JP2004050777A - 化粧シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも非結晶性ポリエステル樹脂層12上に非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13が積層されてなる基材シートの、該非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13側の面に、凹凸のエンボスパターン14を設け、該エンボスパターン14面に、その凹凸を埋める厚さの透明又は半透明の接着性樹脂層16を介して、透明又は半透明の熱可塑性樹脂シート17を積層した化粧シートである。上記基材シートにおける非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13及び/又は接着性樹脂層16に、光輝性顔料を分散すると、さらに意匠性に優れた化粧シートを得ることができる。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等の建築物における壁材、天井材、床材、造作材等の内装材や建具、家具什器類、住設機器や家電製品の外装、自動車等の車両内装等に使用するための化粧シートに関する。さらに詳しくは、表面は平滑でありながら、内部に凹凸のエンボスが施されて立体感を呈する化粧シートであって、折り曲げ加工や延伸加工、3次元成形加工等が施されても、該立体感が消失しにくい、加工性に優れた化粧シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、特に厨房家具の表面化粧材においては、使用者の意匠に対する好みの多様化が進んでおり、中でも立体感のある意匠を有する化粧材は、他との差別化を図るという点において、高い支持を得ている。この立体感のある意匠を得る目的で、化粧材、特にその表面装飾材である化粧シートの表面に、凹凸のエンボスパターンを賦形させたものが、最も多く利用されている(特開平2−128843号、特開平5−278137号等)。
【0003】
しかしながら、この表面に凹凸模様が付与された化粧材によって得られる意匠は、ある程度の立体感は表現されているものの、全体的に満足される程度のものではなく、例えば見る角度によって意匠が大きく変化するといった効果を得ることは難しい。さらに、表面に凹凸模様があることにより、凹部に埃やその他の汚れが溜まり易く、また、拭き取ることも困難であるため、特に厨房家具の表面化粧材としては不向きであった。
【0004】
十分に立体的な意匠を得つつ、化粧材表面の汚損を軽減するためには、凹凸のエンボスパターンを化粧シートの表面に賦形するかわりに、着色熱可塑性樹脂シート等の基材シートの表面に凹凸のエンボスパターンを賦形し、その上に、該エンボスパターンの凹凸を埋める厚さの透明な接着性樹脂層を介して、透明な熱可塑性樹脂シートを積層し、表面を平滑に仕上げてなる、所謂内部エンボス構造を有する化粧シートも、既に広く知られている(特公昭63−24467号、特公平7−22989号等)。
【0005】
しかし、上記した構成の従来の内部エンボス構造を有する化粧シートは、合板等の基材とのラミネートにあたり化粧シートに熱が加えられたり、Vカット加工、ラッピング加工又は真空成形加工等の折り曲げ加工や立体成形加工が施されたりすると、加工時の熱やシートの伸長などによって、基材シートの表面の凹凸のエンボスパターンが浅くなったり不鮮明になったりする、所謂エンボス戻りが発生し、内部エンボス効果による立体感が減殺されてしまう場合がある。
【0006】
このようなエンボス戻りを抑制する手法の一つとして、表面に凹凸のエンボスパターンを賦形した基材シート上に、透明な熱硬化型樹脂又は電離放射線硬化型樹脂等の耐熱圧性樹脂を介して、透明な熱可塑性樹脂シートを積層した構成の化粧シートの提案もある(特開平4−128041号等)。
【0007】
しかし、このようにして熱可塑性樹脂からなる基材シートのエンボスパターン面上に耐熱圧性樹脂の層を設けた化粧シートは、平圧プレス又はロールプレス等のように、単なる加熱及び厚み方向の圧縮力には強いものの、折り曲げ加工や立体成形加工を施すと、耐熱圧性樹脂が熱可塑性樹脂からなる基材シートや透明な熱可塑性樹脂シートの伸びに追従し切れないために、耐熱圧性樹脂の層に亀裂が発生したり、耐熱圧性樹脂の層と熱可塑性樹脂からなる層との間に部分的に空隙が発生したりして、それが意匠上の重大な欠点(所謂銀目現象)となる場合がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、内部エンボスによる十分に立体的な意匠を有し、且つ、折り曲げ加工や立体成形加工を施しても、エンボス戻りや銀目などの意匠欠陥を発生することなく、良好な立体的な意匠を保持可能な化粧シートを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の化粧シートは、基材シートの表面に凹凸のエンボスパターンが設けられ、該エンボスパターン面側に、該エンボスパターンの凹凸を埋める厚さの透明又は半透明の接着性樹脂層を介して、透明又は半透明の熱可塑性樹脂シートが積層されてなる化粧シートにおいて、前記基材シートが、少なくとも非結晶性ポリエステル樹脂層上に非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層が積層されてなり、該非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層側の面に前記凹凸のエンボスパターンが設けられてなることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の化粧シートは、上記化粧シートにおいて、前記非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層が、ポリエチレンテレフタレート系樹脂とポリブチレンテレフタレート系樹脂との混合物であることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の化粧シートは、上記化粧シートにおいて、前記透明又は半透明の熱可塑性樹脂シートが、非結晶性ポリエステル樹脂又は非晶状態の結晶性ポリエステル系樹脂からなることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の化粧シートは、上記化粧シートにおいて、前記非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層に光輝性顔料が分散されていることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の化粧シートは、上記化粧シートにおいて、前記接着性樹脂層に光輝性顔料が分散されてなることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の化粧シートは、上記化粧シートにおいて、前記非結晶性ポリエステル樹脂層の前記非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層とは反対側の面に、第二の非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層が積層されてなることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を引用して本発明を説明する。
【0016】
本発明の化粧シートは、図1に示す様に、少なくとも非結晶性ポリエステル樹脂層12上に非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13が積層された複層シートを、基材シートとしている。なお、この基材シートにおいて、非結晶性ポリエステル樹脂層12の裏面側には、他の層が積層されていても良く、例えば図2に示す様に、非結晶性ポリエステル樹脂層12の裏面側に、第二の非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13が積層された、3層構成のシートを基材シートとすることもできる。
【0017】
一般的に、非結晶性ポリエステル樹脂は有機溶剤との親和性が高く、化粧材用基材と化粧シートとを貼り合わせるための接着剤中に含まれる有機溶剤の影響などによって容易に膨潤、溶解してしまう場合がある。そこで、化粧シートの裏面からの有機溶剤などによる悪影響を抑制する目的で、非結晶性ポリエステル樹脂層12の裏面側に、より有機溶剤に対する耐性の高い樹脂の層を設けておくと、接着加工性の面からは有利である。例えば、上記した第二の非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13は、非結晶性ポリエステル樹脂層12よりも有機溶剤に対する耐性が高いので、接着加工性の向上に有効である。
【0018】
そして、本発明の化粧シートは、上記基材シートにおける非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13側の表面に、凹凸のエンボスパターン14が設けられ、このエンボスパターン14面側に、該エンボスパターン14の凹凸を埋める厚さの透明又は半透明の接着性樹脂層16を介して、透明又は半透明の熱可塑性樹脂シート17が積層されてなることを特徴としている。
【0019】
本発明の化粧シートに使用する非結晶性ポリエステル樹脂や非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂としては、特開2001−322219号、特開2002−86652号、特開2002−113833号、特開2002−113834号等に記載のものと同様のものを使用することができる。
【0020】
すなわち、非結晶性ポリエステル樹脂とは、通常の樹脂成形条件下では殆ど結晶化することのない程度に結晶化速度の遅い熱可塑性ポリエステル樹脂であれば良く、具体的には例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の通常の熱可塑性ポリエステル樹脂において、ジオール成分としてエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールなどを共重合させた、所謂共重合ポリエステル樹脂などを使用することができる。
【0021】
一方、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂とは、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂等、本来は結晶性である通常のポリエステル樹脂を、結晶化させない成形条件でシート状に成形したものであり、好ましくは結晶化度5%以下である。
【0022】
この非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13は、エンボス加工前は殆ど結晶化していないので、柔軟で軟化温度も低く、エンボス加工適性に優れているが、凹凸のエンボスパターン14を賦形するための熱圧エンボス加工時の熱により部分的に結晶化し(通例、結晶化度30〜60%程度)、剛性及び耐熱性が向上して、加熱や延伸を受けてもエンボスパターン14が殆ど劣化(エンボス戻り)しない様になる。
【0023】
また、エンボス戻りの耐熱性及び/又はエンボス賦形加工のし易さを制御する目的で、2種類以上のポリエステル樹脂を任意に配合させても良く、特に、ポリエチレンテレフタレート系樹脂に対してポリブチレンテレフタレート系樹脂(これらは、ホモポリマーのみならず、共重合ポリマーや、共重合ポリマーとホモポリマーとの混合物などであっても良い)を、好ましくは5〜70重量%程度の範囲内で添加した混合樹脂などを使用すると、熱圧エンボス加工後にポリブチレンテレフタレート系樹脂が部分的に結晶化することにより剛性及び耐熱性が増し、後加工時に加熱や延伸を受けた際のエンボス戻りの抑制に非常に効果的である。
【0024】
基材シートのエンボスパターン14面を構成する非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13は、エンボスパターン14を化粧シート表面から視認し易い様に、適宜の色彩に着色されていることが望ましい。
