JP2007246795A - 多孔質シリカ被膜及び粉末(粉末前駆体を含む)形成用塗布液の製造方法 - Google Patents

多孔質シリカ被膜及び粉末(粉末前駆体を含む)形成用塗布液の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】特定の鋳型物質を使用しないで、焼成および抽出に依る鋳型の除去工程が不要であり、ピーク細孔径が5nmを超え10nm以下の範囲で特定の細孔径に制御された多孔質(メソポーラス)シリカ被膜及び粉末(粉末前駆体を含む)を形成できる塗布液の製造方法を提供する。
【解決手段】特定の有機溶媒、特定のゾル−ゲル反応触媒、シリカ源、及び水から構成され、実質的に鋳型(テンプレート)物質を含まない反応溶液を調製してゾル−ゲル反応をさせる。
【選択図】図2

Description

本発明は、多孔質(メソポーラス)シリカ被膜及び粉末(粉末前駆体を含む)形成用塗布液の製造方法に関する。より詳細には、吸湿材、吸着材、光学用機能材などに利用される、細孔径を特定の範囲に制御した多孔質シリカ被膜及び粉末(粉末前駆体を含む)を形成するための塗布液の製造方法に関する。
多孔質(メソポーラス)の分類によると、細孔径2nm以下がミクロポア、細孔径2〜50nmがメソポア、細孔径50nm以上がマクロポアと呼ばれる。
従来、多孔質(メソポーラス)シリカに関しては、鋳型(テンプレート)物質として液晶、界面活性剤、ブロックコポリマーなどを用いて製造するキュービック(球状)構造、ヘキサゴナル(六角形状)構造、およびラメラ(層状)構造を持つものが知られている。多孔質(メソポーラス)シリカの細孔構造がキュービック構造、ヘキサゴナル構造、ラメラ構造のいずれに形成されるかは、鋳型分子の集合形態に応じて決まるとされている。
例えば、特許文献1には、「界面活性剤を鋳型とした薄膜では、細孔が高規則性(例えば六角形)アレイを形成し、固有細孔径が界面活性剤ミセルのサイズによって画定される。界面活性剤を鋳型とする工程を経ることによって、界面活性剤の物性及びシリカ種との相互作用を利用して多孔度、細孔径及び細孔形状の制御が可能となる。」と記載されている。なお、作成した薄膜を475℃で焼成して界面活性剤を除去している。また、特許文献1の実施例によると、形成された細孔径は3nm以下と推測されているが、具体的なメソ細孔径を制御する方法については、何ら記載されていない。
特許文献2には、アルコキシシランの1種または2種以上を、有機溶媒、水およびアルカリ触媒の存在下で加水分解し、得られた加水分解液を、水および酸触媒の存在下でさらに部分加水分解したシリカ系被膜形成用塗布液の製造方法が開示されている。なお、この塗布液を基板上に塗布し、次いで乾燥し、通常300〜900℃で焼成すれば基板上に被膜が形成されることが示されている。特許文献2には、メソ細孔径に関する記載は全くない。
特許文献3には、鋳型物質としての両親媒性物質(界面活性剤)と、アルコキシシラン及びその加水分解物とを含む混合溶液から、溶媒を蒸発させて有機複合体を作製し、該有機複合体から両親媒性物質を抽出除去することが開示されている。また、特許文献3には、得られた多孔質シリカの細孔構造を示すものとして細孔表面積についての測定値を示しているが、メソ細孔径に関する記載は全くない。
特許文献4には、ゾル−ゲル反応触媒成分を含有する水溶液に、相分離誘起成分(鋳型物質)として水溶性高分子あるいは両親媒性物質(界面活性剤)を溶かして均一溶液を調製し、非加水分解性の有機官能基と加水分解性の官能基の両方を有する低分子化合物(シリカ源)を添加しゾル−ゲル反応を行なわせて連続した3次元網目構造のゲルを形成し、該ゲルを加水分解してアンモニアを生じる化合物を含む水溶液中で加温熟成した後、乾燥して溶媒を蒸発させ、乾燥後のゲルから熱分解または抽出により相分離誘起成分(鋳型物質)を除去することが開示されている。また、特許文献4の実施例に示されたいずれの測定結果でも、メソ細孔径が約5〜40nmの広い範囲に渡っていて、いわゆるブロードな細孔分布の拡がりを持ったものであって、特定の細孔径に鋭いピークを持たせるようには制御されていない。
特許文献5には、ゾル−ゲル反応触媒成分を含有する水溶液に、鋳型物質として両親媒性物質(界面活性剤)を溶かして均一溶液を調製し、この中に加水分解性の官能基を有する無機低分子化合物(TEOS等)を添加してゾル−ゲル反応を行なわせて連続した3次元網目構造の骨格相のゲルを形成し、該ゲルを乾燥して溶媒を除去してマクロ細孔を形成し、さらに乾燥後のゲルから熱分解または抽出により、鋳型物質を除去して該骨格相内にメソ細孔を形成することが開示されている。実施例によると、直径3nm付近に分布の中心を持つ細孔が多数存在するメソ孔が得られている。
