JP2021070857A - 高温クリープ強度と優れた加工性を有するフェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

高温クリープ強度と優れた加工性を有するフェライト系ステンレス鋼 Download PDF

Info

Publication number
JP2021070857A
JP2021070857A JP2019199639A JP2019199639A JP2021070857A JP 2021070857 A JP2021070857 A JP 2021070857A JP 2019199639 A JP2019199639 A JP 2019199639A JP 2019199639 A JP2019199639 A JP 2019199639A JP 2021070857 A JP2021070857 A JP 2021070857A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
high temperature
creep strength
less
stainless steel
steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019199639A
Other languages
English (en)
Inventor
章生 美谷
Akio Mitani
章生 美谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sanyo Special Steel Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Special Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sanyo Special Steel Co Ltd filed Critical Sanyo Special Steel Co Ltd
Priority to JP2019199639A priority Critical patent/JP2021070857A/ja
Publication of JP2021070857A publication Critical patent/JP2021070857A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Abstract

【課題】レキュペータ熱交換器用やその他の熱収支を高める熱交換器用に適する、800℃以上での高温クリープ強度と、加工性とに優れたフェライト系ステンレス鋼の提供。【解決手段】質量%で、C:0.040%以下、Si:0.40〜1.20%、Mn:0.01〜0.60%、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Cr:20.00〜25.00%、Mo:0.01〜1.00%、W:0.01〜1.50%、Al:0.60〜1.40%、Ti:0.01〜0.90%、Nb:0.10〜1.20%、N:0.050%以下を有し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする高温クリープ強度と優れた加工性を有するフェライト系ステンレス鋼。【選択図】なし

