JP2007239085A - 溶銑の脱燐処理方法 - Google Patents

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【課題】 従来に比べて少ない石灰の使用量であっても、しかも、フッ素を含有する媒溶剤を使用しなくても、従来と同等の脱燐効率で脱燐処理する。
【解決手段】 CaOを主体とする媒溶剤を添加し、酸素源として気体酸素源及び/または固体酸素源を供給して、添加したCaOを主体とする媒溶剤を滓化させてスラグとなし、溶銑に対して脱燐処理を施す、溶銑の脱燐処理方法において、CaOを主体とする媒溶剤に加えて、酸化アルミニウムを含有する煉瓦屑と、酸化チタンを含有する物質と、を媒溶剤の一部として使用し、脱燐処理の開始直後から前記煉瓦屑を供給し、該煉瓦屑の供給が完了した後に前記酸化チタンを含有する物質を供給する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、酸化アルミニウムを含有する煉瓦屑及び酸化チタンを含有する物質を、脱燐用精錬剤である媒溶剤の一部として使用した溶銑の脱燐処理方法に関するものである。
高炉溶銑を用いる製鋼プロセスにおいては、転炉で脱炭吹錬する前に、溶銑中に含有されるSi及びPの大半を酸素ガスや固体の酸化鉄を用いて酸化除去する溶銑脱燐処理、或いは溶銑中に含有されるSを脱硫剤によって還元雰囲気下で除去する溶銑脱硫処理の、所謂、溶銑予備処理が一般的に行われている。近年、鉄鋼製品に要求される品質要求は以前にも増して厳格になり、今まで以上に低いレベルの燐濃度が求められるようになっている。この品質要求に応えるには、溶銑予備処理のうちで特に脱燐処理を行う溶銑量を従来以上に増加すると同時に、脱燐処理後の燐濃度を安定して下げることが必要である。
ところで、昨今の地球温暖化に代表される環境影響に対応すべく、製鋼工程におけるスラグ排出量の削減が必須となっている。溶銑の脱燐処理においてスラグの排出量を削減するためには、溶融して脱燐用精錬剤となる媒溶剤の供給量を低減することが必要である。溶銑脱燐処理において、媒溶剤の主体は石灰であり、上記の品質要求に応えるとともにスラグ排出量を削減するためには、石灰の使用量を低減しつつ、必要脱燐量を維持する技術、即ち、少ない石灰の使用量で効率良く脱燐処理する技術が必要となる。
脱燐処理において、滓化しない石灰は脱燐反応に寄与しないことから、石灰の使用量を削減するためには、添加した石灰の滓化を促進させることが重要となる。従来、石灰を始めとするスラグの滓化能力に優れた媒溶剤としてホタル石が知られており、脱燐処理においてもホタル石が用いられてきた。しかし近年、環境規制の強化に伴い、ホタル石に代表されるフッ素を含む媒溶剤の使用が制限されるようになり、そのため、ホタル石を使用しなくても石灰による脱燐反応を促進させる手段が検討され、多数の提案がなされている。
そのなかの1つの手段として、ホタル石の代替として他の媒溶剤を用いる技術が提案されている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、溶銑の脱炭精錬或いは脱燐処理において、ホタル石の代替として酸化アルミニウムを含有する媒溶剤を使用する方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2においてホタル石代替として提案された酸化アルミニウムは、スラグの滓化は促進させるが、スラグの粘度を高める作用を有している。このため、脱燐処理後、スラグを反応容器から排滓する際に、スラグが炉内に付着して残留する場合が発生する。これにより、次チャージの脱燐処理時に残留スラグ中の燐が溶銑に戻る、所謂「復燐」が発生し、次チャージの脱燐処理に悪影響を及ぼすという問題があった。
