JP2007234972A - 半導体装置とその製造方法 - Google Patents

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佐智子 河路
Takashi Suzuki
隆司 鈴木
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雅康 石子
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順 斎藤
Takeshi Nishiwaki
剛 西脇
Hirosuke Baba
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Abstract

【課題】 半導体基板のトレンチ溝から不純物を拡散させることで、所望の幅と所望の深さを有する領域を形成すること。
【解決手段】 本発明は、半導体装置の製造方法である。本製造方法は、半導体基板の表面にトレンチ溝S1を形成する工程(S2)と、トレンチ溝の壁面に第1導電型不純物を含むSOGを塗布する工程(S3、S4)と、SOGが付着している半導体基板を熱処理を(S5)備える。本発明の半導体装置の製造方法によれば、不純物拡散によって形成される半導体領域を所望のアスペクト比で形成することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、半導体装置とその製造方法に関する。
半導体装置の高耐圧化と低オン抵抗化(又は低オン電圧化)の要求に応えるために、スーパージャンクション構造を備えた半導体装置の開発が進められている。
スーパージャンクション構造を有する半導体装置は、pコラムとnコラムが繰り返されている構造を有し、コラムの幅を狭くすることによって耐圧の低下を抑えながら不純物の濃度を濃くすることができ、それによってオン抵抗(又はオン電圧)を下げることができる。
コラムを形成するためには、第1導電型半導体領域の所望の位置に所望の幅で所望の深さを有するトレンチ溝を形成し、そのトレンチ溝内に第2導電型半導体領域を充填する。半導体領域の所望の位置に所望の幅で所望の深さを有するトレンチ溝を形成する技術開発は進んでいる。しかし、スーパージャンクション構造を実現するために要求されるコラムは、アスペクト比(コラムの幅に対する深さの比)が高い。アスペクト比の高いトレンチ溝内に、深さ方向に一様な不純物濃度を有する半導体領域をエピタキシャル成長することは難しい。
特許文献1には、溝の形成する工程と、その溝内に半導体を結晶成長させる工程を繰り返すことによって、アスペクト比の高いコラムを形成する技術が記載されている。具体的には、次の手順で半導体領域内にスーパージャンクション構造を形成している。
(1)半導体層を貫通する溝を形成する。
(2)その溝内に半導体を結晶成長する。
(3)その表面の全域に半導体を結晶成長して新たな半導体層を形成する。
(4)ついで前記(1)の工程に戻る。
上記の工程を繰り返すことによって、半導体層が積層されていき、アスペクト比が高いスーパージャンクション構造を形成する。
特開2003−273355号公報
特許文献1の技術では、半導体層の形成と、溝の形成と、半導体を溝に埋め込む工程を繰り返している。スーパージャンクション構造を実現するために、アスペクト比の低いコラムを積み重ねることでアスペクト比の高いコラムを形成している。特許文献1の技術を採用してスーパージャンクション構造を実現すると、工程を多数回に亘って繰り返す必要があることから、多大なコストと時間が必要になる。また、アスペクト比の低いコラムを積み重ねてアスペクト比の高いコラムを形成するために、コラム位置が幅方向にずれやすい。コラムが幅方向にずれると、コラムと半導体領域の境界面であるpn接合界面も左右にずれる。このため、溝の形成に用いる加工マスクは、毎回に正確に位置あわせしなければならない。微細なコラムの形成が要求されるスーパージャンクション構造の場合、加工マスクを正確に位置あわせすることが困難である。コラムと半導体領域の境界に形成されるpn接合界面がずれると、高精度な半導体装置が得られない。また、同じ製造過程で半導体装置を製造しても、半導体装置ごとにコラムの状態が異なる。同じ製造過程で半導体装置を製造しても、同じ耐圧性能や抵抗特性を有する半導体装置が製造されない。
本発明者らは、トレンチ溝をうまく利用して、コラムを形成する技術の開発に取り組んだ。前記したように、半導体領域の所望の位置に所望の幅で所望の深さを有するトレンチ溝を形成する技術は、高い技術水準に達している。トレンチ溝の内壁から半導体領域に向けて不純物を注入し、その後に不純物を拡散させれば、理想的な形状のコラムを形成できる。
本発明では、半導体領域のトレンチ溝の壁面から不純物を拡散させることで、所望の幅と所望の深さを有する領域(コラム)を形成し、スーパージャンクション構造を有する半導体装置の耐圧性能の向上とON抵抗の低抵抗化を効率的に実現する。
本発明は、スーパージャンクション構造を有する半導体装置の製造方法に関する。本発明のひとつの製造方法は、第1導電型不純物を含む半導体基板の表面にトレンチ溝を形成する工程と、トレンチ溝の壁面に第2導電型不純物を含むSOGを付着する工程と、SOGが付着している半導体基板を熱処理する工程とを備える。
上記の方法によると、半導体基板を熱処理することでSOGに含まれる第2導電型不純物が半導体基板中に熱拡散する。トレンチ溝を深く形成すれば、半導体基板の深い部分にまで第2半導体領域を形成することができる。また、トレンチ溝を薄板状に形成し、トレンチ溝の壁面にSOGを付着すれば、トレンチ溝の壁面に沿った領域に第2半導体領域を形成することができる。半導体基板に同形状のトレンチ溝を複数形成し、すべてのトレンチ溝に同様にSOGを付着すれば、同形状の第2導電型の半導体領域を複数形成することが可能である。SOGは、アスペクト比の高いトレンチ溝によく侵入する。
なお、本明細書において、「SOGを付着する」とは、SOGを壁面の一部に塗布する場合、SOGを壁面の全体に層状に塗布する場合、あるいはSOGをトレンチ溝に充填する場合を含む。本発明の効果は、トレンチ溝の壁面の一部に、不純物を含むSOGを付着すれば、十分得ることができる。
例えば、トレンチ溝の壁面の全面から伸びる第2導電型の半導体領域を形成する場合には、トレンチ溝の壁面の全体を第2導電型不純物を含むSOGで覆えばよい。この場合、トレンチ溝をSOGで充填してもよい。また、トレンチ溝から部分的に広がる第2導電型の半導体領域を形成する場合、トレンチ溝の壁面の一部分に第2導電型不純物を含むSOGを塗布すればよい。その一部分から広がる第2導電型の半導体領域を形成することができる。要は、トレンチ溝から広がる第2導電型の半導体領域の目的形状に合わせて、トレンチ溝内の適当な場所にSOGを付着すればよい。
本発明に係る半導体材料は特に限定されない。たとえばSiやSiCからなる半導体であってもよく、GaNなどの窒化物半導体であってもよい。「SOG」とは、Spin on Glassの略で、シリカ(SiO2)を溶剤に溶かした液体ガラスである。