Description

この出願は、レキュペレータ(復熱装置)熱交換器用や他の熱収支を高める熱交換器用などの、高温かつ腐食性燃焼ガス環境下で使用される、高温クリープ特性と優れた加工性を有するフェライト系ステンレス鋼に関する。
従来のレキュペレータなどの熱収支を高める熱交換器では、使用環境においてメタルの最高温度は約750℃と高温であり、当該温度域で耐えうる鋼材としては、フェライト系耐熱鋼(Cr−Si−Al鋼)として知られているDIN規格鋼種のX10CrAl24などが利用されている。
しかし、熱効率のさらなる向上のためには、例えば800℃以上といったように、使用環境温度の上昇が必要とされるものの、すると、高温環境においては酸化や腐食による鋼材の減肉量が著しくなる。そこで、鋼材にはさらなる耐高温酸化性が要求されることに加えて、高温クリープ強度も要求されることとなる。高温下ではクリープ強度が低下して鋼材が使用時に変形してしまうため、鋼材を長寿命化させ経済性を高めるためには、より優れた高温クリープ強度が要求されるからである。
こうした要請に対しては、耐用温度の高い鋼材としてオーステナイト系ステンレス鋼やNi基合金が有用であろうが、とはいえ、これらはNiなどの合金元素量が多くなるので、経済性に優れない。
この点、フェライト系ステンレス鋼は、Niなどの合金元素量が少ないことから経済性に優れているところ、HfやZrといったレアメタルを添加することによって、高温でのクリープ強度を改善する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、特許文献1に記載の方法はTiを含んでおらず、また650℃におけるクリープ強度を改善した例が示されるに止まっている。またこれらは炭化物や窒化物生成元素の添加による強化であるところ、一般に炭化物や窒化物の析出が速いことから、より高温での強化作用は小さくなる。そこで、現状のレキュペレータ用熱交換器の使用環境温度をさらに上昇させることにはつながらない技術である。またレアメタルは希少価値が高いことから、経済性を悪化させ、また原料の安定供給性も課題となる。
さて、フェライト系ステンレス鋼では、高温強度の向上として固溶強化を得るために、Mo、W、Nb等の合金が添加されているもの、あるいは析出強化を得るためにTi、Nb等の合金が添加されているものなどがある。それらのなかには、析出強化を得るために、Laves相を析出させているものもある。しかしながら、Laves相は製造過程で析出または晶出しうることから、製品状態で残存していると、使用時のLaves相の析出量が減少することとなるので、十分な高温クリープ強度が得られないものとなり易い。このため使用前に、固溶化熱処理が必要となる。もっとも含有されている元素量で決まるLaves相は、成分組成によって固溶温度が異なっているのであって、固溶点が高くなる組成の場合であれば固溶化させるために高い熱処理温度とする必要が生じる。すると、高温で処理することによって、結果的に結晶粒が粗大化を招いてしまい、靱性や加工性を低下させるという問題があった。
また、高温強度向上およびシャルピー衝撃試験における破面率での低温靱性評価のため、Nbの影響を示している文献がある(特許文献5参照。)。しかし、Nbの固溶または析出などの形態が示されておらず、どのようにこれらの特性を向上させたかについての具体的な言及がなされていない。また、高温特性は高温強度についての言及に止まっており、クリープ特性を向上させることについて顧慮されておらず示唆もない。また、この技術ではCr、Ti、Alの含有量が少ないことから、耐酸化性は不十分である。
あるいは、特許文献2では高温強度および耐高温酸化を向上させる方法を提案しているが、Mo、Wの複合添加(総和で4.3%以上)が必要であることから、合金量が多くコストが高い問題がある。
さらに、経済性に優れたフェライト系ステンレス鋼における高温特性を向上させる方法として、(Fe、Cr、Si)2(Nb、Ti) からなるLaves相の析出による手法を示している発明がある(例えば、特許文献3参照。)。一般的に高温特性の中でもクリープ強度を向上させるためには、高温環境による結晶粒のすべりを抑制するために、Laves相などの粒界析出が有効である。しかし、靱性、すなわち冷間加工性については言及や示唆がない。またLaves相に含まれるMo、Wの影響およびその含有量について示されていない。
また、さらに、Mo、Wのいずれか1種または2種を0.5〜3.00%添加することを必須としている発明が特許されている(特許文献4参照。)。しかし、この発明では、これらの元素の影響について個別に言及されておらず、また、これらの元素と強化相であるLaves相の関係について明らかにされていなかった。
特開平11−61342号公報 特許4206836号公報 特許6083567号公報 特許6425959号公報 特許3710302号公報
本発明が解決しようとする課題は、レキュペレータ(復熱装置)熱交換器用や他の熱収支を高める熱交換器用に適する、800℃以上の温度、例えば850℃の温度での、高温クリープ強度と加工性および経済性に優れたフェライト系ステンレス鋼を提供することである。
本発明の課題を解決するための手段は、
