JP3836168B2 - BalI制限・修飾系酵素遺伝子 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、遺伝子工学試薬として有用な制限酵素および修飾酵素の遺伝子、さらに詳細には、BalI 制限・修飾系酵素遺伝子およびそれらを用いたBalI制限酵素の遺伝子工学的製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
BalI 制限・修飾系酵素は、ブレビバクテリウム・アルビダム(Brevibacterium albidum)ATCC15831(以下、Bal菌と略記する)により生産され、DNAを切断する活性を有するBalI 制限酵素と、BalI制限酵素による切断からDNAを保護するBalI修飾酵素(メチラーゼまたはメチルトランスフェラーゼともいう)により構成される。BalI制限酵素は典型的II型制限酵素であり、DNA塩基配列中、二回転対称構造の6塩基からなる配列(5’−TGGCCA−3’)を認識し、その認識配列のGとCの間を平滑末端となるように切断する酵素である〔ゲリナス(Gelinas)ら、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー (Journal of Molecular Biology) 第114巻、第433〜440頁(1977)〕。一方、BalI修飾酵素は、認識配列の5’側から4番目のシトシン塩基(C)にメチル基を導入する作用を有し、BalI制限酵素による切断よりDNAを保護する機能を有する酵素である。
【0003】
Bal菌からのBalI制限酵素の製造方法としては、上記のゲリナスらのジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジーの報文に記載されている。しかしながら、Bal菌より得られるBalI制限酵素の含量は少なく、当該酵素を大量に得ることは困難である。そこで、BalI制限酵素遺伝子をクローニングし、遺伝子工学的に大量に製造することが考えられる。このとき、BalI制限酵素遺伝子とBalI修飾酵素遺伝子の両方が必要とされる。
BalI修飾酵素遺伝子については、ウイルソン(Wilson)が、ジーン(Gene)第74巻、第281〜289頁(1988)においてクローニングされた種々の修飾酵素遺伝子の一つとして挙げている。しかしながら、その具体的なクローニング方法や、クローニングされた遺伝子の遺伝子構造や塩基配列など、遺伝子を特定するに足る記載はなく、その詳細は明らかではない。また、BalI制限酵素遺伝子についての報告はない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、BalI 制限・修飾系酵素遺伝子を提供し、BalI制限酵素の工業的製造に適したBalI制限・修飾系酵素遺伝子を含むプラスミドを導入した新規微生物、特に、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)を創製し、該微生物を用いたBalI制限酵素の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、Bal菌よりBalI制限・修飾系酵素遺伝子を含むDNA断片をクローニングすることに成功し、さらに、これらのDNA断片全体あるいは一部が同一または個別のプラスミドに組み込まれたプラスミドを導入した微生物、特に、エシェリヒア・コリを培養することにより、菌体中に著量のBalI制限酵素が蓄積し、これらの培養物より大量のBalI制限酵素を取得できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の第1の態様は、単離されたBalI制限酵素遺伝子およびそれとハイブリダイズ可能な遺伝子に関する。
本発明の第2の態様は、単離されたBalI修飾酵素遺伝子およびそれとハイブリダイズ可能な遺伝子に関する。
本発明の第3の態様は、第1の態様の遺伝子を含むベクターに関する。
本発明の第4の態様は、第2の態様の遺伝子を含むベクターに関する。
本発明の第5の態様は、第1の態様の遺伝子と第2の態様の遺伝子両方を含むベクターに関する。
【0007】
本発明の第6の態様は、第3および第4の態様の両方のベクターで形質転換され、BalI制限酵素を生産することができる形質転換体に関する。
本発明の第7の態様は、第5の態様のベクターで形質転換され、BalI制限酵素を生産することができる形質転換体に関する。
本発明の第8の態様は、BalI制限酵素の製造方法に関し、第6または第7の態様の形質転換体を培養し、該培養物からBalI制限酵素を採取することを特徴とする。
【0008】
本明細書においては、BalI制限酵素活性を有するポリペプチドの総称としてBalI制限酵素、BalI修飾酵素活性を有するポリペプチドの総称としてBalI修飾酵素なる用語を使用する。
