JP2005007898A - 耐アルカリ性に優れた化粧板積層用印刷樹脂フィルム、その樹脂フィルムを積層した化粧板、及びその化粧板を用いたユニットバス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 最表層に面配向係数が0.080〜0.170、延伸加工後の熱固定温度が(樹脂の融解温度Tm−50)℃〜(Tm−5)℃の範囲である透明な二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムを用い、その下層に印刷層、着色樹脂層、基材樹脂層、接着樹脂層を適宜選択して積層して化粧板積層用印刷樹脂フィルムとし、この樹脂フィルムを金属板に積層して化粧板とする。
【選択図】 図7
Description
このような化粧板において、樹脂フィルムと下地の基板との密着性が不良であると、その部分から水や水蒸気が侵入して、長期間の間には下地の基板を腐食して積層した樹脂フィルムが剥離する。
また、化粧板に美観を与える観点から、樹脂フィルムにエンボス加工を施して樹脂フィルムに一定深さのエンボス模様を形成させて立体感を付与するために、優れたエンボス加工性を有していることも求められる。
(1)基材となる樹脂層に通常の方法を用いて印刷を施し、印刷層の表面保護のために、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂等のコート層を設けた化粧フィルム、
(2)基材となる樹脂層に印刷を施した後、透明な二軸延伸ポリエステルフィルムを接着剤層を介して積層した化粧フィルム、
(3)ポリ塩化ビニルフィルムの上に通常の方法を用いて印刷を施した後、透明なポリ塩化ビニルフィルムや二軸延伸ポリエステルフィルムを積層した化粧フィルム、
などの化粧フィルムを、接着剤を介して亜鉛めっき鋼板などの基板に積層したものが知られている。
さらに、高温多湿の浴室内では黴が発生しやすく、特にユニットバスの側壁、天井など、水滴が付着して長時間蒸発せずに残存する箇所において黴発生が著しく、これらの部分に黴除去剤をスプレー等で付着させ、黴を除去することが行われている。しかるにこの黴除去剤はアルカリ性の水溶液であることが多く、特に化粧板を折り曲げ加工を施した部分に黴除去剤が付着したまま長時間経時すると、樹脂の耐水性が劣化して樹脂フィルムが剥離したり、基板が金属板である場合は金属板が腐食するなどの問題を生じやすい。
また、特にユニットバスなどに適用した場合に、表面にアルカリ性の黴除去剤が付着し長期間経時しても、樹脂フィルムに亀裂を生じたり剥離したりすることがない、耐アルカリ性を確保することを課題とする。
また、従来のポリ塩化ビニル樹脂フィルムやポリオレフィン樹脂フィルムを用いた化粧シートと同等以上の印刷鮮映性を有する意匠性に優れた絵柄模様を有し、環境適性に優れ、耐汚染性、耐溶剤性などの表面物性、さらには、加工性にも優れた化粧板積層用印刷樹脂フィルム、その樹脂フィルムを積層した化粧板、及びそのその化粧板を用いたユニットバスを提供することを課題とする。
面配向係数が0.080〜0.170、延伸加工後の熱固定温度が(Tm−50)℃〜(Tm−5)℃の範囲である透明な二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムを最表層とし、その下層に基材樹脂層、印刷層、着色樹脂層、接着樹脂層を順次積層してなる化粧板積層用印刷樹脂フィルム、もしくは
面配向係数が0.080〜0.170、延伸加工後の熱固定温度が(Tm−50)℃〜(Tm−5)℃の範囲である透明な二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムを最表層とし、その下層に印刷層、基材樹脂層を順次積層してなる化粧板積層用印刷樹脂フィルム、またはさらに
面配向係数が0.080〜0.170、延伸加工後の熱固定温度が(Tm−50)℃〜(Tm−5)℃の範囲である透明な二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムを最表層とし、その下層に基材樹脂層、印刷層、着色樹脂層を順次積層してなる化粧板積層用印刷樹脂フィルムであり、
前記印刷層が、絵柄印刷層である上層と、前記基材樹脂層全面を隠蔽し、かつ前記絵柄印刷層の印刷下地色を付与するベタ印刷層である下層とからなることを特徴とし、また
前記印刷層が、絵柄印刷層またはベタ印刷層からなることを特徴とし、もしくは
前記基材樹脂層がエンボス加工を施されてなることを特徴とし、さらに
前記エンボス加工により形成されたエンボス凹部にインキが充填されてなる印刷層を有することを特徴とする。
前記変性ポリエチレンテレフタレートが、酸成分であるテレフタル酸の一部をイソフタル酸で置換してなることを特徴とし、さらに
前記基材樹脂層がポリエステル樹脂からなることを特徴とし、さらにまた
前記着色樹脂層が着色顔料を混練したポリエステル樹脂からなることを特徴とし、さらにまた
