JP3905316B2 - 化粧フィルムおよびその化粧フィルムを積層した化粧板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、滑剤を含有したポリエステル樹脂層を有する複層構成の化粧フィルム、およびその化粧フィルムを積層した化粧板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建材、家具、ユニットバス、電気・電子機器、音響機器、事務機器などの外板あるいは内部部品の化粧板として、成形加工性、意匠性などに優れた軟質の可塑化ポリ塩化ビニル樹脂をはじめとして、ポリエチレンあるいはポリプロピレンを主成分とするポリオレフィン樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、フッ素を含むフッ素樹脂などからなるフィルムや、ポリエステル樹脂の2軸延伸フィルムなどを被覆した金属板、合板、またはMDFなどが使用されている。
【0003】
しかし、ポリ塩化ビニル樹脂は経済性、エンボス性、成形加工性などの特性には優れているが、通常、成形加工を容易にするために多量の可塑剤が含まれており、そのため樹脂フィルムは軟質であり、また長期間の経時により表面へ可塑剤がブリードしたり、さらに燃焼した場合に発生する塩化水素ガスに起因する有害物質の環境への影響などが問題になっている。
そこで、ポリ塩化ビニル樹脂に替わる樹脂としてポリエチレンあるいはポリプロピレンを主成分とするポリオレフィン樹脂が検討されている。これらの単独樹脂からなるフィルムはエンボス性、黴除去剤などの薬品を用いた場合の耐アルカリ性などの特性に優れているが、可塑化されたポリ塩化ビニル樹脂に比べて硬質であり、金属板などに積層されて成形加工された際に加工部が白化して意匠性が損なわれる。また、この白化現象を抑制するためにゴム成分が配合されることがあるが、この場合、可塑化ポリ塩化ビニル樹脂と同水準の軟質な樹脂になる。
【0004】
また、熱可塑性アクリル樹脂、フッ素樹脂はそれぞれ特徴のある特性を有しているが、可塑化ポリ塩化ビニル樹脂と同水準の軟質な樹脂である。近年、ラミネート材料としてポリエチレンテレフタレート樹脂を主成分とする樹脂からなる2軸延伸ポリエステルフィルムが着目されているが、エンボス加工を施した場合に深く鮮明な凹凸模様が得られにくく意匠性に乏しい。
【0005】
さらにまた、フィルムをコイル状に巻き取る際の巻きずれやしわ防止のために添加する滑剤により、フィルム表面の粗度が大きくなったり、透明性が低下したりして、意匠性の低下が生じる場合がある。
かかる意匠性の低下を防ぐ目的とした化粧フィルムとしては、たとえば特開平10−258497号に開示されているように、透明性の高い滑剤を複層フィルムの最表層側の樹脂層に添加したものなどがあるが、滑剤の表面粗度への影響を完全になくすことはできない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解決することを目的として、従来のポリ塩化ビニル樹脂と同等以上のエンボス加工性、加工性、耐水劣化性、耐アルカリ性および意匠性に優れ、さらに、フィルムの巻きずれやしわ防止のために添加する滑剤による意匠性(透明性)の低下を生じさせることのない、化粧板積層用樹脂フィルムおよびその樹脂フィルムを積層した化粧板を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シリカ系滑剤0.05〜3重量%を混練したポリエステル樹脂から成る接着樹脂層、ポリエステル樹脂から成る基材樹脂層、印刷層、表面樹脂層が下から順次積層されてなるか、または前記接着樹脂層、基材樹脂層、表面樹脂層が下から順次積層されてなるか、または前記接着樹脂層、基材樹脂層が下から順次積層されて成る化粧フィルムであって、前記滑剤を混練したポリエステル樹脂から成る接着樹脂層を基板と当接することを特徴とする化粧フィルムに関する。
【0008】
また、本発明の化粧フィルムは、前記基材樹脂層を構成するポリエステル樹脂がポリブチレンテレフタレート、または着色顔料を混練したポリブチレンテレフタレートであることが好ましい。
一方、前記表面樹脂層はポリエステル樹脂からなり、特に前記ポリエステル樹脂が二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート、変性ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレートのいずれかであることが好ましい。さらに、表面樹脂層として用いるポリブチレンテレフタレートの固有粘度IVが1.0〜2.0であることが好ましい。また、前記表面樹脂層はポリアリレート、またはアクリル系樹脂であることもできる。
【0009】
さらにまた、本発明の化粧フィルムは、前記表面樹脂層にエンボス加工、または鏡面仕上加工が施されていてもよく、さらに艶調整層が設けられていてもよい。 また、前記印刷層が、絵柄印刷層もしくはベタ印刷層からなるか、またはベタ印刷層の上に絵柄印刷層が積層されたものであってもよい。
さらに、前記基材樹脂層が、エンボス加工を施され、エンボス加工により形成されたエンボス凹部にインキが充填された印刷層を有するものであってもよい。また、前記基材樹脂層には、エンボス加工または鏡面仕上加工が施されており、さらに艶調整層が設けられていてもよい。
【0010】
