JP5012243B2 - 高温強度、耐熱性および加工性に優れるフェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

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本発明は、Cr含有鋼に関し、特に、自動車やオートバイの排気管、触媒外筒材、火力発電プラントの排気ダクト等の高温環境下で使用される部材に用いて好適な、高温強度、耐熱性および加工性に優れるフェライト系ステンレス鋼に関するものである。
自動車の排気系部材、例えば、エキゾーストマニホールド、排気パイプ、コンバーターケース、マフラー等の部材に用いられる素材(材料)には、加工性に富むとともに使用時における耐熱性にも優れることが要求される。そのため、現状では、このような用途向けには、室温での加工性に優れ、高温耐力も比較的高い、NbとSiを添加したCr含有鋼、例えば、Type429(14Cr−0.9Si−0.4Nb系)が多く使用されている。しかし、エンジン性能の向上により、排ガス温度が上昇して900℃程度の温度まで達するようになると、Type429の鋼では、高温耐力が不十分となってきている。
この問題に対しては、例えば、NbとMoを添加して高温耐力を向上させたCr含有鋼である、JIS G4305に規定されるSUS444(19Cr−0.2Nb−1.8Mo)が開発されている。しかし、SUS444の鋼は、合金元素の含有量が多いため、高価である上、加工性がType429に比べて著しく劣るという問題がある。
このようなことから、室温ではType429と同等の加工性を有し、さらに、900℃あるいはそれ以上の温度における耐力がType429より高い、優れた高温強度を有する材料の開発が望まれている。さらに、排気系部材に用いられる材料の高温強度を高めることは、部材の薄肉化を可能とし、自動車車体の軽量化にも寄与することになるため、この面からも高温強度向上への要求が強まっている。さらに、排気系部材用材料には、高温強度のみならず、排ガス温度の上昇によっても異常酸化が起こさない、優れた耐酸化性を具備することも併せて要求されるようになってきている。
このような要求に対しては、たとえば、特許文献1には、排気系部材の高温部から低温部までの広い範囲に適用可能な素材として、高温強度、加工性および表面性状に優れたCr含有鋼が開示されている。この素材は、C:0.02mass%以下、Si:0.10mass%以下、Mn:0.4〜2.0mass%、Cr:3.0〜20mass%、Nb:0.2〜1.0mass%を含有するCr含有鋼であり、Siを0.10mass%以下に低減し、FeNbラーベス相の析出を抑制して室温降伏強さの上昇を抑制するとともに、優れた高温強度と加工性、さらには良好な表面性状を実現しようとするものである。
また、特許文献2には、C:0.020mass%未満、Si:0.10mass%超0.50mass%未満、Mn:2.00mass%未満、Cr:12.0mass%以上16.0mass%未満、Nb:10×(C+N)以上1.00mass%未満、Mo:0.80mass%超3.00mass%未満を含有し、さらに必要に応じてWを添加した耐熱性と加工性とを兼ね備えた軟質Cr含有鋼が開示されている。
特開2000−073147号公報 特開2002−212685号公報
しかしながら、特許文献1に記載された鋼は、900℃近傍の高温に加熱されると、異常酸化を起こし易く、また、特許文献2に記載のWを添加した鋼は、高温強度や耐酸化性は良好であるが、加工性(伸び、r値)が十分ではなく、いずれも、排気系部材に用いる材料に要求されている特性を十分に満足できるものではないという問題があった。
そこで、本発明の目的は、従来技術が抱える上記問題点を有利に解決し、常温では加工性に優れるとともに、使用される高温時においては高温強度と耐酸化性に優れるフェライト系ステンレス鋼を提供することにある。
なお、本発明でいう「加工性に優れる」とは、常温において、Type429等の従来鋼と同じ製造条件で製造した場合に、同等以上の伸び、r値を示すことをいう。また、本発明における「高温強度に優れる」とは、900℃における0.2%耐力(σ0.2)が25MPa以上であることを、また、「耐酸化性に優れる」とは、1000℃で異常酸化を起こさないことをいう。
