JP5051637B2 - 高意匠性樹脂シート被覆金属板の製造方法 - Google Patents

高意匠性樹脂シート被覆金属板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高意匠性樹脂シートの製造方法に関する。さらに詳しくは、建築内装材用途などに使用される高意匠性樹脂シート被覆金属板の製造方法に関する。
従来、建築内装材用途に使用され意匠性樹脂シート被覆金属板としては、いわゆる鏡面意匠タイプのものと、表面に凹凸状の柄模様を形成したエンボス意匠と呼ばれるタイプのものある。鏡面意匠タイプのものは、金属板表面を、顔料によって着色された軟質ポリ塩化ビニル樹脂(以下、「PVC」と略す。)などの樹脂シートの上に印刷柄を施し、さらにその上に透明性、平滑性に優れた樹脂フィルムで被覆した構造のものである。また、エンボス意匠タイプのものは、金属板表面を、表面にエンボスを施した単層の軟質PVCシートなどの樹脂シートで被覆したものである。
近年、建築内装材用途に使用される意匠性樹脂シート被覆金属板は、より優れた意匠性、例えば、目視した際に深み感、立体感の印象を与える(または感じる)意匠が求められている。深み感、立体感など印象を与えることができる構造の被覆樹脂シート層は、透明または半透明で、平滑性に優れた表面の被覆樹脂シート層を通して、被覆樹脂シート層の内部(金属板側)に存在する凹凸状柄模様(またはエンボス模様)が視認できる構造とされている。被覆樹脂シート層の内部(金属板側)に存在する凹凸状柄模様は、内部エンボスと呼称されることがある。
内部エンボスが施された意匠性樹脂シート被覆金属板に関しては、特許文献1に記載されているように、表面にエンボスを施した着色軟質PVCシートの凹凸面に、透明なPVCペーストをコートする方法、特許文献2に記載されているように、エンボス加工した熱可塑性樹脂シートの表面に、無溶剤タイプの硬化型樹脂を充填硬化させる方法、特許文献3に記載されているように、熱可塑性樹脂シートのエンボスを付与した表面に、ドライラミネート接着剤により透明な熱可塑性樹脂層を形成したもの、特許文献4や特許文献5に記載されているように、表面にエンボスおよび印刷を施した着色軟質PVCシートの凹凸面と透明な表層との間に、紫外線硬化型接着剤を充填し、更に表層を透明なフィルムで被覆するなどの方法、などが提案されている。
しかし、特許文献1に記載の化粧シートでは、エンボスを施した軟質PVCシートの上に、更にPVCペーストを塗布した後、このペーストをゲル化させるための焼付け処理工程が必要である。同時に、表面を平滑化するために、加熱下で一対の加圧ロール間を通過させるなどの処理が必要である。また、軟質PVCのエンボス耐熱性は、通常の使用環境下においては充分であるが、本来的に耐熱性はそれほど高くない。このため、上記の加熱・加圧処理の間にエンボス戻り(形成したエンボスが、平面状に変化すること)が起こり、最終的に得られる化粧シートに、充分な深み感と立体感のある内部エンボス意匠を施すのは難しい。また、近年、内装建材として使用されるものは、揮発性有機化合物(VOC)、内分泌撹乱物質の懸念のある材料を使用することは制限を受ける状況にあり、このような観点から、軟質PVCを使用した製品は好ましくない。
特許文献2に記載の方法により得られた製品は、無溶剤型の二液硬化型樹脂層が最表面となることから、この層の耐傷入り性を良好なものとする必要がある。また、樹脂被覆金属板としての二次加工性、特に折り曲げ加工性の際に剥離、亀裂などが生じないようにする必要があることから、樹脂被覆金属板の用途に使用するには、特殊な接着剤を選択する必要があり、その結果コスト高になるのは否めない。また、特殊な硬化剤を使用するので、硬化するまで長時間かかり生産性が極めて悪い。特許文献3に記載の方法によれば、最表層に熱可塑性樹脂フィルムを使用するので、二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムなど表層を適宜選択することによって、樹脂シート被覆金属板としての耐傷入り性、加工性の双方を向上させることができる。しかし、使用する接着剤はドライラミネート用接着剤であり、この接着剤は溶剤系であるため厚塗りすることはできず、従って、深い内部エンボス意匠を形成できないという欠点があった。
特許文献4、5に記載の方法では、接着剤として、紫外線硬化型のものを使用することを必須としている。紫外線硬化型接着剤を使用したものは、接着剤の物性に起因して、樹脂被覆金属板としての加工性(柔軟性)と、ユニットバス用途の評価項目として一般的に含まれる沸騰水浸漬試験とを、同時に満足(合格)する特性を発揮することは困難であった。すなわち、紫外線硬化型接着剤として、硬化した後の硬化物の物性が硬いものを用いた場合は、樹脂被覆金属板は優れた加工性を発揮せず、硬化した後の硬化物の物性が柔軟なものを用いた場合は、沸騰水浸漬試験に合格できないという欠点があった。
紫外線硬化型接着剤に代えて、通常の溶剤系の硬化型接着剤を使用した場合は、乾燥後の接着剤層の厚さが薄くなるので厚塗りが困難であり、深いエンボスを埋めて、さらに透明な表層の表面に平滑性を得るに充分な厚さの塗布面とすることができなかった。また、無溶剤系のイソシアネート硬化型接着剤では、接着剤塗布後の硬化に長時間がかかるため、接着剤層が硬化するまでの間、透明な表層と着色樹脂層との間にズレが生じないように、または接着剤層に外力による窪みなどの変形が生じないようにする工夫を要するなど、工程上の問題も発生するため、実用的な生産性と、優れた性能を発揮するものが得られていなかった。さらに無溶剤系の接着剤は、一般的に粘度が高く、接着剤の主成分と硬化剤とを混合攪拌する際に気泡を巻き込み易く、この気泡が接着剤層に残り、高品質の製品が得られないなどの欠点があった。
