JP2007245409A - 意匠性積層シート、および、意匠性積層シート被覆金属板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材層10、接着剤層20、および表層30の少なくとも3層がこの順で積層されている積層シート100であって、基材層がポリエステル系樹脂を主成分とし、顔料を含み、接着剤層側の表面にエンボスによる凹凸意匠を有する、無配向の層であり、接着剤層が紫外線硬化型接着剤、および、イソシアネート末端のウレタンプレポリマーを所定の割合で含む混合組成物を主成分としてなり、当該硬化物が所定の貯蔵弾性率を有し、その厚みが基材層のエンボス凸部を完全に埋める以上の厚みを有する層であり、表層がポリエステル系樹脂を主成分としてなる、透明延伸層である。
【選択図】図1
Description
図1は、本発明の意匠性積層シート100a〜100fおよび意匠性積層シート被覆金属板200の層構成を示した模式図である。
基材層10は、ポリエステル系樹脂を主成分とする層であって、顔料を含み、また、以下において説明する接着剤層20と積層される側の表面にエンボスによる凹凸意匠を有し、無配向で厚みが100μm以上、300μm以下の層である。
接着剤層20は、紫外線硬化型接着剤を50質量%以上96質量%以下、イソシアネート末端のウレタンプレポリマーを4質量%以上50質量%以下の割合で含む混合組成物を主成分としてなり、該混合組成物の硬化物についての動的粘弾性引張り法10Hzでの貯蔵弾性率が、20℃で、2.0×108Pa以上、2.0×109Pa以下、かつ100℃で、2.0×106Pa以上、4.0×107Pa以下であり、その厚みが、前記基材層10のエンボス凸部が完全に埋まる厚み以上の厚みを有する層である。
4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等があり、市販品としては、ユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB社製)等が挙げられる。これらの光増感剤は、紫外線硬化型接着剤の質量を基準(100質量%)として、0.001〜10質量%を配合することが好ましい。
レングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールグリセリン、トリメチロールプロパン、グルコース、ソルビトール、シュークローズ等の低分子ポリオールも挙げられる。
表層30が付与される目的は、鏡面外観と呼ばれる平滑性の高い意匠性外観を得るため、および、表層30と接着剤層20を通して、基材層10に付与されたエンボス意匠が視認されることによる深み感と立体感のある意匠(内部エンボス構成)を得るためである。
図1(b)に層構成を示したように、本発明の意匠性積層シート100においては、接着剤層20と基材層10との間に、印刷層40を形成することができる。印刷層40は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等の公知の印刷方法で施される。印刷層40の絵柄は、任意であり、例えば、石目調、木目調、あるいは幾何学模様、抽象模様等を挙げることができる。印刷は、部分印刷でも全面ベタ印刷でも良く、部分印刷層とベタ印刷層の両方が施されていても良い。また、着色層である基材層10が、光輝性顔料が添加された第1基材層12を有さない場合は、印刷層40に光輝性顔料を添加してもよく、また、図1(c)に層構成を示したように、光輝性顔料を含む印刷インクにより形成された第1印刷層42と、一般的な着色顔料を含む印刷インクにより形成された第2印刷層44の2層からなる構成としてもよい。このように、印刷層に光輝性顔料を添加することによって、内部エンボスの視認性を向上させることができる。図1(c)においては、第2印刷層44の上に第1印刷層42を積層する構成が示されており、この構成が内部エンボスの視認性を向上させる点から基本構成である。しかし、得ようとする印刷意匠によっては、第1印刷層42の上に第2印刷層44を積層する構成としてもよい。
次に、本発明の意匠性積層シート100および意匠性積層シート被覆金属板200の製造方法について説明する。基材層10の製膜方法としては公知の方法、例えばTダイを用いる押出キャスト法やインフレーション法などを採用することができ、特に限定されるものではないが、シートの製膜性や安定生産性などの面からTダイを用いる押出キャスト法が好ましい。