発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、Cr含有鋼において、(Mo+W)を3.0〜5.8mass%の範囲で含有させることにより高温強度と耐酸化性を満足させ、さらに、高合金化に伴う伸び、r値の低下に対しては、Tiを0.01〜0.3mass%添加して向上させることで、所期した特性を満たすことができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、C:0.020mass%未満、Si:0.10mass%超0.50mass%未満、Mn:2.0mass%未満、P:0.040mass%未満、S:0.010mass%未満、Cr:12.0mass%以上16.0mass%未満、Ni:1.00mass%未満、N:0.020mass%未満、Nb:10×(C+N)以上1.00mass%未満、Mo:0.80mass%超3.0mass%未満、W:1〜5mass%、(Mo+W):3.0〜5.8mass%、Ti:0.01〜0.3mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する耐熱性と加工性に優れるフェライト系ステンレス鋼である。
本発明のフェライト系ステンレス鋼は、上記成分組成に加えてさらに、Cu:1.5mass%以下、B:0.003mass%以下、Al:0.1mass%以下、REM:0.08mass%以下、Zr:0.5mass%以下、V:0.5mass%以下およびCo:0.5mass%以下の中のいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする。
本発明によれば、常温での加工性に優れ、かつ、高温でも高い耐力を有するとともに耐酸化性にも優れる、自動車排気系部材に用いて好適なフェライト系ステンレス鋼を製造することが可能となる。
本発明を開発する契機となった実験について説明する。
C:0.006mass%、N:0.007mass%、Si:0.3mass%、Mn:0.4mass%、Cr:15mass%、Nb:0.45mass%、Mo:1.5mass%およびW:2.7mass%の成分組成を有する鋼をベースとし、これにTi含有量を0.01〜0.32mass%の範囲で変化させた鋼を溶製し、熱間圧延し、冷間圧延して板厚2mmの冷延板を作製し、この冷延板について、後述する実施例と同様にして、常温における伸びとr値を測定した。
図1は、上記試験結果を示したものである。図1から、Ti添加量が0.01mass%以上で、伸びおよびr値の向上が認められた。したがって、加工性を改善するためには、Tiを0.01mass%以上添加量する必要があることがわかった。
次に、C:0.006mass%、N:0.007mass%、Si:0.3mass%、Mn:0.4mass%、Cr:15mass%、Nb:0.45mass%の成分組成を有する鋼をベースとし、これにMoとWの添加量を(Mo+W)で0〜5.7mass%の範囲で変化させた鋼を溶製し、熱間圧延し、冷間圧延して板厚2mmの冷延板を作製し、この冷延板について、後述する実施例と同様にして、900℃における0.2%耐力(σ0.2)を測定した。
図2は、上記試験結果を示したものである。図2から、(Mo+W)の添加量の増加により900℃における0.2%耐力(σ0.2)は大きく上昇し、(Mo+W)の添加量を3.0mass%以上とすることにより、目標とする25MPa以上が得られることがわかった。
本発明は、上記知見に基き開発したものである。
次に、本発明に係るフェライト系ステンレス鋼の成分組成について説明する。
C:0.020mass%未満
Cは、鋼の強度を増加させる元素である。しかし、C含有量が0.020mass%以上になると、常温における靭性および加工性の低下が大きくなる。よって、加工性を重視する本発明では、C含有量を0.020mass%未満とする。なお、加工性を向上する観点からは、C含有量は低いほど好ましく、0.008mass%以下とするのが望ましい。ただし、所望の強度を確保するためには、Cは0.001mass%以上含有するのが好ましい。より好ましいCの範囲は0.002〜0.008mass%である。
Si:0.10mass%超0.50mass%未満
Siは、脱酸剤として作用するとともに、900℃以上の高温での耐酸化性を向上させるのに有効な元素であり、このような効果は、0.10mass%超の添加で発現する。一方、0.50mass%以上の添加は、固溶硬化により、常温での伸びを低下させ、加工性の低下を招く。よって、Siは0.10mass%超0.50mass%未満とする。好ましくは、0.20mass%超え0.45mass%以下である。