トレンチ溝の形成方法や形状は、限定されない。トレンチ溝を形成するためには従来から知られているトレンチ形成技術を採用すればよい。また、トレンチ溝の形状は、形成する半導体領域の目的形状に合わせて形成すればよい。スーパージャンクション構造を有する半導体装置を製造する場合、半導体領域に周期的に複数の薄板状のトレンチ溝を形成することが多い。このほか、例えば、四角柱状、円柱状あるいは六角柱状のトレンチ溝を形成してもよい。
熱拡散時の処理温度と処理時間を調整することで、所望の幅のコラムが形成される。スーパージャンクション構造を実現するために半導体基板に複数の薄板状のトレンチ溝を形成した場合、その半導体基板には、所望の深さと幅を有する薄板状のコラムが周期的に形成される。このようにすれば、コラムの形状が、製造される半導体装置ごとに異なるといった現象を抑制することができる。本製造方法によれば、高精度のコラムが形成されたスーパージャンクション構造を有する半導体装置を実現することができる。
また、SOGは、固化すると絶縁性物質であるSiO2系のガラスとなる。熱拡散処理後に残されたガラス質の領域は、絶縁領域としての機能を有する。不純物を含むSOGを熱拡散しても、すべての不純物が半導体基板中に拡散されるわけではない。SOGからなる絶縁領域には、不純物の一部が残る。不純物を含む絶縁領域を有する半導体装置は、ON状態のとき、絶縁領域と半導体領域の間に不純物に由来するリーク電流が流れる。このため、絶縁領域に不純物を含むと半導体装置は、ON抵抗が低くなる。
本方法で半導体装置を製造すると、絶縁領域に不純物が含まれる。従って、本方法で製造された半導体装置は、ON抵抗が低い。
本発明の他の製造方法は、半導体基板の表面にトレンチ溝を形成する工程と、トレンチ溝の壁面に第1導電型不純物と第2導電型不純物を含むSOGを付着する工程と、SOGが付着している半導体基板を熱処理する工程とを備える。
半導体基板中の不純物の熱拡散速度は、不純物の元素によって異なる。トレンチ溝の壁面に2種類の不純物を含むSOGが付着した半導体基板を熱処理すると、不純物は、熱拡散が早いものがトレンチ溝から離れた領域まで到達し、拡散速度が遅いものがトレンチ溝に近い領域にとどまる。2種の不純物は、熱拡散している間に分離する。2つの不純物が分離して拡散することで、第1導電型の半導体領域と第2導電型の半導体領域を形成することができる。
本発明の他の製造方法は、半導体基板の表面にトレンチ溝を形成する工程と、トレンチ溝の壁面に第1導電型不純物を含む第1のSOG層を付着する工程と、第1のSOG層の内側壁面に第2導電型不純物を含む第2のSOGを付着する工程と、第1のSOG層と第2のSOGが付着している半導体基板を熱処理する工程とを備える。
上記の方法によれば、熱拡散処理により、半導体基板に第1導電型不純物を含む第1の半導体領域と第2導電型不純物を含む第2の半導体領域を確実に分離させることができる。なお、「SOG層を付着する」とは、トレンチ溝の壁面の少なくとも一部にSOG層が形成されればよく、壁面の全域に層が形成されていなくてもよい。また、第1のSOG層を付着した後に、基板中に第1導電型不純物が拡散しない程度の低温(例えば、600℃)で第1のSOG層を固化してもよい。第1のSOG層を固化すると、第1のSOG層の上部に第2のSOGを付着しやすくなる。
本発明の他の製造方法は、半導体基板の表面にトレンチ溝を形成する工程と、トレンチ溝の壁面に第1導電型不純物を含む第1のSOG層を付着する工程と、第1のSOG層が付着した半導体基板を熱処理する工程と、第1のSOG層の内側壁面に第2導電型不純物を含む第2のSOGを付着する工程と、第2のSOGが付着した半導体基板を熱処理する工程とを備える。
上記の製造方法は、第1のSOG層の付着と熱処理と、第2のSOGの付着と熱処理を分けて行っている。本方法は、2つの不純物の拡散速度が近くても、不純物が分離した状態で2つの半導体領域を形成することができる。また、第1導電型不純物のほうが第2導電型不純物よりも熱拡散速度が速ければ、2度目の拡散処理で第1導電型不純物はトレンチ溝からさらに離れた位置にまで拡散する。結果、2度目の熱拡散処理で形成する第2導電型不純物を含む第2半導体領域を幅広に形成することができる。
本発明の他の製造方法は、半導体基板の表面にトレンチ溝を形成する工程と、トレンチ溝の溝内に、第1導電型不純物を含む第1のSOG層と第2導電型不純物を含む第2のSOG層の互層が繰り返されているSOGの積層構造を充填する工程と、SOGが充填された半導体基板を熱処理する工程とを備える。
上記の方法によれば、第1のSOG層と第2のSOG層は、半導体基板の表面と平行なストライプ形状でトレンチ溝の壁面に接触する。これを熱処理すると、トレンチ溝の溝壁からプレート状の第1半導体領域とプレート状の第2半導体領域が交互に伸びだす。結果、第1半導体領域と第2半導体領域が半導体基板の表面と略平行な方向に互層した領域を実現することができる。第1半導体領域と第2半導体領域の境界はpn接合界面である。半導体基板の表面と平行方向に伸びる空乏層が、複数層形成される。
本製造方法は、縦型のMOSFETやIGBTの半導体装置の製造に適用するとよい。縦型の構造を有する半導体装置の終端範囲において、基板表面と平行な領域に空乏層が形成されるとOFF時の耐圧性能が向上する。本製造方法では、基板表面と平行方向に伸びる空乏層を幾重にも形成することができる。本製造方法を縦型の半導体装置に適用すれば、高い耐圧性能を有する半導体装置を実現することができる。
また、縦型の半導体装置の終端範囲では、ON時のベース電流は横方向に流れる。第1半導体領域と第2半導体領域が横方向に延びるプレート形状で形成されると、ON抵抗を低下することができる。
本発明の製造方法において、熱処理した半導体基板からSOGを除去する工程と、SOGを除去したトレンチ溝内に、SOGと異なる材料を埋める工程をさらに備えてもよい。
前記したように、熱拡散処理後にトレンチ溝内に残されたSOGは、絶縁領域としての機能も有する。SOG内の不純物はすべて拡散されるわけではなく、SOG中に一部が残る。絶縁領域となるSOGに不純物が残されていると、ON抵抗を低くする効果を有する一方で、耐圧性能を極めて高くすることは難しい。トレンチ溝内のSOGを除去し、低抵抗の半導体領域や不純物濃度が極めて低濃度の絶縁材料からなる領域を形成すると、半導体装置の耐圧性能より向上することができる。複数のトレンチ溝が形成されている場合、除去するSOGと残す絶縁領域を必要に応じて選択すればよい。SOGはガラス質であるので、酸やアルカリなどの湿式エッチング処理により容易に除去することができる。絶縁領域を除去すると、半導体基板には、トレンチ溝が復元される。
本発明の製造方法において、熱処理した半導体基板からSOGを除去する工程と、SOGを除去した半導体基板の表面に新たな半導体領域を形成してトレンチ溝の開口を塞ぐ工程をさらに備えてもよい。