【0025】
その色彩としては、例えば白色や絵柄インキ層15による絵柄の背景色などであっても良いが、特に、例えばアルミニウム粉等の金属粉や酸化チタン被覆雲母等のパール顔料等の光輝性顔料を分散させると、エンボスパターン14との相乗効果により、見る角度によって輝度感及び立体感などの意匠が変化する効果をより高めることができる。
【0026】
基材シートにおける非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13の裏面側の層、例えば非結晶性ポリエステル樹脂層12は、透明であっても良いし、着色されていても構わない。
【0027】
上記非結晶性ポリエステル樹脂層12と非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13とを積層する際には、例えばドライラミネート法や熱ラミネート法などの任意のラミネート方式により貼り合わせても良いし、共押出し法により同時にシート成形を行っても良い。
【0028】
但し、熱ラミネート法により積層する場合には、加工時に加える熱、圧力により非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13の結晶化が進行し、その後の熱圧エンボス加工が困難になるので、該熱ラミネートと同時に非晶状態の結晶性ホ゜リエステル樹脂層13面側から熱圧エンボス加工を行って、凹凸のエンボスパターン14を賦形させることが好ましい。
【0029】
非結晶性ポリエステル樹脂層12及び非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13の厚みについては、任意に選択することができるが、エンボスパターン14を賦形することやシートとしての取り扱い易さを考慮すると、非結晶性ポリエステル樹脂層12については50〜300μm程度、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13については10〜200μm程度であることが好ましく、両者の積層厚みとしては100〜500μm程度であることが好ましい。
【0030】
また、両者の厚み比率についても、任意の数値を取ることができるが、部分的に結晶化が進行した非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13が厚くなると、折り曲げ加工適性や立体成形加工適性が減殺されるおそれがあるので、非結晶性ポリエステル樹脂層12と非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13との厚みの比率が10:1〜2:1程度であることが好ましい。
【0031】
基材シートの裏面には、この化粧シートを表面に貼着して化粧材として使用するための、各種の化粧材用基材との接着性を高める目的で、易接着性の樹脂組成物からなるプライマー樹脂層11を設けておくこともできる。
【0032】
非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13の表面に施される凹凸のエンボスパターン14としては、任意の形状及び深さを選択することが可能であるが、十分に立体的な意匠を得、且つ、接着性樹脂層16を凹凸の底部まで浸透させることを考慮すると、深さは5〜50μm程度であることが好ましい。
【0033】
上記エンボスパターン14は、加熱した基材シートの非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13側から、表面に凹凸形状を有するロール状若しくは板状のエンボス版を押し当てることによって賦形させることができる。この時、基材シートに与えられた熱及び圧力の影響によって、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13の結晶化が進行し、剛性及び耐熱性が向上することにより、エンボスパターン14は以後の加熱や圧力、伸長等によるエンボス戻りが発生しにくくなる。
【0034】
ここで、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13の結晶化度は、エンボス加工時の熱及び圧力条件によって調整することができ、エンボス戻りの防止の観点からは結晶化度が高い方が望ましいが、あまり高すぎると折り曲げ加工性や立体成形加工性が悪化する原因となるので、熱圧エンボス加工後の結晶化度は30〜60%程度とすることが好ましい。
【0035】
凹凸のエンボスパターン14が賦形された基材シートの表面には、通常の化粧シートにおけると同様、絵柄インキ層15により任意の所望の絵柄を付与することができる。絵柄インキ層15の形成方法は、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等、従来公知の印刷法を任意に用いることができる。なお、絵柄インキ層15の印刷は、凹凸のエンボスパターン14の賦形前であっても賦形後であっても良い。
【0036】
接着性樹脂層16は、樹脂の性質により透明もしくは下層の絵柄インキ層15やエンボスパターン14が視認出来る程度までに半透明の樹脂を使用することが出来るほか、下層の絵柄インキ層15やエンボスパターン14が視認できる程度まで顔料もしくは染料、更には金属粉やパール顔料等の光輝性顔料を分散することも任意である。特に、基材シートの表面である非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13とは異なる色彩に着色、及び/又は異なる光輝感を呈する様に光輝性顔料を分散した、着色透明ないし半透明状態とすることにより、エンボスパターン14による立体感や、見る角度により変化する意匠感などを、更に強調することもできる。
【0037】
この接着性樹脂層16の厚みは任意であるが、少なくともエンボスパターン14の凹凸を完全に埋めるだけの厚みが必要であり、特に、エンボスパターン14の凹部においては、気泡の混入による意匠の低下や、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13と透明又は半透明の熱可塑性樹脂シート17との間の剥離などの原因となることがない様に、該凹部の底部まで十分に浸透していることが必要である。