Mn:2.0mass%未満
Mnは、脱酸剤として作用するが、2.0mass%以上の過剰な添加は、高温で、γ相の生成を促進して耐熱性を低下させる。そのため、本発明では、Mnは2.0mass%未満とする。好ましくは、1.5mass%以下である。
P:0.040mass%未満
Pは、常温での鋼の靭性を劣化させる元素であり、できるだけ低減するのが望ましく、本発明では、0.040mass%未満とする。好ましくは、0.030mass%以下である。
S:0.010mass%未満
Sは、常温における伸びおよびr値を低下させ、加工性を劣化させるとともに、ステンレス鋼の基本特性である耐食性を劣化させる元素であり、できるだけ低減するのが望ましい。また、Sは、ラーベス相の析出を促進する元素でもあり、鋼を硬質化させる。よって、本発明では、Sを0.010mass%未満とする。なお、過剰なSの低減は、製造コストの上昇を招くため、下限は0.002mass%程度とするのが望ましい。好ましいSの範囲は0.002〜0.006mass%である。
Cr:12.0mass%以上16.0mass%未満
Crは、耐食性、耐酸化性を向上させる元素であり、本発明の鋼においては重要な元素の1つである。また、Crは、ラーベス相(本発明の組成範囲では(Fe,Cr)(Mo,Nb))の生成を促進する元素であり、Crを16.0mass%以上含有すると、ラーベス相の析出が促進されて鋼を硬質化する。一方、Cr含有量が12.0mass%未満では、耐酸化性、耐食性が劣化する。よって、本発明では、Crは12.0mass%以上16.0mass%未満の範囲とする。なお、Cr添加量は、必要な耐酸化性、耐熱性レベルに応じて上記範囲内で適宜選択すればよいが、特に耐酸化性が要求される場合には、14.0mass%以上16.0mass%未満の範囲とするのが好ましい。
Ni:1.0mass%未満
Niは、靭性を向上させる元素であるが、高価であり、また、強力なγ相形成元素であるため、高温で、γ相の生成を促進し、耐酸化性を低下させる。よって、Niは1.0mass%未満とする。なお、好ましくは、0.05mass%以上0.60mass%以下である。
N:0.020mass%未満
Nは、常温における鋼の靭性および加工性を劣化させる元素であり、0.020mass%以上含有すると、靭性および加工性の劣化が大きくなる。このため、Nは0.020mass%未満とする。なお、本発明では、Nはできるだけ低減するのが好ましく、0.010mass%以下とするのが望ましい。
Nb:10×(C+N)以上1.0mass%未満
Nbは、C,Nを固定し、高温強度を高める他、加工性、耐食性、溶接部の粒界腐食性を向上する元素であり、このような効果は、Nbを10×(C+N)以上添加することにより発現する。一方、1.0mass%以上の添加は、ラーベス相が多量に析出して、常温強度を高め、靭性、表面性状を劣化させる。このため、Nbは10×(C+N)以上1.00mass%未満の範囲で添加する。なお、とくに優れた高温強度が要求される場合には、Nbは0.30mass%超とすることが好ましい。より好ましくは、0.30〜0.70mass%の範囲である。
Mo:0.8mass%超3.0mass%未満
Moは、固溶状態で存在することにより、高温における耐力を増加させるとともに、耐食性や耐酸化性を向上する作用を有する。このような効果は、0.8mass%を超える添加量で認められる。一方、3.0mass%以上添加すると、ラーベス相の析出が顕著となり、固溶状態で存在するMo量が減少して、高温での耐力、耐食性の改善効果が小さくなるとともに、常温強度が増加し硬質化する。よって、本発明においては、Moは0.8mass%超3.0mass%未満とする。好ましくは、1.50mass%超3.00mass%未満の範囲である。
W:1〜5mass%
Wは、Moと同様、固溶状態で存在することにより高温耐力を増加させるとともに、耐食性・耐酸化性を向上する作用を有する。このような効果は、1mass%以上の含有で認められ、一方、5mass%を超えると、ラーベス相の析出が顕著となり、固溶状態で存在するW量が飽和するほか、靭性や加工性の低下をもたらす。よって、本発明では、Wは1〜5mass%の範囲とする。好ましくは2mass%以上4mass%未満である。
(Mo+W):3.0〜5.8mass%