前記ポリエステル樹脂がポリブチレンテレフタレートからなることを特徴とし、さらにまた
前記二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムの上にさらに艶調整層を設けたことを特徴とし、さらにまた
前記ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV値)が1.0〜2.0であることを特徴とし、さらにまた
前記接着樹脂層が変性ポリエチレンテレフタレートからなり、前記変性ポリエチレンテレフタレートは、酸成分であるテレフタル酸の一部をイソフタル酸で置換してなることを特徴とし、さらにまた
前記接着樹脂層が、樹脂成分中にアイオノマーを含有した樹脂からなることを特徴とし、さらにまた
前記着色樹脂層が、樹脂成分中にアイオノマーを含有した樹脂からなることを特徴とする。
前記最表層の透明な二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムが、接着剤を介して前記基材樹脂層と接するようにして積層されてなることを特徴とする。
前記基板と前記化粧板積層用印刷樹脂フィルムの間に接着剤層を介して積層したこと、また
前記基板に積層した後の前記化粧板積層用印刷樹脂フィルムの最表層の透明な二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムの面配向係数が0.040〜0.175であること、さらに
前記基板に積層した後の前記化粧板積層用印刷樹脂フィルムの最表層の透明な二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムの面配向係数が0.160〜0.175であること、さらにまた
前記基板が金属板であることを特徴とする。
さらに本発明は、上記のいずれかの化粧板を用いてなるユニットバスも発明の対象とする。
さらに、焼却時に有毒ガスおよびそれに起因する有害物質が発生して環境を汚染するおそれがあるポリ塩化ビニル樹脂フィルムに替わる、高鮮映性および意匠性に優れた絵柄模様を有し、かつ耐汚染性、耐溶剤性などの表面物性に優れた化粧板に積層する印刷可能な樹脂フィルムについて鋭意検討した結果、積層される接着剤層、着色樹脂層ならびに印刷下地となる基材樹脂層としてポリエステル樹脂フィルム、特に接着剤層として酸成分であるテレフタル酸の一部をイソフタル酸で置換してなる変性ポリエチレンテレフタレートフィルム、また基材樹脂層として樹脂の固有粘度が1.0〜2.0のポリブチレンテレフタレートフィルムを用い、それに絵柄印刷層またはベタ印刷層、もしくは絵柄印刷層とベタ印刷層を形成し、さらに上記の透明な二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムからなる最表層を下から順次積層することにより、上記の要求特性を満足する化粧板に積層する樹脂フィルムが得られることを見出した。また、基材樹脂層にエンボス加工を施してエンボス凹部を形成した後、ワイピング法を用いてエンボス凹部にインキを充填してなるワイピング印刷層を設けてもよい。
そして、これらの化粧板積層用印刷樹脂フィルムを、積層した後の最表層の透明な二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムの面配向係数が0.040〜0.175、または0.160〜0.175となるように金属板等の基板に積層することにより、耐水性および耐アルカリ性に優れた化粧板が得られることを見いだした。
図1〜7に本発明の化粧板積層用印刷樹脂フィルムの例を断面図で示す。図8および図9に本発明の化粧板の例を断面図で示す。図中の各符号はそれぞれ次のものを指す。すなわち、1は化粧板積層用印刷樹脂フィルム、2は基板、3は接着樹脂層、4は着色樹脂層、5は印刷層、5aは絵柄印刷層、5bはベタ印刷層、6は基材樹脂層、7はワイピング印刷用エンボス凹部、8はワイピング印刷層、9は二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム、10は化粧板、11は接着剤層、12は艶調整層を表している。
本発明の化粧板積層用印刷樹脂フィルム1は、図1および2に示すように、二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム9の裏面全面に絵柄印刷層5aとベタ印刷層5bが設けられ、その下面に基材樹脂層6が積層されており(図2)、さらに基材樹脂層6の下面に選択的に接着樹脂層3が積層されている(図1)。
また、本発明の化粧板積層用印刷樹脂フィルム1は、図3〜6に示すように、二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム9の下面に選択的に直接(図3、5)、または接着剤層を介して(図4、図6)基材樹脂層6が積層され、その下面に接着樹脂層3が積層されているるか、またはその上面に選択的にエンボス加工により形成されたエンボス凹部7に、ワイピングインキが充填されたワイピング印刷層8が設けられた基材樹脂層6が積層され、その下面に絵柄印刷層5aが施された着色樹脂層4が積層されており、さらに着色樹脂層5の下面に接着樹脂層3が積層されている(図3、4)。