特開平1−141050号公報 特開平1−275138号公報 特許2960173号公報 特許3384508号公報 特許3337176号公報
本発明者らは、上記状況に鑑み、従来技術の上記諸欠点を排除した高意匠性樹脂シート被覆金属板技術を提供すべく、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明の目的は、次のとおりである。
1.目視した際に深み感、立体感の印象を与える高意匠性樹脂シート被覆金属板の製造方法を提供すること。
2.生産性に優れ、接着剤層への気泡の巻き込み(または抱き込み)がなく、高品質の高意匠性樹脂シート被覆金属板の製造方法を提供すること。
なお、本発明において「深み感、立体感」とは、樹脂シート被覆金属板を種々の角度から目視した際に、内部エンボスの深さ、樹脂層の屈折率、虹彩、接着剤層の厚さ、透明な表面樹脂シートの厚さなどの組合せにより、内部エンボスが実際の寸法よりも深く、強調されて認識されることをいう。
上記目的を達成するために、本願発明では、金属板(A)側から、着色剤層(B)、透光性のある虹彩色層(C)、アクリレート樹脂層を主体とし、粘度が500cp〜100万cpの透明な接着剤層(D)、および透明二軸延伸ポリエステル系樹脂シート(E)が順次積層されてなり、着色剤層(B)と透光性のある虹彩色層(C)とが一体化され、透光性のある虹彩色層(C)側の上面に、最大高さRaが50〜200μmのエンボスが形成されてなる高意匠性樹脂シート被覆金属板製造方法において、着色剤層(B)と透光性のある虹彩色層(C)とが積層された金属板(A)の透光性のある虹彩色層(C)上面に、アクリレート樹脂を主体とする透明な樹脂からなる接着剤層(D)の液だまり(バンク)を形成しながら、一対の加圧ロールによって加圧し、透明二軸延伸ポリエステル系樹脂シート(E)とを連続して積層したのち、直ちに接着剤層(D)を光硬化させてなることを特徴とする、高意匠性樹脂シート被覆金属板の製造方法を提供する。
本発明は、以下詳細に説明するとおりであり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.本発明に係る製造方法で得られる高意匠性樹脂シート被覆金属板は、内部エンボスを形成する樹脂シート層に透光性のある虹彩色を配合しているので、目視する角度により反射光が違って認識されるので、目視した際に深み感、立体感の印象を与える。
2.本発明に係る製造方法で得られる高意匠性樹脂シート被覆金属板は、二次加工する際に、金属板と樹脂シートとの界面が剥離することがなく、被覆樹脂シートに亀裂が生ずることもない。
3.本発明に係る製造方法で得られた高意匠性樹脂シート被覆金属板は、生産性に優れ、接着剤層への気泡の巻き込みがなく、品質が優れている。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に係る高意匠性樹脂シート被覆金属板の製造方法において、金属板(A)(以下、単に金属板Aと記載することがある。)とは、その表面目視によって高意匠性が認識できる多層樹脂シート(S層)によって被覆されているものをいう。本発明において金属板Aは、高意匠性を認識させる多層樹脂シート(S層)が積層されるものである。金属板としては、従来から樹脂シート被覆用金属板として使用されているものが挙げられる。具体的には、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、熔融亜鉛・アルミニウム合金メッキ鋼板、熔融亜鉛・アルミニウム・マグネシウム合金メッキ鋼板、スズメッキ鋼板、ティンフリースチール、ステンレス鋼板などの各種鋼板、アルミニウム系合金板、ニッケル系合金板、チタン系合金板などの合金板が挙げられる。金属板の厚さは、樹脂シート被覆金属板の用途により変わり、通常0.1〜10mmの範囲とされる。ユニットバスの用途では、厚さが0.3〜0.8mmのものが使用される。
上記金属板の表面を被覆する多層樹脂層(S層)は、着色剤層(B)(以下、単にB層と記載することがある。)、透光性のある虹彩色層(C)(以下、単にC層と記載することがある。)、アクリレート樹脂層を主体とする透明な接着剤層(D)(以下、単にD層と記載することがある)、および、透明二軸延伸ポリエステル系樹脂シート(E)(以下、単にE層と記載することがある。)の順に含む多層樹脂層で構成され、着色剤層(B)が金属板(A)側に配置される。樹脂シートとは、厚さが薄く、通常はその厚さが長さと幅の割には小さく平らな製品をいう。シートとフィルムとの境界は明確ではないので、本発明でシートとはフィルムも含む意味である。
着色剤層(B)は、透光性のある虹彩色層(C)と積層一体化された状態で、接着剤層(D)と接触する側の表面にエンボスによる凹凸状模様が形成され、最終的に得られる樹脂シート被覆金属板に、高意匠性を付与する。B層は、熱可塑性樹脂で構成し、透光性のある虹彩色層(C)との密着性がよく、エンボス加工による凹凸状模様の付与が容易であり、意匠性樹脂シート被覆金属板としての二次加工性が確保され、沸騰水浸漬時に樹脂シート(S層)が変形するおそれがないものであれば制限がない。このような熱可塑性樹脂としては、PVCまたは無配向のポリエステル系樹脂が挙げられる。PVCシートは、硬質、可塑剤が配合された半硬質および軟質の塩化ビニル樹脂組成物より製造されたものをいう。可塑剤としては、ジオクチルフタレート(DOP)、ジベンジルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジブチルフマレートなどが挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエチレンテレフタレート・エチレンイソフタレート共重合体(PETI)、ポリブチレンテレフタレートイソフタレート共重合体(PBTI)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリシクロヘキサンジメタノール−コ−エチレンテレフタレート(PETG)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、およびこれらの樹脂を2種以上混合したブレンド物などが挙げられる。