BalI制限・修飾系酵素遺伝子には DNA を切断する活性を有するBalI制限酵素をコードする遺伝子と、BalI制限酵素による切断よりDNAを保護する修飾酵素をコードする遺伝子が含まれている。ここで、制限・修飾系酵素遺伝子とは、制限および修飾の両酵素遺伝子をもつ遺伝子とその各個別の遺伝子との両者を統合した意味の用語である。換言すれば、制限および/または修飾酵素遺伝子を意味する。これらの遺伝子は、単独あるいは複合体の形で利用できる。 また、上記の両遺伝子を組み込んだプラスミドを用いる場合、そのプラスミドは両遺伝子を同一のプラスミドに組み込んだものでも、あるいは両遺伝子を各個別に複数のプラスミドに組み込んだもののいずれであってもよい。
【0009】
本発明において、制限・修飾系酵素遺伝子をクローニングする方法としては、ベクター修飾法あるいはメチラーゼ選択法と呼ばれる方法がよく用いられている〔上記ウイルソン、ジーン、第74巻、第281〜289頁(1988)〕。この方法は、制限酵素遺伝子と修飾酵素遺伝子がゲノム上で互いに近傍に存在し発現しているという仮定に基づいている。すなわち、修飾酵素活性を有するクローンの中には対応する制限酵素遺伝子も合わせて持つものがあるはずである。
しかし、BalI制限・修飾系酵素遺伝子のクローニングに関しては、この方法をそのまま適用することはできなかった。
すなわち、BalI修飾酵素活性を有するクローンの中からは、BalI制限酵素活性は検出されなかった。BalI制限酵素活性が検出されない理由としては、BalI制限酵素遺伝子がBalI修飾酵素遺伝子に隣接して存在していない、あるいは、隣接はしているが全長がクローニングされていない、あるいは、全長がクローニングされているが宿主内で発現されない、等の理由が考えられるが、この時点では3つのうちのどの理由によるものかは予想できない。
【0010】
ウイルソンは上記のジーンで、メチラーゼ選択法をさらに発展させた多段階クローニング法(Multi-step cloning)も報告している。しかし、全長がクローニングされているが発現されない場合は、この方法もそのまま適用できない。
結果的に、BalI制限酵素遺伝子はそのままの形ではエシェリヒア・コリ内で発現しないことが判明し、本発明者らは、BalI制限酵素遺伝子の全塩基配列を決定した後に、遺伝子の開始部分を改変して発現ベクターに結合し、別途発現系を構築した。また、用いるエシェリヒア・コリの株によっては、BalI制限・修飾系酵素遺伝子をクローニングすることができないことも明らかとなった。
【0011】
BalI制限・修飾系酵素遺伝子をクローニングし、発現させるための手順を以下に例示する。
(1) DNA供与体であるBal菌から染色体DNAを抽出してSau3AI制限酵素で部分消化し、BalI認識配列をもつベクターに結合させる。
(2) (1)で作製したプラスミドライブラリーでエシェリヒア・コリER1648株を形質転換し、プラスミド抽出法によりプラスミドライブラリーを得る。
(3) (2)で作製したプラスミドライブラリーをイン・ビトロ(in vitro)でBalI制限酵素で消化する。このとき、BalI修飾酵素遺伝子を含有しかつ発現しているプラスミドは消化されない。
(4) (3)のプラスミドライブラリーをエシェリヒア・コリER1648株に再び戻して形質転換させる。このとき、消化されていない環状のプラスミドのみが効率よく選択的に導入され、BalI修飾酵素遺伝子が発現している形質転換体のみを選択できる。
(5) (4)で得られた形質転換体についてBalI制限酵素活性をイン・ビトロの方法で測定する。
【0012】
もし、BalI制限酵素活性が検出されたなら、BalI制限酵素遺伝子もそのクローン中に存在し、かつ発現していることになり、以下の手順(6)〜(10)は不要である。しかしながら、本発明によれば、BalI制限酵素活性は検出されず、さらに以下の手順が必要であった。
(6) Bal菌より上記のゲリナスの方法等によりBalI制限酵素をできるだけ高純度に精製し、そのN末端側よりアミノ酸配列を決定する。さらに、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を行い、分子量の情報を得る。
(7) (5)のBalI修飾酵素遺伝子を含んでいるクローンについて種々の欠失変異体を作製し、BalI修飾酵素遺伝子の位置を特定する。
(8) (7)で作製した適当な欠失変異体について全塩基配列を決定する。次に、オープンリーディングフレーム(ORF)を検索し、(6)および(7)の情報からBalI制限酵素遺伝子、BalI修飾酵素遺伝子を特定する。
(9) (8)で特定された(エシェリヒア・コリ内で発現しない)BalI制限酵素遺伝子を発現するように遺伝子工学的に改変した後、発現ベクターに結合し、BalI制限酵素遺伝子発現用ベクターを構築する。