空洞部は完全な絶縁領域である。半導体領域の内部に空洞部を形成すると、完全な絶縁領域を形成することができる。内部に空洞部を形成することで、半導体装置の耐圧性能をより向上させることができる。なお、前記したように、SOGをエッチング処理すると、絶縁領域を形成する前のトレンチ溝が復元される。トレンチ溝の開口を半導体領域で塞ぐことで、空洞部を容易に形成することができる。
本発明は、新規な半導体装置をも提供する。
本半導体装置の特徴は、絶縁領域が、第1導電型及び/又は第2導電型の不純物を含むSOGで構成されていることを特徴とする。
半導体基板の内部に絶縁領域が形成された半導体装置は、耐圧性能に優れる。
本発明の構成を有する半導体装置では、SOGからなる絶縁領域内に不純物が含まれている。不純物を含む絶縁領域を有する半導体装置は、ON状態のとき、絶縁領域と半導体領域の間に不純物に由来するリーク電流が流れる。このため、絶縁領域に不純物を含むと半導体装置は、ON抵抗が低くなる。本発明の構成によれば、ON抵抗が低く耐圧性能が維持された半導体装置を実現することができる。
本発明の他の半導体装置は、n型半導体領域とp型半導体領域と絶縁領域とp型半導体領域とn型半導体領域を単位とする層構造が繰り返されており、前記絶縁領域は、n型不純物及び/又は第p型不純物を含むことを特徴とする。
上記の半導体装置によれば、OFF状態の耐圧性能に優れるとともにON抵抗を低下することができる。また、スーパージャンクション構造を有する高精度な半導体装置を実現することができる。
以下に示す実施例の特徴を最初に列記する。
(特徴1)半導体装置は、スーパージャンクション構造を有するIGBTまたはFETである。
(特徴2)半導体装置の製造過程において、不純物を含むSOGが導入されるトレンチ溝がベース領域に複数形成される。トレンチ溝は、周期的に形成される。
(特徴3)半導体基板の主材料は、Siを主体とした半導体材料である。
(特徴4)半導体装置の製造過程において、SOGはトレンチ溝を充填している。
(特徴5)SOGを除去して復元されたトレンチ溝に、エピタキシャル成長によってn型半導体領域が形成される。n型半導体領域は、高抵抗である。n型半導体領域を形成することで、半導体装置の耐圧性能を向上させることができる。また、熱処理によってトレンチ溝に接する領域に形成された半導体領域がp型半導体領域である場合、復元されたトレンチ溝内にn型半導体領域が形成されればpn接合界面をより広く確保することができる。pn接合界面が広く確保されると、pn接合界面から伸びる空乏層が広くなる。
(特徴6)SOGを除去して復元されたトレンチ溝の開口は、エピタキシャル成長によって形成されたn型半導体領域によって覆われる。これにより、半導体基板の内部には空洞部が形成される。
(特徴7)半導体基板には、高真空の空洞部が形成される。
<第1実施例>
本発明の製造方法によって製造された半導体装置10の一例を示す。半導体装置10は、縦型のIGBTである。半導体装置10の構造を示す斜視図を図1に示す。半導体装置10は、半導体領域12の表面に埋め込まれたゲート電極54と、半導体基板12の裏面の全面を覆うコレクタ電極40を有する。ゲート電極54と半導体基板の間には、ゲート絶縁膜52が形成されている。
ゲート電極54は、nソース領域50とp型ベース領域46を貫通しており、ベース領域20と接するように半導体基板12に埋め込まれている。ゲート電極54は、ゲート絶縁膜52を介して半導体基板12の上部領域にあるnソース領域50と、p型ベース領域46と、ベース領域20に対向している。
半導体基板12は、コレクタ電極40側から、p型コレクタ領域42、n型バッファ領域44、ベース領域20、p型ベース領域46の順で積層されている。p型ベース領域46の表面にはp型エミッタ領域48とn型ソース領域50が形成されている。nソース領域50は、断続的に形成されている。そしてこの上部に、図示されないエミッタ電極が設けられている。エミッタ電極とゲート電極54は層間絶縁膜で絶縁されている。
ベース領域20には、p型ベース領域46からn型バッファ領域44の間を伸びるn型コラム22とp型コラム24とSOG領域26を備えている。SOG領域26は、p型不純物を含むSOGからなる。SOGは絶縁性であり、SOG領域26は絶縁領域として機能する。ベース領域20では、n型コラム22、p型コラム24、SOG領域26、p型コラム24の順で並ぶ単位周期が繰り返されて構成されている。半導体装置10は、半導体基板12のベース領域20に前記の単位周期が繰り返されたスーパージャンクション構造を有している。半導体装置10がOFF状態のとき、p型コラム24とn型コラム22のpn接合界面25から空乏層が広がる。本半導体装置10には、周期的に形成されたSOG領域26が形成されている。半導体装置10は、ベース領域20にpn接合界面25と、絶縁領域であるSOG領域26を多く備えるため、耐圧性能に優れる。
半導体基板中に絶縁領域が形成される場合、絶縁領域は、OFF状態の耐圧性能を向上する一方で、ON状態の抵抗成分となる要因になる。
半導体装置10のSOG領域26はp型不純物を含むSOGで構成されている。SOG領域26中に不純物含むと、半導体装置10がON状態のとき、SOG領域26とp型コラム24の境界にリーク電流が流れる。SOG領域26に不純物を含むと、ベース領域20にSOG領域26が形成されていても、ON抵抗が高くならない。従って、本実施例の構造によれば、半導体装置10のOFF時の耐圧性能とON電圧の低下がともに実現される。
本半導体装置10の製造方法について説明する。
図2のフローチャートと図3〜6の説明図とを参照して説明する。図3〜図6では、p型コラム24とn型コラム22とSOG領域26の関係を示すため、1つのSOG領域26を中心とした単位領域を示している。
図3に示すように、低濃度のn型不純物を含む半導体基板12を用意する(図2のS1)。次いで、図4に示すように、半導体基板12に複数のトレンチ溝14を等間隔に形成する(図2のS2)。トレンチ溝14は、半導体基板12の所定の位置をドライエッチングすることで形成することができる。
次に、図5に示すように、p型不純物を含むSOG(Spin On Glass)をトレンチ溝14に流し込む。その後、低温(例えば600度)で加熱して、SOGを固化する(図2のS3、S4)。
次いで、半導体基板12を高温加熱し、SOG領域26に含まれるp型不純物を半導体基板12中に熱拡散する。その結果、図6に示すように、半導体基板12中に、トレンチ溝14の溝壁から伸びた略U字断面形状を有するp型半導体領域34が形成される(図2のS5)。そして、半導体基板12には、図6に示すように、半導体基板12の基材に由来するn型半導体領域32とp型半導体領域34とSOG領域26が幾何学的に並んで形成される。
次に、半導体基板12の下面側の全面にn型不純物をイオン注入する。イオン注入は、熱拡散処理後にn型バッファ領域44が形成される深さに目標を定めて行う。そして、イオン注入部分を熱拡散処理し、n型バッファ領域44を形成する(図2のS6)。
図7に示すように、n型バッファ領域44の形成により、p型半導体領域34においてトレンチ溝14の溝底よりも下方に形成された部分のp型不純物がn型不純物によって打ち消される。これにより、p型半導体領域34は、トレンチ溝14の側壁に沿って形成された領域のみが残る。こうして残された領域が、p型コラム24となる。