第1の手段では、質量%で、C:0.040%以下、Si:0.40〜1.20%、Mn:0.01〜0.60%、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Cr:20.00〜25.00%、Mo:0.01〜1.00%、W:0.01〜1.50%、Al:0.60〜1.40%、Ti:0.01〜0.90%、Nb:0.10〜1.20%、N:0.050%以下を有し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする高温クリープ強度と優れた加工性を有するフェライト系ステンレス鋼である。
第2の手段は、さらに4(C+N)≦Ti+Nb≦1.60%を満足することを特徴とする第1の手段に記載のフェライト系ステンレス鋼である。
ただし、元素記号には、各成分組成の質量%の値を代入する。
第3の手段は、さらに(Ti+Nb)/(Mo+W)≧0.47を満足することを特徴とする、第1または第2のいずれかの手段に記載のフェライト系ステンレス鋼である。
ただし、元素記号には、各成分組成の質量%の値を代入する。
第4の手段は、さらにW≧2×Moを満足することを特徴とする、第1〜第3のいずれか1の手段に記載のフェライト系ステンレス鋼である。
ただし、元素記号には、各成分組成の質量%の値を代入する。
上記の手段とすることで、本発明のフェライトステンレス鋼からなる鋼材は、鋼材の850℃での高温クリープ強度を示す破断時間は500時間を超えて高温クリープ強度に優れており、かつシャルピー衝撃値の吸収エネルギーが70mJ/cm2を超えており、加工性にも優れているフェライト系ステンレス鋼である。
先ず、発明を実施するための形態の説明に先立って、本発明によるフェライト系ステンレス鋼の化学成分の含有量の限定理由を化学成分ごとに順次説明する。なお、含有量における%は、質量%であり、各化学成分の残部はFeおよび不可避不純物であり鋼を形成する。また、Ti+Nb、(Ti+Nb)/(Mo+W)といった式の値は、各元素の部分に当該元素の含有量(質量%)を代入して求めた値である。
C:0.040%以下
Cは、高温でのクリープ強度を向上させる元素であるが、その含有量が0.040%より多い場合には、硬さが上昇して靭性の低下および加工性の低下を招く。したがって、本成分系においては、Cは0.040%以下と低くする。そこで、Cは0.040%以下とする。
Si:0.40〜1.20%
Siは、製鋼の際に脱酸剤として用いられるとともに、製造および溶接の際の溶鋼の流動性を高め、さらに耐酸化性および耐スケール剥離性を向上するとともにクリープ強度を向上させるLaves相の形成に必要な元素で、0.40%以上が必要である。しかし、Si含有量が1.20%より多い場合には、硬さが上昇して靭性の低下および加工性の低下を招く。そこで、Siは0.40〜1.20%とする。
Mn:0.01〜0.60%
Mnは、Siと同様に製鋼の際に脱酸剤として用いられるとともに、耐酸化性および耐スケール剥離性を向上する元素である。このためには、Mnは0.01%以上が必要である。しかし、Mnの含有量が0.60%より多い場合、オーステナイト相が形成されて異常酸化の起点を招くとともに、このオーステナイト相は熱膨張係数がフェライト相に比較して大きいため、寸法変化を生じる恐れがあるので、Mnは0.60%以下とする。そこで、Mnは0.01〜0.60%とする。
P:0.040%以下
Pは、0.040%より多いと、得られた鋼の熱間加工性を低下する。そこで、Pは0.040%以下とする。
S:0.030%以下
Sは、0.030%より多いと、得られた鋼の熱間加工性を低下する。そこで、Sは0.030%以下とする。
Cr:20.00〜25.00%
Crは、フェライト系ステンレス鋼の基本成分の一つでフェライト相を安定させるとともに、高温用材料として重要視される耐酸化性の改善に重要な元素である。高い耐酸化性を満足するために、Crは20.00%以上含有させる。しかし、Crは25.00%を超えて含有させると、靭性および加工性を低下するので、25.00%以下とする。そこで、Crは20.00〜25.00%とする。
Mo:0.01〜1.00%
Moは、高温強度、耐酸化性の向上の確保に有効であり、このためにはMoは0.01%多く含有させる必要がある。しかし、Moは1.00%より多く含有されると、Laves相の固溶点が上昇するため、製造過程において晶出または析出したLaves相を固溶させるための熱処理を行う場合に、より高い温度が必要となる結果、高温固溶化処理によって、結晶粒が粗大化して加工性や靭性が低下する。そこで、Moは0.01〜1.00%とする。
W:0.01〜1.50%
Wは、Moと同様に、高温強度、耐酸化性の向上の確保に有効であり、このためにはWは0.01%多く含有させる必要がある。しかし、Wは1.50%より多く含有されると、Laves相の固溶点が上昇するため、製造過程において晶出または析出したLaves相を固溶させるための熱処理を行う場合に、より高い温度が必要となる結果、高温固溶化処理によって、結晶粒が粗大化して加工性や靭性が低下する。そこで、Wは0.01〜1.50%とする。
Al:0.60〜1.40%
Alは、脱酸能の高い元素であり、上記のSiと同様に製鋼の際に脱酸剤として用いられるとともに、高温酸化性環境下で表面に緻密な酸化性皮膜を形成することで、耐酸化性を向上させる元素であり、十分に耐酸化性を向上させるためには、Alは0.60%以上含有させる必要がある。しかし、Alは1.40%より多く含有されると、鋼の靭性および加工性が低下するため、Alの上限を1.40%とする。そこで、Alは0.60〜1.40%とする。