(10) (7)で作製したBalI修飾酵素遺伝子を含むベクターと、(9)で作製したBalI制限酵素遺伝子を含むベクターでエシェリヒア・コリER1648株を形質転換し、BalI制限酵素を生産することができる形質転換体を作製する。
(11) (10)で作製した形質転換体を培養し、該培養物からBalI制限酵素を大量に得る。
【0013】
(1)において使用するベクターとしては、BalI認識配列を含み、かつ当該配列がBalI制限酵素で切断されるものであれば使用可能である。本発明者らは、pBR322のEcoRVおよびNruI部位にBalIリンカー(5’−TTGGCCAA−3’)を挿入して、BalI認識配列を新たに導入したベクターを構築し、使用した。なお、このベクターをpBBB1と命名した。
新たなBalI認識配列を導入した理由は、もとからpBR322上にあるBalI認識配列がdcmメチラーゼの影響により切断されにくいことを考慮したものである。
【0014】
(2)における形質転換に際しては、本発明者らの実験によれば、用いるエシェリヒア・コリ株の種類によっては安定した形質転換体が得られない。すなわち、ER1648株を用いたときのみ安定した形質転換体が得られ、HB101株やMC1061株では得られない。
よって、以降の手順においてもER1648株を用いた。
(3)〜(4)において得られた形質転換体から、本発明者らはBalI修飾酵素遺伝子を含む約5.2kbのDNA断片を含むプラスミドを選択し、該プラスミドをpBB5と命名した。
(5)においては、得られたクローンのBalI制限酵素活性を調べる。
BalI 制限酵素活性は、以下のようなイン・ビトロの方法により調べることができる。
すなわち、試験するクローンを培養し、その培養物を粉砕し、超遠心分離を行い残渣を除去した上清を用い、ラムダファージDNAを基質として、37℃で制限酵素反応を行いアガロースゲル電気泳動により解析することができる。本発明者らは、当該方法を用いてpBB5を有するエシェリヒア・コリER1648の抽出液についてBalI制限酵素活性を調べたが、活性は検出されなかった。活性が検出されない理由としては上記の3つの理由が考えられたが、この時点ではどの理由によるものかは予想できない。この3つの可能性のうちのいずれであるかを決めるために以下の手順を進めた。
【0015】
(6)において、BalI制限酵素のN末端側アミノ酸配列の決定は、精製したBalI制限酵素をポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜に移し、自動アミノ酸シーケンサーにより行うことができる。当該方法によって決定したBalI制限酵素のN末端側アミノ酸配列を配列表の配列番号5に示す。また、SDS−PAGEの結果によれば、BalI制限酵素の分子量は約29,000であった。
(7)において、作製した各欠失変異体とBalI修飾酵素活性の関係を図1に示す。この結果、約3.2kbのDNA断片上にBalI修飾酵素遺伝子が存在することが判明した。当該DNA断片をpBBB1に挿入したプラスミドを作製し、pBSR1と命名した。図2にpBSR1の構築過程を示す。
【0016】
(8)において、pBSR1に挿入されている約3.2kbのDNA断片の全塩基配列を決定した。その塩基配列を配列表の配列番号6に示す。さらに、ORFを検索した結果、塩基番号437〜1276に正方向のORF(ORF1)およびび1279〜2058に逆方向のORF(ORF2)が存在した。ORF1の塩基配列および推定されるアミノ酸配列を配列表の配列番号4に、アミノ酸配列のみを配列番号3に示す。ORF2の塩基配列および推定されるアミノ酸配列を配列表の配列番号2に、アミノ酸配列のみを配列番号1に示す。(7)における各欠失変異体とBalI修飾酵素活性の関係から、ORF1がBalI修飾酵素をコードしていると決定した。このことは、ORF1のみをPCRで増幅したDNA断片を組み込んだ発現ベクターが導入されたエシェリヒア・コリがBalI修飾酵素活性を有していたことからも裏付けられた。また、(6)のN末端側アミノ酸配列がORF2のそれと一致することから、ORF2がBalI制限酵素をコードしていると決定した。さらに、配列番号1のアミノ酸配列から計算される分子量は29,043であり(6)のSDS−PAGEの結果とよく一致した。図3にクローニングされたBalI制限・修飾系酵素遺伝子の構造を示す。図中、Mは修飾酵素遺伝子を、Rは制限酵素遺伝子を、矢印はORFの方向を表す。
【0017】
以上より、BalI制限・修飾系酵素遺伝子の構造が明らかとなり、かつBalI制限酵素遺伝子はその全体がクローニングされているにもかかわらず、エシェリヒア・コリ内で発現しないことが明らかとなった。