【0038】
接着性樹脂層16は種々の材料から選択することができ、また、塗工方式についても例えばロールコート法、グラビアコート法、リップコート法、ダイコート法など任意の方式から選択することができる。また、エンボスパターン14の凹凸を完全に埋めて平滑な表面を与えるために、一旦エンボスパターン14の凹部の底部まで十分に浸透する程度にまで過剰に樹脂を塗工した後に、ワイピング法等により余分な樹脂を掻き取ることも可能である。
【0039】
透明又は半透明の熱可塑性樹脂シート17は、基材シート上に設けられた凹凸のエンボスパターン14や絵柄インキ層15を保護すると共に、化粧シートに平滑な表面を与え、凹部に汚染物が溜まったりしない耐汚染性や表面光沢感、鮮映性などを付与するために設けられるものである。
【0040】
その構成樹脂の種類については、本発明において特に限定されるものではなく、例えばポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等から任意に選択が可能である。ポリエステル系樹脂を用いる場合、あまり鋭角での折り曲げ加工や局所的な伸長倍率の高い立体成形加工などを目的としない場合には、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂シート等の結晶性ポリエステル樹脂であってもよい。
【0041】
しかし、より優れた折り曲げ加工適性や立体成形加工適性を付与するためには、より柔軟性や成形性に優れた非結晶性ポリエステル樹脂又は非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂を採用することが好ましい。また、この両者の積層体でも良く、例えば、特開2002−113833号等に倣って、透明又は半透明の熱可塑性樹脂シート17を、基材シート側の非結晶性ポリエステル樹脂層と、表面側の非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層との2層の積層体から構成しても良い。
【0042】
透明又は半透明の熱可塑性樹脂シート17に、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂を使用した場合には、真空成形加工等の成形加工条件によっては白化などの外観不良が発生する場合があるので、加工条件を考慮してこれらの樹脂から適したものを選定する必要がある。
【0043】
また、化粧シートの表面に高度の耐熱性や耐擦傷性、耐傷付き性、耐溶剤性等が要求される場合には、透明又は半透明の熱可塑性樹脂シート17の少なくとも表層部を、非晶状態の結晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂に結晶性ポリブチレンテレフタレート系樹脂を5〜70重量%程度添加した混合樹脂から構成すると良い。真空成形加工時等の熱処理によって、結晶性ポリブチレンテレフタレート系樹脂が部分的に結晶化し、優れた耐熱性や各種表面物性を与えるからである。
【0044】
透明又は半透明の熱可塑性樹脂シート17には、必要に応じて、例えば紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、帯電防止剤、結露防止剤、着色剤、充填剤、滑剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤等の添加剤を添加することもできる。
【0045】
透明又は半透明の熱可塑性樹脂シート17の表面には、必要に応じて、例えば耐候性、耐傷性、耐汚染性、抗菌性、防黴性、帯電防止性、結露防止性等の各種の機能を付与する目的で、種々の機能性層18を設けることもできる。
【0046】
【実施例】
実施例1
厚さ30μmの非晶状態の結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂層(A−PET層)と、厚さ120μmの非結晶性1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂層(PET−G層)とが積層されてなる共押出しフィルムを作製し、基材シートとした。このとき、A−PET層には、アルミニウム粉及び結晶性ポリブチレンテレフタレート系樹脂を、それぞれ5重量%及び30重量%添加した。
【0047】
この基材シートのA−PET層面に、ウレタン系印刷用インキ「ラミスター」(東洋インキ製造社製)を用いて、グラビア印刷法により絵柄印刷を施した後に、温度130℃のヒートドラムによりPET−G層側から予熱を与えながら、A−PET層側から赤外線ヒーターによりシート表面温度が160℃になるように加熱し、A−PET層側にロールエンボス法によって微細エンボスパターンを賦形させた。この時のエンボス深さの平均値は30μmであった。
【0048】
この基材シートのエンボスパターン形成面に対して、グラビアコート法により干渉パール顔料「Iriodin 289」(MERCK社製)を20重量%添加した接着剤「A−543」(三井武田ケミカル社製)を、エンボスパターンの凹凸を埋める厚さに塗工し、ドライラミネート法により厚さ150μmの透明非結晶性ポリエステル樹脂フィルム「NAGASE A−PET」(長瀬産業社製)を貼り合わせた。
【0049】
最後に、該透明非結晶性ポリエステル樹脂フィルム上に、シリコーン添加イソシアネート硬化型ポリウレタン樹脂「YL341」(東洋インキ製造社製)をグラビアコート法により塗工して防汚層を形成して、本発明の化粧シートを得た。
【0050】
比較例1
上記実施例1において、基材シートとして厚さ150μmの着色ポリ塩化ビニル樹脂フィルム(リケンテクノス社製、可塑剤含有量10phr)を用い、その他は上記実施例1と同様にして化粧シートを得た。
【0051】
比較例2
上記比較例1において、基材シートの表面にエンボスパターンを賦形させた後に、該エンボスパターンの凹凸部分に、ウレタンアクリレート系の紫外線硬化型樹脂を凹部が埋没する程度に塗工し、紫外線を照射して完全に硬化させ、その他は上記比較例1と同様にして化粧シートを得た。