ル350、冷却ロール360へと送られる。
(接着層20を構成する混合組成物の硬化物についての貯蔵弾性率測定)
岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターにより、接着剤層20の硬化後の樹脂組成物に関し測定を行った。測定方法は通常の引張り法・温度分散測定に順じ、−100℃から3℃/分で昇温し、200℃迄の測定を実施した後、20℃、および100℃における貯蔵弾性率を読み取った。なお、接着剤層20の硬化物の作製は、表面に離型性が付与された2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、接着剤層20の各組成物を混合して滴下し、さらにその上にも離型性を付与した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを被せて、ハンドロールで押圧しながら塗り広げて厚みを均一化し、次いで、紫外線照射装置により硬化させ、さらに23℃で24時間の養生をした後、離型性のPETフィルム上から剥がしとり測定用サンプルとした。測定サンプルの厚みは約100μmであった。
意匠性積層シート被覆金属板200の樹脂層を平板の状態で目視により観察した。良好な表面の平滑性が得られているものを「○」、多少表面に波打ち等の荒れが認められ平滑性に劣るものを「△」、著しい表面の波打ちや皺入り等で全く表面の平滑感が得られていないものを「×」として評価した。
40mm×60mmの意匠性積層シート被覆金属板200に「JIS Z−2248」で規定されるV曲げ法の評価を行った。V曲げ法では、図4(a)に全体図を示したスクリュー曲げ試験装置400を使用する。スクリュー曲げ試験装置400は、上型昇降用ハンドル410、上型昇降スクリュー420、上型設置部分430および下型設置部分440を備えている。上型昇降スクリュー420上部に設けられた上型昇降用ハンドル410を手動で回すことによって、上型昇降スクリュー420が上下方向に移動し、それに伴って、上型昇降スクリュー420の下端に設けられた上型設置部分430が上下方向に移動する。また、図4(b)にV曲げ部分の拡大図を示したように、上型設置部分430には、V曲げ用上型450が設けられ、下型設置部分440には、V曲げ用下型460が設けられている。そして、上型昇降用ハンドル410を操作することによって、上型設置部分430に設けたV曲げ用上型450を下方向に移動し、試験片480をV曲げ用下型460との間で挟み込むことによって、試験片480をV型に変形させる。試験片は樹脂被覆面が折り曲げ後に外表面となるように設置され、該試験装置は0℃に保たれた恒温室内に置かれており、測定試験片も0℃で1時間以上保った後に予備曲げ、およびスクリュー密着曲げに供する。
60mm×60mmの意匠性積層シート被覆金属板200に「JIS K−6744」で規定されるエリクセン試験装置を用いて、意匠性積層シート100被覆側が凸になるようにして6mmの張り出し加工を施した後、沸騰水中に3時間浸漬し、樹脂層の状態を目視で観察した。その結果、全く変化のなかったものを「○」、樹脂層の層間にわずかに剥離が認められるものや、若干表面に荒れが出たものを「△」、著しい層間剥離を生じたものや、樹脂層に著しい膨れ等の変形が生じたものを「×」として評価した。
20mm×100mmの意匠性積層シート被覆金属板200を試験片として、「JIS Z−0237・粘着テープ、粘着シート試験方法−試験片に対する180度引き剥がし粘着力」に準拠した剥離強度測定を測定幅20mmで行い、接着剤層20を介在した表層30と基材層10との間の接着力を評価した。接着力が10N/20mm以上で、充分な接着力があると判断されたものを「○」、接着力が5N/20mmより大きく10N/20mm未満で、相対的に接着力が低いが実用上は支障ないと判断されたものを「△」、接着力が5N/20mm以下で接着力が不充分と判断されたものを「×」として評価した。
20mm×100mmの意匠性積層シート被覆金属板200を試験片として、「JIS Z−0237・粘着テープ、粘着シート試験方法−試験片に対する180度引き剥がし粘着力」に準拠した剥離強度測定を測定幅20mmで行い、積層シートと基材金属間の接着力を評価した。接着力が40N/20mm以上で、充分な接着力があると判断されたものを「○」、接着力が20N/20mmより大きく40N/20mm未満で、相対的に接着力が低いが実用上は支障ないと判断されたものを「△」、接着力が20N/20mm以下で接着力が不充分と判断されたものを「×」として評価した。