特開2002−309312号公報 特開2003−13126号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溶銑を脱燐処理するに当たり、従来に比べて少ない石灰の使用量であっても、しかも、フッ素を含有する媒溶剤を使用しなくても、従来と同等の脱燐効率で脱燐処理することができる、溶銑の脱燐処理方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る溶銑の脱燐処理方法は、CaOを主体とする媒溶剤を添加し、酸素源として気体酸素源及び/または固体酸素源を供給して、添加したCaOを主体とする媒溶剤を滓化させてスラグとなし、溶銑に対して脱燐処理を施す、溶銑の脱燐処理方法において、CaOを主体とする媒溶剤に加えて、酸化アルミニウムを含有する煉瓦屑と、酸化チタンを含有する物質と、を媒溶剤の一部として使用し、脱燐処理の開始直後から前記煉瓦屑を供給し、該煉瓦屑の供給が完了した後に前記酸化チタンを含有する物質を供給することを特徴とするものである。
第2の発明に係る溶銑の脱燐処理方法は、第1の発明において、前記スラグのTiO2 換算の酸化チタンの含有量は、10質量%以下であることを特徴とするものである。
第3の発明に係る溶銑の脱燐処理方法は、第1または第2の発明において、前記スラグの酸化アルミニウムの含有量は、1質量%以上10質量%以下であることを特徴とするものである。
第4の発明に係る溶銑の脱燐処理方法は、第1ないし第3の発明の何れかにおいて、前記スラグは、実質的にフッ素を含有しないことを特徴とするものである。
第5の発明に係る溶銑の脱燐処理方法は、第1ないし第4の発明の何れかにおいて、前記酸化チタンを含有する物質として、砂鉄を使用することを特徴とするものである。
本発明によれば、溶銑の脱燐処理の際に、CaOを主体とする媒溶剤に加えて、酸化アルミニウムを含有する煉瓦屑と酸化チタンを含有する物質とを、媒溶剤の一部として併用するので、酸化アルミニウム及び酸化チタンの両者の作用により、CaOを主体とする媒溶剤の滓化が促進されて脱燐反応が促進する。そのため、CaOを主体とする媒溶剤の使用量を削減しても、従来と同様の脱燐速度を維持することができる。また、酸化アルミニウムは単独で添加すると生成されるスラグの粘度を高める作用があるが、逆に、酸化チタンは生成されるスラグの粘度を低下させる作用があり、スラグの粘度は酸化チタンの作用によって低下し、これにより、反応容器からのスラグの排出が円滑に行われ、次チャージの脱燐処理においては、残留スラグによる復燐などによって脱燐反応が阻害されることがなく、効率良く脱燐処理することが可能となる。また更に、本発明では、酸化アルミニウム源として添加する煉瓦屑は脱燐処理の初期に供給するので、煉瓦屑であっても滓化し、酸化アルミニウムの作用を発現する。酸化アルミニウム含有量の高い廃煉瓦は、廃棄時の処理が困難であり、処理費用をかけて処理されることを勘案すると、脱燐処理に再利用することは、環境対策の観点からも有利である。
以下、本発明を具体的に説明する。
溶銑の脱燐処理は、トーピードカーや溶銑鍋などの溶銑搬送容器、或いは転炉などの精錬炉を反応容器として用い、CaOを主体とする媒溶剤と、酸素ガス及び固体の酸化鉄などの酸素源とを溶銑に添加して、溶銑中の燐を酸素源によって酸化し、生成した燐酸化物を、CaOを主体とする媒溶剤などからなるスラグ中に取り込み、溶銑中の燐を除去するという方法で行われている。
