JP2007239094A - 耐酸腐食鋼 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量%で、C:0.001〜0.2%、Si:0.01〜3.0%、Mn:0.01〜3.0%、Al:0.001〜0.3%、Cu:0.01〜2.0%、Ni:0.01〜2.0%及びCo:0.01〜0.2%を含有すると共に、P:0.035%以下及びS:0.030%以下に規制し、更に、必要に応じて、Mo、W、Sb、Sn、Se、Pb、Nb、V、Ti、Ta、Zr、B、Mg、Ca、Y、La及びCeからなる群から選択された1種又は2種以上の元素を所定量含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成にする。
【選択図】なし
Description
Cは、鋼の強度を高める効果があるが、Cを過剰に添加すると溶接性及び継手靭性が劣化する。具体的には、C含有量が0.2%を超えると、溶接性及び継手靭性が劣化し、溶接構造物用鋼としては好ましくない。一方、C含有量が0.001%未満になるまでの脱C化は、工業的な経済性を著しく阻害する。よって、C含有量は0.001〜0.2%とする。なお、Cを強化元素として利用する場合には、その含有量を0.002%以上とすることが好ましい。また、溶接施工性の観点からは、C含有量を0.18%以下とすることが好ましい。更に、Cは耐硫酸性を低下させる元素でもあるため、耐食性の観点からは、C含有量を0.15%以下とすることがより好ましい。更にまた、冷間圧延鋼板として使用され、特に加工性を付与する必要がある場合は、C含有量を0.002〜0.1%とすることがより好ましい。更にまた、溶接構造用鋼板として使用する場合は、C含有量を0.05〜0.15%とすることがより好ましい。
Siは、脱酸元素であるが、その含有量が0.01%未満の場合、脱酸効果が発揮されない。一方、Siを過度に含有させると、具体的には、Si含有量が3.0%を超えると、熱延スケールの固着(スケール剥離性の低下)を招き、スケール起因の疵が増加する。よって、Si含有量は、0.01〜3.0%とする。なお、Siは低温/低硫酸濃度環境下及び中温/中硫酸濃度環境下での耐硫酸腐食性を共に向上させるために有効な元素であり、この効果を発現させるためにはSiを0.1%以上含有させることが好ましく、Siによる耐食性向上効果を顕著に得るためには、Si含有量を1.0%以上とすることがより好ましい。また、耐食性と共に溶接性並びに母材及び継手の靭性に対する要求が厳しい鋼の場合は、Si含有量の上限を0.5%とすることが好ましい。
Mnは、鋼の強度を高める効果があるが、その含有量が0.01%未満の場合、鋼の強度を確保することができない。一方、Mn含有量が3.0%を超えると、溶接性の劣化及び粒界脆化感受性が高まるため、好ましくない。よって、本発明の鋼においては、Mn含有量の範囲を0.01〜3.0%に限定する。なお、Mnは耐食性にほとんど影響を及ぼさない元素であるため、特に溶接構造用途で、炭素当量を限定する場合にはMn含有量で調整することが可能である。
Pは、不純物元素であり、その含有量が0.035%を超えると、溶接性及び低温/低硫酸濃度環境下での耐硫酸腐食性を著しく低下させるため、P含有量は0.035%以下に限定する。なお、P含有量は0.015%以下とすることが好ましく、これにより溶接性を良好にすることができる。また、製造コストは増加するが、より優れた耐食性が求められる場合には、P含有量を0.005%以下とすることがより好ましい。
Sも、不純物元素であり、その含有量が0.030%を超えると機械的性質、特に延性を著しく劣化させるため、S含有量は0.030%以下とする。なお、S含有量が0.005%となるように、Sを意図的に添加すると、S含有量が0.005%未満の場合に比べて、低温/低硫酸濃度環境下及び中温/中硫酸濃度環境下での耐硫酸腐食性が向上する。よって、S含有量は0.005%以上とすることが好ましい。
Alは、脱酸元素であるが、その含有量が0.001%未満の場合、脱酸効果が得られない。一方、0.3%を超えてAlを過剰に含有すると、粗大な酸化物を形成して延性及び靭性を劣化させる。よって、Al含有量は、0.001%〜0.3%の範囲に限定する。
Cuは、低温/低硫酸濃度環境下及び中温/中硫酸濃度環境下での耐硫酸腐食性を向上させる効果があり、Ni及びCoと共に、本発明の鋼において最も重要な元素である。しかしながら、Cu含有量が0.01%未満の場合、前述した耐硫酸腐食性向上効果が得られない。一方、2.0%を超えてCuを含有させると、鋼片の表面割れの助長及び継手靭性の劣化等の悪影響が顕在化する。よって、本発明の鋼では、Cu含有量を0.01〜2.0%とする。なお、0.5%を超えてCuを添加しても、耐硫酸腐食性の向上はほぼ飽和するため、耐硫酸腐食性及び製造性の両方を考慮すると、Cu含有量は0.01〜0.5%とすることが好ましい。
Niは、低温/低硫酸濃度環境下及び中温/中硫酸濃度環境下での耐硫酸腐食性を向上させる効果があり、Cu及びCoと共に、本発明の鋼において最も重要な元素である。しかしながら、Ni含有量が0.01%未満では、その効果が得られない。一方、2.0%を超えてNiを添加すると、耐食性の向上は飽和する。よって、Ni含有量は0.01〜2.0%とする。なお、Ni含有量が0.5%を超えると、耐硫酸性の向上の割合が緩やかになるため、耐硫酸性及び経済性の両観点からは、Ni含有量を0.01〜0.5%とすることが好ましい。
Coは、Cu−Ni添加鋼に添加することにより、低温/低硫酸濃度環境下及び中温/中硫酸濃度環境下での耐硫酸腐食性を向上させる効果があり、Cu及びNiと共に、本発明の鋼において最も重要な元素である。しかしながら、Co含有量が0.01%未満の場合耐硫酸腐食性向上効果が得られない。一方、0.2%を超えてCoを添加しても、耐食性の向上は飽和する。よって、Co含有量は0.01〜0.2%とする。
Claims (5)
- 質量%で、
C:0.001〜0.2%、
Si:0.01〜3.0%、
Mn:0.01〜3.0%、
P:0.035%以下、
S:0.030%以下、
Al:0.001〜0.3%、
Cu:0.01〜2.0%、
Ni:0.01〜2.0%、
Co:0.01〜0.2%を含有し、
残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする耐酸腐食鋼。 - 更に、質量%で、Mo:0.01〜2.5%、W:0.01〜2.5%、Sb:0.01〜0.3%、Sn:0.01〜0.3%、Se:0.01〜0.3%及びPb:0.01〜0.3%からなる群から選択された1種又は2種以上の元素を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐酸腐食鋼。
- 更に、質量%で、Nb:0.002〜0.2%、V:0.005〜0.5%、Ti:0.002〜0.2%、Ta:0.005〜0.5%、Zr:0.005〜0.5%及びB:0.0002〜0.005%からなる群から選択された1種又は2種以上の元素を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の耐酸腐食鋼。
- 更に、質量%で、Mg:0.0001〜0.01%、Ca:0.0005〜0.01%、Y:0.0001〜0.1%、La:0.005〜0.1%及びCe:0.005〜0.1%からなる群から選択された1種又は2種以上の元素を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の耐酸腐食鋼。
- 質量%で、S:0.005〜0.030%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の耐酸腐食鋼。
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