また、n型半導体領域32のn型不純物濃度は希薄である。n型バッファ領域44はn型半導体領域32の不純物濃度よりも高濃度である。n型バッファ領域44の形成によりトレンチ溝14の溝底よりも下方にあるn型半導体領域32はなくなる。これにより、n型半導体領域32は、トレンチ溝14の側壁に沿って形成された領域のみが残る。この残された領域が、n型コラム22となる。n型バッファ領域44の形成により、p型コラム24とn型コラム22とSOG領域26を有するベース領域20が完成する。
次に、半導体基板12の下面側の全面に高濃度のp型不純物をイオン注入する。そしてイオン注入部分を熱拡散処理し、p型コレクト領域42を形成する。これにより、半導体基板12において、p型ベース領域46よりも下方の半導体領域が完成する(図2のS7)。
以降の工程については、図1の半導体装置10の構造図を参照して説明する。
上記の手法で形成されたベース領域20の上面に低濃度のp型不純物を含むp型結晶をエピタキシャル成長する(図2のS8)。必要な厚みまで成長させた後、形成したp型結晶の上面の一部に高濃度のp型不純物をイオン注入する。高濃度のp型不純物は、ベース領域20のn型コラム22、p型コラム24、SOG領域26、p型コラム24の順で並ぶ周期に沿うように注入される。(図2のS9)。ついで、前記のp型結晶の上面であり、高濃度のp型不純物を注入した部分と略平行する部分に、高濃度のn型不純物をイオン注入する。高濃度のn型不純物は、熱拡散処理をしたときに、部分的に断続するようにイオン注入される(図2のS10)。次にp型結晶の上面から熱拡散処理を行う。この熱拡散処理により、高濃度のp型不純物をイオン注入した場所の周囲には高濃度のp型不純物を含むp型エミッタ領域48が形成され、高濃度のn型不純物を注入した領域の周囲には高濃度のn型不純物を含むnソース領域50が形成される。また、p型結晶で、p型エミッタ領域48とnソース領域50が形成されない領域がp型ベース領域46となる(図2のS11)。
次に図1に示すゲート電極54とゲート絶縁膜52を形成する。nソース領域50とp型ベース領域46を貫通し、ベース領域20の上部に食い込む深さまで、ゲート電極用のトレンチ溝を形成する(図2のS12)。トレンチ溝の形成は、ドライエッチング法等の従来からの手法で行う。次に、熱酸化法や、CVD法や、SOGの塗布等で、トレンチ溝の壁面に沿ってゲート絶縁膜52を形成する(図2のS13)。次に、CVD法などによって電極材料(たとえばポリシリコン等)をトレンチ溝内に積層して、ゲート電極54を形成する(図2のS14)。次に、ゲート電極54に対向する裏面側であり、p型コレクタ領域42の下部にコレクタ電極40を形成する。コレクタ電極40は、コレクタ領域42の下面の表面をすべて覆うように形成する(図2のS15)。上記の製造方法により、半導体装置10を製造することができる。
<変形例1>
本変形例は、本発明の製造方法によって製造される半導体装置であり、上記第1実施例の半導体装置10の一部を変形した半導体装置の一例を示す。図8に、半導体装置110の構造を示す斜視図を示す。半導体装置110は、半導体装置10のSOG領域26に相当する部分にn型半導体領域126であることを除くと半導体装置10と同様の構成であるので重複する説明は省略する。
半導体装置110のベース領域120には、p型ベース領域46からn型バッファ領域44の間を伸びるn型コラム22とp型コラム24とn型半導体領域126を備えている。ベース領域120では、n型コラム22、p型コラム24、n型半導体領域126、p型コラム24の順で並ぶ単位周期が繰り返されて構成されている。n型半導体領域126は、n型不純物の濃度がn型コラム22のn型不純物濃度よりも低い。その分、n型半導体領域126の幅は、n型コラム22の幅よりも広い。半導体装置110は、半導体基板12のベース領域120に前記の単位周期が繰り返されたスーパージャンクション構造を有している。半導体装置110がOFF状態のとき、p型コラム24とn型コラム22のpn接合界面25と、p型コラム24とn型半導体領域26のpn接合界面125から空乏層が広がる。半導体装置110は、ベース領域20にpn接合界面25、125を多く備え、これらのpn接合界面25、125から空乏層が広がるため、OFF状態の耐圧性能に優れる。また、ベース領域120にはn型半導体領域126が形成されている。n型半導体領域126は極めて低抵抗な領域である。n型半導体領域126を備えると、半導体装置110は、OFF状態の耐圧性能がさらに向上する。従って、本半導体装置110は、OFF状態の耐圧性能がきわめて優れている。
本半導体装置110の製造方法について説明する。なお、半導体装置110の製造方法において、半導体装置10のトレンチ溝14にn型半導体領域126を形成する過程以外については、上記第1実施例と同様の手法でよいので重複する説明は省略する。
図9、10の説明図を参照して、ベース領域120におけるn型半導体領域126の形成過程を説明する。第1実施例に示した製造方法に基づき、半導体基板12にトレンチ溝14の溝壁に沿ったp型半導体領域34の形成まで行う。次に、半導体基板12のSOG領域26を酸またはアルカリの液剤を用いて湿式エッチング処理を行う。SOG領域26は、SOGを用いて形成されたSiO2系のガラスである。SOG領域26は、酸またはアルカリの液剤で容易にエッチングされる。図12に示すように、このエッチング処理により、半導体基板12にトレンチ溝14が復元される。
次に、復元されたトレンチ溝14に低濃度のn型不純物を含むn型半導体領域126をエピタキシャル成長する。具体的には、ベース領域120(半導体基板12)の上面のトレンチ溝14以外の領域を加工マスクで覆い、トレンチ溝14内のみにnー型半導体領域126を形成する。ここで、n型半導体領域126は、n型不純物の濃度がn型コラム22の不純物濃度よりも低くなるように形成される。この過程により、図13に示すn型半導体領域126が形成される。ついで、n型バッファ層44の形成工程に進む。なお、これ以降の過程については、第1実施例に示した製造方法と同様に行う。
上記の製造方法により、図8に示す半導体装置110を製造することができる。
<変形例2>
本変形例は、本発明の製造方法によって製造される半導体装置であり、上記第1実施例の半導体装置10の一部を変形した半導体装置の一例を示す。図11に、半導体装置210の構造を示す斜視図を示す。半導体装置210は、半導体装置10のSOG領域26に相当する部分が高真空の空洞部226であることを除くと半導体装置10と同様の構成であるので重複する説明は省略する。
