 前記加水分解性イミン化合物の粘度が30Pa・s以下である請求項1に記載の緩衝材用接着剤。
- 前記加水分解性イミン化合物が、前記イミノ結合を形成する炭素原子および窒素原子の少なくとも一方の原子のα位またはβ位に分岐炭素原子または環員炭素原子が結合している構造を有する、請求項1または2に記載の緩衝材用接着剤。
- 前記粉体が、炭素繊維、炭酸カルシウム、シリカおよびシリコーン微粉末からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の緩衝材用接着剤。
- 前記粉体の含有量が、前記ウレタンプレポリマー100質量部に対して1〜150質量部である請求項1〜4のいずれかに記載の緩衝材用接着剤。
- 前記ウレタンプレポリマーを含有する主剤と、前記エポキシ樹脂と前記加水分解性イミン化合物と前記粉体とを含有する接着付与剤とからなり、
前記主剤と前記接着付与剤との質量比が1:1または1:2である、請求項1〜5のいずれかに記載の緩衝材用接着剤。 - 建築物の表面にウレタン塗膜防水材を施工する通気緩衝複合防水工法であって、
請求項1〜6のいずれかに記載の緩衝材用接着剤を建築物の表面に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程により塗布された前記接着剤の上に通気緩衝シートを貼り付ける貼付工程と、
前記貼付工程により貼り付けられた前記通気緩衝シートにウレタン塗膜防水材を施工する施工工程とをこの順で具備する通気緩衝複合防水工法。 - 請求項7に記載の通気緩衝複合防水工法を用いて製造される、建築物の表面にウレタン塗膜防水材が施工された構造体。
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