さらにまた、本発明の化粧フィルムにおいては、前記接着樹脂層がポリエステル樹脂、特に変性ポリエチレンテレフタレート、または変性ポリブチレンテレフタレートであるのがよく、変性ポリエチレンテレフタレートとしては、エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体や、ブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート共重合体が適している。さらに、前記接着樹脂層の樹脂成分中にアイオノマー樹脂成分を1〜50重量%含有させることが好ましい。
【0011】
また、本発明の化粧板は、基板の少なくとも片面に、上記のいずれかの化粧フィルムを、接着樹脂層と基板とが当接するようにして積層してなる化粧板である。
前記基板は、金属板、特に亜鉛めっき鋼板、亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板やステンレス鋼板のいずれか、木質板、無機質ボードのいずれかであることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、従来のポリ塩化ビニル樹脂と同等以上のエンボス加工性、加工性、耐水劣化性、耐アルカリ性および意匠性に優れ、さらに、フィルムの巻きずれやしわの発生を防止するために添加する滑剤に起因するフィルム表面の粗面化や透明性の低下による意匠性の低下を生じることのない化粧フィルム、およびその化粧フィルムを積層した化粧板について鋭意検討した結果、滑剤を混練した接着樹脂層と、印刷層など少なくとも他の1層以上の樹脂層からなる多層樹脂フィルムとすることにより、目的を達成することが可能であることを見出した。
以下に本発明についてその内容を説明する。
【0013】
(化粧フィルムの構成)
図1に示す化粧フィルムの例は、基材樹脂層3の下層に接着樹脂層2を設け、上層側表面に選択的にエンボス加工を施してエンボス凹部6を形成させワイピング印刷を施してインキ9をエンボス凹部6に充填した後、印刷層4を設け、片面に選択的にエンボス加工を施してエンボス凹部6を形成させた表面樹脂層5を積層してなる4層の化粧フィルムとしたものである。
図2に示す化粧フィルムの例は、基材樹脂層3の下層に接着樹脂層2を設け、上層側表面に選択的にエンボス加工を施してエンボス凹部6を形成させワイピング印刷を施してインキ9をエンボス凹部6に充填した後、ベタ印刷層4aと絵柄印刷層4bからなる印刷層4を設け、片面に選択的に鏡面加工を施した鏡面仕上げ面7を形成させた表面樹脂層5を積層してなる4層の化粧フィルムとしたものである。
図3は、図1に示した4層の化粧フィルムの表面樹脂層5のエンボス凹部6の上層に、エンボス凹部6を消失させない程度に艶調整層8を設けた例を示したものである。
【0014】
図4に示す化粧フィルムの例は、基材樹脂層3の下層に接着樹脂層2を設けた、上層側表面に片面に選択的にエンボス加工を施してエンボス凹部6を形成させた表面樹脂層5を積層してなる3層の化粧フィルムとしたものである。
図5に示す化粧フィルムの例は、基材樹脂層3の下層に接着樹脂層2を設け、上層側表面に片面に選択的に鏡面加工を施した鏡面仕上げ面7を形成させた表面樹脂層5を積層してなる3層の化粧フィルムとしたものである。
【0015】
図6に示す化粧板フィルムの例は、片面に選択的にエンボス加工を施してエンボス凹部6を形成させた基材樹脂層3の下層に、接着樹脂層2を設けてなる2層の化粧フィルムとしたものである。
図7に示す化粧フィルムの例は、片面に選択的に鏡面加工を施した鏡面仕上げ面7を形成させた基材樹脂層3の下層に、接着樹脂層2を設けてなる2層の化粧フィルムとしたものである。
図8は、図6に示した2層の化粧フィルムの基材樹脂層3のエンボス凹部6の上層に、エンボス凹部6を消失させない程度に艶調整層8を設けた例を示したものである。
【0016】
(化粧板の構成)
図9に示す化粧板の例は、図1に示した4層の樹脂フィルムからなる化粧フィルム10を、直接基板1に積層して化粧板とした例を示したものである。図2〜8に示した化粧フィルムも、同様にして直接基板1に積層し、化粧板とすることができる。
図10に示す化粧板の例は、図1に示した4層の樹脂フィルムからなる化粧フィルム10を、選択的に接着剤12を介して基板1に積層して化粧板とした例を示したものである。図2〜8に示した化粧フィルムも、同様にして選択的に接着剤12を介して基板1に積層し、化粧板とすることができる。
【0017】
(接着樹脂層中に含有させる滑剤)
上記の図1〜10に示す化粧フィルム10において、接着樹脂層2は滑剤を添加して混練したものであることが好ましい。
滑剤としては、脂肪族炭化水素系、高級脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸のエステルあるいはアミド誘導体、たとえば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルシン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミドなどの有機系滑剤、あるいは二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなどのシリカ系、ゼオライト、炭酸カルシウム、二酸化珪素、酸化アルミニウム、硫酸バリウムなどの無機系滑剤などの一般的な市販の滑剤を用いることができる。
また、押出機を用いて樹脂中に滑剤を混練する際に、押出機内のフィルターの目詰まりを防止する観点からは不定形滑剤よりも真球滑剤の方が好ましいが、不定形滑剤の方が滑剤を用いた効果が顕著に現れる。
【0018】