(9)において、本発明者らは、ORF2の開始コドンをGTGからATGに改変し、さらに、エシェリヒア・コリ内で強力に働くlacプロモーターの下流に遺伝子を結合することによって、BalI制限酵素遺伝子の発現系を構築した。まず、ORF2をPCRで増幅する。この際、開始コドンがATGになるようにプライマーの配列を工夫する。つぎに、増幅した遺伝子をpSTV28ベクター(宝酒造社)のlacプロモーターの下流に結合させた。当該ベクターをpSRB8と命名した。pSBR8およびBalI修飾酵素を発現するpBSR1をエシェリヒア・コリER1648株に導入した形質転換体は Escherichia coli ER1648/pBSR1/pSRB8 と命名、表示され、平成6年11月10日(原寄託日)から工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P−14625の受託番号の下で寄託されており、平成7年9月12日から工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM BP−5229の受託番号の下で国際寄託されている。
【0018】
(10)において、Escherichia coli ER1648/pBSR1/pSRB8の培養菌体1gから約70,000単位のBalI制限酵素活性が検出され、これはBal菌の生産量の約1,000倍であった。形質転換体の培養物からBalI制限酵素を採取するにあたっては、例えば、培養物より菌体を集菌後、超音波破砕、超遠心分離等により酵素を抽出し、ついで除核酸法、塩析法、アフィニティクロマトグラフィー法、ゲル濾過法、イオン交換クロマトグラフィー法等を組み合わせ精製すればよい。この方法により、BalI制限酵素を大量に得ることができる。
【0019】
また、上記で得られた遺伝子をプローブとして厳密な条件下でハイブリダイゼーションを行えば、得られた遺伝子と配列は少し異なるが、同様な酵素活性を持つ類似の遺伝子を得ることができ、これも本発明範囲のものである。
かかる厳密な条件下とは、DNAを固定したナイロン膜を、6×SSC(1×SCCは塩化ナトリウム8.76g、クエン酸ナトリウム4.41gを1リットルの水に溶かしたもの)、1%ラウリル硫酸ナトリウム、サケ精子DNA100μg/ml、5×デンハルツ(Denhardt's)(ウシ血清アルブミン、ポリビニルピロリドン、フィコールを各々0.1%の濃度で含む)を含む溶液中で65℃にて20時間プローブとハイブリダイゼーションを行うことをいう。
【0020】
BalI制限・修飾系酵素をコードする類似の遺伝子をハイブリダイゼーションにより得る方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
まず、目的の遺伝子源から得た染色体DNAを常法に従い、プラスミドやファージベクターに接続して宿主に導入し、ライブラリーを作製する。そのライブラリーをプレート上で培養し、生育したコロニーまたはプラークをニトロセルロースやナイロンの膜に移し取り、変性処理によりDNAを膜に固定する。この膜をあらかじめ32P等で標識したプローブ(使用するプローブとしては、配列表の配列番号1または3に記載したアミノ酸配列またはその一部をコードする遺伝子であればよく、例えば、配列表の配列番号2または4に記載した遺伝子またはその一部を使用することができる)を含む溶液中で保温し、膜上のDNAとプローブとの間でハイブリッドを形成させる。例えば、DNAを固定化した膜を、上記の厳密な条件でプローブとハイブリダイゼーションを行う。
【0021】
ハイブリダイゼーション後、非特異的吸着を洗い流し、オートラジオグラフィー等によりプローブとハイブリッド形成したクローンを同定する。この操作をハイブリッド形成したクローンが単一になるまで繰り返す。こうして得られたクローンの中には、目的の蛋白質をコードする遺伝子が挿入されている。
【0022】
得られた遺伝子は、例えば、つぎのように塩基配列を決定し、遺伝子が目的のBalI制限・修飾系酵素をコードする遺伝子であるかを確認する。
塩基配列の決定は、ハイブリダイゼーションにより得られたクローンの場合、組換体がエシェリヒア・コリであれば、試験管等で培養を行い、プラスミドを常法に従って抽出する。これを制限酵素により切断し、挿入断片を取り出し、M13ファージベクター等にサブクローニングし、ジデオキシ法により塩基配列を決定する。組換体がファージの場合も基本的に同様な操作により塩基配列を決定することができる。
これら培養から塩基配列決定までの基本的な実験法については、例えば、ティ・マニアティス(T. Maniatis)らのモレキュラー・クローニング・ア・ラボラトリー・マニュアル(Molecular Cloning A Laboratory Manual、1982年、コールドスプリングハーバーラボラトリー発行)等に記載されている。
【0023】
得られた遺伝子が目的のBalI制限・修飾系酵素であるかどうかを確認するには、決定された塩基配列を配列表の配列番号2または4に記載した塩基配列および配列表の配列番号1または3に記載したアミノ酸配列と比較してその遺伝子構造およびアミノ酸配列を知ることができる。