Ti:0.01〜0.90%
Tiは、固溶強化により高温強度を向上させる元素で、Tiの添加はLaves相の析出に不可欠であり、このLaves相の形成により固溶強化による高温強度の向上が果たされる。そこで、Tiは0.01%以上とする、しかし、Tiは強力な炭窒化物の形成元素であり、Tiが0.90%より多く含有されると、炭窒化物の形成による異常酸化の起点となり、耐酸化性が劣化する。そこで、Tiは0.01〜0.90%とする。
Nb:0.10〜1.20%
Nbは、Tiと同様に、固溶強化により高温強度を向上させる元素で、Nbの複合添加はLaves相の析出に不可欠であり、このLaves相の形成により固溶強化による高温強度の向上が果たされる。そこで、Nbは0.10%以上とする、しかし、Nbは強力な炭窒化物の形成元素であり、Nbが1.20%より多く含有されると、炭窒化物の形成による異常酸化の起点となり、耐酸化性が劣化する。そこで、Nbは0.10〜1.20%とする。
N:0.050%以下
Nは、0.050%より多く含有されると、TiやNbと結合し、Ti化合物やNb化合物を析出して衝撃が付与された際に生じる亀裂の伝播経路となるため、靭性を低下させる。そこで、Nは0.050%以下とする。
(Ti+Nb):4(C+N)〜1.60%
(Ti+Nb)は、凝固時などの製造過程において、意図しないTiやNbの炭窒化物形成によって固溶Ti量や固溶Nb量が減少すると、高温強度の向上に寄与するLaves相が析出しないか、あるいはLaves相の析出量が減少するために、十分な高温特性が得られない。そこでC量やN量に比してTi+Nbの量が十分に確保されている必要があるので、4(C+N)を上回ることが望ましい。他方、TiやNbの過度の添加は、TiやNbの炭窒化物の析出を助長し、Laves相の析出量に寄与しないため、高温特性の向上の効果が飽和する。そこで、第2の手段では(Ti+Nb)は4(C+N)〜1.60%とする。
(Ti+Nb)/(Mo+W):0.47以上
Ti、Nb、Mo、Wは、いずれの元素も優れた高温クリープ強度を得るための強化相であるLaves相を形成するために必要な元素である。Ti、Nbは炭窒化物形成元素であり、凝固時に晶出すると鋼材を製品として使用する際のLaves相の析出量が減少するため、十分なクリープ特性が得られない。また、Laves相を構成する元素のうちMoやWの量が多くなるとLaves相の固溶点が上昇するため、製造過程において晶出または析出したLaves相を固溶させるための熱処理を行う場合に、より高い温度が必要となる。すると、高温固溶化処理によって結晶粒が粗大化し、加工性や靭性を低下させる。したがって、TiやNbを主体としたLaves相の組成を得るためには、Mo、Wとの関係性を規定することが望ましい。そこで、第3の手段では、(Ti+Nb)/(Mo+W)は0.47以上とする。
W:2×Mo以上 (ただし、質量%)
W、Moは、いずれもLaves相を形成するために必要な元素であり、析出強化および固溶強化による材料の高強度化に寄与する元素である。もっとも、Laves相中の固溶点上昇の効果は、Moの方がWより大きい。すなわちLaves相中のMo量が多いほど固溶点が上昇するため、鋼材を部材として使用する前に実施する固溶化熱処理時の温度をより高温にしなければならない。しかし、高温固溶強化熱処理は結晶粒の粗大化を招き、靭性や加工性を低下させることとなる。そこで、必要とされる固溶化熱処理温度の上昇を抑えるためには、Wは2×Mo以上(ただし質量%)と規定することで、Mo量よりもW量の多いLaves相の組成とすることが望ましい。そこで、第4の手段では、Wは2×Mo以上(ただし、質量%)とする。
次いで、発明を実施するための形態についての説明を、以下の実施例を通じて行うものとする。
この発明を実施するための形態では、高温クリープ強度を向上させる(Fe,Cr,Si)(Nb,Ti,Mo,W)で表される析出強化相であるLaves相中の、Mo、Wの組成量を制御することで、固溶点の低いLaves相へと制御している。固溶点が低いと、鋼材製造過程で生じうるLaves相の固溶のために必要な熱処理温度を低下させることが可能であり、その結果、結晶粒の粗大化を抑制することで、加工性および靱性の低下を抑制させることができる。また、材料を使用前の段階で、Laves相を十分に固溶させることで、使用中におけるLaves相の析出を促してクリープ強度を向上させている。
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。先ず、表1に示す発明鋼のNo.1〜15および比較鋼のNo.16〜22の化学成分および残部のFeおよび不可避不純物からなる鋼のそれぞれを、100kg真空誘導溶解炉にて溶製し、得られた溶鋼を鋳造して各発明鋼および各比較鋼とした。次いで、これらの各発明鋼および各比較鋼を1100℃に加熱し、角15mmに鍛伸し、次いで、1100℃で15分間保持して水冷することで焼なまし、これらの各発明鋼および各比較鋼からなる試験片を作製した。
Figure 2021070857