上記の滑剤としては平均粒径が0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmの微細粉末を用いる。この微細粉末は化粧フィルムの接着樹脂層中に0.05〜3重量%、好ましくは 0.1〜0.3重量%含有させる。このような好適範囲の粒径を有する微細粉末を好適範囲の含有比率で樹脂中に含有させることにより、優れた意匠性を損なうことなく、フィルムの巻き取り形状を改善し、しわ発生の防止効果が得られる。
【0019】
(各樹脂層)
接着樹脂層2としてはポリエステル樹脂フィルムを用いることが好ましく、変性ポリエチレンテレフタレートまたは変性ポリブチレンテレフタレートを用いることがより好ましい。変性ポリエチレンテレフタレートおよび変性ポリブチレンテレフタレートを構成する材料の―例としては、以下の組成を有する共重合ポリエステル樹脂などが好適に用いられる。
【0020】
すなわち、樹脂を形成するソフトセグメントとして、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、あるいはポリε−カプロラクトン、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸などのHOOC−R−COOH(Rは脂肪族炭化水素基である)の分子構造を有する脂肪酸ジカルボン酸と、脂肪族および/または脂環族ジオールからなる脂肪族ポリエステルなどが好適に用いられる。
また、樹脂を構成するハードセグメントとしては、エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、シクロへキサンジメチレンテレフタレート、シクロへキサンジメチレンシクロへキサンジカルボキシレート、ブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどの芳香族および/または脂環族エステルユニットから選ばれた少なくとも一つから構成されていることが好ましい。
【0021】
さらに、アルコール成分として、1,4ブタンジオール残基を含有していることが耐溶剤性の点で好ましく、共重合ポリエステルを形成する全アルコール成分に占める1,4ブタンジオール残基が40モル%以上、65モル%以下であることが好ましい。
【0022】
上記の樹脂の好ましい例として、エチレンテレフタレート:80〜95モル%、エチレンイソフタレート:5〜20モル%からなるエチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合ポリエステル、またはブチレンテレフタレート:75〜90モル%、ブチレンイソフタレート:10〜25モル%からなるブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート共重合ポリエステルを挙げることができる。
【0023】
さらに、金属板1と多層樹脂フィルムとのより強力な接着強度が要求される場合には、接着樹脂層2を構成する樹脂成分の一部にアイオノマー樹脂成分を含有させると良好な接着強度が得られる。この場合、アイオノマー樹脂成分を樹脂成分の全体の1〜50重量%とすることが好ましい。
【0024】
基材樹脂層3としては、ポリエステル樹脂フィルムを用いることが好ましく、ポリブチレンテレフタレートを用いることがより好ましい。ポリブチレンテレフタレートの固有粘度(IV値)は1.0〜2.0であることが好ましいが、固有粘度は製膜性の面から1.5以下、耐水劣化性および耐アルカリ性の面から1.2以上であることがより好ましい。また、ポリエステル樹脂を押出機を用いて製膜する際に、着色顔料を混練して着色樹脂層としてもよい。
【0025】
また、図1〜3に示すように、基材樹脂層3にエンボス加工を施してエンボス凹部6を形成した後、ワイピング法を用いてエンボス凹部6にインキ9を充填してなるワイピング印刷層を設ける際に、ワイピング印刷用のエンボス凹部6に充填されるインキ9としては、塗料もしくはインキが用いられる。
例えば、天然樹脂またはその変成樹脂類、セルロース誘導体類、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の合成樹脂類をビヒクルの構成材料とし、ビヒクル中に着色顔料、体質顔料等を添加して成る塗料もしくはインキが用いられる。使用されるビヒクルとしてはウレタン2液硬化型のものが好適に用いられる。ワイピング法としては、ドクターブレード法、ロールコート法など、従来から使用されているワイピング法のいずれによってもよい。
【0026】
また、基材樹脂層3は図6〜8に示すように、最表面層として用いてもよい。その場合、図6に示すように表面にエンボス加工を施してエンボス凹部6を設けてもよいし、図7に示すように表面に鏡面加工を施して鏡面仕上げ面7を形成させてもよい。さらに図8に示すように表面にエンボス加工を施してエンボス凹部6を設けた後、その上層にエンボス凹部6を消失させない程度に艶調整層8を設けてもよい。
【0027】
艶調整層8は、無色透明であってもまたは着色透明であっても、さらに艶消しの透明であってもよく、化粧板積層用樹脂フィルム10の表面の光沢度を調整するために設けるものであるが、表面保護層としての役割も兼ねる。艶調整層8は適宜のビヒクルを用いた塗料を塗布することにより形成することができる。ビヒクルとしてはフェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン系樹脂などの熱硬化性樹脂の1種または2種以上の混合樹脂を用いることが出来る。艶調整層8を形成する塗料には通常適量の艶消剤を分散させて所望の光沢度を付与しているが、艶消剤としてはマイカ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイソウ土、ケイ砂、シラスバルーンなどが用いられる。上記塗料の塗布方法としては、グラビアコート、ロールコート、エアナイフコートなど、公知の塗布方式を用いることができる。
