JP2007228934A - ロドコッカス属に属する細菌の形質転換方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ロドコッカス属細菌から得た特定のアミノ酸配列を有する修飾酵素を用いて、制限酵素の切断部位GCCGGC配列を保護するよう修飾されたベクター。また、当該ベクターを含有する形質転換体を取得して、修飾ベクターを用いたロドコッカス属細菌の効率的な形質転換することができる。
【選択図】なし
Description
例えば、ロドコッカス・ロドクロウスJ-1菌は、アクリルアミドの工業的生産に使用されている。これまでに、これらの微生物触媒の有する酵素活性を、遺伝子組換えの方法により改良する試みがなされている(特許文献3〜5参照)。さらに、ロドコッカス属に属する細菌の遺伝子操作を効率的に進めるために、宿主−ベクター系の開発が進められており、新規なプラスミドの探索(特許文献6〜8および17参照)やベクターの開発(特許文献9〜11および非特許文献1参照)なども行われている。
本発明者らは、形質転換対象となるロドコッカス属に属する細菌とは異なるロドコッカス属に属する細菌またはその類縁菌から調製したプラスミドを用いることにより、形質転換対象へのプラスミドの形質転換効率が向上することを見出している(特許文献16参照)。
(1)修飾酵素を用いて修飾されたベクターであって、
前記修飾酵素が、以下の(a)または(b)のポリペプチドである前記ベクター。
(a)配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド
(b)配列番号2で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ修飾酵素活性を有するポリペプチド
(2)修飾酵素を発現させた形質転換体から得られるベクターであって、
前記修飾酵素が、以下の(a)または(b)のポリペプチドである前記ベクター。
(a)配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド
(b)配列番号2で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ修飾酵素活性を有するポリペプチド
(3)修飾酵素を用いて修飾されたベクターであって、
前記修飾酵素が、以下の(a)または(b)のDNAによりコードされるポリペプチドである前記ベクター。
(a)配列番号1で示される塩基配列からなるDNA
(b)配列番号1で示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ修飾酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(4)修飾酵素を発現させた形質転換体から得られるベクターであって、
前記修飾酵素が、以下の(a)または(b)のDNAによりコードされるポリペプチドである前記ベクター。
(a)配列番号1で示される塩基配列からなるDNA
(b)配列番号1で示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ修飾酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(5)修飾酵素がGCCGGC配列を認識する酵素であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のベクター。
(6)形質転換体の宿主がdamメチラーゼおよび/またはdcmメチラーゼを欠損した大腸菌であることを特徴とする(2)または(4)に記載のベクター。
(7)(1)〜(6)のいずれか1項に記載のベクターを含有する形質転換体。
(8)以下の工程を含むロドコッカス属に属する細菌の形質転換方法。
(i)修飾酵素を用いてベクターを修飾する工程、および
(ii)工程(i)で修飾されたベクターをロドコッカス属に属する細菌に導入する工程
(9)以下の工程を含むロドコッカス属に属する細菌の形質転換方法。
(i)修飾酵素を発現させた形質転換体から修飾されたベクターを得る工程、および
(ii)工程(i)で得られたベクターをロドコッカス属に属する細菌に導入する工程
(10)修飾酵素がGCCGGC配列を認識する酵素であることを特徴とする(8)または(9)に記載の方法。
(11)修飾酵素が、以下の(a)または(b)のポリペプチドであることを特徴とする(8)または(9)に記載の方法。
(a)配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド
(b)配列番号2で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ修飾酵素活性を有するポリペプチド