特許文献6には、シリカ源と界面活性剤を用いてメソポーラスシリカ微粒子を合成後、抽出により界面活性剤を除去し、メソポーラスシリカの微粒子の表面処理後に媒質に分散させたシリカ系被膜用塗布液の製造方法が開示されている。特許文献6には、シリカ系被膜用塗布液を用いて作製された被膜に関して、メソ細孔径に関する記載は全くない。
特許文献7には、金属酸化物の前駆体とテンプレート(鋳型)から得られる複合体を製造する工程と、該複合体から限外濾過によりテンプレートを除去する工程から製造するメソポーラス物質が開示されている。特許文献7の実施例によると、得られた試料の平均細孔径は2nmとなっている。
特許文献8には、メタノール、エタノール等の低級脂肪族アルコール溶媒を用いゾル−ゲル法で成形された、内部に多数の微細空隙を含む非晶質二酸化ケイ素薄膜であって、全体の80体積%以上を占める微細空隙の直径が5nm以下であることが開示されている。しかし、特許文献8には、空隙の形成に関し、「ゾル薄膜は次いで、加熱焼成されて、非晶質二酸化ケイ素薄膜とされる。加熱焼成は、通常、100〜1100℃の範囲の温度で行われる。なお、先のゾル形成時の撹拌混合の温度と撹拌時間などの条件を変えることにより、或いは加熱焼成の温度を選択することにより、生成する非晶質二酸化ケイ素薄膜の空隙率を調整することができ、」との記載があるのみで、鋳型(テンプレート)物質を含まない反応溶液を用いてゾル−ゲル反応をさせて、多孔質シリカ被膜及び粉末(粉末前駆体を含む)を形成させることに関する記載や示唆は何らされていない。
また、特許文献8のように、メタノール、エタノール等の低級脂肪族アルコール溶媒を用いゾル−ゲル法で成形される非晶質二酸化ケイ素薄膜は、細孔径の分布として5nmを超え15nm以下に鋭いピークを有するものが得られないものであり、例えば実施例に示されているメタノール溶媒を用いた場合に得られる微細空隙の直径は2nm以下である。
特表2003−520745号公報 特許第2801660号公報 特開平4−210227号公報 特開2005−290033号公報 WO03/002458号パンフレット 特開2002−053773号公報 特開2002−173319号公報 特開2002−294564号公報
特許文献1に示された方法は、作成した薄膜を300℃以上の温度で焼成して界面活性剤(鋳型物質)を除去していることから、耐熱性の点から合成樹脂フィルム上に形成された薄膜には適用できない不都合があった。
特許文献2に示された方法は、鋳型物質を用いないで、有機溶媒、シリカ源(アルコキシシラン)、触媒、及び水からなる反応溶液でシリカ系被膜形成用塗布液の製造に係わるものである。しかし、特許文献2の塗布液を用いて形成された被膜は、単にピンホールあるいはボイドなどが発生することがなく、緻密であって、機械的強度、耐薬品性、耐湿性、絶縁性などに優れた被膜を形成するためのものであって、メソ細孔が形成されないという問題があった。
特許文献3及び特許文献6に示された方法は、抽出により鋳型物質を除去するものであって、鋳型物質の除去が不完全であるという不都合があった。
特許文献4及び特許文献5に示された方法は、乾燥後のゲルから熱分解または抽出により、鋳型物質を除去して該骨格相内にメソ細孔を形成するものである。熱分解によって鋳型物質を除去する場合は、耐熱性の点から合成樹脂フィルム上に形成された薄膜には適用できない。また、抽出により鋳型物質を除去する場合は、鋳型物質の除去が不完全であるという不都合があった。
特許文献7に示された方法は、作製されたメソポーラス物質を含有するゾルをアルコール類で2〜10倍に希釈した後、限外濾過により鋳型物質を除去するものであって、操作が煩雑であるという不都合があった。
上記のとおり、多孔質(メソポーラス)シリカの製造に関して、従来の公知技術においては、多孔質(メソポーラス)シリカを形成するために特定の鋳型(テンプレート)物質を使用するため、鋳型物質を焼成または抽出に除去する工程を必要としている。焼成によって鋳型物質を除去する場合は、耐熱性の点から合成樹脂フィルム上に形成された薄膜には適用できず、抽出により鋳型物質を除去する場合は、鋳型物質の除去が不完全であるという不都合があった。
また、従来公知の方法では、細孔分布曲線のピークにおける細孔径(以下、「ピーク細孔径」という)が5nmを超え15nm以下の範囲で特定の細孔径に限定して制御された多孔質(メソポーラス)シリカを得ることができなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、特定の鋳型物質を使用しないため、焼成および抽出に依る鋳型物質の除去工程が不要であり、ピーク細孔径が5nmを超え15nm以下の範囲の多孔質(メソポーラス)シリカ被膜及び粉末(粉末前駆体を含む)を形成できる塗布液の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、特定の鋳型物質を使用せず、特定の有機溶媒、特定の反応触媒で構成される塗布液より形成される多孔質(メソポーラス)シリカの細孔径を制御できるという上記課題を解決しうる知見を得て本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