B層は、被覆される金属板Aを隠蔽し、一体化されたB層とC層とに形成されたエンボス模様の深み感、立体感を際立たせた意匠性を付与する目的で、顔料が配合される(含有させる)。顔料は、上記目的のために一般的に使用されるものでよく、最終的に得られる意匠性樹脂シート被覆金属板の用途に応じて、選ぶことができる。白色系に着色する場合には、隠蔽効果が高く、かつ、積層シートの加工性に与える影響が少ない、粒径が微細な酸化チタンが好ましい。また、白色系の有彩色の着色では、この酸化チタンを主成分とし、色調を調整するために有彩色の有機、無機の顔料を少量添加することもできる。エンボス意匠の視認性を向上させる目的で、パール顔料や光輝性顔料などを添加することもできる。B層を構成する樹脂への顔料の配合量は、多すぎると強度が不十分となるので、樹脂を基準として50質量%以下とするのが好ましい。より好ましいのは40質量%以下、特に好ましいのは30質量%以下である。
B層を構成する樹脂には、顔料のほか、本発明の目的を損なわない範囲で、各種の樹脂添加剤を適宜な量、配合することができる。樹脂添加剤としては、燐系化合物、フェノール系化合物などの酸化防止剤、ラクトン系化合物、フェノールアクリレート系化合物などのプロセス安定剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、各種加工助剤、金属不活化剤、滑剤、抗菌・防かび剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料分散性改良剤、充填・増量剤などが挙げられる。さらに、B層の基体樹脂がポリエステル系樹脂の場合には、カルボジイミド系、エポキシ系、オキサゾリン系などの末端カルボン酸封止剤、または加水分解防止剤などを配合することもできる。
B層に形成するエンボス模様の深み感や立体感をより強く発揮させるには、B層の厚さが大きい程、より深いエンボス柄を転写できるが、100〜300μmの範囲で選ぶのが好ましい。厚さが100μm未満の場合は、B層に付与できるエンボスの種類が制限され、立体感や深み感に富むエンボス柄を転写することが難しく、結果として積層シートに深み感や立体感を付与することが難しくなる。厚さが300μmを超える場合は、意匠性樹脂シート被覆金属板の二次加工性が悪くなるばかりでなく、またコスト的に不利である。
B層の表面には、印刷を施すこともできる。印刷方法には特に制限がなく、従来から知られている印刷方法、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷などによることができる。印刷する際の印刷柄は、任意であり、例えば、石目調、木目調、幾何学模様、抽象模様などを挙げることができる。印刷は、全面印刷でも部分印刷でもよく、全面印刷と部分印刷との組合せでもよい。印刷面は、(1)B層の表面{この場合の印刷面は、B層と後記する透光性のある虹彩色層(C)との界面に位置する。}、(2)C層の表面{この場合の印刷面は、後記する透光性のある虹彩色層(C)C層と後記するD層との界面に位置する。}、(3)後記する透明二軸延伸ポリエステル系樹脂層(E)の裏面{この場合の印刷面は、後記する接着剤層(D)と後記する透明二軸延伸ポリエステル系樹脂層(E)との間に位置する。}のいずれかに、設けることができる。印刷面は、(1)〜(3)の二箇所に設けることもできる。
透光性のある虹彩色層(C)は、上記B層と一体化されて、エンボス模様の深み感、立体感を際立たせ、視認性、視覚性を向上させるように機能する。透光性のある虹彩色層(C)は、(a)透明な熱可塑性樹脂を基体とし、この基体樹脂に光輝性顔料を配合する方法、(b)JIS K0062に準拠して測定される屈折率(n)の差が0.01〜0.1の間にある複数の樹脂の混合物をシート化する方法、または、(c)屈折率(n)の差が0.01〜0.1の間にある複数の透明樹脂薄膜の積層体とする方法、のいずれかによって調製できる。虹彩色とは、干渉色とも呼称される。虹彩色を有するシートは、隠ぺい性が強すぎると、B層やその表面に印刷を施した場合には、その印刷層が視認できなくなるので、透光性を有するようにするのが好ましい。透光性は、意匠性樹脂シート被覆金属板の用途により異なるので、用途に応じて適宜選ぶのが好ましい。例えば、内装建材用途の意匠性樹脂シート被覆金属板では、JIS K5600−4−1:1999「塗料一般試験方法−第4部:有効塗膜の視覚特性−第1節:隠ぺい力(淡彩色塗料用)」に準拠して測定した隠ぺい率が、0.7以下が好ましい。
C層を構成する樹脂は、上記B層との密着性がよいものであればよく、同一の樹脂でなくてもよい。C層は、エンボス加工による凹凸状模様の付与が容易であり、意匠性樹脂シート被覆金属板としての二次加工性が確保され、沸騰水浸漬時にシートが変形するおそれがないものであれば制限がない。このような熱可塑性樹脂としては、PVC、無配向のポリエステル系樹脂が挙げられ、熱硬化性樹脂であってもよい。C層にも、本発明の目的を損なわない範囲で、各種の樹脂添加剤を適宜な量、配合することができる。具体例は、B層の配合できるとして例示したものと、同じである。