(12)修飾酵素が、以下の(a)または(b)のDNAによりコードされるポリペプチドであることを特徴とする(8)または(9)に記載の方法。
(a)配列番号1で示される塩基配列からなるDNA
(b)配列番号1で示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ修飾酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(13)工程(i)の形質転換体の宿主がdamメチラーゼおよび/またはdcmメチラーゼを欠損した大腸菌であることを特徴とする(9)に記載の方法。
また、本発明により、ロドコッカス属に属する細菌の形質転換方法が提供される。
本発明の形質転換方法は、従来の方法よりも簡便であり、また、高い形質転換効率を有する方法である。
本発明のベクターにより、ロドコッカス属に属する細菌を高い効率で形質転換することが可能になったことから、本発明のベクターは、ロドコッカス属に属する細菌の形質転換に利用することができる。
本発明に係る形質転換方法により得られたロドコッカス属に属する細菌の形質転換体は、導入したDNAの効果により新たな性質を有することが可能である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施の形態のみに限定させるものではない。
本発明の方法において、形質転換の対象となる細菌は、ロドコッカス属に属する細菌であれば、特に制限はされない。本発明の方法は、形質転換体が得られていない、または形質転換効率が低いロドコッカス属に属する細菌の形質転換において、より効果的である。
本発明において、修飾酵素は、同一の塩基配列を認識する制限酵素による切断からDNAを保護するようにDNAに修飾することのできる酵素を意味する。本発明において、修飾酵素は、好ましくはDNAの塩基をメチル化する酵素(メチラーゼ)である。
本発明者は、ロドコッカス・ロドクロウスJ-1株において、GCCGGCを認識配列とする修飾酵素(以下、「RrhJ1I修飾酵素」と称す)を見出した。よって、本発明に使用される修飾酵素は、RrhJ1I修飾酵素を挙げることができ、その他にGCCGGCを認識する修飾酵素(例えば、NaeIメチラーゼ、NgoMIVメチラーゼ等)を用いることもできる。本発明において、修飾酵素はGCCGGCのシトシン塩基の少なくとも1箇所をメチル化し、制限酵素の切断を阻止することができるものである。
また、本発明のRrhJ1I修飾酵素は、前記のものに限定されず、配列番号2で示されるアミノ酸配列の全部または一部を含むポリペプチドであって、かつ修飾酵素活性を有するタンパク質を含むものである。
ここで、「修飾酵素活性」は、制限酵素による切断からDNAを保護するようにDNAに修飾することのできる酵素の活性を意味する。
本明細書において、RrhJ1I修飾酵素の修飾酵素活性は、RrhJ1I修飾酵素を接触させたDNAにRrhJ1I制限酵素を接触させ、制限酵素接触後のDNAの分子量またはDNAの断片数を測定することにより評価することができる。当業者であれば、修飾酵素または制限酵素による接触時の酵素量、温度、溶液組成または接触時間などの条件を設定することができる。修飾酵素を接触させたDNAの分子量と、制限酵素で接触後のDNAの分子量またはDNA断片数とを比較することで、RrhJ1I修飾酵素活性を評価することができる。
さらに、配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列を含み、かつRrhJ1I修飾酵素活性を有するポリペプチドもRrhJ1I修飾酵素に含まれる。
本発明において、変異体DNAとしては、配列番号1で示される塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上、最も好ましくは約98%以上の相同性を有する塩基配列からなるDNAであって、コードするポリペプチドが修飾酵素活性を有するDNAが挙げられる。
前記のストリンジェントな条件としては、例えば、DNAを固定したナイロン膜を、6×SSC(1×SSCは塩化ナトリウム8.76g 、クエン酸ナトリウム4.41g を1リットルの水に溶かしたもの)、1% SDS、100μg/mlサケ精子DNA、0.1% ウシ血清アルブミン、0.1% ポリビニルピロリドン、0.1% フィコールを含む溶液中で65℃にて20時間プローブとともに保温してハイブリダイゼーションを行う条件を挙げることができるが、これに限定されるわけではない。当業者であれば、このようなバッファーの塩濃度、温度等の条件に加えて、その他のプローブ濃度、プローブの長さ、反応時間等の諸条件を加味し、ハイブリダイゼーションの条件を設定することができる。