さらに、本発明の化粧板積層用印刷樹脂フィルム1は、図1、2に示すように、印刷樹脂層5として絵柄印刷層5aとベタ印刷層5bの両方が設けられていてもよいし、図5および図6に示すように、絵柄印刷層5aとベタ印刷層5bのどちらか一方が設けられていてもよい。
またさらに、本発明の化粧板積層用印刷樹脂フィルム1は、図7に示すように、上記の用に構成された多層フィルムの二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム9の上面に、選択的に艶調整層12を設けてもよい。
図9は、図2に示した化粧板積層用印刷樹脂フィルム1を、接着剤層11を介して基板2に積層した化粧板10を示す。
さらに、本発明の化粧板積層用印刷樹脂フィルム1は、図示しないがその上面に凹凸を付与するために表面をエンボス加工したエンボスロールを用いて、エンボス加工を施したり、鏡面仕上げとするために、鏡面ロールを用いてロールプレスしてもよい。
例えば、天然樹脂またはその変成樹脂類、セルロース誘導体類、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の合成樹脂類をビヒクルの構成材料とし、ビヒクル中に着色顔料、体質顔料等を添加して成る塗料もしくはインキが用いられる。使用されるビヒクルとしてはウレタン2液硬化型のものが好適に用いられる。ワイピング印刷法としては、ドクターブレード法、ロールコート法など、従来から使用されているワイピング印刷法のいずれによっても良い。
さらに、この最表層となる二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムの表面にもエンボス加工を施してエンボス凹部を形成して、化粧板積層用印刷樹脂フィルム全体に立体感を付与したり、または鏡面ロールを用いてロールプレスし、鏡面仕上げとしてもよい。
さらに、図7に示すように、上記のいずれかの様にして構成された化粧板積層用印刷樹脂フィルム1の最表層の二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム9の上層に艶調整層12を設けることにより、意匠性をさらに向上させた化粧板積層用印刷樹脂フィルムとすることも可能である。
以上のようにして、本発明に用いる化粧板積層用印刷樹脂フィルムが製造されるが、上記の積層作業やエンボス加工などの工程は、従来のポリ塩化ビニル樹脂フィルムにおけるのと同じ装置で作業することが可能である。
さらに、二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムの熱固定温度が低く、加熱により面配向係数が容易に低下する場合は、二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムと下層の樹脂層との間に接着剤層11を介して、低温で加熱して接着することにより、面配向係数の低下を抑制することができる。
(実施例1〜9及び比較例1〜2)
表1に示す面配向係数、および製膜の際の熱固定温度を有する、厚さ25μmの透明二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET―BO、融点(Tm):257℃)、透明二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(PEN―BO、融点: 269℃)、または酸性分が95モル%のテレフタル酸と5モル%のイソフタル酸からなる変性ポリエチレンテレフタレートの透明二軸延伸フィルム(変性PET―BO、融点: 246℃)のいずれか片面に、ニトロセルロース−アルキド系インキを用い、絵柄印刷層および着色ベタ印刷層をグラビア輪転機によりインラインにて印刷したものと、表2に示す固有粘度を有する市販のポリブチレンテレフタレート(PBT、融点:225℃)を用いて押出製膜機により作成した厚さ70μmの単層の未延伸フィルム(実施例1、実施例3、実施例4、実施例6、実施例8、実施例9、比較例1)を基材樹脂層として、または上記のPBTとイソフタル酸12モル%を共重合した市販の変性ポリエチレンテレフタレート(変性PET)を用いて押出製膜機により共押し出しして作成した厚さ70μm(PBT60μm、変性PET10μm)からなる、PBTを基材樹脂層とし、変性PETを接着樹脂層とする二層の未延伸フィルム(実施例2、実施例5、実施例7、比較例2)を、印刷層とPBT基材樹脂層が接するように重ねて、圧着用ロールの加熱温度:120℃、樹脂フィルムの送り速度:20m/min、圧着用ロールのニップ圧:2.45MPaの条件で両フィルムを加熱圧着して積層し、化粧板積層用印刷樹脂フィルムを作成した。
