JP4390089B2 - Ni基合金 - Google Patents

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Description

本発明は、Ni基合金に関する。詳しくは、塩酸(HCl)や硫酸(HSO)といった還元性の酸が含まれる過酷な腐食環境で優れた耐食性を有するNi基合金に関する。特に、石油精製および石油化学プラントなどで使用されるエアフィンクーラーおよび空気予熱器、さらには、火力発電所の排煙脱硫装置、煙道および煙突など、各種構造部材の素材として用いるのに好適な高耐食Ni基合金に関する。
石油精製および石油化学プラントなどで使用されるエアフィンクーラーおよび空気予熱器、さらには、火力発電所などで使用される排煙脱硫装置においては、燃焼ガスが冷却されると硫酸だけではなく塩酸などの腐食性が高い還元性の酸が生成する。このため、従来の低合金鋼、ステンレス鋼などFe基の耐食合金では腐食の発生を避けることができなかった。
そこで、近年では、脱硫装置などの一部において、Fe基合金に比べて格段に優れた耐硫酸腐食性を有するNi基合金、具体的には、20%Cr−15%Mo−4%Wを基本の組成とするCr、MoおよびWを含有するハステロイC22やハステロイC276といった市販のNi基合金(「ハステロイ」は商標である。)あるいは、特許文献1に開示された16〜27%のCr、16〜25%のMoおよび1.1〜3.5%のTaを含有するNi基合金などが使用されている。
また、高耐食合金として、例えば、特許文献2および特許文献3には、ごみ焼却炉などに用いられるオーステナイト系合金が、特許文献4には、耐すきま腐食性と熱間加工性に優れた排煙脱硫装置および海水用オーステナイト系ステンレス鋼が、特許文献5および特許文献6にも、海水や焼却炉の熱交換器に適した高温腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼が開示されている。
さらに、特許文献7には、耐溶接割れ性と耐硫酸腐食性に優れたオーステナイト鋼溶接継手と溶接材料が、また、特許文献8には、硫酸や湿式処理リン酸に対する耐食性に優れたNi−Cr−Mo−Cu合金が開示されている。
特開平8−3666号公報 特開平5−195126号公報 特開平6−128699号公報 特開平10−60603号公報 特開2002−96111号公報 特開2002−96171号公報 特開2001−107196号公報 特開2004−19005号公報
ハステロイC22やハステロイC276といった市販のNi基合金、さらには、特許文献1で提案されたNi基合金は、高価な合金元素を多量に含むためコストアップが避けられない。しかも、これらのNi基合金はいずれも難加工性であるため、所望の部材に加工することが困難である。
また、特許文献2〜6で提案された合金および鋼は、いずれも塩化物を含む環境での腐食について考慮したものであり、塩酸および硫酸といった還元性の酸が含まれる過酷な腐食環境への適用についての検討は行われていない。
さらに、特許文献7および特許文献8で提案された材料の場合も、耐塩酸腐食性も合わせた耐食性についての検討はなされていない。
本発明は、このような状況に鑑み、塩酸および硫酸といった還元性の酸が含まれる過酷な腐食環境において、ハステロイC22およびハステロイC276のようなMo含有量の高いNi基合金と同等の耐食性を有するとともに加工性も良好で、しかも低コストであるNi基合金を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、種々の検討と実験を行った。その結果、先ず、次の(a)および(b)に示す知見を得た。
(a)塩酸および硫酸といった還元性の酸を含有する環境においては、通常、Ni基合金の表面には不動態皮膜が安定して形成されず、このため合金が全面腐食を受ける。しかしながら、ハステロイC22およびハステロイC276のようにMo含有量を高めた場合には、Ni基合金の表面に薄い緻密な不動態皮膜が形成されるため、耐食性が良好になる。
(b)Ni基合金のMo含有量を高めることはコスト高になるだけでなく、Moの偏析によりシグマ相などの金属間化合物が生成する場合があり、溶接性および加工性が劣化する。
そこで、本発明者らはMoの含有量を、質量%で、10%以下に抑えて加工性を高めたうえで、他の元素との組合せによって、ハステロイC22およびハステロイC276のようなMo含有量の高いNi基合金と同等の耐食性を得ることができるNi基合金について検討した。その結果、次の(c)を知見するに至った。