上記(a)方法で使用される光輝性顔料としては、パールマイカ顔料、ガラスフレーク表面をニッケル他の各種金属によって無電解メッキ処理したもの、アルミニウムフレークなどの金属フレーク、アルミニウム箔などの金属箔自体を細かく裁断したもの、エポキシ樹脂などで表面処理を施したアルミニウム箔などの金属箔を細かく裁断したもの、各種金属を無電解メッキ処理した樹脂シートを細かく裁断した顔料などが挙げられる。光輝性顔料をC層が虹彩色を発揮するのは、この光輝性顔料として代表的なパールマイカ顔料で説明する。パールマイカ顔料は、屈折率の低いマイカ顔料の表層に、屈折率(N)の高い酸化チタン層を被覆した構造の顔料であり、この顔料がC層の中で平行配向して、光を一定方向に規則的な多重反射させることによって光輝性を発揮し、この規則的な多重反射性により、エンボス模様が視覚的に強調されて、視認性が向上するものと推測される。光輝性顔料として市販されている商品があり、アルティミカ(日本光研社製)、クリスタルスター(東洋アルミニウム社製)、メタシャイン(日本板硝子社製)などが挙げられる。
上記(b)および(c)の方法では、二種類の透明樹脂の屈折率(n)の差によって、二種類の樹脂の界面で反射した光が虹彩状に視認される。樹脂の組合せとしては、アクリル系樹脂(n=1.49)とポリカーボネート系樹脂(n=1.586)、アクリル系樹脂とポリエステル系樹脂(PETGでnは1.569)、ポリオレフィン系樹脂(PPでnは1.49)とポリエステル樹脂などの組合せが挙げられる。
C層に形成するエンボス模様の深み感や立体感をより強く発現させるには、B層とC層との合計の厚さが大きい程、より深いエンボス柄を転写できる。B層の厚さは上記のとおりであり、C層の厚さは5〜200μmの範囲で選ぶのが好ましい。C層の厚さが5μm未満の場合は、付与することができるエンボスの種類が制限され、立体感や深み感に富むエンボス柄を転写することが難しくなり、結果として積層シートに深みと、充分な虹彩色の発現が難しくなる。厚さが200μmを超える場合は、印刷柄の視認が困難となり易く、
意匠性樹脂シート被覆金属板の二次加工性が悪くなり、またコスト的に不利である。
B層とC層と積層一体化するには、特に限定されるものではなく、従来から知られている方法、例えば、B層とC層とを形成する樹脂を二台の押出機で別々に溶融軟化させ、Tダイ内で積層させて押出してシート化する共押出キャスト法、Tダイに代えてインフレーションダイ内で積層させるインフレーション法などで可能である。シート化の安定生産性の観点から、Tダイを使用する共押出キャスト法が好ましい。B層とC層と一体化した積層体に、エンボス模様を付与する方法は、(1)Tダイから押出された直後のシートを、エンボス模様が刻印されたキャスティングロールによって、二層によって構成される樹脂シートに直接エンボス模様を付与する方法、(2)B層とC層とが積層一体化されたシートを調製し、このシートを再加熱・溶融させて、エンボスロールにより圧着してエンボス模様を付与する方法などが挙げられる。中でも、上記(1)の方法が好適である。
C層の表面(B層と接触しない面)には、印刷を施すことができる。C層の表面に印刷層を付与する場合は、上記(2)の方法であらかじめ調製したシートを後工程でエンボス柄を付与する方法が好ましく、例えば、特開2006−95892号公報に記載されるような方法でエンボス模様を付与するのが、小ロット対応性の点から特に好ましい。二層によって構成される樹脂シートに付与されるエンボス模様は、最大高さRaが50〜200μmの範囲で選ぶものとする。Raが50μm未満であると、内部エンボス模様の視覚性が向上しない。Raが200μmを超えると、エンボスロール表面への刻説作業が困難となり、このエンボス面の樹脂層への転写が困難となり、転写できたとしてもエンボス戻りが生じ易く、好ましくない。また、C層とB層が積層されたシートとして、非常に厚さのあるものが必要となり、その結果、樹脂シート被覆金属板としての良好な加工性が得られなくなる恐れもある。上記範囲で特に好ましいのは、80〜150μmの範囲である。
本発明に係る製造方法で得られる高意匠性樹脂シート被覆金属板は、金属板Aの表面に、B層とC層が一体化された二層樹脂シートを積層される。金属板Aに上記二層樹脂シートを積層する方法は、特に制限されるものではなく、金属板Aと上記二層樹脂シートとの間に、熱硬化型接着剤を介在させて接着するのが一般的である。介在させることができる熱硬化性接着剤としては、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤などが挙げられる。中でも、B層がポリエステル系樹脂の場合には、熱硬化型ポリエステル系接着剤が好ましい。具体的な積層方法の例としては、金属板Aにリバースコーター、キスコーターなどの塗布装置を使用して、乾燥後の接着剤膜の厚さが2〜10μm程度になるように、上記の熱硬化型接着剤を塗布する。
次いで、赤外線ヒーターおよび/または熱風加熱炉により、接着剤の塗布面の乾燥および加熱を行い、金属板Aの表面温度を、230℃〜250℃程度の温度に保持しつつ、直ちに一対のラミネートロールを用いて上記二種樹脂シ−トのB層側が接着面となるように被覆、冷却することにより意匠性樹脂シート被覆金属板を得ることができる。
本発明に係る製造方法で得られる高意匠性樹脂シート被覆金属板は、上記の方法で調製した意匠性樹脂シート被覆金属板の表面に、アクリレート樹脂を主体とする透明な接着剤層(D)を介して透明二軸延伸ポリエステル系樹脂シート(E)が形成されたものである。D層は、意匠性樹脂シート被覆金属板の表面に、透明二軸延伸ポリエステル系樹脂シート(E)を接着する機能を果たす。D層が透明であるので、B層とC層が一体化された二層樹脂シートに形成されたエンボス模様を、視認することができる。ここで使用する接着剤が、硬化型接着剤であると、速乾性がなく養生が必要となるなど、生産性が著しく劣るからである。それに対してアクリレート樹脂を主体とする接着剤の場合には、光線を照射することによって硬化できるので、極めて短時間で硬化可能であり、製品の生産性に優れる。