表1に示す各No.の発明鋼および比較鋼からなる上記の試験片は、(1)として、JIS Z 2271のクリープ試験片に基づいて、平行部の径6mmの各クリープ試験片に作製した。これらの作製した各クリープ試験片を用いて、850℃にて9.0MPaの引張応力を負荷させて、破断するまでの時間を測定した。このクリープ強度の破断時間が500時間を超えるものを、表2における高温クリープ強度の評価で○とし、高温クリープ強度の破断時間が500時間以下のものを、表2における高温クリープ強度の評価で×とした。
さらに、表1に示す各No.の発明鋼および比較鋼からなる上記の試験片は、(2)として、JIS Z 2242に規定の、金属材料のシャルピー衝撃試験方法に基づいて、JIS Z 2242に準拠した2mm−Vノッチ試験片を作製した。これらの作製した各2mm−Vノッチ試験片を用いて、100℃で10分間加熱した後、ハンマーにより破断させて吸収エネルギーを測定した。シャルピー衝撃試験方法に基づく吸収エネルギーが70J/cm2を超えるものを、表2における加工性の評価で○とし、シャルピー衝撃試験方法に基づく吸収エネルギーが70J/cm2以下のものを、表2における加工性の評価で×とした。
耐高温酸化性については、カンタル炉で大気雰囲気中において1100℃にて100時間保持し、質量増分を測定することで確認することができる。質量増分が少なければ、高温で酸化されにくいことを意味する。本願発明にかかる鋼は、質量増分を酸化量とするとき、1cm2当り5.00mg以下となるものであるから、高い耐酸化性を示すものとなる。
Figure 2021070857
さらに、表2に示す、高温クリープ強度の評価および加工性の評価で共に○であるものを、総合判定において○とした。一方、高温クリープ強度の評価あるいは加工性の評価のいずれかが×であるもの、あるいは共に×であるものを、それぞれ総合判定で×とした。これらの結果、発明鋼のNo.1〜No.15はすべてのもので総合判定は○であった。
すなわち、発明鋼No.13〜No.15は、加工性が若干低めであるものの、高温クリープ強度も含めた総合評価では優れており、発明鋼No.1〜No.12は、高温クリープ強度と加工性のバランスにおいて、より優れたものが含まれている。
一方、比較鋼のNo.16〜22はすべてのもので総合判定は×であった。
すなわち、表2の比較鋼のNo.20は、高温クリープ強度の破断時間は456時間で500時間以下で、高温クリープ強度の評価は×であり、かつ、加工性のシャルピー衝撃値は28J/cm2で70J/cm2以下であり、加工性の評価は×であった。このように、比較鋼のNo.20は高温クリープ強度の評価および加工性の評価が劣っており共に×であり、総合判定は×であった。
さらに 、表2の比較鋼のNo.21は、高温クリープ強度の破断時間は173時間で500時間以下で、高温クリープ強度の評価は×であり、かつ、加工性のシャルピー衝撃値は19J/cm2で70J/cm2以下であり、加工性の評価は×であった。このように、比較鋼のNo.21は高温クリープ強度の評価および加工性の評価が共に×であり、総合判定は×であった。
一方、表2の比較鋼のNo.16〜19、およびNo.22は、いずれも、高温クリープ強度の破断時間は500時間を超えており、したがって高温クリープ強度の評価は○である。
しかし、比較鋼のNo.16〜19、およびNo.22は、いずれも、加工性のシャルピー衝撃値は 70J/cm2以下であり、加工性の評価は×であったので、総合判定は×であった。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.040%以下、Si:0.40〜1.20%、Mn:0.01〜0.60%、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Cr:20.00〜25.00%、Mo:0.01〜1.00%、W:0.01〜1.50%、Al:0.60〜1.40%、Ti:0.01〜0.90%、Nb:0.10〜1.20%、N:0.050%以下を有し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする高温クリープ強度と優れた加工性を有するフェライト系ステンレス鋼。
  2. さらに4(C+N)≦Ti+Nb≦1.60%を満足することを特徴とする請求項1に記載のフェライト系ステンレス鋼。
    ただし、元素記号には、各成分組成の質量%の値を代入する。
  3. さらに(Ti+Nb)/(Mo+W)≧0.47を満足することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のフェライト系ステンレス鋼。
    ただし、元素記号には、各成分組成の質量%の値を代入する。
  4. さらにW≧2×Moを満足することを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のフェライト系ステンレス鋼。
    ただし、元素記号には、各成分組成の質量%の値を代入する。
JP2019199639A 2019-11-01 2019-11-01 高温クリープ強度と優れた加工性を有するフェライト系ステンレス鋼 Pending JP2021070857A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019199639A JP2021070857A (ja) 2019-11-01 2019-11-01 高温クリープ強度と優れた加工性を有するフェライト系ステンレス鋼