【0028】
表面樹脂層5としては、ポリエステル樹脂、ポリアリレート、アクリル樹脂のいずれかの樹脂層であることが好ましい。ポリエステル樹脂としては、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレートのいずれか、または二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート、変性ポリブチレンテレフタレートであることが好ましく、選択的に表面にエンボス加工を施す場合は、特にポリブチレンテレフタレート、中でも基材樹脂層3と同様のポリブチレンテレフタレートがより好ましい。
【0029】
変性ポリエチレンテレフタレート、変性ポリブチレンテレフタレートとしては、接着樹脂層3と同様に、エチレンテレフタレート:80〜95モル%、エチレンイソフタレート:5〜20モル%からなるエチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合ポリエステルまたはブチレンテレフタレート:75〜90モル%、ブチレンイソフタレート:10〜25モル%からなるブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート共重合ポリエステルを用いることが特に好ましい。
【0030】
アクリル樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体のいずれかであることが好ましい。
【0031】
これらの表面樹脂層5の厚さは20〜50μmであることが好ましい。また基材樹脂層3と同様、選択的に図1に示すように表面にエンボス凹部6を設けてもよいし、図2に示すように表面に鏡面仕上げ面7を形成させてもよい。さらに図3に示すように表面にエンボス凹部6を設けた後、その上層にエンボス凹部6を消失させない程度に艶調整層8を設けてもよい。
また、本発明の化粧フィルム10の表面樹脂層5には、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、難燃剤、発泡剤等の各種添加剤を必要に応じて添加することができる。
【0032】
印刷層4は基材樹脂層3と表面樹脂層5の間に選択的に設けられる。印刷層4は下層となる基材樹脂層3の前面を隠蔽するベタ印刷層4a、または木目、石目、天然皮革の表面柄、布目、抽象柄などの模様を表現した絵柄印刷層4b、もしくはベタ印刷層4aを印刷下地とし、その上に絵柄印刷層4bを重ねて意匠性を向上させる、いずれの構成としてもよい。印刷層4は基材樹脂層3と表面樹脂層5の熱接着性を付与する層でもある。印刷層4を形成するインキのビヒクルとしては、例えばニトロセルロース、酢酸セルロースなどのセルロース誘導体、ポリエステルウレタン樹脂などの公知のものが使用できるが、なかでも密着及び熱接着性の両観点からニトロセルロース−アルキド樹脂系インキが好ましい。
【0033】
(化粧フィルムを積層する基板)
本発明の化粧フィルムを積層する基板としては、例えば、アルミニウム板、アルミニウム合金板、銅板、銅合金板、鋼板、亜鉛めっき鋼板、亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板、ステンレス鋼板などの金属板、木材単板、木材合板、パーティクルボード、MDFなどの木質板、または石膏ボード、珪酸カルシウムボード、石綿スレートボードなどの無機質からなるボードが用いられる。
【0034】
金属板としては、中でも、厚さ0.10〜0.50mmの普通鋼の冷延鋼板が好ましい。冷延鋼板の中でも低炭素または極低炭素アルミキルド鋼板が好ましく使用されるが、Nb、Tiなどを添加した非時効性鋼、3〜18重量%のクロムを含有するクロム含有鋼板、種々の組成を有するステンレス鋼板なども使用することができる。これらの冷延鋼板の表面に表面処理を施した表面処理鋼板も使用可能である。表面処理としてはめっき処理、化成処理、塗装処理などがあり、めっき処理としては例えば亜鉛めっき、錫めっき、ニッケルめっき、クロムめっき、亜鉛−アルミニウム合金めっき、ニッケル−りんめっき、ニッケル−亜鉛めっき、ニッケル−コバルトめっき、ニッケル−錫めっき、アルミニウムめっきなどがある。
【0035】
(積層方法)
上記の化粧フィルム10は上記の基板1の片面または両面に、公知の熱融着法などを用いて基板に積層する。基板1が金属板の場合、金属板を化粧フィルム10の接着樹脂層2の融点以上の温度に加熱し、化粧フィルムの接着樹脂層を金属板に当接し、1対のラミネートロールで両者を挟み付け、直ちに水中に浸漬して急冷する。金属板との接着力を高度に要求されるものに対しては、接着剤12を介在させて金属板と化粧フィルムを積層することも可能である。
【0036】
基板1が木質板やボードの場合は、化粧フィルム10の接着樹脂層2に接着剤12を塗布するか、または基板1に接着剤12を塗布し、接着剤12を介在させて基板1と化粧フィルム10を積層する。
【0037】