【0052】
比較例3
上記実施例1において、基材シートとして厚さ150μmの着色非結晶性1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用い、その他は上記実施例1と同様にして化粧シートを得た。
【0053】
比較例4
上記実施例1において、基材シートとして厚さ150μmの非晶状態の結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用い、その他は上記実施例1と同様にして化粧シートを得た。
【0054】
比較評価
上記実施例1及び比較例1〜4の化粧シートを使用して、三次元凹凸形状を有するキッチン扉の形状に切削成形された中密度繊維板(MDF)製基材の表面に、メンブレンゴムを有する真空成形機にて熱盤温度160℃、熱圧着時間120秒間の成形条件にて真空成形積層して、化粧材を作製した。得られた化粧材の外観を評価したところ、下記の表の通りであった。
【0055】
【0056】
【発明の効果】
本発明の化粧シートは、所謂内部エンボス構造を有する化粧シートにおいて、非結晶性ポリエステル樹脂層の上に、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層が積層された基材シートの、該非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層側の面に、凹凸のエンボスパターンが設けられていることによって、非結晶性ポリエステル樹脂の優れた柔軟性や成形加工性により、Vカット又はラッピング等の折り曲げ加工適性や、真空成形等の三次元立体成形加工適性を有しており、しかも、前記非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層が、エンボス加工時の熱や圧力により部分的に結晶化し、剛性や耐熱性が向上しているために、加工時の熱や圧力、シートの伸長などよるエンボス戻り現象が抑制されると共に、両層は共にポリエステル樹脂という意味では同系の樹脂であることから、両層間の密着性に優れ、エンボスパターンの保持のために硬化型樹脂を使用した場合における如き、亀裂や剥離による銀目などの意匠上の問題を発生することもなく、良好な内部エンボス効果による立体感を、折り曲げ又は立体成形加工後も十分に維持することができる。
【0057】
また特に、上記非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層を、ポリエチレンテレフタレート系樹脂とポリブチレンテレフタレート系樹脂との混合物によって構成することにより、上記エンボス加工時の熱や圧力により、耐熱性に優れたポリブチレンテレフタレート系樹脂成分が容易に結晶化し、剛性や耐熱性を更に向上させて、エンボス戻りを更に効果的に防止すると共に、これら各樹脂の種類及び配合分量を適宜選定することによって、エンボス賦形時及び三次元立体成形加工時の加工条件に適合した化粧シートを任意に設計することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの実施の形態を示す側断面図である。
【図2】本発明の化粧シートの実施の形態を示す側断面図である。
【符号の説明】
11…プライマー樹脂層
12…非結晶性ポリエステル樹脂層
13…非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層
14…エンボスパターン
15…絵柄インキ層
16…接着性樹脂層
17…熱可塑性樹脂シート
18…機能性層
19…第二の非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層
Claims (6)
- 基材シートの表面に凹凸のエンボスパターンが設けられ、該エンボスパターン面側に、該エンボスパターンの凹凸を埋める厚さの透明又は半透明の接着性樹脂層を介して、透明又は半透明の熱可塑性樹脂シートが積層されてなる化粧シートにおいて、前記基材シートが、少なくとも非結晶性ポリエステル樹脂層上に非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層が積層されてなり、該非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層側の面に前記凹凸のエンボスパターンが設けられてなることを特徴とする化粧シート。
- 前記非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層が、ポリエチレンテレフタレート系樹脂とポリブチレンテレフタレート系樹脂との混合物であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
- 前記透明又は半透明の熱可塑性樹脂シートが、非結晶性ポリエステル樹脂又は非晶状態の結晶性ポリエステル系樹脂からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧シート。
- 前記非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層に光輝性顔料が分散されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
- 前記接着性樹脂層に光輝性顔料が分散されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
- 前記非結晶性ポリエステル樹脂層の前記非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層とは反対側の面に、第二の非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層が積層されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
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