得られた遺伝子がBalI制限・修飾系酵素をコードする領域の全てを含まない場合には、得られた遺伝子を基にして合成DNAプライマーを作製し、PCRによって足りない領域を増幅したり、得られた遺伝子の断片をプローブとして、さらにDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、全コード領域を得ることができる。
【0024】
BalI制限・修飾系酵素活性を持つポリペプチドを遺伝子工学的に得るには、まず、得られたBalI制限・修飾系酵素遺伝子を適当な宿主細胞、例えば、エシェリヒア・コリ、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、放線菌、酵母、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞等において発現できるような発現ベクターに常法に従い接続して、それを宿主細胞に導入し、形質転換体を作製する。この形質転換体を培養することによりBalI制限・修飾系酵素活性を有するポリペプチドを生産させることができる。
【0025】
用いる発現系によっては、形質転換体中で発現されたポリペプチドが不溶物[封入体(inclusion body)]として蓄積される場合がある。この場合は、この不溶物を回収し、穏和な条件、例えば、尿素等で可溶化した後に、変性剤を除くことによって回復させることができる。発現は、BalI制限酵素活性またはBalI修飾酵素活性を測定することにより確認できる。BalI制限酵素活性は上記のイン・ビトロ法により測定でき、BalI修飾酵素活性は形質転換体のDNAのBalI認識配列がBalI制限酵素によって消化されないことにより確認することができる。
【0026】
形質転換体からのBalI制限・修飾系酵素活性を有するポリペプチドを精製するには、上記と同様なクロマトグラフィーの手法を用いることができる。発現産物が不溶物として蓄積されている場合も、上記と同様に、例えば、細胞を破砕後、沈殿を回収し、尿素等の変性剤で可溶化する。ついで、変性剤を除き、リフォールディングさせた後、上記のようなクロマトグラフィーにより目的の活性を有するポリペプチドを得ることができる。
【0027】
さらに、本発明においては、BalI制限酵素遺伝子とBalI修飾酵素遺伝子の両方を含み、かつ発現可能なベクターで宿主を形質転換することによっても、BalI制限酵素を生産することのできる形質転換体を得ることができ、該形質転換体を培養することによって、BalI制限酵素を製造することができる。このようなベクターは、例えば、pBSR1上のBalI制限酵素遺伝子を宿主内で発現するように改変したベクターを作製することによって得ることができる。pBSR1上のBalI制限酵素遺伝子がエシェリヒア・コリ内で発現しない理由として、例えば、制限酵素の構造遺伝子上流にエシェリヒア・コリ内での転写に適したプロモーター配列がないこと、翻訳の開始コドンがエシェリヒア・コリでは比較的効率のよくないGTGであること等が考えられる。したがって、BalI制限酵素遺伝子の上流に試験管内遺伝子操作法を用いて適当なプロモーター配列を挿入したり、試験管内部位特異的変位導入法を用いて開始コドンをGTGからATGに変換することにより、目的のベクターを得ることができる。
【0028】
さらに、図3に示すように、pBSR1上では制限酵素遺伝子と修飾酵素遺伝子が翻訳の終始点が見合う形で、転写、翻訳の方向が逆向きであり、両遺伝子の間で発現過程において互いに阻害しあう可能性がある。したがって、両遺伝子の方向をそろえることによって発現しやすくなることも考えられる。このような改変の方法としては、例えば、まず、制限酵素遺伝子、修飾酵素遺伝子のそれぞれ全長を含む領域をPCR法によって増幅する。このとき、プライマーの配列を工夫し、増幅された遺伝子の末端に適当な認識配列を導入する。ついで、その部位を利用して両遺伝子を同方向に連結し、lacプロモーター等の適当なプロモーターを有する発現ベクターに組み込むことにより目的のベクターを得ることができる。
これらのベクターによる宿主細胞の形質転換、得られた形質転換体の培養、発現された酵素の精製も上記と同様に行うことができる。
【0029】
【実施例】
つぎに、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
Bal菌染色体DNAの調製