D層は、アクリレート樹脂を主体とする。本発明におけるアクリレート樹脂は、アクリレートオリゴマー、および/または、アクリレートモノマーに由来する成分を含む、アクリレート樹脂をいう。アクリレート系オリゴマーとは、分子内に、アクリロイル基(CH=CHCO−)、またはメタクリロイル基(CH=CCHCO−)を、一個〜数個有する分子量が数百〜千数百の化合物をいう。代表例として、エポキシ、エポキシ化油、ウレタン、ポリエステル、ポリエーテルなどのモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレートおよび多官能の(メタ)アクリレートなどが挙げられる。このようなアクリレート系オリゴマーは市販されており、アロニックス(東亞合成社製)、アートレジン(根上工業社製)、NKオリゴ(新中村化学社製)、ニューフロンティア(第一工業製薬社製)などが挙げられる。
アクリレートモノマーは、単官能、二官能以上の多官能モノマーが挙げられる。単官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、アクリロイルモルフォリン、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ジイソプロピルアクリルアミド、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、2−ヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、二官能(メタ)アクリレートとしてはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。さらに、三官能以上の(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(テトラ)(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
モノマーの選定に際しては、D層に可撓性が要求される場合は、塗布作業上支障のない範囲でモノマーの量を少なめにし、単官能または二官能(メタ)アクリレートモノマーを使用し、架橋度合いが少ない構造とする。また、接着剤層の耐熱性、耐水性などが要求される場合には、塗布作業上支障のない範囲で、モノマーの量を多めにし、三官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを使用することによって、架橋度合いに多い構造とすることができる。なお、単官能モノマー、二官能モノマーと三官能以上のモノマーを混合し、塗布作業と硬化物の物性とを調整することもできる。
D層は、アクリレート系オリゴマーおよび/またはアクリレート系モノマーに由来する成分を主体とするものであり、ここで主体とは、D層を構成する組成物全体の質量を基準として、50〜100質量%の範囲で含有するものをいう。この成分が50質量%より少ないと、初期硬化性が十分に発揮されないために、高意匠性樹脂シート被覆金属板の端面からの接着剤がはみ出す現象、透明二軸延伸ポリエステル系樹脂層(E)の剥離、裁断など後工程での二次加工が、養生が終わるまでできないなどの問題が生起する。なお、アクリレート系オリゴマーおよび/またはアクリレート系モノマーに由来する成分の含有比率は、特に限定されるものではなく、組成物の接着特性、作業性の観点から、アクリレート系オリゴマー30〜70質量%に対して、アクリレート系モノマーに由来する成分70〜30質量%の範囲が好ましい。
D層を形成する接着剤組成物は、これに紫外線感応型光重合開始剤、光増感剤を配合する(または含有させる)し、紫外領域の光線を照射することによって、光重合を生起させ、容易に硬化させることができる。紫外線感応型光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。紫外線感応型光重合開始剤は市販されており、イルガキュア184、651、500、907、CG1369、CG24−61(以上、チバガイギー社製)、ルシリンLR8728(BASF社製)、ダロキュレ1116、1173(以上、メルク社製)、ユベクリルP36(UCB社製)などが入手可能である。また、可視光線で硬化させる場合には、カンファーキノンなどの可視光線増感型光重合開始剤を使用するのが好ましい。
その光増感剤としては、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルなどが挙げられる。光増感剤は市販されており、ユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB社製)などが入手可能である。
光重合開始剤の使用量は、D層を形成する組成物全体の質量を基準として、0.1〜10質量%の範囲で配合することができる。光増感剤を使用する場合の量は、D層を形成する組成物全体の質量を基準として、0.05〜5.0質量%の範囲である。
なお、D層には、アクリレート樹脂以外に、接着剤層の耐久性を調製するための光非硬化性樹脂を添加することができる。光非硬化性樹脂としては、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの中では、特に、ウレタン系樹脂のプレポリマーが、耐湿熱性の観点から好ましい。光非硬化性樹脂を添加量は、D層を形成する組成物全体の質量を基準として、0〜10.0質量%の範囲である。