半導体装置210のベース領域220には、p型ベース領域46からn型バッファ領域44の間を伸びるn型コラム22とp型コラム24と空洞部226を備えている。ベース領域220では、n型コラム22、p型コラム24、空洞部226、p型コラム24の順で並ぶ単位周期が繰り返されて構成されている。空洞部226は、高真空状態である。半導体装置210は、半導体基板12のベース領域220に前記の単位周期が繰り返されたスーパージャンクション構造を有している。半導体装置210がOFF状態のとき、p型コラム24とn型コラム22のpn接合界面25から空乏層が広がる。半導体装置210は、ベース領域220にpn接合界面25を多く備え、これらのpn接合界面25から空乏層が広がるため、OFF状態の耐圧性能に優れる。また、半導体領域210のベース領域220には、空洞部226が形成されている。空洞部226は完全な絶縁破壊が極めて生じにくい。本半導体装置210のように、ベース領域220に空洞部226を有すると、OFF状態の耐圧性能が極めて向上する。
本半導体装置210の製造方法について説明する。なお、半導体装置210の製造方法において、半導体装置10のSOG領域26に相当する領域に空洞部226を形成する過程以外については、上記第1実施例と同様の手法でよいので重複する説明は省略する。
図11、12の説明図を参照して、ベース領域220における空洞部226の形成過程を説明する。第1実施例に示した製造方法に基づき、半導体基板12にトレンチ溝14の溝壁に沿ったp型半導体領域34の形成まで行う。次に、変形例1と同様に半導体基板12の絶縁領域26を酸またはアルカリの液剤を用いて湿式エッチング処理を行う。図9に示すように、このエッチング処理により、半導体基板12にトレンチ溝14が復元される。
次に、復元されたトレンチ溝14の開口に、低濃度のn型不純物を含むn型半導体をエピタキシャル成長する。トレンチ溝14のアスペクト比が高い場合、結晶成長時の条件を調整することで、トレンチ溝14の深部を空洞化することが可能である。具体的には、蒸着時のクラスター粒径を大きくしたり、結晶成長速度を速めたりすることで実現することができる。このような手法で開口を塞ぐ場合、n型半導体は、トレンチ溝14の上部の溝壁から開口の中心に向けて成長する。形成されたn型半導体領域227は、図12に示すように、開口の中心部が薄く、トレンチ溝14の溝壁に向けて徐々に厚くなるように形成される。この過程により、トレンチ溝14の開口が塞がれ、空洞部226が形成される。
ついで、n型バッファ層44の形成工程に進む。なお、これ以降の過程については、第1実施例に示した製造方法と同様に行う。
上記の製造方法により、図11に示す半導体装置210を製造することができる。
<変形例3:トレンチ溝とSOGを用いた領域形成の応用例>
本変形例は、第1実施例で示したp型コラム24の形成法を応用した領域形成方法の一例である。図13〜16は、本変形例の方法に係る過程を示す説明図である。
先ず図13に示す半導体基板312を用意する。半導体基板312は、低濃度のn型不純物を含む半導体基板である。次いで、図14に示すように、半導体基板314の上面にドライエッチング処理を行い、所望の幅で所望の深さのトレンチ溝314を形成する。次にトレンチ溝314の溝壁に沿って、p型不純物を含むSOGを塗布する。その後、SOGを低温加熱してSOG層326を形成する(図15参照)。次いで、図16に示すように、半導体基板312を高温加熱し、SOG層326中に含まれるp型不純物を熱拡散する。これにより、半導体基板312にp型半導体領域334が形成される。
本方法では、半導体基板312に、SOG層326が形成されたトレンチ溝314が残されている。このトレンチ溝内314には、他の半導体領域や導体領域を形成することができる。SOG層326は絶縁性である。このため、新たに形成された半導体領域や導体領域とp型半導体領域334の間に絶縁層を介すことができる。
また、SOG層326は、容易に除去することができる。SOG層326を除去した後にトレンチ溝314内に絶縁領域や半導体領域や導体領域を形成してもよい。
<第2実施例>
本実施例では、本発明の製造方法によって製造される半導体装置410の一例を示す。半導体装置410は、縦型のIGBTである。半導体装置410の構造を示す斜視図を図17に示す。半導体装置410は、半導体領域412の表面に埋め込まれたゲート電極454と、半導体基板412の裏面の全面を覆うコレクタ電極440を有する。ゲート電極454と半導体基板412の間には、ゲート絶縁膜452が形成されている。
ゲート電極454は、nソース領域450とp型ベース領域446を貫通しており、ベース領域420と接するように半導体基板412に埋め込まれている。ゲート電極454は、ゲート絶縁膜452を介して半導体基板412の上部領域にあるn型ソース領域450と、p型ベース領域446と、ベース領域420に対向している。
半導体基板412は、コレクタ電極440側から、p型コレクタ領域442、n型バッファ領域444、ベース領域420、p型ベース領域446、の順で積層されている。p型ベース領域446の表面にはp型エミッタ領域448と、n型ソース領域450が形成されている。n型ソース領域450は、断続的に形成されている。そしてこの上部に、図示はしないがエミッタ電極が設けられている。
ベース領域420には、p型ベース領域446からn型バッファ領域444の間を伸びるn型コラム422、428とp型コラム424とSOG領域426を備えている。SOG領域426は、p型不純物を主に含むSOGからなる第1SOG領域428とn型不純物を主に含む第2SOG領域427から構成されている。ベース領域420では、n型コラム422、p型コラム424、n型コラム428、SOG領域426、n型コラム428、p型コラム424の順で並ぶ単位周期が繰り返されて構成されている。半導体装置410は、半導体基板412のベース領域420に、前記の単位周期が繰り返されたスーパージャンクション構造を有している。半導体装置410がOFF状態のとき、p型コラム424とn型コラム422、428のpn接合界面425から空乏層が広がる。本半導体装置410には、周期的に形成されたSOG領域426が形成されている。SOGは絶縁性であり、SOG領域426は絶縁領域として機能する。半導体装置410は、ベース領域420にpn接合界面425と、SOG領域426を多く備えるため、耐圧性能に優れる。
半導体基板中に絶縁領域が形成される場合、絶縁領域は、OFF状態の耐圧性能を向上する一方で、ON状態の抵抗成分となる要因になる。
半導体装置410のSOG領域426はp型不純物を含むSOGで構成されている。SOG領域426中に不純物含むと、半導体装置410がON状態のとき、SOG領域426とn型コラム428の境界にリーク電流が流れる。SOG領域426に不純物を含むと、ベース領域420にSOG領域426が形成されていても、ON抵抗が高くならない。従って、本実施例の構造によれば、半導体装置410のOFF時の耐圧性能とON抵抗の低下が実現可能である。
本半導体装置410の製造方法について説明する。
図18のフローチャートと図19、20の説明図とを参照して説明する。本半導体装置410の製造方法において、ベース領域420を形成する過程以外については、上記第1実施例に係る製造方法と同様でよいので重複する説明は省略する。