Mo,Wは、上述のように同様の効果を有する元素であるが、本発明の目標である、900℃における0.2%耐力(σ0.2):25MPa以上を達成するためには、先述したように、(Mo+W)を3.0mass%以上添加する必要がある。一方、(Mo+W)が5.8mass%を超えると、900℃における0.2%耐力の向上効果が飽和すると共に、靭性や加工性の低下を招く。よって、本発明では、(Mo+W)は3.0〜5.8mass%の範囲とする。好ましくは3.5〜5mass%の範囲である。
Ti:0.01〜0.3mass%
Tiは、前述したように、常温における伸び、r値を向上するのに有効な元素であり、0.01mass%以上の添加でその効果が得られる。一方、0.3mass%を超える添加は、鋼板表面にTi系酸化物や窒化物に起因した「ヘゲ状」欠陥を発生させ、表面品質の低下を招く。よって、Tiの添加量は0.01〜0.3mass%とする。好ましくは0.05〜0.25mass%の範囲である。
本発明のフェライト系ステンレス鋼は、上記基本成分に加えてさらに、Cu:1.5mass%以下、B:0.003mass%以下、Al:0.1mass%以下、REM:0.08mass%以下、Zr:0.5mass%以下、V:0.50mass%以下およびCo:0.5mass%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することができる。
Cuは、耐食性を特に向上させる作用を有する。しかし、1.5mass%を超える過剰の添加は、ε−Cuが析出し、脆化を招く。よって、Cuは、1.5mass%以下添加するのが好ましい。
Bは、加工性、とくに2次加工性を向上する元素である。このような効果は、0.0005mass%以上の添加で認められるが、0.003mass%を超える多量の添加は、BNを生成して加工性の低下を招く。よって、Bは、0.003mass%以下とするのが好ましい。
Alは、脱酸剤であり、Al脱酸を行う場合には、不可避的に含有されることがある。また、Alは、溶接時に表面保護スケールを生成し、大気中からのC,N,Oの侵入を防ぎ、溶接部の靭性を向上させる効果を有するため、必要に応じて積極的に添加してもよい。上記効果は0.02mass%以上の添加で認められる。しかし、0.1mass%を超えて添加すると、加工性が低下する。よって、Alは0.1mass%以下添加するのが好ましい。
REM(希土類元素:Rare Earth Metal)およびZrは、いずれも耐酸化性を改善する元素であり、本発明では、必要に応じて添加することができる。しかし、REMの0.08mass%を超える添加は、鋼を脆化させ、またZrの0.5mass%を超える添加は、Zr金属間化合物の析出を招き、鋼を脆化させる。よって、REMは0.08mass%以下、Zrは0.5mass%以下添加するのが好ましい。
Vは、常温における加工性の向上に有効な元素である。しかし、0.5mass%を超える過剰な添加は、粗大なV(C,N)を析出し、表面性状を劣化させる。そのため、Vは0.5mass%以下添加するのが好ましい。
Coは、常温における靭性向上に有効な元素であるが、高価な元素であり、また、0.5mass%を超えて添加しても上記効果は飽和するので、0.5mass%を上限として添加するのが好ましい。
次に、本発明のフェライト系ステンレス鋼の製造方法について説明する。
本発明の鋼を製造する方法は、とくに限定されるものではなく、フェライト系ステンレス鋼の製造に用いられている一般的な方法であれば、いずれも好適に用いることができる。例えば、上述した本発明に適合する成分組成を有する鋼を、転炉、電気炉等を利用し、あるいはさらに取鍋精錬、真空精錬等の2次精錬を利用して溶製し、次いで、連続鋳造法あるいは造塊−分塊圧延法で鋼片(スラブ)とし、その後、熱間圧延、熱延板焼鈍、酸洗、冷間圧延、仕上焼鈍、酸洗の各工程を順次経て冷延焼鈍板(製品)とすることができる。なお、上記冷間圧延は、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延としてもよい。また、冷間圧延、仕上焼鈍、酸洗の工程は繰り返し行ってもよい。また、場合によっては、熱延板焼鈍は省略してもよい。さらに、鋼板表面の光沢性が要求される場合にはスキンパス圧延等を施してもよい。
表1に示した成分組成を有する鋼を実験室的に溶製し、50kg鋼塊とし、次いで、これらの鋼塊を1170℃に加熱し、熱間圧延し、板厚5mmの熱延板とした。その後、これらの熱延板に熱延板焼鈍(焼鈍温度:1040℃)を施し、酸洗し、圧下率60%の冷間圧延し、仕上焼鈍(焼鈍温度:1050℃)し、酸洗して板厚が2mmの冷延焼鈍板とした。かくして得られた冷延焼鈍板について、高温強度、加工性、耐酸化性を以下の要領で評価した。なお、高温強度、加工性、耐酸化性の判定指標とするため、参考例としてType429についても同様にして特性を評価した。