(c)Cuを含有させることによって、Ni基合金の表面に薄い緻密な不動態皮膜を形成させることができる。
そこでさらに、コスト低減のために、質量%で、Niの含有量を40〜60%に抑えたうえで、20〜30%のCr、CuおよびMoを含むNi−Cr−Cu−Moを基本の組成とする種々のNi基合金を用いて、耐硫酸腐食性および耐塩酸腐食性について検討した。その結果、次の重要な知見(d)を得た。
(d)MoおよびCuの個々の含有量だけでなく、これら元素の含有量が、
0.5Cu+Mo≧6.5
を満足するようにすることで、硫酸および塩酸の両方を含有する環境に対して優れた耐食性を具備させることができる。
本発明に係るNi基合金は、このような知見に基づいて完成されたものである。
ここに、本発明の要旨は、下記の[1]および[2]に示すNi基合金にある。
[1]質量%で、C:0.03%以下、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.01〜1.0%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr:20%以上30%未満、Ni:40%を超えて50%未満、Cu:2.0%を超えて5.0%以下、Mo:4.0〜10%、Al:0.005〜0.5%N:0.02%を超えて0.3%以下およびW:0.2〜10%を含有し、かつ、
0.5Cu+Mo≧6.5・・・(1)
の式を満足し、残部がFeおよび不純物からなることを特徴とするNi基合金。
ただし、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
[2]質量%で、さらに、Ca:0.01%以下およびMg:0.01%以下のうちの1種以上を含むことを特徴とする上記[1]に記載のNi基合金。
以下、上記[1]、[2]に示すNi基合金に係る発明を、それぞれ、「本発明[1]」「本発明[2]」という。また、総称して「本発明」ということがある。
本発明のNi基合金は、塩酸および硫酸といった還元性の酸が含まれる過酷な腐食環境において、ハステロイC22およびハステロイC276のようなMo含有量の高いNi基合金と同等の耐食性を有するとともに加工性も良好である。このため、石油精製および石油化学プラントなどで使用されるエアフィンクーラーおよび空気予熱器、さらには、火力発電所の排煙脱硫装置、煙道および煙突など、各種構造部材用の低コスト素材として好適である。
以下に、本発明のNi基合金について詳しく説明する。なお、以下の説明において、化学組成を表す「%」は、特に断らない限り、「質量%」を意味する。
C:0.03%以下
Cは、合金中のCrと結合し、結晶粒界にCr炭化物として析出して、高温強度の向上に寄与する。しかしながら、Cの含有量が0.03%を超えると、結晶粒界近傍にCr欠乏層を形成して耐粒界腐食性を劣化させてしまう。したがって、Cの含有量を0.03%以下とした。より好ましくは0.02%以下である。
なお、前記したCの効果を確実に発現させるためには、Cを0.002%以上含有させることが好ましい。
Si:0.01〜0.5%
Siは、脱酸作用に加えて耐酸化性を高めるために必要な元素である。このため、Siを0.01%以上含有させる。しかしながら、Siは、結晶粒界に偏析して塩化物を含む燃焼スラグと反応して粒界腐食を招く原因となることに加え、0.5%を超える過剰な量のSiは、延性など機械的性質の低下を招く。したがって、Siの含有量を0.01〜0.5%とした。なお、Siの含有量は下限を0.1%とし、上限を0.4%とすることがより好ましい。
Mn:0.01〜1.0%
Mnは、オーステナイト形成元素であるとともに、脱酸作用を有する。また、Mnには、鋼中に含まれるSと結合してMnSを形成し、熱間加工性を向上させる作用もある。これらの効果を確保するためには、0.01%以上の量のMnを含有させる必要がある。しかしながら、Mnの含有量が1.0%を超えると、却って加工性が低下し、さらに溶接性も損なわれる。したがって、Mnの含有量を0.01〜1.0%とした。なお、Mnの含有量は下限を0.1%とし、また、上限を0.6%とすることがより好ましい。
P:0.03%以下