2台の二軸混練押出機を用いて、フィードブロック方式による共押出し製膜法により、表1に示す樹脂組成で、総厚み200μmの2層より成るポリエステル系樹脂を主成分とするシート(C−1〜C−12)を製膜した。2層の内訳は、厚み150μmの隠蔽層(第2基材層14)と、厚み50μmの光輝層(第1基材層12)であり、各層の樹脂組成は同一である。隠蔽層に関しては、着色顔料として、チタン白およびチタン黄を合計16質量部含み、光輝層に関しては、光輝性顔料として、粒子径が5〜15μmのパールマイカ顔料を3質量部含んでいる(それぞれ、樹脂成分の合計量を100質量部とした値である。)。
「イースターPET−G・6763」は、イーストマンケミカル・カンパニー社製、ジカルボン酸成分はテレフタル酸であり、ジオール成分の約30モル%が1.4−シクロヘキサンジメタノール、約70モル%がエチレングリコールである実質的に非晶性である共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂である。ガラス転移温度は78℃、融点は観察されない。
「PCTG・5445」は、イ−ストマン・ケミカル・カンパニー社製、ジカルボン酸成分はテレフタル酸であり、ジオール成分の約65モル%が1.4−シクロヘキサンジメタノール、約35モル%がエチレングリコールである実質的に非晶性である共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂である。ガラス転移温度は86℃、融点は観察されない。
「ノバデュラン5020S」は、三菱エンジニアリングプラスチックス社製のポリブチレンテレフタレート(ホモPBT)樹脂である。固有粘度が1.2の押出製膜用標準グレードであり、融点は225℃である。
「コルテラCP509200」は、シェル社製のポリトリメチレンテレフタレート(ホモPTT)樹脂である。融点は225℃である。
「ニューフロンティアR1213」は、第一工業製薬社製の無黄変タイプ紫外線硬化型接着剤であり、ウレタンアクリレート組成物を約50質量%、単官能アクリレートモノマーを50質量%含有しており、Tgは−39℃である。
「ニューフロンティアR1303」は、第一工業製薬社製の無黄変タイプ紫外線硬化型接着剤であり、ウレタンアクリレート組成物を約60質量%、単官能アクリレートモノマーを40質量%含有しており、Tgは20℃である。
「ニューフロンティアR1304」は、第一工業製薬社製の無黄変タイプ紫外線硬化型接着剤であり、ウレタンアクリレート組成物を65〜75質量%、アルカンジオールアクリレートを25〜35質量%含有しており、Tgは60℃である。
「アートレジンNPC18」は、根上工業社製の無黄変タイプ紫外線硬化型接着剤であり、紫外線硬化型ウレタンアクリレート組成物を100質量%含有しており、Tgは−15℃である。
基材層10としてC−6を用いて、接着剤層20として表2に示す接着剤組成物を用いて、意匠性積層シート100を作製した。具体的な製造方法としては、エンボスが付与された基材層10の表面に対し、ダイコーターを用いて連続的に接着剤層20の接着剤組成物を塗布すると同時に、表層30の二軸延伸ポリエステルフィルムを連続的に供給し、ロールギャップを適宜調整可能な一対のシリコーンゴムロールの間を通すことで、基材層10のエンボス凸部が表層30に直接接触することのない厚みの接着剤層20を介在させた状態で表層30を積層一体化し、その直後に配置された紫外線照射装置により接着剤層20の硬化処理を施して意匠性積層シート100を作製した。なお、紫外線照射装置の照射強度は全ての実施例および比較例において同一である。
基材層10として表1に示すものを用いて、接着剤層20として実施例1と同一の接着剤組成物を用いて、上記と同様にして意匠性積層シート100を作製した。
ポリ塩化ビニル被覆金属板用として一般的に用いられているポリエステル系接着剤を、亜鉛めっき鋼板(厚み:0.45mm)の表面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度になるように塗布し、次いで熱風加熱炉および赤外線ヒーターにより塗布面の乾燥および加熱を行い、鋼板の表面温度を240℃、および245℃に設定し、直ちにロールラミネーターを用いて、上記で作製した意匠性積層シート100を被覆、空冷冷却することにより意匠性積層シート被覆金属板200を作製した。鋼板50とのラミネートに用いた接着剤の種類、塗布条件は全ての実施例および比較例において同一である。得られた金属板に対して、上記した各項目について評価した。評価結果を表3および表4に示した。