化粧フィルム10と基板1の貼合わせに用いられる接着剤12としては、一般的な接着剤、例えば、ポリエステル系、酢酸ビニル樹脂系、エチレン−ビニルアセテート樹脂系、尿素樹脂系、ウレタン樹脂系などのエマルジョン型接着剤が、火気に対して安全で、臭気もなく、価格的にも安価なため好ましく用いられる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例にて本発明をさらに詳細に説明する。
(比較例1と実施例1〜4)
表1の比較例1と実施例1〜4に示した基材樹脂層用のポリブチレンテレフタレート(PBT)と、表1の比較例1と実施例1〜4に示した添加量で滑剤を混練した接着樹脂層用のエチレンテレフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂(エチレンイソフタレート:15モル%、PETI15)をそれぞれ加熱溶融し、Tダイから共押出しし、エンボス加工を施したキャスティングロール上にPBTが当接するように押出し、片面にエンボス凹部を有する厚さ:60μmのPBTと厚さ:20μmのPETI15からなる5種類の2層フィルムを作成した。
【0039】
次いで、これらの2層樹脂フィルムのエンボス凹部を有する面に2液硬化型ウレタン系着色インキをロールコート法により塗工した後、ドクターブレードでエンボス凹部以外の部分に付着している着色インキをワイピングで除去した後、エンボス凹部内部に充填された着色インキを固化させ、ワイピング印刷フィルムとした。次いでこれらの2層フィルムのワイピング印刷面にニトロセルロース−アルキド系インキを用い、比較例1と実施例1〜2に用いるフィルムの場合はベタ印刷層と絵柄印刷層を、実施例3に用いるフィルムの場合はベタ印刷層を、実施例4に用いるフィルムの場合は絵柄印刷層を、それぞれグラビア輪転機によりインラインにて印刷した。
【0040】
また別途、比較例1と実施例1〜4に用いる表面樹脂層として、それぞれ厚さ:60μmの市販のPBT、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアリレート(PAR)、ポリメタクリル酸メチル(PMM)のフィルムを準備した。そしてこれらの5種類の2層フィルムにこれらの5種類の表面樹脂層用のフィルムを重ね合わせ、片方がエンボス加工を施したエンボスロールである1対の加圧ロールを用いて挟み付け、加熱しながら加圧し、最上層となる表面樹脂層用のフィルム表面にエンボス凹部を刻設するとともに、接着圧力:1.5MPaを負荷し、加熱温度:180〜210℃の条件で接着し、4層の比較例1と実施例2〜4の化粧フィルムを作成した。
【0041】
次いで、厚さ0.5mmの亜鉛めっき鋼板(亜鉛めっき量:10g/m2、めき後の化成処理はクロメート処理をCrとして40mg/m2付着させた)の片面にポリエステル系接着剤を10g/m2 の塗布量で塗布し、この接着剤塗布面が上記の比較例1と実施例1〜4の各化粧フィルムの接着樹脂層と当接するようにして重ね合わせ、1対の加圧ロールを用いて挟み付け、加熱しながら加圧して積層接着し、化粧板とした。積層接着は、亜鉛めっき鋼板の加熱温度:235℃、接着圧力:1.5MPaの条件で実施した。
【0042】
(実施例5〜8)
表1の実施例5〜8に示した基材樹脂層用のPBTと、表1の実施例5〜8に示した添加量でアイオノマーおよび滑剤を混練した接着樹脂層用のブチレンテレフタレート−ブチレンイソフタレート共重合樹脂(ブチレンイソフタレート:20モル%、PBTI20)をそれぞれ加熱溶融し、Tダイからキャスティングロール上に共押出しし、厚さ:60μmのPBTと厚さ:20μmのPBTI20からなる4種類の2層フィルムを作成した。
【0043】
また別途、実施例5に用いる表面樹脂層として市販のポリエチレンテレフタレートの二軸延伸フィルム(厚さ:60μm)を準備し、実施例6〜8に用いる表面樹脂層としてエチレンテレフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂(エチレンイソフタレート:12モル%、PETI12)、ブチレンテレフタレート−ブチレンイソフタレート共重合樹脂(ブチレンイソフタレート:15モル%、PBTI15)、およびポリトリメチレンテレフタレートをそれぞれ加熱溶融し、Tダイから押出し、厚さ:60μmの表面樹脂層用のフィルムを作成した。
【0044】
そして上記の4種類の2層フィルムのPBT面にそれぞれ、実施例5〜8の表面樹脂層用のフィルムを重ね合わせ、片方が鏡面仕上げを施した鏡面ロールである1対の加圧ロールを用いて挟み付け、加熱しながら加圧し、最上層となる実施例5〜8の表面樹脂層のそれぞれの表面を鏡面仕上げとするとともに、接着圧力:1.5MPaを負荷し、加熱温度:180〜250℃の条件で接着し、3層の実施例5〜8の化粧フィルムを作成した。
【0045】
次いで、厚さ0.5mmの亜鉛−55%アルミニウム合金めっき鋼板(めっき量270g/m2、めっき後、塗布型クロメート処理をおこない、Crとして40mg/m2付着させた)の片面が上記の実施例5〜8の各化粧フィルムの接着樹脂層と当接するようにして重ね合わせ、1対の加圧ロールを用いて挟み付け、加熱しながら加圧して積層接着し化粧板とした。積層接着は、亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板の加熱温度:250℃、接着圧力:1.5MPaの条件で実施した。
【0046】
(比較例2〜3と実施例9〜10)