式1で示される化合物及び非プロトン性極性溶媒から選ばれる少なくとも1種である有機溶媒、シリカ源、ヒドロキシケトン誘導体(あるいはヒドロキシアルデヒド誘導体)、ヒドロキシカルボン誘導体、アリルアルコール誘導体およびヒドロキシニトリル誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であるゾル−ゲル反応触媒、及び水から構成され、実質的に鋳型(テンプレート)物質を含まない反応溶液を調製してゾル−ゲル反応をさせてなる多孔質シリカ被膜及び粉末(粉末前駆体を含む)形成用塗布液の製造方法である。
式1の中で、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基である。
前記塗布液は、ピーク細孔径(細孔分布曲線のピークにおける細孔径)が5nmを超え15nm以下の範囲で特定の細孔径に限定して制御された多孔質(メソポーラス)シリカ被膜及び粉末(粉末前駆体を含む)を形成できる塗布液であるのが好ましい。
また、本発明は、前記シリカ源が式2で示されるアルコキシシランの少なくとも1種であることを特徴とする多孔質シリカ被膜及び粉末(粉末前駆体を含む)形成用塗布液の製造方法である。
式2の中で、Rは炭化水素基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、kは0〜3のいずれかの数値である。
本発明の多孔質シリカ被膜及び粉末(粉末前駆体を含む)形成用塗布液の製造方法によれば、多孔質(メソポーラス)シリカを形成するために特定の鋳型物質を使用しないため、鋳型物質が残存することの影響を防ぐことができ、また、焼成および抽出に依る鋳型の除去工程が不要であることから簡便な製造方法となり、安価に多孔質シリカ被膜及び粉末(粉末前駆体を含む)を製造することが可能となる。
また、ピーク細孔径を、5nmを超え15nm以下の範囲で特定の細孔径に制御された多孔質(メソポーラス)シリカ被膜を成形できる塗布液の製造方法を提供することができるので、特異な機能を付加した吸湿材、吸着材、光学用機能剤等を得ることができる。
以下、最良の形態に基づいて本発明の多孔質シリカ被膜及び粉末(粉末前駆体を含む)形成用塗布液の製造方法について詳しく説明する。
塗布液の調製について説明する。
シリカ源の一例であるテトラメトキシシラン(以下、TMOSと略称する)と、反応触媒であるヒドロキシケトン誘導体(あるいはヒドロキシアルデヒド誘導体)、ヒドロキシカルボン誘導体、アリルアルコール誘導体およびヒドロキシニトリル誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、特定のアルコール類または非プロトン性極性溶媒からなる群の中から選択された1種以上の有機溶媒と、水とを内容積が100mLの三角フラスコに入れて混合し、撹拌(反応温度40℃)して調製した混合液を40℃にて静置し、液中に白濁が発生するまで放置する。
物性値を測定するために乾燥粉末の調製について説明する。
本発明の塗布液より成形された多孔質シリカ被膜及び粉末(粉末前駆体を含む)の物性値を測定するために、乾燥粉末を調製する。PETフィルムやシリコンウエハなどの基材に塗布液をスピンコートした後、80℃にて揮発成分を蒸発除去し基材上に皮膜を形成する。次いで得られた被膜をこそげ落とし被膜成分を単離した後、メノウ乳鉢にて得られた固形成分を粉砕し粉末化する。得られた粉末を200℃の条件下で2時間乾燥処理し、粉末サンプルを作成する。
粉末の乾燥温度を300℃以上、特に450℃以上で行なえば、有機物が分解除去されて粉末サンプルの構造に変化を与えることが懸念されるが、粉末の物性値を測定するために行なう乾燥粉末の調製は、水分を完全に除去乾燥させるために乾燥温度200℃で処理するものであって、この処理温度では多孔質シリカ被膜及び粉末(粉末前駆体を含む)の構造をくずして構造変化を与えるものではない。
本発明で使用されるアルコキシシランは、式2で示されるアルコキシシランの1種以上である。
式2で、Rは炭化水素基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、kは0〜3のいずれかの数値である。