修飾酵素でベクターを修飾する方法としては、例えば、(1)修飾酵素を用いてin vitroでベクターを修飾する方法と、(2)修飾酵素を発現する形質転換体を作製し、その形質転換体に目的とするDNAを含むベクターを導入して修飾する方法を採用することができる。
修飾酵素によって修飾されたベクターを用いてロドコッカス属に属する細菌を形質転換する場合は、当該ベクターは、形質転換しようとするDNA(発現カセットを含んでいてもよい)を含むものであればよく、好ましくは、例えばpK1、pK2、pK3およびpK4(特許文献9参照)、ならびにpSJ023およびpSJ002(特許文献12参照)等のプラスミドDNAが挙げられる。これらのベクターは、ロドコッカス属に属する細菌において自律複製が可能な領域と、薬剤耐性遺伝子としてカナマイシン遺伝子を含んでいるため、形質転換に好ましく使用することができる。
修飾酵素を当該酵素を有する菌の培養物から得る場合、当該酵素を有する細菌は、当該酵素をもともと発現している細菌でもよいし、修飾酵素をコードするDNAを含む組換えベクターにより形質転換された形質転換体でもよい。
ベクターにDNAを挿入するには、制限酵素を用いる方法、トポイソメラーゼを用いる方法等を利用することができる。また、挿入の際に必要であれば、適当なリンカーを付加してもよい。また、アミノ酸への翻訳にとって重要な塩基配列として、SD配列やKozak配列などのリボソーム結合配列が知られており、これらの配列を遺伝子の上流に挿入することもできる。挿入にともない、DNAがコードするアミノ酸配列の一部を置換してもよい。
本発明において使用する宿主は、上記組換えベクターが導入された後、目的の修飾酵素を発現することができる限り、特に限定されるものではない。宿主としては、例えば、大腸菌(エシェリヒア・コリ)、枯草菌(バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis))、放線菌などの細菌、酵母、カビ、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞などが挙げられる。本発明において、宿主は好ましくは大腸菌である。
無細胞タンパク質合成系とは、細胞抽出液を用いて試験管などの人工容器内でタンパク質を合成する系である。なお、本発明において使用される無細胞タンパク質合成系には、DNAを鋳型としてRNAを合成する無細胞転写系も含まれる。
ここで、上記細胞抽出液は、真核細胞由来または原核細胞由来の抽出液、例えば、小麦胚芽、大腸菌などの抽出液を使用することができる。なお、これらの細胞抽出液は濃縮されたものであっても濃縮されないものであってもよい。
上記のように無細胞タンパク質合成によって得られる修飾酵素は、前述のように適宜クロマトグラフィーを選択して、濃縮、精製することができる。
この方法では、修飾酵素を発現させた形質転換体から、修飾酵素により修飾されたベクターを取得することができる。すなわち、修飾酵素をコードするDNAおよび修飾対象のベクターを宿主に導入し、得られる形質転換体の培養物から修飾されたベクターを取得することができる。
例えば、修飾酵素により修飾されたベクターを形質転換体から採取する際、形質転換体の宿主にアデニンなどをメチル化するメチラーゼ(例えばdamメチラーゼ)を有する宿主を用いると、得られるベクターは、修飾酵素による修飾と共にこれらのメチラーゼによる修飾も受けたものになる。これらの修飾を受けたベクターを、例えば、メチル化アデニン等を切断するDNA切断酵素を有するロドコッカス属に属する細菌に導入する場合、damメチラーゼ等による修飾部位が、当該細菌の有するDNA切断酵素により切断される。その結果、修飾されたベクターが導入された目的の形質転換体を十分に得ることができなくなってしまう。
したがって、修飾酵素を用いて修飾されたベクターを形質転換体から得る場合、当該形質転換体の宿主は、damメチラーゼ、dcmメチラーゼ、およびCGメチラーゼから選択される少なくとも1つのメチラーゼを欠損した宿主を用いることが好ましく、damメチラーゼおよびdcmメチラーゼの両方またはいずれかを欠損した宿主であることがさらに好ましい。このような宿主としては、例えば大腸菌の場合、ER2925、INV110、JM110、SCS110などを用いるのが好ましい。
ロドコッカス属に属する細菌に導入するためのベクターは、「3.修飾酵素によるベクターの修飾」で得られたベクターを用いることができる。当該ベクターは、アルカリ−SDS法で調製したものが使用でき、好ましくは不純物の少ない高純度なDNAを使用する。ベクターを高純度に精製する方法としては、密度勾配遠心法、市販精製キットを使用することができる。密度勾配遠心法は、例えばCsClやCF3COOCsを使用して、100,000Gで2〜48時間で遠心した後、目的とするDNAのバンドを抽出することにより、ベクターを精製することができる。