(1)高温強度
各冷延焼鈍板から、圧延方向を引張方向としたJIS13号B試験片を各2本ずつ採取し、JIS G0567に準拠して、温度:900℃、歪速度:0.3%/minで高温引張試験を実施し、900℃における0.2%耐力(σ0.2)を測定し、2本の平均値を求めた。その結果、900℃におけるσ0.2が25MPa以上を高温強度良好(○)、25MPa未満を高温強度不良(×)と評価した。
(2)加工性(平均El、平均r値)
各冷延焼鈍板の圧延方向、圧延方向に45°方向、および圧延方向に90°方向の各方向から、JIS13号B試験片を各2本ずつ採取し、JIS Z2241に準拠して、常温(20℃)での引張試験を実施し、上記各方向の伸び(El,El45,El90)を測定し、2本の平均値を求めた。得られた各方向の伸びから、下記(1)式;
平均伸びEl=(El+2El45+El90)/4 ・・・(1)
を用いて各方向の平均伸びElを算出した。
また、上記と同様にして、各方向のr値(r,r45,r90)を測定し、下記(2)式;
平均r値=(r+2r45+r90)/4 ・・・(2)
を用いて各方向の平均r値を算出した。
(3)耐酸化性
各冷延焼鈍板から、試験片(厚さ2mm×幅20mm×長さ30mm)を各2枚ずつ採取し、それらの試験片を、1000℃に保持された大気雰囲気の加熱炉に200時間保持し、試験前後における試験片の質量測定値から、加熱試験による質量変化を算出し、2枚の平均値を求めた。これらの結果から、質量変化の絶対値が5mg/cm以内であったものを耐酸化性良好(○)、絶対値が5mg/cm超であったものを耐酸化性不良(×)と評価した。得られた結果を表2に示した。
Figure 0005012243
Figure 0005012243
表2から、本発明に適合する成分組成を有する鋼板(鋼No.1〜11)は、伸び、r値ともに良好であり、従来例であるType429鋼(鋼No.15)と同等であり、また、900℃における0.2%耐力(σ0.2)も25MPa以上を示し、従来例であるType429鋼に比べて優れた高温強度を有している。さらに、1000℃においても、Type429のような異常酸化は認められず、耐酸化性にも優れた材料であることがわかる。これに対して、本発明の範囲を外れる成分組成の比較例(鋼No.12〜14)では、伸び、r値がType429に比べて劣るか、あるいは、900℃における0.2%耐力(σ0.2)が目標とする25MPaを下回る値しか得られていないことがわかる。
本発明の鋼は、常温での加工性に優れ、高温でも高い強度を有するとともに耐酸化性にも優れるので、同様の特性が要求される火力発電システムの排気経路部材や固体酸化物型の燃料電池用部材としても好適に用いることができる。さらに、本発明の鋼は、耐食性の向上に有効なMo,Wを含有しているので、耐食性を要求される用途にも適用することができる。
Cr含有鋼の伸び、r値に及ぼすTi含有量の影響を示すグラフである。 Cr含有鋼の900℃における0.2%耐力に及ぼす(Mo+W)含有量の影響を示すグラフである。

Claims (2)

  1. C:0.020mass%未満、Si:0.10mass%超0.50mass%未満、Mn:2.0mass%未満、P:0.040mass%未満、S:0.010mass%未満、Cr:12.0mass%以上16.0mass%未満、Ni:1.0mass%未満、N:0.020mass%未満、Nb:10×(C+N)以上1.0mass%未満、Mo:0.8mass%超3.0mass%未満、W:1〜5mass%、(Mo+W):3.0〜5.8mass%、Ti:0.01〜0.3mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する高温強度、耐熱性および加工性に優れるフェライト系ステンレス鋼。
  2. 上記成分組成に加えてさらに、Cu:1.5mass%以下、B:0.003mass%以下、Al:0.1mass%以下、REM:0.08mass%以下、Zr:0.5mass%以下、V:0.5mass%以下およびCo:0.5mass%以下の中のいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載のフェライト系ステンレス鋼。
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