は炭化水素基としては、特に限定されないがメチル基、エチル基、フェニル基であることが好ましい。このようなアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシランなどが挙げられる。これらのアルコキシシランは、1種または複数種を併用して用いられる。
本発明に使用されるゾル−ゲル反応触媒は、ヒドロキシケトン誘導体(あるいはヒドロキシアルデヒド誘導体)、ヒドロキシカルボン誘導体、アリルアルコール誘導体およびヒドロキシニトリル誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。ヒドロキシケトン誘導体(あるいはヒドロキシアルデヒド誘導体)の例としては、ヒドロキシアセトン、アセトイン、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、及びフルクトースが挙げられ、ヒドロキシカルボン酸誘導体の例としては、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシイソ酪酸、チオグリコール酸、グリコール酸エステル、乳酸エステル、2−ヒドロキシ−イソ酪酸エステル、チオグリコール酸エステル、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸エステル、酒石酸エステル、およびクエン酸エステルが挙げられ、アリルアルコール誘導体の例としては、1−ブテン−3−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、1−ペンテン−3−オール、1−ヘキセン−3−オール、クロチルアルコール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、及びチナミルアルコールが挙げられ、ヒドロキシニトリル誘導体の例としてはアセトンシアノヒドリンが挙げられる
本発明に使用される有機溶媒は、式1で示される化合物、及び非プロトン性極性溶媒から選ばれる少なくとも1種である。
式1で、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のアルコキシ基である。
このような有機溶媒としては、具体的には、2−ブタノール、2−ペンタノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−メチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−2−ヘプタノール、2−メチル−2−ヘキサノール、2−メチル−2−ヘプタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノールなどが挙げられる。
また、非プロトン性極性溶媒としては、アセトニトリル、アセトン、2−ブタノン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
アルコキシシランの加水分解反応は、室温ないし加温下で行なうことが可能であり、反応温度を10〜80℃で行なうのが好ましい。さらに好ましい加水分解の反応温度は20〜60℃である。
シリカ源、反応触媒、有機溶媒、及び水との混合液を撹拌した後、一定温度(例えば40℃)にて静置させて反応させる。反応時間は反応温度や濃度によって差異があるが、液中に白濁が発生する反応完了までに数日〜20日間程度である。
細孔径及び細孔容積の測定方法について説明する。
比表面積/細孔分布測定装置(Micrometrics.ASAP−2010)を用い多孔質シリカ粉末に窒素ガスを吸脱着させて吸着等温線を測定し、吸着等温線をBJH法により解析し質量当たりの細孔容積と細孔分布曲線を求めた。
この細孔分布曲線におけるピークの径をピーク細孔径とした。
実施例1
反応条件:次の混合液を使用し反応させた。
シリカ源:TMOS 12ミリモル
反応触媒:ヒドロキシアセトン 12ミリモル
有機溶媒:1−メトキシ−2−プロパノール
反応温度:40℃
上記のシリカ源、反応触媒を、水を含む有機溶媒(1−メトキシ−2−プロパノール)中に混合し、反応温度40℃にて撹拌した後に静置させ、混合液中に白濁が発生した時点で、多孔質シリカの物性値を測定するために、乾燥粉末を調製した。シリコンウエハ基板に塗布液をスピンコートした後、80℃にて揮発成分を蒸発除去し基材上に被膜を形成させた。次いで得られた被膜をこそげ落とし、メノウ乳鉢にて粉砕し粉末化した。得られた粉末を200℃の条件下で2時間処理し、多孔質シリカの粉末サンプルを作成した。