上記D層を形成する接着剤は、アクリレート系オリゴマーおよび/またはアクリレート系モノマーに由来する成分に、紫外線感応型光重合開始剤、光増感剤、場合により光非硬化性樹脂を所定量秤量し、混合攪拌装置によって均一の混合することによって得られる。D層を形成する接着剤は、その粘度が1000cp〜200万cpに範囲のものが好ましい。粘度が1000cpより低いと、エンボスの凹凸面への接着剤の充填は良好であるが、積層(ラミネート)ロールによりポリエステル系樹脂シートを積層したとき、表面の平滑性が十分でなくなる。一方粘度が200万cpを越えると、常温での接着剤の取扱が困難で、加温する必要があるなど作業性が劣る。粘度の特に好ましい範囲は、1500cp〜100万の範囲である。なお、本発明において接着剤の粘度とは、B型粘度計で、温度25℃で測定した値をいう。
透明二軸延伸ポリエステル系樹脂シート(E)は、本発明に係る製造方法で得られる高意匠性樹脂シート被覆金属板の表面層を構成する。表面にエンボスが施されていない場合は鏡面外観を呈し、透明であるので、D層を通し、積層一体化されたC層とB層とに形成されたエンボス意匠が視認できる。C層とB層は、E層およびD層を通して視認することによって、深み感と立体感のある意匠(内部エンボス模様)として認識できる。
E層を構成するポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエチレンテレフタレート・エチレンイソフタレート共重合体(PETI)、ポリブチレンテレフタレートイソフタレート共重合体(PBTI)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリシクロヘキサンジメタノール−コ−エチレンテレフタレート(PETG)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、およびこれら樹脂2種以上の混合物が挙げられる。
E層は、二軸延伸された透明ポリエステル系樹脂シートによって構成する。中でも、透明性や平滑性、表面の耐傷入り、耐薬品性などの観点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂シートが好適である。このポリエステル系樹脂シートの厚さは、15〜200μmの範囲が好ましい。厚さが15μm未満であると、D層の硬化収縮に伴って生じる平滑性の低下を抑えるのが難しく、200μmを超えると意匠性積層シート被覆金属板としての加工性が低下する。上記範囲で特に好ましいのは、20〜150μmである。二軸延伸ポリエステル系樹脂シートは、市販されているものを入手して使用することができ、高透明グレードや易接着処理グレードのいずれでもよい。また、B層とC層に施されたエンボス意匠の視認を妨げない範囲で、バックプリントと称される裏面印刷を施したものでもよく、同様に艶消し剤などを配合して艶消しした二軸延伸ポリエステル系樹脂シートでもよい。
本発明に係る製造方法で得られた高意匠性樹脂シート被覆金属板の一例の断面図を、図1に示した。図1において、1は金属板A、2は接着剤、3は着色剤層(B)、4は透光性のある虹彩色層(C)、5はエンボス模様、6は接着剤層(D)、7は透明二軸延伸ポリエステル系樹脂シート(E)である。B層の表面、C層の表面、E層の裏面にいずれか一面、またはこれらの中の二面に、印刷を施すことができるのは、前記したとおりである。
次に、本発明に係る製造方法によって高意匠性樹脂シート被覆金属板を製造する例を説明する。接着剤を塗布する対象により、二つの方法がある。その一は、前記した方法で調製した意匠性樹脂シート被覆金属板のC層の表面に、上記接着剤を塗布し、直ちに連続的にE層を積層し、一対の積層ロールの間で押圧して接着剤の量を調節し、直ちに接着剤を光硬化させる方法である。その二は、E層の裏面(D層と接着される面)に、上記接着剤を塗布し、直ちにC層の表面に連続的にE層を積層し、一対の積層ロールの間で押圧して接着剤の量を調節し、直ちに接着剤を光硬化させる方法である。金属板Aに積層されたC層の表面に接着剤を塗布するには、一対の積層ロールの直前で、C層上に滴下法または噴霧法によって塗布することができる。E層の表面に接着剤を塗布するには、ダイコート法、ロールコート法、噴霧法などによることができる。いずれの方法による場合も、積層ロールを閉じた状態の時に、積層される両者の横断面がV字を形成する空間部分に、接着剤の液だまり(バンク)を形成させつつ積層する。この空間部分に接着剤の液だまりを形成することにより、接着剤に巻き込まれる(抱き込まれる)気泡が脱気され、気泡のない高品質の製品とすることができる。
製造工程の概略を、図2に示した。図2において、21は金属板、22は表面にエンボス模様が形成された樹脂層(B層とC層より構成されている)、23は接着剤の液だまり(バンク)、24は透明二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂シート、25、26は積層ロール、27は紫外線照射装置である。接着剤の液だまり23は、積層ロールの前方(積層される金属板などが送り込まれる側)に、側面から目視した構造がV字を形成する部分に形成する。V字を形成する部分に滞留させる接着剤の液だまり23の量は、液だまりの量が少ないと、接着剤に巻き込まれた気泡を脱気させ難く、多過ぎると接着剤のはみ出しが多くなり接着剤の歩留まりが悪くなるので、C層にE層を接着するに必要な量の2〜5容量%多めとするのが好ましい。
意匠性樹脂シート被覆金属板のC層の表面に、D層を介してE層を形成したものは、紫外線照射装置内で、透明二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂シートの上側から紫外線を照射して、D成分を光重合させ硬化させる。光源としては、波長範囲が400〜500nmの光線を発光できるものであればよく、例えば、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、紫外線LED、青色LED、白色LEDなどが挙げられる。