本発明では、このような溶銑の脱燐処理において、CaOを主体とする媒溶剤に加えて、酸化アルミニウムを含有する煉瓦屑(以下、「含アルミナ煉瓦屑」と記す)と、酸化チタンを含有する物質(以下、「含酸化チタン物質」と記す)とを、媒溶剤の一部として使用する。添加した含アルミナ煉瓦屑及び添加した含酸化チタン物質は、CaOを主体とする媒溶剤とともに溶融し、溶銑上でスラグを形成する。ここで、酸化アルミニウムとはアルミナ(Al23 )である。
酸化アルミニウム源として添加する含アルミナ煉瓦屑は、本来耐火材料であることから滓化性に劣るので、脱燐処理が開始されたなら、直ちに含アルミナ煉瓦屑の供給を開始する。この場合、連続的に供給してもまた断続的に供給してもどちらでも構わないが、含アルミナ煉瓦屑の滓化を確実にするために、脱燐精錬時間の20%を経過するまでに所定量の供給を終了することが好ましい。ここで脱燐精錬時間とは、脱燐処理工程において、溶銑に酸素ガスなどの酸素源を供給するなどして、溶銑に精錬を施している期間の時間であり、通常、脱燐精錬時間は12〜16分程度である。勿論、脱燐精錬時間がこの範囲を外れても何ら問題はない。
また、含アルミナ煉瓦屑の滓化を促進させる観点から、破砕・篩分処理などにより、粒度を30mm以下、望ましくは10mm以下に調製した含アルミナ煉瓦屑を使用することが好ましい。この場合の粒度は篩分器の目開き寸法で定義されるもので、長径が目開き寸法を超える紡錘形或いは針状の粒子であっても篩分器を通過する限り、目開き寸法以下の粒度と定義する。
含アルミナ煉瓦屑の所定量の供給が完了したならば、含酸化チタン物質の供給を開始する。含アルミナ煉瓦屑の供給終了後直ちに供給しても、また、含アルミナ煉瓦屑の供給終了後から数分間経過した後に供給しても、どちらでも構わないが、反応容器内の溶銑及びスラグの温度を高めてスラグの滓化を促進させるために、数分間経過した後に供給することが好ましい。具体的には、脱燐精錬時間の40%を経過した以降、含酸化チタン物質の供給を開始することが好ましい。但し、処理終了直前に供給しても酸化チタンの効果は発現されないので、脱燐精錬時間の60%を経過するまでには含酸化チタン物質の所定量を供給終了することが好ましい。
含アルミナ煉瓦屑と含酸化チタン物質とを同時に供給すると、溶銑の温度が低下してCaOを主体とする媒溶剤の滓化が遅れるが、このように両者を、時間差を持たせて供給することで、CaOを主体とする媒溶剤の滓化を促進させることができる。また、このようにして両者を供給することで、含酸化チタン物質に含まれる酸素源と溶銑との反応が迅速化され、脱燐速度を上昇させることができる。尚、CaOを主体とする媒溶剤は脱燐処理が開始されたなら、直ちに供給を開始して所定量を供給するまで、連続的または断続的に供給を続ける。スラグの最終成分は、質量%表示の含有量でCaO/(SiO2 +Al23 +TiO2)比を2.0〜3.0とすればよい。
酸化アルミニウム及び酸化チタンは脱燐処理時のスラグ組成においては酸性酸化物として作用し、脱燐用の媒溶剤の主体であるCaOを滓化する効果に優れている。つまり、含アルミナ煉瓦屑と含酸化チタン物質とを添加することで、CaOを主体とする媒溶剤の滓化が促進されて脱燐反応が促進される。
また、酸化チタンは、CaOを主体とする媒溶剤からなるスラグの粘度を低下させる作用がある。酸化アルミニウムを単独で添加した場合には、CaOを主体とする媒溶剤からなるスラグの粘度を高める効果があるが、酸化チタンと併用することで、スラグの粘度をむしろ低下させる。これにより、脱燐処理後、反応容器からのスラグの排出が容易になるという効果を奏する。このため、スラグ排出後の反応容器内のスラグ残留量は無視できるほど少なくなり、次チャージの脱燐処理においては、復燐などによって脱燐反応が阻害されることはなく、効率良く脱燐処理することができる。