先ず、低濃度のn型不純物を含む半導体基板412を用意する(図18のS21)。次いで、図18に示すように、半導体基板412に複数のトレンチ溝414を等間隔に形成する(図18のS22)。トレンチ溝414は、半導体基板412の所定の位置をドライエッチングして形成する。
次に、n型不純物を含むSOGをトレンチ溝414の壁面に塗布する。その後に、低温(例えば600度)で加熱して、SOGを固化して第1のSOG層427を形成する。なお、後記する熱拡散処理でp型不純物とn型不純物を一気に拡散する際に、後記する第2のSOG領域に含まれるp型不純物が第1のSOG層427を透過する。第1のSOG層427がトレンチ溝414の壁面に厚く形成されると、p型不純物が透過しにくくなる。従って、第1のSOG層427は比較的薄肉に形成される。(図18のS23、S24)。ついで、p型不純物を含むSOGをトレンチ溝414に充填する。その後に低温で加熱してSOGを固化して第2SOG領域429を形成する。図19に示すように、トレンチ溝414内に、第1のSOG層427と第2SOG領域429を含むSOG領域426が形成される(図18のS25、S26)。
次いで、半導体基板412を高温加熱し、SOG領域426中に含まれるp型不純物とn型不純物を一気に拡散する。p型不純物とn型不純物では、熱拡散時の拡散速度が異なる。熱拡散速度の違いにより、トレンチ溝414の周囲の領域は、p型不純物とn型不純物が分離して定着する。図20に示すように、半導体基板412中には、トレンチ溝414の溝壁から伸びた略U字断面形状を有するn型半導体領域436と、n型半導体領域436の外側に伸びた略U字断面形状を有するp型半導体領域434が形成される。そして、半導体基板412には、図20に示すように、半導体基板412の基材に由来するn型半導体領域432とp型半導体領域434とn型半導体領域436とSOG領域426とが幾何学的に並んで形成される(図18のS27)。
次に、半導体基板412の下面側の全面にn型不純物をイオン注入する。イオン注入では、熱拡散処理後にn型バッファ領域444が形成される深さに目標を定めて行う。そして、イオン注入部分を熱拡散処理し、n型バッファ領域444を形成する(図18のS28)。
n型バッファ領域444の形成により、p型半導体領域434においてトレンチ溝414の溝底よりも下方に形成された部分のp型不純物がn型不純物によって打ち消される。これにより、p型半導体領域434は、トレンチ溝414の側壁に沿って形成された領域のみが残る。この残された領域が、p型コラム424となる。同様に、n型バッファ領域444の形成により、n型半導体領域436においてトレンチ溝414の溝底よりも下方に形成された部分がn型バッファ領域444と一体化する。n型半導体領域436は、トレンチ溝414の側壁に沿って形成された領域のみが残り、n型コラム428となる。また、n型半導体領域432のn型不純物濃度は希薄である。n型バッファ領域444はn型半導体領域32の不純物濃度よりも高濃度である。n型バッファ領域444の形成により、トレンチ溝414の溝底よりも下方にあるn型半導体領域432はn型バッファ領域444となる。これにより、n型半導体領域432は、トレンチ溝414の側壁に沿って形成された領域のみが残る。この残された領域が、n型コラム422となる。n型バッファ領域444の形成により、n型コラム422とp型コラム424とn型コラム428とSOG領域426を有するベース領域420が完成する。
次に半導体基板412の下面側の全面に高濃度のp型不純物をイオン注入する。そしてイオン注入部分を熱拡散処理し、p型コレクト領域442を形成する。これにより、半導体基板412において、p型ベース領域446よりも下方の半導体領域が完成する(図18のS29)。
以降の工程については、図17の半導体装置410の構造図を参照して説明する。
上記の手法で形成されたベース領域420の上面に低濃度のp型不純物を含むp型結晶をエピタキシャル成長する(図18のS30)。必要な厚みまで成長させた後、形成したp型結晶の上面の一部に高濃度のp型不純物をイオン注入する。高濃度のp型不純物は、n型コラム422、p型コラム424、n型コラム428、SOG領域426、n型コラム428、p型コラム424の順で並ぶ周期に沿うようにイオン注入される(図18のS31)。ついで、前記のp型結晶の上面であり、高濃度のp型不純物を注入した部分と略平行する部分に、高濃度のn型不純物をイオン注入する。高濃度のn型不純物は、熱拡散処理をしたときに断続するようにイオン注入される(図18のS32)。次にp型結晶の上面から熱拡散処理を行う。この熱拡散処理により、高濃度のp型不純物をイオン注入した場所の周囲には高濃度のp型不純物を含むp型エミッタ領域448が形成され、高濃度のn型不純物を注入した領域の周囲には高濃度のn型不純物を含むnソース領域450が形成される。また、p型結晶で、p型エミッタ領域448とnソース領域450が形成されない領域がp型ベース領域446となる(図18のS33)。
次に図17に示すゲート電極454とゲート絶縁膜452を形成する。そのためにnソース領域450とp型ベース領域446を貫通し、ベース領域420の上部に食い込む深さまで、ゲート電極用のトレンチ溝を形成する(図18のS34)。トレンチ溝の壁面に沿ってゲート絶縁膜452を形成する(図18のS35)。次に、電極材料をトレンチ溝内に積層して、ゲート電極454を形成する(図18のS36)。次に、ゲート電極454に対向する裏面側であり、p型コレクタ領域442の下部にコレクタ電極440を形成する。コレクタ電極440は、コレクタ領域442の下面の表面をすべて覆うように形成する(図18のS37)。上記の製造方法により、半導体装置410を製造することができる。
<変形例4:トレンチ溝とSOGを用いた領域形成の応用例>
本変形例では、第2実施例で示したベース領域のコラム形成法を応用した半導体領域形成の応用例を示す。図21〜24は、本変形例の方法に係る過程を示す説明図である。
先ず、図21に示す、半導体基板512を用意する。半導体基板512は、低濃度のn型不純物を含む半導体基板である。その半導体基板512の表面を、図21に示すように、ドライエッチング処理を行い、所望の幅で所望の深さのトレンチ溝514を形成する。次にトレンチ溝514の溝壁に沿って、p型不純物を含む第1のSOGを塗布する。その後、第1のSOGを低温加熱して第1のSOG層529を形成する(図21参照)。次いで、図22に示すように、半導体基板512を高温加熱し、第1のSOG層529中に含まれるp型不純物を熱拡散する。これにより、半導体基板512にp型半導体領域524が形成される。次に、図23に示すように、トレンチ溝514の溝壁に形成された第1のSOG層529の表面を覆うように、n型不純物を含む第2のSOGを塗布し、第2のSOG層527を形成する。その後、2度目の高温加熱を行い、第2のSOG層527のn型不純物を半導体基板512中に拡散する。この処理により、半導体基板512には、トレンチ溝514の溝壁に沿ったn型半導体領域528が形成される。このとき、1度目に拡散されたp型半導体領域524は、トレンチ溝514の溝壁からさらに離れた領域まで拡散する。p型半導体領域524が離れた領域まで移動することで、n型半導体領域528は比較的広く形成される。また、本変形例の方法でn型半導体領域528を形成すると、上記の第2実施例で形成したn型コラム428よりも低濃度のn型半導体領域528が得られる。