次に、厚さ0.5mm の電気亜鉛合金めっき鋼板にポリエステル系接着剤を5g/m2の塗布量で塗布し、上記の化粧板積層用印刷樹脂フィルムを電気亜鉛合金めっき鋼板に、表1に示す加熱温度、接着圧力:1.47MPa、圧着時間:5秒の条件で加熱圧着し、化粧板を得た。このようにして得られた化粧板の最表層の透明二軸配向フィルムの面配向係数を表1に示す。なお、表1において、PETはポリエチレンテレフタレートを、PET*はポリエチレンテレフタレートに艶調整層をコーティングを、PENはポリエチレンナフタレートを、変性PETはイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートを、PBTはポリブチレンテレフタレートを、変性PBTはイソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレートを、PTTはポリトリメチレンテレフタレートを、PBT/IはPBTとアイオノマーのブレンド樹脂をそれぞれ示す。
イソフタル酸12.5モル%を共重合した市販の変性ポリブチレンテレフタレート樹脂(変性PBT)にクリーム色顔料20重量%を混練した着色樹脂を押出製膜機により作成した厚さ30μmの未延伸着色フィルムの片面に、ニトロセルロース−アルキド系インキを用い、絵柄印刷層をグラビア輪転機によりインラインにて印刷したものと、基材樹脂層として市販のポリトリメチレンテレフタレート(PTT)を押出製膜機により作成した厚さ40μmの未延伸フィルムと、製膜の際の熱固定温度を240℃とし、片面に予めウレタン樹脂からなる接着剤を塗布した実施例6と同一の透明のPET―BOとを、基材樹脂層のPTTフィルムが着色フィルムの印刷面、および透明のPET―BOの接着剤塗布面とが接するように重ねて、圧着用ロールの加熱温度:120℃、樹脂フィルムの送り速度:20m/min、圧着用ロールのニップ圧:2.45MPaの条件で加熱圧着して積層し、化粧板積層用印刷樹脂フィルムを作成した。
次に、実施例6と同一の電気亜鉛合金めっき鋼板に、実施例6と同一の条件で前記の化粧板積層用印刷樹脂フィルムを加熱圧着し、化粧板を得た。
クリーム色顔料20重量%を混練して着色したPBTと、実施例2と同一の変性PETを押出製膜機により共押し出しして、厚さ70μm(着色PBT60μm、変性PET10μm)からなる二層の未延伸フィルムを作成し、着色フィルム面に実施例10と同一の絵柄印刷層を実施例10と同一の条件で印刷した。顔料を含有しない、実施例10の着色樹脂層に用いたのと同一の変性PBTを基材樹脂層とし、実施例7と同一の透明のPET―BOを用い、基材樹脂層の変性PBTフィルムが二層の未延伸フィルムの着色フィルム側の印刷面および透明のPET―BOと接するように重ねて、実施例12と同一の条件で加熱圧着して積層し、化粧板積層用印刷樹脂フィルムを作成した。
次に、実施例7と同一の電気亜鉛合金めっき鋼板に、実施例7と同一の条件で前記の化粧板積層用印刷樹脂フィルムを加熱圧着し、化粧板を得た。
市販のPTTにクリーム色顔料20重量%を混練した着色樹脂を用いて押出製膜機により作成した厚さ30μmの未延伸着色フィルムの片面に、ニトロセルロース−アルキド系インキを用い、着色ベタ印刷層をグラビア輪転機によりインラインにて印刷した。また、基材樹脂層として実施例2と同一のPBTを押出製膜機により溶融させ、エンボス加工を施したキャスティングロール上に押し出して作成した厚さ40μmの未延伸フィルムのキャスティングロールと接触した面に、2液硬化型ウレタン系着色インキをロールコート法によって塗工した後、ドクターブレードでエンボス凹部以外の部分に付着している着色インキを除去し、未延伸フィルムの表面に形成されているエンボス凹部内に着色インキを充填、固化させ、片面に印刷を施した基材樹脂フィルムを作成した。次いで実施例3と同一の透明のPET―BOを準備し、着色フィルムの印刷面が基材樹脂フィルムの非印刷面側に接し、基材樹脂フィルムの印刷面が透明のPET―BOと接するように重ねて、実施例3の加熱圧着による積層条件と同条件にて加熱圧着して積層し、化粧板積層用印刷樹脂フィルムを作成した。
次に、実施例3と同一の電気亜鉛合金めっき鋼板に、実施例3と同一の条件で前記の化粧板積層用印刷樹脂フィルムを加熱圧着し、化粧板を得た。
実施例6と同一のPET―BOの片面に実施例6と同様にして絵柄印刷層および着色ベタ印刷層をグラビア輪転機によりインラインにて印刷したものと、実施例6と同一のPBTを基材樹脂層を、PET―BOの印刷層がPBTに接するように重ねて、実施例6の加熱圧着による積層条件と同条件にて加熱圧着して積層し、化粧板積層用印刷樹脂フィルムを作製した。
さらに、このようにして作成した化粧板積層用印刷樹脂フィルムの表面に、2液硬化型ポリウレタン系艶調整用塗料(昭和インク製)をグラビアロールコートした。
次に、実施例6と同一の電気亜鉛合金めっき鋼板に、実施例6と同一の条件で前記の化粧板積層用印刷樹脂フィルムを加熱圧着し、化粧板を得た。