表1の比較例2〜3と実施例9〜10に示したIV値を有する基材樹脂層用のPBTと、表1の比較例2〜3と実施例9〜10に示した接着樹脂層用のエチレンテレフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂(エチレンイソフタレート:15モル%、PETI15)をそれぞれ加熱溶融し、Tダイからキャスティングロール上に共押出しし、厚さ:60μmのPBTと厚さ:20μmのPETI15からなる4種類の2層フィルムを作成した。
【0047】
また別途、比較例2〜3と実施例9〜10に用いる表面樹脂層として、それぞれ厚さ:60μmのPBTを加熱溶融し、Tダイから押出し厚さ:60μmの表面樹脂層用のPBTフィルムを作成した。そして上記の4種類の2層フィルムにこれらの4種類の表面樹脂層用のPBTフィルムを重ね合わせ、片方がエンボス加工を施したエンボスロールである1対の加圧ロールを用いて挟み付け、加熱しながら加圧し、最上層となる表面樹脂層用のフィルム表面にエンボス凹部を刻設するとともに、接着圧力:1.5MPaを負荷し、加熱温度:210℃の条件で接着した。次いで、これらの化粧フィルムの最上層のフィルムのエンボス加工面に、2液硬化型ウレタン系艶調整用塗料を版深:30μmのグラビアロールにてコートし、3層の比較例2〜3と実施例9〜10の化粧フィルムを作成した。
【0048】
次いで、厚さ0.5mmのステンレス鋼板(SUS430)の片面が上記の比較例2〜3と実施例9〜10の各化粧フィルムの接着樹脂層と当接するようにして重ね合わせ、1対の加圧ロールを用いて挟み付け、加熱しながら加圧して積層接着し化粧板とした。積層接着は、SUSの加熱温度:240℃、接着圧力:1.5MPaの条件で実施した。
【0049】
(実施例11)
クリーム色顔料を20質量%を混練した基材樹脂層用のPBTと、接着樹脂層用のPETI15をそれぞれ加熱溶融し、Tダイから共押出しし、エンボス加工を施したキャスティングロール上にPBTが当接するように押出し、片面にエンボス凹部を有する厚さ:60μmのPBTと厚さ:20μmのPETI15からなる2層フィルムの化粧フィルムを作成した。
【0050】
次いで、この2層フィルムのPETI15面に厚さ0.5mmの電気亜鉛めっき鋼板(亜鉛めっき量:10g/m2、めき後の化成処理はクロメート処理をCrとして40mg/m2付着させた)を重ね合わせ、1対の加圧ロールを用いて挟み付け、加熱しながら加圧して加熱圧接した後急冷し、試料番号14の化粧板とした。圧接は、接着圧力:1.5MPaを負荷し、加圧ロールの加熱温度:210℃、電気亜鉛めっき鋼板の加熱温度:240℃の条件で行った。
【0051】
(実施例12)
クリーム色顔料を20質量%を混練した基材樹脂層用のPBTと、接着樹脂層用のPETI15をそれぞれ加熱溶融し、Tダイから共押出しし、鏡面加工を施したキャスティングロール上にPBTが当接するように押出し、片面に鏡面仕上げ面を有する厚さ:60μmのPBTと厚さ:20μmのPETI15からなる2層フィルムの化粧フィルムを作成した。
【0052】
次いで、この2層フィルムのPETI15面に厚さ0.5mmの電気亜鉛めっき鋼板(亜鉛めっき量:10g/m2、めき後の化成処理はクロメート処理をCrとして40mg/m2付着させた)を重ね合わせ、1対の加圧ロールを用いて挟み付け、加熱しながら加圧して加熱圧接した後急冷し、実施例12の化粧板とした。圧接は、接着圧力:1.5MPaを負荷し、加圧ロールの加熱温度:210℃、電気亜鉛めっき鋼板の加熱温度:210℃の条件で行った。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
(試料の特性評価)
実施例1〜12と比較例1〜3の化粧板を、下記の特性について評価した。
[表面透明性]
光線透過率測定装置を用いて、JIS K 7105(プラスチックの光学的特性試験法)の光線透過率およびヘーズの測定方法に準拠して、実施例1〜12と比較例1〜3の化粧フィルムの全光線透過率およびヘーズを測定し、下記の4段階で評価した。
◎:透過率:≧85%、かつ、ヘーズ:≦2%
○:透過率:80〜85%、かつ、ヘーズ:2〜4%
△:透過率:75〜80%、かつ、ヘーズ:4〜6%
×:透過率:≦75%、かつ、ヘーズ:≧6%
上記の評点において、◎および○は使用上の問題はない。
【0056】
[耐巻きずれ性]
幅:400mmのTダイを用いて作成した実施例1〜12と比較例1〜3の化粧フィルムを500m連続して巻き取りリールにコイル状に巻き取り、巻き取った端部のずれを測定し、下記の4段階で評価した。
◎:≦0.5mm
○:0.5〜1mm
△:1〜5mm
×:≧5mm
上記の評点において、◎および○は使用上の問題はない。
【0057】
[エンボス加工性]
実施例1〜12と比較例1〜3の化粧板のうち、最表面の樹脂フィルムにエンボス加工を施した試料について肉眼観察し、エンボス加工性を下記の4段階の基準で評価した。
◎:優秀、○:良好、△:やや不良、×:不良
なお、上記の評価基準は、ポリ塩化ビニル樹脂フィルムの表面粗さ(Ra:μm)を東京精密社製SURFCOM表面粗さ計を用いてJIS B0601 に準拠して測定し、平均表面粗さが4μmである場合をエンボス加工性の合格基準とし、平均表面粗さが4μmのポリ塩化ビニル樹脂フィルムの表面を上回る外観を有するものを優秀(◎)、ポリ塩化ビニル樹脂フィルムの表面と同等以上の外観を有するものを良好(○)とし、ポリ塩化ビニル樹脂フィルムの表面と比べてやや劣るが実用上問題ない外観を有するものをやや不良(△)とし、エンボス加工が入らないものを不良(×)として、判定した。
【0058】
[加工性]