Pは、不純物として合金中に混入してくる元素であり、多量に存在すると溶接性および加工性を損なう。特に、Pの含有量が0.03%を超えると、溶接性および加工性の低下が著しくなる。したがって、Pの含有量を0.03%以下とした。なお、Pの含有量は0.015%以下とすることが好ましい。
S:0.01%以下
Sも不純物として合金中に混入してくる元素であり、多量に存在すると溶接性および加工性を損なう。特に、Sの含有量が0.01%を超えると、溶接性および加工性の低下が著しくなる。したがって、Sの含有量を0.01%以下とした。なお、Sの含有量は0.002%以下とすることが好ましい。
Cr:20%以上30%未満
Crは、高温強度および高温での耐食性を確保する作用を有する。これらの効果を得るためには、20%以上のCrを含有させる必要がある。しかしながら、塩酸環境などCrが不動態化しない環境の場合は、CrはFeおよびNiに比べて溶解しやすい。このため、Crの含有量が多くなって特に30%以上になると、却って耐食性を低下させることがあり、しかも、溶接性および加工性の低下も生じる。したがって、Crの含有量を20%以上30%未満とした。Crの含有量のより好ましい範囲は20%以上25%未満である。
Ni:40%を超えて50%未満
Niは、オーステナイト組織を安定にする元素であり、耐食性の確保に必要な元素である。しかしながら、Niの含有量が40%以下ではこの効果を十分に得ることができない。一方、Niは高価な元素であるから、多量に含有させるとコスト上昇が大きくなり、合金コストの上昇に対して耐食性向上の効果が小さくなり「合金コスト−耐食性」のバランスが極めて悪くなる。したがって、Niの含有量の下限を40%を超えることとした。なお、Niの含有量のより好ましい下限は42%である。また、「合金コスト−耐食性」のバランスから、Niの含有量の上限は50%未満とした。
Cu:2.0%を超えて5.0%以下
Cuは、本発明のNi基合金の耐硫酸腐食性および耐塩酸腐食性を向上させるために必要不可欠な元素である。また、Cuは、高温強度の向上にも寄与する。こうした効果を得るには、2.0%を超える量のCuを含有させる必要がある。しかしながら、5%を超える量のCuを含有させても前記の効果がそれほど大きくならず、逆に、溶接性や加工性の低下を生じてしまう。そのため、Cuの含有量を2.0%を超えて5.0%以下とした。なお、Cuは、2.5%を超えて含有させることが好ましく、3.0%を超えて含有させれば一層好ましい。また、Cuの含有量の上限は4.5%とすることが好ましく、4.0%とすれば一層好ましい。
Mo:4.0〜10%
Moは、Cuとともに本発明のNi基合金の耐硫酸腐食性および耐塩酸腐食性を向上させるために必要不可欠な元素である。さらに、Moは、高温強度の向上にも寄与する。こうした効果を得るには、4.0%以上のMo含有量が必要である。しかしながら、Moの過度の含有はシグマ相の析出を促進して溶接性および加工性の劣化をきたし、特に、その含有量が10%を超えると、溶接性および加工性の劣化が著しくなる。したがって、Moの含有量を4.0〜10%とした。なお、Moの含有量は下限を4.5%とし、また、上限を8.0%とすることがより好ましい。さらには、下限を5.0%、上限を7.0%とするのが一層好ましい。
Al:0.005〜0.5%
Alは、脱酸剤として0.005%以上含有させる必要がある。しかしながら、Alを0.5%を超えて含有させてもその効果は飽和してコストが嵩むうえに、熱間加工性の劣化を招く。したがって、Alの含有量を0.005〜0.5%とした。なお、Alの含有量は下限を0.03%とし、また、上限を0.3%とすることがより好ましい。
N:0.02%を超えて0.3%以下
Nは、オーステナイト組織の安定化に寄与するとともに耐孔食性を改善する元素の1つである。これらの効果を得るためには、Nを0.02%を超えて含有させる必要がある。しかしながら、Nの過度の含有は窒化物が増加して熱間加工性が低下し、特に、その含有量が0.3%を超えると、熱間加工性の低下が著しくなる。したがって、Nの含有量を0.02%を超えて0.3%以下とした。なお、Nの含有量は下限を0.05%超えとし、また、上限を0.2%とすることがより好ましい。より好ましい下限は0.08%超え、さらに好ましい下限は0.10%超えである。
W:0.2〜10%