市販のPBTと市販のアイオノマーを90/10の混合比(重量%)でブレンドした樹脂にクリーム色顔料20重量%を混練して着色した樹脂を押出製膜機により押し出し、厚さ70μmの未延伸フィルムを作成し、その片面に、ニトロセルロース−アルキド系インキを用い、絵柄印刷層および着色ベタ印刷層をグラビア輪転機によりインラインにて印刷した。基材樹脂層として、実施例7と同一のPBTを押出製膜機により厚さ40μmの未延伸フィルムを作成した。次いで実施例7と同一の透明のPET―BOを準備し、着色フィルムの印刷面と透明のPET―BOの片面が基材樹脂フィルムのそれぞれ面に接するように重ねて、実施例7の加熱圧着による積層条件と同条件にて加熱圧着して積層し、化粧板積層用印刷樹脂フィルムを作製した。
次に、実施例7と同一の電気亜鉛合金めっき鋼板に、実施例7と同一の条件で前記の化粧板積層用印刷樹脂フィルムを加熱圧着し、化粧板を得た。
実施例10と同一の変性PBTにクリーム色顔料20重量%を混練して着色した樹脂と、実施例14と同一のPBTとアイオノマーからなるブレンド樹脂を押出製膜機により共押し出しして、厚さ70(着色ブレンド樹脂60μm、PBT/アイオノマーブレンド樹脂10μm)からなる二層の未延伸フィルムを作成し、着色フィルム面に実施例10と同一の絵柄印刷層を実施例10と同一の条件で印刷した。基材樹脂層として、PBTを押出製膜機により厚さ40μmの未延伸フィルムを作成した。次いで実施例3と同一の透明のPET―BOを準備し、着色フィルムの印刷面と透明のPET―BOの片面が基材樹脂フィルムのそれぞれ面に接するように重ねて、実施例3の加熱圧着による積層条件と同条件にて加熱圧着して積層し、化粧板積層用印刷樹脂フィルムを作製した。
次に、実施例3と同一の電気亜鉛合金めっき鋼板に、実施例3と同一の条件で前記の化粧板積層用印刷樹脂フィルムを加熱圧着し、化粧板を得た。
実施例1〜15と比較例1〜2で作成した化粧板を、下記の特性について評価した。
(樹脂フィルムの加工性)
本発明の化粧板積層用印刷樹脂フィルムの加工性の良否は、実施例1〜15及び比較例1〜2で作成した、化粧フィルムを金属板に積層した化粧金属板に、JIS Z 2248(金属材料曲げ試験方法)に準拠して、0T曲げ加工を施し、曲げ加工部のフィルムの表面を肉眼観察し、下記の4段階の基準で評価した。
◎:折り曲げ部に割れは全く認められない。
○:折り曲げ部の先端にかすかな白色化が認められる。
△:折り曲げ部全体に白色化が認められる。
×:折り曲げ部にかなりの程度の割れが認められる。
上記の評点において、◎および○は使用上の問題はない。なお、この試験は10枚の試験片について実施した。
本発明の化粧板を高温多湿の状態で長時間経時させた場合(例えばユニットバスの内装材として用いた場合など)を想定し、長時間水と接した場合の樹脂フィルムの耐水劣化性をデュポン衝撃試験法で評価した。
実施例1〜15及び比較例1〜2で作成した化粧板積層用印刷樹脂フィルムを、厚さ 0.5mmの電気亜鉛合金めっき鋼板に積層し試験片とした。この試験片を60mm×60mmの大きさに切り出し、38±2℃の温度に保持された脱塩水中に1カ月間浸漬した後室温で乾燥し、デュポン衝撃試験機を用い、JISK 5400に準拠した条件(衝撃部の大きさ1/2inchφ、重さ1kg、落下高さ50cm)で衝撃を負荷した。衝撃を負荷した後の樹脂フィルムの状態を肉眼観察し、下記の5段階で評価した。
◎:樹脂フィルムに割れが認められない。
○:樹脂フィルムの一部に細かい割れが認められる。
△:樹脂フィルムのエンボス加工部全体に細かい割れが認められる。
×:樹脂フィルムのエンボス加工部全体に大きな割れが認められる。
××:樹脂フィルム全体に割れが著しい。
上記の評点において、◎および○は使用上の問題はない。なお、この試験は10枚の試験片について実施した。
本発明の化粧板がアルカリ性の黴除去剤と長時間接触した場合を想定した場合の樹脂フィルムの耐アルカリ性を下記の要領で評価した。
実施例1〜15及び比較例1〜2で作成した化粧板積層用印刷樹脂フィルムを、厚さ 0.5mmの電気亜鉛合金めっき鋼板に積層し試験片とした。この試験片を60mm×60mmの大きさに切り出し、90°折り曲げ加工を施した後、38±2℃の温度に保持された pH:12.5のカセイソーダ水溶液中に1週間浸漬した後室温で乾燥し、加工部を倍率50倍の光学顕微鏡により観察し、下記の5段階で評価した。
◎:樹脂フィルムに割れが認められない。
○:樹脂フィルムの一部に細かい割れが認められる。
△:樹脂フィルムのエンボス加工部全体に細かい割れが認められる。
×:樹脂フィルムのエンボス加工部全体に大きな割れが認められる。
××:樹脂フィルム全体に肉眼によっても割れが認められる。
上記の評点において、◎および○は使用上の問題はない。なお、この試験は10枚の試験片について実施した。
これらの樹脂フィルムの特性評価を表3に示す。