実施例1〜12と比較例1〜3の化粧板にJIS Z 2248(金属材料曲げ試験方法) に準拠して、0T折り曲げ加工を施し、折り曲げ加工部のフィルムの表面を肉眼観察し、下記の4段階の基準で評価した。
◎:折り曲げ部に割れは全く認められない。
○:折り曲げ部の先端に微かな白色化が認められる。
△:折り曲げ部全体に白色化が認められる。
×:折り曲げ部にかなりの程度の割れが認められる。
上記の評点において、◎および○は使用上の問題はない。なお、この試験は10枚の試験片について実施した。
【0059】
[耐水劣化性]
本発明の化粧板を高温多湿の状態で長時間経時させた場合(例えばユニットバスの内装材として用いた場合など)を想定し、長時間水と接した場合の樹脂フィルムの耐水劣化性をデュポン衝撃試験法で評価した。
実施例1〜12と比較例1〜3の化粧板から60mm×60mmの大きさの試験片を切り出し、38±2℃の温度に保持された脱塩水中に1カ月間浸漬した後室温で乾燥し、デュポン衝撃試験機を用い、JIS K 5400に準拠した条件(衝撃部の大きさ1/2inchφ、重さ1kg、落下高さ50cm)で衝撃を負荷した。衝撃を負荷した後の樹脂フィルムの状態を肉眼観察し、下記の5段階で評価した。
◎:樹脂フィルムに割れが認められない。
○:樹脂フィルムの一部に細かい割れが認められる。
△:樹脂フィルムの表面全体に細かい割れが認められる。
×:樹脂フィルムの表面全体に大きな割れが認められる。
××:樹脂フィルム全体に割れが著しい。
上記の評点において、◎および○は使用上の問題はない。なお、この試験は10枚の試験片について実施した。
【0060】
[耐アルカリ性]
本発明の化粧板がアルカリ性の黴除去剤と長時間接触した場合を想定し、樹脂フィルムの耐アルカリ性を下記の要領で評価した。
実施例1〜12と比較例1〜3の化粧板から60mm×60mmの大きさの試験片を切り出し、90°折り曲げ加工を施した後、38±2℃の温度に保持されたpH:12.5のカセイソーダ水溶液中に1週間浸漬した後室温で乾燥し、加工部を倍率:50倍の光学顕微鏡で観察し、下記の5段階で評価した。
◎:樹脂フィルムに割れが認められない。
○:樹脂フィルムの一部に細かい割れが認められる。
△:樹脂フィルムの表面全体に細かい割れが認められる。
×:樹脂フィルムの表面全体に大きな割れが認められる。
××:樹脂フィルム全体に割れが著しい。
上記の評点において、◎および○は使用上の問題はない。なお、この試験は10枚の試験片について実施した。
これらの評価結果を表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】
表2に示すように、本発明の化粧フィルムおよび化粧板は、表面透明性、耐巻きずれ性、エンボス加工性、加工性、耐水劣化性、耐アルカリ性のいずれにおいても優れた特性を示す。
【0063】
(実施例13)
表1〜2の実施例1と同様のPBTと、表1〜2の実施例1と同一のPETI15をそれぞれ加熱溶融し、Tダイから共押出しし、エンボス加工を施したキャスティングロール上にPBTが当接するように押出し、片面にエンボス凹部を有する厚さ:60μmのPBTと厚さ:20μmのPETI15からなる2層フィルムを作成した。
【0064】
次いで、この2層樹脂フィルムのエンボス凹部を有する面に実施例1の場合と同様にしてエンボス凹部内部に充填された着色インキを固化させ、ワイピング印刷フィルムとした。次いでこの2層フィルムのワイピング印刷面に実施例1の場合と同様にしてベタ印刷層と絵柄印刷層を印刷した。
【0065】
また別途、表面樹脂層として、厚さ:60μmの市販のPBTを準備し、上記の2層フィルムにこの表面樹脂層用PBTフィルムを重ね合わせ、片方がエンボス加工を施したエンボスロールである1対の加圧ロールを用いて挟み付け、加熱しながら加圧し、最上層となる表面樹脂層用のフィルム表面にエンボス凹部を刻設するとともに、接着圧力:1.5MPaを負荷し、加圧ロールの加熱温度:180〜210℃の条件で接着した。
このようにして作成した多層フィルムを下記の要領でボードに積層した。
厚さ8mmの石膏ボードにポリウレタン系接着剤を 80g/m2の塗布量で塗布し、前記多層フィルムを加熱温度180℃、接着圧力:1.5MPa、圧着時間:25秒の条件で加熱圧着し化粧板を得た。
【0066】
(実施例14)
実施例13と同一の多層フィルムを下記の要領で木質板に積層した。
厚さ6mmの木材合板にポリウレタン系接着剤を 50g/m2の塗布量で塗布し、前記多層フィルムを180℃、接着圧力:1.5MPa、圧着時間:20秒の条件で加熱着し、化粧板を得た。
【0067】
【発明の効果】
本発明の化粧板は、滑剤を混練した接着樹脂層、特に結晶化速度の大きいPBTからなる基材樹脂層と、および選択的に設ける印刷層およびエンボス性に優れな樹脂からなる表面樹脂層とからなる多層の化粧フィルムを、亜鉛めっき鋼板などの金属板や木質板、無機質ボードなどの基板に積層接着してなる化粧板であり、接着樹脂層に滑剤が表面の透明性を損なわずに含有されているために表面の透明性(意匠性)に優れるとともに、化粧フィルムをロールに巻き取る際に捲きずれが生じにくく、また従来のポリ塩化ビニル樹脂フィルムと同様に良好なエンボス加工性および加工性を示し、さらに耐水劣化性、耐アルカリ性のいずれにおいても優れた特性を示す。