反応容器内で生成するスラグ中の酸化アルミニウム量は、1質量%以上10質量%以下が好適である。10質量%を超えると、脱燐反応に必要なCaOを薄めてしまうことになり、脱燐能力を低下させてしまう。一方、スラグの滓化促進などの上記の効果を確実に享受するためには、酸化アルミニウム量は1質量%以上望ましくは3質量%以上が好ましい。
また、反応容器内で生成するスラグ中の酸化チタンの量は、TiO2 換算で10質量%以下が好適である。10質量%を超えると、脱燐反応に必要なCaOを薄めてしまうことになり、脱燐能力を低下させてしまう。一方、スラグの粘度低下などの上記の効果を確実に享受するためには、酸化チタンの量はTiO2換算で1質量%以上が好ましい。ここで、TiO2 換算の意味は、酸化チタンにはTiO、TiO2 、Ti23 、Ti35 の形態があり、これらのTi分をTiO2 に換算して表示するという意味である。
含酸化チタン物質としては、一般に入手可能な、砂鉄、イルメナイト鉱石(チタン鉄鉱)、ルチル鉱石(金紅石)などを使用することができる。酸化チタンを高濃度に含有する鉄鉱石も使用することができる。これらの中でも、砂鉄は発生形態として1mm以下の微粒であり、反応容器内で迅速に溶融することから、特に好適である。更に、砂鉄を添加することで、スラグ中の酸化鉄濃度が上昇することを知見した。これにより、スラグの酸素ポテンシャルが上昇し、スラグの脱燐能力が向上する。そのため、CaO量を低減しても、スラグの脱燐能力は維持される。つまり、CaOを主体とする媒溶剤の使用量を少なくしても、従来と同様の脱燐速度を維持することができる。因みに、砂鉄は、産地によって品位が異なっており、TiO2 を5質量%〜8質量%程度含有するものが一般的であるが、高いものでは13質量%程度含有するものもある。イルメナイト鉱石及びルチル鉱石は、通常TiO2を30質量%以上含有している。
本発明において、含酸化チタン物質とは、TiO2 換算で3質量%以上の酸化チタンを含有する物質であり、含有量がそれ以下の物質は含酸化チタン物質とは定義しない。酸化チタンの含有量がTiO2換算で3質量%未満の物質を添加しても、前述した酸化チタンの効果が得られにくく、効果を得ようとすると添加量が増えてスラグ量が増大し、脱燐反応に必要なCaOを薄めてしまい、却って脱燐能力を低下させてしまうからである。従って、不純物として酸化チタンが不可避的に混入した物質は、本発明における含酸化チタン物質には含まれない。
酸化アルミニウム源として使用する含アルミナ煉瓦屑は、酸化アルミニウムの含有量が30質量%以上の煉瓦であればどのような種類の煉瓦であっても使用可能であるが、特に、酸化アルミニウムを50質量%以上含有する煉瓦は、脱燐処理時の添加量が少なくて済むことから好適である。酸化アルミニウム含有量の高い廃煉瓦は、廃棄時の処理が困難であることを勘案すると、脱燐処理に再利用することは環境対策の観点からも有利である。
CaOを主体とする媒溶剤とは、CaOを含有し、本件の意図する脱燐処理ができるものであれば特にCaOの含有量に制約はないが、通常は、CaO単味またはCaOを50質量%以上含有し、必要に応じてその他の成分としてAl23 、CaF2 などの滓化促進剤を含有するものである。但し、スラグを廃棄処分などにする際に、スラグからのフッ素の溶出量を抑えて環境を保護する観点から、ホタル石などのフッ素含有物質は媒溶剤として使用しないことが好ましい。つまり、生成するスラグは実質的にフッ素を含有しないことが好ましい。フッ素が不純物成分として不可避的に混入した物質については使用しても構わない。当然、含アルミナ煉瓦屑及び含酸化チタン物質も、この観点からフッ素を含まないものであることが好ましい。