本発明に係る製造方法で得られた高意匠性積層シート被覆金属板は、内部エンボスを形成したB層には着色されており、かつ、C層には透光性のある虹彩色の顔料が配合されているので、目視する角度により反射光が違って認識され、目視した際に深み感、立体感の印象を与える。本発明に係る製造方法で得られた高意匠性積層シート被覆金属板は、二次加工性に優れているので、ドア材、パーティション材、一般壁材、天井材などの建築内装材の用途に好適である。また、沸騰水浸漬試験で問題を生じないことから、ユニットバス壁材、ユニットバス天井材の用途にも使用できる。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例で使用した樹脂、樹脂シート、着色剤、接着剤などの略号、特性は次のとおりである。
(A)金属板:幅が20cm、厚さが0.45mmの亜鉛めっき鋼板である。
(B1)ポリエステル系樹脂:ポリエチレンテレフタレート樹脂(イーストマンケミカル社製、商品名:イースター6763)である。
(B2)PBT樹脂:ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製、ノバデュラン5020S)である。
(C1)顔料1:粒子全体の90質量%が5〜15μmの範囲にあるパールマイカ顔料(ダイヤ工業社製、商品名:DM−635R)である。
(C2)顔料2:平均粒子径が0.35μmの酸化チタン(石原産業社製)である。
(C2)顔料3:平均粒子径が0.23μmの酸化チタン(デュポン社製、商品名:タイピュアR−103)である。
(D1)接着剤1:アクリレート系オリゴマー(第一工業製薬社製、商品名:ニューフロンティアR1304)である。
(D2)接着剤2:アクリレート系オリゴマー(第一工業製薬社製、商品名:ニューフロンティアR1303)である。
(D3)接着剤3:アクリレート系オリゴマー(根上工業社製、商品名:アートレジンUN1255)である。
(D4)接着剤4:希釈剤としてのアクリレート系モノマー(興人社製、銘柄名:ACMO)である。
(E)PETフィルム:幅が20cm、厚さが75μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(帝人・デュポン社製、商品名:テトロンSG2)である。
[実施例1〜実施例2
[B層(着色層)の作成]
PET樹脂を60質量%、PBT樹脂を40質量%よりなる樹脂混合物100質量部、顔料2を16質量部それぞれ秤量し、タンブラーで混合して混合物を得た。この混合物を、先端にTダイを装備した二軸押出機(テクノベル社製、型式:K−25−25T、L/D=25)を使用し、シリンダー温度260℃、回転数20rpm/分)の条件下で混練し、幅が25cm、厚さが150μmのシートを製造した。
[C層(虹彩色層)の作成]
PET樹脂を60質量%、PBT樹脂を40質量%、顔料の種類および量を表−1に示した量(樹脂成分100質量部に対する質量部)それぞれ秤量し、タンブラーで混合して混合物を得た。この混合物を、先端にTダイを装備した二軸押出機(テクノベル社製、型式:K−25−25T、L/D=25)を使用し、シリンダー温度260℃、回転数20rpm/分)の条件下で混練し、幅が25cm、厚さが50μmのシートを製造した。
[エンボスの形成]
上記B層(着色層)とC層(虹彩色層)とを重ね合せ、110℃の温度に調節され、一方のエンボロールに平均粗さ(Ra)が60μmの抽象柄エンボスが刻印された金属ロールを装備した一対のエンボスロールに、ロール間の挟圧力を5N/cmして挟み、B層(着色層)とC層(虹彩色層)とを溶着しながらC層表面に連続的にエンボス柄を転写した。
[意匠性積層シート被覆金属板の作成]
厚さが0.45mm、幅が200mmの亜鉛メッキ鋼板の表面に、ポリエステル系接着剤(東洋紡績社製、商品名:バイロン20SS)をロールコート法により塗布し、オーブン(設定温度80℃)により塗布面の乾燥を行い、乾燥後の接着剤膜厚を2μm〜4μm程度とした。次いで熱風加熱炉(設定温度:350℃)により塗布面を加熱して、鋼板の表面温度を240℃および245℃に設定し、直ちに60℃の温度に調節されたロールラミネーターを使用して、ロール間の挟圧力を50N/cmとして挟み、上で作成したエンボスを付与したB層とC層との積層シートを被覆して、常温まで冷却し、意匠性積層シート被覆金属板を得た。
[高意匠性積層シート被覆金属板の作成]
上記方法で調製した意匠性積層シート被覆金属板のC層(虹彩色層)の上に、次の手順でPETフィルムを積層し、紫外線を照射した。上記方法で調製した意匠性積層シート被覆金属板のC層(虹彩色層)の上に、図2に概略図で示した試験装置を使用し、表−1に記載した種類の接着剤をダイコーターによって塗布したPETフィルムを、積層ロール25、26の前面に接着剤の液だまり(バンク)23を形成しつつ積層した。液だまり(バンク)23の量は、積層ロール25、26を閉にした状態で、接着剤の液だまりが発生することを目視観察しながら、PETフィルムに塗布する接着剤厚さを次式、すなわち、厚さ≧(2×Ra)、を満たすように調節した。ここでRaはC層(虹彩色層)表面に形成されたエンボスの平均高さを意味する。PETフィルムを積層後、直ちに、高圧水銀灯(ウシオ電機社製、型式:UVC−5035/1MNLC6−HGO)を使用して、積算照射量340mJ/cmに達するまで照射し、接着層を硬化させ、放冷して高意匠性積層シート被覆金属板を得た。
[高意匠性積層シート被覆金属板の評価]
上記実施例および比較例で得られた高意匠性積層シート被覆金属板を、以下に記載の方法で評価した。評価結果を、表−1、表−2に記載した。