本方法によれば、半導体基板512には、上記変形例3と同様に、SOG層526が形成されたトレンチ溝514が残されている。このトレンチ溝内514には、他の半導体領域や導体領域を形成することができる。トレンチ溝514にはあるSOG層526が形成されている。新たに形成された半導体領域や導体領域とp型半導体領域524の間に絶縁層を介すことができる。
<第3実施例>
本実施例は、本発明の製造方法によって製造される半導体装置610の一例を示す。半導体装置610は、縦型のIGBTである。半導体装置610の構造を示す斜視図を図17に示す。半導体装置610は、半導体領域612の表面に埋め込まれたゲート電極64と、半導体基板612の裏面の全面を覆うコレクタ電極640を有する。ゲート電極654と半導体基板612の間には、ゲート絶縁膜652が形成されている。
ゲート電極652は、nソース領域650とp型ベース領域646を貫通しており、ベース領域620と接するように半導体基板612に埋め込まれている。ゲート電極654は、ゲート絶縁膜652を介して半導体基板612の上部領域にあるn型ソース領域650と、p型ベース領域646と、ベース領域620に対向している。
半導体基板612は、コレクタ電極640側から、p型コレクタ領域642、n型バッファ領域644、ベース領域620、p型ベース領域646、の順で積層されている。p型ベース領域646の表面にはp型エミッタ領域648とn型ソース領域650が形成されている。n型ソース領域650は、断続的に形成されている。そしてこの上部に、図示しないエミッタ電極が設けられている。
ベース領域620には、p型ベース領域646からn型バッファ領域644まで、プレート状のn型コラム628とプレート状のp型コラム624が交互に積み重ねられたコラム群630と、SOG領域626と、半導体基板に由来するn型半導体領域622を備えている。SOG領域626は、p型不純物を主に含むSOGからなる第1のSOG領域629と、n型不純物を主に含む第2のSOG領域627を交互に積層した積層構造を有している。SOG領域626の第1のSOG領域627と、コラム群630のn型コラム628は略同一平面の層上に形成されている。また、SOG領域の第2のSOG領域629と、コラム群630のp型コラム624は略同一平面上に形成されている。
n型コラム628とp型コラム624の境界はpn接合界面である。本半導体装置610には、ベース領域620に半導体装置610の表面と平行方向に伸びる空乏層が、複数層形成される。縦型のIGBTである半導体装置10のベース領域620において、基板表面と平行な領域に空乏層が形成されるとOFF時の耐圧性能が向上する。それに加え、ベース領域620には、SOG領域626が形成されている。SOG領域626とコラム群630の空乏層の効果で、半導体装置610の耐圧性能は極めてよい。
また、半導体装置610のベース領域620において、ON時のベース電流は横方向に流れる。p型コラム624とn型コラム628が横方向に延びるプレート形状で形成されると、ON抵抗が低下する。本実施例の構造を有した半導体装置610は、OFF時の耐圧性能とON時の低抵抗化が実現される。また、他の実施例と同様、SOG領域626は不純物を含むSOGから形成されており、半導体領域とSOG領域626の境界にリーク電流が流れる。これにより、ON時の抵抗特性もきわめて優れる。
本半導体装置610の製造方法について説明する。
図26のフローチャートと図27、28の説明図を参照して説明する。本半導体装置610の製造方法において、ベース領域620を形成する過程以外については、上記第1実施例に係る製造方法と同様でよいので重複する説明は省略する。
先ず、低濃度のn型不純物を含む半導体基612を用意する(図26のS41)。次いで、図2に示すように、半導体基板612に複数のトレンチ溝614を等間隔に形成する(図26のS42)。トレンチ溝614は、半導体基板612の所定の位置をドライエッチングして形成する。
次に、p型不純物を含むSOGをトレンチ溝614の底面に塗布する(図26のS43)。その後、低温(例えば600度)で加熱して、SOGを固化し第2のSOG領域629を形成する(図26のS44)。ついで、n型不純物を含むSOGをトレンチ溝614の底部に充填する(図26のS45)。その後低温で加熱してSOGを固化して第1のSOG領域627を形成する(図26のS46)。半導体基板612に形成するコラム群630のp型コラム624とn型コラム628の積層数だけ、第1のSOG領域627と第2のSOG領域629の形成を繰り返す(図26のS45〜S48)。そして、図27に示すように、トレンチ溝614内に、第1のSOG領域627と第2のSOG領域629が交互に積層したSOG領域626が形成される。
次いで、半導体基板を高温加熱し、SOG領域626中に含まれるp型不純物とn型不純物を一気に拡散する。トレンチ溝614の周囲の領域は、第1のSOG領域627からn型不純物が拡散したプレート状のn型コラム628と、第2のSOG領域629からp型不純物が拡散したプレート状のp型コラム624が交互に積層した状態で分離して定着する。図28に示すように、半導体基板612中には、トレンチ溝614の溝壁から交互に伸びたp型コラム624とn型コラム628が形成される。トレンチ溝614の底壁に沿って形成された第2のSOG領域629からは、p型不純物が溝底から下方の領域にも拡散する。トレンチ溝614の底壁に沿うようにp型半導体領域634が形成される。(図26のS50)。
次に、半導体基板612の下面側の全面にn型不純物をイオン注入する。イオン注入は、熱拡散処理後にn型バッファ領域644が形成される深さに目標を定めて行う。そして、イオン注入部分を熱拡散処理し、n型バッファ領域644を形成する(図2のS51)。
n型バッファ領域644の形成により、p型半導体領域634においてトレンチ溝614の溝底よりも下方に形成された部分のp型不純物がn型不純物によって打ち消される。これにより、p型半導体領域634も、トレンチ溝614の側壁に沿って形成された領域のみが残る。この残された領域も、p型コラム624となる。n型バッファ領域644の形成により、p型コラム624とn型コラム628からなるコラム群630とSOG領域626を有するベース領域620が完成する。
次に、半導体基板612の下面側の全面に高濃度のp型不純物をイオン注入する。そしてイオン注入部分を熱拡散処理し、p型コレクト領域642を形成する。これにより、半導体基板612において、p型ベース領域646よりも下方の半導体領域が完成する(図26のS52)。
以降の工程については、図25の半導体装置610の構造図を参照して説明する。