図1に、得られた多孔質シリカについての窒素吸脱着等温線図の例を示す。図1において、吸着線と脱着線とがヒステリシス現象を示していることから、多孔質シリカの内部に形成されている細孔(メソポーラス)は、入口に比べて内部が広い構造を有していると推測される。
図2に細孔分布を示す。有機溶媒として1−メトキシ−2−プロパノールを用いた場合には、ピーク細孔径が5.6nmであり、5nmを超え15nm以下の範囲で特定の細孔径に制御された多孔質(メソポーラス)シリカ被膜及び粉末(粉末前駆体を含む)を形成できる塗布液が作製されていた。この細孔分布曲線から、ピーク細孔径の±20%の細孔径範囲における空隙の体積比率が50%以上であると算出されことから、得られた多孔質シリカは細孔径分布がシャープなものであった。
実施例2
反応条件:次の混合液を使用し反応させた。
シリカ源:TMOS 12ミリモル
反応触媒:ヒドロキシアセトン 12ミリモル
有機溶媒:2−ブタノール
反応温度:40℃
実施例1と同様に、上記のシリカ源、反応触媒を、水を含む有機溶媒(2−ブタノール)中に混合し、反応温度40℃にて撹拌した後に静置させ、混合液中に白濁が発生した時点で、多孔質シリカの物性値を測定するために、乾燥粉末を調製した。
物性値の測定用サンプルを調製して測定した結果、図2に示すとおり、ピーク細孔径が8.2nmであり、5nmを超え15nm以下の範囲で特定の細孔径に制御された多孔質(メソポーラス)シリカ被膜及び粉末(粉末前駆体を含む)を形成できる塗布液が作製されていた。
実施例3
反応条件:次の混合液を使用し反応させた。
シリカ源:TMOS 12ミリモル
反応触媒:ヒドロキシアセトン 12ミリモル
有機溶媒:アセトン
反応温度:40℃
実施例1と同様に、上記のシリカ源、反応触媒を、水を含む有機溶媒(アセトン)中に混合し、反応温度40℃にて撹拌した後に静置させ、混合液中に白濁が発生した時点で、多孔質シリカの物性値を測定するために、乾燥粉末を調製した。
物性値の測定用サンプルを調製して測定した結果、図2に示すとおり、ピーク細孔径が9.5nmあり、5nmを超え15nm以下の範囲で特定の細孔径に制御された多孔質(メソポーラス)シリカ被膜及び粉末(粉末前駆体を含む)を形成できる塗布液が作製されていた。
実施例4〜8
実施例4〜8に、各種の有機溶媒を用いて実施例1〜3と同様に混合液の処理を行った後、物性値の測定用サンプルを調製して測定した。
図2は、1−メトキシ−2−プロパノール、2−ブタノール、アセトン、1−エトキシ−2−プロパノール、アセトニトリルを用いて作製した多孔質シリカ粉末についてのBJH法による細孔径分布を示す。
比較例1〜3
有機溶媒の種類以外は実施例と同様に混合液の処理を行った後、物性値の測定用サンプルを調製して測定した。
表1に、実施例1〜8及び比較例1〜3のピーク細孔径、全細孔容積の測定結果を示す。
本発明は、吸湿材、吸着材、光学用機能材などに利用される、ピーク細孔径が5nmを超え15nm以下の範囲で特定の細孔径に制御された多孔質シリカ被膜及び粉末(粉末前駆体を含む)を形成するための塗布液の製造に利用することができる。
有機溶媒として1−メトキシ−2−プロパノールを用いて作製した多孔質シカ粉末についての窒素吸脱着等温線図の例を示す。 有機溶媒として、1−メトキシ−2−プロパノール、2−ブタノール、アセトン、1−エトキシ−2−プロパノール、アセトニトリルを用いて作製した多孔質シリカ粉末についてのBJH法による細孔径分布を示す。

Claims (2)

  1. 式1で示される化合物及び非プロトン性極性溶媒から選ばれる少なくとも1種である有機溶媒、シリカ源、ヒドロキシケトン誘導体(あるいはヒドロキシアルデヒド誘導体)、ヒドロキシカルボン誘導体、アリルアルコール誘導体およびヒドロキシニトリル誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であるゾル−ゲル反応触媒、及び水から構成され、実質的に鋳型(テンプレート)物質を含まない反応溶液を調製してゾル−ゲル反応をさせてなる多孔質シリカ被膜及び粉末(粉末前駆体を含む)形成用塗布液の製造方法。
    (式1で、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基ある。)
  2. 前記シリカ源が、式2で示されるアルコキシシランの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質シリカ被膜及び粉末(粉末前駆体を含む)形成用塗布液の製造方法。
    (式2で、Rは炭化水素基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、kは0〜3のいずれかの数値である)
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