表3、および表4より以下の評価結果が得られた。
比較例1は、接着剤層20の接着剤組成として20℃と100℃の貯蔵弾性率が本発明の範囲より、それぞれ高いものを用いた場合であり、低温加工性が悪く、表層30である二軸延伸PETフィルムが折り曲げ加工部分で割れる結果となった。
20 接着剤層
30 表層
40 印刷層
15 上層
16 中層
17 下層
50 金属板
60 接着剤
100 意匠性積層シート
200 意匠性積層シート被覆金属板
300 エンボス付与機
400 スクリュー曲げ試験装置
Claims (11)
- 基材層、接着剤層、および表層の少なくとも3層を有し、これらの層がこの順で積層されている積層シートであって、
前記基材層が、ポリエステル系樹脂を主成分とし、顔料を含み、前記接着剤層と積層される側の表面にエンボスによる凹凸意匠を有し、無配向で厚みが100μm以上300μm以下の層であり、
前記接着剤層が、紫外線硬化型接着剤を50質量%以上96質量%以下、イソシアネート末端のウレタンプレポリマーを4質量%以上50質量%以下の割合で含む混合組成物を主成分としてなり、該混合組成物の硬化物についての動的粘弾性引張り法10Hzでの貯蔵弾性率が、20℃で、2.0×108Pa以上、2.0×109Pa以下、かつ100℃で、2.0×106Pa以上、4.0×107Pa以下であり、その厚みが、前記基材層のエンボス凸部が完全に埋まる厚み以上の厚みを有する層であり、
前記表層が、ポリエステル系樹脂を主成分としてなる、透明延伸層である、
意匠性積層シート。 - 前記基材層を構成するポリエステル系樹脂が、該ポリエステル系樹脂全体の質量を100質量%として、20質量%以上80質量%以下のポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂、および/または、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)系樹脂と、残りの成分である20質量%以上80質量%以下の実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂との混合物である、請求項1に記載の意匠性積層シート。
- 前記実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂が、テレフタル酸、またはジメチルテレフタル酸をジカルボン酸成分の主体とし、ジオール成分全体を100モル%として、ジオール成分の20モル%以上80モル%以下を1.4−シクロヘキサンジメタノール(1.4−CHDM)とし、残りの成分の20モル%以上80モル%以下をエチレングリコールとする共重合ポリエステルである、請求項2に記載の意匠性積層シート。
- 前記接着剤層と前記基材層との間に、印刷層を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の意匠性積層シート。
- 前記印刷層が、光輝性顔料を含む印刷インクにより形成された第1印刷層と、一般的な着色顔料を含む印刷インクにより形成された第2印刷層の少なくとも2層よりなる、請求項4に記載の意匠性積層シート。
- 前記基材層が、前記接着剤層側に面し光輝性顔料を含む第1基材層と、該接着剤層側とは反対側に位置し、隠蔽力のある着色顔料を含む第2基材層の少なくとも2層よりなる、請求項1〜5のいずれかに記載の意匠性積層シート。
- 前記接着剤層と前記第1基材層との間、および/または、前記第1基材層と前記第2基材層との間に、印刷層を有する、請求項6に記載の意匠性積層シート。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の意匠性積層シートおよび金属板を有し、前記意匠性積層シートの基材層側の表面が金属板に積層されている、意匠性積層シート被覆金属板。
- 請求項8に記載の意匠性積層シート被覆金属板を用いた、ユニットバス部材。
- 請求項8に記載の意匠性積層シート被覆金属板を用いた、ドア材。
- 請求項8に記載の意匠性積層シート被覆金属板を用いた、建築内装材。
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