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019199639A JP2021070857A (ja) 2019-11-01 2019-11-01 高温クリープ強度と優れた加工性を有するフェライト系ステンレス鋼

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021070857A true JP2021070857A (ja) 2021-05-06

Family

ID=75712702

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019199639A Pending JP2021070857A (ja) 2019-11-01 2019-11-01 高温クリープ強度と優れた加工性を有するフェライト系ステンレス鋼

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021070857A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4803174B2 (ja) オーステナイト系ステンレス鋼
JP5685198B2 (ja) フェライト−オーステナイト系ステンレス鋼
JP5838933B2 (ja) オーステナイト系耐熱鋼
WO2009119630A1 (ja) Ni基合金
WO1996001334A1 (fr) Procede de production d'un alliage a base de fer ferritique et acier thermoresistant ferritique
JP5540637B2 (ja) 耐熱性に優れるフェライト系ステンレス鋼
JP5012243B2 (ja) 高温強度、耐熱性および加工性に優れるフェライト系ステンレス鋼
JP5846076B2 (ja) オーステナイト系耐熱合金
JP2009197306A (ja) 高温強度と靭性に優れるフェライト系ステンレス鋼
WO2016195106A1 (ja) オーステナイトステンレス鋼
WO2007029687A1 (ja) 低合金鋼
TWI548758B (zh) Fat iron stainless steel
JP3982069B2 (ja) 高Crフェライト系耐熱鋼
JP6425959B2 (ja) 耐高温酸化性、高温クリープ強度および高温引張強度に優れたフェライト系ステンレス鋼
JP2012211385A (ja) 析出強化型耐熱鋼
JP6083567B2 (ja) 耐酸化性および高温クリープ強度に優れたフェライト系ステンレス鋼
JP2014189863A (ja) メタルガスケット用耐熱オーステナイト系ステンレス鋼
JPH04173939A (ja) 高温強度および靱性に優れたフェライト系ステンレス鋼
JP2021070857A (ja) 高温クリープ強度と優れた加工性を有するフェライト系ステンレス鋼
JP3591486B2 (ja) 高Crフェライト系耐熱鋼
JP5796398B2 (ja) 熱疲労特性と高温疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼
JP2021090975A (ja) フェライト系耐熱鋼用溶接材料、および、フェライト系耐熱鋼の溶接継手の製造方法
JP6644512B2 (ja) 高温腐食性および高温クリープ強度に優れたフェライト系ステンレス鋼
JP2001152293A (ja) 高Crフェライト系耐熱鋼
JP2022101036A (ja) 高温強度と耐酸化性を兼備したフェライト系耐熱鋼

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220920

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230906

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231017

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231218

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240313

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240613

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20240620