(1)接着剤の粘度:B型粘度計を使用し、温度25℃で測定した。
(2)液だまりの有無:目視観察して確認し、接着剤の液だまり(バンク)ある場合は「あり」と、ない場合は「なし」と判定、表示した。
(3)エンボス充填性:C層表面のエンボスへの接着剤の充填状況を、目視観察して確認した。判定基準は、極めて良好に充填されているものを◎、やや不十分な箇所もあるが、実用上問題のないものを○、エンボスへの充填が不十分なものを×とした。
(4)気泡巻き込み:高意匠性積層シート被覆金属板を接着剤層への気泡の有無を、目視観察した。判定基準は、気泡が全く認められないものを◎、気泡が若干認められるが実用上問題のないものを○、気泡が多く認められたものを×とした。
(5)虹彩色性:高意匠性積層シート被覆金属板を、目視観察して確認した。判定基準は、視認する角度を変えることによって虹彩色模様が観察されるものを○、視認する角度を変えても虹彩色模様が観察されないものを×とした。
(6)エンボス視認性:高意匠性積層シート被覆金属板の表面を、目視観察して確認した。判定基準は、エンボス形状が目視により明確に識別できるものを○、形状が明確でないものを×評価した。
(7)表面平滑性:高意匠性積層シート被覆金属板の表面を、目視観察して確認した。判定基準は、表面が鏡面状で平滑性に優れているものを◎、表面に若干の凹凸が観察されるが、実用上問題のないものを○、表面に凹凸が観察されて実用上問題があるものを×とした。
(8)総合評価:上記(2)〜(7)までの評価項目を総合して、極めて良好なものを◎、良好なものを○、実用上問題があるものを×とした。
上記表−1より、本発明に係る製造方法によって得られた樹脂シート被覆金属板は、虹彩色性、エンボス視認性ともに優れ、高意匠性樹脂シート被覆金属板として優れている(実施例1、実施例2参照)。
[実施例3〜実施例4、比較例1]
実施例1に記載の例において、顔料の種類と量、接着剤の種類表−2に記載したように変更したほかは、同例におけると同様の手順で、高意匠性積層シート被覆金属板を得た。なお、液だまりなしの積層(比較例1)では、ラミネートロール間隔を、(1)意匠性シートの最大厚さ、(2)エンボス平均高さ(Ra)および(3)PET樹脂フィルムの厚さを加算した厚さとし、PETフィルムに塗布する接着剤の厚さをRa以下とし、接着剤の液だまりが発生じていないことを目視で確認しながら積層した。原料の詳細と、各種項目についての評価結果を、表−2に示した。
表−2より、次のことが明らかになる。
1.本発明に係る製造方法によって得られた樹脂シート被覆金属板は、接着剤層を構成する樹脂の種類を変えても、虹彩色性、エンボス視認性ともに優れ、高意匠性樹脂シート被覆金属板として優れている(実施例2、実施例3参照)。
2.接着剤の粘度が本発明で好ましい範囲としている範囲内にあり、接着剤の液だまりを作りながら製造した樹脂シート被覆金属板は、エンボス充填性がよく、気泡の巻き込みがなく、外観性に優れた樹脂シート被覆金属板が得られる(実施例3、実施例4参照)。
.接着剤の粘度が本発明で好ましい範囲としている範囲内であっても、接着剤の液だまりがない場合は、実用上はないものの、気泡の抱きこみがやや目立ち多く、若干外観が見劣りするものであった(比較例1参照)。
本発明に係る製造方法によって得られた高意匠性積層シート被覆金属板は、二次加工性に優れているので、ドア材、パーティション材、一般壁材、天井材などの建築内装材、OA機器のハウジング、電気冷蔵庫の筐体、洗濯機の筐体などの用途に好適である。また、沸騰水浸漬試験で問題を生じないことから、ユニットバス壁材、ユニットバス天井材の用途にも使用できる。
本発明に係る高意匠性樹脂シート被覆金属板の一例の縦断面図である。 高意匠性樹脂シート被覆金属板の製造工程の一例を説明する概略図である。
符号の説明
1:金属板(A)
2:接着剤
3:着色剤層(B)
4:透光性のある虹彩色層(C)
5:エンボス模様
6:接着剤層(D)
7:ポリエステル樹脂層(E)
21:金属板
22:表面にエンボス模様が形成された樹脂層(B層とC層より構成されている)
23:接着剤の液だまり(バンク)
24:透明二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂シート
25、26:積層ロール
27:紫外線照射装置

Claims (2)

  1. 金属板(A)側から、着色剤層(B)、透光性のある虹彩色層(C)、アクリレート樹脂層を主体とし、粘度が500cp〜100万cpの透明な接着剤層(D)、および透明二軸延伸ポリエステル系樹脂シート(E)が順次積層されてなり、着色剤層(B)と透光性のある虹彩色層(C)とが一体化され、透光性のある虹彩色層(C)側の上面に、最大高さRaが50〜200μmのエンボスが形成されてなる高意匠性樹脂シート被覆金属板製造方法において、着色剤層(B)と透光性のある虹彩色層(C)とが積層された金属板(A)の透光性のある虹彩色層(C)の上面に、アクリレート樹脂を主体とする透明な樹脂からなる接着剤層(D)の液だまり(バンク)を形成しながら、一対の加圧ロールによって加圧し、透明二軸延伸ポリエステル系樹脂シート(E)とを連続して積層したのち、直ちに接着剤層(D)を光硬化させてなることを特徴とする、高意匠性樹脂シート被覆金属板の製造方法。
  2. 透光性のある虹彩色層(C)は、透明な樹脂に光輝性顔料が配合されているか、屈折率の差が0.01〜0.1の間にある複数の透明樹脂の混合物、または屈折率の差が0.01〜0.1の間にある複数の透明樹脂の積層体よりなる群から選ばれたいずれかである、請求項1に記載の高意匠性樹脂シート被覆金属板の製造方法
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