Bal菌を、L培地(10g/リットル トリプトン 、5g/リットル 酵母エキス、5g/リットル NaCl)100ml中37℃で1晩培養した後、遠心分離により集菌した。当該菌体を10mlの溶液A〔25mM トリス−HCl(pH8.0)、50mM グルコース、10mM EDTA〕に懸濁し、リゾチームを同液に2mg/mlになるように溶かしたものを1.0ml加えて撹拌し、37℃で15分静置した。つぎに、当該溶液に28mlの溶液B〔100mM NaCl、100mM トリス−HCl(pH8.0)〕を加え、撹拌し、さらに4mlの10%SDS溶液を加え、撹拌し、37℃で1時間静置した。当該溶液に1mlの溶液C〔10% SDS、8% サルコシル(Sarcosyl)〕を加えて撹拌し、60℃で15分静置した。当該溶液を静置後、等容量のフェノール:クロロホルム(1:1)混液を加え、10分間穏やかに撹拌した後、遠心分離(5000g、10分)により、水層とクロロホルム層を分離した。分離後水層を取り、これに等量のイソプロピルアルコールを加え、撹拌し、0℃で10分間静置した後、遠心分離(13500g、10分)により沈殿を回収した。これを70%エタノールで洗浄し、10mlの TE溶液〔10mM トリス−HCl(pH8.0)、1mM EDTA〕に溶解させ、4℃で保存した。
【0030】
実施例2
クローニングベクターの構築
BalI制限・修飾系酵素遺伝子をスクリーニングするためのクローニングベクターとして、pBR322のEcoRV制限酵素切断部位およびNruI制限酵素切断部位にBalIリンカー(5’−TTGGCCAA−3’)(宝酒造社製)を導入したベクターを以下のように新たに構築した。
まず、25μgのpBR322を制限酵素EcoRV150ユニットと緩衝液〔10mMトリス−HCl(pH7.5)、7mM MgCl2、150mM NaCl、7mM 2−メルカプトエタノール、0.01%ウシ血清アルブミン〕中、37℃で1時間反応させ、エタノール沈殿によりプラスミドDNAを回収した。このDNAを100mMトリス−HCl(pH8.0)に溶解し、2.5ユニットのアルカリホスファターゼ(宝酒造社)を加え、55℃、1時間反応させ、フェノール処理、エタノール沈殿を行いDNAを回収した。一方、100pmolのBalI リンカーの5’末端を、10ユニットのT4ポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒造社)を用いてリン酸化し、エタノール沈殿後リンカーDNAを回収した。リン酸化したBalI リンカー50pmolとEcoRVで切断したpBR322DNA1μgをT4DNAリガーゼ(宝酒造社)700ユニットを用い、リガーゼ緩衝液〔66mMトリス−HCl(pH7.6)、6.6mMジチオスレイトール(DTT)、0.1mM ATP〕中、5℃で16時間反応させ結合させた後、70℃で5分間加熱してから、20ユニットのEcoRVで消化した。こうして得られたプラスミドDNAでエシェリヒア・コリHB101株を形質転換し、アンピシリン100μg/mlを含むL寒天培地に塗布した。37℃で生育したコロニーを分離し、100μg/mlのアンピシリンを含む2mlのL培地で37℃で16時間培養した後、集菌し、アルカリ−SDS法によりプラスミドを分離した。
【0031】
すなわち、集菌体に0.2mlの溶液I〔50mMグルコース、10mMトリス−HCl(pH8.0)、5mM EDTA〕を加え、懸濁し、0.4mlの溶液II(0.2N NaOH、1%SDS)を加え、0℃で5分間保持した。これに0.3mlの溶液III〔5M酢酸カリウム(pH4.8)〕を加え、0℃で15分間保持した後、遠心分離し、上清を回収した。イソプロピルアルコール0.6mlを加え0℃で10分間保持した後、遠心により沈殿を回収し、これを70%エタノールで洗浄し乾燥した。これに20μg/mlのRNaseAを0.1ml加え、37℃で40分間反応させ、0.03mlの1M MgCl2を加え0℃で10分間保持した。遠心分離により、上清を回収しこれに0.06mlの溶液IV〔20%ポリエチレングリコール#6000、2M NaCl〕を加え、攪拌し、0℃で60分間保持した。遠心分離で沈殿を回収後、TE溶液に溶解した。このDNA溶液にBalI制限酵素を作用させ、アガロースゲル電気泳動を行いBalIリンカーを含むプラスミドを選択した。
ついで、このEcoRV切断部位にBalIリンカーが挿入されたプラスミドをNruI制限酵素で消化し、上記の方法に準じ、NruI制限酵素切断部位にもBalIリンカーを導入した。その結果pBR322のEcoRV制限酵素切断部位及びNruI制限酵素切断部位にBalIリンカーを導入したベクターが得られた。当該ベクターをpBBB1と命名した。
【0032】
実施例3
ライブラリーの作製
実施例1で得られた Bal菌の染色体DNA25μgに1ユニットの制限酵素Sau3AIを緩衝液〔50mMトリス−HCl(pH7.5)、10mM MgCl2、1mM DTT、100mM NaCl〕中、37℃で1〜10分間反応させて部分消化した後、アガロースゲル電気泳動を行い、 ゲルより3〜7kbのDNA断片を回収した。このDNA断片をあらかじめBamHIで開裂しておいたpBBB1に結合した後、これらのプラスミドでエシェリヒア・コリER1648を形質転換した。こうして得られた形質転換体からアルカリ−SDS法によってプラスミドを抽出し、プラスミドライブラリーを調製した。