Wは、耐孔食性を改善するとともに高温強度を向上させる作用を有するので、これらの効果を得るために含有させる。なお、CrおよびMoはシグマ相の生成を促進して溶接性および加工性を劣化させるため、耐孔食性や高温強度に関してMoと近似な作用効果を有するWを含有させることでシグマ相の生成による溶接性および加工性の低下を防止することもできる。しかしながら、Wについてもその含有量が多くなり、特に、10%を超えると、溶接性および加工性の劣化を招く。したがって、Wの含有量の上限を10%とした。なお、Wによる前記の効果を確実に発現させるための含有量の下限は0.2%である。また、Wの含有量の好ましい上限は8.0%であり、6.0%とするのが一層好ましい。
なお、C、Si、Mn、P、S、Cr、Ni、Cu、Mo、AlおよびWの含有量が上述した範囲内にあっても、硫酸および塩酸の両方に対して優れた耐食性を具備させることができない場合がある。そのため、本発明[1]に係るNi基合金は、前述した各元素の含有量範囲の規定に加えて、
0.5Cu+Mo≧6.5・・・(1)
の式を満たす必要がある。
ここで、上記(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
すなわち、CuおよびNiの含有量が、上述した範囲内でさらに上記(1)式を満たす場合に、硫酸および塩酸の環境において、Ni基合金の表面に安定して不動態皮膜を形成させることができるので、硫酸および塩酸の両方に対して優れた耐食性を具備させることが可能となる。
前記(1)式の左辺、すなわち〔0.5Cu+Mo〕の値は7.0以上とすることが好ましい。なお、(1)式の左辺の値の上限は、CuおよびMoの含有量がそれぞれの上限となる5.0%および10%の場合の12.5であっても構わない。
本発明[1]に係るNi基合金の残部は、Feおよび製造工程の種々の要因により混入する他の不純物元素からなるものである。すなわち、本発明[1]の残部の主成分はFeで構成されるので、以下、このことについて説明する。
Feは、Ni基合金の強度を確保するとともに、Niの含有量を低減して合金コストを低減する効果を有する。このため、本発明に係るNi基合金おいては、残部がFeおよび不純物からなることとした。なお、残部の主成分となるFeの含有量の上限は、Si、Mn、Cr、Ni、Cu、AlおよびWの含有量がそれぞれ、前述した範囲の下限の値であり、C、PおよびSの含有量がいずれも、0に近い値であり、しかも、Moの含有量が、5.5%に近い値(つまり、前記の(1)式の右辺の値が6.5)である場合の、32.2%に近い値であってもよい。
上記の理由から、本発明[1]に係るNi基合金は、上述した範囲のCからまでの元素を含有し、かつ、前記の(1)式を満足し、残部がFeおよび不純物からなることと規定した。
なお、本発明のNi基合金は、必要に応じてさらに、CaおよびMgの中から選ばれた1種以上の元素を含有させることができる。
以下、上記の任意元素に関して説明する。
CaおよびMgは、熱間加工性を改善する作用を有するので、この効果を得るために上記の元素を含有させてもよい。以下、上記のCaおよびMgについて説明する。
Ca:0.01%以下
Caは、熱間加工性を改善する作用を有する。しかしながら、Caの含有量が0.01%を超えると、清浄性が大きく低下するので靱性を始めとする機械的性質を損なってしまう。このため、含有させる場合のCaの量を0.01%以下とした。
なお、Caによる前記の効果を確実に発現させるためには、Caを0.0005%以上含有させることが好ましい。このため、含有させる場合のより好ましいCa量の範囲は0.0005〜0.01%である。含有させる場合のCa量の一層好ましい上限は0.005%である。
Mg:0.01%以下
Mgも、熱間加工性を改善する作用を有する。しかしながら、Mgの含有量が0.01%を超えると、清浄性が大きく低下するので靱性を始めとする機械的性質を損なってしまう。このため、含有させる場合のMgの量を0.01%以下とした。
なお、Mgによる前記の効果を確実に発現させるためには、Mgを0.0005%以上含有させることが好ましい。このため、含有させる場合のより好ましいMg量の範囲は0.0005〜0.01%である。含有させる場合のMg量の一層好ましい上限は0.005%である。
上記のCaおよびMgは、そのうちのいずれか1種のみ、または2種の複合で含有させることができる。なお、これらの元素の合計含有量は0.015%以下とすることが好ましい。
上記の理由から、本発明[2]に係るNi基合金は、本発明[1]のNi基合金に、さらに、Ca:0.01%以下およびMg:0.01%以下のうちの1種以上を含有することと規定した。