なお、形質転換効率は、例えば、形質転換に用いたベクター量(例えば、μg)あたりの形質転換体コロニー数(cfu)(=cfu/μg)あるいは形質転換に用いた宿主の量あたりの形質転換体量などにより算出することができる。
実施例に限定されるものではない。
(1)J1菌ゲノムDNAの調製
ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)J-1株を100mlのMYKG培地(0.5%ポリペプトン、0.3%バクトイーストエキス、0.3%バクトモルトエキス、1% グルコース、0.2% K2HPO4、0.2% KH2PO4、pH7.0)中、30℃にて72時間振盪培養した。
培養後、集菌し、集菌された菌体をSaline-EDTA溶液(0.1M EDTA、0.15M NaCl(pH8.0))4mlに懸濁した。懸濁液にリゾチーム40 mgを加えて、37℃で1〜2時間振盪した後、-20℃で凍結した。
次に、10mlのTris-SDS液(1%SDS、0.1M NaCl、0.1M Tris-HCl(pH9.0))を穏やかに振盪しながら加え、さらにプロテイナーゼK(メルク社)(10 mg/ml)を10μl加えて37℃で1時間振盪した。
次に、等量のTE (10mM Tris-HCl、1mM EDTA(pH8.0)) 飽和フェノールを加え、撹拌した後遠心した。遠心後、上層を採取し、2倍量のエタノールを加えた後、ガラス棒でDNAを巻きとり、90%、80%、70%のエタノールで順次フェノールを取り除いた。
次に、DNAを3mlのTE緩衝液に溶解させ、リボヌクレアーゼA溶液(100℃、15分間の加熱処理済)を10μg/mlになるよう加え、37℃で30分間振盪した。さらに、プロテイナーゼKを加え37℃で30分間振盪した後、等量のTE飽和フェノールを加えて遠心し、上層と下層に分離させた。
上層についてこの操作を2回繰り返した後、同量のクロロホルム(4%イソアミルアルコール含有)を加え、同様の抽出操作を繰り返した。その後、上層に2倍量のエタノールを加え、ガラス棒でDNAを巻きとり回収し、J1菌染色体ゲノムDNAを得た。
(1)で得られたJ1菌ゲノムDNAを鋳型として使用して、以下に示す反応液組成およびプライマーを用いてPCRを行った。この際、修飾酵素をtrcプロモーター下流のNcoIサイトに結合させるため、修飾酵素の2番目のアミノ酸をセリン(TCG)からスレオニン(ACG)に置換するようなプライマーを用いた。
鋳型DNA(J1菌ゲノムDNA) 1μl
10×Ex Buffer(タカラバイオ) 10μl
プライマーJM-18(配列番号3) 1μl
プライマーJM-11(配列番号4) 1μl
2.5mM dNTP 8μl
滅菌水 78μl
ExTaq DNAポリメラーゼ(タカラバイオ) 1μl
総量 100μl
温度サイクル:94℃:30秒、65℃:30秒および72℃:1分の反応を30サイクル
プライマー
JM-18: GGGTCATGACGCGGTCCAGCTACGAG(配列番号3)
JM-11: CTCCctgCAGGCGGCGTGGAAGCCTGG(配列番号4)
以下の実施例3において、ロドコッカス菌に形質転換するベクターとしてpK4を用いた。このpK4は、ロドコッカス菌−大腸菌のシャトルベクターであり、pUC系の複製オリジンを有している。そこで、(2)で作製した修飾酵素発現ベクターの発現系を、pK4と複製オリジンの異なるpMW118(ニッポンジーン)に挿入した。
先ず、pTJM01を制限酵素SspIで切断し、0.7%アガロースゲルにおける電気泳動に供し、1.8Kbの断片を回収した。次に、pMW118をSmaIで切断し、Shrinp Alkalin Phosphatase(プロメガ)を使用し、脱リン酸化処理を行った。この二つの断片をLigation Kit(タカラバイオ)を用いて結合し、大腸菌ER2925(NEW ENGLAND BioLabs)に形質転換した。得られたコロニーを培養し、QIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン)を用いてベクターを回収した。得られたベクターはpMWJM01と命名した。
図2は、ベクターpMWJM01の構築スキームおよびpMWJM01の構造を示す模式図である。組換えコロニーから得られたpMWJM01はNaeIで切断できないことから、修飾酵素によって修飾されていることを確認した。
本実施例に使用するベクター pK4は、ロドコッカス・ロドクロウスATCC12674/pK4株に導入されて、受託番号FERM BP−3731号として、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託されている。