上記の手法で形成されたベース領域620の上面に低濃度のp型不純物を含むp型結晶をエピタキシャル成長する(図26のS53)。必要な厚みまで成長させた後、形成したp型結晶の上面の一部に高濃度のp型不純物をイオン注入する。高濃度のp型不純物は、ベース領域620のSOG領域626とn型半導体領域622が接する面に対して直交するように注入される(図26のS54)。ついで、前記のp型結晶の上面であり、高濃度のp型不純物を注入した部分と略平行する部分に、高濃度のn型不純物をイオン注入する。高濃度のn型不純物は、熱拡散処理をしたときに断続するようにイオン注入される(図26のS55)。次にp型結晶の上面から熱拡散処理を行う。この熱拡散処理により、高濃度のp型不純物をイオン注入した場所の周囲には高濃度のp型不純物を含むp型エミッタ領域648が形成され、高濃度のn型不純物を注入した領域の周囲には高濃度のn型不純物を含むnソース領域650が形成される。また、p型結晶で、p型エミッタ領域648とnソース領域650が形成されない領域がp型ベース領域646となる(図26のS56)。
次に図25に示すゲート電極654とゲート絶縁膜652を形成する。nソース領域650とp型ベース領域646を貫通し、ベース領域620の上部に食い込む深さまで、ゲート電極用のトレンチ溝を形成する(図26のS57)。トレンチ溝の壁面に沿ってゲート絶縁膜652を形成する(図26のS58)。次に、電極材料をトレンチ溝内に積層して、ゲート電極654を形成する(図26のS59)。次に、ゲート電極654に対向する裏面側であり、p型コレクタ領域642の下部にコレクタ電極640を形成する。コレクタ電極640は、コレクタ領域642の下面の表面をすべて覆うように形成する(図2のS37)。上記の製造方法により、半導体装置610を製造することができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性をもつものである。
第1実施例の半導体装置を示す斜視図である 第1実施例の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。 半導体装置の製造過程を示す説明図である。 半導体装置の製造過程を示す説明図である。 半導体装置の製造過程を示す説明図である。 半導体装置の製造過程を示す説明図である。 半導体装置の製造過程を示す説明図である。 変形例1の半導体装置を示す斜視図である。 半導体装置の製造過程を示す説明図である。 半導体装置の製造過程を示す説明図である。 変形例2の半導体装置を示す斜視図である。 半導体装置の製造過程を示す説明図である。 半導体装置の製造過程を示す説明図である。 半導体装置の製造過程を示す説明図である。 半導体装置の製造過程を示す説明図である。 半導体装置の製造過程を示す説明図である。 第2実施例の半導体装置を示す斜視図である。 第2実施例の半導体装置の製造方法のフローチャートである。 半導体装置の製造過程を示す説明図である。 半導体装置の製造過程を示す説明図である。 半導体装置の製造過程を示す説明図である。 半導体装置の製造過程を示す説明図である。 半導体装置の製造過程を示す説明図である。 半導体装置の製造過程を示す説明図である。 第3実施例の半導体装置を示す斜視図である。 第3実施例の半導体装置の製造方法のフローチャートである。 半導体装置の製造過程を示す説明図である。 半導体装置の製造過程を示す説明図である。
符号の説明
10、410、610:半導体装置
12、412、612:半導体基板
14、414、614:トレンチ溝
20、420、620:ベース領域
22、28、428、628:n型コラム
24、424、624:p型コラム
25、425:pn接合界面
26、426、626:SOG領域
126:n型半導体領域
226:空洞部
427、627:第1SOG領域
429、629:第2SOG領域
630:コラム群
40、440、640:コレクタ電極
42、442、640:p型コレクタ領域
44、444、644:n型バッファ領域
46、446、646:p型ベース領域
48、448、648:p型エミッタ領域
50、540、650:n型ソース領域
52、552、652:ゲート絶縁膜
54、454、654:ゲート電極

Claims (9)

  1. 第1導電型不純物を含む半導体基板の表面にトレンチ溝を形成する工程と、
    トレンチ溝の壁面に第2導電型不純物を含むSOGを付着する工程と、
    SOGが付着している半導体基板を熱処理する工程と、
    を備える半導体装置の製造方法。
  2. 半導体基板の表面にトレンチ溝を形成する工程と、
    トレンチ溝の壁面に第1導電型不純物と第2導電型不純物を含むSOGを付着する工程と、
    SOGが付着している半導体基板を熱処理する工程と、
    を備える半導体装置の製造方法。
  3. 半導体基板の表面にトレンチ溝を形成する工程と、
    トレンチ溝の壁面に第1導電型不純物を含む第1のSOG層を付着する工程と、
    第1のSOG層の内側壁面に第2導電型不純物を含む第2のSOGを付着する工程と、
    第1のSOG層と第2のSOGが付着している半導体基板を熱処理する工程と、
    を備える半導体装置の製造方法。
  4. 半導体基板の表面にトレンチ溝を形成する工程と、
    トレンチ溝の壁面に第1導電型不純物を含む第1のSOG層を付着する工程と、
    第1のSOG層が付着した半導体基板を熱処理する工程と、
    第1のSOG層の内側壁面に第2導電型不純物を含む第2のSOGを付着する工程と、
    第2のSOGが付着した半導体基板を熱処理する工程と、
    を備える半導体装置の製造方法。
  5. 半導体基板の表面にトレンチ溝を形成する工程と、
    トレンチ溝の溝内に、第1導電型不純物を含む第1のSOG層と第2導電型不純物を含む第2のSOG層の互層が繰り返されている積層構造を充填する工程と、
    SOGが充填された半導体基板を熱処理する工程と、
    を備える半導体装置の製造方法。
  6. 請求項1〜5の製造方法において、さらに、
    熱処理した半導体基板からSOGを除去する工程と、
    SOGを除去したトレンチ溝内に、SOGと異なる材料を埋める工程を備える半導体装置の製造方法。
  7. 請求項1〜5の製造方法において、さらに、
    熱処理した半導体基板からSOGを除去する工程と、
    SOGを除去した半導体基板の表面に新たな半導体領域を形成してトレンチ溝の開口を塞ぐ工程を備える半導体装置の製造方法。
  8. 半導体領域の内部に絶縁領域を備える半導体装置であり、
    前記絶縁領域は、第1導電型及び/又は第2導電型の不純物を含むSOGで構成されていることを特徴とする半導体装置。
  9. n型半導体領域とp型半導体領域と絶縁領域とp型半導体領域とn型半導体領域を単位とする層構造が繰り返されている半導体装置であり、
    前記絶縁領域は、第1導電型及び/又は第2導電型の不純物を含むことを特徴とする半導体装置。
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