【0033】
実施例4
修飾酵素遺伝子の単離
実施例3で得られたプラスミドライブラリー3μgにBalI制限酵素50ユニットを緩衝液〔20mMトリス−HCl(pH8.5)、7mM MgCl2、7mM 2−メルカプトエタノール、0.01%ウシ血清アルブミン〕中37℃で3時間反応させた。このとき BalI修飾酵素が発現しているプラスミドはBalI制限酵素で切断されない。反応後、フェノール処理、エタノール沈殿を行い、DNAを回収した。つぎに、このDNAを100mMトリス−HCl(pH8.0)に溶解し、2.5ユニットのアルカリホスファターゼを加えて55℃で1時間反応させた後、フェノール抽出、エタノール沈殿を行い、再びDNAを回収した。こうして得られた切断されている、あるいは切断されていないプラスミドDNAの混合物でエシェリヒア・コリER1648を形質転換した。このとき、切断されていない環状のプラスミドのみが効率よくエシェリヒア・コリ中に導入され、アンピシリンを含むプレート上で形質転換体として選択される。この結果、約10,000個のコロニーが出現し、この中から10個のコロニーを無作為に選択した。つぎに、それぞれのコロニーを100μg/mlのアンピシリンを含む2mlのL培地で37℃で16時間培養した後に集菌し、アルカリ−SDS法にてプラスミドを抽出して、BalI制限酵素で処理した。その結果、3個のプラスミドがBalI制限酵素に対して耐性を示したが、このうち2個はプラスミド上のBalI部位そのものが欠失しており、残りの1個のみがBalI修飾酵素遺伝子を発現していた。このようにして、BalI修飾酵素遺伝子を含んでいる形質転換体が得られた。しかしながら、この形質転換体についてBalI制限酵素活性を解析したところ、活性は認められなかった。
【0034】
実施例5
修飾酵素遺伝子の解析
実施例4で得られたBalI修飾酵素が発現しているプラスミドは約5.2kbのBal菌由来のDNA断片を含んでいた。該プラスミドをpBB5と命名した。つぎに、BalI修飾酵素遺伝子の位置を限定するために、当該DNA断片の制限酵素地図を作成し、これを用いて様々の領域を欠失させたDNA断片をもつプラスミドを作製し、修飾酵素活性を測定した。その結果を図1に示す。すなわち、BalI修飾酵素遺伝子は約3.2kbのDNA断片上に存在することがわかった。この約3.2kbのDNA断片を含むEcoRV−SspI断片(約3.7kb)をpBB5から切り出し、pBBB1に結合させたプラスミドを作製し、pBSR1と命名した。図2にpBSR1の構築過程を示す。
【0035】
実施例6
BalI制限酵素のN末端側アミノ酸配列の決定
Bal菌よりゲリナスの方法でBalI制限酵素を精製し、SDS−PAGEに供した後、PVDF膜に移し、クマシーブリリアントブルーにより染色し、10%酢酸−50%メタノールで脱色した。分子量約29,000のBalI制限酵素の部分を切り取り、アミノ酸シークエンサー470A型(アプライドバイオシステムズ社製)に供し自動エドマン分解により、N末端側アミノ酸配列を決定した。そのアミノ酸配列を配列表の配列番号5に示す。
【0036】
実施例7
BalI 制限・修飾系遺伝子の構造解析
pBSR1に挿入されているDNA断片の塩基配列を、エキソヌクレアーゼIII(宝酒造社製)、およびマングビーンヌクレアーゼ(宝酒造社製)を用いて種々の大きさの欠失変異体を作成した後、ジデオキシ法で決定した。その塩基配列を配列表の配列番号6に示す。さらに、ORFを検索した結果、塩基番号437〜1276に正方向のORF(ORF1)および1279〜2058に逆方向のORF(ORF2)が存在した。ORF1の塩基配列および推定されるアミノ酸配列を配列表の配列番号4に、アミノ酸配列のみを配列番号3に示す。ORF2の塩基配列および推定されるアミノ酸配列を配列表の配列番号2に、アミノ酸配列のみを配列番号1に示す。各欠失変異体とBalI修飾酵素活性の関係から、ORF1がBalI修飾酵素をコードしていると決定した。また、N末端側アミノ酸配列がORF2のそれと一致することから、ORF2がBalI制限酵素をコードしていると決定した。さらに、配列番号1のアミノ酸配列から計算される分子量は29,043であり、SDS−PAGEの結果とよく一致した。
図3にクローニングされたBalI制限・修飾系酵素遺伝子の構造を示す。図中、Mは修飾酵素遺伝子を、Rは制限酵素遺伝子を、矢印はORFの方向を表す。以上より、BalI制限・修飾系酵素遺伝子の構造が明らかとなり、かつBalI制限酵素遺伝子はその全体がクローニングされているにもかかわらず、エシェリヒア・コリ内で発現しないことが明らかとなった。
【0037】
実施例8
BalI制限酵素遺伝子の発現系構築