ロドコッカス・ロドクロウスATCC12674/pK4株を、100mlのMY培地(ポリペプトン0.5%、バクトイーストエキス0.3%、マルツエキス0.3%、グルコース1%、カナマイシン50μg/ml)に植菌した。24時間培養した後に終濃度2%となるように滅菌した20%グリシン溶液を添加し、さらに24時間培養した。その後、遠心分離により菌体を回収し、菌体を40mlのTES緩衝液(10mM Tris-HCl(pH8)−10mM NaCl−1mM EDTA)で洗浄後、50mM Tris-HCl(pH8)、12.5%シュークロース、100mM NaClおよび1mg/mlリゾチームを含む溶液11mlに懸濁し、37℃にて3時間振盪した。これに1mlの10%SDSを加え、室温で穏やかに1時間振盪し、さらに1mlの5M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.2)を添加し、氷中で1時間静置した。その後、4℃にて10,000Gで1時間遠心し上清を得た。これに5倍量のエタノールを加え、-20℃で30分静置した後、10,000Gで20分間遠心した。沈澱物を30mlの70%エタノールで洗浄した後、100μlのTE緩衝液に溶解し、DNA溶液を得た。
次に、RrhJ1I修飾酵素で修飾されたpK4を得るため、上記で得られたpK4と実施例1で得られたpMWJM01の混合液を大腸菌ER2925に形質転換した。得られたコロニーを培養し、QIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン)を用いてベクターを回収した。ここで回収されたベクターはpK4とpMWJM01の混合液(以下、「pK4+ pMWJM01」と略す)となる。よって、この混合液を実施例3で使用する際は、混合液としてのDNA濃度が他のベクター(pK4)と同一になるように調製した。
得られたベクターはNaeIで切断できないことから、修飾酵素によって修飾されていることを確認した。
10mlのMYK培地(0.5%ポリペプトン、0.3%バクトイーストエキス、0.3%マルツエキス、0.2% KH2PO4、0.2% K2HPO4)にロドコッカス・ロドクロウスJ-1株を植菌し、30℃で培養した。15〜17時間後、終濃度2%となるように滅菌した20%グリシン溶液を添加し、さらに24時間培養した。この培養液を1%グリシンを含んだ10mlのMYK培地に2%植菌し、さらに30℃で48時間培養を行った。この培養液を滅菌水で3回洗浄し、最後に滅菌水500μlに再懸濁した。これをコンピテントセルとして用いた。
実施例2で調製したベクター(pK4+ pMWJM01)1μlまたはpK4で形質転換した大腸菌ER2925から調製したpK4 1μlと、(1)で調製したJ-1株コンピテントセル10μlとを混合し、30分間氷冷した。キュベットにDNAと菌体の懸濁液を入れ、遺伝子導入装置GenePulser(BIO RAD)により、20KV/cm、100Ωで電気パルス処理を行った。電気パルス処理液を氷冷下で10分静置し、37℃で10分間ヒートショックを行い、MYK培地500μlを加えた。30℃にて24時間静置した後、10μg/mlカナマイシン入りMYK寒天培地に塗布し、30℃にて3日間培養した。コロニー数はプレート上に生育したコロニー数を示す。
同じ条件での形質転換を各4回行い、その結果を表1に示した。
以上の結果より、修飾酵素で修飾されたベクターを用いて形質転換することで、形質転換効率は飛躍的に向上することが示された。さらに、修飾酵素により修飾されたベクターを形質転換体から得る場合、damメチラーゼおよび/またはdcmメチラーゼを欠損した大腸菌を宿主に用いることで、形質転換効率が向上することが示された。
配列番号4:プライマー
Claims (13)
- 修飾酵素を用いて修飾されたベクターであって、
前記修飾酵素が、以下の(a)または(b)のポリペプチドである前記ベクター。
(a)配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド
(b)配列番号2で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ修飾酵素活性を有するポリペプチド - 修飾酵素を発現させた形質転換体から得られるベクターであって、
前記修飾酵素が、以下の(a)または(b)のポリペプチドである前記ベクター。
(a)配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド
(b)配列番号2で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ修飾酵素活性を有するポリペプチド - 修飾酵素を用いて修飾されたベクターであって、