本発明[1]本発明[2]に係るNi基合金は、溶解、鋳造、熱間加工、冷間加工および溶接などの手段によって、板材だけではなく継目無管や溶接管さらには棒材などの所望の形状に成形すればよい。さらに、成形後に所望の機械的性質を得るため固溶化処理などの熱処理を行ってもよい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学組成を有する各種のNi基合金を高周波加熱真空炉で溶解し、通常の方法で熱間鍛造、熱間圧延および冷間圧延を行って厚さ15mmの板材とした。その後、1150℃で固溶化熱処理を施し、さらに、機械加工して、厚さ2mm、幅10mmで長さ50mmの試験片を作製した。
なお、表1中の合金1、2、4および5は、化学組成が本発明で規定する範囲内にあるNi基合金である。一方、合金6〜15は、化学組成が本発明で規定する条件から外れた比較例のNi基合金である。比較例のNi基合金のうちで、合金6および合金7はそれぞれ、ハステロイC276およびハステロイC22に相当するNi基合金である。
Figure 0004390089
このようにして得た各Ni基合金の厚さ2mmの試験片を用いて、60℃の3質量%塩酸中に6時間浸漬する試験および80℃の20質量%硫酸中に24時間浸漬する試験を行った。
上記の塩酸中に浸漬した後の試験片表面の堆積物を除去して、試験前後の質量差から腐食減量を測定し、腐食速度を算出して耐塩酸腐食性を評価した。
同様に、上記の硫酸中に浸漬した後の試験片表面の堆積物を除去して、試験前後の質量差から腐食減量を測定し、腐食速度を算出して耐硫酸腐食性を評価した。
表2に、耐塩酸腐食性および耐硫酸腐食性の調査結果を示す。
Figure 0004390089
表2から、本発明で規定する条件を満たすNi基合金1、2、4および5を用いた本発明例の試験番号1、2、4および5の場合は、ハステロイC276およびハステロイC22を用いた試験番号6および試験番号7と同等の優れた耐食性(耐塩酸腐食性と耐硫酸腐食性)を有していることが明らかである。
これに対して、CuおよびMoの含有量が(1)式を満たさない場合には、用いたNi基合金の各元素の含有量の範囲が本発明で規定する範囲を満たすもの(試験番号14および15の合金14および15)および満たさないもの(試験番号8〜13の合金8〜13)のいずれであっても、ハステロイC276およびハステロイC22を用いた試験番号6および試験番号7に比べて耐塩酸腐食性および耐硫酸腐食性の少なくとも何れかの腐食速度が大きくなって耐食性に劣っていることが明らかである。
なお、本発明で規定する条件を満たすNi基合金1、2、4および5については、別途サーモレスター試験機を用いた高温引張り試験を行って熱間加工性を調査した結果、良好であることを確認した。
本発明のNi基合金は、塩酸および硫酸といった還元性の酸が含まれる過酷な腐食環境において、ハステロイC22およびハステロイC276のようなMo含有量の高いNi基合金と同等の耐食性を有するとともに加工性も良好である。このため、石油精製および石油化学プラントなどで使用されるエアフィンクーラーおよび空気予熱器、さらには、火力発電所の排煙脱硫装置、煙道および煙突など、各種構造部材用の低コスト素材として好適である。

Claims (2)

  1. 質量%で、C:0.03%以下、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.01〜1.0%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr:20%以上30%未満、Ni:40%を超えて50%未満、Cu:2.0%を超えて5.0%以下、Mo:4.0〜10%、Al:0.005〜0.5%N:0.02%を超えて0.3%以下およびW:0.2〜10%を含有し、かつ、
    0.5Cu+Mo≧6.5・・・(1)
    の式を満足し、残部がFeおよび不純物からなることを特徴とするNi基合金。
    ただし、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
  2. 質量%で、さらに、Ca:0.01%以下およびMg:0.01%以下のうちの1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載のNi基合金。
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