CaOを主体とする媒溶剤としては、安価でしかも脱燐能に優れることから生石灰粉を使用することが好ましい。また、脱燐処理後の溶銑を次工程の転炉で脱炭精錬した際に発生するスラグ(「脱炭滓」ともいう)を、CaOを主体とする媒溶剤として使用することもできる。脱炭滓は、CaOを主成分としており、しかも燐含有量が少ないことから、CaOを主体とする媒溶剤として十分に利用することができる。
CaOを主体とする媒溶剤の添加方法は、上置き装入(溶銑の浴面の上方からシュートなどにより落下させて装入する方法)しても、また溶銑中にインジェクションしても、或いはこれらを併用しても構わない。更に、上吹きランスなどから搬送用ガスとともに溶銑浴面に向けて吹き付けて添加しても構わない。含アルミナ煉瓦屑及び含酸化チタン物質の添加方法も、どの方法であっても構わないが、前述した酸化チタンの効果及び酸化アルミニウムの効果を迅速に発揮させるために、可能であるならばCaOを主体とする媒溶剤と同一箇所から混合して添加することが好ましい。
脱燐処理に使用する反応容器は特別な制約はなく、溶銑鍋や装入鍋などの取鍋型容器、トーピードカー、転炉型容器などを用いることができる。脱燐処理では、脱燐反応を推進するために、溶銑に酸素源として気体酸素源または固体酸素源を供給する。この気体酸素源としては、酸素ガスまたは酸素含有ガスを使用し、固体酸素源としては、鉄鉱石やミルスケールなどの酸化鉄を使用する。このうち気体酸素源については、ランスによる上吹きや溶銑中へのインジェクション或いは底吹きなどの任意の方法により、また、固体酸素源については、上置き装入やインジェクションなどの任意の方法により、それぞれ溶銑中に供給する。気体酸素源を使用した場合には、酸化反応熱によって溶銑温度は上昇し、逆に、固体酸素源を使用した場合には、固体酸素源自体の顕熱及び潜熱が酸化反応熱よりも大きいために溶銑温度は降下する。従って、気体酸素源と固体酸素源との使用比率は、溶銑の処理前後の温度に応じて設定する。また、脱燐反応を効率的に行うためには溶銑を撹拌することが好ましく、この撹拌としては、一般に浸漬ランスや炉底に埋め込まれたノズルなどを利用したガス撹拌を行えばよい。
このようにして溶銑の脱燐処理を行うことにより、CaOを主体とする媒溶剤の使用量を削減しても、従来と同様の脱燐速度を維持して脱燐処理することができる。その結果、発生するスラグを削減することが可能となり、省資源及び廃棄スラグの減少など、工業上有益な効果がもたらされる。また、酸化チタンは、生成されるスラグの粘度を低下させる作用があることから、酸化アルミニウムの存在下でもスラグの粘度は低下され、これにより、反応容器からのスラグの排出が円滑に行われ、次チャージの脱燐処理においては、残留スラグによる復燐などによって脱燐反応が阻害されることはなく、効率良く脱燐処理することが可能となる。更に、フッ素含有物質を媒溶剤として使用しなくても、従来と同等の脱燐量を維持することが可能であり、この場合には、環境へのフッ素漏洩の対策を採らないままでスラグを廃棄処分することができる。
高炉から出銑した溶銑を高炉鋳床で脱珪処理した後、300トン容量の転炉に搬送し、この転炉で合計3回の脱燐処理を実施(本発明例1〜3)した。脱燐処理前の溶銑の燐濃度は0.12質量%に統一し、脱燐処理後の溶銑の目標燐濃度は0.020質量%以下とした。