さらに、積層される接着樹脂層、着色樹脂層ならびに印刷下地となる基材樹脂層としてポリエステル樹脂フィルム、特に接着樹脂層として酸成分であるテレフタル酸の一部をイソフタル酸で置換してなる変性ポリエチレンテレフタレートフィルム、また基材樹脂層として樹脂の固有粘度が1.0〜2.0のポリブチレンテレフタレートフィルムを用い、それに絵柄印刷層またはベタ印刷層、もしくは絵柄印刷層とベタ印刷層を形成し、さらに上記の透明な二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムからなる最表層を下から順次積層したものであり、焼却時に有毒ガスおよびそれに起因する有害物質が発生して環境を汚染するおそれがあるポリ塩化ビニル樹脂フィルムに替わる、高鮮映性および意匠性に優れた絵柄模様を有し、かつ耐汚染性、耐溶剤性などの表面物性に優れた化粧板に積層する印刷可能な樹脂フィルムが得られる。また、基材樹脂層にエンボス加工を施してエンボス凹部を形成した後、ワイピング法を用いてエンボス凹部にインキを充填してなるワイピング印刷層を設けてもよい。
そして、これらの化粧板積層用印刷樹脂フィルムを、積層した後の最表層の透明な二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムの面配向係数が0.040〜0.175、または0.160〜0.175となるように金属板等の基板に積層することにより、耐水性および耐アルカリ性に優れた化粧板が得られる。
またさらに、焼却廃棄する際に、塩化水素ガスのような有毒ガスの発生がないため、環境を汚染する心配もなく環境保全性においても優れており、黴が発生しやすいユニットバスをはじめ、冷蔵庫および冷蔵庫ドアの外装用板、カーテンレール、洗面ユニット、洗濯機、システムキッチン、間仕切り、壁パネル、室内ドア、室内収納庫、蛍光灯の反射板、オーディオビジュアル機器の外板、電子レンジの外板、オーブンの外板、ファンヒーターの外板、ストーブの外板、エアコンディショナーの外板などに好適に適用できる。
2 基板
3 接着樹脂層
4 着色樹脂層
5 印刷層
5a 絵柄印刷層
5b ベタ印刷層
6 基材樹脂層
7 ワイピング印刷用エンボス凹部
8 ワイピング印刷層
9 二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム
10 化粧板
11 接着剤層
12 艶調整層
Claims (29)
- 面配向係数が0.080〜0.170、延伸加工後の熱固定温度が(樹脂の融解温度Tm−50)℃〜(Tm−5)℃の範囲である透明な二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムを最表層とし、その下層に印刷層、基材樹脂層、接着樹脂層を順次積層してなる化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 面配向係数が0.080〜0.170、延伸加工後の熱固定温度が(樹脂の融解温度Tm−50)℃〜(Tm−5)℃の範囲である透明な二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムを最表層とし、その下層に基材樹脂層、印刷層、着色樹脂層、接着樹脂層を順次積層してなる化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 面配向係数が0.080〜0.170、延伸加工後の熱固定温度が(樹脂の融解温度Tm−50)℃〜(Tm−5)℃の範囲である透明な二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムを最表層とし、その下層に印刷層、基材樹脂層を順次積層してなる化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 面配向係数が0.080〜0.170、延伸加工後の熱固定温度が(樹脂の融解温度Tm−50)℃〜(Tm−5)℃の範囲である透明な二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムを最表層とし、その下層に基材樹脂層、印刷層、着色樹脂層を順次積層してなる化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記印刷層が、絵柄印刷層である上層と、前記基材樹脂層全面を隠蔽し、かつ前記絵柄印刷層の印刷下地色を付与するベタ印刷層である下層とからなる、請求項1〜4のいずれかに記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記印刷層が、絵柄印刷層またはベタ印刷層からなる、請求項1〜4のいずれかに記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記基材樹脂層がエンボス加工を施されてなる請求項1〜4のいずれかに記