前記修飾酵素が、以下の(a)または(b)のDNAによりコードされるポリペプチドである前記ベクター。
(a)配列番号1で示される塩基配列からなるDNA
(b)配列番号1で示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ修飾酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA - 修飾酵素を発現させた形質転換体から得られるベクターであって、
前記修飾酵素が、以下の(a)または(b)のDNAによりコードされるポリペプチドである前記ベクター。
(a)配列番号1で示される塩基配列からなるDNA
(b)配列番号1で示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ修飾酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA - 修飾酵素がGCCGGC配列を認識する酵素であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のベクター。
- 形質転換体の宿主がdamメチラーゼおよび/またはdcmメチラーゼを欠損した大腸菌であることを特徴とする請求項2または4に記載のベクター。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のベクターを含有する形質転換体。
- 以下の工程を含むロドコッカス属に属する細菌の形質転換方法。
(i)修飾酵素を用いてベクターを修飾する工程、および
(ii)工程(i)で修飾されたベクターをロドコッカス属に属する細菌に導入する工程 - 以下の工程を含むロドコッカス属に属する細菌の形質転換方法。
(i)修飾酵素を発現させた形質転換体から修飾されたベクターを得る工程、および
(ii)工程(i)で得られたベクターをロドコッカス属に属する細菌に導入する工程 - 修飾酵素がGCCGGC配列を認識する酵素であることを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
- 修飾酵素が、以下の(a)または(b)のポリペプチドであることを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
(a)配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド
(b)配列番号2で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ修飾酵素活性を有するポリペプチド - 修飾酵素が、以下の(a)または(b)のDNAによりコードされるポリペプチドであることを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
(a)配列番号1で示される塩基配列からなるDNA
(b)配列番号1で示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ修飾酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA - 工程(i)の形質転換体の宿主がdamメチラーゼおよび/またはdcmメチラーゼを欠損した大腸菌であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
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JP2015154785A (ja) * | 2015-05-28 | 2015-08-27 | 三菱レイヨン株式会社 | ニトリルヒドラターゼ遺伝子を置換した微生物 |
Citations (2)
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JPH0698779A (ja) * | 1992-05-12 | 1994-04-12 | New England Biolabs Inc | NaeI制限エンドヌクレアーゼ及びメチラーゼをクローン化し産生する方法 |
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Patent Citations (2)
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JPH0698779A (ja) * | 1992-05-12 | 1994-04-12 | New England Biolabs Inc | NaeI制限エンドヌクレアーゼ及びメチラーゼをクローン化し産生する方法 |
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