脱燐処理条件としては、脱燐処理前後の溶銑温度を1270℃〜1350℃の範囲になるように気体酸素源と固体酸素源との供給比を調整した。脱燐用の媒溶剤としては、ホタル石などのフッ素源を含まないCaO主体の生石灰を使用し、これに、含アルミナ煉瓦屑(Al23 含有量:40質量%)と砂鉄(TiO2含有量:7.5質量%)とを、媒溶剤として加えて上置き装入した。そして、酸素ガスを上吹きランスで供給するとともに、鉄鉱石を主体とした固体酸素源を上置き装入した。酸素ガスの送酸条件は15000〜25000Nm3/hrとした。酸素原単位は、脱珪に必要な酸素を除いて12Nm3 /tとした。含アルミナ煉瓦屑は、酸素ガスの供給開始直後から上置き投入を開始し、脱燐精錬時間(約14分間)の20%経過するまでに所定量を上置き投入した。砂鉄は、脱燐精錬時間の40%、50%、60%の3回の時期に分けて所定量を上置き投入した。生石灰は酸素ガスの供給開始直後から連続的に上置き投入した。
また、比較例として、媒溶剤として酸化アルミニウム源及び酸化チタン源を使用せず、生石灰だけを添加した場合(比較例1〜2)、及び、生石灰とホタル石とを併用した場合(比較例3)についても脱燐処理を行った。比較例1〜3のその他の脱燐処理条件は本発明例に準じて行った。
脱燐処理後にスラグを採取して分析し、スラグ組成を調査した。その結果、代表的なスラグ構成成分であるMgO、MnOの濃度は、本発明例1〜3及び比較例1〜3ともに、それぞれ1〜5質量%、1〜10質量%の範囲であった。また、スラグ中の酸化鉄濃度は、全ての比較例で10質量%以下であったのに対し、砂鉄を使用した本発明例1〜3では高く、7.0kg/t以上の砂鉄を使用した本発明例1〜2ではおよそ20質量%であった。表1に、本発明例1〜3及び比較例1〜3における脱燐処理前後の溶銑成分並びに操業条件を示す。
Figure 2007239085
表1に示すように、酸化アルミニウム源及び酸化チタン源を併用した本発明例1〜3において、比較例3のホタル石を併用した場合と同様に、脱燐処理後の溶銑中燐濃度は、0.020質量%以下になった。これに対して、比較例1〜2では、脱燐処理後の溶銑中燐濃度は、0.020質量%より高く、十分に脱燐されていないことが確認できた。
尚、比較例1〜3でもスラグ中にAl23 及びTiO2 が存在するが、これは、媒溶剤から持ち来されたものではなく、溶銑搬送容器に付着していたスラグからの持ち越し、並びに、高炉溶銑に含まれていたTiが脱燐処理によって酸化して生成したものである。

Claims (5)

  1. CaOを主体とする媒溶剤を添加し、酸素源として気体酸素源及び/または固体酸素源を供給して、添加したCaOを主体とする媒溶剤を滓化させてスラグとなし、溶銑に対して脱燐処理を施す、溶銑の脱燐処理方法において、CaOを主体とする媒溶剤に加えて、酸化アルミニウムを含有する煉瓦屑と、酸化チタンを含有する物質と、を媒溶剤の一部として使用し、脱燐処理の開始直後から前記煉瓦屑を供給し、該煉瓦屑の供給が完了した後に前記酸化チタンを含有する物質を供給することを特徴とする、溶銑の脱燐処理方法。
  2. 前記スラグのTiO2 換算の酸化チタンの含有量は、10質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の脱燐処理方法。
  3. 前記スラグの酸化アルミニウムの含有量は、1質量%以上10質量%以下であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の溶銑の脱燐処理方法。
  4. 前記スラグは、実質的にフッ素を含有しないことを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の溶銑の脱燐処理方法。
  5. 前記酸化チタンを含有する物質として、砂鉄を使用することを特徴とする、請求項1ないし請求項4の何れか1つに記載の溶銑の脱燐処理方法。
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