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記エンボス加工により形成されたエンボス凹部にインキが充填されてなる印刷層を有する、請求項7に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項1〜7のいずれかに記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムが二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムである、請求項1〜7のいずれかに記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムが変性ポリエチレンテレフタレートの二軸延伸フィルムである、請求項1〜7のいずれかに記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記変性ポリエチレンテレフタレートは、酸成分であるテレフタル酸の一部をイソフタル酸で置換してなることを特徴とする、請求項11に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記基材樹脂層がポリエステル樹脂からなる、請求項1〜4、7又は8のいずれかに記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記着色樹脂層が着色顔料を混練したポリエステル樹脂からなる、請求項2または4に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記ポリエステル樹脂がポリブチレンテレフタレートからなる、請求項13又は14に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムの上にさらに艶調整層を設けた、請求項1〜15のいずれかに記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV値)が1.0〜2.0であることを特徴とする、請求項15に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記接着樹脂層が変性ポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記変性ポリエチレンテレフタレートは、酸成分であるテレフタル酸の一部をイソフタル酸で置換してなることを特徴とする、請求項18に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記接着樹脂層が、樹脂成分中にアイオノマーを含有した樹脂からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記着色樹脂層が、樹脂成分中にアイオノマーを含有した樹脂からなることを特徴とする、請求項2又は4に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記最表層の透明な二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムが、接着剤を介して前記印刷層と接するようにして積層されてなる、請求項1又は3に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 前記最表層の透明な二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムが、接着剤を介して前記基材樹脂層と接するようにして積層されてなる、請求項2又は4に記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルム。
- 樹脂フィルムを積層する基板の少なくとも片面に、請求項1〜23のいずれかに記載の化粧板積層用印刷樹脂フィルムを積層した化粧板。
- 前記基板と前記化粧板積層用印刷樹脂フィルムの間に接着剤層を介して積層した、請求項24に記載の化粧板。
- 前記基板に積層した後の前記化粧板積層用印刷樹脂フィルムの最表層の透明な二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムの面配向係数が0.040〜0.175である、請求項24又は25に記載の化粧板。
- 前記基板に積層した後の前記化粧板積層用印刷樹脂フィル
ムの最表層の透明な二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムの面配向係数が0.160〜0.175である、請求項24又は25に記載の化粧板。 - 前記基板が金属板である、請求項24〜27のいずれかに記載の化粧板。
- 請求項24〜28のいずれかに記載の化粧板を用いてなるユニットバス。
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