またさらに、焼却廃棄する際に、塩化水素ガスのような有毒ガスの発生がないため、環境を汚染する心配もなく環境保全性においても優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧フィルムの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の化粧フィルムの他の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の化粧フィルムの他の一例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の化粧フィルムの他の一例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の化粧フィルムの他の一例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の化粧フィルムの他の一例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の化粧フィルムの他の一例を示す概略断面図である。
【図8】本発明の化粧フィルムの他の一例を示す概略断面図である。
【図9】本発明の化粧板の一例を示す概略断面図である。
【図10】本発明の化粧板の他の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 接着樹脂層
3 基材樹脂層
4 印刷層
4a ベタ印刷層
4b 絵柄印刷層
5 表面樹脂層
6 エンボス凹部
7 鏡面仕上面
8 艶調整層
9 インキ
10 化粧フィルム
12 接着剤
Claims (20)
- シリカ系滑剤0.05〜3重量%を混練したポリエステル樹脂から成る接着樹脂層、ポリエステル樹脂から成る基材樹脂層、印刷層、表面樹脂層が下から順次積層されてなる化粧フィルムであって、前記接着樹脂層を基板と当接することを特徴とする化粧フィルム。
- シリカ系滑剤0.05〜3重量%を混練したポリエステル樹脂から成る接着樹脂層、ポリエステル樹脂から成る基材樹脂層、表面樹脂層が下から順次積層されてなる化粧フィルムであって、前記接着樹脂層を基板と当接することを特徴とする化粧フィルム。
- シリカ系滑剤0.05〜3重量%を混練したポリエステル樹脂から成る接着樹脂層、ポリエステル樹脂から成る基材樹脂層が下から順次積層されてなる化粧フィルムであって、前記接着樹脂層を基板と当接することを特徴とする化粧フィルム。
- 前記基材樹脂層を構成するポリエステル樹脂がポリブチレンテレフタレート、着色顔料を混練したポリブチレンテレフタレートのいずれかである、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧フィルム。
- 前記表面樹脂層がポリエステル樹脂、ポリアリレート、アクリル系樹脂のいずれかからなる、請求項1又は2記載の化粧フィルム。
- 前記表面樹脂層を構成するポリエステル樹脂が二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート、変性ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレートである、請求項5に記載の化粧フィルム。
- 前記表面樹脂層にエンボス加工、鏡面仕上加工のいずれかが施されてなる、請求項1,2,5,6のいずれかに記載の化粧フィルム。
- 前記表面樹脂層の上にさらに艶調整層を設けてなる、請求項7に記載の化粧フィルム。
- 前記印刷層が絵柄印刷層、ベタ印刷層またはベタ印刷層の上に絵柄印刷層が積層されてなる、請求項1に記載の化粧フィルム。
- 前記基材樹脂層がエンボス加工を施され、該エンボス加工により形成されたエンボス凹部にインキが充填されてなる印刷層を有する、請求項1に記載の化粧フィルム。
- 前記基材樹脂層にエンボス加工、鏡面仕上加工のいずれかが施されてなる、請求項3に記載の化粧フィルム。
- 前記エンボス加工を施した基材樹脂層の上にさらに艶調整層を設けた、請求項11に記載の化粧フィルム。
- 前記接着剤樹脂を構成するポリエステル樹脂が変性ポリエチレンテレフタレート、変性ポリブチレンテレフタレートのいずれかである、請求項1〜12のいずれかに記載の化粧フィルム。
- 前記変性ポリエチレンテレフタレートが、エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体である、請求項6または13に記載の化粧フィルム。
- 前記変性ポリブチレンテレフタレートが、ブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート共重合体である、請求項4または13のいずれかに記載の化粧フィルム。
- 前記接着樹脂層の樹脂成分中にアイオノマー樹脂成分を1〜50質量%含有してなる、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧フィルム。
- 樹脂フィルムを積層する基板の少なくとも片面に、請求項1〜16のいずれかに記載の化粧フィルムを、前記滑剤を混練したポリエステル樹脂から成る接着樹脂層と基板が当接するようにして積層してなる化粧板。
- 前記基板と前記化粧フィルムの間に接着剤を介して積層してなる、請求項17に記載の化粧板。
- 前記基板が金属板、木質板、無機質ボードのいずれかである、請求項17または18に記載の化粧板。
- 前記金属板が亜鉛めっき鋼板、亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板あるいはステンレス鋼板である、請求項19に記載の化粧板。
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