配列表の配列番号7で表されるBAL−R1プライマーと配列番号8で表されるBAL−R2プライマーをプライマー対とし、pBSR1をテンプレートとして、94℃で1分間、55℃で2分間、72℃で2分間、25サイクルのPCRを行い、ORF2の部分を増幅した。なお、BAL−R1プライマーは1番目の塩基がAになっているので増幅された遺伝子の開始コドンはGTGからATGに変換される。つぎに、この増幅されたDNA断片をpSTV28ベクターのSmaI部位に挿入し、lacプロモーターの下流にBalI制限酵素遺伝子が配置されるようにした。このベクターをpSRB8と命名した。
pBSR1およびpSRB8によりエシェリヒア・コリER1648株を形質転換し、得られた形質転換体の抽出液のBalI制限酵素活性を測定したところ、活性が認められた。上記のごとく、この形質転換体を Escherichia coli ER1648/pBSR1/pSRB8と命名、表示し、工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託した(FERM P−14625)。このようにして、BalI制限酵素を発現する形質転換体が得られた。
【0038】
実施例9
BalI 制限酵素の形質転換体による生産
実施例8で得られたEscherichia coli ER1648/pBSR1/pSRB8 (FERM P−14625)をアンピシリン100μg/mlとクロラムフェニコール30μg/mlを含む100mlのL培地に接種し、37℃で5時間培養した後、IPTGを最終濃度が1mMになるように添加し、更に37℃で5時間培養した。集菌により得られた1gの菌体を、5mlの10mM 2−メルカプトエタノールを含む20mMトリス−HCl(pH7.5)に懸濁し、超音波処理で菌を破砕し、超遠心分離(10,000g、30分)により上清を回収した。上清の活性を測定したところ、BalI 制限酵素は湿菌体1g当り約70,000ユニット生産されており、これはBal菌からの生産量と比較して約1,000倍の上昇であった。以上のように、BalI制限酵素の大量生産系が完成した。
【0039】
【発明の効果】
以上詳細に説明したとおり、本発明によりBalI制限・修飾系酵素遺伝子が単離された。該遺伝子を含有するプラスミドで形質転換したエシェリヒア・コリにより、遺伝子工学において有用なBalI制限酵素を効率よく大量に製造することが可能となった。
【0040】
【配列表】
【0041】
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【0042】
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【0043】
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【0044】
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【0045】
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【0046】
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【0047】
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【0048】
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【図面の簡単な説明】
【図1】 各欠失変異体と修飾酵素活性の関係を示す図である。
【図2】 pBSR1の構築過程を示す図である。
【図3】 BalI制限・修飾系酵素遺伝子の構造を示す図である。

Claims (8)

  1. 配列表の配列番号1で表されるアミノ酸配列をコードする単離されたBalI制限酵素遺伝子。
  2. Escherichia coli ER1648/pBSR1/pSRB8(FERM BP−5229)の保有するプラスミドから取得可能な請求項1記載の遺伝子。
  3. 配列表の配列番号2で表される塩基配列を有する請求項1記載の遺伝子。
  4. 配列表の配列番号2で表される塩基配列の塩基番号1のGがAに置換された塩基配列を有する請求項1記載の遺伝子。
  5. 配列表の配列番号2で表される塩基配列を有する遺伝子と厳密な条件下でハイブリダイズ可能な単離されたBalI制限酵素遺伝子
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の遺伝子を含むベクター。
  7. 請求項6記載のベクターで形質転換されたBalI制限酵素を生産することのできる形質転換体。
  8. 請求項7記載の形質転換体を培養し、該培養物からBalI制限酵素を採取することを特徴とするBalI制限酵素の製造方法。
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